◆ ◆ ◆
人間、転生しても中々変化しないらしい。
どこまでいっても一般人は一般人で、凡人は凡人という話だ。
現地民の中には所謂ガンギマリ勢、という風に分類される連中がいる。
代々霊能を受け継ぐ名家と呼ばれる連中の中でも、名家(笑)などと嘲笑半分で呼ばれる者達とは逆の位置にいる者達。
メシア教会の手によって終戦直後に行われた各地の霊能名家に対する根切りによって有能な人員や有用な技術を失い、真っ当に機能しなくなり……それでも霊能家としての務めを果たすべく、命や尊厳、その他色々なものを削りながら戦い続けてきた剛の者達。
転生した後の僕の実家もそれだった。
……だからどうした、という話だが。
僕以外にも、似たようなガンギマリ系名家に生まれた転生者はある程度いるらしい。
彼らの大半は基本的にそんなガンギマリ勢に感化された挙句、一緒になってガンギマリになり霊能家系としての使命を守るために奔走するのがデフォである……ようなのだが。
……いや、それは人それぞれだと思うよ。
好きにしてくれ。
ただ、それに感化されなかった人間もいる、ってだけだ。
ガンギマリ勢の家に生まれて、しかし転生者ゆえに前世で培った一般人としての感性を捨て切れず、自分の境遇が一種の虐待みたいなものでしかないという事を理解しながら生きてきて。
それで、そういうキチガイ共と一緒にガンギマれるか、と聞かれると……うん無理、としか言いようがない。
まあ幸運な事に……かどうかは分からないが、実家にいる間は霊能が開花しなかったから、それに付き合う必要もあまりなかった。
ショタオジ曰く、実家の修行法が僕自身の霊質に対して根本的に合っていなかったらしく、また下手に才能があるとむしろ逆に覚醒する事が難しくもなるせいで、という話だ。
ともあれ、霊能の際に恵まれた事で次期当主とかいう地位にいて常に家族共から優遇されていたイケメンクソ弟に、修行と称して人間サンドバッグにされて骨折する事もあったが、それ以外に特に命の危険もなし。
実家では冷遇され、異能に目覚めない無能と見下されながらも、悪魔退治とかいう自殺行為に駆り出される事もなかったから、死ぬ事もなかった。
だから後は就職して東京にでも行って、実家とは縁切って適当にフェードアウトすれば、真っ当に人間らしい人生を生きられる、などと思っていた。
うん、無理だったんだけどね。
何か、抱えていた異界にどっかのダークサマナーが変な呪物を投げ込んだせいで異界が変質してどうこう、ナイ法師の遺した儀式がどうこう、とかいう話で、異界に対処できなくなったから、生贄を出す必要が……とかで役立たずの僕を生贄にすれば万事解決……とかいう話をしているのを、偶然立ち聞きしてしまったので。
付き合ってらんないので、さっさと逃げ出す事にした。
命を賭けるなら好きにすればいい。
僕を巻き込まなければな。
死ぬなら、自分達だけでやってろ。
今世での家族はただ冷遇して虐待するだけだったので情なんてゼロだし、家の使命なんてのにも興味無し、地元でも有能イケメン弟に迷惑を掛けるクズ無能とか言われて半ばイジメ対象だったから滅びようとどうなろうが知った事じゃなし。
幸いにもネットの掲示板にアクセスできる程度の自由はあったので、同じ転生者が山梨で覚醒オフ会をやろうとか言ってるのを知ってた。
だからそれに参加して上手い事覚醒すればどうにか生きていけるだろう……とかいう割と甘い考え、というか最後に縋る藁的な考えで、その日の内にコッソリ実家を抜け出して山梨に向かい、星霊神社に────ガイア連合に辿り着いた。
そうして、まあ紆余曲折……といえるほどには大した事はないにせよ、こうしてどうにかやっていけているわけであり。
◆ ◆ ◆
「ひょいっ、……と」
首をわずかに傾けると、背後の死角から撃ち込まれてきた長槍の刺突が、一瞬前まで脳天のあった空間を貫いていく。
さらに、同時。
「せーの……っと、はい、やり直し」
壁際の死角から飛び出してくる襲撃に合わせ、手にした武器を振るう。見た目はでかい筆であり、武器としては実質鈍器。
殴り飛ばされた敵はそのまま数メートルの距離を吹っ飛んで転がり、壁に叩き付けられて水風船のように破裂した。転生者御用達、山梨第一支部の修行用異界でも下層の難易度は凶悪そのもの、その下層でも比較的深い階層の敵だが、レベルを上げればこんなものだ。
砕けた悪魔の残骸が生体マグネタイトへと変換され、我が身に吸収されていく感覚。とうの昔に慣れた普段通りの感覚だが、それを味わっている暇もなく左右から襲い掛かってくる新たな敵、戦国時代の雑兵に似た装いの人型悪魔は『妖鬼モムノフ』だ。
それに対して大筆『ホクサイ』……現在は変形して長柄の絵筆型『パブロ』を左右に一振り。内蔵されたギミックにより放出された大量の墨を筆先に絡め、虚空をキャンバスにして描くのは全長十数メートルのモササウルス。
我が物顔で空中を泳ぎ回る古代の海棲爬虫類が、筆の振りに従って飛び跳ね、大型恐竜でさえ一撃の巨大な顎で敵を地面ごと噛み砕く。
絵師としての技量────聖人や修羅神仏を描いた聖画・仏画が聖性を孕んで奇跡を呼び込み、呪念を込められた呪いの絵画には悪霊が宿り霊障を引き起こす。そうやって絵画を媒体に霊基を刻み、召喚触媒や合体素材として活用できる絵を描くのが悪魔絵師という技術。
それを極めれば、例えば瞳を描き込んだ龍が実体を得て天へと昇るように、描いた獣が牙を剥き空を舞い敵を噛み砕くのも当然というもの。オカルト絵師の戦闘手段としては基本中の基本……多分。いや、僕以外に使ってる人、見た事ないけど。
「ウォーミングアップ完了、と。今日も調子は悪くなし、か……まあ普段通りかな。そっちはどうかな、ルルイエ」
『問題ありません。普段通りです』
淡々と、あるいは茫洋とした少女の声音で告げるのは頼れる我が相棒────武器型シキガミ『ルルイエ異本』。僕の背後に浮かぶ魔導書を象ったシキガミだ。
「じゃあルルイエ、今日も頼んだよ」
『了解しましたますたー。それでは────戦闘行動を開始します』
告げると同時、『集魔の水』を詰めたペットボトルの蓋を開き、そのまま放り投げる。回転しながら放物線を描くボトルは、この身が化身した『邪神クトゥルー』の権能での液体操作により空中で破裂、そのまま上空からスプリンクラーのように水を撒き散らした。
飛び散った集魔の水に惹かれて、異界のあちらこちらから敵対する悪魔が顔を出してくる。見た感じ敵の大半は妖鬼モムノフで統一されているらしいから、多分統率者である親玉がこの階層のどこかにいるらしい。
『五行器起動。スキル【水面展開LvX】【死累累湧軍】【ランダマイザオート】【マハジオンガオート】【善悪相殺の理】連続展開スタート。攻撃魔法による砲撃支援も実行しますか?』
「いや、そっちはいい。それより周辺警戒に気を配ってくれ」
『いえす・ますたー。背中はお任せください』
今日のこの階層は中世日本の和風山城風味。瓦屋根に白い漆喰の天守閣を中心に、分厚い塀や深い堀に囲われた多数の廓が張り巡らされ、分厚い防御陣地が築かれており、普通に戦えば難儀するかもしれないが、まあ問題ない。僕にとっては何の意味もない話だ。
ルルイエの発動した【水面展開】スキルにより銀色に陽光を照り返す水面が周囲半径数百メートル以上にも渡って展開し、その下からはオニヒトデとイソギンチャクを掛け合わせたような異形の触手怪物『海魔』の大群が浮かび上がってくる。その数、軽く数百を越え、無数の触手を蠢かせるその様は視界に入れるだけでも目が痛くなってくる数の暴力だ。
展開した水面に巻き込まれたモムノフ達はそのまま足場を失って次々と水中へと没しては海魔の触手に捕らえられて片端から餌となり、そしてそれを触媒としてまた新たな海魔が召喚され、限りなく数を増やしていく。
同時に衣装の腰に装着したCOMPのタッチパネルを操作する事で悪魔召喚、呼び出した悪魔は甲殻類を模した青黒い大鎧で全身を覆う平家武者────猛将ノリツネ。平家物語においては名将・源義経のライバルとして伝えられる平家最強の武人。
「じゃ、指揮は任せたよ」
「承知、お任せあれ! 行くぞ者共、城攻めだ! 奴ばら一々に射殺して蹂躙せよ!」
水面上に堂々と直立したノリツネの号令に海魔共が全身の棘を軋らせて咆哮を上げ、前方の廓に一斉に突進する。水が満たされた深堀は海産物である海魔相手には無意味なものだが、城壁は有効。壁の銃眼にズラリと並んだ妖鬼モムノフ共が一斉に火縄銃を構え、射撃を開始。
防御の姿勢も何もなく押し寄せる海魔の群れは正面にいた個体から銃弾を浴びては倒れ消滅していくものの、我がシキガミであるルルイエ異本に搭載されたスキルである【死累累湧軍】により、倒れる傍から新しい海魔が召喚されてその穴を埋めていき、個体の数は減る事がない。
それどころか、ルルイエ異本に搭載されたもう一方のスキル【善悪相殺の理】の効果が発動。このスキルは本来、契約魔術のカテゴリに属するもの。このスキルの影響下に置かれた我が仲魔を殺害した相手は、『敵である海魔一体を殺害』した代償として自動的に『味方を一体殺害する』という契約に同意した事になる。
海魔自体が契約書、それに対する攻撃行為が書面へのサインと等価、とかいう中々の壊れスキルだ。本来は好感度を上げたヒロインから先に死んでいくとかいう装甲で悪鬼な鬼畜エロゲの原作再現として、ガイア連合スケベ部エロゲ課の手によって作り出されたオリジナルスキルであり、以前ガチャで当てた代物。
それが引き起こすのは当然、防壁の向こうでの血で血を洗う味方同士の凄惨な殺し合いだ。それどころかこの呪いは感染者を殺した相手にも感染し、犠牲者を増やし、また感染を拡大させていく。味方を殺さんと狂乱する兵を止めようとして別の兵士がそれを殺し、【善悪相殺の理】によってその兵士も狂乱する味方殺しと成り果てる。
それどころか、そうやって殺された兵士すら【死累累湧軍】の触媒となり新たな海魔が城壁の内側に召喚されるに至っては、真っ当な防御などできるはずもない。
城壁と銃眼で守られた陣地の向こう側から悲鳴や絶叫が繰り返し上がっては掻き消え、そうしてこちら側への反撃が目に見えて減っていく。それを確認したノリツネは自身が率いる海魔の兵団に進撃の号令を下す。
「よっし、それじゃ僕も行きますか!」
イカの子孫がフィールドを塗り潰す対戦型アクションゲームのそれを模した筆型霊装を大きく振るい、その筆先から墨の塊を射出する。一直線に迸った墨塊は城壁の上で弾けると、そのまま液体制御の権能に操られ漆喰の壁の上をひとりでに流れていき、壁上で線となり形となって、最終的に一枚の絵を作り上げる。
描き上がった扉の絵は城壁の上で瞬間的に本物の扉となり、進撃する海魔達を迎え入れるかのようにその眼前で観音開きに大きく開き、壁の意味を完全に喪失させた。
城壁の内側に雪崩れ込んだ海魔の群れは、その内側にも築かれていた柵と土嚢の陣地で応戦しようとする敵陣を前に一瞬だけ停滞するが。
「ルルイエ、任せた」
「いえす、ますたー。【掎角一陣】発動します」
爆発。
防戦しようとしていた敵陣の前に迫っていた海魔が、命と霊基それ自体を爆薬としてその身を自爆させた。
発生する巨大な爆発は竹柵と土嚢の陣地を大きく崩し、そこから青黒い海魔の群れが一斉に雪崩れ込んでいく。死ぬたびに自動召喚されて数が減らない海魔と、自爆スキルのコラボレーション……つまり、いくらでも自爆させられるという事。
プラスして最大の脅威は、海魔の群れの中心にて進撃する巨躯の悪魔『魔王シユウ』。褪せた青銅のような色合いの金属の肉体に猛牛の頭部を持ち、逞しい多腕には盾、斧、矛、剣、多数の武器を携えた“兵器の神”。
その固有スキル【反乱の兆し】の効果は『自軍が行動を終えるか味方が死亡する度に、敵全体に剣撃属性小ダメージの物理攻撃4回+チャージ』というものであり。
つまりは、海魔が自爆して死ぬ度に、敵陣にチャージ付きの攻撃が降り注ぐのだ。
敵陣へと進撃する海魔は次々と自爆。
その爆炎と爆煙の中から新たな海魔が姿を現しては襲い掛かり、また自爆。
その度に襲い掛かるのは、六腕に携えた武器を近代的な重火器に変化させたシユウの弾幕だ。
問答無用で自爆を繰り返しては敵陣を崩壊させていく海魔の突撃。
降り注ぐシユウの砲撃。
時折ルルイエ本体を狙う攻撃が飛来するも、それは念動で操った海魔を盾にして防ぎ止め、それで海魔が死ねば善悪相殺のトラップが発動する。
それが間に合わなくとも、ルルイエの頭上に浮かぶヘイローから展開する電磁バリアが弾き返す。
海魔の進撃を壁に籠って防ごうとしても、その上から扉を描き込んで実体化させてしまえば何の意味もなく、敵城は既に陣地としての機能を半ば失っていた。
「よーし、んじゃ僕らも行こうか」
足元に筆を一振り、二振り。
描いた絵がまず小舟となり、そしてその下から盛り上がる大波となって具現化し、波に運ばれる小舟をサーフボードのようにして仮想の水面を走っていく。
そうして城壁に開いた大扉を潜ると同時に、扉の向こう側へと【水面展開】が一気に侵食する。
膨大な水量が流れ込むと同時に環境そのものが侵食され、異界の在り方さえもが上書きされて城郭の内側が水面へと覆われていく。
既に敵集団に陣形や指揮系統というものはなく、組織的な抵抗など完全に失われており、集団としては死に体だ。混乱する敵兵はさらに陣地の有利すら失って、足元を侵食する海へと呑まれ、水面下から襲い掛かる海魔に喰われ、そして新たな海魔を召喚する生贄と化す。
だから雑魚に構う必要もなく、とりあえず正面にいる敵だけを効率よく鏖殺しながら、その中心を抉るように突破していく。向かう先は天守閣、敵の首魁が待ち構える場所だ。進んでいくと共に、半ば水没しつつある天守閣の屋根上に人型の影が立っているのが見えた。
「あれがボスだな。ルルイエ、【アナライズ】は?」
『レベル172、妖鬼ウラです。物理・火炎耐性で破魔弱点、ただし即死は無効』
つまり、突けそうな弱点はなし、と。まあいつもの事だ。
にしてもウラ……温羅か。桃太郎の鬼だっけか。
アレだな、下手するとシュテンドウジよりメジャーなやつ。鬼といえば酒呑童子と大人なら連想するが、その一方で源頼光を知らない幼稚園児は大勢いて、しかし桃太郎の鬼を知らない子供はそうそういない、そういう強烈な知名度の持ち主だ。
本来は渡来人だったとか、古代吉備地方の統治者だったとか、色々と言われているらしいが。
「つまり、ここは鬼ヶ島だった?」
まあ、その辺はどうでもいい。
見た感じは真っ赤で角生やした全長十数メートルの大男、つまり割と一般的な鬼だな。
どうやらこちらの接近に気付いたらしく、巨大な金砕棒を手に、こちらに向かって身構えた。
一騎打ちがお望みであるようだが、それに付き合ってやる義理はないな。
「行け」
COMPを操作して出現するのは全長百メートルを越える巨大な龍蛇────龍神ラハブ。どこかヒトのそれに似通った顔を持つ龍神の、青緑色の甲殻で覆われた全身がその巨大な質量でもって天守閣を押し潰した。
余裕を持ってそれを回避した妖鬼ウラは見事なMAG操作で足元のマグネタイトを操作して水面を踏んで走りこちらへと向かおうとするも、正面に割り込んだ猛将ノリツネの大太刀がその行く手を阻み。
その頭上から降り落ちるのは、巨体を存分に生かしたラハブの【メガトンプレス】による押し潰し。
避けたところにシユウの重火器から放たれる【ガン・ビーム】からの【ヤブサメショット】の弾幕は回避できず。
それを無視して僕は刷毛を象った絵筆『ホクサイ』を振るい、足元を奔る小舟の下に一つ、二つと大波を追加。『ホクサイ』を巨大なペイントローラーに変形させ、回転するローラーから放出される墨で大波を描きながら空中を疾走する。
超重量級の『ダイナモローラー』は既に整地用ローラーと大差ない巨大武器となり、内蔵された発電機に【放電】スキルによる電流を流し込む事で出力を増して加速しながらその全幅に数倍する墨の道を描いて大海に変え、その上を波に乗った小舟を操って空中へと駆け上がって天頂へ。
最大高度まで上昇した頂点にて、筆に戻して振り上げた『ホクサイ』を空に向け。
「ふんぐるいふんぐるい、オン・ソチリシュタ・ソワカ────」
筆を一振り、まず空を描き変える。僕の絵筆に従って、晴れた冬の空から、正しき星辰の揃う冒涜的な終末の夜空に。
空を描き。
海を描き。
雲を描き。
波を描き。
水平線を描き。
波向こうに広がる大地と、その奥に連なる山系と、さらに背景に富士山まで描き加え。
半魚人、翼持つ蛸やリュウグウノツカイ、インクリングといった異形っぽい海産物も描き足して。
最後にこの異界の中核であるはずの城郭さえもが騙し絵のように上書きされ、塗り潰されていく。
水没した山城を塗り潰しながら現れ出るのは、海上にありながらその色合いは深海底を思わせる暗い青緑色の石造都市。
非ユークリッド幾何学に基づいて奇妙に歪んだ無数の石造建築によって構成された異形のビル街。
異界そのものを塗り替えられ、妖鬼ウラが困惑した表情で周囲を見回した。異界そのものが根底から描き替えられたことで異界の主としての権限は失われ、それによるバックアップやステータス強化、フィールドギミックによる援護も既に剥ぎ取られており、しかし、それをこうも簡単に行われた事こそが困惑の原因なのだろうが。
実際、この技に異界それ自体の強度など何の意味もないからな。
「準備は完了。さ、存分に死逢おうじゃぁないか」
とん、と歪んだ石塔の上に降り立ち、筆を向ける。ノリツネの牽制とラハブの猛攻とを潜り抜けてこちらに迫るウラに向かって、くるくる回した筆の先端でマグネタイトを乱回転する球状に収束させながら圧縮し、一点に収束させる。
【螺旋丸】と呼べるほどの代物じゃないが、以前DDSで見掛けた【螺旋丸】の再現動画を形だけ模倣してみた圧縮墨玉を投射。直撃すれば弾けて周囲に墨を撒き散らす程度のものでしかなく、単なる目晦ましと見切ったウラは金砕棒を盾にして顔面を守り、全身に浴びる墨を意にも介さずこちらへ直進。
それを。
「────馬鹿め」
筆に触れてなくとも、自分が射出した墨くらいは操れる。
妖鬼ウラの全身に描かれた“傷の絵”から破裂するように鮮やかな血が噴き出し、合わせて傷の内側に描いておいた爆薬が一斉に炸裂。
耐久力など何の意味もなく本来あるべき過程を飛び越えて全身に穿たれた傷口を内側から爆破され、苦悶の咆哮を上げる妖鬼を、足元の海面から躍り上がる龍神ラハブの巨顎が半身、喰い千切る。
半身残された妖鬼ウラは苦悶の声を上げながら苦し紛れに、引き裂かれた霊基の断片を無数の妖鬼オニへと変じてこちらに向かわせる。
その一体一体がそれぞれ60レベルを越える、外界ならば絶望的な厄災に等しい軍勢。同時に【マハブフダイン】で海面を氷結させ足場まで作り出し、その上を走って津波のごとく鬼の大群が迫る、が。
「カードを切るタイミングが遅い」
異界の主としての権限が健在だったら、この鬼の群れは厄介だった。一匹殺す度に怨念でこちらのステータスにはデバフが入り、向こうにはバフが入り、さらに纏わりつく怨嗟の念によってこちらの霊質を鬼へと変成させようとすらしてきただろう。
異界の構造自体を描き替えられた今となっては、完全に遅い話だが。
「で、これがちゃんとした版の【螺旋丸】な」
僕の掌から放たれるのは無数のシャボン玉────アクア系の魔法で形作った【ぷくぷくの術】の内側には超高速で乱回転しながら圧縮されゆく膨大な生体マグネタイトが収束されており、接触と同時に弾けて螺旋を描いて抉り取る感圧地雷と化して次々と爆ぜていく。
シャボンの内側に封入される高圧縮マグネタイトを操り、【螺旋丸】と化して爆ぜ散らす。シャボンが舞い散る光景こそ幻想的だが、爆ぜる血肉は酸鼻の一語に尽きる。
当たれば即死。
回避の空間も何もなく。
【螺旋丸】が弾けるたびに敵の血肉が螺旋を描いて弾け飛んでいく。
そうして命を散らした雑兵共を盾にしてシャボンの浮遊機雷群を潜り抜けた半身の妖鬼ウラに向かい、飛び散るシャボンの飛沫に仕込まれていた【マーキング】が発動。
「残念、遅い」
海面を滑るように走る猛将ノリツネに対し【飛雷神の術】を遠隔起動、撃ち込んだ【マーキング】の位置に転移させ。
その大太刀から放たれる【七艘飛び】、高速で振るわれる斬撃が断ち斬って。
最後に一刀、断ち落とされた首が刎ね飛ばされて描いた放物線の先、ゴロゴロと転がったのは、ちょうど海面から顔を出している青緑の石塔、その屋上の床。
「で、これで最後」
歩み寄る。
数歩の距離、余裕を持って歩いて近寄り、残った頸部に押し当てる掌上にあるのは、乱回転しながら圧縮されゆく生体マグネタイトの球塊だ。
アクア系統の魔法を加え、流し込むように混ぜ込んだ水撃系の魔力がその属性を変動させ、乱回転に合わせ収束し、膨大な水量が一点に圧縮されながら内圧を高め、深海底の水圧を一点収束するかのごとき破壊力は、優しく触れるように解放されて。
「【水遁・螺旋丸】────はい、お終い」
残された頭部を削岩機のように削り抉る螺旋の渦は、触れた側からあらゆる物質を削ぎ落しながら渦潮のように中心へと引きずり込み、諸共に圧縮し押し潰していく。残った四半分を根こそぎ摺り身にさら押し潰されて、もはや原型すら残す事なく。
ぱぁん、と。
その殺傷力に比して、あまりにも気の抜けた音だけを残し、乱回転する水球は妖鬼ウラの残骸諸共、跡形残さず弾けて消えた。
◆ ◆ ◆
その夜。
異界内だしちょうど空の見えない地底みたいな場所にいるので時間感覚的には分からんけれど、夕食時間だから多分夜。
凝固した血のような赤黒い岩石が切り立った崖を形作り、わずかにでも足を滑らせれば鳥ならぬ飛べない人間はそのまま転がり落ちて谷底へと真っ逆さま、そんな場所。谷底は涼やかな渓流ならぬ、灼熱の溶岩が流れる大河だ。落ちればどう考えても普通は即死、そんな場所。
生息している悪魔はどれも基本的にレベル70越えの大物ばかり、霊鳥フェニックスと堕天使フェネクスがそれぞれ大群を作っては互いに争っている、そんな場所。たまに争っては死んだ火の鳥が落下しては谷底の溶岩流の中へとドボンして、火炎吸収の相性で回復しては殺し合いに復帰していく光景が見える。
ちなみにボスはレベル170越えの魔神アメン・ラーと魔王アモン……ぶっちゃけ元は同じ悪魔なんだから仲良くすればいいのに……いや、仲良くしなくていいから、さっさと素材だけ残して潰し合って死んでくれると助かるな。
まあ、修行用異界でもこのレベルの深層ならさほど珍しくもない光景……というかこの異界に特有の各種クソギミックからすれば既に手心とすらいえる程度のヌルさだが。
そんな切り立った岩壁の片隅、岩石の凹凸に紛れて奇妙な模様────洞窟の入り口の絵が描かれていた。そうして実体化した“絵の中の世界”の中で、僕とルルイエはちょうど休憩の時間を始めていた。
「……ますたー、すぐにできるからね。ゆっくり待ってて」
などと言いながら鍋をかき回す銀髪の少女、我がシキガミであるルルイエ異本の人間形態。【解体】【悪魔調理】などという汎用スキルを突っ込んだお陰で、倒した悪魔から肉を剥ぎ取り、それを調理する事すらできるサバイバルスキルの持ち主だ。
鍋から漂うのは刺激の強いスパイスの匂い────もはやガイア連合の伝統料理とすら言っても過言ではないガイアカレーだ。その中には二つくらい前の階層で倒したばかりの妖鬼ウラの肉が各種具材、例えば三つ前の階層で採取した霊草なんかと一緒に煮込まれている。
さらに同時にアクア系の術で臭い消しなんてことまでやっている辺り、異界の内側で長期行動をする時には、戦闘以外でも本当に役に立ってくれる。もうこの子がいなきゃ生活していける気がしない。
デビルシフターでもある僕は、異能者としてはとりわけ大食いな部類でもある。食堂の食材ストックを根こそぎ食い尽くすような爆食勢というわけでもないが、さりとて並の異能者五、六人分くらいは容易くぺろりと食べてしまうからして、エンゲル係数もよろしくない。
そしてそれ以前に、食べたものを生体マグネタイトに変換して貯蔵する【食没】も覚えたからして、その気になれば本当に底なしに食べ続ける事だってできる。
当然だが異界の中で長期行動する時には、食料がビックリするほどに荷物を圧迫する。だからこうしてある程度とはいえ食材の現地調達ができる彼女は、非常にありがたい存在だった。
コトコトと鍋が煮える音。鍋と擦れる調理器具の音、沸騰する煮汁の泡立ち、その他雑多な、様々な音。そんな静かな音だけがその場を支配する。異界探索の中であれ、こうして安らげる一時というものは存在していた。
そんな中。
「そういえばますたーは、どうして今の、女の子の身体になったのですか?」
と、静寂に耐えかねたようにルルイエがそんな事を言った。
「あー……そうだね。ルルイエが僕のところに来た時には、もうこの身体だったからな。知らないか。や、特に大仰な秘密があるわけでもなし、別に大した事じゃないんだけどね」
いや、話してなかったのも、本当に大した理由があるわけじゃないからっていう、ただそれだけなんだが。
まあ、いいか。本当に馬鹿らしい理由ではあるけど、シキガミであるルルイエが相手なら馬鹿にされる事はないし。
「昔々さ……いや、昔話っていう程には昔じゃないけど、まあ。黒札仲間の中に【契約】っていう固有スキル持ちの人がいてさ」
「うん、それは以前聞きました。それで契約して、ますたーは魔法少女の力を得た、という話だよね」
【契約】を交わす事で、相手に魔法少女への変身能力を与えるというもの。デビルシフターなんかとは、また違った変身能力。多分バフォメットとかその辺の、サバトを主宰して魔女と契約するような、そんな権能がベースになっているんだと思われるが、ともあれ。
魔法少女、という能力は、まあ割と単純だ。美少女になる代わりに、魔法少女への変身能力を得て戦闘力が跳ね上がる。
具体的には。
変身時のステータス増強。
魔法少女衣装による身体ダメージの肩代わり。
異能者としての固有能力の強化。
当たり外れはあるが強力な固有魔法。
そんなの。
で、まず黒札の何人かがその【契約】を行う事になった。で、手っ取り早い戦力強化を求めた僕も、その一人として契約した。そこまで強力な固有魔法は出なかったが、ステータス強化と衣装による防護だけでも十分戦えたので問題なし。
ぶっちゃけ、見た目普通に美少女だ。ビジュアル的には多分、FGOの『葛飾北斎』。比較的慎ましやかな体型を見た感じ、肉体年齢はおそらく中学生くらいだろう。黒赤の和装、結い上げた髪には大輪の花飾り、と、少なくとも服装は普通に北斎している。
まあ、その辺は問題なし……なかったのだが。
「はい、そこまでは聞きました」
「うん、ここからが本題なんだが」
そう。
ビジュアルが北斎だから絵も描けるんじゃね、とそんな発想で美少女イラストを描いてみたら想像以上に想像通りの絵が描けたのに驚いて、そっちの方面にも力を入れるようになり、ついでに絵の技術が上がると共に、FGOの北斎よろしく空中に描いた絵を実体化させて遊んだりできるようにもなってきて、と、そんな時期。
「それからちょっと経った辺りで、デビルシフターとしての能力制御用のシキガミパーツ移植、っていう技術が開発され始めて、その実験台の一人、っていうのが、まあ組織側の理由な。で、僕の個人的な理由としては────」
「はい」
本当にどうでもいい話なのだが。
ちょっと言うのも恥ずかしいのだが。
「変身すると美少女だろ。でもその正体が男っていうのも微妙な気がしてなー」
呉の⑨ニキとか星川リリィみたいに美少女として全く問題ない見た目ならともかく、僕の場合はそういう感じじゃなかったからな。
逆にいえば、それだけ。別に意識が女性化して男の身体に違和感が……とか、そういうのも特にない。今の女の子の身体にも、違和感があるわけじゃないが。
生理現象も【小周天】【大周天】を覚えたあたりから割と自由にコントロールできるようになって、異界探索の邪魔にならなくなって以来、特に気にならなくなってきたし。
「だからまあ、性別を変身後に合わせる事にしたわけだ。……それだけ。本当にそれだけ。それ以上の理由も何もない」
「なるほど」
笑うでもなく、訝るでもなく、淡々と頷いてルルイエは出来上がったカレーを皿に盛り付けている。単に、そういうものか、という納得だけがそこにはあった。
二人分のカレーを用意して、二人で食べる。とりあえず、これ食べたら今晩は寝る予定。
ただ。
「ああ、そうだ。一応、さ……もう一つ理由として。あの家族の繋がりを中和したかったから、っていうのは、ある。あまりいい気分じゃなかったからね」
それ自体も、そこまで強い理由じゃないけど。
その程度。
◆ ◆ ◆
【ステータス】
■葛城北斗《Lv.167》
ステータス:運・速重視魔法型
耐性:物理耐性・破魔無効
(スキル)
・アクア系:修行で習得したスキル。水撃魔法。適性最高。マハアクアバリオンまで使用可能。
・ブフ系:修行で習得したスキル。氷結魔法。適性特高。マハブフバリオンまで使用可能。
・ジオ系:修行で習得したスキル。電撃魔法。適性中。マハジオダインまで使用可能。
・ムド系:修行で習得したスキル。呪殺魔法(即死)。適性高。マハムドバリオンまで使用可能。
・アギ系:修行で習得したスキル。火炎魔法。適性低。マハラギオンまで使用可能。とりあえず煮炊きや暖を取るのには困らない。
・ハマ系:修行で習得したスキル。破魔魔法。適性低。マハンマまで使用可能。簡単な結界くらいなら何とかなる。
・グライ系:修行で習得したスキル。重力魔法。適性やや高。マハグラダインまで使用可能。また重力操作による身体制御補助により軽身功や壁歩きが可能。
・精神系:修行で習得したスキル。適性特高。ドルミナー、プリンパ、マリンカリン、ハピルマ他、大抵は使える。テンタラフーは特に得意。また相性が良ければ通常の魔法系スキルにエンチャント可能。
・メギド系:修行で習得したスキル。適性高。メギドラオンまで出せる。
・ベノンザッパー:敵全体に剣撃属性ダメージ+毒の物理攻撃。
・紫煙乱打:敵全体に物理属性ダメージ1~3回+混乱の物理攻撃。
・空間殺法:敵全体に物理属性特大ダメージの物理攻撃。また大跳躍や三次元的な高速移動が可能。・霞駆け:敵全体にランダムで物理属性ダメージ+幻惑の物理攻撃。また相手の視線から逸れて高速移動する特殊な歩法として使用可能。・水迅斬り:敵単体に水撃属性ダメージの物理攻撃。
・氷迅斬り:敵単体に氷結属性ダメージの物理攻撃。
・ニードルショット:敵単体に飛具属性小ダメージの射撃攻撃。
・イナズマキック:敵単体に格闘小ダメージ。または瞬間的に脚力を強化して加速・跳躍が可能。
・水遁・螺旋丸:敵単体に水撃属性ダメージの魔法攻撃。
・ぷくぷくの術:高圧の生体マグネタイトを水撃系魔法の泡で包んで投射する。敵全体に水撃属性ダメージの魔法攻撃。螺旋丸や水遁・螺旋丸と組み合わせる事で破壊力が向上する。
・補助系:修行で習得したスキル。適性それなり。カジャ・ンダ系統は一通り使用でき、かなりの広範囲に持続的に影響できる。他、リフトマやエストマなどダンジョンギミック対策の魔法はかなりの練度で扱える。
・トラフーリ:短距離転移魔法。緊急退避の手段として扱う他、応用して戦闘用の短距離転移としても扱える。また【マーキング】と組み合わせる事で【飛雷神の術】としても使用でき、トラフーリがベースになっているため射程距離は短くなっているが、その分マイクロ秒単位での転移速度の向上を見ている。
・呪殺反射:シキガミボディ搭載スキル。呪殺反射の相性を得る。
・衝撃・疾風見切り:衝撃・疾風属性に対する回避率が向上する。また気流を感知する事で視界に頼らず周囲を把握する能力を持つ。
・魔法少女:他転生者の【契約】により習得した能力。魔法少女形態への変身が可能。変身時はステータス向上と魔法少女衣装による防護効果、悪魔変身やペルソナなどの固有能力の強化、さらに専用の固有魔法を得る。
・魔法少女形態/悪魔変身《邪神クトゥルー》
・ペルソナ《塔・クトゥルー》
(パッシブ)
・サクセサー《魔晶武器・魔筆ホクサイ》
・ヘイロー:シキガミパーツに搭載したスキル。頭上に浮かぶ光輪。【物理耐性】を内包する。また本来は若干のステータス上昇をもたらすが、この機能をオミットした代わりに霊感増幅機能を搭載している。
・水撃貫通:水撃属性ダメージへの耐性・無効・吸収・反射を無効化し、通常通りのダメージを与える。また水撃属性による攻撃時にデカジャ・マカラブレイク効果。
・水撃ハイブースタ:水撃属性ダメージへの補正大。また同系統の高揚、ギガプロレマ、アクセラ、スローダ、サバイバ、アボイダ、プラーナ、バッデス、エンハンス等々、得意属性の基本的なブースタ系スキルはおおむね網羅済。
・精神貫通:精神属性ダメージへの耐性・無効・吸収・反射を無効化し、通常通りのダメージを与える。また精神系状態異常が敵の耐性を無視して効果を表す。
・貫通鈍化:貫通系のスキル効果を低下させる。
・龍眼:命中率上昇大。また動体視力が強化される。
・龍の反応:命中率・回避率上昇大。
・真・全門耐性:万能以外の物理・魔法ダメージを半減する。
・森羅万象:アナライズ系スキル。視認した異能者や悪魔の性質・本質を画家としてのセンスによって深く見極める。通常のアナライズよりも感覚的かつ芸術的な理解を得る。
・食没:『建体飽食技典』の写本を読んで習得した技術。食べたものを生体マグネタイトに変換して貯蔵する。
・魂魄精錬法・龍紋蛸:同『建体飽食技典』から習得した技術【魂魄精錬法】から派生したもの。レベルアップ時の魔力成長率を向上させるのは原典と同じだが、それと同時に、自身の内なる霊基からより強く、深く力と権能を引き出せるように自身を最適化させる。
・圏境・異星蛸:同『建体飽食技典』から習得した【小周天】が成長する内に変質したもの。
・悪魔絵師:本来は生産スキル。霊基と権能の一端を宿した絵を描く事というもの。極まれば描いた絵を実体化したりも可能。
(仲魔リスト):シキガミ ルルイエ異本、邪龍ティアマト(元アガシオン)、猛将ノリツネ(元イヌガミ)、龍神ラハブ(元クダ)、魔王シユウ(元トウビョウ)、邪神ダゴン、邪神ハイドラ、堕天使フォルネウス、妖魔マーリド、外道ショゴス
◆魔法少女形態 魔法少女フィーニス・デプス/悪魔変身・邪神クトゥルー
ステータス:体・魔重視耐久型
耐性:魔法吸収・状態異常無効
(スキル)
・大洪水:敵全体にスクンダ効果+万能・水撃・氷結複合属性極大ダメージの魔法攻撃。
・ロスト・サニティ:敵全体に万能属性特大ダメージ+MP減少大+高確率で緊縛・魅了。
・アクアリータイド:敵全体に水撃属性極大ダメージの魔法攻撃。また攻撃時に水流に乗って高速移動が可能。
・アルス・マグナ:敵単体に万能属性特大ダメージ。
・メガトンレイド:敵単体に打撃属性特大ダメージの物理攻撃。
・ギガントマキア:敵全体に打撃属性大ダメージの物理攻撃。
・巻きつき:触手による拘束攻撃。敵単体に対し戦技属性ダメージ+緊縛の物理攻撃。
・放電:自身を中心にした接触・円形範囲に物理ステータス依存の電撃属性ダメージ+感電。
・吸血:対象に小ダメージ+ダメージ分のHPを吸収。
・吸魔:対象に小ダメージ+ダメージ分のMPを吸収。
・フォッグブレス:敵全体の命中・回避を大低下。
・Sテンタラフー:戦闘開始時に敵全体に神経属性大ダメージ+混乱効果。
・眷属使役:邪鬼ディープワンなどに代表される邪神クトゥルーの眷属を自在に召喚・使役できる。また海神として海棲生物に対しては自在に命令ができる。また邪神クトゥルーの眷属が支配下にいる場合、その全能力に対して継続的に補正特大。
・ジャンプビーコン:魔晶武器・魔筆ホクサイの搭載スキル。転移魔法用のビーコンを設置する。
・テイオウイカ:魔晶武器・魔筆ホクサイの搭載スキル。過剰燃焼させたマグネタイトにより霊格を引き上げ、一時的に邪神クトゥルーの巨神体を周囲に展開する。
(パッシブ)
・ルルイエの呼び声:即死無効。消沈状態の敵に対し与ダメージ増加。先手での戦闘開始時、敵全体に最大HPに対する割合ダメージ1割+MP減少。後手での戦闘開始時、敵全体を減速大。敵行動開始時、敵全体に確定で消沈状態付与。
・終末の海神:海神の権能。水撃・氷結・精神・呪殺属性にダメージ補正極大・貫通効果付与。また該当属性による攻撃時に該当属性の耐性一段階低下。環境改変規模の大規模な海洋・流体操作が可能。
・破滅的な天恵:芸術家に狂気のインスピレーションを授ける芸術神としての権能。精神・神経属性のダメージ・状態異常と芸術創作関連の技能に補正大。海洋にまつわる生物・自然現象や神話生物を描く際にとりわけ効果を発揮する。
・海魔の魔術:外宇宙の知識を授ける魔術神としての権能。オーソドックスな魔術とクトゥルフ神話系カルトマジックの知識、海とそこに住む生物に関する深い知識を獲得し、水の属性を持つクトゥルフ神話系の神話呪文を行使できる。また、相手の正気と引き換えにそれらの知識を他者に教授する事も可能。
・生得武器(触手):魔法少女衣装の各部から触手を展開可能。一部物理攻撃スキルの威力強化及び射程・範囲拡大、さらに【巻きつき】スキルによる追撃や自動反撃が可能。敵緊縛時に物理ステータスに依存した継続ダメージ付与可能。
・邪神の狂気:戦闘時、継続的に敵全体にスクンダ・ラクンダ効果、及び低確率で発狂効果。また精神系状態異常を与えた対象を信徒化。
・画材生成:魔法少女としての固有魔法。絵画用具・画材の類であれば生体マグネタイトを消費して自在に生み出せる。
・再生:持続的にHPを回復させる。手足の数本くらいなら数秒もすれば余裕で生え変わる。
・衝撃・疾風見切り(大):衝撃・疾風属性に対する回避率が大上昇。また周囲の気流を感知して視覚に頼らない三次元知覚が可能。
・万能耐性:万能属性ダメージを半減。
・生還トリック:致死ダメージ時、ダメージを無効にしてHP1で生還する。
・食いしばり:致死ダメージ時、HP1で踏みとどまる。
・不屈の闘志:致死ダメージ時、HP全快で復活する。
・万能サバイバ:万能属性へのダメージ補正。また致死ダメージ時、HP1で踏みとどまる。
・龍の眼光:時間停滞による行動速度大増加。
・コズミックホラー:人間及び他神話に属する存在の持つ“運命力”“主人公補正”をマイナス方面に反転させる。人間賛歌を掻き消す力。“主人公補正”の持ち主を悲劇・惨劇という物語のレールに乗せる事により、運命力が生み出す補正をマイナス方向に向かう弱体効果に転換する。人間は死すべき弱き犠牲者・被捕食者であり、他神話は人間の幻想が作り出した虚像に過ぎないというクトゥルフ神話の基本的な主題を形にした権能。
・万能エロ触手:スケベ部謹製スキルカードに由来するスキル。
■シキガミ ルルイエ異本《Lv.164》
ステータス:魔法特化型
耐性:物理・火炎耐性、氷結・水撃吸収、衝撃・疾風・電撃・呪殺・破魔反射、状態異常無効
(スキル)
・マハアクアバリオン:敵全体に水撃属性特大ダメージの魔法攻撃。
・マハブフバリオン:敵全体に氷結属性特大ダメージの魔法攻撃。
・マハジオダイン:敵全体に電撃属性大ダメージの魔法攻撃。
・旧支配者のキャロル:【子守歌】が変化したスキル。広範囲の敵に対して超高確率で睡眠付与。さらに睡眠状態の敵に混乱・発狂状態付与。非戦闘時には主人に対してのみ安眠効果。
・永眠の誘い:睡眠状態の敵を確定即死。
・成仏拳:敵単体に物理打撃属性小ダメージ+睡眠状態付与の物理攻撃。睡眠状態の敵に対してダメージ上昇。
・メギドラオン:敵全体に万能属性特大ダメージの魔法攻撃。
・掎角一陣:制御下にある悪魔を強制的に自爆させる。
・メディアラハン:味方全体のHPを全回復。
・アムリタシャワー:味方全体の状態異常全般を回復。
・フォッグブレス:敵全体の命中・回避を大低下。
・デカジャ:敵全体の強化解除。
・デクンダ:味方全体の弱体解除。
・トラエスト:中距離転移魔法。異界から脱出可能。
・ルナトラップ:敵全体の逃亡・転移を無効化。また味方に対する転移や吹き飛ばしなどによる強制退場を無効化する事も可能。
(パッシブ)
・死婁婁湧軍:海魔自動召喚。邪神クトゥルーの劣化霊基である海魔の自動召喚能力。通常通りMPを消費して召喚する他、海魔そのものを含む死亡した人間・悪魔を生贄に自動追加召喚が可能。
・水面展開Lv.X:自身を中心にした円形範囲に圧縮水面を展開可能。水面は触れた者全てに水中環境として作用する。また内部の水流をある程度操作でき、水流に乗って高速移動なども可能。また電撃属性ダメージの威力と範囲が増大する。
・蕩蘊平線:【水面展開】による圧縮水面をある種の異界として確立させる。範囲内ではある程度の環境操作が可能で、水面下では超深海底並みの高水圧や、異様なほどの水没速度などがルールとして機能する。
・善悪相殺の理:制御下にある悪魔を殺害した対象に、対象自身を含む味方一体を殺害する呪術契約を強制する。
・ヘイロー:頭上に浮かぶ光輪。【物理耐性】を内包する。ステータス上昇の代わりにMAG収集用の五行器と【電磁バリア】スキルを搭載。
・味方バリヤー:自身又は主人が受ける攻撃を仲魔一体に肩代わりさせる。
・水撃高揚:水撃属性のダメージ・状態異常付与率に補正大。基本的に得意属性の他ブーストスキルは完備。
・氷結高揚:氷結属性のダメージ・状態異常付与率に補正大。
・電撃高揚:電撃属性のダメージ・状態異常付与率に補正大。
・精神高揚:精神属性のダメージ・状態異常付与率に補正大。
・睡眠ハイブースタ:睡眠状態付与の確立を大上昇。
・水撃貫通:水撃反射までの対水撃相性を貫通する。
・氷結貫通:氷結反射までの対氷結相性を貫通する。
・精神貫通:精神反射までの対精神相性を貫通する。
・ランダマイザオート:戦闘中、継続的にランダマイザ効果。
・マハジオンガオート:戦闘中、継続的にマハジオンガ効果。
・アナライズ:敵単体のデータを解析する。
・龍の眼光:時間停滞による行動速度大増加。
・再誕の母胎:主人が死亡した際、その魂を胎内に回収して“産み直し”が可能
・ペルソナ《月・螺湮城本伝》
・本霊通信ON『鬼女クティラ』
(汎用スキル):テレパス(主従限定)、口寄せ、格闘、広域索敵、戦術立案、戦術指揮、戦闘管制、ステルス、念動、変形(スプラシューター)、変化(クルーザー)、変化(カニタンク)、変化(ふた○り)、高速遊泳、壷中天(アトリエ、倉庫)、薬草学、鉱物学、採集、解体、悪魔調理、調味料生成、野戦治療、人間変化、サポート、嫁入りセット、サバイバル、漁業、海洋生物学、大周天、魂魄精錬法、食没、呪歌、クトゥルフ神話知識、神話呪文、汎用カルトマジック全般詰め合わせパッチ、汎用スキル詰め合わせパッチ
◆ ◆ ◆
と、いうわけで。
「こちら、今回の収穫になります」
COMPに格納されていた大量のフォルマその他を一覧にして、受付に提出する。本日の大物、レベル150越えの獲物はリストの上から魔神ネプチューン、邪神ハスター、邪神クトゥルー、龍王ナンダ、魔人ヒスイダイソウジョウ、邪龍リヴァイアサン、神樹イグドラシル、邪神ハスター、魔神インドラ、邪神イタクァ、妖鬼ウラ、邪神ハスター、妖獣フェンリル、魔神インドラ、邪神ハスター、魔王アモン、魔神アメン・ラー、邪神ハスター、邪神コウエノオウ、邪神ハスター、邪神ハスター、邪神ハスターといったところ。残りは、まあ雑魚。
PDAに表示された一覧を上から下まで一瞥して確認したいつもの受付嬢こと千川ちひろさんは、一通りの確認を済ませて一つ頷いた。
「今回は、ええと……結構集めてきましたね。……葛城さん、貴方どれだけハスターに好かれてるんですか?」
「いやむしろ嫌われてますけどね。何でか毎度毎度向こうから襲ってくるだけです。まあ理由は見当つきますけど」
僕自身に邪神クトゥルーの色が強過ぎるのだ。そしてハスターはクトゥルーの天敵。だから、か、当たり前のように狙ってくる、と。
ともあれ。
「ハスター系はあっても用途がないから全部売り飛ばしーの、大物は素材用に取っておくとして、残りはいつも通りかな」
「はい。いつも通り、という事は、支払いはマッカとガイアポイント半々ですね。承りました」
ちひろさんが受付の端末を操作すると、COMPと連動した手元の端末からシステムメッセージの通知を示す小さな電子音が鳴る。
端末の液晶画面を確認して通知を確認し、普段通りに入金が行われた事を確認。とりあえず、日本円換算でも結構な額になる……町一つくらい買い取れるんじゃないかな、多分……その辺に詳しい人なら、かもしれないけど。
金銭感覚、普通にバグってるな。まあ困らないからいいけど。
「後は、そうだな……悪魔絵師関連の仕事依頼って入ってます?」
「それなら少しお待ちください……はい、こちらになります」
表示される仕事依頼のリストを一通り眺めて後。
「じゃ、これとこれとこれ、お願いします。とりあえず今日一日の残り時間でささっと済ませて片付けますから、貸しアトリエの手配も一緒にお願いします」
できるだけ手早く終わらせられるのを、個数を限定して選んでいく。異界攻略を進めてきたばかりだ、残り体力とも相談して、無理に仕事を取って寝落ちなどやらかしても間抜けだし。
「はい、依頼受領しますね。アトリエの方は……三番が空いていますね。一時間後に予約を入れておきますが、いいですね」
「じゃ、お願いします」
と、いうわけで、とりあえずこれから一時間は休憩だ。何か軽く腹に入れておこう。食堂が開いていればいいのだが。
「にしても、頑張りますねえ。事務方としては皆様が頑張ってくれるのはありがたいのですけど……休み、ちゃんと取ってます?」
「そりゃ基本的に毎週土日で、一週間に二日の休みは取るようにしてますよ………………基本的には。ええ、うん、異界探索が長引いたりしなければ」
体感的には一週間だから、ヨシ!
「ちなみに今回の探索期間は?」
「えーと、体感だと…………十日、弱、くらい……かな?」
「三週間と三日です、ますたー」
まあ安全マージンもきっちり取ってるし、体感だと普通に一週間くらいだし、ちょっと長引いたくらいだからいつもとそんなに変わらないし、誤差範囲だな、ヨシ!
「……頑張りますねえ」
「まあ一種のライフスタイルみたいになってますし、それに────」
ほとんどガイア連合という名前が決まる前からガイア連合に所属していたわけだが、そんな最初の頃からずっとこんな具合で異界に潜り続けていたからな。もうね、年季だけならベテランよ。
それに何より、メガテンというキーワードを知る転生者として、そしてガイア連合に所属する黒札として最も一般的な理由として。
「────……いつ終末が来るか分かりませんからねえ」
だから。
ちひろさんが発した次の言葉を、僕は色々なアレコレが根底から崩れ去る驚愕と共に聞くことになる。
曰く。
「? 終末ならもう半年前に過ぎてますけど」
「……ぇ?」
「え?」
と、お互いに顔を見合わせ。
「なにそれこわい」
「えぇ……」
どういうことなの?
教えてエロい人。
◆ ◆ ◆
言い表すなら────修羅勢とか、異界攻略ガチ勢とか、そういう事になるのだろう。
自覚した事はないが。
実際、ガイア連合に入ってからこの方ずっと、異界に潜るか、ショタオジのところで修行するか、絵を描いてるかの三択だったからな。その事実に不満があるわけじゃない、が。
ともあれ終末の到来に備えていたら、いつの間にか終末が過ぎてしまっていた、らしい。
ちひろさんにツッコまれて慌ててあちこちDDSの情報を確認してみたが、なるほど確かにどの情報も、既に終末がとっくの昔に過ぎ去っている事を示すものばかり。
半年前といえば……そういえば何かペルソナ使いを避難させるとかどうとか、そんな感じでショタオジに電脳異界に連れていかれたような記憶があるが、多分その頃だろう。
普段とは違う異界ではあったとはいえ、異界探索はできるので特に気にしていなかったし、普段通り普通に異界探索に精を出していたのだが。
それ以上の記憶がない。
「……どうしてこうなった」
まあ、だからといって何か変わるわけでもなし、だからどうした、という話だが。
「うん、でもまあ」
色々とやってない事とか、結構たくさんあるはずだし。せっかくだしこれから心機一転、その辺を一つ一つ片付けていくとしようかね。
それはそれとして皆様一年お疲れ様です。
~割とどうでもいい設定集~
・葛城北斗
主人公。
ビジュアルはFGOの『葛飾北斎』。
気が付いたら終末終わってた人。
邪神クトゥルーのデビルシフターにして魔法少女。
上位修羅勢にして修行異界攻略ガチ勢。またガイア連合内では美術部とTRPG研究会という割とマイナーな集団に所属しているが、美術部の方はほぼ幽霊部員状態。
基本的には山梨第一支部の修行用異界に引き篭もってひたすらサバイバルしている日常。建前上は平日の間だけ異界に潜って土日は休むローテーションという事になっているが、そのローテーションが守られている事はあまりない。
名前を知られているとしたらDDS上での素材オークションへの出品者として。後は戦闘能力にあまり関係ない悪魔絵師としての仕事。後はマイナーな月刊誌にちょっとした連載を出している程度。
通称があるなら多分北斎ネキ。
元々は男だが、男性時代の知名度が低過ぎて誰も男だった頃の顔を覚えてないのでニキではなくネキと呼ばれる。
修羅勢上位陣の一人であり、運命愛され勢に匹敵するか上回りかねない戦歴と卓越した戦闘能力を誇る一方で、ひたすら淡々と異界に潜って戦っているだけであるため、表面上は大した功績も残さない無名の黒札。
なお悪魔以外の格下と戦った経験があまりないためか、自身の戦闘能力の高さに関しての自覚は皆無であり、自分では「まあ中堅くらいじゃね?」とか思っている。
なお今まで特にそれらしい事件など何も遭遇しなかったのは運命力の高低など何一つ関係なく、ただひたすら淡々と修行用異界と第一支部と自宅を往復するだけの生活で、何か起きるような不確定要素がなかったから。
異界潜りに夢中で終末が訪れた事すら気付かないレベルで鈍くてユルい性格の持ち主。
TS魔人ニキネキからコミュ力と最低限の常識をオミットして、戦闘能力にありったけブチ込んだ感じの性格のナマモノ。
逆にいえばある意味揺るがない、決して鋼鉄とかそういうのではないが衝撃吸収素材みたいなメンタルの持ち主。
ひたすら異界に潜っては悪魔を狩る生活をしており、世界の流れを全く気にしていなかったため、現在の終末環境下の社会常識どころか、ガイア連合内部における一般常識すら欠如しており、一部知識が下手をすると十年以上前から更新されていなかったりする。
ただし戦闘面と異界探索に関しては話が別で、罠や死角からの奇襲攻撃などに関しては未来予知レベルの直感で回避したりもする。
なお情報更新が遅かったのは実家との確執絡みの過去からガンギマリ系に優しそう(偏見)な現地民支援や地方防衛のスレなどを覗かないようにしており、最初から情報が偏っていたから、という部分も。そういうの見つけたらそっ閉じ。
実家が地方の霊能名家、それもガンギマリ勢の出身であるが、生贄にされかけたところを逃げ出してきた経歴持ちという事もあって、実家に対しても地元に対しても一欠片の愛着も持っていない。
元一般人としてはガンギマリ勢とか一欠片の共感も持てないし、潰れるならこっちを巻き込まず勝手に潰れてくれ、ガイア連合の黒札仲間だけ助かればそれ以外は別にいいかな、くらいに思っている現地民軽視勢。つまり無自覚ながら嫌悪を含んだ無関心。
画家としての技量で高位悪魔の霊基を再現する悪魔絵師としての能力を戦闘応用して戦う、非常に珍しい戦闘スタイルの持ち主。
実際に同じ事をやろうと思ったら『描いた龍が実体を得て天に昇るくらいのレベル』の絵を、『戦闘に耐えうるレベルのほぼ一瞬』で、それも『超高精度のマグネタイト操作で空中に絵を描く』などという意味不明な域のスキルが必要。つまり画力、描画速度、技量の三拍子。
生体マグネタイトの感覚的な超高速・精密操作を得意としており、空中への高速描画も、動画鑑賞だけで割とあっさり【螺旋丸】を習得したのもその辺の理屈。
それに加えてアクア系の魔法とクトゥルフ神話系の神話呪文も得意。
・ルルイエ異本
シキガミ。
ビジュアルは『機神咆哮デモンベイン』のルルイエ異本。ただし性能的にはどちらかというとFateシリーズの『螺湮城教本』。
戦闘補助に秀でた魔導書型の武器型シキガミ。
【死婁婁湧軍】による海魔の召喚を中心にして物量で押すスタイルを扱い、えげつない独自スキルを多数搭載した、かなり意地の悪いスキル構成になっている。海魔を殺せば善悪相殺、殺さなければ無限自爆地獄、本体狙いは海魔を盾にしてガード、が基本。
ペルソナである『月・螺湮城本伝』は文字通りルルイエ異本。ネクロノミコンなどと同系統の魔導書系ペルソナ。
また戦闘補助以外にも長時間の異界探索にも対応できるよう【サバイバル】の他、食料を現地調達するための【悪魔調理】スキル、広い異界を移動するための乗り物系変化スキルなども搭載している。
主人以外は割と何がどうなっても気にしない系の性格の持ち主。オーソドックスな主人大好き系のシキガミだが、ある種主人公と同等に割とユルい。
実は終末が来ている事に気付いていたが、主人公が気にしていなかったので普通にスルーしていた。
・魔筆『ホクサイ』
主人公のメインウェポン。絵を描きながら戦う主人公の特異な戦闘スタイルに合わせて製作された霊装。
元ネタは『スプラトゥーン』のブキ。見た目は筆というよりは巨大な刷毛だが、主人公は十全に絵筆として使いこなしており、また近接用の鈍器としても扱える。
邪神ダゴンから入手した三叉槍を芯材に、邪神クトゥルーの悪魔カードを核に、同じくクトゥルーのフォルマを多数使用して製作された魔晶武器。
現在は魔法少女の武器として、魔法少女形態に取り込まれている。
主眼に置かれているのはマグネタイトを吸収して霊墨……クトゥルーの墨を精製し、圧縮して蓄積、任意に放出する機能。
それ以外にも本人にとっては一番扱いやすいポールアーム絵筆『パブロ』、発動機内蔵の巨大轢殺ペイントローラー『ダイナモローラー』を始めとして、数種類の形態へと変形する機能も持つ。
・魔法少女
元は味覚糖ネキ様の『無限の欠片』。ただし該当作品は既に削除されてしまっている模様。
ある黒札が持つ【契約】スキルによって契約する事で魔法少女への変身を可能とする。
魔法少女は変身により『ステータスの向上』『元から持つ異能の強化』『魔法少女衣装による防護』『固有魔法』といった能力を持つ。
また、それ以外にも魔法少女メンバーの中には、他の魔法少女にペルソナや魔晶武器を与える固有魔法の持ち主がおり、主人公がサクセサーとペルソナを持っているのはそれが理由……使えるのに使おうとしない理由がないので。
・悪魔絵師
元はペルソナ2。ベルベットルームにいる同名の人物に、悪魔会話などで手に入る『白紙のタロット』を渡す事で、タロットを描いてもらう事ができ、これを消費して任意のペルソナを召喚する事が可能。
主人公の基幹スキル。
本来は『霊基を描く能力』。つまりは、画力でもって悪魔カードやペルソナカードを描く生産スキル。
描く対象を深く理解し、その上で描く事により霊基を描き出すもの。レベルが足りており、霊墨などオカルト対応の画材さえ揃っていれば大抵、入手条件などガン無視で大半の悪魔カードを描く事ができるが、そもそもスキルが“画力依存”であるため、習得者が極端に少なくなる。
主人公の場合は何も存在しない空中に描く荒業で戦闘に利用している。空中に描いた絵は真っ当な紙やキャンバスを使用していないため数秒程度しか持続しないものの、本物の霊基となって襲い掛かってくるため、主人公が筆を振るうたびに入れ代わり立ち替わり異なる超高位悪魔が攻撃を仕掛けてくるに等しい。
ガイア連合の異能者の中でもかなり特異性の高い能力。
・死婁婁湧軍
名前の元ネタは『呪術廻戦』。ただし性能はFateの『螺湮城教本』。
人間を含む生物、または悪魔が死亡した時、それを生贄にして海魔を召喚する。海魔の正体は邪神クトゥルーの霊基から触手の一本一本を悪魔一体分の霊基として分離させたものであり、つまりクトゥルーの分身のようなもの。
一体一体が実は60レベルを越える怪物だが、どれだけ殺しても触手一本分であるため、殺して得られる経験値は極小、かつマグネタイトも即座に召喚術式に転用して消費してしまうため、ほとんど得られるものがない。
周囲で敵味方が死ねば、それを生贄扱いに召喚を成立させるため、どれだけ倒しても再召喚により数が減らず、また敵が死ねば死ぬほど海魔が増えていく。
・海魔
元ネタは『Fate』シリーズ。
オニヒトデの怪物。グロ海産物。
ルルイエ異本の【死婁婁湧軍】によって無限召喚される、邪神クトゥルーの劣化霊基。触手の先端みたいなもの。
電撃吸収相性を持ち、電撃魔法を浴びれば回復する。
殺せば再召喚される上に【善悪相殺の理】、殺さなければ自爆攻撃プラス再召喚、という理不尽な二択を迫る遊戯王方式。最良の対処は逃げる事だが、ルルイエ異本が逃走阻害の【ルナトラップ】を持っているため、それも難しいという。
・水面展開
黒焦げ様『【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話』より。
本来は人魚の能力。自身の周囲に仮想水面を展開する事で、場所を選ばず水中戦が可能。水面下は異空間的な形になっており、地面より下に潜って泳ぐ事も可能。
スキルカードとして生成され、挿入された能力。シキガミ・ルルイエ異本の場合は集団戦向けに機能を拡張しており、触れれば誰彼構わず影響を受ける上、範囲が広いため集団戦が可能。
また範囲内では電撃属性が強化される性質を持つ。これに加えて海魔は電撃吸収の相性を持つため、味方ごと巻き込む形で適当に範囲電撃魔法を撃ち込んでいれば、敵に大ダメージを与えつつ味方を回復する事も可能。
・善悪相殺の理
元ネタは『装甲悪鬼村正』。敵を一人殺せば味方を一人、敵を一人殺せば愛する者を一人、といった具合に善をもって殺せば悪を為さしめる、作中における村正一門における制約にして誓約。元作品中における基本的な用法は、広域精神汚染によりこのルールを敵味方問わず広範囲に拡散して地獄絵図を作り出す事。
ガイア連合スケベ部エロゲ派によって再現されたスキルだが、再現としては不完全であり、スキル使用者自身を含む味方に対しては効果がないため、スキルカード作成者としては不満がある出来。
再現の為の原理は『生贄となる仲魔の体内に一種の契約書として契約術式を仕込み、その仲魔の殺害をトリガーに強制契約が締結される』という仕組み。一種の騙し討ちのような形ではあるが、当人の手によって契約が締結されてしまっているため、強制力は凄まじく高い。
シキガミ・ルルイエ異本はこれを【死婁婁湧軍】によって無限湧き・無限再生する海魔に仕込む事で、ある種原作以上の地獄絵図を作り出す事に成功している。
・掎角一陣
元ネタは『Fate』シリーズ。味方を自爆させる宝具。低レア攻略の友。
基本的には『自身ではなく仲魔に作用する【自爆】スキル』だが、そのダメージは自爆させられる仲魔と、【掎角一陣】を使用したスキル使用者のステータスの合計から算出する形。このため使い捨ての雑魚を突撃させても想像以上の破壊力が出る。
またルルイエ異本側からの操作なので、対象が状態異常で洗脳されていようが石化していようが関係なく自爆させる事ができる。
シキガミ・ルルイエ異本はこれを無限に再召喚可能な【死婁婁湧軍】の海魔に使用する事で、無限に自爆させる事が可能になる。
なお【善悪相殺の理】に関してはルルイエ異本側に回避術式が仕込まれているため、自爆させても特にペナルティは存在しない。
・ヘイロー
タマヤ与太郎様『【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策』より。
先生ネキの手により『ブルーアーカイブ』のヘイローを原作再現したもの。
【物理耐性】スキルと共に、本来の仕様では若干のステータス向上を与える。
主人公のヘイローは触手を広げる邪神クトゥルーを図案化したルルイエの印を模したオリジナルデザイン。ステータス補正をオミットしている代わりに霊感の増幅機能を搭載しており、直感・第六感の強化により危機回避能力や反射神経の補強、霊視力の増幅によるアナライズ精度の向上、さらに芸術的センスの拡大などの補正を得ている。
ルルイエ異本のヘイローも同様にルルイエの印。主人公同様にステータス補正を排しており、代わりに【雷の壁】に電撃系魔法を上乗せする形で開発された【電磁バリア】スキルが搭載され、防御力を強化しているのに加え、マグネタイト回収用の五行器を組み込んで継戦能力の向上を図っている。
・五行器
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』より。
周辺空間のマグネタイトを取り込み、五行の循環によって増幅、基準値を超えた分をエネルギーとして取り出すシステム。
小型化されたものがシキガミ・ルルイエ異本のヘイローに搭載されており、エネルギー効率の低減に一役買っている。
・螺旋丸
タマヤ与太郎様『【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策』より。
幼女ネキ開発、原作再現スキル。元ネタは『NARUTO』。
高密度の生体マグネタイトを圧縮・乱回転させる事により、ある種マグネタイトの削岩機のような代物を構築し、接触により標的を破砕する。
原作のチャクラを生体マグネタイトに置き換えた、ほぼほぼ忠実な原作再現能力。
おそらく術式構築よりも感覚的なマグネタイトの精密制御の方が重要になってくるタイプの術。
属性付与による発展も可能であり、主人公は【アクア】系の流水術式を付加した【水遁・螺旋丸】を使用。
見た目地味。削った分を乱回転するマグネタイト球の内側に引きずり込んで内圧で圧縮するため、標的の破片がその場に飛び散らない、という妙な特性を持つ。
単純に場を汚さず綺麗に片付く、というだけでなく、【食没】と合わせる事で殺害した敵の生体マグネタイトを周囲に拡散させず余さず吸収して自分のものにできる、という利点を持つ。
・ぷくぷくの術
タマヤ与太郎様『【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策』より。
幼女ネキの娘であるイズナの開発。
高圧縮した生体マグネタイトを【アクア】系の術式によるシャボン玉に封じて飛ばす。【螺旋丸】と比べると習得難易度は低い。
主人公はこの術による泡の内側に【螺旋丸】または【水遁・螺旋丸】を封入する事で破壊力を飛躍的に増強している。単純な飛び道具として射出する他、空中に浮かべて一種の浮遊機雷のように扱う事も。
・飛雷神の術
タマヤ与太郎様『【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策』より。
幼女ネキ開発、原作再現スキル。元ネタは『NARUTO』。
【トラポート】系転移術式の応用により、マーキングした場所に高速転移する。飛び道具にマーキングを刻む事によりトリッキーな動きをしたりと、色々と応用性が高い。
主人公の場合、元々【トラポート】より高速発動ができ隙が少ない(=戦闘中に発動できる)【トラフーリ】をベースに術式を組んでいるため、転移距離を犠牲に最短最速での転移が可能。言うなれば転移術式から転移先の指定を切り捨て、マーキングで代用する事で、更なる高速発動を可能とした【トラフーリ】。
自分ではなく味方を飛ばすためにも使う他、別のスキルにマーキングを仕込んだり、墨を操って遠隔でマーキングを仕掛けるような真似もできるため、応用性と奇襲性と悪質性が増している。
・水面展開
黒焦げ様『【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話』より。
戦闘中は明らかに地上でも水面に潜っているように見えるマーメイドの戦闘モーションをベースにした、おそらくある種の権能スキル。多分、水棲の悪魔なら大抵ある程度は似たような事ができるんじゃないかな。
これがあれば地上でも水中戦を展開でき、どこでも有利なフィールドで戦える。
シキガミ・ルルイエ異本が持っているのはガチャで当てたスキルカードが元。使い込む内に性質が変わり、他の仲魔どころか敵に対しても水面が有効になっており、いつでもどこでも水中戦の有利不利を押し付ける悪質なスキルと化している。
・食没
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』より。
食べたものを生体マグネタイトに変換して貯蔵する(少なくとも原理上は)単純な技術。これにデビルシフター特有の食欲が合わさる事で、文字通り底なしの胃袋が実現する。
探求ネキ著の魔導書『建体飽食技典』から習得したもの。主人公が読んだのは誰かが写した写本の内の一冊。同魔導書より、主人公は【小周天】【魂魄精錬法】なども習得している。
『建体飽食技典』は【食没】【魂魄精錬法】について記述されたものだが、今作ではその習得に必要な前提技術として【小周天】についても記載されている事にしてある。
・魂魄精錬法・龍紋蛸
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』の【魂魄精錬法】が、使い込む内に主人公に合わせて変質したもの。
元々の【魂魄精錬法】は本来、魂魄由来の能力値の成長率を向上させる一種の成長スキル。魔力を中心に、魂に由来するステータスの成長率が向上するだけでなく、身体スペックに合わせて身体成長の成長率や方向性を制御する事もできる、との事。
“魂に由来する能力”という事で、主人公の場合は画力も向上していく。
これを主人公が使い込む内に、スキルの特性が『成長に合わせ、自身の霊質に宿る邪神クトゥルーの性質を最大限に引き出す』という方向性へと変化した。
・圏境・異星蛸
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』の【小周天】が、使い込む内に主人公に合わせて変質したもの。【小周天】【大周天】までは順当に進化していったが、【圏境】になる時にまた妙な事になった。
元々の【小周天】は、大気中の生体マグネタイトの吸収率を高める事で、霊力・体力の回復効率を高めるある種のパッシブ的に働く持続型の回復スキル。これが【大周天】になる事で回復率が向上するだけでなく、操作・感知技術の向上と合わせ、周辺環境とある種の調和を果たす事で感知能力・隠密能力を飛躍的に高める事となり、いずれ【圏境】の域にまで到達する。
なお【小周天】を『建体飽食技典』に習得できたのは、【食没】【魂魄精錬法】を実施するための最低限必要な基礎的なマグネタイト操作技術として掲載されていたため。
主人公の場合、【圏境】の技術を逆用し、周囲環境を侵食し、敵対者の自然回復効率の制限や弱体化・状態異常の付与、ステルスの炙り出し、果ては異界の侵食などを可能としている。
ただしここまでやってしまうと、どれだけ上手く隠れたところで周囲に存在圧が伝わってしまい、観測できずともどこか近くに隠れている事だけは確実に相手にバレてしまうので、どうにか通常版の【圏境】と使い分けている。
・サポート
元は『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』。
【聖域】【転移】【譲渡】【脱出】にプラスして修羅勢御用達各種支援スキルが含まれる詰め合わせ系汎用スキル。
・嫁入りセット
元は『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』。
料理、掃除、裁縫その他の家事スキルの他、房中術までが含まれた詰め合わせ系汎用スキル。いわゆる女子力。理想の主婦様(or主夫様)スキル。
主人公の場合、シキガミと共にろくすっぽ家に帰らない生活を続けているが、それはそれとして装備の補修など役立つ場面はそれなりに多い。