もしもテニプリに女子テニス部があったなら〜交流編〜   作:ハネ太郎

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破局の危機・・・!? その4「嵐のあとさき」

−朝の情報番組「おはようパラダイス」より−

 

 ニュースです。昨夜6時過ぎ、都内の公園で、私立中学の女子生徒が男子高校生に殴る蹴る、物をぶつけられる等の暴行を加えられる傷害事件が発生しました。女子生徒は頭部や腹に打撲やすり傷などの軽傷ということです。

 さらに容疑者の高校生はこの後、女子生徒を心配して迎えに来た、同じ中学の男子生徒にも刃物で切りつけ、こちらは右手を数針縫う大怪我を負わせました。なおも執拗に男子生徒を追いかけ回した容疑者は、公園入口の階段から足を滑らせ数十メートル下の最下段まで転落。現在も意識不明の重体ということです。

 

 

 

 数日後。青春学園男子テニス部の部室にて。

 

「・・・え〜、この度は、俺たちのケンカのせいで」

「両テニス部の皆様方に、多大なご心配ご迷惑をおかけしまして」

「「申し訳ありませんでした!!」」

 

 謝罪会見に臨む、リョーマと桜乃の姿があった。会見と言ってもマスメディアが立ち会うわけではない。いるのはテニス部の仲間たちだけだ。深々と頭を下げる二人に、何故かカメラのフラッシュが焚かれていた。

 

 あの日の夜、リョーマは輸血やら緊急手術やら、桜乃も大事を取って、ふたり仲良く一晩入院した。今もリョーマの右手には包帯が、桜乃の顔には絆創膏が痛々しい。

 退院後も警察の事情聴取やらなにやら、かなりバタバタしていた。結局警察では、喧嘩沙汰ではなくあくまで二人が一方的に襲われた傷害事件として扱われた。・・・リョーマ側もボールぶつけたり顔を蹴飛ばしたり、押し倒して頭強打させたりしたようだが、それらは読者諸氏の頭の中だけに留めておいてもらおう。

 

 

 

「まあ、何回かケンカを経験しないとバディもカップルも本物にはなれないとは言うけどね・・・今度からは周りへの影響を考えてからやりな!」

 

 桜乃の祖母でもある男子テニス部顧問、竜崎スミレ先生から叱責が飛ぶ。恐縮しながら聞く二人。さらに両テニス部の部長、特に男子の手塚国光からはさぞや厳しい沙汰があるものと覚悟していたが・・・。

 

「本来なら、交際禁止を言い渡すべき事案であることは明白。しかしだな・・・お前たちも反省していることだろうし、今回のみ! 口頭の戒告処分ということでとどめといてやる」

「・・・寛大なご処置、痛み入ります・・・」

 またも深々と頭を下げる二人。桜乃はともかくリョーマがこんなに頭を下げることは実にレアである。

 

「どうしたの? 今日は、やけに優しいじゃない。貴方にしては珍しいわ」

 女子テニス部部長の水島吉乃が、皆の思いを代弁する。

「別にいいだろう・・・。俺だって、鬼じゃない。あの二人は充分苦しみ、痛い思いをした。今更ここで追い打ちをかけることもない、それだけだ」

 吉乃の方を振り向きもせず応える手塚。心なしか、少し照れているよう?

 

 

 

「あいつを・・・玉川久助を倒してくれて、ありがとう。被害者一同を代表して、お礼を言わせてもらうわ、越前くん」

 ベルベルこと鈴本鈴美が近づき、リョーマに感謝の意を述べた。あの夜、誰よりも早く事件現場に駆けつけ、警察に通報、病院まで付き添い、知らせを受けてすっ飛んできた越前竜崎両家族に事情を説明したりと、大活躍であった。

「まあ、別に、なんてことないッスよ。・・・こちらこそ、色々お世話になりました」

 重傷を負ったことなどの苦難を感じさせないリョーマの返答。

「被害者一同を代表って・・・あっ!?」

 言いかけた桜乃は、何かに気づいた。

「・・・それ以上追及しないで」

 

「まさかこんなふうに怪我までさせてしまうなんて。私が甘かったわ・・・」

 リョーマの右手の包帯に目をやるベルベル。

「いや、油断してたのは俺も同じっす。・・・あのとき桜乃が俺を庇ってくれなかったら、今頃どうなっていたか・・・」

「本当に、無我夢中で・・・とにかく彼を逃がさなきゃって思ってたの・・・」

 重傷のショックで動けないリョーマに、刃物を構えて迫りくる久助。その時桜乃は勇気を振り絞り、奴に飛びかかって取り押さえんとしたのだ。結果的には失敗におわったが、彼女の勇気ある行動は逆転の機を作った。

「見直したぜ、相棒。サンキューな」

 そう言うとリョーマは、彼女の顔の傷に労いのキスをした。

「・・・うん♡・・・貴方が・・・死ななくて本当に良かった」

 桜乃もまた、彼の右手に包帯の上から敬愛のキス。あの夜、病院のベッドで、彼女は一晩中泣いていた。翌朝、目覚めた彼に、また縋り付いて泣いた。

 

 

 

「身を捨てて女子を救い、悪を誅した英雄には、それ相応の酬いがなければならないわ」

 そう言うとベルベルは、しばし考え込み・・・。

「もし良かったら、私のこと、好きにしてくれても、いいのよ?」

 

 ベルベルはおおきなからだでのしかかった!

 リョーマはうごけなくなった!

 

 体重とスリーサイズが全てオーバー90、一部で「縄文のビーナス」とあだ名される(※誇張あり)ベルベルの豊満なボディをその身で受け止めたリョーマ、

「ぐえ・・・! そんな、センパイ、お気遣いはいいっす! てか怪我人なんだからもうちょっと手加減して・・・!」

情けなくうめき声をあげた。

「せ、先輩! それはいくらなんでも駄目です! お礼なら他の手段にしてください!」

 すかさず桜乃は、反対側からリョーマに縋りついて抗議の意思を示した。

 

 

 

「ところで・・・結局、二人のケンカの原因はなんだったの?」

 男子テニス部の一員、菊丸英二が根本的な疑問を問うも・・・。

「・・・それ以上追及するなら、例え先輩でも相応の血を流してもらいますよ・・・」

「うぎっ!?」

 殺気が存分にこもったリョーマの返答が返ってきた。

 

「察しろ、英二!」

「どうせ(カルピン)も食わないような、くっだらねぇ理由っすよ・・・」

「・・・・・・!!」

 背後から大石と海堂のツッコミが走る。菊丸はリョーマの殺気でヘビに睨まれたカエルのごとし。ただ脂汗を流して固まるしかなかった。

 

              つづく




 青学に謎の少女がやってきた。彼女は立海大の真田を探していると言うけど・・・? 次回「嵐の女は火の国の女」お楽しみに!
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