connect   作:苺のタルトですが

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サンタの居る所は運搬を経営している会社らしくホワイトカンパニーというらしい。

骨折した人に予め気持ちが変わったら電話してくれと言われて名刺を貰っていたので電話をしてから受けると答えるとそこへ行ってくれと言われて向かう。

その間にもローと攻防を続けていた。

 

「今までの治療代から差し引いてやるから悪い話しじゃねェだろ?」

 

「そこは恋人になったんですから今までの分はチャラになるとかではないんですね」

 

ローは突然ピタッと止まり怪訝に思うと同時に肩を掴まれ唇をぶつけられる。

人通りの少なくない所でやるなんて何を考えているんだと怒鳴りたくなった。

 

「否定しねーな。反則過ぎるぞお前っ」

 

舌も入れてくるローにギュッと目を閉じて胸をガスッと殴る。

喉仏に指を差し込む勢いで押すとローが離れた。

 

「おい、何する」

 

「痴漢撃退方ですっ、二人に教えられましてね!」

 

いくら何でも人前でなんて公開し過ぎだ。

それに、否定しないのは只、彼と居るのは居心地も良くて嫌いではない。

更に無理矢理女として周りに認知させてまで想われて嬉しくないという訳ではないからだ。

つまりは、少しくらいなら恋人という関係をしても良いかもしれないと揺れ動かされた。

ほんの少しだけと思っているこちらとがっつり物にしようとしているローの行動はいかせん急過ぎる。

ゼェゼェと息を吐いているとローが先程の攻撃を物ともせずに近寄ってきて腰を抱いてきて横に侍らせてくるので相手を睨んだ。

 

「フフフ。ホテルでしけこんでからにしようか」

 

「何言って、るんです!もう電話しましたし、行きませんからねっ」

 

「今ホワイトカンパニーに行くって言ったな?決まりだ」

 

「は?……うわもう!」

 

先程は行きたくないと口で言っていたのにいつの間にか自分から行くと言ってしまっていた事にローの狡猾な手口に歯噛み。

 

(嵌められた!)

 

誘導されていたと知るには遅すぎた。

ローは方向転換をしてカンパニーのある方向へ向かう。

 

「初めからそのつもりでしたねっ?」

 

迂闊である。

この男は海賊の船長としてはかなりの策士だ。

 

「いや?行くと言わなかったらそのままホテル直行だ」

 

(選択肢が可笑しい)

 

結局何かをする事には変わりなく、ローと共に活動する結果のなっていた訳だ。

どちらを取ってもロー付きなのだろう。

まだ運搬の方がマシかもしれないと諦める事にして足を動かして会社に着いた。

着いて早々に社長と名乗る人が出てきて今回欠席してしまったあの入院中の人から事の詳細を聞いていると聞かされて随分と手際が良いなと感心した。

 

「私達は連携というのを常に意識しているから少しでも情報にズレがあると仕事に支障を来す」

 

「で、ソリの練習くらいはさせて貰えるんだろ」

 

ローが刀を担いだまま聞く。

それに内心怯えているのか冷や汗で対応する社長。

 

「嗚呼。勿論。ベテランでも落ちる仕事だから練習はきっちり受けてもらう。所で君達二人で仕事を分担してもらえるのかい?」

 

「こいつとおれで二組みだ。別々のソリには乗らない」

 

「そ、そうか……ではこちらへ」

 

ローの刀をチラチラと見る彼は余程人手不足なのか仕事を寄越してくる。

唯一見た目が平凡なリーシャにばかり話し掛ける彼の気持ちは痛い程分かった。

 

「では、こちらに着替えてくれ」

 

「この私服では駄目なのですか?」

 

思わず意見してしまう程の服装、それはサンタコスチュームだった。

恥ずかしい格好だ。

ミニスカという訳ではなく普通の長ズボンなので寒くはなさそうだ。

ローは複雑な顔でそれを見た。

 

(そっか。ローさん、サンタコスチュームの運搬って知らなかったのか)

 

リーシャは落下した人の服装で察していたが、彼は知らずに受けろと言ったと知る。

 

「おれはそれが嫌いだ」

 

「そ、そうですか……なら、貴女さえ着てくれれば良いです」

 

「よし、着ろ」

 

「あ、ローさん逃げた」

 

ジト目で言うと彼はフイッと顔を逸らした。

 

「更衣室は向こうの扉にあります」

 

着てくれという視線に耐えかねて服をもらい更衣室に向かった。

着替えたのでロー達の居る場所へ赴き御披露目する。

普通に着慣れないので落ち着かない。

 

「……へェ」

 

「では、こちらへローサンタさん、リーシャサンタさん」

 

「サンタ、さん?」

 

「今すぐその向かっ腹の立つ呼び方を止めろ」

 

ローの眼孔が開かれて相手の社長は涙目であった。

リーシャはあまりにも不憫に思えたので自分は呼ばれても平気だと言う。

それに安堵した顔で笑みを作る彼は今日一番で胃が縮んだ人間だろうとエールを送った。

外へ出るとソリに繋がれたトナカイが居て思わず可愛いと零す。

フサフサしていて草を食べている姿はとても撫でたくなる。

 

「あれが練習していただくソリです」

 

「あのトナカイを撫でても良いですか?」

 

構わないと許しを得てから撫でる。

フサフサしていると幸せに浸った。

 

「そろそろ練習始めるから乗れ」

 

足されて乗り込む。

ローは後ろらしく手綱を持つ。

抱き込まれる形で前に乗る姿勢に顔が熱くなる。

後ろから抱き締められているのと変わらない体勢にドキドキとした。

 

「飛べ」

 

ローが言うとトナカイは先ず走り出して少しずつ足が陸から離れていく。

 

「わあ!」

 

少しずつ高度が上がり視界も空へと移る。

ローが何気なく手綱を操っている事に首を傾げた。

 

「何だか上手いですね」

 

「馬に乗った事もあるからな」

 

得意げに笑うロー。

 

「その格好、良いな」

 

こちらが着ているサンタコスチュームに焦点を当ててくるので恥ずかしさが蘇ってくる。

 

「止めてください。でもこれ、凄くあったかいですよ?寒くないです」

 

「これが終わればお前を温めてやれる」

 

「そういうの別にいらないんで」

 

クリスマスは確かにそんな感じの恋人が白熱するイベントだが、なったばかりのそれには慣れない。

 

「リーシャサンタ……後でおれにもプレゼントくれるよなァ?」

 

「ローさん良い歳して、上げる対象は純粋な子です。よってプレゼントはありません」

 

純粋で良い子。

 

「プレゼントは貰うんじゃなく奪う予定だから関係ねェ」

 

「此処にブラックリスト上位の人が居る!?」

 

プレゼントを強奪だなんて恐ろしい。

フルリと身体を震えさせると愉しげな声音でローが述べた。

 

「寒いのかサンタさん。なら、おれがたっぷり介抱してやるよ。運良くおれは医者だしな」

 

悪魔がおる、此処に。

空中という逃げ場のない空間に顔を引きつらせた一人の配達人が夜空を駆けた。

 

 

 

翌朝、起きると既にローは居なくなっておりどこにも居ない事から自分が部屋に一人で居る事を知る。

首に微かな違和感を感じて触ると革張りの感触に洗面台にある鏡へと向かう。

写ったのは茶色と黄色の色が混ざった石、透明度があるので何かの宝石かもしれない物が小さく嵌め込んである。

洗面台に紙切れが置いてあり読むとローの字で『ずっと付けとけよ』と書いてあるのを見てからそのチョーカーを触ってからジワジワと嬉しさと困惑とがグチャグチャになった顔で顔を洗った。

 

「あ、お帰りなさい」

 

マイが出迎えてくれたのを見て共同不審になる。

しかし、目敏く見つけたそれにマイの顔はみるみるうちに輝く。

 

「あ、首の!それ、もしかして船長さんからですか?」

 

「ま、まァ……その、貰っただけ」

 

「クリスマスの島のプレゼントって、それ何てロマンですか!?」

 

この子はクリスマスの意味も良く知っているから余計に嬉しそうだ。

ヨーコもマイの声にやってきて二人で盛り上がった。

恥ずかしいけれど悪くない。

 

「益々女の香りが強くなったわね!私達も船長さんからプレゼント貰ったけど、そこまでロマンチックなもんじゃないわね」

 

「え?」

 

「敵の船から強奪した宝石とか、商船から強奪した服とかです」

 

「な、何それ!?」

 

強奪したものであれお咎めのない王下七武海。

それを悠々と渡してくるその図太さに絶句した。

 

 

 

島に向けて出航していると何かがドスンと落ちるような大きな音に叫ぶ。

 

「な、何!?」

 

外へ慌てて出るとそれぞれ武器を持って構えている二人が見えた。

退治している相手はとても大きく、とてもテラッている男で見ているだけでも大きさとその気迫に冷や汗が出る。

 

「積み荷を奪おうと来たが、まさか女が乗ってるとはなァ!運が良い!嫁キタこれ!」

 

船が今にも破損しそうな重量と体型の相手は好きなだけ言うと二人に突進してくる。

ヨーコはそれをかわしてトンファーを相手の顔に叩き込む。

けれど、ブヨヨンと跳ね返れてしまう。

マイも弓矢で居る。

それも跳ね返されるとマイは驚く。

 

「なら、これはどうですかねっ」

 

今度は覇気を纏った矢で射ると相手の腹に刺さる。

 

「!……嫁は覇気を使えるのか!こりゃあ良い!」

 

「嫁って言うなー!」

 

相手の隙を見てヨーコは武装化して頭に一撃を入れる。

相手の男はその攻撃に顔を歪ませるも笑う。

気味が悪い。

 

「凄い!こっちの嫁も覇気を……!こりゃあ益々良い!」

 

「何なのこいつ!やたら皮膚が!」

 

ヨーコの言葉は途中で男が彼女を鷲掴んだ事により途切れる。

呻く彼女にマイが弓と剣を持って二刀流で助けに行く。

リーシャも持っている短剣を握り後に続く。

戦えなくてもこれくらいはする覚悟を持っている。

 

「ん……まだ居たのか?……何だ」

 

剣を横にやろうとしたら激痛がお腹に叩き込まれた。

 

「う″あ″あ″ー!」

 

「男か」

 

巨体で丸くでっぷりとした腹が視界の端に見えて、相手がマイも捕獲した事が聴覚から入ってくる。

リーシャは激痛に霞む目に起き上がろうと這う。

 

「リーシャさん!返事して!」

 

「今すぐ此処から逃げなさい!私達は何とか自分で」

 

「この男はお前達の婿か?」

 

ドシンドシンと床が揺れる。

近付いてきているのだろう。

危機迫る中、マイとヨーコは否定した。

 

「違う!この人はただの航海士!」

 

「そうです!というか、私達を離しなさい!」

 

「てか、あんた誰よ!?」

 

「おお、そうだ!おれはペトリナだ!お前等の伴侶になる男!」

 

「は!?嫌よあんたの伴侶とか!」

 

「そうです!私はもっとロマンチックな恋をしてから結婚をします」

 

「ははは!元気な嫁だ」

 

「この!離せ!」

 

「じゃあ、取り敢えず島に帰ってからお見合いしような!」

 

最後にペトリナと名乗る男はリーシャをゴスゴスと蹴ってから壁に叩きつけてから去っていった。

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