ファッション無惨様のごちゃサマライフ   作:頓西南北

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祝、本家様完結! 本家様完結!


………………続きが読めないと言われると鬱になる定期!


そんなタイミングで外伝が投稿されてたりするとヒャッハーする定期!


番外編~永久凍土探索行02~

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 静か。

 

 雪が降り続く外界には音一つなく、ただ多脚装甲車の稼働音だけが響いている。それなりに広く空間を作られた、狭く、それでいて二人で過ごすには十分過ぎるほどに広い操縦席で、シトナイと二人きり。目を閉じれば溢れる静寂が押し寄せてくる。

 

 

 ────僕が一番安心できる場所。

 

 

「本当は、日本の方が安全なはずなのにね」

 

 半終末を迎えて半ば異界化したロシア。

 氷雪に埋め尽くされ、凍てついた大地。

 生命の存在を許さない冷え切った死の世界。

 

 人心は荒廃し、悪魔が跳梁跋扈し、メシア教会の天使とメシアンが人間狩り目的で目を血走らせて徘徊しているとかいう終末の世界。

 

「マスターは不思議な子よね。平和な日本の学校より、死の世界になったロシアにいた方が気楽そう」

「……別に、あっちの平和な世界が嫌いってわけじゃないけどね。友達もいるし」

 

 でも、ここはシトナイと二人きりだから。そんな恥ずかしい一言を言葉に出すのがどうしようもなく恥ずかしくて、しかし────そう、ここは死の世界なんだ。

 

 何かあれば誰でも冗談のように死んでしまう、そんな世界。死んでから後悔しても……たまには例外もあるけど、でも基本的には、遅い。

 

「ここが酷い場所だっていう事は分かっているけど……大好きなシトナイと一緒だから。だからどこでも、こんな場所でも幸せなんだよ、僕は」

「マスター……!」

 

 むぎゅ、と抱き締められる。感極まったシトナイが、座席から身を乗り出して僕を抱き締めていた。

 

 僕よりも目線一つ分背が高いシトナイがそんな事をすると、ちょうど彼女の胸元に僕の顔が来る事になる。実際、そういう関係だから問題はないのだが、それでも気恥ずかしいのは変わらないわけであり。

 

「また顔真っ赤にしちゃって……ふふ、マスターは、本当に可愛い人よね」

 

 抱き締められたまま、優しく頭を撫でられる。これから僕達の関係がどんな風に変わったとしても、お姉ちゃん、とでもいうような彼女の立ち位置は変わらないんだろうな。

 

「……シトナイの方が可愛いと思うんだけどな、僕は」

「ありがと。ふふ、大好きよ、マスター」

 

 そうして、しばらくそのままの姿勢でシトナイに抱き締められたままでいて。静まり返った多脚戦車の操縦席の中で二人きり、そんな風にしていると……ぽつりと、シトナイが言葉を漏らした。

 

「ねえマスター。何か、引っ掛かっている? 多分、日本での事」

「うん……まあ、ね。この間の、剣道部の見学の時の……その後に起きた事。本当にちょっとした事だったけど、でも、何か妙だな、みたいな」

 

 半異界化したロシアの探索と、日本での学校生活という二重生活の中で起きた、本当にちょっとした事件……そう、ちょうど昨日の話だ。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 一日前……日本の月詠学院へと登校していた僕が、何時間目かの授業を終えて、休み時間に入った時の事。

 

 

 

 昼休み、というわけでもないので、授業が終わったらまずやるべきは次の授業の準備。使った教科書とノートを机のサイドに引っ掛けてあるカバンに仕舞い、次の授業で使う教科書とノートを出す。何の事はない、普段通りのルーチンだ。

 ちょうど次の授業は世界史なので、出すのは世界史の教科書とノート、それから資料集か。この資料集というのも教科書とどう違うのかよく分からんが、ともかく。

 

 そうやって手早く次の支度を終えた僕は、顔を上げた。単純に、呼び止められたからだ。

 

「ねえ立花さん、ちょっと、いい?」

「……何?」

 

 少し警戒が混じったのは、僕を呼んだ女子の顔に見覚えがあったからだ。それこそ本当に名前が思い出せないがクラスメイトの一人だったか、あるいは隣のクラスだったか分からんけど、とにかくこの間、一度ちょっとした揉め事を起こした、天之河光輝の取り巻きとなっているハーレム要員の一人。

 

「いや、その……ちょっとだけ聞きたい事があるんだけどさ、本当に簡単な事だから、ちょっと着いてきて欲しいのよ。すぐ終わるからさ」

「簡単で、すぐ終わる話なら別にここで聞けばいいと思うけど」

 

 えっと……本当に何ていう名前だったか思い出せない。誰さん? まあ、どうでもいいけど。

 

「いや、それはそうなんだけど、ちょっとここじゃ聞きづらいというか……お願い、ちょっと来てくれる? 本当にごめんだけど」

「……まあ、いいけど」

 

 護身用に縮小してレッグバンドに固定した状態でいつでも抜ける状態になっている霊装キングケルベロスの存在を意識して、用心しながら着いていく事にする。傍には霊体化状態のシトナイがいて、その気になればペルソナと悪魔変身で応戦できるから、何か面倒な沙汰になっても力技で割とどうにでもなる、はず。

 

 そうやってその女子の背中についていくと、辿り着いたのは屋上だ。驚いた事に天之河のハーレム要員が全員揃っていて、この前の事件で最後に余計な事を話し掛けてきたナントカって名前の女子も、腕組みしながら屋上の隅でこちらを睨みながら佇んでいる。

 まあ、睨まれるのは意外でも何でもない。向こうからすれば敵意なんて持たれて当然、くらいの認識は普通にあるし。むしろ意外だったのはそのメンバーが揃っていながら、そこに天之河本人がいない事、だが。

 

「……あの、さ」

 

 場に溢れるのは、過剰なまでの奇妙な警戒と、遠慮。向こうが何を言いたいのかさっぱり分からないので、僕としては向こうから言い出してくれなければ困るし、現に困っている。全員が物言いたげな雰囲気で黙っている中、最初に口火を切ったのは僕を呼び出した女子だった。

 件の女子────『ジェナ・フォウ・バルトファルト』とかいう名前で海外からの留学生だったようだが、彼女が言うに曰く。

 

「その、ね。変な事聞くみたいなんだけど、さ………………その、材木座さんって、ブラックカードとか持ってない? ほら、ガイア連合の」

 

 反射的に頷くのはこらえた。

 

 ガイア連合内における、転生者だけに与えられるブラックカード────黒札持ちであるという事がバレるのは、“俺ら”にとっても都合が悪い。

 

 バレた瞬間、地方の霊能力者組織やメシア教会穏健派、海外のオカルト難民といった遺伝子狙いのオカルト関係者があちらこちらから血に飢えたピラニアのように押し掛けてくる。日参してくる大量のハニートラップ攻勢に、日常生活すら儘ならなくなる。

 

 そういう事態を防ぐためにも、黒札持ちである事は黙っているべし。転生者間での常識だ、が。

 

「────いや、そういった話は聞いた事がないな」

 

 教えてやる義理はない。

 

 だから返すのは真っ赤な嘘だし、何なら材木座本人どころか、僕自身とついでに有田と平野の二人も立派なブラックカード持ちの転生者であるのだが、さて……材木座があれだけあからさまに天之河をボッコボコにした以上、どこまで騙されてくれるか、どうか…………なんていう思案は大した意味が無かったらしく。

 

「そうよねー! ホント、あんなブサメンで老け顔のブタが黒札持ちとか、ホントあり得ないわぁ~!!」

 

 始めからそういう結論に持っていく以上の事は考えていなかったのか、バルトファルトはあっさりと納得し、やたらと嬉しそうに何度も頷いている。周りの連中も一緒だ、あはは、くすくす、何が嬉しいのか顔を見合わせて笑っていて、どうやらもう僕の事は眼中にないらしい。

 

 ……割と本気で不愉快だし、何か言ってやろうと思ったが、ボロを出しそうなので我慢の子。こんな奴らに付き合うのも馬鹿馬鹿しいし、もう用はなさそうなのでさっさとその場を後にした。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 した、けど。

 

「あー…………思い出したら、やっぱりちょっと腹が立ってきたな。この間に続いて今回も、アイツらに関わると何かしら気分が悪くなるよな」

 

 これだから、現地人に関わるとロクな事がない、というのだ。どうにも、腹の真ん中に重苦しい苛立ちが泥のようにグルグルしているような感覚が抜けない。釈然としないし、意味が分からんし、何より。

 

「それで、マスターは何に一番怒っているの?」

「……“怒れなかった”事。友達が馬鹿にされていたのに、キチガイに関わりたくないとかそんな理由で、黙ってさっさと逃げてきた事が、一番腹立つんだよ」

 

 大事な友達なのに。僕みたいなアレなアレに根気強く付き合ってくれる面倒見のいい友達なのに。

 

 泣きそう。

 

「でもね、マスターが逃げてきたのって、材木座さんが本当はブラックカード持ちの転生者だってバラさない為だったのよね。ばれたら材木座さんに迷惑が掛かるし、それはちょっと馬鹿にされたりする事がないくらいじゃ釣り合いが取れないくらいの迷惑なのよね」

「うん。でも……でも…………納得できない」

 

 したくない。

 

「うん、うん。本当に、よく頑張ったわね……えらい、えらい」

「ん……」

 

 納得はできない。できていないし、したくない。

 

 でも、それも含めてこれでいい。

 

 シトナイに膝枕されて頭を撫でてもらっている内に、ようやくそんな風に納得ができた。

 

 できた、のだが。

 

「でもそれはそれとして、そのアレコレが起きた理由がアレとか、ちょっと納得が行かないというか────」

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 ジェナ・ナントカ・ナントカに呼び出されて材木座について本当に下らない質問をされた、その数時間後。昼食を終えて、昼休みの話である。

 

 月詠学院の学校図書館は、高等部の分だけでもそれこそ市立の図書館と大差ないくらいの規模があり、学校図書館としては相当のものだ。その蔵書は、未覚醒者・非関係者立ち入り禁止の機密書庫を含む閉架書庫が半ば以上を占める大学部の図書館とは異なり、読み物関連に集中している。

 

 ……ぶっちゃけ、昼休み中に時間を潰すスペースその一である。

 

 その奥の方、利用者も少ないマイナー洋モノ文学の書架の間に点々と置かれているソファに腰掛けて、適当にラノベ書架から取ってきた数冊を積んだ脇机から一冊を広げて、ただいま優雅に読書中である、が。

 

「────それは、本当に災難でしたねえ。まあ皆さん必死ですからね、黒札持ちさえバックに付ければ、個人の異能者としてもガイア連合傘下の組織としても一つ次元が違う領域に行けるそうですから」

 

 などと隣のソファに腰掛けて僕と同じように読書中のクラスメイト『古戸エリカ』は、鈍器にすれば低位悪魔くらいは軽く撲殺できそうな巨大ラノベを器用に片手持ちしたまま、どうでも良さそうに肩をすくめた。

 

「……そこまで言う? そこまで大した事はない気もするけど」

「言いますよ。そこまで大したものだって、もっぱらの噂ですから。少なくとも、地方オカルト組織とか海外難民出身の異能者ガンギマリ勢の皆さんは、誰が黒札なのか割と血眼で探し回ってますし」

 

 と、珍しく異性のオタ仲間であり読書仲間である古戸は、呆れたように肩をすくめた。

 

「…………何で?」

 

 ぶっちゃけ、何が問題なのか分からん。

 

 転生者────ガイア連合という巨大組織内部における特権階級たるブラックカード持ちに、地位相応かつ才能レアリティ相応の価値がある、というのは基礎知識レベルで知っている。それは確かだが、その問題が、何をどのようにして、この間の、僕と天之河、そして材木座を交えたいざこざに関わってくるのかが理解できない。

 そもそも、それならそれでブラックカード持ち転生者の一人である材木座の方に媚を売ってきそうなもの、なんだが。

 

 そんな具合に首を捻っていると、古戸エリカは、ふむ、と一つ頷いて。

 

「それじゃあまず基礎的な部分から。つまり……この学校特有の事情についてですね」

 

 と、説明を始めた。

 

「外だと、その辺をいくら探し回っても“や せ い の 黒札 が あ ら わ れ た”みたいな感じで出てきたりとかしないじゃないですか。でもこの学校に行けば、生徒や教師の内の何人かに必ず黒札とかその関係者が混ざってますからね。ブラックカードとの繋がりを作りたい野良の異能者とか、衰退したオカルト家系とかがワンチャン賭けて入学してきたり……割とよくある話ですよ、この学校だと」

 

 現地人、怖い。

 

 地方霊能力者組織にせよ、穏健派メシアンにせよ、海外異能者にせよ、どこもかしこも飢えた眼をして僕達を狙っている。飢えた獣が徘徊するサバンナみたいなものか。

 

「…………つまり、最初から黒札持ちを引っ掛けるためのハニートラップとして入学してきてる、と」

「正解。ハナマルを上げましょう。最初の頃にシルバーカードを見せびらかした事で、クラス内でも異能者として高レベルと目されていた……実際シルバー相応には強かった天之河光輝を叩きのめした事で、材木座君は本来の実力の一端を周囲に見せつけました。その実力を目にした皆さんの中から、材木座君こそがブラックカード持ちではないか、という話が持ち上がってきたわけですね」

「うん、まあ、そこまでは話に付いてこれている。とりあえずその辺、材木座には警告しておくか。うん、助かる。ありがと」

 

 彼女────古戸エリカ。やはり、僕達と同じく転生者の一人だ。

 

 比較的戦闘向けの能力を持つ僕や材木座とは異なり、ちょっと扱いに困る類のスキル所有者である彼女は、しかし僕達とは対照的に社交的な性格であり情報通だ。だから時折、社交能力が絶無で世情に疎い陰キャ気質の僕達にこうやって、色々な情報を教えてくれるのだが。

 

「って、ちょっと待った。それでどうして天之河があんなにモテるんだ? やっぱり素のイケメンスペックとかそういうの?」

「うーん……そう聞かれると答えに詰まるのですけど……。まあ決して間違っている訳じゃありませんが、うーん…………何と説明したものか……」

 

 つまり、と一つ前置きして古戸は、天之河に関わる死ぬほど面倒臭い周辺事情を語り始めた。それは概要からすればそこまで難しい話じゃないのだが────笑ってしまうほどに面倒臭く、そして馬鹿馬鹿しい話であり。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 それが、あんな。

 

「あんな下らない、本当に馬鹿馬鹿しいオチが付いたなんて……もう、笑っちゃうよね」

「まあ実際、【霊体化】して隣にいた私も笑っちゃったくらいだしね。そんなしょうもない理由で、って。隣で一緒に【霊体化】してた古戸さんのシキガミも笑ってたくらいだよ」

 

 そう、本当に下らない。

 

 天之河が多くの女子生徒達を惹きつけていた最大の理由が、まさか────“俺ら”だと思われていたからだなんて。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

「天之河光輝は“俺ら”などではありません。彼は確かにガイア連合に登録されている異能者の一人ですが、ブラックどころかゴールドにすら届かない普通のシルバーカードです。学校側の資料も確認しましたし、私の権限を使ってガイア連合事務課の資料も確認してもらいましたが、彼にブラックカードが支給されたという事実はありませんでした」

 

 古戸エリカが所属しているのはガイア連合事務課の中でも、かなり特殊な部署────『監察課』だ。同じガイア連合内部において疑わしい人物や部署の調査を行ったり、逆に他組織に対する諜報活動を行ったりと、そういう警察やスパイじみた真似をやる部署である。

 恨みを買ったり、あるいは危険な秘密を握ってしまったりしやすい部署であり、だから偶然彼女の所属を知ってしまった僕に対してこうやって時折恩を売るような真似をしているのも、いざという時に護衛となってくれる相手を用意しておくため、という一面があったりもするのだが。

 

「君の情報なら、まあ確かなのはわかるけど……そもそも何でアイツが黒札扱いされてんの?」

「それは、まあ……本当に馬鹿馬鹿しい理屈なのですが……────」

 

 つまり。

 

「まず、“俺ら”は基本的にブラックカード持ちである事を公表しません。地方霊能組織のガンギマリ勢にメシア教会穏健派その他諸々etc.etc.……ハニトラ突撃の恐怖を、周知しているからです」

「まあ、それは分かる」

 

 地方霊能組織や何かは……まあマシだが、メシアンは怖い。前世の世界における女神転生シリーズの設定を一通り知っているのだから、当然だ。

 

「つまりそれは、言い換えるなら“俺ら”ではない一般の異能持ち生徒からすると誰がブラックカード持ち異能者であるか分からない、という事でもあります。ですが同じ学校内のどこか、同じクラスの誰か、とにかく何人もいる候補のどれかの中に、必ずブラックカードが混ざっています」

 

 …………古戸が何を言いたいのか分かってきた気がする。

 

 正直、理解したくはなかったけど。それはつまり、これまで自分がどれほどの危険地帯で過ごしていたかという事で。

 

 まるで、気が付いたら血に飢えたピラニアの群れの中で息を殺しながら泳いでいたような気分だ。僕も、材木座も、そして平野や有田も、そういった場所で生活していたのだ。

 

 ……バレなくてよかった。バラさなくてよかった。

 

「ええ、お分かりのようで何よりです。その通りですわ、黒札持ちを探す生徒は同じ学生の中でも、特にブラックカード持ち……正確にはそれらしい、一番確率が高い相手に接近しようとします。それこそ、手段を選ばずに」

「ああ…………うん、まあ。そういう事、か」

 

 大当たりなんて夢のまた夢みたいな宝クジ並みの当選率が、せいぜいスーパーの福引くらいの確率にまで緩まったと考えれば、女生徒達……とは限らないがそういった生徒達にとって、賭けとしては決して悪いものじゃない、はず。そういう意味では、理解できない事もない。

 

「で、そんな状況の中に一人だけ、外面をよく見せるのが異様に得意で、自己アピールが異常に上手く、それでいて現地人の基準で考えれば特級の実力を持った異能者がいれば?」

「それが、天之河があんなにモテる理由、か。うっわぁ……」

 

 黒札持ちである、と勘違いした女生徒が、ブラックカードの権力や財力、何より遺伝子的な素質を欲しがって天之河へと擦り寄っている。端的に言ってしまえばそういう事だ。だから、アイツはあれだけ持ち上げられていたのだ。

 

 優秀なデコイというか何というか……腹立つけど。

 

「本物の“俺ら”は大抵、自己PRとか大の苦手ですからね。得意な人も……まあ、そういう人は大半そんなのそっちのけで自分の趣味をPRする方に全ツッパしてる連中ばっかりですし」

「本当それな」

 

 特に廃人の巣窟である技術部。デュエルアカデミアを建てたり霊装でライダーシステムを作ったりと毎日やりたい放題のガンギマリエンジョイ勢のホビー部……ですら序の口。

 最古の巣窟であるシキガミ製作部では、シキガミ製作に没頭した挙句半ばゾンビ化し掛けた技術者すらいるとかいう話を、以前に聞いた記憶がある。

 

 ……そんな彼らの御陰で安心安全にロシア探索ができるからオールオッケーなのだが。

 

「アイツ、前に自分でシルバーカード見せびらかしてたよね……」

「フェイクだと思われているみたいですね。ほら、基本的に“俺ら”はブラックカードを表に見せませんから」

 

 うん、まあ。それは僕自身にも言える事だし。

 

「うん、分かった。……何か、どんな風にコメントしていいか分からないし頭が痛くなってくるけど、それはそれとして助かった。お礼に今度レベリング手伝うよ」

「ええ、そうしていただけると助かりますわ」

 

 ともあれ、前途多難である。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 さて。

 

 先日どこぞの村落を襲っていた羽根付きモヒカン共の指導者だった、過激派メシアンの上級司祭……魂を回収する形で捕獲した彼に対する尋問、というか情報抜き取りが、一通り完了したらしい。

 

 その結果として得られた情報の大半はそこまで大したものではなく、せいぜい過激派メシア教会の勢力に何かしらの動きがある、程度の事しか分からなかったのだが、それは上のエラい人達が判断する事であって、現場の僕にはそこまで関係のない話だ。

 だが、その中には僕にも関わってくる話がいくらか混じっていた。

 

 氷雪を司る大天使と契約した事で、半異界化したロシアの永久凍土を何のペナルティもなく渡る事ができた彼の役割は、ロシア方面のメシア教会過激派内部における物資の運搬だった。そんな彼の持つ知識の中には当然、現在のメシア教会過激派が有する各拠点の位置や移動経路などといった地理情報が含まれていた。

 当然その全てを完全に引き出せたわけではないし、そもそもそれをどこまで信じていいかも分からないが、その情報の確度を実地で調べるのも僕達の役目だった。

 

 そうして、そんな風に引き出した大雑把なロードマップの一点、メシア教会過激派の制圧下にある……事になっている町の一つへと向かっているわけだが。

 

「そういえばマスター、ソナーに反応が出てるわ。そこまで大きな反応じゃないけど、町か村があるみたい」

 

 イチャついている間にセンサーが反応していたらしいが、僕を落ち着かせる方を優先したのだろう。とりあえず位置は大まかに事前情報通りではある、か。

 

 シトナイが正面のモニタに次々とウィンドウを立ち上げていく。そこに表示されていくデータを大雑把に確認……光学観測とサブの音響探査による大まかな3Dマップ上に、生体反応や動体反応、熱源の表示は無し。エネミーソナーも沈黙しており、この距離から観測できる反応はなさそうだ。

 マップの地形から見た感じ、村と呼ぶには多少大きな地方の小さな町、といった風情だが、既に人間も悪魔もほとんど死に絶えているように見える。あの召喚士の魂を確保してから多少の時間が立っているが、その間に滅んだのかもしれないな。

 

「ん-……じゃ、調査に出る必要があるか」

「喜んでいいのか分からないけど、久しぶりに“平和”な調査になりそうね」

 

 少なくとも、ここがどんな地方の何ていう町だったか、くらいは確認しておく必要がある。後はそれをガイア連合に報告すれば、半終末前の地図情報と照らし合わせたりしてガイア連合のプロが色々と分析してくれるだろう。

 それに元々、こういう敵がいなくて危険がなさそうな廃墟の調査とその報告も僕の仕事の内だ。

 

「じゃ、行ってくるよシトナイ。留守番とナビゲート、お願いね」

「それから、いざって時のフォローもね。任せてマスター、お姉ちゃんがちゃんと見ていてあげるから」

 

 シトナイの見慣れた笑顔で見送られて、僕は悪魔変身とペルソナを合わせて発動、操縦席を後にする。

 

 艦内通路を辿っていった先にある小さなエレベーターに運ばれて多脚戦車の甲板上に上がると、空間圧縮の効果でちょっとしたクルーザー並みに広い車内と、それとは裏腹に重装甲車一両分と大差ない車上の広さのギャップに未だ慣れない違和感が少しだけ面白い。

 断熱され空調が効いた車内とは打って変わって、ロシアの外気は凍り付くように冷え切っており、外には凍てついたブリザードが吹き荒れていた。尋常の物理法則に基づく寒さとは異なり、通常世界のルールとは乖離した異界法則に基づく概念的な寒気には物理的な断熱はあまり効果なく、そしてその気温は時に絶対零度を越えたマイナス千度近くにまで低下する。

 

 もっとも、さすがにそこまで寒くなる事は滅多にないし、ペルソナと悪魔変身の併用に加えて防寒用の霊装まで身に着けた僕はこの寒気の中でも何の支障もなく活動できる。

 

「じゃ、行ってくるねシトナイ。……大好きだよ」

 

 インカム越しに送信し、腰に付けたポシェット型のCOMPを叩いて悪魔召喚を発動。溢れる生体マグネタイトの燐光が僕の頭上に渦を巻き、それを内側から弾き散らして実体化する仲魔の姿。

 

 巨大な翼を広げて顕現するのは霊鳥コタンコロ────シマフクロウの姿を借りて現れるとされる、かつてアイヌ民族が信仰した神々の一柱。地上と人々の営みを見守り、集落と大地を守護する権能を持つ霊鳥の背中に飛び乗るとコタンコロは翼を打ち振って、僕を乗せたまま吹雪く空へと舞い上がった。

 

「今日は割といい天気だな。空もそこまで暗くないし、吹雪の勢いもそんなでもない。せいぜい……うん、マハブフくらいの冷たさかな」

 

 つまりは、割といい天気という事……キツい時にはマハブフーラやマハブフダインが吹き荒れるので。たまには晴れる日がないでもないが、それは本当にたまに、という話で、考えるだけ無駄な事だ。

 

『普通なら悪魔でも人間でも、二十四時間マハブフを浴びている時点で、凍って死んでおるんじゃがのう……まあええわ。それで、あの町まで飛べばええのか?』

「うん、お願いコタンコロ。適当なところまで飛んだら降りるから、その後は上空から周辺警戒と援護、よろしくね」

『うむうむ、任されたわい。お爺ちゃんに任せなさい』

 

 緩やかに滑空するコタンコロ。保護の権能に秀でたコタンコロは霊鳥の中ではあまり速い部類ではないが、さすがは雪国の神というべきか降りしきる雪の中を飛ぶ事にかけては優秀で、この普段通りの吹雪の中でも速度が落ちる気配が微塵もない。

 緩やかに滑空しながら上空を周回するコタンコロの背に乗って見下ろせば、滅んだ町は半ば雪に埋もれており、真っ白に塗り潰された景色に残るわずかな起伏から、かろうじてそこに人が暮らす都市があったと見て取れる。その中の一点、ビルの屋上へと狙いを定め、僕はコタンコロの背中を軽く蹴って跳躍する。

 

「それじゃ、この辺でいいや。ありがとね」

『うむ。それじゃあワシはお願い通り上から見ておるからのう、何かあったらちゃんと呼ぶんじゃぞ』

「はーい」

 

 ぴょん、と飛び降りて一直線スマートかつ軽やかに、とは行かず、【ザン】で足元に衝撃波の足場を作りながら空中を踏んで数回の跳躍で、速度を緩めながら狙った場所へと着地する。どれだけ雪が積もっているかも分からないのだ、下手に重力加速をつけて落下すればダメージはゼロでも、そのまま雪の中に突き刺さって埋もれてしまう。

 

 着地して周囲を見回せば雪混じりの風が深々と木霊するだけの、ただひたすらに白く塗り潰された世界。空気は冷たく凍え、排気ガスと人いきれが綾なす文明の吐息も雪の中に埋もれて久しく、風以外の音も聞こえない静まり返った死の世界。

 首に掛けていたスマートゴーグルで顔の上半分を覆い、ゴーグルのスマートリンクを起動して、ザクザクと雪を踏んで前に進む。背後を振り向けば、降り積もった雪の上に刻まれた僕の足跡が、その上から降りしきる雪に塗り潰されて古いものから順番に消えていく。

 

「……静かだ」

 

 ジャックフロストのような極寒の環境に適応した悪魔すら存在しない。つまり、餌となる生体マグネタイトを吐き出す人間がいないという事。人間がいなければ悪魔すら生きていけないというのに、その人間が生存できない環境では悪魔すら存在する事ができない。

 

 この町に、既に生きた人間は存在しない。人が死に絶えた事で悪魔も死に絶え、そうして町も死に絶えた。

 

 半ば雪に埋もれたゴーストタウンを歩いていく。街を構成する建物はそこまで大きなものではなく、中心部でも高くて三階建てがいいところで、その大半が一階の半ば程まで降り積もった雪に埋まっている。人間の死体のようなものは見当たらず、多分この雪の下に何もかも埋まっていて分からない。

 雪の重さに潰された自動車の脇を進み、割れた窓から流れ込んだ雪に侵食された家屋の上を渡り、白く凍り付いた店舗の間を抜けて進んで、散歩のような歩調で町を探索する。

 

 行く当てのようなものはないが、とりあえず町の中心部へ。何がどこにあるかなんて分からないが、何となく適当に歩きながら周囲を見回して進んでいく。建物は半ば埋まっているが、店の看板や道路標識なんかはかろうじて雪の上に突き出していて、ゴーグルから送信される視覚情報を介して【ロシア語】の汎用スキルを持つシトナイが逐一翻訳してくれることで僕にも読み取ることができる。

 

 その中の一つ、下半分が雪に埋まった看板の一枚に飾り気のない字体で“交番”と書かれていた。

 

「……じゃ、調べるならあそこかな?」

 

 腰に装着したポシェット型のCOMPを軽く叩いて悪魔召喚────現れるのは王冠を被り、豪奢な黄金の甲殻で胴体を覆ったユーモラスな顔つきの雪ダルマ『魔王キングフロスト』。雪ダルマにしか見えない顔で周囲を見回し、首を傾げている。

 

『オイラ、参上だホー! 早速バトルかホー!? 見当たらないけど敵はどこだホー?』

「あ、今日は戦闘じゃないよ。ちょっと、そこの交番の中を掘り起こして欲しいんだけど、できる?」

『ホー。……地味な仕事だけど、できそうなのオイラしかいないし仕方ないホ。それじゃ【突撃フロスト衆】に任せるホ』

 

 キングフロストの胴体部分を覆う金色の甲殻が観音開きに展開し、その中から溢れるように無数のジャックフロストが飛び出してくる。

 

『オマエら、サマナーのためにそこの建物を掘り起こすホ! 壊したり余計に凍らせたりしちゃダメだから、気を付けるんだホ!』

「ん、助かる。……これはちょっとばかり、お礼を弾まなきゃかな?」

 

 ん-、と掌に意識を集中させると、僕の胎内に宿る妖獣チェフェイの力に意識を集中させ、ゆっくりと探るようにその権能を引き出していく。発動させるのは富貴と退廃の権能、マグネタイトが渦を巻いて集合し、実体化していくのは……大量のアイスだ。多分コンテナ一杯分にもなるだろう。

 酒とか菓子とか、何ならタバコや麻薬の類まで、そういう嗜好品の類を大量に生成できるのが妖獣チェフェイの酒池肉林の権能。ある種の堕天使とか魔王とかその辺に連なる、富をもたらして更なる堕落に誘う権能だが、こういう時には割と便利だ。

 

『ヒホ! さすがはサマナー、オイラ達の使い方を分かってるホ! 太ってないけど太っ腹だホ! ……オマエら、サマナーがアイスくれたけど、仕事終わるまで食べちゃダメだホー!』

 

 一斉に振り返ってアイスの山を見たフロスト衆から一斉に歓声が上がり、その作業効率が倍くらいに速くなる。時折アイスの山に向けられるフロスト衆の口からヨダレが垂れているのは御愛嬌といったところか。……ふむ、ちょっとアイスを増量してあげよう。

 

 ……さて、追加のアイスも出したらしばらく暇になるか。

 

 未知の地形で迂闊に動き回るのも不用心だし、しばらくここに留まらざるを得ないとなれば、ぶっちゃけ暇だ。仕方ないし、スマホを取り出して……ネットでも見るか。

 この半終末で半ば物理法則がブッ壊れ、半異界化したロシアの環境下でもきっちり通信できるDDSネットに繋いで、ガイア連合のサイトでニューススレを見る。

 

「ふむふむ最近の東アジア情勢…………うわぁ……………………」

 

 スマホ画面をスクロールしながら、小学生並みの感想が思わず口を衝いて漏れた。

 

 これは酷い。

 

 ニュースによれば、日本の御隣である朝鮮半島は、やたらと悲惨な事になっているようだ。

 

 大雑把な概要を辿っていくと、まず南側の国で結構な規模を誇っていた一神教系の各種宗教団体がメシア教会過激派の天使共にまとめて乗っ取られ、半終末の核攻撃に際してタイミングを合わせて大量の天使を召喚……と、それだけなら半終末では比較的有り触れた悲劇だったのだが、話はそれで終わらず。

 GPの上昇に反応して半島北部・南部のそれぞれにおいて最も篤く信仰を集めた大悪魔が召喚された事で情勢が深刻化。半島北部では英傑キム・イルソンが降臨、政府首脳部を乗っ取り人民軍を率いて天使共に対抗し、南部では魔王ヒデヨシが大量の邪鬼ニホンヘイを引き連れて天使も人間も問わず無差別に殺戮を繰り広げる。

 かくして朝鮮半島はメシア天使と人民軍・魔王軍が三つ巴で争い、血みどろの紛争を繰り広げる殺戮の巷と化したのだとか。めでたくなし、めでたくなし。

 

「このラインナップで行けば三大勢力の中で一番マシそうなのは北の人民軍…………うん、半島終わったな」

 

 なるほど、確かにあの半島で高位悪魔として召喚されそうなくらいに強く信仰を集めた存在なんて、それこそキム・イルソンとヒデヨシくらい……なのかな? 多神連合が崩壊した折に盛大に爆死したらしい地元神も当時は中華戦線に首を突っ込んでいたそうだが、彼らに対する信仰も微妙そうだし……。

 メガテンシリーズで出てきた半島系の悪魔といえば龍神ペクヨンと……妖鬼トケビくらいか? キム・イルソンの乗り物として行動を共にしているらしいペクヨンはともかく、トケビはそこまで強い悪魔じゃなかったはずだし、天使に対抗するのは割と絶望的かもしれんな。

 

 ガイア連合もさすがに放置するとヤバいのは分かっているが、マイナスイメージが強い隣国に行きたがるメンバーがおらず、また天使湧きポイントだといっても泥沼の紛争状態という事もあって、湧いた天使が即座に日本に攻め込んでくるという事もなく、北半分にそれなりの支援を送るくらいしかやってないようだ。

 

「うーん……うん、この半島には行きたくないな」

 

 残念ながら当然……いや、特に残念でも何でもない、か。記事と関連スレを読み終わって、溜息を一つ。どうやら交番の発掘作業も終わったらしいので、早速僕の仕事を始めるとしよう。

 

「それじゃキングフロスト、とりあえずアイス食べていいから、アイスのついでに周辺警戒なんかもお願いね」

『任されたホー! オマエら、アイス食べていいホ!』

『『『『ヒーホー!』』』』

 

 フロスト衆が一斉に上げる歓声を背中に、僕は交番の中へと向かう。入り口にはさりげなく周囲の雪を削って階段まで作ってある芸の細かさだけに、アイスを割り増しで出しておいて正解だったな。

 

『マスター、調子はどう?』

「良さげ。とりあえずフロスト衆の発掘作業はさっき終わって、今から交番を漁るところ」

 

 交番の中に踏み込んで、カウンターの後ろにある書類棚やロッカーを漁っていく。鍵くらいは掛かっているが、その辺は指先から延ばした妖獣の鉤爪を鍵穴に突っ込んでグリグリしてやれば、中の機構ごとバラバラになって鍵はあっさりと開いてしまった。

 

「ピッキングを覚えるよりは余程に楽だよね」

 

 対人間用の鍵なのだから当然といえば当然か。ロッカーの金属扉にはパスワード認証なんかも完備していたが、扉ごと切り裂いて無理矢理開けるデビルシフター式ピッキングには対応していなかったようだ。中を確認してみたら、どうやらガンロッカーだったらしく銃器や弾薬が並んでいた。

 その中の一つを手に取ってみれば、日本でもそこそこ使われているマカロフPM。日本で一番有名なヤクザガンのトカレフの後継だが、なるほど、そういえばコイツも確かにロシア製だったな。とりあえずこれも物資の一つって事で、余裕があったら後で回収しておこう。

 

 だが、それよりも先に欲しいのは、だ。

 

「と…………この辺はどうかな?」

 

 ガンロッカーを放置して書類の詰まった戸棚を開ける。こちらも同じくデビシフ式ピッキングであっさり解錠できた。科学的な強度もオカルト的な防護も足りていないが、そりゃ一般的な交番なんてそんなものだろう。

 ロシア語で色々と書かれた書類の類は別に興味もないし見ても分からんから放置だが、そんな僕でも一見してそれなりに理解できる冊子が一つ────地図である。

 

「そうそう、これを探していたんだよ。交番なら役割的に必ず置いてあるだろうからね」

 

 この近辺の地図。僕が読んでもさっぱり分からないが、頁をパラパラとめくっていって画像をゴーグルのカメラに読み込ませ、それを送信してシトナイに解析してもらう。そうして大雑把に解析を進めてもらって数分経って。

 

「どう、シトナイ?」

『九割がた照合完了よマスター。半終末前のマップデータと照合した結果、ここはやっぱり事前情報通りロシア南部の小都市フォルノスト、で合ってるみたいね。町並みもマップデータと一致しているし、間違いなさそうよ』

「んー、それならメシア教会か…………一神教の教会の位置は分かる?」

 

 つまり、メシア教会が拠点としていそうな場所だ。

 

 半終末前のロシアでは元々メシア教の進出度が低く、だからこそメシア教穏健派が用意していたシェルターは少なく、また半終末に際しては関係者がいないからという理由で盛大に核を落とされた。だから穏健派であれ過激派であれ、メシア教徒が新たな拠点として選ぶなら一神教の教会となる。

 

『そうね……よし、検索完了。正教会の聖堂を見つけたから、マップデータをそっちに送るわ。COMPで照合して』

「了解。よし、と……受信完了。助かるよ、シトナイ」

 

 シトナイから受け取ったマップデータがスマートゴーグルの視界内に半透明のウィンドウとして展開される。それに大雑把に目を通し、交番から出てそちらの方向にじっと目を凝らすと、なるほど小さなビルの合間にそれっぽい十字架が突き出しているのが見える。

 

「なるほど、あそこか。んじゃ、移動するかね。よし、それじゃキングフロスト、送還するよ」

『オッケーだホ! それじゃまた呼んで欲しいホー!』

 

 COMPを叩いてキングフロストを送還し、また新しい悪魔を召喚する。呼び出されたのは邪鬼ウェンディゴ、トナカイのような枝角を生やした白いゴリラとでもいうような怪物は、クトゥルー神話において邪神イタクァの眷属であり、北極圏の空を駆け回る俊足の悪鬼だ。

 

「さて、それじゃウェンディゴ、よろしく。今日は君の脚が必要だ」

『マカセロ! ドコニデモ運ンデヤル! ダカラ肉クレ! 肉!』

「うんうん、正直でよろしい」

 

 再びチェフェイの権能を発動させ、大量の肉を一抱え程の塊としてウェンディゴに投げ渡すと、嬉しそうに受け取ったウェンディゴは口から溢れる冷気を吹き付けて凍らせた肉を口の中に放り込み、一口で噛み砕いて呑み込んでしまう。

 

「じゃ、よろしく頼むね」

『オウ、マカセロ!』

 

 ウェンディゴは真っ白な毛皮のトナカイの姿に変化すると、背中に飛び乗った僕を乗せて走り出す。その蹄は雪の上には触れておらず、主神であるイタクァの“北風の上を歩む”という異名通りに、吹き荒ぶ冷たい風をそのまま踏んで走っている。条理を無視した疾走はほんの数十秒で終了し、大して時間も掛けずに僕は目的の教会へと辿り着いていた。

 

『着イタゾ、さまなー! マタ肉、クレ!』

「オッケ。はい、お食べ」

『サッスガさまなー! 気前イイ! マタ呼ンデクレヨ!! ジャアナ!』

 

 凍った肉を口に放り込んでバリボリと音を立てて噛み砕くウェンディゴを送還し、僕はその教会の建物を見上げた。

 雪と氷に覆われた聖堂は真っ白に染まっており、本来そこがどういう彩で飾られていたかも分からない。外周を回ってみるがステンドグラスは半分程度が割れ砕けてそこから中に雪が流れ込んでいた。物理的な防壁も魔術的な結界も、マトモに機能していない事は明らかだ。この様子なら、教会の中にも生存者はいないだろう。

 

 だが、おそらくここはメシア教の拠点だ。少なくとも最初はそうだったはずだ。

 

 教会の周囲には外の悪魔に対抗しようとでもしたのかバリケードらしき痕跡が残っているし、最近まで結界が機能していたのか周囲一帯だけ積雪が半分くらいになっているから間違いない。

 普通の人間なら、バリケードを築くなら四方を割れやすいステンドグラスで囲まれた教会なんかじゃなくて、もう少し防衛しやすい建物に立て籠もる。そうじゃないのは、ここに何かしら魔術的な設備があったか、そういう機能を後付けで設置したかのどちらか。

 

「ん-……ここは一応、と」

 

 上空で警戒していたコタンコロを呼び戻すと、コタンコロは降下しながらサイズを縮めて、そのまま僕の肩に止まる。大きさにある程度融通が利く霊鳥の悪魔は、乗り物にもなるし、こうやって小さくして傍らに置いておく事もできるからこういう時には割と便利だ。

 

「じゃ、周辺警戒と護衛を頼むよ」

『うむうむ、大抵の危険はお爺ちゃんがどうにかしてやるから安心せえよアリスちゃん』

 

 コタンコロを肩に置いて、ガラスのなくなった窓から飛び降りるように中に入る。半分ほど雪に埋まった聖堂の内側は、当たり前だが本来の地面に合わせて作られた建物だから、周辺の雪の地面に比べて数メートルほど床が低い。

 

「あー……元避難所、か」

 

 少なくとも、ここには人が生活した跡があった。規則的に並べられた長椅子の上には毛布や空の食器があり、それと一緒に半ば凍り付いた人間の死体が転がっている。メシア教会の制服を着た死体はむしろ少なく、その大半は普通の服を着た恐らく一般人のものだ。

 

 避難所を作って、食事や何やらを用意して、しかし寒さを凌ぎ切れなくて皆死んだ。そんな所だろうな。

 

「…………メシアなんかに頼るから」

 

 差別的な感情からくる否定の言葉が口から零れる、が……いや、その感慨は不当だろう。

 

 少なくともこういう避難所を用意できたのはメシア教会くらいだろうし、そうじゃなかったら彼らの死はたった数日程かもしれないが早まっていたはずだ。多少なりとも、メシア教会が彼らの生存に寄与していたのは間違いない……本当にどうでもいい話だが。

 

 軽く首を振って、妖獣の感覚で周囲を索敵する。情報源は主に聴覚と嗅覚……周囲一帯凍り付いているせいか臭いはほとんど感じられないが、相変わらずの静けさから音だけははっきりと感じ取れる。

 

「…………今、何か聞こえたな」

 

 エネミーソナーに反応はないが、一応その音の主が敵である可能性を考えて、COMPからまた悪魔を召喚する。呼び出すのはアイヌ民族風の衣装を着た小人の地霊コロポックルと、サーベルを手にした少女姿の地母神セドナ。セドナを護衛として隣に置き、トラフーリ持ちのコロポックルも連れていけばいつでも逃げられる。

 

 警戒しながら聖堂の中を横切り、奥へと繋がる扉を開ける。その部屋はどうやら教会の祭具なんかを置いておく倉庫のようなスペースだったらしい。同時に簡易的な小聖堂も兼ねていたらしく、部屋の隅の開いたスペースには予備の祭壇があり、その前にはやはり二、三人が並んで座れる程度の小さな長椅子が置いてある。

 

 そして、その祭壇の向こうには司祭用の椅子にもたれるようにして一体の天使がじっとこちらを見つめている。アナライズが示したその名は天使プリンシパリティ。アークエンジェルよりは一つ格上だが、逆に言えばその程度の相手。

 

「人の子、か…………信徒では、ないようだな。どうやら、信徒たちは一人残らず天に召されたようだ」

 

 無念そうに呟いた天使は、小さく溜息を吐いた。襲い掛かってくる様子はない……その余裕もないだろう。天使の身を構成していたマグネタイトは底を尽きかけており、指先や翼の末端など身体の端の方から既にスライム化が始まっている。

 

「天国行きだなんて、何をどうすればそんなに自信たっぷりに断言できるのやら。メシア教会なんて、モヒカンとレイパーの元締めみたいなものだろうに」

「その口ぶりからすると、我が同胞は余程に悪辣な真似をしたようだが……生憎と、ここで眠っている信徒たちにとって異端者の迫害やら、異教との戦争やら、何もかも遠い話だったからな。何よりそんな余裕もなかった」

 

 言われて周囲を見回し、納得。まあ確かに、ここの規模でモヒカンヒャッハーみたいないつのもメシアンムーブなんて、生存リソースを削るような余裕はないか。

 まあその生存リソースを丸ごと投げ捨ててもやらかすメシアンが多いから何とも言えないが、ここのコイツはそこまで非常識ではなかったのだろう。

 

「見れば分かると思うが、ここにはもう何一つ残っておらぬ。奪うにせよ、利用するにせよ、な。全ては分厚い雪の下、少なくとも私にはどうしようもなかったな。……何者だ? 何をしに来た?」

「ガイア連合の調査員だよ。ここに寄ったのも調査の一環。地理情報の信頼性に関する調査だから、この町がフォルノストだと確認できた時点で半分用済みみたいなものだけどな」

 

 その辺、特に隠す理由もない……その価値もない。だからこの場所に拘泥するでもなく、仕事が終わったらさっさと帰るだけ。

 

「そう、か……そうか。せめて一週間早く、お前がここに来ていればまた、何かやりようもあっただろうにな」

「そうか……まあ、そうだろうな」

 

 その時点なら、まだ誰かしら生きていた、という事か。ここが潰れたのは、割と最近の話って事か。

 

 適当に話を合わせながら頷いて、相手に喋らせる。そうして、相手の発言から相手の状況を大雑把に推測していく作業。細かい内容が欲しければ、音声データは録音しているので後でリピートすればいい話。

 

「ああ、そうだ。もう少し、何かやりようがあれば良かったのだが…………」

 

 天使は嘆く。全ての信徒を失いながら最後まで生き残ってしまった。誰一人生かす事が出来なかった天使は、スマートゴーグルを介して録音を開始した僕が促すまでもなく、この避難所の来歴を語り始めた。

 

 

 

 元々、この町に避難所やシェルターなんてものはなかった。あったのはメシア教会に所属している訳でもない、普通の一神教の教会だ。

 概念的な氷雪や荒れ狂う敵対的な悪魔を追いやる魔術的な結界もなく、ただ信仰の象徴として他よりはマグネタイトを集めやすい、その程度の施設だった。

 

 だが、メシア教会過激派が引き起こした全世界的核攻撃に端を発する半終末に際して、この町に一体の天使が降臨する────目の前の天使プリンシパリティだ。

 半終末が引き起こしたロシアの半異界化、それに伴う空間拡大と異常な氷雪によって外界と隔離されたフォルノストに降臨するにあたって、彼は自身に最も居心地がいい立地であるこの教会に居を定めた。

 

 運も良かった。

 

 その教会に通っていたシスターが偶然にも異能者として覚醒し、プリンシパリティが持っていたメシア教会過激派の伝手で入手した天使召喚プログラムを手に入れ、シスターとプリンシパリティが契約する事で教会と町の周囲に結界を構築する事もでき、ひとまず人間が暮らしていける領域を確保する事にも成功した。

 各地にシェルターを築いていた穏健派ではなく、諸悪の根源である過激派に属するプリンシパリティだが、生まれがそっち側というだけで彼本人はそこまで過激な思考回路を持ち合わせておらず、この極限状態でまで厳しいメシア教の戒律を住人に強制しようとせず、元々この教会を守る一神教の司祭だった老神父とも契約して加護を与え、住民と上手く付き合っていく事もできた。

 

 町に残された物資は乏しく、生産能力も皆無ではあったが、過激派メシアンが抱える天使召喚士でもある上級司祭の一人が雪を司る大天使シャルギエルとの契約に成功し、氷雪の影響を受けずに輜重隊を定期巡回させていた事もあって、住民達が生み出す生体マグネタイトのいくらかと引き換えにしばらくは物資に困らずに住民の生活を維持できた。

 問題の上級司祭は即物的で下衆、かつ情のない俗物ではあったが、だからこそやりようがあった。プリンシパリティの契約者となったシスターは老神父の入れ知恵により天使召喚プログラムの機能を上手く使って、妖魔フーリーを天使として召喚し、問題の相手に対する接待役として活用する事で、問題を起こさず、起こさせずに商談を進める事も出来た。

 

「妖魔フーリー────中東系一神教の伝承に登場する天女だったな。聖戦で戦死したりして天国に行った男を接待するために宛がわれる七十二人の処女……なるほど、接待役としては下手な夜魔より適役かもしれないな」

「だろう? 文字通り、天国に昇るがごとき快楽というわけだ」

 

 下衆で性欲も強い上級司祭には覿面に効き、快くこのフォルノストにそれなりの量の物資を落としてくれていった。そういう事ができる辺り老神父は有能で、その御陰もあってこのフォルノストは集落としてそれなりにうまく回っていたのだが。

 

 だが……それもそこまでだった。

 

 ある日を境に、輜重隊がこのフォルノストを訪れる事はなくなった。

 

「理由は分からない。何かあったのかもしれないし、あるいはあの男が気紛れを起こしたのかもしれん。もしかしたら、他に理由があるのかもしれない」

 

 ……本当は知ってるけど。僕が殺した。

 

 悪人を殺したせいで、善人が死ぬって可能性もあるんだ。考えてみれば当たり前だけど、それでも不思議な話だ。

 

「でも、その日を境に物資の供給が途切れた、と」

「ああ、そうなると一直線だ。見ての通り、教会組織にとってはマグネタイトを上納するだけの生産設備に過ぎないこの町に、供給抜きで人々を生かせる生産能力などないからな。少しでも死が遠ざかる事を祈りながら無為に物資を食い潰し、尽きれば飢える────そして、飢えた。予定調和のようにな」

 

 そうして、こうなったのか。

 

 トドメになったのは、僕があの自称上級司祭を始末したのとほぼ同日に発生した、大型悪魔の襲撃。撃退こそできたものの、それによって避難所になっていた教会周辺の住居や物資倉庫が幾つか潰され、結界が破られて死者も出て、生体マグネタイトの収支もマイナスに傾き、そうして。

 

 ……最後に見苦しく争った痕跡がなかっただけ、立派だったのかもしれない。最期にしては、目の前で死につつあるこの天使も上手くやったのだろう。まあ、それこそ本当にどうでもいい話だが。

 

「立派だからって、幸せになれるとは限らないんだね。死ぬ時は本当に、笑ったり泣いたりできない程にあっさりと人は死ぬ」

「そう、だな……ああ、その通りだ」

 

 あるいはメシア教会過激派に降っておいて餓死に凍死なんてマトモな死に方をしているだけ、余程にマシで幸せな部類なのかもしれないが。

 

 割れたガラスの間を通り抜けて冷たい風が渦を巻き、冷ややかに積もった雪の上で薄白く渦を巻く。

 

「しかし、一つだけ良かったのは、子供達の事だな」

「子供……?」

 

 周囲を見回して、一つ不審を覚えた。なるほど、言われてみれば子供の死体がない。確かに生命力が足りない分、先に死んだと言われても不思議ではないが、しかし。

 

 背筋を這いずるような不愉快な感覚。多分これ、絶望的な話だ。

 

「…………子供を、どうしたって?」

「あの天使召喚士の上級司祭が最後に来た時にな……後方の、もっと設備が整った場所に子供達を移住させたのだ。我々はここで死んだが、彼らは生きている。なら、そのせめてもの幸いは喜ぶべき事で、そして誇るべき事だろう。……彼らを生かすために、我々の命は捧げられた。それで十分なのかもな」

 

 ほら、やっぱり。

 

 それは。

 

 ……それは、何と言っていいのか。

 

 彼らの自己犠牲は、完全に無駄だった。そういう可能性。

 

「それ、下手すると死んだ方がマシだった可能性すらあるぞ。餓死や凍死みたいに人間らしく、人間のまま人間として死ねるならさ」

「…………どういう事だ」

 

 コイツ、本当に分かっていないのか。

 

 オマエらの仲間がどういう存在だったのか、本当に覚えていなかったのか。

 

「半終末の、メシア教会が世界中に核攻撃を仕掛けたあの日……日本に飛んできたミサイルには子供の脳が搭載されていた……らしいよ」

「っ…………それは…………いくらなんでも……いや、しかし、まさかそんな……だが!」

 

 プリンシパリティが息を呑む。

 

 ま、本人も分かっているんだろう。……いや、それとも、分かってしまった、というべきか。そんな事をするわけがない、と自分を誤魔化していたか、でもそんな優しい嘘を剝がされてしまえば。

 

 ざまぁみろ、という言葉は浮かばなかった。笑えない……本当に、笑えない話だ。

 

「メシア教会ってさ、結局そういう事やってるの、アンタ知らなかったのか?」

「いや、だが……そんなものは噂だけだと……しかし、いや……あの男は、スマイリー大司教は確かに……!」

 

 少なくとも、コイツは自分が所属していた組織がどういう性格のものか、それなりに理解していたのだろう。

 それでも甘い話に乗ってしまったのは、お人好しというか、もう馬鹿としか言いようがない……まあアレだ、今のロシア自体がオールナイト極限状態みたいなものだし、そりゃ判断力も鈍るってなものか。

 地獄への道は善意で舗装されている、って、こういう事を言うんだな。

 

 ここで黙っていたらコイツは、少なくとも死ぬまでは幸せ気分に浸ったまま死ねたんだろうけど。

 

 薄っぺらい優しい嘘に騙されたまま自分だけ誇らしく死ぬのと、真実を知って絶望しながら無念のまま死ぬのと、どっちが幸せで、どっちが不幸なんだろうな。

 

「ああ、駄目だ駄目だ、これは……ああ! すまない、すまない皆よ! 私は、私は何という事を……っ! 仰々しく神の御名を唱えておいて、あのような……っ! 主よ、どうしてあのような邪悪な者共を地上にのさばらせておくのですか! 願わくば……願わくば、せめて彼奴等に神罰を…………いや、それすらどうでもいい、せめて子供達に救いを…………ああ……」

 

 そろそろ限界も近いのだろう、天使の身体を構成していたマグネタイトの結合も半ば解け、彼を見つけた当初からスライム化も随分と進んでいる。さっきは羽根の末端が溶けている程度だったのが、既に翼の中程までスライム化の侵食が進んでいる。

 つまり、何をどうしようがもう遅く、じきに消滅する。あと十分もすれば、それで完全に悪魔としての構造を保てなくなって終わり。僕が契約でもしてマグネタイトを供給してやれば話は別なんだろうが、そんな事をするつもりもないし。

 

 だから。

 

「……人の子よ、私を殺せ」

「わざわざ命を差し出してどうする? どうせ後何分っていう命なのに。その程度じゃ何も変わらないだろ」

 

 それでも彼は、自分を殺せと、そう言った。

 

 つまり。

 

「私の身に残されたMAGを差し出して、せめて彼奴等を止めるための一助にしたい。なけなしの償いだが……面倒を押し付けて申し訳ない」

「……ま、いいさ」

 

 そういう事なら、そういう事で。

 

 うん、まあ、殺すくらいなら。

 

「────【死んでくれる?】」

「ああ……感謝する」

 

 そうして、半分スライムは苦痛なく塵へと分解して消滅する。天使プリンシパリティが持っていた生体マグネタイトの残量は、彼の言葉通り、本当になけなしだった。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 相も変わらず、雪は降り続いている。いつまで続くのか、といえば、とにかく期限なく永遠に、としか言いようがない。

 

 零下の寒気と終わりのない雪に覆われたロシアの大地は、雪と風の音だけを残して静まり返っている。

 

「……静かだね」

 

 深さ数メートルの雪の中から顔を出した鉄筋コンクリートのビルの屋上に腰掛けて、雪に埋もれた街並みをぼんやりと見下ろした。

 土も草木もアスファルトも、自然も人工物も何もかもが一緒くたに真っ白に塗り潰された大地の中から、まだ雪に埋もれ切っていない建物が規則正しく、あるいは疎らに雪の中から顔を出している。

 

 天使プリンシパリティは死んだ。

 

 死ぬ前に一通りの証言を残してくれたのは幸いだったが、それ以上に意外だったのは、曲がりなりにも過激派に属する天使と、自分がああやって落ち着いて言葉を交わす機会があった事だ。自分の中にある臓腑の奥を軋らせるような嫌悪が消えたわけでもなく、しかし戦わず拒絶せず否定せず、会話が成り立っていた。

 

「相手が被害者側だったから、かな」

 

 つまりはメシア教会の犠牲者、という目で見る事が出来たから。結局のところ、本当はあの避難所を潰したのは僕なんだけど。

 

『……マスター、大丈夫?』

 

 インカムから聞こえる声には電子的な変換で混ざるわずかなノイズが混ざっているが、それでも優しい声は相変わらず鮮明に聞き取れた。

 

「シトナイ、どうしたの?」

『心配してるのよ。無理、してない? もう調査も終わったんだし、すぐにでも帰ってきていいのよ』

「……そうだね。うん、すぐ帰る」

 

 たったそれだけの短いやり取り。それだけでも、喉元に何かが詰まったような胸の苦しさが軽くなった。

 

 これでいいんだ、という、たったそれだけの話。これでいい。辛いなら泣きながら、憎いなら憎みながら、そのまま生きていていい。無意味に聖人を気取る必要なんてどこにもない。

 

 ぴょん、と飛び上がるように立ち上がり、シトナイのところに戻る────動こうとした、その時。

 

『っ……────マスター、レーダーに反応! 距離3280より毎秒約30ずつ接近中! パッシブセンサーの音響探査により目標は機械動力を搭載、音紋反応照合の結果から車種は飛電モーターズ製スノーモービル126-AM8と特定!』

「えっと……まさかガイア製!? オートマジンとかってライダー霊装の技術が一部使われてるヤツだっけ……?」

 

 TOYOTA車が世界各地の紛争で使われていたようなものか。

 

 ────吹き荒ぶ雪の中に、接近してくる何者か。

 

 吹雪による視界不良のため、数kmを容易く見通す妖獣の視界でも近づいてくる何者かを見定める事はできないが、しかし聴覚でなら、追いつ追われつ高速で接近してくるエンジン音を捕捉する事ができる。

 

「じゃあコタンコロ、飛んで! 空から見通す目になって────!」

『おお、任しとき! 雪の中ならよう見えるでのう!』

 

 凍えた大気を褐色の翼が打ち鳴らし、梟の神鳥が雪の空に舞い上がる。目を閉じ、契約のラインを流れる生体マグネタイトの流れを通じて、雪が降りしきる中を滑空する霊鳥コタンコロの感覚を借り、濃密な吹雪をも容易く見通すフクロウの視界を通して、初めて標的の姿が見えた。

 

 なるほど同型のスノーモービルが四台……全速力でこっちに向かってきている。機体側面にはメシア教会のエンブレムが刻まれているからして、おそらくは過激派の機体だろう。一瞬こちらを狙ってきたかと考えたが、こちらを捕捉しているにしては様子がおかしい。

 

「1機と3機に分かれて……戦って……いや、これは追い掛けられている、のか?」

 

 追う側、3機。

 

 民生用のスノーモービルに銃座と追加装甲を施したテクニカル車両に乗っているのは、揃ってメシア教会のシンボルマークを背に負った白の装甲服。だが何より特徴的なのは、黄色いニコニコマークを能面の形に歪めたような不気味な笑顔を象った仮面。

 顔を隠しているというただ一点だけで、人間としての個性を仮面が塗り潰し、その顔を異形の怪物のように変えてしまっている。

 

 対して追われている側、1機。同型のテクニカル車両だが乗っているのは粗末な衣服の少年と少女、年頃は十歳をいくらか回った位か、この極寒のロシアを防寒服一枚で動き回っている以上は何らかの異能者なのだろうが、それにしても随分と幼い。

 後ろに迫る3機に向かって据え付けの機銃で反撃を試みているが射程の概念すら掴んでいないのか反撃は当たらず、じわじわと距離が詰まり、フォルノストの町に向かって少しずつ追い立てられている。

 

『これは……マスター、どうする?』

「そりゃ助けるよ、メシアンの敵ならね」

 

 アイツらが生きている事でメシアンの害になるなら、助ける。理由なんてそれで十分だ。穏健派のメシアンだったら気分的に少し面倒だが、その辺はまあ、仕方ないと諦めるしかないか。

 

『じゃあ、こっちも機体を回すわね。火力支援は必要?』

「敵の退路を断つ形でお願い。メシアンに僕達の情報を渡すべきじゃない」

『了解』

 

 ぴょん、とビルの屋上から飛び降り、雪と半ば同化しているようなコンクリートの壁面を蹴って駆け降りる。一直線に刻まれた足跡に沿って舞い上がった積雪が、吹雪の中で白く煙のように尾を引いて舞い上がり、その中を貫くように走り抜けて顔を出すのは、三角形を描くようにして並走するメシア側のテクニカル、その頂点の一角を走る機体の上だ。

 銃座で軽機関銃の銃把を握るメシアンの顔を隠したニコちゃん仮面のド真ん中に【イナズマキック】を叩き込んで蹴り飛ばし、同時にテクニカルの足元にキングケルベロス────氷結属性のヌンチャク形態から霊体のチェーンが伸びて雪原を穿ち【猛氷乱撃】、雪を巻き上げながら無数の氷柱が跳ね上がるように出現。

 噴き上がる氷雪に足元から絡め捕られて擱座したテクニカルから放り出されたメシアンたちの頭上から、多脚装甲車から放たれたミサイルが襲い掛かった。

 

「で、これでフィニッシュ!」

 

 足元に【ザン】で作り出した衝撃波の足場を踏んで【イナズマキック】で飛び退いて、そのついでに逃げていた子供二人をテクニカルの上から引っさらって退避させる。同時に身動きが取れないスノーモービル三機の上に飛来したミサイル群が次々と炸裂して爆炎を噴き上げ、その一瞬だけ炸薬として組み込まれた天使共が怨嗟の声を上げる姿が浮かび上がる。

 さらっと子供二人が乗っていた機体も巻き込まれているけど、その辺はまあ最低限の犠牲って事で諦めてもらおう。

 

『標的の生体反応、完全喪失を確認。戦闘行動を終了します。お疲れ様、マスター』

 

 シトナイの声を聴きながら、近くの雪に潰された家屋の残骸の上に着地した僕は、両脇に抱えていた子供二人を手放した。どさり、どさりと米俵のように投げ落とされた子供たちが抗議の声を上げるが、知った事じゃない。

 僕が蹴り飛ばした事で一人吹っ飛ばされて爆発に巻き込まれなかったメシアンのところまで歩いていくと、呻きながら立ち上がろうとしたソイツに向かって振り下ろしたキングケルベロスで頸骨を叩き折り、藁人形で魂を回収して、これで一通りの作業は終わり。後は……事後処理の問題、か。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 追われていた二人、男の子が『ノリト』で、女の子が『ミヤ』であるそうだ。日本人っぽい名前の通り、日系人であるらしい現地人異能者。元々フォルノストにいた地元の子供で、そしてメシア教会の後方拠点で実験体にされるところを、直前で逃げ出してきたんだとか。

 詳しい内容はそれこそ後で聞き取り調査なり記憶の読み取りなり、専門の人にやってもらうからいいとして。

 

「────で、メシア教会の拠点からどうにか逃げてきた、と」

「そうだよ。フォルノストなら天使様もいるし、どうにかなると思って」

 

 ……いや、どうにもならんだろ。

 

 天使プリンシパリティ……一般天使9階級の中ではアークエンジェルより一個上、下から数えて三番目。

 つまりは一般社員より多少はマシ、ヒラ社員の直上くらいの中間管理職でしかない。ついでにスライム化一歩手前まで追い詰められた天使に対して何とかしてくれとか言っても、割とどうしようもないだろう。

 

「うん、さすがにどうにもならないね、それじゃ。そもそも……フォルノストの避難所は一週間前に潰れている」

「嘘だ! 証拠でもあるのかよ……!」

 

 証拠か。

 

 ふむ。

 

 手元のタブレットを軽く操作して、作成中の報告書から音声データを呼び出して、と。

 

『────見れば分かると思うが、ここにはもう何一つ残っておらぬ。奪うにせよ、利用するにせよ、な。……何者だ? 何をしに来た?』

『────ガイア連合の調査員だよ。ここに寄ったのも調査の一環。この町がフォルノストだと分かった時点で半分用済みみたいなものだけどな』

 

 さっきの、天使プリンシパリティとの会話ログであるが。

 

 現在、多脚装甲車の居住区画にある空き部屋を一つ解放して、保護した子供二人に対して事情調査中。がっくりと項垂れる少年少女に対して、暖かいココアを淹れてやる。

 マグカップに注がれたガイア連合グルメ部監修の異能者用回復ココアの不透明な水面から、暖かい湯気が立ち昇った。

 

 過激派のメシア教会にこういった嗜好品があったかどうかは知らないが、まあ逃亡者にココアを楽しむ余裕はないだろうな。そういう意味では、僕達にしかできない贅沢、か。

 

「……天使様は、死んだのか?」

「そうだよ。しっかり死んだ。これ以上なく確実に」

 

 トドメを刺したのは僕自身。そして、その遺産であるマグネタイトは、この子ら二人を助けるのに使われた。元々あそこにあったコミュニティから連れていかれた子供達だ、それを助けるのに使われたのだから、あの天使野郎も本望だろう。

 

「で、これからどうする?」

「それは…………」

 

 まあ、分からないだろうな。そもそも数少ない生存圏であるメシアン過激派のコミュニティを、たったあの程度の装備で、しかも追手付きで逃げ出してきた程には考えも浅く、そして余裕のない逃避行だ。

 

 でも子供だし、そもそも余裕なんてなかったのだろうし、その辺は仕方ない。

 

 ボーイスカウト程度の能力でどうにかなるような楽なステージじゃないし、極地でのサバイバルのスキルとかそういうのは、成熟した大人である兵士がわざわざ厳しい訓練まで積んでようやく習得できる能力だ。子供がそんな能力を持ち合わせているはずもなし。

 

 諦めなければ、とか、どんな時でも希望はある、とか、そういう綺麗事が毎日のように機能不全を起こす程度には、このメガテンワールドは容赦なく、そしてこのロシアは過酷だ。

 

 むしろ人間らしく飢えて凍死できる分だけ、この子供たちは賢い選択をした。なら、この程度の慈悲は掛けてやってもいいだろう。

 

「ま、その辺は心配しないでいいよ。この辺を軽く調査したら、機体のメンテも兼ねて一旦引き返すつもりだったから、その時にガイア連合のウラジオストク支部まで連れて行ってやるさ」

 

 それ以上は知らんけど。

 

 まあ、実験体にされていた記憶がある以上、それをガイア連合に対して売りつける事で当面の金も工面できる。メシア教会過激派の現有技術を垣間見ることができる記憶ともなれば、それなりの値段で売れるはずだ。生活基盤を整えるには十分な資金になるだろう。

 後は……それこそその辺、徳の高い“俺ら”の誰かがどうにかするだろう。皆、そういうノリが大好きだからな。僕が心配する事じゃない。

 

 だから、それでサヨナラ。それまでの、ほんの短い付き合いだ。

 

 

 

 




無駄に湧いてくる無駄な設定が……!





~割とどうでもいい設定集~


・ジェナ・フォウ・バルトファルト
 元ネタは「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」より、主人公の(割とクズい)姉。
 月詠学院の女生徒で天之河ハーレムの一人。もしくは天之河にタカる飢えたピラニアの一匹。なお見当違いの狙いにより徒労に終わる模様。
 異能者でもあるが、性能的にはまあN+~R-くらい。ウマ娘で例えるならロバ寄りのロバなので、道産子寄りのポニー相当な某勇者()君は正に雲の上レベルの存在。彼こそまさに真の黒札なのでは!?みたいなノリ。


・古戸エリカ
 元ネタは「うみねこのなく頃に」。

 ガイア連合所属の転生者。監察部所属の知的強姦者。人の秘密を暴いて貶めるのが大好き。しかも全開で煽っていく対人マナー上等な体質。
 月詠学院の女生徒で、立花アリスの友人。

 アナライズ・解析特化型のペルソナ使いだが、効果範囲が狭いのでレーダーとしてはあまり役に立たない。ただしアナライズで「嘘を見破れる」。
 そんな能力のため、学生の身で監察部などという危険部署に所属している。
 非戦闘型の上にレベルも低い癖に恨みを買いやすい立場と性格の持ち主であるため、割とギリギリ綱渡りな人生を送っている。
 最近の課題はレベル上げ。

 前世は元ネタのキャラ通りに、状況証拠ばかりが挙がってくる癖に決定的な証拠が出てこない恋人の浮気疑惑に、信じる事に耐え切れず自殺した。闇深。
 そんな彼女だが転生後は「相手の嘘を読み取れるペルソナ能力」「絶対に裏切らないイケメンシキガミ彼氏」「全力で趣味に邁進できる職場」を手に入れて人生をエンジョイしまくっている。

・英傑キム・イルソン
 朝鮮半島の北半分を支配する高位悪魔。降臨すると同時に人民軍を支配下に置き、天使や反日魔王軍の侵略に対抗している将軍様。
 「縮地法を使い、落ち葉に乗って大きな川を渡り、松ぼっくりで銃弾を作り、砂で米を作った」とかいうカッ飛んだ神格化済みの伝説の指導者。
 様々なプロパガンダによって美化されまくった神格化済みバージョンのキム・イルソン。なので色々な部分が史実とは割と掛け離れている。性格とか。FGOのナポレオンみたいな感じ。
 人格的には地元神寄りなのだが、現実の独裁者とどっちがマシかは知らん。

 きっちり霊脈を押さえ、さらに他では真似できないレベルの大量の氏子を確保して、その上で地元補正によりマサカド様とはいわないが特級の地元補正によるバックアップを受けているため、半島の北半分という世界的には割と狭い範囲内での話ではあるがかなり強い。
 レベル的には割とそこそこだが、軍団を統率・運用・維持するのに特化した権能を揃えており、兵站という面に限定すればそっち方面の逸話が妙に多いため、下手な豊穣神レベルの生産力を持ち合わせており、軍事的にきわめて厄介な存在。
 特に優秀なのが、コイツが権能で作り出す「眼球付きの銃弾」。自前で敵を認識・捕捉して追尾する性能を持つため未覚醒者でも悪魔を相手に攻撃を通せる上、軍団に配れるレベルで大量生産できる。人民軍が天使の物量に対抗できる最大の理由である。
 また抗日戦線において十万回以上も勝利した逸話から日本軍()に対しては特攻付きなのだが、それでも反日魔王軍の拠点破壊能力は危険過ぎるため、予知と転移を併用して常に先手先手を打ち続ける事で対抗している。
 何気に半島三大勢力の中で唯一マトモに人間を保護しており、朝鮮半島における人類最後の希望になりつつあるとかいう…メシアとどっちがマシかは知らん。

・魔王ヒデヨシ&邪鬼ニホンヘイ
 朝鮮半島の南半分に湧いて出た高位悪魔。
 反日思想の化身。反日のツケ(物理)。旧日本軍の亡霊そのものではなく、それが脚色された伝説を基に生まれた半島原産の悪魔。悪意をもって脚色された伝説が、実体化して殴り掛かってきたようなもの。なので基本的に日本語を理解できず、韓国語を話す。
 その割になぜか日本にも出没する。なお日本在住の個体は普通に日本語を理解できる。

 実は半島三大勢力の中で一番優勢。というのも、コイツら地味に「山に鉄杭を打ち込んで風水を操作する」「朝鮮総督府を建てて霊脈を遮断する」とかいうダイレクトに霊脈を操作する権能を持っており、カオ転世界終盤戦のルールともいえる“霊脈を使った地球規模陣取りゲーム”にこの上なく適合した環境ユニットであるため。
 半島の宗教事情からしてカルトマジック結界でも風水術が結構な割合で使われるだろうし、将軍様から指導を受けた人民軍異能者が使う術も仙術系なので割とカタに嵌まってしまうという。

 拠点防衛でとにかく強く、拠点攻撃でも一方的に優位に立ってくる、戦略レベルでは霊脈の簒奪・確保能力がとにかく高いとかいう本当に厄介な相手。その能力でメシア教会穏健派のシェルターを潰しに潰して潰しまくった。
 しかもコイツら、人間を見掛けたらとにかく殺しまくるタイプの悪魔であるため、霊脈以外のリソースである信徒・氏子を容赦なく殺していく事から、とにかく悪魔にとっての兵站を問答無用で潰しにくるのが何より最悪。

・半島系メシア教会
 勢力圏は反日魔王軍同様に半島の南半分……だが、割と追い詰められ気味。戦略面での大失点が後に祟りまくっている。

 南半分で強く信仰されていたカトリック・プロテスタント・その他新興宗教系全てを合わせた一神教系の宗教団体をどうにか上手く支配下に収めた圧倒的有利な状態で半終末を迎え、半終末の到来に合わせありったけの信徒を消費式リソースとして使い潰して下級天使を大量召喚、半島全域の制圧を狙い、とりあえず南半分はほぼ支配下だから戦力を糾合して北征を狙った……までは良かったのだが。
 GPの高騰に合わせて北と南に想定外の高位悪魔が顕現。北の将軍様が絶大なカリスマでほとんど一瞬で人民軍をまとめ上げて想像以上の抵抗を喰らって粘られた挙句、そんな最悪のタイミングで南からは日本軍()が出現して横殴りを喰らい、とかされた挙句にリソースが尽きて計画が頓挫。
 そのリソースを補填するべく人間狩りに精を出している間に、南半分では反日魔王軍が得意の風水で霊脈を奪い足元を固め切ってしまい、現在の窮状に陥っている。

 とりあえず本来のちゃんとした歴史のある地元神格があらかた息してないのは初期の段階から予想通りであったのだが、北の将軍様に反日教とか、どっちも近代ルーツの高位神格が湧いてくるなんてイレギュラーもいいところ。

・その他半島関連
 半島の地元神とか地元異能者とか? 地元神は多神連合が崩壊した折に盛大に爆死したか、そもそも最初から息をしていなかったか。
 異能者は、まあ色々。具体的には……

 1.人民軍で頑張っている。
 2.中華戦線で頑張っている。
 3.日本に亡命してゆっくりしている。

 だいたいこの三パターン。
 なお3については、さすがに神格は日本に入った時点で存在がバレるというか隠せないので、普通に出島に収容されている。
 出島の経営が順調かどうかはまた別問題。特産品とかあるんだろうか?
 人間の異能者については、神々と一緒に出島でゆっくりしているか、一般人としてまったりしているか、ガイア連合の現地人異能者としてのんびりやってるか、場合によってはダークサマナーになっている事も。

・ノリト&ミヤ
 元ネタは「ブラック★★ロックシューターDAWN FALL」。
 現地人異能者。日系ロシア人。メシア教会過激派の実験施設から逃げ出してきた。
 異能者である以外は割と普通の子供。
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