◇ ◇ ◇
12時30分。あえて短く設定された昼休みを終えれば、労働者達は再び仕事に戻らなければならない。労働者の中にはまだ食べ終わってない者もいるが、そういう者は普段通りに怒鳴られ殴られ、無理矢理作業場に戻される事になる。
何も言わず押し黙ったまま、三好は黙々とツルハシを振るっていた。
「…………」
奥歯を噛み締める。
密告の件、忘れていない。
どこか浮かれて嬉しそうに見える安藤の様子を横目で睨み、しかし監督役のクローンヤクザが背後を通り過ぎたのに気付いて、三好は身体を強張らせる。
「ザッケンナコラー! スッゾオラー!」
幸いな事に、殴られたのは三好の隣にいた他の労働者であるようだ。
珍しい名前だったから憶えている、確か天之河とかいう男だった。
確か魚沼市シェルターでのデモの時にも中心的な立場で精力的に活動していた記憶があるが、それも既に見る影もない。
「あいつがデモなんてやろうって言い出したせいでこんな事に……!」
殴られる男の顔を横目で眺め、いい気味だと思いながらも巻き込まれないように視線を逸らし、無心になってツルハシを振り下ろす。乾いた音を立てて崩れる岩盤の中から鉱石を拾い上げてバケットに放り込むと、鉱石で満杯になったバケットを持ち上げて台車の上に乗せ、運んでいく。
反対側で人が倒れる音がした。どうやら過労で倒れたらしい。どうやら過労で倒れたらしいが、クローンヤクザが手を出さないところを見ると、ディア程度の低位魔法でどうにかなる域を越えているのだろう。
だが、クローンヤクザも含めて誰も死体を片付ける様子もない。死体なんて気持ち悪いし、さっさと片付けて欲しいとクローンヤクザに視線を送るが、何か言おうとした他の労働者が容赦なく殴り倒された事から、余計な事を言う者もいなくなり、死体はその場に放置された。
その理由が気になったが、問い質す相手もおらず三好は黙って作業を続けていた。
◇ ◇ ◇
午後一時。短い昼休みを終えた労働者が、苦々しくも労働を再開する時間だが、大半の佐渡島住人にとっては関係ない。終末に伴い、シェルターの結界で覆われていなかった場所には相応の被害が出たものの、それも既に住民の大半は生活の再構築に入っている。
佐渡島南部、小佐渡山地西側。真野湾の内側に面し、かつては旧西三川村が存在し、西三川砂金山などと呼ばれていた一帯。青々と波を立てる日本海と、木々に包まれた山並みとの間に圧迫されるようにへばり着いた人里を離れ、少しばかり山の中に踏み込んだ辺り。
立ち止まって耳を傾ければ木々の合間を通り、住宅街の生活音に混ざって潮騒が聞こえてくるような、そんな場所。
後部に大型のリヤカーを接続した自転車が数台、荷物を満載にして走っている。
異能者用に調整されたガイア連合製シキガミ自転車は、物理系異能者の馬力があれば下手なバイクよりもスピードを出せる上、リフトマ系統の術で悪路も楽々走破でき、しかも専用のリヤカーに接続する事で軽トラ並みの貨物を負担なく運搬できるという優れものだ。
あくまでも異能者の搭乗を前提とした代物であり、誰もが平等に恩恵を受けられるというわけではないが、佐渡島一帯を走り回るには十分なもの。むしろガソリンを使わず、またバイクより小回りが利く分、利便性に秀でているともいえる。
もっとも、今日はそこまで急ぎの用事というわけでもなく、悪魔とカーチェイスするような速度は出さずに、のんびりとペダルを漕いでいる。
そんな自転車に乗る彼らも、やはり異能者だった。この近辺を縄張りとするガイア連合傘下の地元霊能組織『瀬戸組』の構成員であり、その先頭を走っている一台に乗っている少女が、組長である『瀬戸燦』だった。
瀬戸組は表向きこの近辺の漁場を縄張りとする漁業組合であり、同時に同じくこの辺を仕切るヤクザ組織であり、さらに佐渡島を守る霊能組織の一つ、という複雑な性質を持っている。終末の到来に先立って半終末のアメリカにおける邪神クトゥルーの降臨に際し、海産物系の半魔やデビルシフターの集団である彼らは強烈な影響を受け、組織崩壊の瀬戸際まで追い詰められた結果、ガイア連合傘下に入る事になった。
元々表向きの活動は漁民としての側面だけだったが、現在はガイア連合傘下のオカルト組織としての面も表に出し、霊的治安の維持に対する協力と、さらにはガイア連合由来のオカルト漁法の実用化までも進めている。
「うーん……今日もいい天気やなあ……」
「そうですねえ。ここしばらく晴れが続いておりやすが、大事な奉納の日に雨が降らなくて助かりやした」
燦の一つ後ろで同じようにゆったりと自転車を走らせているアフロでグラサンの男性が、瀬戸組若頭である『政』だ。燦が父親から瀬戸組を継ぐ前から幹部だった彼だが、その頃から瀬戸組を支えてくれていた。
「終末と聞いてどうなるかと思ってましたが、これくらいで済んだのは御の字でございやすねえ」
「蝶野さんがシェルターの結界を敷いてくれたお陰だけど……町じゃあ結構な被害が出てたきんね」
関西弁とも微妙に異なるイントネーション、実質は讃岐弁をベースとしつつも伊予弁や広島弁を交えた四国系ちゃんぽんともいえる言葉遣い。だが実のところ彼女の生まれも育ちも佐渡島で、佐渡以外の土地を知らず、しかし燦は自身が生まれ育った佐渡島というこの土地が好きだった。
「海外じゃあそれどころでなく、世界中が紛争状態なんて話ですが」
「そこまで行くと、私にはもう訳分からん話やきん。私には私のできる事をできるだけやるだけや」
坂道を上り、小高い丘の上から街を見下ろすと、海と山に挟まれた細長い田舎町の街路を、人型をした鋼鉄の機械が横切っていく。ナイトメアフレーム・グラスゴー────ガイア連合佐渡島支部の予算で呉支部から購入された全長六メートルの人型機体だ。
呉では既に旧式化している安物だが値段も安く、ランドスピナーと呼ばれる脚部ローラーと、移動用も兼ねたアンカーユニットであるスラッシュハーケンにより、市街・山岳どちらの踏破能力にも秀でているため、有人仕様のコクピットをシキガミコア制御に改装して治安維持・対悪魔用に使っている。
人型の巨大ロボットが町中を走っていく姿など終末前には絶対に見られなかった光景だが、今となっては日常だ。
「お嬢の仕事は女にしか務まりませんからなあ。蝶野の旦那の愛人なんざ、男のあっしらにとってはどうしようも……」
「ストップや政さん。それは、ストップ」
「おっと、申し訳ございやせん。デリカシーが足りなかったようで」
肩をすくめた政に向かって、燦は更なる罪状を追加。
「それと政さん、もう“お嬢”やないから」
「おっと、これは失礼」
「もう……いくら半終末からこの方ろくに背も伸びてないとはいえ、うちも二十歳過ぎなんやから、お嬢はやめてな」
そうやって瀬戸組の面々が向かう先。人里から山の中へと踏み込めば、町の喧騒は少しばかり遠くなり、終末に伴って世界に溢れた神秘の気配が一層濃密に感じ取れるようになる。そんな場所に、その神社は存在した。
────金刀比羅神社。
石段を昇った先にある古びた木造の社殿は、褪せた色合いながら重厚な造りで、どっしりとした存在感を湛えている。その奥に感じられる祭神・大物主の霊格と、佐渡島シェルターの結界基点の一つとして機能するに相応しいだけの格を備えた神社だ。
その石段の上に立っていた少女は、燦の姿を認めると可愛らしい相貌を綻ばせた。
「おお、よく来たな燦。それから瀬戸組の者共も」
「権現様こそ、元気そうで何よりや」
「うむ、終末が来て以来、ようやく大手を振って出歩けるようになったからな。解放感という意味では、旦那様の手で封印が解かれて以来の気分じゃよ」
時代がかった口調で話すのは、この金刀比羅神社の祭神────『金毘羅権現』。
江戸時代、佐渡金山が徳川家康の所領となるほんの少し前、海上安全と金山繁栄のために讃岐の金刀比羅宮から分祀された神格だ。佐渡島シェルターの結界基点を守る祭神として、また何より異界化した佐渡金山の“表側”を管理する主として、こうしてドワーフ少女を象ったシキガミボディで顕現している。
「今の霊基は金屋子神だがな。それともこの躯体の銘────“ユーミル”とでも呼んでみるか? お前なら許すぞ」
「さすがにそれは恐れ多いきん、許してほしいかな」
「む、そうか。ワシにとってはお前も孫のようなものなんじゃし、そこまで堅くならずともよいと思うんじゃがのー……」
金毘羅神社の祭神は、現在では大物主とされており、それは佐渡の金刀比羅神社も例外ではない。だがそれは明治の廃仏毀釈・神仏分離によって廃されたもので、本来の祭神は金毘羅権現、山岳信仰と修験道が融合した神仏習合の神。
その由来は元々祀られていた大物主神が、仏教の金毘羅、つまりはガンジス川の鰐を神格した水運の神と習合したとされる……が、これは神仏分離に伴って公式認定されているとはいえ、あくまで“現在最も有力な説”であり、元々その正体は大物主だけでなく素戔嗚神など諸説あるとされ、その一つが金山彦神だ。
そして、その金山彦神と同一視されるのが鍛冶と金属の神である『金屋子神』だ。日本の神でありながら死と屍の穢れに親しいという特異性を持ち、さらに炉の周囲に死体を吊るしておく事で良質の鉄をもたらす、という権能から、ゾンビの湧く低級異界の中心に製鉄炉を設置してその周囲に無力化したゾンビを大量に吊るしておく事で、身動きの取れないゾンビで異界のキャパシティを潰し野良悪魔の発生を防ぎつつ、金属資源まで手に入るという裏技が伝わっていたりするのだが。
燦を組長とする霊能組織・瀬戸組は、元々金屋子神=金毘羅権現ともう一柱を祭神とする金毘羅神社の氏子だ。元々は四国、瀬戸内海の辺りに居を構える水軍の系譜であったそうだが、半世紀前のメシア教会による根切りに遭う直前、金毘羅権現の神託によって金毘羅神社繋がりで、この佐渡島に移住してきたそうだ。
当時の佐渡島はちょうどメシア教会の根切りが終わった辺りで、メシア教会そのものは佐渡に根付かず、仕事を終えるとさっさと出ていってしまったため瀬戸組そのものは根切りに遭わず、同時に競合相手となる他の霊能組織は壊滅済み、と非常に良いタイミングで佐渡に根を下ろす事が出来たのだそうだ。
そのため現地人霊能組織としては珍しく当時も相応の規模と実力を保っており、半終末前まではガイア連合に頼らずにある程度は組織を維持する事が出来ていた。
「ところで燦よ、仕事の方は順調か?」
手早く奉納の儀式を終えてその後、遅めの会食の席で金毘羅権現はそんな事を聞いた。
悪魔。
あるいは“裏側”の人間。法律の裏に潜む他のヤクザなどの犯罪者や、あるいはオカルト的な常識の裏側で跳梁するダークサマナーなど、様々な裏側の外敵。
そんな者共に対抗する瀬戸組の仕事だが、その一方で漁業もまた、生活のための大事な仕事だ。加えてガイア連合の技術により様々なオカルト漁法が生み出されており、それを実用可能な領域にまで持っていくのもまた、ガイア連合から瀬戸組に委託されている仕事だった。
「うーん、終末が来て、組の仕事も結構変わってきたかんね。蝶野の旦那様が持ってきてくれた『アッガイ』な……アレのおかげで結構大型の悪魔にも対抗できるようになったけど、アレはアレで近くにいると、その……魚が逃げるんよ。せやから漁に連れ回せないのは大変やなあ」
アッガイ。
ガイア連合呉支部で研究されているロボット兵器の内、ナイトメアフレーム以外で量産されている数少ない機種。海底資源掘削用に設計された水中型モビルスーツの内、販売ラインに乗っている最も安い代物だが、それでも佐渡近海の大型悪魔に対抗するには十分な戦力だった。
本来はオカルトを用いない純粋な科学による兵器として設計されている代物だが、シキガミコアを搭載する事で無人機として運用し、スキルカードの搭載や、果ては回復魔法による自己修復すら可能。また対人掃討用の機銃やグレネードを搭載している佐渡島仕様だ。
「ふーむ、ワシも海神とはいえ、職能は海を跨いだ航海と貿易じゃからな、漁は少し畑が違う」
「あ、それはお父ちゃんから聞いとる。何や、中国やら大陸から色々と密輸してたとか聞いたなあ」
「仕方ないな、ワシから近所の塩竈神社辺りにでも相談してみるか……いや、そうさな」
と、ユーミル=金屋子神/金毘羅権現は手製のうどんをちゅるちゅると口に運びながら一つ、思い出したように頷いた。
「ふむ、そういえば最近はワシの工房にも色々と品が揃ってきたのだ。もしかすれば、その中に使えそうなものが見つかるかもしれんぞ。奉納の儀を終えたら工房に行こうではないか」
「ええの? それならお邪魔させてもらうけど」
「よいよい、ワシ自ら、良いものを見繕ってやろうではないか」
ユーミル=金屋子神は佐渡島シェルターの結界基点を維持する主であると同時に、佐渡金山異界の表側を管理するのが主な仕事だ。だが、それ以外にいくつかやっている事があり、その一つが神社の脇に併設されている工房だった。
作られているのは、武器やアクセサリーといった装備品の類から、様々な日用品の類に至るまで様々だが、いずれもオカルト的な祝福や呪詛の付与が施されている。
それに。
「ガイア連合の技術部とやらには及ばないだろうが、通常の異能者には十分な品だろうな。それでは見ていくとしよう────」
そんな具合で、彼女達は工房の見学を始めるのであった。
◇ ◇ ◇
午後二時。
佐渡島北部、大佐渡山地。
そのほぼ中央、佐渡島最高峰、金北山。青々とした緑に包まれた、標高1000メートル級の山。
その中腹を辿る登山ルート上に、異様な一団が集結していた。
まず目立つのは一様に羽織った黒いコート。
生物としてのバランスすら欠いて異常に発達した筋骨。
死人のように色の抜け落ちた肌色と、憤怒の形に固められた顔相。
左掌から伸びる舌のごとき触手。
佐渡島を支配するガイア連合佐渡島支部の傘下企業『日本生類創研』の製品である戦闘型デモノイド『ネメシスT型』だ。
それが十数体集まって、隊列を作り並んでいる。そのすぐ傍には倍する数のクローンヤクザまでが集合し、一種異様な雰囲気を作り出していた。
そんな集団の中央に立つのは、長い黒髪を戦闘の邪魔にならないように後頭部で束ねたシキガミの少女『デルタ』。ガイア連合佐渡島支部を束ねる七人の幹部級シキガミ“七陰”の一人であり、その中でもとりわけ高い戦闘能力を持ち、対悪魔戦闘部隊の指揮を担う。
「で、現れた悪魔って……あれがそうですか。ははぁ、なるほど、あれは確かに殺すしかなさそうなのです」
大型の双眼鏡で少し離れた山肌を眺め、そこで暴れる大型悪魔の姿を確認し、デルタは小さく鼻を鳴らし、頭から生えた獣耳を震わせた。
全長十メートルは越えているだろうか、【アナライズ】の結果によると標的は『魔獣ラクチャランゴ』。チベットに棲息するといわれる牝牛の怪物だ。その身体は返り血で染まっているという伝承に違わず赤く塗れており、身体を震わせるたびにその体表から赤い血液が滴っている。
金北山より一つ西側には、日本海全域を監視する自衛隊のレーダーサイトが配された妙見山が存在する。あのサイズの悪魔がそちらに流れるのを許せば、相当な被害になるのは間違いない。
「ま、いいのです。正直生け捕りにするより殺す方が楽だし、手早く片付けるのです……って、何だ、アイツらも来たですか」
聞こえてくるエンジン音に振り返ると、近付いてくるのは狭い登山道には不向きな大型のフルサイズバンの車列だ。鈍い銀色に塗装されており、その側面には真紅の両牙を象ったエンブレムが刻まれている。デルタにとってはここ最近で見慣れた光景だ。
停車すると同時に各車両の扉が開き、中から出てくるのは揃いの赤い軍服を着た一団“吸血鬼殲滅隊”だ。目にも鮮やかな真紅の儀礼用軍服を身に纏う彼らの正体は、最終処分場を開設するにあたりKSJ研から提供された“支援”の一つ。
体内にシキガミパーツ『ブラッドサッカー』を標準装備し、【吸血衝動】【吸魔】のスキルを獲得したシキガミ改造人間によって構成されたKSJ研直下の戦闘部隊である。
その隊列の中から一人、前に出てくるのは少女にしか見えない女性『ノエル』だ。長く伸ばしたウェーブの掛かった髪を真紅の軍帽でまとめており、そこには吸血鬼殲滅隊の隊長格の証であるバッジが付けられている。
「蝶野様、並びにデルタ様、吸血鬼殲滅隊ブラッドジャケット佐渡島分遣隊第二中隊、愛染ノエル以下一個中隊36名到着致しました。これより標的周辺の哨戒を開始します」
「はいはい、任せるのです。でもくれぐれも死なないように。着任以来、あなた達を運用する権利と裁量はボスに完全に譲渡されているとはいえ、死んだらボスの負担になるのです」
「はっ、了解であります!」
現場に到着した吸血鬼殲滅隊は、腰に装着した大型のベルトバックルから伸びたグリップを、バイクのグリップハンドルのように捻りながら起動する。
「「「「「「……アマゾン」」」」」」
【シ・グ・マ────!】
単純な操作と同時に、ベルトバックルを中心に蒼白く燃える鬼火が噴き出し、組み込まれたCOMPの機能が稼働して専用のデモノイド『強殖生物』を召喚展開。
召喚された強殖生物が着用者の全身を包み込むように、その肉体の延長線上に頑強な基礎フレームを形成し、それを中心に剛力と俊敏性を兼ね備えた強化筋肉が全身を覆うように接続、さらに上から高い物理強度と対魔力を持つ外骨格が着装されていく。
吸血鬼殲滅隊の全身に組み込まれた生体型シキガミパーツと連動し融合しながら完成する、褪せた灰緑色の外骨格に覆われた全身はある種の爬虫類にも似て、四肢の先端には鉤爪と鋭利な刃を備えた異形────『アマゾンシグマ』。
使用者を中心に召喚されるデモノイドを強化筋肉として装着し、ベルトのシキガミコアと連動して制御する、デモノイド技術を応用した展開型デモニカ『アマゾンズドライバー』。蝶野光爵の研究成果の一つであり、ライダー霊装の一種であり、日本生類創研で販売している商品の一つ。
単純なパワードスーツとしての総合値はガイア連合でも最もスタンダートなG3と大差なく、また専用の武装も少ないが、その分単純な身体強化と近接格闘能力に優れ、また爪と、そしてデモニカにしては非常に珍しく噛みつき系のスキルにも対応する事が可能となっている。自前で再生能力を備え、また治癒魔法との相性がいいのもセールスポイントの一つだが、最大の特徴は、使用者が肉体にシキガミパーツを仕込んでいる場合、それと連動してパーツの機能を強化装甲に拡大統合しながら発現する事だ。
この島に着任した吸血鬼殲滅隊・佐渡島大隊には標準装備としてこれを供与すると共に、これを運用するための専用の強化改造も施してある。
変身を完了させた彼らは、山肌の傾斜も障害物となる木々も物ともせずに走り抜け、暴れる魔獣ラクチャランゴへと肉薄。腰に装着されたアマゾンズドライバーから突き出すグリップを握って引き抜けば、デモニカを構成する強殖生物から分化した細胞が金属質の投槍を形成、ラクチャランゴの周囲を素早く駆け回りながら次々と投擲していく。
次々と突き刺さる投槍を浴びせられてハリネズミのようになったラクチャランゴは、しかし倒れない。分厚い皮膚と強靭な筋肉が槍先を阻み、致命傷を防ぎ、流血を防ぐ。槍そのものは突き刺さったままでも、既に出血は止まり掛けている。
火力が足りない。敵は巨大で、アマゾンシグマの性能だけでは斃し切るだけの決定打に欠けている、ようだ。そんな場合は吸血鬼殲滅隊に標準搭載されている【自爆】スキルで畳みかけ、さらにそこから【吸血衝動】で回復して再び【自爆】を連発するループコンボに移るのだが。
「あー……うーん、私が出なくても問題はなさそうですけど、とりあえずやっちゃいますか。ほら、砲撃するです!」
デルタの号令と共に、周囲に展開したネメシスT型が一斉に巨大な武器を出現させる。傍目からはどこからともなく取り出したようにしか見えない【生得武器】のスキルによって現れるのは、中央の銃身を軸に四発のミサイルを束ねた大型のランチャー、多目的巡航ミサイル『ギガント』。本来はデモニカG3シリーズの最高級機G4の専用装備だが、それをスキルカード化してデモノイドに搭載している。
ギガントの誘導システムが最前線で戦うアマゾンシグマの視覚と連動し照準、ラクチャランゴに向かって飛翔する大型ミサイルがその顔面で一斉に爆発し、ラクチャランゴは肺腑を震わせて野太い悲鳴を上げると、周囲に【炎の壁】を形成する。周囲の森が一気に炎に包まれ、それに巻き込まれないように距離を取って回避した吸血鬼殲滅隊を無視して、怒り狂ったラクチャランゴは血走った目で周囲に視線を走らせた。
「あ、こっちに気付いたみたいです」
デルタの呟き通り、魔獣ラクチャランゴの視線はギガントを構えたネメシスT型の集団と、そしてその中央に立つデルタに向けられている。灼熱の蒸気に似た鼻息を噴き出し、ラクチャランゴは地響きを上げて突進を開始。その視線を浴びて、しかしデルタは不敵に唇の端を吊り上げていた。
大地を踏み鳴らしてラクチャランゴは驀進する。元より山岳地帯のチベットで生誕した魔性、この程度の傾斜でバランスを崩すような脚は持ち合わせておらず、その踏み鳴らしに耐え切れぬ山肌が崩れようと関係なしにラクチャランゴは疾走する。
「じゃ、ここはまあ私の出番ってわけなのです」
吸血鬼殲滅隊のアマゾンシグマと同様、デルタの背後にも不定形に蠢く強殖生物が出現。ただしその質量は量産型であるアマゾンズドライバーの物とは比べ物にならず、骨格を、筋肉を、甲殻を形成しながらアマゾンシグマとは異なるシルエットを形成していく。
────『ユニット・ガイバー』。
体内に埋め込むシキガミパーツ“制御球”をコアとして展開する体内埋め込み型のシステムだ。装着者の神経とダイレクトに接続する分、その反応性・追従性はアマゾンズドライバーを上回り、運動性能の強化率はアマゾンシグマをさらに上回る。
また単純に機体を構築する強殖生物の量が多く、その分だけ多様な固定兵装を搭載しているのも特徴だ。
「行っくですよー!」
能天気に告げてデルタは踏み込み、その反動で地面に亀裂が走り、さらにユニット・ガイバーを装着したデルタを中心に発生した重力波の圧力で地面そのものが圧潰。砕け崩壊していく地面を置き去りに加速したデルタは、一瞬で距離を詰めてラクチャランゴの喉元へと【雷震王母の蹴り】を撃ち込んだ。
ガイア連合ロボ部が開発し、士魂号やパワーダイザー、デウス・エクス・マキナといった各種兵器に組み込まれているのと同じグライ系重力属性スキルを応用した重力波推進による高速移動。強烈な飛び蹴りを叩き込んでラクチャランゴの【体当たり】を押し留めたデルタは、そのまま空中で体勢を入れ替えて両肘から突き出す高周波ブレードを展開。
身体ごと回転させて【虚空爪激】、喉笛を引き裂き血が噴き出すその傷口に【雷震王母の蹴り】、砲弾にも似た衝撃が傷口の内側から弾け、そこに追加で【グラダイン】を放出して傷口をさらに押し広げて離脱。
その後を追い掛けるようにラクチャランゴは角を振り回すも届かず、逆に背後から肉薄してきたアマゾンシグマの集団が、鋭利な刃を連ねたノコギリのような脚を叩きつけて頸椎を抉り。
「はい離れて~!」
デルタの手に収束したマグネタイトが一点に収束し、そのシキガミコアに搭載された【生得武器(ルガーランス)】により機械的な突撃槍『ルガーランス』を構築。同時、ラクチャランゴの背面にいた吸血鬼殲滅隊達が一斉に飛び離れ。
「【チャージ】からの【モータルジハード】……かーらーのー、さらに【コンセントレイト】ぉ! で、ゼロ距離【グラダイン】、です!」
ラクチャランゴの喉元の傷口へと槍先を突き込むと同時に、その大剣のようにも見える巨大な穂先が展開。放射された重力波が巨大な刀身を形成し、ラクチャランゴの首を抉り穿つ。頭蓋と胴を繋げる部分を丸ごと喪失し、ラクチャランゴの頭部と胴が別々に地面へと崩れ落ちて、その重量に相応しい地響きを立てる。
「うーん、妙なのです……何でこんなに強い悪魔が湧いてくるですか……どっかに変な異界でもできてるですかねぇ?」
首を傾げたデルタは吸血鬼殲滅隊と配下のクローンヤクザ達にしばらく周囲を探索するように指示を出し、データリンクを通じて佐渡島支部に戦闘報告を送ると共に一旦帰還する事にした。
◇ ◇ ◇
ユーミル=金屋子神/金毘羅権現は佐渡島シェルターにいくつか存在する結界基点の一つを維持する主であると同時に、佐渡金山異界の表側を管理するのが主な仕事だ。だが、それ以外にいくつかやっている事があり、その一つが神社の脇に併設されている工房だった。
瀬戸組の部下達を引き連れた燦が案内されたその場所は、外から見ればどこにでもあるような普通の町工場に見え、それが神社に併設されている光景は少々ミスマッチだが、ただこの場が神域の一部である事を示すように入り口に鳥居と注連縄が張られているくらいで、そこまで不思議不可解な景色というわけでもなく、視覚的には比較的普通の立地だった。
だから、資材搬入用の大扉の隣に設置された勝手口を潜って一行が中に入ると、途端に目を見開くことになる。
「ふわぁ……思ったより広いなぁ」
燦は思わず感嘆の声を上げ、同行していた政も同様に、色の濃いサングラスの下で目を見開いた。
彼女の言う通りに、広い。踏み込んだ工房は外から見たその数倍広く、大型倉庫ほどもあるだろうか。異界化技術を応用した空間拡張は既にこの時代のガイア連合にとっては“枯れた技術”でしかないが、しかしその外郭団体に過ぎない瀬戸組にとってはオーバーテクノロジーもいいところだ。
そしてその熱気。中央に置かれた大型の製錬炉を中心に、各所に一定間隔を置いて九基の大型炉が置かれており、熱気が籠った鍜治場のあちらこちらから鉄を打つ音が響いてくる。
「魚沼にカグツチの転生者がいるそうでな、その炎を炉の火種として分けてもらったそうじゃよ。蝶野の旦那様の炎でもいいんじゃが……まあこちらの方がワシとは相性がいいんでな」
何より、溢れんばかりの金属の臭気だ。鍜治場に漂う濃密な鉄の匂いは、息を吸い込むだけでも肺腑に金屑を詰め込まれたような気分になってくる。瀬戸組の面子の中には反射的に咳き込んでいる者すら何人かいる程だ。
「これは……凄いもので御座いやすねぇ……」
「そうであろうそうであろう、うむ……実は、ちょっと旦那様に鍜治場が欲しいと強請ったら、想像以上に大きなのを建ててくれたのでなー、維持にも人手が必要で、慌てて地霊共を呼び出したんじゃよー……」
工場と呼ぶには時代がかった工房の中、そのあちらこちらに置かれた作業台の間で多数の悪魔が立ち働いている。地霊ドワーフや地霊ノッカーなど、いずれも鍛冶や製作を得意とする地霊の類であり、金屋子神の山神・鍛冶神としての権能で眷属として召喚したものだ。
そんな作業場の中で一際目立つのが、中央に置かれている炉の中に吊るされた巨大な構造体だった。
「何じゃアレ……金属の骨……やけんど、宝石、みたいにも見える?」
燦が呟くように零した、その通り。鍛冶と炎の権能が満ち満ちた炉の中、鍛冶神と地霊の権能で数日間にも渡ってゆっくりと構築されていくのは、まさにヒトの形を模した、しかし全長二十メートル超過という巨大な骨格だった。
炉の中で、滾る炎の色に染まった鋼は独特の輝きを放ち、ダイヤモンドに酷似した透き通った輝きを放っている。
「“アダマス”じゃと。何やら旦那様のペルソナに縁のある、ギリシャ産の素材らしくてのー……、途方もなく頑丈、熱にも強い、しかも地味に神殺しの権能すら帯びておる、と来たもんで、ワシの権能だけじゃあ溶かすにも溶かせんで、ああやってカグツチの炎でも借りてこんと鋳融かすのも無理でなー。いやいや、そんな熱まで扱えるとは、ガイア連合の技術とはすごいもんじゃのー……」
「ふーん、そいであんな大きなもん作って……あんなんどうするの?」
「骨は骨じゃて。鋼に骨の概念を付与する前工程とかいう話でな、あれができたら、旦那様の工房まで持っていってな、それで一旦また鋳溶かして精錬したら設計図通りの骨にして、またこっちに持って帰ってきて鍛造し直してのう。で、それを今度は日本生類創研のラボに持っていって肉をつけてなー、それでようやく完成じゃと。この間、ようやく一つ目を作り終えた所じゃが、まだ作るとかいう話で、中々休む暇もないんじゃよー」
作業を続けている地霊たちを眺めながら工場の端を歩いていけば、辿り着くのは炉や鉄床、作業台の合間に埋もれるように置かれた小さな応接スペースと、その隣に並んだ売り場だ。売り場には商品らしきものがずらりと並んでおり、その中身は武器や防具のようなデビルバスター向けの装備品から、ちょっとした日用品や調度品の類まで色々で、何なら釣竿や自転車のようなものまで混ざっている。
まだ売り場を作って数日であり、客の姿はない。しばらくすればそれなりに需要が出てくるはず、と金毘羅権現は言っているが、それならそれでまず店の宣伝をするべきじゃないか、と燦は首を傾げた。
「うーん……これとか、ええ刀なのは分かるけど、旦那様にもっとええ刀貰っとるんよな」
「それを言われるとワシの立つ瀬がないんじゃがのー。鍛冶神の加護も付いとるし、名無しとはいえ地霊の鍛えた刀じゃ、人世の並の刀を基準にすれば十分以上に名刀の部類であるんじゃが……ガイア産の武具と比べるのは論外じゃて、耐性の隙間をアクセサリーで埋めていくとか、そういう考え方でええんじゃよ」
と金毘羅権現は肩をすくめた。刀にしても、組員の何人かはキラキラした目で抜き身の刀身を見定めたりしているし、需要はないでもないのだろう。
「へえ、銃の類もあるんやね」
「地霊は細かい細工も得意じゃからな。まあ言うて今の段階で作れるのは拳銃の類がせいぜいじゃし、たまに図面通りに作ってない代物も混ざってるから不安なんじゃが……うーん、これ本当に売っていいんかのー……?」
などと言われると、若干不安になってきたりもするのだが。
ともあれ納得して燦は様々な商品が並ぶ中、良さそうなものを見繕っていく。中には用途が分からないものもあり、特に気になるのが、段ボール箱の中、重箱のように数段に分けて詰められたU字型の金属片だ。
「権現様、これは?」
「蹄鉄じゃよ。長野の浦野牧で馬の生産が本格的になったと聞いてのー……まあ鞍に鐙と、馬用の装備も必要になるであろう。で、その中でも金属製品といえば蹄鉄じゃて、例えばその蹄鉄には軽い打撃耐性が入っておるからして、走らせても馬の足に負担が掛からず走りやすい、ようになっとるんじゃがのー」
と、近くの作業台の上に蹄鉄タワーを作り上げながら、金毘羅権現はそんな事を言う。軍馬の類であればガイア連合製の戦闘用装備で決まりだが、浦野牧で生産されるのは民生用の作業馬であるらしいから、こうして地霊工房で作られる代物でも十分実用になる、はずだ。
「実は浦野牧に輸出するつもりで大量生産してしまってのー……試験がまだなのに」
「何で?」
「いや、思いついたら手が止まらなくなってな、ついつい……だからこうして、細々と売りに出しておるわけじゃ」
馬系悪魔を利用して現在、蹄鉄の安全性やら使用感その他諸々を試験中であるらしい。で、今売り出しているのは試験前の品。
「……普通に危なくない?」
「まあ、かといって地霊製の品なんじゃし、変に作らなければ問題はないはずなんじゃが……」
「地霊やと、むしろそっちの方が問題じゃきん……ちゃんと統制取れてる?」
「…………不安じゃよー」
本当に大丈夫かな、と首を傾げる燦を余所に、そんな事を吐いて金毘羅権現はべちゃりと卓の上に顔を伏せた。
△ △ △
【ワンオフ機】技術開発班ロボ部【量産機】Part.241
221:名無しのロボ部
佐渡の人工筋肉の量産化でワイ大歓喜
222:名無しのロボ部
士魂号とかえらく安くなったよな
223:名無しのロボ部
まあ、それでも個人で買うには高すぎるんだけどな!
224:名無しのロボ部
それもそう
225:名無しのロボ部
まあ元々支部ぐるみで買うのが前提みたいな額だったからな。
226:名無しのロボ部
作ってるの確か佐渡島のパピヨンニキだろ
もっと安くできるように交渉できない?
227:名無しのロボ部
禿同
228:名無しのロボ部
もっと量産ペースを上げれば安く仕上げる事もできるって言ってた。
でも現状だとそこまで需要がないからこれ以上上げる予定はないとか。
229:名無しのロボ部
中華戦線とかに送るのは?
230:名無しのロボ部
送るにしてもブツがなきゃどうしようもないからな。
まずは量産工場から建てないと。
231:名無しのロボ部
待て、中国に送るのはアウトだろ。
技術のコピーに作品のパクリ、前世の頃からアイツらがどれだけやらかしてると思ってる!?
232:名無しのロボ部
あー、それはアカンよな
すまん
233:名無しのロボ部
海賊版は絶許
はっきり分かんだね
234:名無しのロボ部
禿同
235:駝鳥
スレチで悪いんだが、一つ相談いいか?
236:名無しのロボ部
何や何や、どちら様?
237:駝鳥
宮城でダチョウ牧場やってる者や。
牧場繋がりで浦野牧の馬ニキから聞いたんだけどな、何かパピヨンニキが畜産用デモノイド作ったとかで、その件について聞きたいんだけど、ロボ部の人達何か知らない?
238:名無しの畜産部
何でダチョウ?
239:駝鳥
食肉用や。
ダチョウはウシより少ない飼料で育つし、メタンも吐かないから温暖化も起こさない。
しかも肉は高タンパク・低脂肪でSDGsにもええんや。
ただ、元々暑くて乾燥した気候の土地の生き物だから日本の気候にはあんまり合わん。
まあその辺は祭神様に何とかしてもらってるよ。
240:パピヨン
さすがにスレチだからこっちに誘導
ttp://gaia.thread/xxxxxx/XXXXXX
△ △ △
【食用亜麻存】デモノイド畜産関連スレ【根尾或破】
1:パピヨン
ウチの畜産用デモノイドに関するスレ。
以上。
2:名無しの畜産部
いや、パピヨンニキ説明短いって。
3:パピヨン
ウチのガイア連合佐渡島支部でやってる企業『日本生類創研』で食肉用デモノイドを開発。
馬ニキに売り込んだ。
そこからダチョウニキに話が行った、らしい。
4:駝鳥
相談ってここでいいのかな?
ワイの事はダチョウ牧場やってるからダチョウニキとでも呼んで欲しい。
で、牧場関係で何かパピヨンニキが畜産用デモノイド作ったとか話聞いたんで、その件について聞きたいんだけど、教えてくれ。
5:名無しの畜産部
>>3
デモノイドで畜産?
もしかして:デミナンディ
6:名無しの畜産部
デミナンディはヤバい定期
7:名無しの畜産部
普通にインド神話に喧嘩売ってるようなものだからな。
ナンディは主神のシヴァの乗り物だからな。
インドを敵に回すのは本当にヤバい。
8:パピヨン
売ってへんで
9:名無しの畜産部
売ってないのか
10:パピヨン
現在試験運用中の食肉用デモノイドは三種
1.デミナンディ:商品名だけ。ナンディとは違う別のウシ型悪魔(台湾の魔獣テーグー)を使ってるので安全。メガテン2の本家デミナンディよりもレベルは低く、それでいて肉牛としての性能は同格だから育成もしやすい。
2.デミフリムニル:今回の主力商品。ブタ。北欧のイノシシ型聖獣セーフリムニルがベース。元から食用の逸話があるので安全、むしろ微弱だが北欧神話に信仰が入る形になるのでプラスになる。
3.デミタング:ヤギ。北欧のトール神の山羊タングリスニとタングニョーストがベース。上と同じで元から食用になってるため安全。
よければサンプル送るけど、欲しい?
11:名無しの畜産部
うーん……大丈夫かいな?
不安。
12:名無しの畜産部
本家デミナンディという悪しき前例があるからな。
13:名無しの畜産部
名前勝手に使ったからってイチャモン付けられたりしない?
14:名無しの畜産部
神話の固有名詞とか永遠のフリー素材みたいなもんやし、普通にスルーされるやろ平気平気。
15:名無しの畜産部
いや、名前だけでもデミナンディはヤバいだろ!
日本でいうならヤタガラスを食用にしますって言ってるようなもんだぞ!
16:名無しの畜産部
本物ナンディ肉使ってないなら大丈夫じゃね?
17:名無しの畜産部
これ、ナンディの名前繋がりで本物ナンディに信仰入ったりしないの?
18:名無しの畜産部
普通に本来の仕様通りに弱体化するんじゃね?
19:★名無しのデビルサマナー
やり方次第だね。
日本特有のゆるゆる宗教観なら、むしろ逆に牛肉の神として信仰を集める事もできるだろうし。
肉の売り方と売れ行き次第なら、それこそ新しい権能の一つくらい生えても不思議じゃない。
20:名無しの畜産部
マジかよ・・・
21:名無しの畜産部
マジかよ……
いや納得はできるけど
22:名無しの畜産部
ショタオジの太鼓判やでwwwwwwwwww
23:名無しの畜産部
確かにその方法なら逝けるかもな。
日本限定だが。
24:名無しの畜産部
あー……これな、日本人特有のゆるゆる宗教観念なwwwwwwwwww
25:名無しの畜産部
納得wwwwwwwww。
26:名無しの畜産部
日本人あるあるwwwwwwwwww
27:名無しの畜産部
各国で同じ事して起きる結果
欧米諸国:インド神話が貶められてインド神話所属の悪魔全体がパワーダウンする
インド本国:神聖な動物を貶められて信者一同激怒。戦争不可避。
日本:チーズ牛丼の神として信仰を集め、新しい権能が増える。
28:名無しの畜産部
本当さあ、日本君はさあ・・・wwwwwwwww
29:名無しの畜産部
メシカス「訳が分からないよ」
30:名無しのちくわぶ
何かそのシヴァ神が、ウチのシキガミの本霊通信経由でスレ見てたらしくてな、何かノリノリになってる。
何かこれを機に食物神の側面を強化すれば、インドの氏子連中の食糧事情を改善できるとか何とか。
でも、インドに豚食文化を流行らせてイスラム教潰してやるとか言ってるのはグレーでもアウト寄りだと思う。
31:名無しの畜産部
日本では毎日よくある事wwwwwwwwww
32:名無しの畜産部
>>27
いや、チーズ牛丼の神になって手に入る権能って何だよ・・・?wwwwwwwwww
33:名無しの畜産部
つ どこでもチーズ牛丼を出せる権能
34:名無しの畜産部
つ お冷とおしぼりも出せる権能
35:名無しの畜産部
つ 熱いお茶と味噌汁も追加される権能
36:名無しの畜産部
つ お新香の権能
37:名無しの畜産部
つ 丼とお椀を静岡県限定仮面ライダーギルスコラボデザインに変更する権能
38:名無しの畜産部
やったねシヴァちゃん、権能が増えるよ!
39:名無しの畜産部
>>32-37
ここまで来て割り箸が入ってないの草wwwwwwwwww
40:名無しの畜産部
ほら、インド人は箸使わないから。
41:名無しの畜産部
>>37
ハルカ君何やってるのwwwwwwwwww?
42:名無しの畜産部
いや、あれはハルカ君の仕事ちゃうで。
くそみそニキと恐カツニキとスクナニキが3人で何かやってた。
43:名無しの畜産部
あーあいつらかー・・・
そういえばくそみそニキ、終末が来てから何か変わったよな。
明るくなったというか、はっちゃけたというか。
44:名無しの畜産部
それな
45:名無しの畜産部
というかこの>>32-37、今の海外事情を鑑みるに普通に当たり権能の類じゃ・・・?
46:名無しの畜産部
造酒スキル持ちアガシオンを巡って地域紛争が起きる世界だからな……wwwwwwwwww
世界が核の炎に包まれて世紀末ですしおすし
47:技術部員
終末世界あるあるやな。
かくいうワイも、スケベ部から買い取った天使フォルマ製の、パンとブドウ酒を出せるアガシオンを売りに出した事があってな
・・・ただし食ったら感度3000倍でふ○なり化するけどなwwwwwwwwww
48:名無しの畜産部
外道現る・・・・・・いや、変態かwwwww?
49:名無しの畜産部
スケベ部産の素材じゃしょうがないな・・・wwwwwwwwww
50:呉在住
あのさ、今、吉○家の呉支社に曼荼羅結界のシヴァ神が突撃してったんだが・・・。
何かデミナンディ肉でインド神話コラボやれって担当者脅迫してる。
担当者デミナンディ知らないからワケ分からん状態wwwwwwwwww。
51:名無しの畜産部
シwwwwwwwwwwヴァwwwwwwwww神wwwwwwwwwwwwwwwwwwww必死杉で草wwwwwwwwww
52:名無しの畜産部
やばインドwwwwwwwwwwwwwwww
53:名無しの畜産部
だからインドはヤバいと定期wwwwwwwwww
54:名無しの畜産部
吉○屋がピンチで草wwwwwwwwwwwwwww
55:名無しの畜産部
ところで、さっきからダチョウニキ返事してなくない?
56:名無しの畜産部
時間的に寝落ちしたか?
57:名無しの畜産部
単純に興味なくしただけとか
58:名無しの畜産部
大丈夫だよな、一応。
59:名無しの畜産部
おーいダチョウニキ、息してる?
60:駝鳥
すまん。
今、祭神様蘇生してたら返事遅くなったわ。
あと、パピヨンニキはサンプル頂戴。
61:名無しの畜産部
え?
今、何て?
62:名無しの畜産部
祭神?
蘇生?
63:名無しの畜産部
敵対的な高位悪魔にでも襲われたんか?
64:名無しの畜産部
ダチョウ牧場で祀ってる祭神って事?
それ普通にヤバいだろ。
宮城なら幼女ネキとかにレスキュー頼んだ方が良くない?
65:駝鳥
大丈夫だって、いつもの事だから。
祭神様がダチョウに蹴り殺されただけだから。
66:名無しの畜産部
蹴殺されてんのかwwwww
いつもwwwwwwwwww
67:名無しの畜産部
>>59
危機感なさ杉で草wwwww
68:名無しの畜産部
よわよわ祭神様wwwwwwwwww
69:名無しの畜産部
逆につよつよダチョウなのかもwwwwwwwwww
70:駝鳥
牧場で奇跡的に覚醒した覚醒ダチョウや。やたら速いしよく動く。強い。
でもアホだから祭神様の顔を覚えてなくて、見つけたらマッハで襲い掛かってくる。
最初の頃は祭神様が魔法で分からせしとったんだが、通信空手のDVD見せたら何でかカポエラするようになって、今じゃ逆に祭神様がボッコボコになっとる。
しかも最近はブレイクダンスまで覚えて、蹴り倒した祭神様の上でめっちゃ回転してる。
71:名無しの畜産部
どうしてそうなった・・・wwwwwwwwww
72:名無しの畜産部
そのダチョウ、何かどっかの変な神の加護でも受けてない?
73:名無しの畜産部
というか、そもそも何でダチョウに通信空手なんてやらせようと思った?
74:呉在住
ヤバい。
今、吉○家支社から⑨ニキが出てきた。半分死体になったシヴァ神をずるずる引きずってる。
折れる部分が多いせいか、折れちゃいけない部分があっちこっち五、六本変な風に曲がってる。
そしてそれ以上に、顔面が⑨ニキの手の形に凹んでるのが本当怖い。
あれは間違いなく相当キレてる。
75:名無しの畜産部
うわあ・・・
76:名無しの畜産部
俺、昔山梨にいた頃の⑨ニキに稽古つけてもらった事あるんだよ・・・
うん、あれだ・・・怒らせなくてよかった・・・
77:パピヨン
ヤバいな。
後で謝りにいかなきゃならないか?
78:名無しの畜産部
言うてやらかしたのはシヴァやし・・・大丈夫やろ
79:呉在住
今吉○屋から発表があったんだが、次のコラボ先はFGOだって
80:名無しの畜産部
インドコラボならずか・・・
81:名無しの畜産部
待った、このタイミングでFGOコラボって事は、次にガイアニからリリースされる劇場版の第2部4章よな
第2部4章ってインド編のユガ・クシェートラじゃねえかwwwwwwwwww
82:名無しの畜産部
【悲報】吉○屋、神話的圧力に屈服wwwwwwwwww
83:名無しの妖精國女王
ちょっと待ってください、よくよく考えてみれば第2部4章にシヴァは登場していないのでは?
84:名無しの畜産部
本当だwwwwwwwwwwwwwww
85:名無しの畜産部
シヴァ神ハブられてて草wwwwwwwwww
86:名無しの畜産部
ねぇねぇシヴァ君今どんな気持ち!? 今どんな気持ち!?
87:名無しの畜産部
【朗報】吉○屋、神話的圧力に勝利wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
88:名無しの畜産部
ワロたwwwwwwwwww
89:ガイアニ社員
あの、今、山梨のウチの会社にシヴァの分霊がダイナミックエントリーしてきたんだが・・・
社長捕まえてFGO映画に自分を登場させろって脅迫してる・・・(汗
90:名無しの畜産部
シヴァ君さあ・・・wwwwwwwwww
91:名無しの畜産部
必死で草wwwwwwwwww
92:山梨在住
今ガチ勢の連中がガイアニ包囲中。
降伏勧告始まったぞ。
92:名無しの畜産部
斬新な立てこもり犯だなwwwwwwwwww
93:名無しの畜産部
なお降伏勧告
るるネキ「投降は無駄だ! 抵抗しろ!」
右手に拡声器、左手にフォーク持ってる。
94:名無しの畜産部
ヒェッ
95:名無しの畜産部
食べる気満々で草wwwww
96:名無しの畜産部
降伏勧告とは一体・・・?(ボブ訝
97:ガイアニ社員
なお三分もしない内にショタオジが出動してあっさり〆られた件・・・w
98:名無しの畜産部
雑wwwwwwwwww魚wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
99:ガイアニ社員
なおレベル83だった模様
100:名無しの畜産部
普通に強杉草wwwwwwwwww
101:名無しの畜産部
俺の5倍はあるのにあっさり〆られた件についてwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
102:名無しの畜産部
>>101
やめろその技は俺に効く・・・
103:★名無しのデビルサマナー
一週間後に山梨で、魔術界隈での神名の重要さに関する講義をするから、パピヨンニキは必ず出席するように。いいね?
104:パピヨン
おk把握
105:名無しの畜産部
あー、これショタオジ案件で没シュートかー。パピヨンニキやらかしちゃったかー・・・
106:名無しの畜産部
ヤバいですね!
107:パピヨン
とりあえず商品名は出荷前に変えとけば問題ないやろ・・・
あと迷惑掛けた関連の人らにはお詫びしないと・・・
108:名無しの畜産部
ヤバ杉定期wwwwwwwwww
109:名無しの畜産部
あれ、今回のパピヨンニキのおしおきって結構マイルドだったりする?
110:★名無しのデビルサマナー
する。
はっきり言って、今回の事件で暴走したのはパピヨンニキじゃなくてシヴァ神の方だし、何より商品名一つでいちいち問題にしてたら、今後商品名関連で色んなところで各神話の干渉を受ける羽目になる。特にホビー部やロボ部なんかね。
だからそれこそ>>14が言ってるみたいに連中には永遠のフリー素材でいてもらわなきゃならない。そのために、今回のシヴァに多神連合の全会一致で有罪判決を出させられたのは大きい。そういう意味で正直、⑨ニキやガイアニ社員の皆には悪いけど、今回の事件はちょうど良かったんだよ。
111:名無しの畜産部
なるほど納得w
112:名無しの畜産部
まあ、確かにロボ部とかライダー部とか、あれですからね。
113:名無しの畜産部
ナ、ナンノコトカナー(目逸らし
114:名無しの畜産部
うん、まあね、原作再現的に仕方ないからね・・・wwwwwwwwww
115:駝鳥
ごめん、また祭神様死んだみたいだから一旦落ちるわ。
◆ ◆ ◆
「────市民の声を無視するというのですか!」
どん、と、机を叩く音が、さして広くもない会議室の中に広がった。その場に集まっている、さほど多くもない人間たちの視線が発言者に向かって集中するが、その視線に込められた意識は同調よりも、余計な事をしてくれるなという倦厭の色が濃い。
あの女が美人過ぎる議員などと呼ばれて持て囃されたのは一年前の事だったか、確か去年の選挙で当選していたが、興味がなかったので忘れていた。
こんな時期に責任ある立場に当選するとか不憫な話だとは思うが、自分から立候補したなら自己責任だよな。
「ナイトメアフレームですか、あれは明らかな兵器ではないですか! そんなものが市内を自由に走り回っている現状、それがどれだけ市民の皆様を不安に陥れているか、お分かりですか!? 分かるなら市民の要望を聞き入れるのが義務ではありませんか!?」
「そのような義務はありません。では他に意見がないようなら、会見を終わりとさせていただきますがよろしいですね」
必死に声を張り上げる議員をばっさりと切り捨てると、卓の上に乗っていた書類を手早く片付けて立ち上がろうとしたアルファに向かって、古参であるらしい胡散臭いチョビ髭の議員『羽生土地郎』が慌てて声を掛けて引き止めた。
普段から媚を売るようでいて裏で何かやらかしていそうな胡散臭い笑顔が特徴的な議員だが、拝み倒す揉み手のハンドスピードが普段の数倍になっている辺りからも内心の焦りが伝わってくるようだ。
「お待ちください! 小手川君は終末のせいもあって少しばかり神経質になっているだけでして、ご気分を害したなら謝罪させていただきますが、席を立つ事だけはお待ちになっていただけますか! 何卒、何卒!」
コメツキバッタのように繰り返し頭を下げるその様は、まるでノリに乗ってヘッドバンキングするパンクロッカーのようにも見える。
終末の日、佐渡市の多くで結構な被害が出た。前もって用意しておいた結界を起動した、はいいが、終末が来てから結界の起動まで、多少のタイムラグがあったのだ。
何せ終末当日、俺は東京……というか対シャドウ対策の電脳異界を拠点に、タルタロスメメントスマヨナカテレビその他でひたすら狩りに勤しんでいたので。
その間に暴れた悪魔の出した被害はそれなりに大きく、まだ復興は続いている。
だから悪魔の脅威を身をもって知っており、必死さ加減が滲み出ている議員の言葉に、仕方がないと言わんばかりに席に戻るアルファ。その顔は変わらず優美な無表情のままながら、付き合いが長い者から見れば多少の苛立ちが滲み出ているのも分かるので。
「あ、ほら見てくださいですボス! あの顔、アルファ様ったら、さっさと帰りたい~とか絶対に考えてるですよ!」
「しー、ほら静かに見るぞデルタ」
エストマ系の術式による認識阻害で姿を隠している俺は、同じように姿を消していながらアルファの方を見て大爆笑しているデルタを見て、肩をすくめた。認識阻害だって万能ではないのだ、こうも大きな声を立てていれば、いくら術を使っているとはいえその内バレる。
腹を抱えて笑っているデルタの周囲を覆う術式を軽く補正して出力を上げてやりながら、声を上げていた若手議員の背中を見て肩をすくめる。
「では、次に市内インフラの修復状況について。お手元の資料の16ページをご覧ください────」
佐渡市の政治を担う市議会議員の面々と、ガイア連合側との意見調整を行うための公式会見だ。ただ、実があったかと言われると、そこまででもない。
佐渡島シェルターの結界を始めとするシステムの全権を握っているのは当然ガイア連合佐渡島支部であり、支部長である俺だ。
佐渡島という離島の外部連絡に必要な各種船舶などもガイア連合の庇護がなければ運航できないため、佐渡市における流通もこちらのものだ。
佐渡市を構成する各地の集落、そのインフラとなるガス、電気、水道などといったインフラも、既にガイア連合佐渡島支部が掌握していた。他に保持できる組織がないので。
トドメに、終末時に起きた佐渡市内での悪魔の大量自然発生により、ガイア連合の駆逐部隊が到着するまで避難や防衛にあたった警察も、その人員の半数が喪われており、既にその機能の半ばを停止させている。まあ、それもデモノイドを量産して治安維持に当てるので問題なし。
問題は、そんな状況下ですら“声を上げる市民”が絶えない事だが。
知った事ではない。
それが答えだ。
俺が佐渡島にシェルターを敷いて、結果として佐渡市の市民を救ったのは事実。
だが、その結果として何かしらの利益があるとか、そういうのは特にないので。
最悪、佐渡金山にボッシュート。なお没シュート予定の対象も“七陰”の一人であるゼータが既にブラックリストを作成中だ。
むしろ今は……デミナンディ関連の問題をどうこう考える方が重要だ────。
◇ ◇ ◇
どうするべきか。
どうすればいいのか。
岩盤に向かって虚ろにツルハシを振るうだけの単調な労働は、慣れてしまえば頭の中で別の事を考えながら作業を続けるのはさほど難しい事ではなく、ぐるぐると頭の中で形にならない思案を続けながら、三好は黙々と思考を巡らせる。
密告した安藤のせいで大事に隠し持っていた金を失い、殴られた。その報復がしたい。
だが反撃に遭うのも怖いし、何よりクローンヤクザによる懲罰が怖い。
佐渡金山の就業規則において、労働者同士の争い事は基本的に“喧嘩両成敗”として扱われる。
具体的には、両者共に余計な事をする気がなくなるまでひたすら雑に殴られる。
それは、嫌だ。
だが、少しだけ、クローンヤクザに気付かれないようにこっそり足を引っ張るだけであれば、バレないんじゃないか。
だが、もしも見つかったら、また殴られるんじゃないか。
そうやって考えながらも思考は同じ場所を堂々巡りするばかりで、何も思いつかない。
膨らむ焦燥とは裏腹に何一つ答えが出せていない事を自覚できず、ただ虚ろに苛立ちを募らせるくらいしかできる事がない。
だから結局、何もできない現状に甘んじながら、何もせず、いずれ安全など失われると知りながらも安全な後方に引き篭もって文句だけを垂れ流す事しかできない。
何も思いつかない。
小さく溜息を吐いた三好は、一杯になったバケットを押してトロッコへと向かおうとして、ふと違和感に気が付き手を止めた。
「……何だよ?」
不機嫌そうに唇を引き結んで隣でツルハシを振るう安藤が、こちらへと振り向いて目立たないように睨み返してくる。それに何も言わず、答えず、三好は無目的に開閉を繰り返す口を閉ざす事も忘れ、ただ震える指で安藤の背後を指した。
それに吊られて振り向いた安藤も、三好の指が差している方向へと視線を向けて絶句した。その指の先でツルハシを振るう労働者の男……思い出すのに数拍の時間を必要としたが、それでも確かに思い出した。
昼休みが終わった直後に、過労で倒れた男だ。
死体のはずだった。
クローンヤクザが殴りもせず放置していたのだから間違いない。
だが、動いている。
「おい、あ、あいつ死んだんじゃ……!?」
「いや、でも普通に倒れてただけって事もある、かも……」
目は虚ろ、肌は土気色。
その姿はまるで死人だが、それが平然と労働者に混じって当たり前のように作業を続けている。
何が起きているのか、目に見えている光景が理解に繋がらない。
開けてはならない扉を本能的に拒否しているかのように、頭が理解を拒んでいる。
三好と安藤は思わず視線を見合わせ、そして。
「ダッテメッコラー! スッゾオラー!」
「ぎゃっ!? 痛っ! 待っ!」
「うぐっ、ガっ! あがハっ!」
そのやり取りに気付いた監督のクローンヤクザに、自分が見たものについて何も考えられなくなるまで、二人揃って散々殴られる事になり。
そうして不承不承ながら気持ち悪さをこらえ、仕事に戻ろうとした三好は、思わずその身体を硬直させた。
気付いてしまった。
数が、多い。
自分と同じようにツルハシを振るい、鉱石を運ぶ労働者の中に、同様の死人のような人間が混ざっている。割合としては半数くらいか、その多くが何の特徴もない平凡な、しかし見覚えのない顔で、つまりは三好や安藤とは異なり“難民ではない”。
なら、一体こいつらはどこから来たのか。
背筋に冷たい吐息が吹き込まれたような違和感に、三好は思わず身体を震わせた。
◆ ◆ ◆
視界の端で時計をチラ見すると、壁の時計は午後三時を指していた。常にどこかしら市民の姿がある市役所とはいえ、二階の休憩室となれば人気はない。
その壁の隅にぽつねんと置かれていた自動販売機にコインを入れて清涼飲料の缶を出すと、デルタに片方を放り渡す。会議室では未だに会見が続いているが、どうせ全て知っている内容を一方的に通告するだけなので、デルタを引き連れて部屋を出ていた。
「ぷっはー! おいしーですー!」
缶一本を一口で飲み干しては近くのゴミ箱に放り込んだデルタを隣に置いて、俺はゆっくりと缶を傾け、時間を掛けて清涼飲料を喉に流し込む。そういえば、この自動販売機もガイア系列の製品だったな。周囲に結界とか張れるので、これのお陰で結構な人間が助かったらしい。
「自動販売機って言うなら、いっそライダー霊装化してバイク変形機能でも付ければいいのに……」
オーズ格好いいからなー……と、量産化に成功しているG3シリーズを始めとしたガイア連合製の各種ライダー霊装のカタログを脳裏に浮かべて、色々と思い出してみる。そういえば今は555系も量産化していたが、あれもサイガやオーガはまだ完成していなかったか、それとも俺が知らないところで誰か作っていたか。
田舎ニキは氷結属性だから仮面ライダーレイとかになるかと思っていたらグリスブリザードだったので、そっちだったかー、と割と驚いていた。
アマゾンズドライバーはウチで作ったけど、まああれは肉体そのものを変形させるわけでなく、デモニカの装甲とセンサー系と人工筋肉系を強殖生物に置き換えて鎧として装着しているだけだからな、原作再現とは言い難い。本気でやるなら、それこそ装備からデビルシフター能力を発動できるくらいにしなきゃならないだろうが。
あー、そういえば山梨のダ・ヴィンチラボが飛電インテリジェンスと共同開発でゼロワン系列を作っていたと聞いたが……いや、あれは確かデビルシフター用の追加装備だったか。
そんな事をつらつらと考えていると、休憩室に誰かが入ってくる。気配そのものは感知していたが、未覚醒の常人の物だったし、注意もしていなかったが。
「あれ……もしかして、えっと貴方ひょっとして……そう、蝶野君?」
「ん? おや」
振り向くと、そこにいたのはさっきまで見ていた顔だった。具体的には、さっき会議で騒いでいた美人過ぎる議員様だが。
「蝶野君でしょ。私よ、中学の頃、クラス一緒だった『小手川唯』。ほら二年の頃、学級委員やってたんだけど、覚えてない?」
「あー……いや、覚えてはいるが、小手川こそ俺の事覚えてた事に驚きだよ」
地元で昔クラスメイトだった人間が選挙権ギリギリの年齢で立候補して市会議員にまでなっている、なんて事は新聞で読んで知っていたが、それが俺の名前を憶えている事には驚きだ。中学の頃の俺といえば、教室の隅で誰とも喋らずひたすらラノベ読んでいるような生徒だったからな。オタク仲間すらガイア連合という居場所で初めて出会ったくらいだ。
だから正直、自分が地元の佐渡島に戻ってきた事すら驚きだった。依頼の報酬やら製作物を売った収入やらで結構な金が溜まっていたから、研究所の開設がてら佐渡に色々用意して、終末が来れば結界を展開してシェルターを作れるようにもしておいたけど、だからといって地元に期待もしていなかったので。
「委員長の事だから、クラス全員の名前と顔を覚えてるとか言われても驚かないけどな」
「まあ思い出したのはさっきだけどね。蝶野君、こっちで働いてたんだ」
今の俺の服装は普通にビジネススーツ。それも、内側に全身スーツ状の霊装を仕込んでいるとはいえガワは量販店で売ってるような普通のスーツだし、議員らしくそれなりに見える程度には金を掛けているらしい小手川の方がいい服を着ているくらいだ。
だから普通に、この辺で一般リーマンやってるか、とでも思ったんだろう。
「まあ、仕事だからね」
「そうなんだ。蝶野君はどこで働いてるの?」
「化学系の企業だよ。今は食品関連の開発なんかを担当してる。小手川は……まあ議員やってるのは知ってるけど、大変じゃないのか?」
その辺、コイツがどういう仕事をしてるのかは知らんからな。アルファに論破されてたのは見てたけど。
「大変かって、大変だけどね。終末とか意味が分からないし、上の人は話聞いてくれないし、ガイア連合なんてよく分からない人達は出てくるし、悪魔なんて訳分からないし、それでも支持者の人達は色々言ってくるし……もう滅茶苦茶だよ。自衛隊とか警察はどうなってるの……?」
「あー……そりゃ災難だな。あと警察も自衛隊も壊滅してるよ、佐渡じゃ」
まあ、そうもなるか。
つい昨日までオカルトとか何も知らなかった一般人視点だと、そういう認識にしかならないんだろうし。
で、議員本人も何も知らないにもかかわらず、その上で要望だけは下からガンガン上がってくる、と。
そりゃ目を回しもするか。
まあ、自分自身に何の主義主張や目的もなく伝言ゲームみたいに市民の言葉をそのまま持ち運ぶマシーンなんて何か意味があるんですか、とも思うがな。
知った事じゃないけどさ。
「そういえば小手川は会議、いいのか?」
「誰も私の話なんか聞いてなくて、いても邪魔みたいだから。あえて雰囲気読まずに、なんてできるくらい図太くもないし。出てきちゃったの」
ぶっちゃけこっち側からすると、何も分からんなら分かるようになるまで素直に言う事聞いてろ、としか言えないんだよな。危険だから。
とりあえず最低限覚えておくべきテンプレはガイア連合のホムペからPDFでコピーして、しおりにまとめて各家庭に配布済みだし。その辺の仕事は役所に任せたからどうなってるかは知らんが、燦に聞いたところではきっちり市民の皆様に出回っているらしいから、後は知らん。
それで分からないというなら、それこそ実地で経験してきて、駄目なら死んでね、としか言いようがない。説明するのマジ面倒。丁寧に講習会とかしてやるような人員もいないし、こんなものだろう。
そんな事を思いながら小手川の愚痴に適当に相槌打ってると、窓の外から騒がしい声が聞こえてくる。
「小手川、ちょっと」
「え? あ、ええ……」
訝しがる小手川を手で制して、ブラインドの掛かった窓越しに外を伺ってみる。役所の外、ちょうど駐車場の辺りに人が集まっているようだ。数は……まあ数十人はいるだろうか。何やら不穏な気配を漂わせており、少し耳を傾けるだけで罵声や文句のような声が耳に届いてくる。
だが特に武装しているとかそういうわけでもなく、覚醒者らしき気配も感じないから、そこまで警戒する事は無いだろう。
「困ったわね。これじゃ会議が終わっても帰れないかも」
「大して何か考えとか目的があるわけじゃなさそうな癖に、迷惑だけは一丁前か」
役所を警備している警察官達が対処しているようだし、その内に収まる……かどうかは微妙だな。
相手は一般市民……暴動に対して声を張り上げて体を張らせるだけ、警官に対して市民を傷つける事を絶対に許さない甘く優しい日本式対応で市民達を退かせる事ができるかどうか。まして佐渡市では終末が起きたタイミングでの悪魔の大量発生で結構な被害が出ているからな、市民の間に溜まった不安も相当なものがあるだろうし。
これでコミックに出てくる正義の政治家とかなら、溢れるカリスマと奉仕精神で市民に不満の源の解消を約束して格好よく片付けるんだが、生憎こっちはそういうのは専門じゃないからな。
お、何やら変化が起きそうだ。群衆を掻き分けて、そのリーダーらしき中年の男が前に出てくる。でかい拡声器を抱えているあたり、演説か、さもなきゃ何かしらそれっぽい主張でもするんだろうが……うん、やり始めた。拡声器を使ってる事を差し引いても、声結構でかいな。
えーと何々、連中の主張をザックリと噛み砕くと、だ。
今回の騒動……つまり終末に起きた悪魔大量発生は市の怠慢が原因である。
市長や市議会がガイア連合と癒着していたのが悪い。
今すぐ議会を解散して市は被害者に十分な補償をすべき。
ガイア連合は今すぐ佐渡市から撤退しろ。
いくつか色々矛盾している気がするが、まあどうでもいいな。
問題は、これを放置しておいても本当にいいのか、という点だが。正直、嫌な予感がする。
「マーベルヒトモドキってのは、本当にどこにでも湧くんだな」
そのマーベル共を放り込む最終処分場を経営している身だが、自分の御膝下にまで湧き出す、というのも驚きだ。俺自身もどうやら、当事者意識が足りなかったのかもしれん。
「マーベル……?」
「アメコミのレーベルにマーベルコミックってあるだろ。それに出てくるみたいに、ヒーローが必死に戦って一般人を守っている背中から罵声を浴びせたり石を投げつけてくる、罪のない一般市民っていう名前のヴィランの事だよ」
まあ魚沼で起きた暴動ほどに大規模じゃないし、そもそも終末には民度:マーベルから民度:妖精國や民度:デビルマンにクラスチェンジする可能性だって想定していたのだから、そこまで気にする事じゃないか。
呉から買い込んだナイトメアフレームに対人機銃なんて搭載したりとか、それなりに備えもしてある。デモノイド警官の導入で、政府を守るべき警察が変な正義感に目覚めて市民側に寝返るような間違いもまず起きない。
だからとりあえず大丈夫だろう、とは思う。
眼下の集団の主張は続いているが、あの連中が佐渡市の市民達の間にどれだけの影響力を持っているのかは正直分からん。
邪魔者扱いされているかもしれんし、あるいは本当に市民の声なき声を代弁している可能性だってある。
あるいは今はどうでもいいと思われていても、その内に強い影響を与えてくるのかもしれんし。
「小手川、あのオッサン知ってるか?」
「ええと、確かこの辺に建っている教会の神父様よ。終末、に起きた災害の時も率先して市民を避難させていた立派な方だし、こんな短絡的な事をするような人には見えなかったけど……」
……教会、ねえ。
「その教会ってのは、メシア教会?」
「違うわ。普通の、オカルトなんて何も関係ないカトリック教会よ。災害の時にも少し話したけど、悪魔についても何も知らなかったみたいだし」
「なるほど、ね。まあその時に正気だったんなら、それ以降におかしくなったんだろうさ」
もしくは“された”方か。
聞いていれば、拡声器越しに聞こえるその神父様とやらの言葉はますますヒートアップしていく。目を血走らせ、口から泡を散らしながら叫ぶ神父の様子は、とてもではないが正気の物とは思えない、が。
「おかしくって、あの人は普通の人よ! 精神病みたいに言うべきじゃないわ」
「人間の正気を奪う悪魔なんて、星の数ほどいるだろう。別に彼自身の内面に問題があろうがなかろうが、それは関係ない」
「そんな……」
目を皿のようにして神父の周囲を探るが、彼を操っているかもしれない悪魔の存在は感じ取れない。ブラインド越しの狭い視界という事もあり、索敵には向かない。
どうしたものか。
「どうするですボス? いっそ全員ブッ飛ばしちゃいますか?」
隣で大人しくしていたデルタが、この上なく脳筋な意見を口にする。
「それは最後の手段……かな。とりあえず様子見」
「はぁい」
まあ、デルタの意見も悪くはないのだが……少なくとも最悪の状況にだけは絶対にならない、という意味では。
あの市民連中が何か余計な事をしたせいで、とんでもない大惨事が起きる可能性だってあるのだから。
「あの……蝶野君、そちらの方は?」
「大事な部下。役割は護衛」
「デルタなのです!」
割と今更のツッコミな気はするが、まあ、それはともかく。
「ふむ……あれは」
見ている内に、多少の変化があった。拡声器の持ち主が神父の隣に立っている学生に代わる。その手には、青少年の主張の声を上げるには少しばかり不自然な事に、拡声器と一緒にスマホが握られていた。その事実に嫌な予感を感じた瞬間。
「あ、これはダメだな」
咄嗟、ブラインドを引き上げて窓を全開に、身を乗り出した。
『────見てください! 悪魔召喚プログラム、これがあれば僕達でも悪魔を操って、悪魔を倒す事ができます! この力があれば、ガイア連合の力も必要ありません!』
そんな事を学生が叫ぶと同時、彼が握っていたスマホにインストールされていた『悪魔召喚プログラム』が起動し、スマホの画面が蒼白い鬼火のようなマグネタイト光を放つ。
「デルタ、小手川を下がらせろ」
「はいボス!」
「きゃ!?」
小手川を庇って背後に下がらせるつもりで命じれば、従順に頷いたデルタが小手川を背後に放り投げる。違うそうじゃない、後でオシオキ……いや、俺の指示にも具体性が足りなかったか、と思いつつもスマホを取り出した学生に向かって掌を向けるのと、学生のスマホを中心に力の気配が拡散するのがほぼ同時。
ついでに休憩室のドアを開けたアルファが、眼前に投げ飛ばされてきた小手川をキャッチして横に放り出すのもほぼ同時、と。抗議の声を上げる小手川をスルーして、俺の隣に立ったアルファも窓の外を覗き込む。
「どうするの、マスター?」
「最低限、妨害はするさ」
悪魔召喚プログラムが起動させたのは、【吸魔】の術式を主体とした一定範囲内からの生体マグネタイトの強制徴収だ。それを展開した簡易結界で抑え込み、役所全体を包み込むような当初の予定範囲から、スマホを中心に半径五メートル程度に強制縮小させる。
それでも犠牲者は出ており、吸収に巻き込まれた市民達は術者である学生自身も含めて一瞬でミイラのように干からびた渇死体へと変容。その死と引き換えに得られた生体マグネタイトを消費し、カバラの術式を基盤として蒼白く燃え上がる魔法陣が展開する。
「あのプログラム、メシアン製の粗悪品だな。ネットで無料ダウンロードできる殺人トラップとか、ネットリテラシー欠如もいいところだ」
ガイア連合の電脳チームが見つけ次第削除してはいるらしいが、削除する傍からアップロードされていくからイタチゴッコだとか。そういう代物だから、ネットに繋ぎさえすれば誰だって手に入れられる。ただの学生にさえも。
「蝶野君……あ、あれは?」
「あれが、悪魔だ」
半ばミイラになり掛けた学生の口から、一本、また一本と白い羽根が伸びていく。まるである種のシダ植物のように蠢く奇形の翼は、触手のようにのたうちながら長く伸び、周囲にいた市民達を打ち据え、足りない力を補おうとするかのように絡め捕り、貪欲にマグネタイトを吸収していく。
また一人、新しい市民が翼へと捕まり取り込まれていく。捕まった人間は一瞬で全身の水分ごと生体マグネタイトを吸い上げられて乾いたミイラと化し、そのまま地面に落ちてバラバラに砕け塵となる。
「う、そ……あれが、悪魔?」
「ああ。あの様子だと、出てくるのは天使で確定。まあ平和的な交渉が通じる相手じゃないのは確実だな」
デルタに投げられたらそのまま下がっていれば良かったのに、わざわざ様子見に戻ってきた小手川が、胃の中身を足元に吐き戻す。びちゃびちゃと汚い音を立てて落ちる吐瀉物とは対照的に、現れた悪魔はある意味美しかった。
スマホを握り締めたままの学生の身体が風船のように膨らみ、弾け散る。タマネギのように中から突き出していた翼は花開くように展開し、現れた悪魔の────天使の背中に柔らかく広がった。
アナライズ結果────天使ヴァーチャー、Lv41。
「高潔」を意味する名を持つ、上から五番目の階級に位置する天使。実現象としての奇跡を司り、その力で人々に勇気を与えるという────賑やかしみたいな役割の天使。全長二十メートルを越える巨体の怪物は、召喚と同時に産声にも似た金切り声でこちらの鼓膜に耳障りな震えを残す。
「天使、って……悪魔なんだよね?」
「そうだよ。天使って種族名の悪魔だ。伝説伝承に出てくる怪物全部って、しおりにも書いてあっただろ。天使もその中の一種だよ」
一般人に説明するのは面倒臭い……からしおりを配ったのに、御覧の有様だ。一回説明して分かってくれれば、それが一番なんだがな。
だが、そうも言ってられないようだ。天使が真っ先に発動させたのは【サバトマ】による眷属召喚、現れるのは多数の天使エンジェルだ。雑魚とはいえ町中で殺戮やサバトを始めて生体マグネタイトを集められれば、厄介な事になるだろう。
「デルタ、本体を叩け。俺は雑魚を散らす。アルファは────そう、ロボ部に発注していたアレがあるだろう」
「アレ……ああ、なるほど。ここで出すのね、面白い」
デルタの背後に出現した強殖生物が甲殻を形成し、ガイバー・ユニットを展開したデルタは一瞬だけこちらに手を振ると、真っ正面から天使の群れに斬り込んでいく。
合わせて、窓から飛び出し市役所の屋上へと陣取ったアルファが引き抜くのは、拳銃にも似たグリップを持つ蛮刀だ。スーツの内側に仕込んだブレストホルスターから引き抜かれた蛮刀は流体金属製の刀身を一瞬だけ鞭のように躍らせると、瞬間的に硬化して鋼の刀身を構成。
その刀身から放出されるガイドビーコンに従って、対応する機体に仕込まれたトラポート系の術式が起動。上空に展開する巨大な魔法陣から空間を越えて送り込まれてくるのは白亜の色合いに塗装された刃渡り二十メートル超過の巨大な機械剣だ。大気を裂いて滑落し、こちらに向かって巨大な腕を振り上げていた天使ヴァーチャーの頭上へと逆落としに落下する。
アルファの発動させた【機神召喚】に伴って、俺も自分の体内に仕込んだガイバー・ユニットを起動した。背後に強殖生物の膨大な質量が膨れ上がり、全身を覆い、肉体を強化する更なる肉体を作り上げていく。
「待って! 蝶野君、貴方一体……!?」
「ガイア連合佐渡島支部、支部長……蝶野光爵。それで十分だろう」
全身を覆う強殖生物が筋骨を形成し、生物的な装甲が装着されていく。デルタ・ガイバーと比べても一回り大きな体躯はカブトムシのそれを彷彿とさせる褐色の甲殻に覆われ、その隙間から垣間見える分厚い筋肉の上には、蒼白く燃え上がるマグネタイト光が流動する。背中の鞘翅が跳ね上がるように開いて、その下から翼が広がった。
ガイバー・アプトム・フルブラスト。
元ネタはガイバーと同作品だが、それに登場する別キャラの姿。俺が一番好きだったキャラクターの姿を借りてきた。
だが細部は異なっており、特に背中に広がる翼は、ペルソナ『プロメテウス』が変容した燃焼する黒色火薬の蝶翼。蝶の翼を象った不定形の黒色火薬と、強殖装甲の内側に取り込まれた超高熱高圧の炉心によって構成された武装型のペルソナだ。
「行くぞ────」
全身の甲殻の上に無数のレンズが展開し、放たれるのは生体熱線砲。生物学的な化学反応として発生する核熱系術式の反応熱を生体レンズで収束させ、超高熱のレーザーとして放射する火力兵器が、同時数十門の一斉掃射。破壊力は絶大、さらにその上に火炎系魔法まで属性上乗せして放たれているのだから当然だ。
さらに全身の甲殻それ自体を展開させ、隙間から突き出す無数の突起が炎と煙を噴きながらミサイルとなって高速で射出される。爆炎を撒き散らすミサイルが空に地上に幾重にも業火の華を咲かせると同時、爆炎の中を落下して地面に突き立っていた白亜の巨剣が各部の装甲を複雑に展開し変形、装甲の内側から青黒く燃え上がるマグネタイト光を噴き出しながら立ち上がる。
「ああ、さすがはロボ部、いい仕事をしてくれる」
七陰に合わせて総勢七体、そして本来は囚人を監視し、暴動を鎮圧するために製造された────そんな元ネタを、彼女達が駆るに相応しいと思って発注した機体だが、ああ、これは中々素晴らしい。
ヴァーチャーの【サバトマ】による召喚封じのために一帯を埋め尽くし燃え上がる火災の中から現れるのは白亜の人型機体。胸郭のコクピットにアルファを格納し、背筋を伸ばして立ち上がる。
限りなくヒトのそれに近く設計された鋼の骨格を逞しい人工筋肉が取り巻き、象牙色の鎧の合間からは筋肉組織の内側に流動する膨大な生体マグネタイトの青黒い輝きが垣間見えている。
────機体名『ダン・オブ・サーズデイ』。
濛々と黒煙を巻き上げる火災の中、巨大天使と向かい合う刃金の巨人。背部の鞘にマウントされていた片刃の大剣を抜刀、踏み込みと同時に足元に炎を散らし、一瞬で敵の正面へと斬り込んで一閃。翼を打ち振って空中に逃れたヴァーチャーの顔面、右眼窩を抉るようにしてデルタ・ガイバーのルガーランスが炸裂する。
ゆうに頭蓋の四分の一を抉り飛ばす苛烈な損害に鼓膜を掻き毟るような甲高い金切り声を上げたヴァーチャーは【ディアラマ】で損傷を急速修復すると共に、全身から放出した生体マグネタイトを体表で固着、鈍く輝く青銅色の装甲へと変換して防御を固め、その手に片手持ちの短槍と円盾を形成して戦装束を整え、そして。
白亜の剣巨人。
青銅色の権天使。
燃え上がる街を足元に、真っ正面から向かい合う。
◇ ◇ ◇
鋼の巨人。
天使。
強殖装甲。
デモノイド。
悪魔と、対悪魔戦力。
まるでアニメの世界から出てきたかのような戦いに見入っていた小手川唯は、唐突に声を掛けられて振り返る。唯の先輩にあたる古参議員の羽生だ。
「小手川君、ウルトラマンは好きかね?」
「羽生議員……いえ、そういうものは、あまり」
正直に言うと、まあそうだと思っていた、と気を悪くするでもなく羽生は苦笑して肩をすくめる。普段から彼が浮かべている胡散臭い笑顔とは対照的に、驚くほどに真剣な表情だ。
「地球防衛隊、というのがあるだろう? 子供の頃、ウルトラマンに熱中していた私はね、同じようにウルトラマンを見ていた周りの子供が地球防衛隊に入りたい、と言うのを聞いて、馬鹿馬鹿しい、と思ったものさ」
「はぁ……そう、ですか」
羽生の述懐の意味が分からず困惑する唯に構わず、羽生は話を続ける。その視線は炎に包まれた戦場をじっと見つめており、唯など見てもいないようだ。
「いやいや、だってそうだろう? 地球防衛隊なんて、ウルトラマンの前座だよ。ウルトラマンが格好良く怪獣や宇宙人を倒している横で、大した活躍もできずにあっさり負けて退場するだけの賑やかしだ。そんな格好悪い連中の仲間になるなんて御免だ、なんて、子供の頃の私は思っていたのさ」
でもね、と続け、羽生は窓の外を見るように唯に対して促した。その指差す先にあるのは、戦場だ。
ただの戦場ではない。怪物の、あるいは神々の。
単なる人間が爪楊枝のような銃火器を担いで乗り込んだところで火中に飛び込む虫の一匹と大差なく、業火に捲かれて無為に焼き払われ、戦局に何の意味もなさず、ただ一瞬その姿を目に入れた超越者の数人に小動物と大差ないささやかな感慨を抱かせる風物詩になる程度。
そんな神話の戦争だ。
「大人になって、自分がその地球防衛隊と同じ立場になるだなんて思ってもみなかったよ。とにかく何かしなければならない責任ある立場にもかかわらず、我々にできる事といえばヒーローが怪獣を倒してくれるのを手に汗握って応援する事くらいだ。今もそうだろう、君自身も含めてね……小手川君」
「それは……そう、ですね。ええ、それどころか、ここで叫んでも応援の言葉一つ届かないでしょうね。周りがうるさ過ぎます」
「この災害現場だからねぇ」
もはや笑うしかなかった。
あまりにも無力だった。
爆炎が渦巻き、怪物が荒れ狂う。
「それでもねぇ、我々にはやるべき事があるんだよ。彼らと、そして市民との間に立つ事だ。それは間違いない、君の思っている通りだよ。……でも、勘違いしてはいけないよ小手川君。我々のやるべき事、彼らに望まれている役割は、市民の要望や苦情を彼らに届ける事じゃあない。むしろ逆だ」
「逆……ですか?」
暴れる巨大天使が放った光弾の軌道はちょうど役所の正面へと直撃する軌道、しかし瞬間移動じみた速度で現れたガイバー・アプトムが【マハラギダイン】を上乗せした【炎の壁】を展開して防ぎ止める。荒れ狂う爆炎の障壁、火炎魔法の威力で攻撃を相殺する攻勢防御にして、さらに接近してきた敵すらも業火で焼き払うカウンター。
【サバトマ】によって連続召喚される天使の群れも灼熱の壁に押し留められ、そのまま生体ミサイルの乱打に巻き込まれそのまま焼かれ砕かれて灰と散っていく。
その破壊力は既に非覚醒の常人が携行できる兵器の領域を越えており、あえて現代兵器で例えるならば戦略爆撃機にも匹敵する爆炎を、市街に一片の被害も出さずに完全に制御している。個人の有する戦闘力が数の暴力や装備の質を凌駕するというオカルト世界の異常性。
「正義のため、罪のない人々のため、傷ついても石を投げられても無償で戦い続ける正義の味方……格好いいよね。私も、素晴らしいと思うよ。でもね、そんなのはオカルトの蔓延るこの世界でも、やっぱり絵空事なのさ。彼らは普遍的で一般的な良心に基づいて我々のため……市民のために結界を作り、無償でシェルターを用意した。物資も、インフラさえも提供してくれている。だが彼らはそれ以上を、無限に与えてくれるつもりはないようだ」
「無限に……というと?」
「そうとも。先日、魚沼で難民によるデモ……いや、暴動が起きたそうだ。職を紹介されても働こうとせず、不平不満を漏らしながらさらに支援をタカる悪質な市民様だったそうだけどね、この佐渡島に送られてきた彼らに蝶野支部長が何を用意したと思うかね? 強制収容所だよ」
「何をやっているんですか! それでは……それこそナチスやソ連と一緒じゃないですか!?」
半ば脊髄反射のように唯が声を上げれば、同時、窓の外でも爆炎が連鎖爆発。炎の渦が猛り、ビルすら刈り取る巨大な剣が振り回される。
外は地獄だ。
戦場だから。
それは、唯も分かっていた。
「それを、直接言ってはいけないよ小手川君。何故なら、どうしようもないからね。世界には余裕がなく、今や限られたヒーローだけにしか人々を救えない、そんな世界だ。でもヒーローだって人間だ。……人間なんだよ。無限に無償で戦ってくれる正義の味方なんて、どこにもいないんだよ」
「それは、分かっています、けど……!」
「いや、分かっていない。そして君は分からねばならない、政治家として、そして地球防衛隊と同じ立場に立つ無力な一般人としてね。問題にすべき場所、見るべき角度が違うんだよ」
「角度……?」
天使が溢れる。それを爆炎が焼き払う。
アマゾンシグマが爪牙を振るう。
ネメシスT型が重火器を放つ。
青銅の巨天使が槍を振るい、白亜の巨神が迎え撃つ。
「考えてもみたまえ……彼らは確かにヒーローだが、同時にヒーローを続ける必要もないんだ。彼らはいつでも戦いをやめて安全な山梨に帰り、そこで豊かに暮らしていく事ができるんだよ」
「それは、そう、ですけど……それがどうしたんですか? 現に、彼らは今この佐渡島にいるでしょう」
「分からないのかね? いや、分かってくれ。蝶野さん達は……市民の事を不快に思ったら、いつでも佐渡島を捨てて山梨に帰る事ができるんだよ。研究所があるという話だから実際に山梨に帰るかどうかは分からないが、しかし彼が市に対する庇護や物資の供給を停止しないという保証はどこにもないんだ」
「なら……一層、彼らと市民の距離を縮める必要が……!」
咆哮のように吠え謳い上げる天使ヴァーチャーの讃美歌が破魔の波動と化し、【マハンマオン】による無差別浄化で周囲の敵を殺傷しようとするが、ガイア連合によって日々生産される天使フォルマで破魔耐性くらいは標準装備済みだから大した被害は出ず、市街に展開したネメシスT型やナイトメアフレームが一斉砲火。
逆に槍を振るおうと踏み込んだヴァーチャーの足元に多数のミサイルが直撃、崩れた地盤を踏み抜いた青銅色の足が姿勢を崩し、膝を突いた天使に向かって緑灰色の影が殺到した。アマゾンズドライバーを標準装備した吸血鬼殲滅隊のアマゾンシグマが放つ一斉攻撃、【物理ブースタ】【吸血衝動】を上乗せした【狂乱の剛爪】による【バイオレントストライク】。
天使の翼が根元からズタズタに引き裂かれ、不揃いな断面から青黒い生体マグネタイトを迸らせながら地面へと落ちていく。
「それは無理だ」
「無理……ですか?」
「そうとも。市民が満足しないからだ。彼らは求めるだろう、もっと、さらに多くを。超人や神々にすら不可能な事ばかりを。なぜなら、彼らが求めるのは終末が起きる前の安寧と幸福なのだからね。でも今さらそんな事は不可能だ。少し考えれば、分かるだろう」
「それは……」
天が爆ぜた。
剣そのものを人型に象ったかのごとき白亜の巨神が、その剣を天に向かって振り上げる。溢れる【フレイダイン】の爆光を【火竜撃】で刀身に収束させ、【火炎貫通】【チャージ】【コンセントレイト】を重ねて繰り出す【ブレイブザッパー】。
赤熱しながら燃え上がるマグネタイトが塔のごとき巨大な刃を形作り、放たれるのは必殺の【神は裁き】────市街に無駄な被害を出さないように地刷りの下段から振り上げて放たれる必滅の一撃。
「だからね、我々にできるのは一つだけだ。彼らと市民の間に立って、市民が叫ぶ不平不満が、不愉快な雑音が、彼らの下に届かないようにシャットアウトする事だ。彼らが、気持ちよく世界を守り、人々を救ってくれるように、ね」
「納得は行きません、が……ええ、分かります。理解は、できます……少なくとも理屈だけは」
空へと跳ね飛ばされ高みに打ち上げられた巨大天使が、そのまま轟炎を撒き散らし爆散する。青銅の巨躯が爆ぜ割れると共に、市民達を殺してかき集めた生体マグネタイトがどろりと撒き散らされ、揮発して散り、その場で戦っていたシキガミやデモノイド達へと速やかに吸収されていく。
そんな戦闘の終わりを背景に、羽生は苦笑する。苦々しく笑う。苦くも、笑ってみせる。
「小手川君、君は若いねぇ……私なんかは、人類が滅びずに済んで、ある程度の社会が維持されるなら、それで十分だと思うのだけどねえ。ほら、憲法でも言ってるだろう、健康的で最低限度の文化的な生活、って」
「それだけで……それだけでは、満足できません……したくありません、から。少なくとも、私は」
口下手ながらに、小手川唯はそう告げる。
だからといって何ができるとも分からないけれど。
だから軽々しく動いていいかどうかさえ分からないけれど。
しかし、しかしと。
「私はせめて、それより一つ先が欲しい」
自分の望む“先”がどちらか、という事すら満足に分かっていないのだけれど。
Wordで書いてから一回チェック。
それを次話投稿の欄でチェックして一回。
さらにプレビューで確認してもう一回。
繰り返し確認してもなぜか湧いてくる誤字やうっかりよ・・・
~割とどうでもいい設定集~
・七陰
元ネタは『陰の実力者になりたくて』。
蝶野光爵の従える七体のシキガミ。七人で佐渡島支部を運営している幹部格。
アルファ:七陰全体の指揮・統括。プラスして、現在では佐渡島の市議会・市役所との連携。
ベータ:佐渡島全域の防空・防海。
ガンマ:日本生類創研、日本ブレイク鉱業等、各企業体の運営。
デルタ:直接戦闘、及び前線部隊の指揮。大型悪魔の討伐。
イプシロン:祭祀担当。佐渡島及び周辺の各神格との折衝。
ゼータ:諜報担当。ガイア連合及び佐渡島支部に対するテロ行為の摘発。
イータ:開発担当。技術開発、新商品開発等。
・アマゾンズドライバー
元ネタは『仮面ライダーアマゾンズ』。
ガイア連合佐渡島支部・日本生類創研で開発・製造されている展開型デモニカ。
COMP機能が搭載されており、その中に内蔵されたデモノイド『強殖生物』で装甲や筋肉系を構築する生体型パワードスーツ。
性能的にはほぼ近接特化であり、身体強化性能は相当に高い。また、デモニカとしては非常に珍しく噛みつき系のスキルに対応している。
使用者が生体型シキガミパーツを使用している場合、その機能をそっくりそのまま強殖生物に融合し増殖強化させる形で使用する事ができる。
・ユニット・ガイバー
元ネタは『強殖装甲ガイバー』。
基本的にはアマゾンズドライバーと同様、内臓型COMPによって召喚する強殖生物によって強化装甲を構築する。アマゾンズドライバーとの違いは、シキガミパーツ手術によって肉体に埋め込んでしまう事。
またアマゾンズドライバーと異なり、全身に各種武装が仕込まれている。
・ダン・オブ・サーズデイ
元ネタは『ガン×ソード』。
ロボ。
佐渡島支部のために日本生類創研で開発された七体の機体、その最初の一体。
人工筋肉技術の広告塔。
設計思想としては、一切の特殊性を排して使用者の肉体の延長線上となる直接的な“肉体”性能の強化に振り切った構成の機体。
可能な限り人体形状を象ったアダマス製の骨格に、地霊ティターンの組織を培養した人工筋肉を技術的限界が許す最上級の密度で組み込み、その上からヒヒイロカネの装甲を装着している。
設計段階から特殊な武装や機能の一切を排し、出力と速度、耐久性などといった基本性能を突き詰めて、その上で操縦者の技量とスキルを最大限に反映する事を目的とした、折れず曲がらずよく斬れる剣のような機体。
使用者はアルファ。
・瀬戸組
佐渡島の地元霊能組織。
金毘羅権現の加護を受けている。
霊能組織であり、ヤクザ組織であり、さらに地元の漁業組合でもあるとかいう複雑な性格の組織。終末以降にはガイア連合由来のオカルト漁法などにも手を出している。
構成員は主に海産物系のデビルシフターや半魔の類であり、水中戦にやたら強い。またガイア連合傘下に入った半終末以降には構成員の大半がシキガミパーツ移植手術を済ませており、戦力が大きく底上げされている。
元は瀬戸内海に根を張っていた組織なのだが、戦後のメシア教会による根切りに際して祭神である金毘羅権現が組織の半数を逃がした結果、戦力低下は最低限で済み、その後は海を渡って遥か佐渡島まで辿り着いた。
そのせいもあって現代に至るまで割と余裕をもって霊的事件に対処できていた数少ない組織だったのだが、構成員の大半が海産物系の能力者だったのが災いし、半終末に際してアメリカに召喚された邪神クトゥルーの大陸越しの毒電波がモロにクリティカルして、誰も何もしてないのに組織が半壊状態に陥ってしまい、ガイア連合の傘下に入る事になる。
・瀬戸燦
元ネタは『瀬戸の花嫁』。
瀬戸組組長。
金札持ち異能者。
本人は人魚系の半魔であり、近接物理と歌による広域バフデバフ状態異常を得意とする。戦闘では自身で前線に突っ込みながら味方全体を支援しつつ、人魚由来の不死性を生かして中々落ちないとかいう耐久型バッファー。
半終末時のクトゥルーの毒電波によって組織が半壊し掛けた際、ガイア連合に身売りする事で組織を立て直した功労者。
その際に燦の身柄を引き受けて対処にあたったのがパピヨンニキ。生体型シキガミパーツを楽に量産できるため、片っ端からシキガミ手術して片付けた。
その後、シキガミ手術の高額さ加減を知った瀬戸組一同が阿鼻叫喚の渦に叩き込まれるがパピヨンは興味なし。
それ以降は父親から組長の座を引き継ぐと共に、対外的にパピヨンニキの愛人の座に収まっている。
・ユーミル=金屋子神/金毘羅権現
ボディの元ネタは『クイーンズブレイド』。
金刀比羅神社に祀られていた金毘羅権現から割と無理矢理に鍛冶神としての権能を引っ張り出してきた代物。現在の霊基は金屋子神。
瀬戸組の守護神であるため、燦に対しては孫に接するように振舞っており、神としては比較的気安い性格。また佐渡島金山異界の表側の支配者でもある。
・小手川唯
元ネタは『ToLOVEる』。ハレンチさん。
パピヨンニキの中学生時代の同級生だった。
若手の市議会議員。
・羽生土地郎
元ネタは『こち亀』シリーズ。変な不動産屋。
古参の市議会議員。
胡散臭いチョビ髭が特徴。容姿から言動から何から何まで、何でこんなのに票を入れる奴がいるのか分からないくらいに胡散臭い。
・グラスゴー
石は転がる様『【カオ転三次】DRUG FATE』より。
ガイア連合呉支部にて量産されているナイトメアフレーム。
呉支部では型落ち品もいいところだが、戦力としても十分であり、信頼性も高い。
ランドスピナー・スラッシュハーケンの搭載により市街地・山岳地帯の双方で十分な機動力を持つため、治安維持用として採用された。
佐渡島では制御系にシキガミコアを組み込んで無人機として運用している。
主に対市民を想定した治安維持用として使われており、対人機銃やガスグレネードなどといった各種対人装備が搭載されている。
また、それ以外にも佐渡金山異界における作業用として一部導入されている。
・アッガイ
石は転がる様『【カオ転三次】DRUG FATE』より。
ガイア連合呉支部にて量産されている水中戦用モビルスーツ。元は海底資源採掘用に製造されたもの。その中でも一番安上がりな機体。
やはり呉支部では型落ち品。呉支部と最初のコネクションづくりとして購入したものであり、購入後は支援品として瀬戸組に譲渡された。
制御系にシキガミコアを組み込み、無人機として運用している。これも対市民を想定した対人機銃やグレネードを搭載しているが、これはグラスゴーの佐渡島仕様現地改修におけるプロトタイプ。
ただし基本的には対大型悪魔用として運用されている。
・ルガーランス
我道専心様『【カオ転三次】業のままに叫ぶ歩み』より。
元ネタは『蒼穹のファフナー』。
物理攻撃で敵の装甲を抉り抜いて内部に直接魔法攻撃を撃ち込むための近接・射撃複合武装。ある種の注射器。
その性質上【チャージ】【コンセントレイト】の重ね掛けが可能であり、普通に殴っただけで一撃死するような雑魚に対しては意味がなく、それだけの火力が必要な大物食いに特化した武器。