絶対転生特典間違えただろ in 咲-saki- 作:ナカタカナ
前回、モモを家に呼んだ。
モモは婆ちゃんが自分のことを見られるのか心配していたが、婆ちゃんも不思議な力を持っているため、その心配は杞憂に終わった。
「それじゃ、先に宿題終わらせるか。」
「そうっすね。」
「あらあら、それじゃジュース持ってくるわね。お菓子は、宿題が終わってからにしましょうか。」
「ありがと婆ちゃん。」
「ありがとうございます。」
五分後
「よし、宿題終わり。」
「えっ!? もう終わったんすか。早すぎっす。でも、字が汚かったらやり直しっすよ。」
「ほらよ。」
俺は自信満々に算数のドリルと漢字の書き取りノートを見せた。
「って、めっちゃ綺麗っす。しかも、た、達筆!?」
「ヤハハ、この十六夜様を舐めるなよ。」
「はぁ、私も早く終わらせるっす。」
そこから、モモは無言で宿題をやり出した。
「・・・そこ、間違えてるぞ。」
「えっ? どこっすか。」
「ほら、そこ。34×12のとこ。」
「あっ、ほんとっすね。えっと、答えは・・・408っすね。」
「ピンポーン。正解。よくできました。」
そういって俺はモモの頭を撫でた。
「きゅ、急に何するんすか!」
「モモの髪の毛がサラサラで撫で心地良さそうだったからついな。反省も後悔もしてない。」
「こ、この男は。」
目を白黒させたモモは再び宿題に取り組んだ。
「終わったっす。」
「お疲れ。婆ちゃん。宿題終わったぜ。」
「それじゃあお菓子持ってくるわね。」
婆ちゃんはそういって、キッド〇ットとポテチを出してくれた。
「さて、宿題を終わったのはいいんだが、何する?」
「十六夜くんは、普段何してるんすか?」
「そうだな、見るか、本読むか、寝るか・・・」
「十六夜くんって本当に小学生なんすか? 私、ときどき十六夜くんと話してるとお父さんと話してる気分になるんすけど。」
「ヤ、ヤハハ。」
いえない、実は精神だけでいったら二十代ですなんて・・・
「にしても、なんも遊ぶんもんないなぁ。」
「まぁ、私は十六夜くんとこうやって話してるだけで楽しいっすけどね。」
またこの子はこうやって可愛いことをいいやがって・・・
「十六夜くんは私と話すのは退屈ですか?」
「んなわけないだろ。退屈だったらこうやって、毎日、話してねぇよ。」
すると、婆ちゃんが俺を呼んだ。
「豊音ちゃんから電話来たわよ。」
「わかった。すぐいく。ちょっと待っててくれ。あとで電話してもらうようにいってくるわ。」
そういって、俺は電話を取った。
『もしもし、豊音か。』
『うん、私だよ。よいくん。久しぶり。』
『久しぶりって、一昨日も電話しただろ。』
『それはそうだけど。』
『それでなんだが、実は今、友達が遊びに来てるんだ。』
『えっ、そうなの? もしかして、前に話してくれたモモちゃん?』
『そうそう。だから、また後でかけなおしていいか?』
『うん。そういうことなら仕方ないね。分かった。でも、あとでちゃんと掛けてね。』
『はいはい、じゃあな』
さて、電話も切ったし。戻るか。
モモside
「あの、豊音ちゃんって?」
私は十六夜くんに電話を掛けてきた子のことをお婆ちゃんに聞いた。
「岩手に住んでた頃の友達よ。」
「そうなんですか? そういえば、十六夜くんはなんでこっちに来たんですか?」
「・・・そうね、桃子ちゃんには話しておいた方がいいかもしれないわね。私もいつまで生きられるか分からないし。」
そういってお婆ちゃんは話してくれた。
「あの子の両親ね。私の息子ね、崖崩れで亡くなったのよ。」
「えっ?」
「そのとき、十六夜は豊音ちゃんの家で遊んでたらしいのよ。夕方くらいに崖崩れが起きて、そのときに出掛けていたあの子の両親は崖崩れに巻き込まれたのよ。」
「そ、そんな。」
「十六夜がここで住むようになって聞いた話なんだけど、あの子ってば、村では嫌われてたって。」
「なんでですか!? い、十六夜くんが嫌われてるって・・・」
「昔から普通の子供とどこかズレてたかららしいわ。村では子供少ないらしくてね、みんな外で遊んだりするのに、十六夜は本を読むか、空を見てるか、テレビを見てるかだけだったのよ。」
「だからって、そんな。」
私はびっくりしたっす。十六夜くんがそんな風に邪険にされていたなんて・・・
私の知ってる十六夜くんは、確かに他の同年代の男の子と比べたら、大人びてるかもしれないっすけど、
十六夜くんはとっても優しいんす。
「でも、そんなあの子にも大切な友達がいたらしいの。」
「それが豊音ちゃんですか?」
「そう。豊音ちゃんは麻雀が好きみたいで、村の大人たちと一緒に遊んでたって。でも、豊音ちゃんもまた、村では変わり者って扱われてたようなの。なんでも、麻雀が強すぎるからって。」
そんなことがあっていいっすか?
ただ麻雀が強いくらいでって・・・
「優しい十六夜は豊音ちゃんが独りぼっちなのを可哀想と思ったんでしょうね。それから十六夜は豊音ちゃんと遊ぶようになったって。ふふ、今でもああやって、三日に一回は電話してるわ。」
「そうっすか・・・」
「だからね、私とっても嬉しかったのよ。桃子ちゃんが友達になってくれて。」
「えっ?」
さっきまでは、とっても辛そうな顔をしていたのに、今度はとびっきり嬉しそうな優しい笑顔を浮かべたお婆ちゃんはそういった。
「学校で何があったって?聞いたら、桃子ちゃんの話ばっかりでね。」
「そうなんすか。」
ヤバいっす。めちゃくちゃ恥ずかしいっす。でも、めちゃくちゃ嬉しいっす。
「だからね、あの子のこと頼んだわね。私も年だし、いつまであの子のことを見てられるかわからないわ。」
そ、それはまた重たい話っす。でも・・・
「はいっ! 任せてくださいっす。私が十六夜くんを幸せにするっす。」
「あら、それは嫁に来てくれるってことかしら?」
「えっ!?・・・あっ、ち、違うっす。あっ、でも、嫁になるのが嫌ってわけじゃないっすよ。」
私はあわててお婆ちゃんにそういった。
「ふふふ、わかってるわ。ごめんね、この年になると、若い子の反応が面白くて。」
そういうお婆ちゃんの姿は、十六夜くんが私をからかうときの顔にそっくりだった。
「でも、桃子ちゃんなら、あの子のことを任せられるわ。」
すると、部屋に十六夜くんが入ってきた。
「待たせて悪かったな。それで何の話してたんだ?」
「な、何でもないっす!!」
「あらあら、ふふふ。」
「そ、そうか。気になるけどまあいいや。」
十六夜side
電話を切ってモモのところへ戻ると、モモと婆ちゃんが何やら楽しそうに会話してた。
内容を聞こうとしたが、モモがめちゃくちゃ焦ってるので、聞かないでおいた。俺ってば超優しい。
「それじゃ改めて、何するっかなぁ。」
「麻雀しようっす。」
「モモって麻雀できるのか?」
「できるっすよ。」
「そっか、ならやるか。」
「立直 ツモ 断么九 対々和 三暗刻 赤ドラ1 50符8翻で24000点だ。これで終わりだな。」
「くぅ~やられたっす。」
「ヤハハ、にしてもモモ強いな。」
「ほんとっすか?」
「あぁ、強かったぞ。豊音といい勝負できるかもな。いや、豊音と相性いいかもしれないな。」
「十六夜くんは豊音ちゃんのこと好きなんすか?」
麻雀が終わるとモモが急にそんなことをいってきた。
さては、婆ちゃんに何か吹き込まれたな。
「豊音のことか? うーん、好きだな。あいつがいたから、俺は村でも退屈しなかったんだ。」
「そうっすか。」
ぶっきらぼう気味に反応したので、少しからかってやることにした。
「モモのことも好きだぞ。」
「へっ!? な、なんすか急にッ。」
「いやぁ、俺は幸せだな。こんなに可愛いモモが友達になってくれたんだからな。」
「ええっ!? ほ、ほんとにどうしたっすか?」
俺の思惑通り、モモは顔を真っ赤にして手をわちゃわちゃさせている。
「さて、からかうのもここまでにしとくか。」
「か、からかう?・・・十六夜くん、私のことからかったんすか?」
すると急にモモの雰囲気が変わった。
「ヤ、ヤハハ? どうした?」
「許さないっすよ。私の純情を弄んだ報いを受けてもらうっす!!」
そういってモモが抱き着いてきた。
「ちょ、離れろよ。」
「ふっふっふ、これでも喰らえッ。こしょこしょこしょ。」
「ちょ、わ、脇腹はやめろって、ヤハハハハハ、こら、ヤハ、そこは、弱いって、ヤハハハハ。」
五分後
「はぁ、はぁ、悪かった。俺が悪かったです。」
「ふふふ、十六夜くんに勝ったっす。」
「あらあら、仲がいいことで。」
俺はぜぇはぁと息をしながら、モモに謝る。
決めた。モモは怒らせてはいけない。
なんと十六夜くんが負けてしまったようです。
「おぉ、負けてしまうとは情けない。」