connect   作:苺のタルトですが

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ロー side

 

 

部屋で寛いでいると外からバタバタとした足音が聞こえて眉をしかめる。

この足音の大きさはベポだ。

 

「大変!リーシャが酷い怪我しててる!今、皆がリーシャを医務室に連れてってる!」

 

「!?……状態は?」

 

思わずグッと歯を鳴らす。

様態と怪我の具合を廊下を進みながら聞く。

 

「ベポ。補佐しろ」

 

「アイアイキャプテン!マイとヨーコは見当たらなかった」

 

医務室に入るとボロボロになって、酷い打撲傷に荒く息をする女が横たわっている。

 

「…………あの二人を今すぐ探せ。手の空いてる奴らかき集めてな」

 

近くに寄ってきた船員の一人に言うと直ぐに行動して部屋を出ていく。

 

「アルコールと──」

 

次々と指示を出していくとぼそりと声が聞こえた。

 

「マイ…………ヨーコぉ……うう」

 

痛みに呻いたら瞼から涙がツウッと流れて目を細めた。

彼女が涙を見せるのはかなり珍しい。

ローが彼女に愛していると伝えた時でも我慢するように泣いていたが、あれでも滅多に見る事の無いものだ。

今回は相当何かあった故の涙なのだろう。

涙を指でソッと拭うとリーシャの耳に唇を寄せて「今は眠れ」と囁いた。

 

 

 

***

 

 

 

二人があの肥っちょに攫われていく。

 

「駄目えええ!!」

 

次に見えたのは白色に統一された部屋の中。

何度も息をして、何度も周りを見回す。

気を失う前に起きた出来事を思い出して慌てて飛び降りる。

此処はベッドの上だったらしく下に降りた反動で転けた。

 

「うぐっ!痛いー!」

 

打った所よりもあの肥っちょに攻撃された箇所の方が痛い。

呻くと扉の向こうからドタドタと足音が聞こえてきた。

痛む場所を押さえていると扉が開かれて船員の一人が驚いた顔でこちらを見る。

その人がこちらに来て起こしてくれるとベッドの縁に座らせてから船長を呼んでくると言う。

去る相手を見送って直ぐに改めて痛む箇所に顔を引き結びグッと立ち上がり歩く。

此処に居るという事はつまり中型船もあるという事だ。

今から出航しなければと扉を開けて外へ向かう。

 

「い!」

 

歩く度に身体がズキズキする。

 

(今まで怪我した中で一番の重傷かも)

 

噛み締めて足を動かすと此処から扉がまだ遠い事に息が上がる。

 

「はあはあはあっ!」

 

フラフラとなる身体に足を踏ん張らせる。

 

「どこへ行く?」

 

ビクッと揺れた。

見つかった、彼に。

痛いのを我慢して走る。

 

「はあはあはあ!」

 

「ROOM」

 

「!……チッ」

 

能力をついに使うという事か。

舌打ち等久々だ。

 

「カウンターショック」

 

「うあああ!」

 

バリリリ!という音を最後にブラックアウト。

 

 

 

意識が浮上して目を開けると視界にローが居た。

 

「目覚めたか馬鹿女」

 

「可愛い彼女に酷いですねーローさん」

 

「くく、お前自分が可愛いと本気で思ってねェだろ?男装している奴が」

 

「ええまあ。ところで、今何時ですか?」

 

「夜の十一時……お前、さっきどこに行こうとした」

 

軽口を叩いていたローが声を低くして聞いてくる。

それに頬を染めると可愛い声を意識して答えた。

 

「女の予定を聞くなんて野暮です」

 

「…………」

 

「それより、能力で眠らせる何て酷いじゃないんですか……?」

 

「どうやら聞き方が悪かったようだなァ?」

 

ローはリーシャの上にのし上がり手を顔の横にトスっとやる。

目の前に端正な王下七武海の眼がこちらを射抜いていた。

好きな人に見つめられているというシチュエーションなのに背景が宜しくない。

 

「お前等に何が起こった」

 

「…………何が起きたのか、と聞かれたら良く分からないんです。けれど、突然男が積み荷目的でやってきて、けれど、船に乗っているのが女だと分かったら嫁だとか、嫁にするだとか、そう言ってマイ達を攫ったんです」

 

「お前は何故浚われなかった?」

 

「興味がなかったのでしょうと言いたい所でしょうが、相手は私を男と認識したらしくて」

 

ローは答えたらジッとこちらを凝視してきた。

 

「お前はそいつに一緒に浚われれば良かったと思っているか」

 

「いいえ。一緒ではなく……私だけ浚われれば良かったんです。きっと私の不幸体質の」

 

「違うな。お前はあいつらを守ろうと頑張っている。明らかな今回一番のクソ野郎はそいつだ」

 

そう淡々と述べるローの言葉にあの時の光景を思い出して唇を噛む。

願わくばまだあの男に何かされていない事を祈る。

リーシャは眠っている場合ではないと気を思い起こしてローを見た。

そして、退いてと言うと彼はこちらをギッと睨む。

行かせないと言われてもこちらも譲れない事と言うのがあるので負けない。

それならばと実力行使に出るとしよう。

勿論、力でだったり頭脳でだったりは無理なので女として戦うしか方法は無い。

彼の首に手を回してこちらから唇を重ねると相手が目を見開くのが見えた。

どうやら突発的に起きた事を処理しているのだろう、目が薄く細まる。

ローはリーシャの頭の後ろに手をやり深くしてきた。

彼はきっとこちらの意図に気付いているだろう。

 

「おれを色仕掛けで落とそうとは、お前も偉くなったな」

 

愉しげに笑うローは皮肉っている目で問う。

 

「私を解放して下さい。私を此処から出して下さい。お願いします」

 

「それを許すと?」

 

ローは怒っている声音で言う。

リーシャは苦痛な顔で願った。

 

「私は、責任を取らなければいけないのです。お願い、ロー」

 

「!……そこで呼び捨てか……上等じゃねェか……リーシャ」

 

彼は挑まれたのを感じ取り、上から退く。

起き上がろうとしたら押し止められる。

どうやら此処から動いて良い訳ではなさそうだ。

 

「船からは出してやる。但し、治療が終わるまでは安静だ。島まで送ってやる。ついでにその男の事についての情報もな」

 

一人でこなすには時間が掛かりすぎる事を自分も理解していたので素直に頷く。

しかし、彼等が情報を持ってきて、相手の居場所を聞いてきた時が勝負だ。

リーシャはまた枕に頭を沈めた。

その夜は眠れなかったが、途中の夜中にローがやってきて医務室のサブ用のベッドを広げるとそこへ寝始めたので目をしばたかせる。

 

「どうしたので、ローさん」

 

「さん?ローってのはどうした」

 

分かっている癖にからかう。

 

「あれは特別な時にしか言わないとっておき何ですっ。恥ずかしいので掘り返さないで下さいよ!」

 

頬が赤く熟れていくのを実感。

ローはクスクス笑うと手を頭にやって上向きに寝転ぶ。

 

「お前が脱走しないように監視しようと思ってな。それより夜のキスしねェか」

 

「夜のキス?……て、お休みのキスの事でしょうか?何故?」

 

今までそんな事をした事もなくて、ローに強請られた事もない。

ましてや、しようとも思わない。

疑問を感じていると彼はさも愉快そうにこちらをねちっこく責める。

 

「今日だっておれに迫ってきただろ。あん時の熱烈さを思い出したら疼いてきた」

 

「迫って、ません!あれは、え、演技ですからっ」

 

「へェ、演技ねェ?」

 

彼はニヤッと口角を上げて見透かすように問い掛けてくる。

分かっている癖に聞いてくる何て人が悪い。

これ以上答えてもどうせ上回る回答を言われて上手な男に勝てるとは思えないので黙る。

相手はこちらが何も言わないのを感じたのか、ごろりとこちらを向いて身体を方向転換させた。

横向きに見られているのは落ち着かない。

居心地の良くない視線に晒されているのが耐えられなくなりローに何だと訊ねる。

男は笑って起きるとこっちにやってきて頬にキスを落とした。

むず痒い、かなり。

カッと顔が赤くなると布団を深く被る。

お休みのキスを向こうからしてきた。

こちらから寄越せと言ってきた癖に、寄越すとは何と耐え性が無い人だろう。

恥ずかしくてその顔を見られたくなくてギュッと身体を丸くした。

 

 

 

いつの間にか寝ていたようで起きると目の前にローが寝ていて、サブ簡易ベッドで寝ていた筈なのにいつこっちに移ったのだと驚く。

早く起きなければと彼を寝ていると分かっていても無理矢理退かそうと手を付ける。

先ずは胸の包囲にある腕を退かそうと引き剥がそうとして上に引くと首筋に熱い吐息を感じて「ひゃ!」と声を上げて横を向くと寝ていたローが目を開けてこちらを眺めていた。

起きていたのなら手を離して欲しかったと訴えると彼は怪我人が下手に動くなと釘を刺してきてグッと詰まる。

確かに昨日、島に行き情報を集めるから安静にしろと取り引きしたので反論出来ない。

諦めて質問をする事に集中する。

 

「島に着きました?」

 

「嗚呼。今あいつらが頑張ってる。後輩の一大事だしな」

 

ローは真面目に答えてリーシャの頬を撫でる。

スルリとした感触にどう返せば良いのか分からないのでジッと動かないでいた。

 

「大人しいな。昨日はあんだけ動いたりしたら嫌でもそうなるか?」

 

「ローさんのあのビリビリ攻撃がまだ残ってるのかもしれません。あれ、悪魔の実ですか?」

 

「威力は抑えたからないなそれは。カウンターショックは、能力を洗礼させた結果だ」

 

新技と紹介されたが、それを喰らわされた身としては複雑である。

ビリリリリ、としたあの感覚は二度と体験したくない部類のものだ。

ローへ恨みがましい視線を送ると彼はそれを無視して包帯を変えると服を脱ぐよう足してきた。

医療行為だと頭でしっかり理解しているのでそそくさと脱ぐ。

彼は包帯を無表情でてきぱきと巻いていく。

 

「こんなに女の身体をしているのに、襲った奴の目は大節穴だな」

 

「っ、医者が今、それを言う必要あります?」

 

「おれはお前を診察する時は大概そういう風に思いながら診てる……と言ったら?」

 

「!……服、着ますけどっ」

 

ローの質問に服を掴もうとするとその手を掴まれてしまう。

手を離させようと手を引くとまだ手は付いて来る。

相手の顔が見られない。

彼は打撲痕がある箇所に指を這わす。

くすぐったいままに身を捩るが後ろから彼に抱き締められた。

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