Q.鬼ヶ島には鬼が住んでいます。では、サドヶ島には?
△ △ △
【怖い話】終末後の百物語スレpart14【ヤバい話】
312:289
で、そうやって、もう一時間もトイレ待ち続けてな、そろそろ視線もウ○コも我慢できなくなってきたんで、意を決して後ろを振り向いたんだ。
そしたら、俺の後ろに立ってたのは く そ み そ ニ キ でした。
もう全力で逃げたよ。漏らしながらな。あの時は本気で掘られるかと思ったね。
313:名無しの転生者
一時間もウ●コ我慢しといて結局漏らしたんかwwwwwww
314:名無しの転生者
大丈夫wwwwwwww?
掘られてないwwwwwwwwwww?
痔になってないwwwwwwwww?
処女、無事wwwwwwwwwwwwwwwwww?
315:名無しの転生者
つボラギノール
くそみそなオチwwwwwwwwwwww
316:名無しの転生者
下手な都市伝説系の怪異より怖いwwwwwwwww
317:名無しの転生者
ウンコ我慢してる時にくそみそニキはねwwwwwwwww
318:名無しの転生者
くそみそニキが本当のくそみそになっちゃうwwwwwwwwww
319:名無しの転生者
次、俺が上げるわ。
これは、俺が体験した話なんやけどな。
ワイはまあ、元々は普通の真面目にコツコツ修行組の覚醒者だったんや。
まあ、本当に普通。
せいぜい愛ネキに童貞貰ってもらった事があるくらいで、本当に普通の一般黒札だったんだが、まあ、まず色々あってな。
ちょっと面倒臭いから色々こんがらがってる部分もあるから、少し整理しながら話させてくれ。
320:名無しの転生者
ええで。
ゆっくり話しな。
321:名無しの転生者
愛ネキに筆卸してもらうとか裏山定期
322:319
>>321
その後求婚したら普通にフラれた定期
で、まあその代わりに、って感じで愛ネキが運営してる系列の黒札専用の娼館グループを紹介されてな。
趣味に合う店を探してみたりとかして、色々と通ってみてな。
その内に馴染みの店もできてな、そこに何年か通っている内に仲のいい嬢もできてな。
これがまあ、可愛ええんや。
俺が顔を出す度にパパ、パパ、ってまとわりついてくるんやが、どうにもそれが鬱陶しく思えなくてな。
で、この娘を他の男に抱かせるのも気が乗らんわ思うて、その内に身請けしたんや。
323:名無しの転生者
愛ネキに求婚してフラれるまでが俺らのテンプレ
324:名無しの転生者
>>323
それな。
325:名無しの転生者
モゲろ
326:名無しの転生者
爆ぜろ
327:名無しの転生者
ハゲろ
328:名無しの転生者
>>325-327
息合ってて草wwwww
329:319
まあ、それで家族になってな、子供ができたんや。かわいい女の子や。
うん、それ自体はええ事なんやけど、その内に不安になってきてな。
何と言うか、こういう事言っちゃアカンって分かってるんやけど、嫁の元職って、そういう職業だろ。
だからさ、この子は本当に俺の子なんだろうかってさ。
子供はかわいいけど、どうも信じ切る事ができなくて、もういっそのこと興信所雇おうか、どうしようか、とか当時はさんざん悩んでな。
思いつめた挙句、いっそのこと、って悩んでる事を嫁に全部打ち明けたんよ。
でも嫁はお見通しだったみたいでな、そんなめちゃくちゃ失礼な事言われたのに「大丈夫だよパパ」って笑顔でな。
で、嫁が取り出したのが遺伝子鑑定の書類や。
見せてもらったけど、間違いなく血が繋がった俺の子やった。
ただし鑑定書は二枚あってな。
娘と、それから嫁の分や。
330:名無しの転生者
え?
つまり、どういう事?
331:名無しの二刀流
鑑定書が二枚。
娘と嫁の分。
>>319の子供である事を示す嫁の遺伝子鑑定の書類があって…………嫌な予感がしてきたZE!
332:名無しの転生者
つまり、嫁も>>319の娘だったって事?
333:319
そう。
俺が筆下ろししてもらった時に生まれた、愛ネキの子供だってさ。
334:名無しの転生者
えぇ……?
335:名無しの転生者
マジかよ……
336:名無しの二刀流
ああ、うん。
よくあるはなしだよな、うん。
初めて付き合ったはずの彼女が何でか俺の事よく知ってて、彼女と絶対に接点ないはずの妹が彼女と一緒にいる時の俺の事よく知ってて。
うん、よくあるよくある。
337:名無しの転生者
よくありはしないだろJK
338:名無しの転生者
待て待て、つまりひょっとすると、愛ネキの店に通っていればその内、俺の子供に会えるかもって事?
339:名無しの転生者
それだ!
その手があったわ!
340:愛
あの、一応念のため補足しておきますけど、>>319さんのケースはあくまで特殊事例ですからね。
子供がどうしても血の繋がった実の父親相手と子供を産みたいって希望する近親ガチ勢でもない限り、そういう便宜は図りませんからね。
341:名無しの転生者
つまり、>>319は最初からロックオンされてた?
342:愛
はい。
あの子がそういう希望を出したので、ちょっと応援しました。
343:名無しの二刀流
怖いなあ・・・
◆ ◆ ◆
ゆさゆさ、ゆさゆさ、とベッドの上の身体を揺さぶられて目を覚ました。窓の外から見える両津湾の海は今日もよく晴れており、波立つ青い海面の上に陽光が散って燦爛と輝いている。
ベッドサイドに置かれた目覚まし時計を確認すると、もう朝の九時を過ぎている。
眠い目を擦り体を起こすと、俺のシキガミであるエセルドレーダが両手にお玉とフライ返しを手にしたまま、エプロン姿で普段通り、口元に薄く笑みを浮かべていた。
「マスター、朝食の用意が整っています。こちらへどうぞ」
「ああ、助かるよエセル」
とりあえず寝る前に見ていた掲示板を確認すると、『ボスけて! 娘の娘も近親ガチ勢やった! 食われる!』と新規の書き込みがされていたので、スレの流れに従って『ハゲろ』と祝福を送ってやる。
ベッドから起き上がって身支度を整え食堂に向かうと、テーブルには既に一人分の食事が用意されている。他の面々がいないのは、既に全員が起きて各々の担当の仕事に向かってしまったからだろう。
俺自身の普段の仕事は、基本的に下から上がってくる書類にサインして決済するくらいの楽なものなのだが、今日はそうでもなかったはずだ。
「マスター、本日は用事が入っております」
「ああ、分かってる。魚沼の田舎ニキからの件だろ。“新人”が到着するんだったな」
新潟地産のキクリ米。
ブリの焼き魚と、味噌汁。
新鮮な野菜のサラダ。
卵焼き。
“終末”前の一般家庭であればそこまで不思議なものではない一般的な和食の膳。
しかし、“終末”によって文明が半ば崩壊した世界では、限りなく豪華な食事。
これもガイア連合の特権階級ともいえる黒札、そしてシェルターを預かる支部長という絶対的権力者の地位に付随する、ちょっとした余禄というものだ。
世界が終末を迎えた後でもこんな幸せな食事ができる……生きていて本当に良かったと、そう信じられる瞬間だ。
◆ ◆ ◆
ここは佐渡島。
かつて巨大な金鉱山を抱え、栄えた島。
埋蔵されている鉱物資源は金銀を始め、銅、鉄、亜鉛、果ては石炭まで多種多様。
しかも異界化を利用すれば埋蔵量を増やす事すら可能にしてくれるという始末。
そんな佐渡島をガイア連合が放っておくわけがなく、佐渡島に建造されたガイア連合佐渡島支部、その支部長がこの俺『蝶野光爵』だ。
もっともこの佐渡島の鉱業は、“少しばかり”特殊な形で運営される────予定。
◆ ◆ ◆
新潟港を出港しておよそ三時間、佐渡島の重要港湾である両津港へ。そこからさらに船で移動し、一時間ほど船に揺られて辿り着くのが大間港。
大間港。
明治半ばに生産品の積出や物資の搬入用の港として築港された産業港。当初、その港としての機能は人造石護岸や鉱車の橋梁、煉瓦倉庫などの遺構を残し失われていたものの、ガイア連合が佐渡島を鉱物資源の供給源として目を付けた事で大きく改装され、ガイア連合佐渡島支部の玄関口として重要な役割を担っていた。
その護岸に囲われた湾内に船が入港してくる。
ガイア連合の技術により終末後の不安定な物理法則にも対応し、海を渡る事ができる船……そう言い表せば豪勢だが、実態は旧来のフェリーを軽く改装しただけの仮装艦だ。まあそれでも最低限の艤装は施されているし、佐渡島支部に所属する駆逐艦“暁”と海上戦仕様の艦娘型シキガミが護衛に入っているから海賊や海棲の悪魔に襲撃されても問題なく定期便を運航できる。
宮城とかその辺では既に航空艦が実働段階に入っているらしいが、生憎とこの佐渡には存在しない。離島っていう立地条件には限りなく便利そうだし、使い道もいくらでもあるはずだから、小さいのでいいから買えないかな……。
ま、それはさておき。そんな今回の定期便には、かなりの数の人間が乗せられていた。
月架手町シェルターから入町拒否され、浦野牧を通過して魚沼に辿り着いた迷惑難民────通称“マーベルヒトモドキ”。
この、ただでさえどこの自治体ですら余裕がない終末後の世界でさえ、無駄に要求ばかりを繰り返して援助をタカろうとし、断れば市民の権利やそっち系の何やらの理屈を持ち出して駄々を捏ねる、政権側としては迷惑極まりない民度最低の“市民”共。
そこで処分に困った魚沼支部及び新潟県周辺一帯のトップである田舎ニキは一計を案じ、そんなマーベルヒトモドキ共のための強制収容施設、兼、最終処分場としての佐渡金山の復活を目論んだのだ。
で、その最終処分場の管理を任されるのが俺、というわけだ。
まあ、問題ない。鉱山関連のアレコレは最初から検討されており、それ相応の用意もしてあった事だし、援助もある。田舎ニキや馬ニキを筆頭に東北地方の他のニキネキも惜しみなく支援をくれたし、旧知の友人であるKSJ研のスカリエッティニキからも結構な援助が届いている。
「当初の予定とは少しだけズレるが……まあ問題ない。ホワイト企業(社員ゼロ)の予定がブラック企業(社員たくさん)になるだけ。むしろ人材に配慮してホワイト待遇せず好きなだけ搾取できるようになっただけ楽になったと思う事にしよう」
俺が肩をすくめると同時、定期船から汽笛が上がり、船は再び大間港から出向していくのが見えた。鉄筋コンクリートの埠頭には降りてきたマーベ……ゲフンゲフン哀れな市民様方が集まって、不安そうに周囲を見回しているようだ。
寄生か誹謗中傷ができそうな相手がいなければ何もできない、自分では何も動く気がない……典型的なマーベルヒトモドキの特徴であるが。
ダンプトラック数台を引き連れて装甲バス三台が走ってくるのを見て、さすがにこちらの存在に気付いたようだ。顔を明るくして手を振っている連中までいるから気楽なものだ……自分たちの運命も知らずにな。
「始めようか、エセルドレーダ」
「イエス・マスター。……さ、お前達」
エセルドレーダが指を鳴らせば、同じ装甲バスの座席に乗っていた乗客達が一斉に立ち上がり、統制が取れた動きでバスから降りていく。その風貌を目にした市民共からは小さくどよめきが上がり、彼らが近づくにつれて大きくなっていく不安を表現するかのようにざわめきが萎んでいく。
一人一人だけを見れば、決して異貌ではない。無骨に角張った、しかし人間のそれと何一つ変わらない顔立ち。
だが、同じハンコで押したかのように一人残らず全く同じ顔をした男達。
両目を覆い表情を伺わせない埋め込み式サイバーグラス。デモニカスーツの電装系と同等の情報インターフェイスとして機能するが、それ以上に見た目の人間性を削ぎ、対面する相手の恐怖心を煽る。
一様に、ジャケット、ズボン、そしてネクタイに至るまで等しく黒い、喪服のようなブラックスーツ。物理耐性を組み込んであり、その辺の未覚醒者が扱う携行火器程度ならほぼ無傷で凌ぐ事ができる。
彼等こそ俺の研究成果の一つ────制式量産仕様・警備型デモノイド『クローンヤクザ』。
そう、シキガミでもアガシオンでも、ましてや造魔でもない“デモノイド”。
『真・女神転生Ⅱ』に登場する特殊な悪魔だ。メシア教会が全てを支配するに至った世界で、メシア教会に属する科学者が悪魔を素体に生み出した人造生物であり、用途は基本的に労働やイベント、あるいは食用などに割り振られる民生用途の代物。
元々はガイア連合発足からそれほど経っていないかなり早い時期に、シキガミ用の生体パーツを開発する際の参考としてショタオジに渡された文献に記されていた技術をベースにして、スカリエッティニキなどの仲間と一緒に研究していたものだ。
そして最終的にシキガミ用生体パーツの開発の目途が立ったのを契機に研究は終了したが、その技術の大半を俺が引き継いで続けていた。
その研究成果の一つが、コレだ。
「じゃ、俺達も出ようかエセルドレーダ。ここだけは、俺が出ないとどうしようもないからな」
「ええ、マスターの御言葉通りに。私はただ従うだけです」
エセルドレーダを引き連れて、俺はクローンヤクザ共の後ろからバスを降りる。
そんな俺の背後に付き従うのは、クローンヤクザとは異なるヒトガタだ。
表情の伺えない身長二メートル超の巨漢、死人のように蒼白い肌色、憤怒の面相に固まった禿頭の異相はかろうじて人間に見えなくもない。
異様に発達した筋骨を包むのは拘束具も兼ねた艶のない黒一色、防弾・対爆・防炎仕様の装甲コート。
そしてはっきり人外であると分かるのは、左掌の内側から伸びる舌のような触手だ。
これこそ正式量産仕様・兵士型デモノイド『ネメシスT型』。今回の任務は俺の護衛だ。
クローンヤクザとネメシスT型によって構成された武装集団。そんな異様な集団を前に、愚民共は思わず不安そうに顔を見合せた。中には港を出ていく改装フェリーに戻ろうとするかのように後ろを振り返る者もいるが、完全に無駄だ。とうの昔にフェリーは出港している。
戻れない、それを自覚させるために今、このタイミングで出てきた。
集団の中から代表らしきメシア教会の老神父が、群衆を掻き分けて前に出てくる。そうして何かを言おうとするが、それよりも早く動いたのは俺のクローンヤクザ共だ。
『『『『『『ダッテメッコラー! スッゾオラー!!』』』』』』
一糸乱れぬ隊列を組み、全く同じ動作で顔を斜め四十五度に傾け、一つのタイミングも乱れる事無く腹の底に響く声で【雄叫び】を放つ。本来は敵全体の物理・魔法攻撃を大幅に低下させるデバフスキルだが、この場合は哀れな群衆から攻撃性を奪い、意味もなく喚き立てる気力を奪うために使われる。
そうやって震え上がった群衆が黙り込んだと同時に、隣に立つエセルドレーダから拡声器を受け取ってクローンヤクザ共に向かって声を上げれば、それに応えてクローンヤクザ共も声を張り上げる。
「社訓、斉唱!」
『『『『『『社訓ッコラー! 社訓ッオラー!!』』』』』』
「第一!」
『『『『『『第一! 社員は死ぬまで会社の奴隷!!』』』』』』
「第二!」
『『『『『『第二! 社員は死んでも会社の財産!!』』』』』』
「第三!」
『『『『『『第三! 社員は永遠に会社の資源!!』』』』』』
「第四!」
『『『『『『第四! 社員の命に価値なし! 会社のために使い潰せ!!』』』』』』
「第五!」
『『『『『『第五! 社員の未来に意味なし! 会社のために使い捨てろ!!』』』』』』
「第六!」
『『『『『『第六! 社員に尊厳必要なし! 会社のために搾取されろ!!』』』』』』
以上、斉唱終了。
うん、まあ……威嚇効果としては十分だったみたいだな。委縮している群衆を前に、俺は拡声器を通して言葉を伝えていく。
「これから、貴様らは我々ガイア連合佐渡島支部、最終処分場“日本ブレイク鉱業”預かりの社員となる。拒否権はない。無理だろうが何だろうが働いてもらう。働け!」
途端に、群衆から口々に不満の声が上がる。
「横暴だ!」
「俺達は被害者だぞ!」
「基本的人権が!」
「ネトウヨ!」
「そんな、ひどい!」
「俺達がどうなってもいいのか!?」
「助けろよ!」
まあ騒ぐこと騒ぐこと。騒ぎながら、数を揃えれて声を大きく喚き散らせば言い分が通ると、自分たちの存在の重さや価値を見せつけられると思い込んでいる。月架手町でも、浦野牧でも、魚沼でもこの調子で何もせずに騒いだ挙句に追い出された癖に、何一つとして学習していない。
じゃなきゃ、少なくとも人として真っ当な馬ニキや田舎ニキがこんな最終処分場に送り付ける訳がないからな。
そして、そういったマーベルヒトモドキを黙らせる方法も、ちゃんと存在する────そう、暴力ならね。
『『『『『『ザッケンナコラー! スッゾオラー!!』』』』』』
頼りがいのあるヤクザシャウトをキメながら、近付いてきた群衆をクローンヤクザ共がその拳で片っ端から殴り倒していく。それだけで、馬鹿共の勢いが一気に削がれて後退っていく。
元よりコイツらは、他人に戦って養ってもらいながらハナクソほじって安全な場所から叫ぶだけしか能のない雑魚。自分の身を危険に晒す事なんてできないから、目に見える危険を見せつけてやれば一発で黙り込む……訳はなく、意味もなく叫び散らすので無駄に喧しい。だが無駄に詰め寄ってこなくはなるので、それでいい。
「さて、それがオマエらの答えって事でいいんだな。ならこちらはこうするだけだ」
指一つ鳴らすだけで、マーベルヒトモドキ共の全身が足元から徐々に……腹まではほぼ数秒で、そしてそこから先は秒速数センチというゆっくりした速度で白く染まっていく。石膏のように滑らかに、元素構造すら概念的・オカルト的に変容させ、石に代わっていくのだ。
ヒトモドキ共が一斉に豚のような悲鳴を上げる。うるさい。
「う、うわぁあああああ~!? お、俺の体が石に!?」
「石に、石にされてるぅ~!?」
「た、助けて~誰か~!」
「横暴だ! 何てやつだ!」
この石化こそ、俺のペルソナの一つ『審判・ミトラ』が持つスキル【死の契約】の効果だ。メガテン3で最も極悪ともいえるそのスキルの効果は────『会話して、自分の奴隷にならなかった相手を戦闘開始と同時に石化させる』という、この上なく意味不明かつ理不尽なもの。
今回、相手が詰め寄ってきても発動しなかったのは、クローンヤクザが馬鹿共をボコすまでスキルの発動タイミングを遅らせていたから、だが、発動させてしまえばこの通り。
パッシブに状態異常の発生率を引き上げるスキルに加えて、石化貫通なんて珍しいスキルまで持ってるから、会話すれば誰でも一発だ。
「喧しい! 殴られても石化されても喚き散らすしか能がないのなら、いっそ全員石化させてやろうか、ああ!? ……まあ、これから心を入れ替えて真面目に労働するというなら話は別だが」
と、一言付け加えても反応は鈍く。
「ふ、ふざけるな! 僕達には人権があるんだ!」
「俺達を殺すつもりか、この人でなし!」
「こっちは困ってるんだぞ、援助して当然だろ!」
「子供もいるのよ、何でもして助けてくれるのが当然じゃない!」
相変わらずのヒトモドキっぷりである。
「じゃ、マジで死ぬか?」
もう、ね。そろそろ喉元まで石化が進行しそうなのに、よくやるわ。
……まあ、台本通りではあるのだが。
「ま、待ってくれ! 社員になる、なるから! このワシだけは……いや、仲間の事も助けてくれ! 皆家族なんだ! この通りだ!」
叫ぶのは、マーベルヒトモドキの中に混じっていた中年の男だ。ちなみに名前は『大槻』……何で知ってるかって、そりゃ端から仕込みだからだよ。
だが。
「よしよし、そういう事なら解放してやろう。我が日本ブレイク鉱業の社員……いや、奴隷として、な」
石化の進行が止まる。
そして、大槻という男を中心に、ヒトモドキ共の全身を覆っていた白い石膏のような物質が一気に剥がれ落ち、元に戻っていく。
「お、大槻さん!?」
「大槻班長、そんな!」
「お、俺も……!」
「ありがとう班長、ありがとう……!」
解放された群衆は大槻に取り縋る者、その場にへたり込む者、顔を覆って泣き叫ぶ者、と反応は様々だ。……サクラの可能性とか誰一人考えてないようだ。
さて、契約は結ばれた。口約束だろうが、悪魔に関わる人間の前で迂闊に“契約”とか明らかに馬鹿のやる事だが、まあどうでもいい。ともあれ、コイツらの頭の中に“自分は従う立場だ”と刷り込んでやれた時点で十分過ぎる。
一度そういう立場を作ってやれば、それ以降の作業は楽だった。
支給品であるオレンジ色のツナギに着替えさせ、その代わりに持物を一つ残らず没収する。
ついでに他の支給品も配布だ。具体的にはツナギとセットになったキャップとブーツに、ポケットサイズの小冊子『就業規則』、そして専用の『ガイアポイントカード』。
特にガイアポイントカードは重要だ。金出して買える通常のガイアポイントカードとは異なり、目立つように真っ赤に彩色されたこのガイアポイントカードは、この島においては身分証であると共に、彼らの身を縛る最大の命綱にして拘束具なのだから。
そうして持物を回収し、支給品を配り終えたら、後は嫌がる群衆をダンプトラック数台分の荷台に押し込んで、そのまま出発。コイツらを住居に放り込んで、まずこの一日は準備に使い、明日から容赦なく働かせるとしようか。
◆ ◆ ◆
【ステータス】
■蝶野光爵《Lv.38》
ステータス:知・運型
耐性:破魔無効
(スキル)
・アギ系:修行で習得したスキル。火炎魔法。適性特高。マハラギバリオンまで使用可能。高火力。低確率で炎上の状態異常付与。
・フレイ系:修行で習得したスキル。核熱魔法。適性特高。フレイダインまで使用可能。高火力。
・ジオ系:修行で習得したスキル。電撃魔法。適性中。ジオンガまで使用可能。やや低威力の代わりに感電発生率高。
・ムド系:修行で習得したスキル。呪殺魔法(即死)。適性中。マハムドまで使用可能。
・ハマ系:修行で習得したスキル。破魔魔法。(即死)。適性中。マハンマまで使用可能。
・回復魔法:修行で習得したスキル。回復魔法。適性やや高。メディアラマまで使用可能。また状態異常回復も大半を使用可能。
・支援魔法:修行で習得したスキル。適性それなり。
・ペルソナ《魔術師・プロメテウス》《審判・ミトラ》《死神・ゲーデ》
(パッシブ)
・氷結耐性:氷結属性に対し耐性を獲得。
・食いしばり:戦闘中に1回だけ、HP1で生き残る。
・房中術:スケベ部仕込みの房中術。
・シキガミ作成:シキガミ作成が可能。ペルソナの権能を併せ、中級シキガミくらいなら特別な設備抜きでも製造できる。設備と素材があれば高級シキガミも自作可能。
・デモノイド技術:デモノイド作成が可能。ペルソナの権能を併せ、特別な設備抜きでもデモノイドを製造できる。
・異界作成:簡単な異界なら一人でも生成可能。元からある異界も操作可能。
・地脈操作:ある程度の地脈干渉やマグネタイトの吸い上げが可能。
◆ペルソナ《魔術師・プロメテウス》
ステータス:知特化型
耐性:火炎・核熱吸収、電撃無効、氷結弱点
(スキル)
・臨死ノ恍惚:ニアデスハピネス:敵全体の任意の対象に火炎属性特大ダメージ。標的数を減らす事に威力が向上する。
・マハラギバリオン:敵全体に火炎属性特大ダメージを与える。
・フレイダイン:敵全体に核熱属性特大ダメージを与える。
・メディアラハン:味方全体のHPを完全回復させる。
・コンセントレイト:次に発動する魔法攻撃のダメージ倍加。
(パッシブ)
・先賢の明:超高速演算能力。同時に、賢人の予見は的中する、という概念に由来する運命誘導能力を兼ねる。命中・回避に補正大。魔・速・運能力値を基準とする判定を知力で代用し判定可能。
・人祖の創造者:科学技術・論理魔術適性。特に炎熱操作と生体生成・操作に長ける。創造の権能によりシキガミパーツやデモノイドを含む生体組織を生み出す事ができる。スキルカードの生成・複製・挿入が可能。火炎高揚・貫通を獲得し、また火炎属性攻撃を発動した際に核熱属性を複合する。
・火炎サバイバ:火炎属性攻撃にダメージ補正。また戦闘中1回のみ食いしばり効果。
・火炎アクセラ:火炎属性攻撃にダメージ補正。また戦闘速度上昇。
・火炎スローダ:火炎属性攻撃にダメージ補正。また戦闘速度に対するデバフに耐性。
・火炎ハイブースタ:火炎属性攻撃のダメージ補正大。
・火炎貫通:火炎属性に貫通効果付与。
・核熱ギガプロレマ:核熱属性攻撃のダメージ補正大。
・核熱貫通:核熱属性に貫通効果付与。
・核熱高揚:火炎属性攻撃のダメージ・状態異常発生率補正大。
・技巧神の権能:金属操作。金属素材を自在に変形させ、道具を作り出す事ができる。武器・兵器や炉心の類であれば概念さえ知っている限り十分以上に形になるものが製造できる。
・あるいは現代のプロメテウス:霊基改造能力。屍鬼系統の悪魔を使役する事ができ、またその際に屍鬼を霊基ごと外科的に改造する事も可能。
◆ペルソナ《審判・ミトラ》
ステータス:知・魔特化型
耐性:物理反射、呪殺・破魔無効、氷結弱点
(スキル)
・死の契約:悪魔会話時、仲魔にならなかった対象を石化させる。
・メギドラ:敵全体に万能属性特大ダメージ。
・マハンマオン:敵全体に高確率で破魔属性即死。
・マハムドオン:敵全体に高確率で呪殺属性即死。
・天罰:敵全体に破魔属性で確定HP半減。
・ランダマイザ:敵全体の攻撃・防御・命中・回避を低下。
・フォッグブレス:敵全体の命中・回避を低下大。
・バリアコワース:敵全体のテトラ・マカラカーンを破壊。
(パッシブ)
・状態異常発生率UP:状態異常全般の発生率に補正。
・石化ブースタ:石化の発生率に補正。
・石化ハイブースタ:石化の発生率に補正大。
・石化プロレマ:石化の発生率に補正。
・石化ギガプロレマ:石化の発生率に補正大。
・石化貫通:石化の状態異常に貫通効果付与。
◆ペルソナ《死神・ゲーデ》
ステータス:魔特化型
耐性:呪殺無効
(スキル)
・ダークギフト:敵単体に呪殺属性極大ダメージ、カウンター・踏みとどまり効果無効。さらに敵全体に消沈効果。
・マハムドオン:敵全体に高確率で呪殺属性即死効果。
・ネクロマ:仲魔を種族:屍鬼として召喚する。また高度な降霊術が可能であり、屍鬼・悪霊を使役できる。
・スクンダオン:敵全体に命中・回避率低下大。
・トラフーリ:短距離転移魔法。戦闘から確実に離脱する。
(パッシブ)
・享楽する死神:呪殺貫通。回避率増加特大。戦闘開始時、敵全体に高揚解除・確定消沈、タルンダ・ラクンダ・スクンダ効果。味方全体に攻撃回避し、「敵全体に確定消沈・スクンダ効果」発動。また消沈状態の敵は常時タルンダ・ラクンダ・スクンダ効果を受ける。
・呪殺アボイド:呪殺属性攻撃にダメージ補正。また回避率上昇。
・消沈貫通:消沈の状態異常に貫通効果付与。
◆ ◆ ◆
さて。
────なぜ佐渡島金鉱などという“最終処分場”が必要になったのか。
時系列を遡って説明するなら、つまりこういう事だ。
△ △ △
【最近は】地方防衛スレ(新潟)part62【スローライフ】
287:名無しの地方転生者
やばいたすけて
288:名無しの地方転生者
一体どうしたw?
289:名無しの地方転生者
お、新人さんかな?
290:低ラン黒札
>>287だ。
さっき、依頼達成の報告を済ませたら、何かいきなり魚沼シェルターの市庁舎が豪雪地帯になった。真冬の魚沼市並み。
もう、周り一面雪で真っ白。
寒い。
なのに周りとか異界にもなってないみたいだし、わけわからん。
291:名無しの地方転生者
本当に一体どうした?
292:低ラン黒札
やばい。
一緒に雪に閉じ込められた受付のおばちゃんが「雪山で遭難した時は素肌を合わせて暖め合うのよ」とか言い出して服脱いで迫ってきてる。
やばい。
293:名無しの地方転生者
おwwwwばwwwwwwちゃwwwwwwwwwwんwwwwwwwwwwwwwwww
294:名無しの地方転生者
これが美人のお姉さんとかだったらまだしもな。
295:低ラン黒札
やばいやばい。
俺、今日の仕事片付けたらシキガミちゃんと結婚式挙げる予定だったんだよ!
シキガミちゃんはもう先に式場で待ってるから、こんなところで不義理してる場合じゃないんだよ!
俺の尻はアストルフォちゃんの物なんだよ!
助けて!
296:名無しの地方転生者
完全に死亡フラグで草wwwwwwwwww
297:名無しの地方転生者
完全に性癖丸出しで草wwwwwwwwww
298:名無しの地方転生者
いやさすがに冗談だろ? もしくは釣り。
魚沼市庁舎って、今田舎ニキがいるじゃん。
仮にトチ狂ったメシアンとか地方神がテロ起こしても秒で対処できる戦力だぞ。
299:名無しの地方転生者
いやマジだ。
さっき遠目に見てきたんだが、市庁舎のド真ん中で何か白く爆発みたいのが起きて、そこから何か冷凍ガスみたいのが漏れてる。
多分氷結属性の魔法攻撃か何かだと思う。
300:名無しの地方転生者
氷結属性って、田舎ニキの大得意じゃん。
それでどうやって田舎ニキを倒せるんだよ?
301:名無しの地方転生者
いや、田舎ニキはさすがに無事だと思うけど。
302:名無しの地方転生者
禿同。
でも市役所の建物が内側から真っ白になって、窓の中でブリザードが吹いてるみたいになってる。
しかも市役所の近くで難民がデモ起こしてて、建物に近付けない。
303:名無しの地方転生者
つまり難民がテロ起こしたって事?
304:名無しの地方転生者
無理だろ。
あいつら、覚醒者も少ない上に一番レベル高いので3とか行かないくらいのガチの雑魚やぞ。
305:名無しの地方転生者
あ、今破裂の人形が出てきた。空飛んでる。
306:名無しの地方転生者
いつもと違って青く光ってるな。何かカッコいい。
307:名無しのスケベ部員
おお、あれは。
308:名無しの地方転生者
何? 知ってるのか雷電!
309:名無しのスケベ部員
多分、主人とシキガミの間のパスに流し込むマグに氷結属性を付与してから、一気にブーストして流し込む事で機体そのものに氷結属性を追加してる。
あの状態でメギドラオンとか撃ったら、多分氷結属性との複合効果になるはずだ。
310:名無しの地方転生者
あ、バスターランチャー撃ったな。
狙いは・・・いやいや、デモかよ?
デモの行列狙い撃った!? 何で!?
いやまあ確かに迷惑な連中だったけどさ。
311:名無しの地方転生者
いてて
デモの連中がウチの店に強盗に入ってきたから止めてたら、普通に巻き込まれてブッ飛ばされた
いや手加減されたみたいだから無事なんだが、もう二度とメギドラオンの巻き添えにはなりたくないな
312:名無しの地方転生者
氷結属性付きメギドラオン(手加減)wwwwwwwwww
俺の知ってるメギドラオンと違うんだがwwwwwwwwwwwwwww
313:名無しの地方転生者
でも助かった。
あいつら、デモにかこつけてウチの幼稚園にも不法侵入してきて「お前ら公共施設だろ! そんなガキ共に使う金があるなら俺達に金をよこせ!」とか言い出してたから本当マジでやばい。
というか保母のお姉さんもレ○プされそうになってたから本当ヤバかった。
314:名無しの地方転生者
デモとは一体・・・?
ボブ訝
315低ラン黒札
助かった!
パンツ脱がされる寸前で田舎ニキのグリスブリザードが突入してきて助けてくれた。
316:名無しの地方転生者
本当にギリギリだったwwwwwwwwww
317:名無しの地方転生者
パンツは無事だったのかwwwwwwwwww
318:名無しの地方転生者
良かったな低ラン黒札ニキ。
尻は大事に取っとけよ。
319:名無しの地方転生者
でも、本当に何が起きたんだ?
320:田舎ニキ
すまん。
俺がやりました。
321:名無しの地方転生者
アンタの仕業かよ!?
マジかよ?
322:名無しの地方転生者
マジかよ!? とは思う。
でも納得しかない。
323:名無しの地方転生者
それで、何でこうなったの?
324:田舎ニキ
市庁舎は俺のせい。怒りのあまり、氷結属性のマグを放出し過ぎてこうなった。
異能者が本気でキレるとこうなるから、気を付けような!
325:名無しの地方転生者
もしかして難民のデモでキレた?
326:名無しの地方転生者
まあ、確かに嫌な連中ではあったよな。
近所のジュネスで酒買い込んで飲んで酔っ払って大騒ぎしてさ、ギャンブル大会まで始めてたし。
ジュネスとかガイア連合的に半分公共の場所みたいなものなんだし、本気でやめて欲しい。
327:名無しの魚沼市民
いや、それどころじゃないぞ?
俺は役所勤めだから知ってるけど、あいつらマジでクズだぞ。
最初、浦野牧を追い出されたアイツらがここに来てからこうなるまで、田舎ニキもマトモに対応してたんだ。
浦野牧からの連絡であまり良くない連中って事は分かってたから、他の市民とトラブル起こさないようにって郊外にテント村作って隔離したりな。
それで当座の生活費も少しだけでも支給して、後は魚沼市内で普通に生活していけるようにって職業斡旋もそれなりにやってた。
328:名無しの地方転生者
知ってる。
テント村にハロワの出張所建てたんだろ。
329:名無しの地方転生者
今の魚沼市は終末直後だからな。
潰れる工場なんかもそれなりにあるけど、逆に大きくなる企業も結構多い。
輸送が難しくなって現地生産しなきゃならなくなった民生用の生活必需品の工場とか、道路や工場の建設作業員とか、仕事を選ばなきゃ未覚醒者でも仕事見つけるのにそこまで苦労しないから、ハロワ建てるのは名案だよな。
330:名無しの地方転生者
ガイア連合からも低レベル覚醒者向けの依頼用事務所とか建ててたしな。
331:名無しの地方転生者
新潟一の米どころ、魚沼市なら最終奥義「開拓して田んぼ作って農民になる」が使えるって事もあるしな。
他のシェルターだとこうは行かない。
332:名無しの魚沼市民
でも、無駄だった。
あいつら全然働かないの。
333:名無しの地方転生者
ああ、やっぱニートなのか。
働いてるの見た事ないしな。
334:名無しの魚沼市民
真面目に仕事見つけて働いてるヤツもいる事はいるんだけどな、それでも半分以上がドブカスだ。
テント村でゴロゴロしているヤツ、街中で酒飲んで騒いでるヤツ、支給された生活費を一日目から全額パチに突っ込むヤツ・・・
そして金をなくして、真面目に働いてる人にタカりに行くから本当に最低。
335:名無しの地方転生者
しかもそれで都合が悪くなると「俺は被害者だぞ! もっと支援をよこせ!」とか騒ぎ出すんだよな。
336:名無しの地方転生者
じゃあ、今回のデモって・・・
337:田舎ニキ
そう、まさにそれだった
もはやぜつゆる
338:名無しの地方転生者
田舎ニキが壊れておられる・・・
339:名無しの地方転生者
馬ニキの浦野牧でも結構迷惑掛けたって話も聞いたな。
340:名無しの地方転生者
馬ニキ結構優しい人なのに、見放されるって相当だな。
341:名無しの地方転生者
開拓とか馬の世話とか仕事を斡旋しようとしたら「こんな奴隷みたいな仕事やってられるか」とか言って出ていったって話だぞ。
342:田舎ニキ
・・・そうだ。いい事を思いついたぞ。
やつらにぴったりな処刑方法を思いついた。
あいつら全員佐渡の金山にブチ込んで、死ぬまで強制労働させてやるんだ。
343:名無しの地方転生者
佐渡の金山この世の地獄、登る梯子はみな剣、かあ・・・
344:名無しの地方転生者
佐渡って、確かあそこにもガイア連合の支部はあったよな。
あそこ支部長誰だっけ?
345:名無しのスケベ部員
確かパピヨンニキやで。
元シキガミ製造部で、スケベ部も掛け持ちしてた。
346:名無しの地方転生者
つまり、スケベなシキガミを作れるって事か!?
347:名無しの地方転生者
なにそれすごい
348:田舎ニキ
じゃあ、パピヨンニキに連絡すればいいのか。
金山復活、できればいいけど・・・
349:パピヨン
できるぞ
◆ ◆ ◆
そうして相応の時間が過ぎ、佐渡金山が強制収容所としてオープンして、今に至るのだが。
◇ ◇ ◇
日本ブレイク鉱業の朝は早い。
まだ日も昇らぬ午前四時────佐渡島金山異界を中心に、そこを挟んで対称となる位置に作られた二つの居住区画『羽生蛇村ゲットー』『夜見島ゲットー』に、耳を劈くサイレンの音が鳴り響く。起床の合図だ。
『『『『『『ダッテメッコラー! スッゾオラー!!』』』』』』
断続的に鳴り響くサイレン音を背景に監督役のクローンヤクザの怒鳴り声が響き、まだ起きていない者は顔面を殴り飛ばされ、バケツで水を被せられて暴力的に叩き起こされる。
病欠など認められない。【アナライズ】を標準搭載したクローンヤクザに仮病は無意味だし、仮に本当の体調不良だとしても【ディア】と【ポズムディ】で即座に最低限の治療を施され、職場へと引きずり出される。
そうして眠い目を擦りながら蛍光オレンジのツナギに着替えてきた労働者達は班ごとに集められ、不満そうな表情を見せながらも三々五々と整列させられていく。
「社訓ッコラー! 斉唱ッオラー!」
「「「「「「第一! 社員は死ぬまで会社の奴隷!!」」」」」」
「声が小さいッコラー! スッゾオラー!」
声を出さずに口を動かして斉唱するフリだけしていた社員の一人が顔面に拳を叩き込まれ、短い悲鳴を上げて地面に転がった。寝起きだろうが関係なく、声が小さい社員は容赦なく殴り飛ばされる。それが分かっているから、社員達は必死に声を張り上げ、労働意欲をアピールする。
終末前にも普通に存在したブラック企業のやり口を真似て、社員の精神に負荷を掛ける手法の一つだ。
「第二ッコラー!」
「「「「「「第二! 社員は死んでも会社の財産!!」」」」」」
「腹の底から声を出せッオラー!」
体育会系のノリを悪意全開で拡大解釈したような生き地獄。どの道、ここに来るまでに少しでも救いがある人間はコイツらの中から離脱し、篩に掛けられて残っているのは民度最低のマーベルヒトモドキ共。そういう連中を統治するには、徹底的に自分たちが人間として扱われる余地のない事を理解させていくしかない。
そうして日課として設定した社訓斉唱が終了すれば、社員達は送迎用のダンプの荷台に乗せられて仕事場である異界化した佐渡島金鉱の坑道へと連れていかれる。朝食が食べたかったら、それよりも先に食べておくしかない。
◆ ◆ ◆
午前八時。
とりあえずどれだけ寝てても文句を言われず、そして特に困る事もない、そんな理想的な労働環境を完成させている俺は、それくらいの時間にゆっくり起きた。特に誰かに起こされたというわけでなし、ただ窓から差し込む陽射しの熱に当てられて目が覚めた、というだけ。
「おはようございます、マスター」
「……とりあえず起きる、か」
エセルドレーダの声に体を起こす。着替えて、身支度を済ませて、大きく背伸び。相変わらず、窓の向こう側に見える佐渡島の海は青く晴れている。
「今の時間なら、アルファとガンマが朝食をとっている最中です。会っていかれますか?」
「そうするよ。当然」
リビングへ向かうと、金髪を長く伸ばした碧眼の少女『アルファ』と、同じく長い黒髪の少女『ガンマ』が優雅に食事をとっている。
どちらも、佐渡島支部を運営するにあたって作り出した俺のシキガミだ。俺が佐渡島に支部を立てたのが半終末始まったくらいだから、結構な付き合いになるな。
「おはよう、二人とも」
「ええ、おはようマスター。元気そうね」
「おはようございますマスター」
今日の朝食はパンがメインの洋食だ。
メニューはオーソドックスなコンソメスープにベーコンエッグ、そして新鮮なサラダ。
優雅に手を動かして食事中の二人にはよく似合っている。
「ところで、二人とも調子はどうだ? 鉱山業も始めたばかりだし、感想でもあれば聞きたいな」
「そうね……私の職分でいえばとりあえず今のところ、他の業務に支障は出ていないわ。でも想像以上に順調で驚いている部分はあるわね」
アルファの答えはそんなものだ。佐渡島支部の副支部長である彼女の役割は、佐渡島シェルターを運営する七体の幹部シキガミ“七陰”の統括であり、包括的に佐渡島シェルター全体を見渡す立場なので、そんな答えになってくるのだろう。
一方、ガンマの答えはといえば。
「社員達はあちらこちらのシェルターから厄介払いを繰り返された面倒な手合いと聞きましたが、想像以上に従順ですね。こちらの指示に反発こそしているようですが、暴動や脱走を企てる気配は今のところありません」
「当初から危険視されていた佐渡島の住民との接触も皆無に近く抑えられているから、騒ぎも起きていないしね」
「ああ、それは俺も思ったな。まあアイツらはとにかく誰かを矢面に立たせて、自分は安全に利益をタカろうとする人種だ。だから逆に、身代わりにできる英雄様がいない限りは何もできないさ」
ガンマの仕事は企業経営。佐渡島支部で現在最もホットな話題といえる『日本ブレイク鉱業』だけでなく、俺の専門分野であるデモノイドを始めとした各種生体ユニットを製造するバイオ化学企業『日本生類創研』の経営を任されており、今でも結構な利益を安定して稼ぎ出してくれている。
「企業運営の方はどうだ?」
「そちらも問題ありません。各方面からの支援が順調に集まっています。対価として、各地から問題がある難民を受け入れる必要がありますが、現状のシステムなら問題はないかと。ただ、難民が増える事を考えると事業拡大を前提に設備投資を行っていただくか、人員の消費ペースを早める必要がありますね」
「なるほど。……まあ、それぞれを並行して進めていくのが現実的かな」
どうにも前途多難で、先は長そうだ。
まあ、とはいえ頼りになるシキガミ達がいるので問題はない、かな?
◇ ◇ ◇
午前4時30分から午前7時50分まで、しめて3時間20分。そこから休み時間10分を入れて、午前8時から12時正午まで、また4時間労働。
日本ブレイク鉱業に所属する労働者の、大雑把かつ一般的なスケジュールである。
当然ながら重労働だ。
ツルハシを振るって坑道の壁を崩し、鉱石を拾っては足元のバケットへ。ただこれを無心で繰り返すのが仕事だ。
ほとんど休みなしで続けられる作業は、どうしようもなく単調で重労働だ。加えて、異界化した坑道の内部には低位の異界法則が組み込まれており、中で働いていれば“消沈”の状態異常が付与されるシステムだ。労働者から逆らう意志を奪いつつ、精神に負荷を掛けストレスを増大させる。
無論、中には耐え切れない者が出てくるが。
「もう嫌だ! 俺は帰る!」
「ザッケンナコラー! スッゾオラー!」
ツルハシを放り出して逃げ出そうとした労働者は、途端に駆け付けてきた現場監督のクローンヤクザに殴り倒され、従順になるまで殴り付けられてから最低限の治癒を施されて再び作業へと戻らされる。こうして周りから見える場所で怒鳴って殴る事で、相手の自己肯定感を削ぎ、周囲に対しては見せしめとしても機能する。
監督役の仕事は“とにかく怒鳴り、殴る”事だ。怠ければ殴る、態度が悪ければ殴る、何か怪しければ殴る、何なら特に何事もなくとも理由なく定期的に殴って見せつける事まで業務に入っている。ブラック企業のやり口である。
そんな様子を横目で見ながらツルハシを振るっていた『安藤』という男は、クローンヤクザに見つからないように小さく毒づいた。
「クソッ、何で俺がこんな事……!」
「しっ、ヤクザに見つかるとまた殴られるよ」
「分かってるよ!」
脇で同じようにツルハシで岩盤を掘っていた『三好』に窘められると、忌々しげに舌打ちして安藤はまた作業に戻る。延々と続く作業、作業場の隅に置かれた時計は最前に見た時からあれほど長く手を動かしていたはずなのにも関わらず、五分程度しか進んでいない。
「あー、もう……こんな事になるなら、浦野牧か魚沼で仕事探してればよかったよ」
小声で毒づきながら、どうにもならない苛立ちをツルハシに込めて岩盤へと叩き付ける。それくらいしかストレス解消の方法がない。そういう風にできている。
「どうせなら、最初のシェルターが崩壊なんてしなけりゃ余計な仕事しないでやってられたのにな。黒札のお気に入りで金札だからってあの女、シェルターの経営ミスりやがって」
「そうだよ! だいたい、シェルターの経営に失敗したからって自分と子供だけで安全な山梨に行くなんて許せない。俺達だって連れて行ってくれればこんな事にならなかったのに!」
終末当時に彼らが元々いたのは、小学校教師だった金札異能者の女性がパトロンである黒札にねだって生徒達のために用意した中規模シェルターだ。
生徒とその家族を守るだけの設備と物資しか用意されていないそこに、救助を求める市民達が殺到し、許容量のゆうに十倍以上の人数を収容する羽目になったシェルターでは賄い切れない物資をどうにかするためにシェルターの運営者である女性が外に出て悪魔に襲われ重傷を負った事で、シェルターの運営が完全に行き詰った。
あまりに酷い事態に匙を投げたパトロンの黒札は、ガイア連合密輸課のトラポートサービスを利用してシェルター運営者である金札女性と生徒達、そしてその家族だけを山梨へと連れ去った。
なお問題の金札女性はパトロン黒札の自宅を警備する仕事にクラスチェンジしたりしているのだが、まあそれは関係ない話。
ともあれ置いていかれた市民達は物資の尽きたシェルターに寄生を続ける事もできず、その大半がシェルターを抜けて近場にあった月架手町シェルターへと助けを求めるも拒絶され、そのまま浦野牧、魚沼へと流れ、そこで一騒動起こし、怒らせてはならない相手を本気で怒らせた末に今に至るのだが。
ともあれそんな無駄話をしていれば、監督役のクローンヤクザが気付かないはずもない。そもそもクローンヤクザの仕様は警備用であり、知覚力もそれなりに高い上に、見た目人間と変わらないように見えても下手な猛獣より余程に強いのだ。
だから当然。
「ナンオラー! スッゾコラー! ザッケンナコラー!」
「ぎゃっ! ぐふっ!」
「げぶっ!? 痛い痛い! ガッ!」
「ダッテメッコラー!」
「げふぁ! ゴッ! ガフっ!」
「ぎッ!? やめろ! ぎゃっ!」
「ナンオラー!」
「あぐっ! ひっ、痛っ! ぐふっ!」
「げっほ! ガっ! やめて!」
散々に殴られ、気絶するまで殴られては叩き起こされ、そして再び殴られ、ジャンプ漫画換算で体感七ページ半くらい殴られ続けた末に抵抗する気力も無くなったところで治癒されてまた仕事に戻される。これが一般的な佐渡島金山での業務形態である。
◆ ◆ ◆
午前十時。
ここ佐渡島シェルターの運営は基本的に七人のシキガミ“七陰”に丸投げしてあるため、俺の仕事は少ない。とはいえ、それはそれとして完全に仕事がないわけでもなく、“支部長”“黒札”という肩書が必要になる場合があれば、それは俺の仕事だ。
今回の俺の仕事は“電話を掛ける”事。そこまで難しくない営業の仕事だ。
「────あ、もしもし馬ニキ? ああ、いや鉱山経営は順調そのものだよ。シキガミ達も驚いてる。それで今回の要件なんだが、ちょっと商品の売込みがしたいんだ」
とりあえずデータ送信、っと。
「今回売り込むのはデモノイド……いや戦闘用じゃなくて民生用だから、そこまで強いものじゃない。デミナンディって知ってる?」
────デモノイド『デミナンディ』。
『真・女神転生Ⅱ』に登場したデモノイドの一種だ。見た目は牛みたいだが、そのサイズは倍以上。
だが、このデモノイドの用途は実は“食用”だ。
その肉牛としての性能は途方もなく、デミナンディ1頭につき11,000人前のステーキ肉が取れるとかで、この“ステーキ肉”のサイズを標準的な200gと計算すると何と2,200㎏に及ぶ。一方で体重800㎏の一般的な肉牛から取れる肉の総量が約250㎏弱といい、これはステーキにできないレバーや挽き肉などの重量も含めている事を考えると、デミナンディ一頭から採れる肉量は通常を遥かに超えるものになるのは間違いない。
しかも悪魔を素体にしているから生体マグネタイトを吸わせるだけで養う事ができ、文明崩壊のせいで畜産用の飼料となる作物の栽培もままならない『真・女神転生II』の世界では食材として非常に重宝されていたのだとか。
「あ、さすがに知ってたか。そうそう、インドのナンディを素体に作ったそのデミナンディ。で、そのデミナンディの技術を応用して開発したのが今回のデミフリムニルだ」
『新・女神転生Ⅱ』の世界においてデミナンディのベースになっていた悪魔はインド神話でシヴァの乗騎となっている神牛ナンディだ。
そんな代物がメシア教の世界で食肉として流通されている事には、高位の神獣を食料として貶める事でインド神話そのものを零落させ、インドの神々の力を削ぐという中々にブッ飛んだ理由があったりもするのだが。
とりあえずそれをそのまま再現してしまうと危険なので、デミナンディは名前だけ借りるだけ。
そもそもナンディには肉牛の権能がないシヴァの乗騎なので、インド神話を冒涜する必要がなければわざわざ素体にする必要はない。
ので。
とりたてて神話的背景のない、台湾で語り伝えられる牛型魔獣テーグーを素体とした。
凶暴性を削ぎ、危険極まりない地震を引き起こす権能は地下霊脈からのマグネタイト吸収機能へと変化させて。
何より、普通に流通する食材として問題ない程度の味と肉質、そして肉量を兼ね備えた形態へと霊基を調整し。
そんな具合に、家畜として問題なく飼っていけるだけの個体が完成し、そして量産ラインに乗せる事に成功した。
今回の新商品は少しだけ違う。
肉牛としての権能をほぼ持ち合わせていないナンディを使って食用であるデミナンディを製造できる以上、食用としての権能を持ち合わせた悪魔を素体にすれば、さらなる生産効率の向上が見込めるであろう、という発想から。
見た目は全長3mのブタであるデミフリムニル。素体は北欧神話に登場するイノシシの聖獣セーフリムニルであり、ヴァルハラに招かれた戦士エインヘルヤル達に振舞われる最上級の肉であるが、これはどれだけ大勢の人間に食われようと食べ尽くされる事がなく、毎日料理しても夕方になれば元に戻るという逸話のある肉だ。
デミフリムニル自体にはそこまでトンチキな再生能力はないが、その分だけ肉量に特化した身体構造を持ち、一頭ごとの可食部位も相当に大きなものになる。
「元々食材としての逸話がある聖獣だからね、食材にしても貶める事にはならないし、むしろ信仰を集める形になるのさ」
既に量産するまでの技術と体勢は整っているし、実験農場で行った試験的な育成にも問題なし。ただ、佐渡島で大規模生産するには土地面積が足りないので、土地に余裕があって牧畜のノウハウも相応に持ってそうな馬ニキに売り込みを打診した、というわけだ。
あくまで主力商品はデミフリムニル……ではあるが、他にも商品はあるので。
神獣ナンディではなく、食用にしても特に問題ない低位の魔獣型悪魔をベースにした肉牛型デモノイド、商品名デミナンディ。佐渡島産デミナンディにはナンディ肉は一切使用されていないのだが、デミナンディの名前の方が黒札には分かりやすいと思うので。
それ以外にもデミフリムニルと同じく北欧神話ベースで、似たような権能を持つ破壊神トールの使役する山羊タングリスニとタングニョーストをベースにしたデミタングなんかもある。
その辺も、とりあえずデータを送っておこう。
「うーん、話を持ち帰って検討? うん、いいよいいよ。とりあえずサンプルだけは欲しい? オッケーそれじゃ次の定期便で送っておくから、それじゃ」
ふむ。
まあ想定内。
馬とブタじゃ育て方も利用法も何から何まで違うだろうし。
「うーん、デミタングの方をメインで売り込むべきだったか……うーん、でもデミフリムニルの方が素体悪魔に戦闘系の逸話がないから、何かあった時に安全ではあるんだよな……」
終末後の食糧事情を大きく上向かせる画期的な製品、と内心で自負していたのは事実だが、まあブツも見ないで二つ返事で畜産始めるのも心配だろうしな。
まあ、こんなものだろう。
◇ ◇ ◇
12時、正午。
佐渡島金山の労働者達の時間割では、ここから30分間の昼休憩となる。
もっとも────。
「ダッテメッコラー! スッゾコラー!」
「げふっ!? ガッ! ゴハッ!」
時間が来たからといって即座に仕事を放りだそうとすれば、こうしてやはり殴られる理由になるのだが。
足元に残っているバケットに詰め込めるだけ鉱石を詰め込んでトロッコまで持っていき、トロッコを送り出して初めて昼休憩に入る事が許される。
「食べるか……」
「そうだな……」
安藤と三好は連れ立って、坑道の入り口から少し離れた場所にある購買部へと向かう。労働者たちの昼休憩はあえて短く設定してあるので、下手に行列に並んでいたらあっという間に時間が無くなってしまうのだが、今回は行列の比較的前の方に並ぶ事ができた。
労働者の給料は真っ赤に彩色された専用のガイアポイントカードに、ガイアポイントという形で振り込まれる。購買部では、それを利用して買い物をする事ができるのだが。
「……これっぽっちか」
「少ないな……」
赤のガイアポイントカードに振り込まれる給料は日当3000~4000ガイアポイント。格差が付いているが仕事や実力で決まるわけではなく、カードを受け取った時に完全ランダムで決定される。待遇に格差をつける事で、労働者同士の反目を誘発させるためだ。
しかもこのカードには振り込み上限が設定されており、10000ポイントを越える額を貯蓄する事ができず、溢れたポイントは全て無駄になる。黒札、または支部長以上の階級の金札であればこの制限を時間制限付きで解除する事ができるのだが、それは二人には関係ない話だ。
結局二人は仕方なしに購買部で一番安い食品であるブロック型の携帯食『ソイレントグリーン』をミネラルウォーターと共に購入し、それで空腹を満たす。合計金額1000ガイアポイントだ。
「チッ、不味いぜ」
「だよね。購買だってもうちょっと美味しいものを置いてくれれば俺達だってやる気出すのにさ」
ソイレントグリーンは美味という概念からは程遠い。フレーバーも何もない、ただ甘いだけの味付け。パサパサとしており、口の中でボロボロと崩れていく触感は喉にも不快で、ミネラルウォーターで流し込む事でどうにか食べられる、そんな代物だ。
三食食べれば一日に必要な栄養素とカロリーを得られるように設計されているが、栄養重視などという代物ですらない“最低限”で“最底辺”を追求した食品だ。
それどころか、魔人ブラックライダーの権能を持つ悪魔を利用し、原材料となる米を育成する時点で微弱な飢餓の概念を付与する事により、食べた者の感情に作用し、腹一杯に食べたとしても一欠片の満足感も感じられないように魔術的な仕掛けが施されている。
このため、原材料には呪詛や呪殺属性と相性がいいキクリ米が利用されているのだ。
「あー、足りないなー……あ、ごめん安藤、トイレ行ってくるよ」
こうも満足できないと、どうしてもそれ以上が欲しくなってくる。
蛍光オレンジのツナギのポケットを探って感触を確かめると、三好はトイレではなく、先程利用したばかりの購買部へと向かった。密かに隠し持っていた千円札を懐から取り出し、レジに並んで店番である簡易シキガミに手渡そうとした瞬間。
「ダッテメッコラー! スッゾオラー!」
「ぎゃッ!?」
急に現れたクローンヤクザに殴り倒され、札を没収されてしまう。フェリーで佐渡に連れてこられる前からこっそり大事に隠し持っていたものだが、そんな努力に無駄になってしまう。
「ひっ、こ、これは……!」
「ザッケンナコラー!」
「あうッ! あっ、痛い! ぎゃっ、ゲフッ! やめて、うわぁ~ッ!」
隠して島に持ち込むなどしなければ、労働者が得られる金はガイアポイントだけだ。にもかかわらずガイアポイント以外の金で購買部が利用できるようになっているのは、こうやって労働者に“使わせる”ためだ。
無論、ガイアポイント以外の金を持つ事は就業規則で禁止されており、クローンヤクザに見つかれば、こうして即座に没収され殴られる事になっている。
散々殴られてから放り出され、三好はその場から去っていくクローンヤクザの背中を恨みがましく見つめ、そして影から見ていた安藤へと向かっていくのに気が付いた。その安藤がガイアポイントカードを取り出すと、小さな電子音と共にカードの端に仕込まれたLSDが点灯する。
密告されたのだ、と気付いた三好は、恨みを込めて安藤の姿を睨みつけた。
日本ブレイク鉱業の社員には密告が奨励されている。わずか500ポイントだが、密告すればガイアポイントが支給されるのだ。
そして同時に、密告をした事実がそれとなく周囲に悟られるようにもなっている。ガイアポイントカードのLSDが光り、電子音が鳴るのも外から見て金銭のやり取りが見えるようにするためだ。
「安藤のヤツ……あんな端金で僕を売りやがって……許さない!」
絶対に仕返ししてやる、と、握り締めた拳を震わせながら三好は後ろ暗い決意を固めていた。
名無しのレイさんに佐渡島使用のゴーサイン貰ったので投稿。名無しのレイさん本当にありがとうございます。
~割とどうでもいい設定集~
・蝶野光爵
元ネタは『武装錬金』。
見た目はパピヨンだがパピヨンコスプレはガイア連合のコスプレパーティーでもない限り滅多にやらない。
ペルソナ使い。特にワイルド能力者というわけではないが複数ペルソナが使える、P1やP2の系統のペルソナ使い。フィレモンとの遭遇経験もアリ。
専用ペルソナは『魔術師・プロメテウス』。
単純に強いというよりは、戦闘もできる技術者という形。
シキガミ製造部とスケベ部の掛け持ち。
技術者としてはメカ系よりもバイオ系で、デモノイドとかいうクソマイナーな分野を専門としている。
またバイオ系技術者としてロボ部にも首を突っ込んで、人工筋肉の開発に携わっているため、そっち系の技術も有している。
ガイア連合佐渡島支部の支部長であり、佐渡島シェルターのトップ。
佐渡金山を強制収容所として運用している。
エセルドレーダや七陰を筆頭に多数のシキガミを従えている。
・佐渡島シェルター/ガイア連合佐渡島支部
支部長は蝶野光爵。
佐渡島一帯の各重要地点を結界で包んだタイプのシェルター。
基本的に黒札は蝶野しかおらず、シキガミとデモノイドを大量に使役する事で運営されている。だから独裁が効き、強制収容所みたいな周囲に受けが悪そうな施設も簡単に用意できた。
ただしシキガミの頭数が多いため、戦力に関しては相当に充実している。
・難民
ある意味一番重要な設定。
初出はアビャゲイル様『【R-18】アビャゲイルの投下所第二支部【カオス転生ごちゃまぜサマナーN次創作】』。
さらにれべっか様『【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話』、名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』に連続出演している。
一言で言えば民度・マーベル。別名マーベルヒトモドキ。
あまり描写がなかったので細かく書いていたら長くなった。
あちらこちらのシェルターに散々迷惑掛けた末、佐渡金山に押し込められた。
魚沼市デモ事件については、人として真っ当なシェルター経営をやってる田舎ニキを、強制収容所もやむなしと考えるくらいにマジ切れさせたかったらこれくらいやらなきゃ駄目だろうなと思った結果。
・日本ブレイク鉱業
ガイア連合佐渡島支部の下部組織。
大量のクローンヤクザで労働者を監督し、佐渡金山から各種鉱物資源を採掘している。
その実態は意図的に作られた超ブラック企業であり、マーベルヒトモドキの収容所にして最終処分場。たぶん他のシェルターから処分料をもらっている。
・日本生類創研
ガイア連合佐渡島支部の下部組織。
蝶野のデモノイド系技術を用いて色々と生産している。
最大の売れ筋商品はロボ用の人工筋肉。ロボそのものを販売するのではなく、自動車会社に自動車部品を納品するような感じで部品を販売している。
他にもクローンヤクザなどの各種デモノイドや、デモノイド技術を応用した各種生体型シキガミパーツを販売している。
・愛ネキ
ねこinu様『なろう系な俺たち』の『お母さんな俺たち』より。
お母さんなお姉さん。見た目はFGOのエウロペ。
スケベ部所属で風俗店運営者だが、そっち系のコネクションとしては本家様のミナミィネキとバッティングするので割と影が薄い部類。
コネクションとして使うなら、スケベ部の技術指導が欲しいけど、現行の嫁がいるからミナミィネキに手を出されると困る人や、神官娼婦としては最高クラスなので、そこから神々に対するコネクションが欲しい人向け。
・くそみそニキ
ボンコッツ様『霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。』より。
見た目はくそみそな阿部さん。
現地人人妻に夜這いされたら旦那まで食っちまうやべーやつ。多分性的に一番やべー。
なお術者としても有能で、特に占術方面で力を発揮する他、指導能力に長けている様子。あまり善人とはいえないが、教育能力は間違いなく超一流。
・田舎ニキ
名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
魚沼市シェルターのトップであり、クズリュウを退治した新潟県一帯の特記戦力。氷結属性の技を得意とする異能者。
ヒノエ島のヒノエ米に対抗してキクリ米を売り出した重農主義者。
転生元に諸説あるが、作者の個人的にはロシアの冬将軍を推している。
・馬ニキ
れべっか様『【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話』より。
浦野牧シェルターのトップ。馬牧場の主。機械の大半が役立たずになる終末において、馬が移動の要となると踏んで牧場経営を始めた人。
シキガミがウマ娘のため、レギュレーションに従って毎回戦闘をスキップされる。
最近、ロキに転生元を乗っ取られ掛けた。
馬以外、特にデモノイドも育てられるかは不明。
・スカリエッティニキ
アビャゲイル様『【R-18】アビャゲイルの投下所【カオス転生ごちゃまぜサマナーN次創作】』。
KSJ研を仕切る三人の復讐者の一人。
色々とやっているが色々と形容しがたい人。そして大半が表に発覚していない人。
表向きには長野に研究所を置き、月架手町シェルターなどを運営している。表の主力商品は蟲毒皿だが、専用の射出兵器であるピッチングマシン共々、メシアンの機転により毎回ポイ捨てされる模様。
蝶野との関係は昔の研究者仲間で友人同士くらいの想定。ただし仲は割と良い。
・エセルドレーダ
元ネタは『デモンベイン』。
蝶野のシキガミ。
ショタオジ製の高級シキガミであり、蝶野にとっては最初のシキガミ。
サポート能力に長ける。
・七陰
元ネタは『陰の実力者になりたくて』。
アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ゼータ、イータ。
佐渡島支部ができた時に製造した七ツ子のシキガミ。
七人で佐渡島支部の大半を運営している。
・クローンヤクザ
元ネタは『ニンジャスレイヤー』。
デモノイド。レベルは15くらい。物理耐性、精神無効で、スキルは大半物理型だが近接・射撃の双方がこなせてアナライズができる。
佐渡金山で監督役として運用されているモデルにはそれ以外にもディアとポズムディが搭載されており、労働者を過労死以外では死なせない。
用途的には戦闘員・警備員であり、それ以外にも雑用くらいはこなせる。一介のヤクザにできそうなことならとりあえず何でも。
デモニカ用のデータリンクシステムが搭載されており、集団行動も得意。とりあえず自前でデモニカを着込んだサマナーであればデモニカ部隊を運用する気分で指揮ができる。
バリエーションとして警察用のクローン・マッポなども存在するが、ガワと口調が違うだけなので実は大差ない。
なお日本生類創研で売りに出されているが、大量購入するためには黒札、または支部長クラス以上の金札である必要がある。
量産が効きコスパがいい。
・ネメシスT型
元ネタは『バイオハザード』。
デモノイド。レベル25くらい。かなり高額。
戦闘用。
ゴリゴリの近接物理じみた外見だが、G3シリーズの高級オプションとして使用される大型火器を生得武器としてどこからともなく取り出してくるため、むしろ射撃戦で猛威を振るうタイプ。
これもデモニカ用のデータリンクシステムを搭載されており、集団戦における結構な脅威となる。
日本生類創研で売りに出されているが、黒札のみ購入可能な高級品。
・デミフリムニル
デモノイド。
北欧神話のセーフリムニルをベースにした食肉用デモノイドであり、採れる肉の量はデミナンディに匹敵する。
見た目はでかいブタ。