ファッション無惨様のごちゃサマライフ   作:頓西南北

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魚沼TSV ~転生者バリエーション~ 05

 

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 

「天誅! いやぁあああ~~~~~!! ────ひでぶ!?」

 

 “わたし”が慌てて頭を引っ込めた決戦霊装『ケット・クー・ミコケル』の外殻、分厚いバルーンの表面に、破れかぶれに突っ込んできた下級天使の槍が突き刺さった。槍穂を深々と突き立てられた毛皮の塊は、その内側に仕込まれていた大量の風船爆弾を炸裂させる。

 毛皮の中から弾けたもの、既に周囲に撒かれていたもの、それら合わせて数十にも及ぶ風船爆弾が連鎖誘爆し、多重発動した【マハザン】に巻き込まれ、ミンチより多少はマシな肉塊になって地上へと落下していく下級天使をよそに、“わたし”は深々と溜息を吐いた。

 

「今ので……うん、最後っぽいですね。はぁ~~~~……良かった。疲れたよぉ……」

 

 攻撃を受ければ自分ごと風船爆弾の連鎖爆発に敵を巻き込み、『ケット・クー・ミコケル』に搭載された【衝撃吸収】によって自己回復する。このギミックにより、既にダメージは全回復している。何なら最後の保険代わりに搭載した食いしばり効果の【衝撃サバイバ】も使わなかったくらいだ、体力そのものには十分な余裕がある。

 だがそれはそれとして毛皮の塊の中で長時間同じ姿勢のまま固まっていた疲労は抜けないし、精神的なストレスはどうしようもなく、隣で箒に乗って空を飛ぶ魔理沙に応える返事にも力がない。

 

「でも、そろそろ終わりみたいだぜ。良かったな」

「ですね。敵の姿も見えなくなりましたし……」

 

 さっきまで落雷とフライドチキンの雨を降らせていたドッコイダーも、どうやら手を止めているようだ。やはり敵の姿が無くなったのが大きいのだろう。眼下の森でゲリラ駆除に勤しむ白魔女達が立てる銃声やメシアンの悲鳴も、最初の頃に比べて随分と散発的なものになってきている。

 

「で、どうする、ここから? まだ戦ってるところを探して、混ぜてもらうか?」

「といっても、私達って基本的にこういうゲリラ戦しかできませんよ。沙都子ちゃんの仕込みもありませんし、危ない事はやめときましょうよ」

「あーあー、それな。まあ私も触媒とか魔法薬とか、そろそろ品切れだもんな。ありったけ作って持ってきたはずなのに、たった1時間で看板だぞ」

 

 ひとまず森の中の掃討戦が終わったら撤収。そういう予定でいいか。そんな風に、少女達は結論を出した。

 

 

 ────戦いは、折り返しに入ろうとしていた。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 異界の主であるアイホートを失い、回廊の異界────疑似メメントスが崩壊するのに合わせ、接続が切れた。

 

 ノイズ混じりでもミカ達の姿を捉えていた視界がぷつんと途切れるように消失し、途端に現実の身体感覚が戻ってくる。髪から引き剥がすようにしてヘッドマウントディスプレイを外すと、皮膚とプラスチックの間に溜まっていた汗が揮発して、露出した肌の表面温度が少しずつ下がっていく。

 その途端、開放された視覚へと押し寄せてくる外界の光が眩しくて、反射的に瞬きを数回。見慣れないが見覚えはある風景は、時折ミカが自撮りで送ってくる鳥煮亭総合学園の生徒会室だ。

 

 異界接続用の大型端末の筐体から身を起こすと、隣の席から声が掛けられた。

 

「片付いたみたいだね。予知の内容も安定していたし危険な結果は出なかったから安心していたけど、その様子なら、やっぱり大丈夫そうだ」

 

 幼くも涼やかな声に振り返ると、三つある生徒会長席の一つに座っていたのは百合園セイアだ。相も変わらず机には大量の占術用具が散らばっており、予知能力者の仕事は多忙であるらしい。

 

「ミカなら大丈夫だろ。スクワッドもいたし、見た感じ苦戦するような敵もいなかったからね」

「信頼してるわけだ。羨ましいな」

 

 机に置かれていたカップを両手で持ち上げたセイアは、すっかり冷めている砂糖塗れのコーヒーを小さく啜る。

 

「それ、美味しいのか?」

「脳の疲れが和らぐんだよ、糖分たっぷりで。これでも頭脳労働者だからね」

 

 卓の上で複数のダイスとルーン石と筮竹をまとめて転がしながら、セイアは忙しそうに記録を付けている。仕事の邪魔をしても悪いので、生徒会室を出る事にした俺は、黙って筐体のシートから立ち上がった。

 

「やっぱり、迎えに行くのかい? 多分、待っていて、って言われたんじゃないか?」

「そりゃね。でもまあ、早く顔を見たいから、せっかくだしね」

「そうか。まあ仲が良いのはいい事だ、羨ましいけど」

 

 それだけ聞くと、セイアは呆れたように肩をすくめた。

 とりあえず最寄りの移動手段。生憎と近くに【トラポート】や【トラエスト】持ちはいないようだが、探せば何かしらあるだろう。

 

「そうそう、一夫多妻制に興味はないかな? 今なら私だけじゃなく、ナギサも一緒に着いてくるけど。お得だよ」

「悪いね、正直ミカだけで手一杯なんだよ」

「ぷっ、あはは、それじゃあ仕方ないね。待っててあげるから、心置きなく行ってくるといい。それと今日の君のラッキースポットはロボ部。それと、途中で会った人に親切にするといい事あるってさ」

 

 ……セイアが言うなら、多分これもまた何かしら意味がある事なんだろう、が。

 

 ともかく、のんびりしていても仕方ない。

 

 それじゃ言われた通り、ロボ部に行きますか。

 

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 

 市民体育館を改装した大聖堂を内側から突き破るようにして、柱のような巨影が立ち上がる。毒々しい血色のマグネタイト光を垂れ流しながら、枯れ木のような骨組みだけの背翼を引きずるように背後に血色の光輪を広げ、長く伸びた頸椎を鎌首のようにもたげると共に、頭部を覆っていた無数の小翼が花のように展開する。

 死人の肌のように生気なく生白い全身の皮膚とは対照的に、血に染まったかのように赤黒い両腕を大きく掲げるその挙動に合わせ、足元から溢れる影の中から無数の小天使が溢れ出してくる。

 

 迫ってくる天使の群れを蛇が這いずるような異様な挙動で翻弄しながら距離を取り、崩れかけた壁を駆け上がったブラッドスタークは、飛来したアルケーガンダムの腕へと飛び乗ると、展開するコクピットハッチへとその身体を滑り込ませた。

 

「おいおい、あのグロいのが天使の姿かよ。ったく、人間一人に節操もなく大量の素材詰め込んだ結果がこれか。嬢ちゃんが化け物呼ばわりするのも納得の出来だが────アネモネ、資料と解析の結果はどうなっている!?」

「合体素材の中で、一番比重が大きいのは『天国の門』!! 能力は天使の無限召喚。呼び出せる天使の強さには制限があるみたいだけど────ううん、これマズいわよパパ! 呼び出されてくる天使、どいつもこいつも【騎士の精神】持ち!」

「【騎士の精神】っつーと、確か……」

「そう! リーダーのダメージを肩代わりするスキル!」

 

 デモニカのバイザーの下で伺い知れないその表情を、サーシェスニキこと焼野原博史は思わず引き攣らせた。

 

「おいおい、するってーと何かい、あの無限湧きする雑魚共まとめて全部片付けるまで、ベアトリーチェの婆さんには一切のダメージが行かないって事か!?」

「そういう事!」

「クッソ面倒臭ェ! で、ハニー、本日の御品書きは?」

「強襲、強行着陸、高速離脱の三点セット! 短時間の地上制圧装備と、後は高速機動用の増加ブースターがメインの、基本的にパパを拾って帰るだけの装備ね」

「ソイツぁ大変だ。婆さんに引導くれてやるのはキツそうだなぁ!」

 

 焼野原とアネモネが制御するアルケーガンダムは押し寄せる天使の群れに対して背部にマウントされていたGNバスターソードを抜刀、内蔵されていたGNハンドガンの銃身を展開して【制圧射撃】にて敵を撹乱するのに合わせ、その刀身から【ショータイム】の斬撃にて薙ぎ払う。

 ステータスは搭乗者のそれに機体性能を上乗せしながらも搭乗者のスキルをそのまま扱えるのは、呉ロボ研の系譜に位置する機体の最大の利点だ。合わせて敵の三割ほどがごっそりと削れるが、それさえも数秒も経てば元通りの数に補充されてしまう。驚くほどの召喚速度だ。

 

 もっとも。

 

「維持できる数にも、天井があるみたいだなァ!」

 

 考えてみれば当然の話だ。

 

 近くには信徒もおらず、この辺一帯の土地の地脈は魚沼シェルターの制御下にある。

 わざわざ弥彦神社の鹿を盗んで、クローン鹿肉を売り捌き、天香具山命の霊格を落とそうと目論んだのも、魚沼シェルターの結界を揺らがせてシェルター内にミサカクローン達を侵入させるだけでなく、魚沼シェルターからの霊脈制御を妨害する為であったのだが。

 そもそも魚沼シェルターがそんな霊脈の揺らぎをいつまでも放置しておくような無能の集まりであるはずもなく、当然の対策は当然のように打ってくるのが当たり前。この新潟県一帯においてベアトリーチェの霊格で確保できる霊脈の支配権も有限だ。

 

 使える生体マグネタイトの量は決して少なくはないが、しかし限られている。【騎士の精神】を持たせただけの低コストの下級天使とて、無限に呼べはしない。

 

「だったら、一気に雑魚を削って一気に押し切るのが賢いやり方ってヤツ……おっ、どうしたアネモネ?」

「パパ、あれ見て! 誰かいるよ!」

 

 アネモネの操作に応じてサブモニターに強調表示されるその姿は。

 

「アリウススクワッド────ペルソナ案件の特殊部隊が、何でここに? ま、いいか。ともあれ戦ってくれるってんなら情報共有くらいはやっておくべきかね。アネモネ、頼めるか?」

「オッケー、じゃあ送信する情報を軽くまとめるから、パパは向こうに声掛けお願いね!」

 

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 

 頭上から迫り来る大量の天使の群れに、ミカとアリウススクワッド、合わせて五名は一瞬混乱状態になるものの、そこは相応の経歴を持つ異能者という事もあり、素早く体勢を立て直し、応戦を始めていた。

 

「異界から放り出されて早々これとはな!」

「しかも何か見覚えのあるカラーリングとデザインのデカブツがいるじゃんね! 怪獣になってるのは驚いたけど!」

 

 過熱したドライバーが冷却する間は生身だが、そもそもデモニカがなくても戦える二人にとってはそこまでの問題ではない。押し寄せる天使の物量は脅威だがその性能自体はそこまででもなく、弾薬や霊力といったリソースが尽きない限りは恐れる程の相手でもない。

 

 獣同然の動きで真っ先に飛び掛かってきた天使の顔面に革靴の底を蹴り込んで、その脳天に愛用のランチェスター短機関銃からたっぷりの呪殺弾を送り届けてやる。その頭蓋が赤黒いマグネタイト光の残滓を散らして溶けていくのを確かめもせず、その後から襲い掛かってきた天使へと応戦。

 最低限の知性で武器を振り回す天使の槍を掴んで逆に振り回し、その後ろに続こうとした残りの天使へと鈍器代わりに投げつけて勢いを止め、頭上にて銀河のように渦巻くペルソナ『剛毅・ゴーチフル』から放たれた隕石弾がその只中に直撃。

 羽根や血潮のようなフォルマ片を撒き散らして弾け飛び、それで一掃された集団の背後から、またぞろ溢れてくる集団には。

 

「大した事なかったね」

「なら、次は私の番だな」

 

 ミカと入れ替わるように前に出たサオリは、その手に構えたSIG516をテンポよく連射。リズミカルな三点バーストの発砲音は軽妙なパーカッションの響きにも似て、狙いは精確に、しかし素早く淀みなく敵を刈り取っていく。

 横合いから回り込んでくる敵の額にサブウェポンの拳銃を抜き撃って仕留め、懐まで踏み込んでくる敵には足を払うと同時、顔面に拳銃の台尻を叩き込んで昏倒させてその頸椎をブーツの踵を踏み砕いた。

 

「さすがに数が多いな。大型の機関銃でも欲しいところだ」

「サブマシンガンは機銃とは別カテゴリだもんね」

『おいおい嬢ちゃん達、バルカンならこっちにあるだろうがよ。忘れてもらっちゃ悲しいぜぇ!』

 

 背中を合わせて毒づくと、巨大な質量が押し出す風圧と共に頭上から飛来するアルケーガンダムが額に追加装備されたバルカンを掃射し、溢れる天使の隊列を横に引き裂いていく。

 当たり前のように翼を持ち空を飛べる天使は、その全てが航空戦力だ。そんな敵にいまだ頭上が押さえられていないのも、アルケーガンダムが適度に航空支援を入れているからであり、その密度は決して満足という程ではないが、持ち堪えるには十分であり。

 

「そろそろいいよ。私もヒヨリも残弾は回復したし、ここらへんが勝負どころだと思う」

 

 大型のランチャーを担いだミサキの進言に、手首のスマートウォッチを確認したサオリは、思いの外時間が過ぎていた事に気付いて、その切れ長の眼をわずかに見開いた。

 

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 

 新潟県、県境。三国峠付近を走る高速道路の高架上。

 

 アスファルトの表面を蹴立てて走る奇態の車両────ダチョウ車の車上にて。

 

 

「────止めてくれ」

 

 

 高架の上から見渡す山々の陰から立ち上がった異形の大型悪魔────翼と眼球で作り出した大輪の華のごとき頭部、枯木の翼に血紅の光輪という、どこか見覚えのあるその姿を目にして、アズサは思わず口に出していた。

 

「? どうしたのです、アズサ?」

「ごめん。私は多分、あれを倒さなきゃならない」

 

 だから降りる、と言おうとしたアズサに、ダチョウ車の御者席からダチョウニキは話し掛ける。

 

「途中下車はあまり褒められた事ではありませんが……それでよろしいのですかな? はっきり言ってしまいますとここは魚沼シェルターのすぐ近く、そんな場所にあんな大型悪魔が出現すれば、さして時間も経たない内に魚沼から実力もあって相性もいい異能者が派遣されてきて、あっさり倒してしまうはずですぞ。楽で安全、というのは、決して悪い事ではありません。戦場で何があっても、後方にいれば自分の命も財産も失われず、御友人と笑っていられるという事ですからな。……それでも、行きますかな?」

「うん。あれは多分、私の因縁だから。私がけりをつけなければいけないんだ」

 

 短いやり取りだが、それでアズサの意志は伝わった。

 

「ふむ。イズナ殿はどうしますかな?」

「イズナは、アズサがそうしなくちゃならないって言うなら、手を貸すでござる!」

「……そう、か」

 

 屈託のない笑顔を浮かべるイズナに釣られるように、アズサの顔にもわずかに笑みが浮かぶ。

 

「答えは出ましたな?」

 

 ダチョウニキの問いかけに。

 

「ああ。私は、あそこに行く」

「イズナも一緒であります!」

 

 その迷いのない返答に、ダチョウニキはぐっと親指を立てて応じた。

 

「行き先がお決まりでしたら、そこまでお届けするのが運送屋の務めですな! では“我が戦車は星のように、容赦なくおまえ達を轢き潰す”────高速モード起動! フィーロたん、サクラたん、フィトリアたん、出番ですぞ!」

 

 ダチョウニキが手綱を引くと、ダチョウ車を曳く三頭のダチョウが足並みを揃えて走り出す────空中を踏み、少しずつ高度を上げて、道も足場も存在しない宙を走りながら加速していく。

 

「えぇ!? この車、空中を走ってるであります!? どうなってるでありますか!?」

「車が、翼もジェットも生えてない車が……飛んでる?」

「ジェットなら付いてますぞ! ほらジェット起動、ですぞー!」

 

 ダチョウニキの操作に応じて車体がその構造を組み替え、その後端から展開した巨大なロケットノズルに点火、豪快な噴射炎を噴き出しながら爆発的な加速を得る。窓に貼り付いて目を白黒させる子供二人を乗せ、山の稜線越しに見える悪魔の巨影に向かって三頭のダチョウは足並みを揃え、ダチョウニキの車は加速していく。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 患者の数も随分と減ってきたパピヨンニキのテントの脇を通り、鳥煮亭総合学園の敷地を歩いて校門へと向かう。ほぼイベントと化している防衛戦の魚沼市側における中心地である鳥煮亭総合学園の敷地内には、やはり結構な人員が行き来している。

 戦いが行われているのは偽りの魚沼市の側だけであっても、物資の運送など、こちら側でやるべき事も多い。

 

 そんな中、自分の役割を終えた俺は、ひとまずロボ部へと向かっていた。ミカを迎えに行きたいが、その為の足は……まあロボ部に辿り着けば見つかるだろう。急ぐべきか、それとものんびり歩いていていいのか、それは自分でも判断が付かないが。

 

 駐車場に置いてあった車のエンジンを掛け、走り出そうとすると、その寸前で車の扉がノックされるように叩かれた。慌ててブレーキを全力で踏み、叩かれた扉を睨むと、その視線を受けて気まずそうに視線をそらしたのは吊り目がちな小柄な少女だった。

 

「な、何よ! アンタがいきなり走り出そうとするから危なかったんだからね! ……別に、悪いとは、思ってるけど」

「コハル義姉さん……いや、危ないでしょ。ケガでもしたらどうするのさ」

 

 下江コハル────俺の可愛い嫁さんであるミカの、そのまた姉……のような存在だ。メシア教会の実験体として天使人間のプロトタイプとして扱われていたミカの、そのまたプロトタイプともいえる存在である、らしい。

 プロトタイプのプロトタイプとは何だそりゃという話だが、スケベ部にいる技術に詳しい知り合いによると“技術的な世代の違い”という事だそうだ。

 

 名前持ちの大天使を召喚するための依り代として開発されていたにも関わらず、ほぼ100%人間の意志が残っていた上に、メシア教会で開発されていた頃にはほぼ力を使えなかったが為に失敗作として扱われていたコハル義姉さん。

 それを元に、人間ベースの肉の器を持つ天使として開発されたにも関わらず人間という在り方を保っていたミカ。

 

 そんな開発経緯なんだとか。さらにその後、人間に後天的に天使の力を付加した強化兵士として製造されたのが宮城のアズサちゃんであるんだとか、まあ、そういう関係性らしい。

 

 まあ、ともあれ。

 

「で、何か急いでるようだったけど、どうかしたの?」

「ああ、ミカを迎えに行くんだよ。今、ちょっと離れたシェルターの外にいるみたいだし。だから、ロボ部にいい感じの移動手段でも転がってないかと思ってさ」

 

 それだけ言って車のエンジンを掛け直そうとした俺は、慌ててブレーキペダルを踏み込んだ。

 

「私も行く! お姉ちゃんだもん!」

「えぇ!? ちょっと待って、ドアをガチャガチャしないで! 走れないから!」

 

 ぶっちゃけ迷惑、ではある、が。

 

 

 ────途中で会った人には親切に、だったか。

 

 

 セイアが言ってたのは、こういう事だろうか。

 

「……分かったよ。じゃ、一緒に連れてくから乗ってくれ」

「分かればいいのよ、分かれば!」

 

 それにしても、コハル義姉さんにも仕事があるんだろうに、大丈夫なんだろうか?

 

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 

 死屍累々。

 

 そんな言葉が似合う現場だった。

 

 ようやく完成した水中仕様巨大ロボ────重厚な白亜の装甲に包まれた機神を前にして、百戦錬磨の技術者達が折り重なるようにして倒れ伏している。ある者達は口元から涎を垂らしながら座り込み、ある者は顔面から床へと突っ伏して、ある者は虚ろな笑い声を上げながら金属柵からぶら下がっている。

 

「勝った……勝ったぞ!」

「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ……」

「ようやく休める~~~~~~~~ぅ」

「何度過労死すると思ったか……」

「実際何度もしてるから全然笑えねぇ!」

「ヴぁ~~~~~~~~~~~」

 

 それは敗北を示す姿ではなかった。

 既に鋼の巨人は完成し、後は仕事を終えた注文者が戻ってきたら受け取りを待つのみ────つまるところ勝利者である彼らが見せるその姿は明らかに人事不省、過度な徹夜の繰り返しによる疲労困憊のせいだが、それでもやり遂げた者達の姿は、どこか誇らしげで、いっそある種の美しさすら見て取れるものだった。

 

 

「た、大変です! 三国峠付近に天使らしき巨大悪魔────霊基の解析データから、多分メシアンのテロ疑惑が濃厚だとか!」

 

 

 などという知らせが飛んでくるまでは、だが。

 

「メシアン……テロ……巨大悪魔………………ロボの出番で、仕事!」

「整備! 整備整備整備! せ! い! び!?」

「ぅぎゃぁおおおおおおおああぁ~~~~~~~~」

「えっと、その……また、徹夜です、か?」

「また仕事が増える増える増える増えるぅあ~あ~あ~~~~~~~~~」

「アババババババババ!」

「返してよぉ! 私の休憩時間を返して~~~~~!」

 

 倒れていた技術部員たちが悲痛な声を上げながらゾンビのように立ち上がってくる。報告を持ち込んだ事務員の女性が引き攣った声を上げて後ずさる、その肩をガッと掴んで、目を血走らせた技術部員の一人がゆっくりと詰め寄ってきた。

 

「ねえ、今、仕事って言った? 言ったよな! 言ったよね! 言ってたよねえ~~~~~~~!」

「ひぃっ! 私じゃありません! 私のせいじゃないですから! 全部メシア教会とかいうやつらの仕業なんです!」

 

 阿鼻叫喚。

 

 まさにその一言で語るしかない異様な光景だった。こんな状態の技術部員達をどう説得して仕事をさせるか……そもそも仕事ができる状態なのかすら判別がつかず、震え上がる事務員達。

 

 だが。

 

「ひらめいた。つまり、ウチに仕事が来る前にそのメシア教会を殺ってしまえば…………」

 

 どこかから、声が上がった。

 

「それに気付くとは、天才か!」

「その手があったか……!」

「そ れ だ !!」

「天才現る!」

 

 どうせ後から整備も修理もやらなきゃならない。そういう意味で、理論も結論も明らかに間違っているのだが、それはそれとして技術部員達が一斉に、徹夜と疲労に雲った眼を爛々と輝かせた。

 

 

「行くぞお前ら! 行き先は三国峠! メシアンぶっ殺して休みを手に入れる!」

「「「「「おぉ~~~~~~!!」」」」」

 

 

 そろそろカウントするのも気が遠くなる日数を徹夜し続けて正気を失ったロボ部員達は、自慢の機体で天使を狩るべく動き始めた。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

「ちょっと怖かったけど、乗せてもらえて良かったわ……こ、怖いなんて思ってないんだからね!」

 

 魚沼市上空を離れ、三国峠へと向かう輸送機の機上で、慌ただしく機体のチェックをするロボ部の部員達を横目にしながら、俺とコハル義姉さんは案外暇していた。

 

 ……というか、着くまでやる事がない。

 

「そっスねー怖くないねー」

「ちょっと! 適当な返事しないの! 私はお姉ちゃんなんだからね!」

 

 俺達が乗っているのは『ガンペリー』と呼ばれる機体。

 

 呉支部で開発された輸送用の大型航空機だ。三基のローターと四基のジェットエンジンを備えた複合推進システムを採用しており、運行速度はそこまででもないが、機体サイズの大半を占める腹に抱え込んだ巨大なコンテナには驚くほどの容量を積載する事ができる。

 コンテナの規格は元々呉で製造されたナイトメアフレームを基本にしているが、現地改修により士魂号や超機人などにも対応可能な大型輸送機だ。

 

 特に、一機だけ混ざっている『ガンペリー・シギント』と呼ばれる強化タイプは通信・管制や索敵といった電子戦能力が強化されていて、ヤンニキとラインハルトニキという指揮官コンビが中心になって臨時の司令部を構築しているらしい。

 

 そのコンテナ内部に設置された兵員輸送用スペースのシートの一つに座りながら、コハル義姉さんは居心地悪そうに周囲を見回している。

 

「ねえ、これ何か手伝わなくっていいの?」

「むしろ下手に手伝おうとすると足引っ張ります。向こうから頼まれた時だけにしとくべきですね」

「……そっか」

 

 義姉さんは周りが働いている時に自分だけ座っているのを苦痛に感じるタイプ。まあ気まずいのは事実だが、周りはプロで専門職だから仕方ない。荷物くらいなら運べるけど、どうにもね。

 ついでに、普段のロボ部と比べても妙に殺気立っていて、ちょっと近付きづらい。

 

 そんな感じで周囲を見回していた義姉さんだが、一点を見てぱっと顔を明るくさせた。

 

「あれ、あれ! いいものあるじゃない! あれで先に行けないかな?」

 

 義姉さんが指差したのは、コンテナの壁面ラックに掛けられていたフライングアーマー────飛行機から人が乗る部分を取り除いたような形をした、サーフボードくらいのサイズの小型装備だ。元々人間を飛ばすための携行装備の一種だが、輸送機であるガンペリーよりも小回りが利いて、最大速度も速い。

 

「最大速度が速いからって、巡航速度も速いとは限らないけれど……まあ、いいか。あれ、誰かのだったりしないよな?」

「あっ! 今聞いてくるからちょっと待ってて!」

 

 ややあってぱたぱたと足音を立てて戻ってきた義姉さんによると、どうやら特定の持ち主はいないが、ロボ部の備品であるらしい。

 借りるのは問題ないが、きちんと返すのはまあ当然だろう。壊さないのは当然として、返す時にはきちんとガソリン入れて……いや、そもそもガソリンで動くのか、これ?

 

「ま、いいか。とりあえず現地に着くまではハーネスを放さないで下さいね」

「当然よ。アンタだってうっかり落ちたら許さないんだからね」

 

 フライングアーマーから伸ばしたベルトをハードポイントに繋いで身体を固定し、ドラッグハンドルを握り締める。感覚としてはエンジン付きのパラグライダーみたいな感じか、まあ順当に、気軽に放せば落ちるのは残当。

 ハンドルを握った俺の後ろに、義姉さんがしがみついた。こっちもハーネスはきっちりと繋いでいる。羽根も生えてるし飛行や浮遊に適した体のつくりをしているからか、それとも単純にミカより小柄だからか、そこまで重いとは感じないが。

 

「じゃ、行ってきます!」

 

 ロボ部の人達に手を振って、フライングアーマーの本体であるシキガミに指示を出す。フライングアーマーの後部に備わったマギジェットスラスタに点火し、そのまま一気に空に────。

 

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 

 バレルロールを打ったアルケーガンダムの翼の先を掠め、頭部中央から放たれる灼熱の光矢【ジャベリンレイン】は空の向こうへと消えていく。それを見送る事なく機体を操るサーシェスニキは、鋼の腕が手にしたGNバスターソードの銃口を向けて【ブラック&ホワイト】の銃撃を叩き込む。

 

『当たってねえんだよ、あぁ!?』

 

 頭上から落下する恒星のごとき大火球【マハラギダイン】の中心点を狂いなくヒヨリの狙撃が射貫き、わずかに形が崩れたところにミカのペルソナ『剛毅・ゴーチフル』が落下させた隕石が直撃した事で巨大火球はその形を維持できず霧散していく。

 

「これくらいなら、どうにでも、な」

 

 捻じれた杭のような指先の示す先で発生する爆裂【ギガ】、溜めも少なく予備動作も軽い癖に、巨体相応の威力のある厄介な一撃だが、指を向けさせなければどうという事もなく、サオリの銃撃を指先に集中させる事で狙いを反らし、爆発が起きたのはあらぬ位置であり。

 

「まあ、こんなものか」

 

 花開いた頭部翼の中心点から血色の烈光【ピュリプレゲトン】が放射される一瞬前に、その頭部へとアツコの投擲したグレネードが視界を塞ぎ、そこにアルケーが放った【ブラック&ホワイト】の銃撃。付随する感電により一瞬だけ動きが止まり、暴発するように中断された【ピュリプレゲトン】の隙を突いて、銃弾や隕星がベアトリーチェに向かって殺到、最後にミサキの構えたランチャーから放たれた榴弾が直撃し、火炎の華を散らす。

 通常なら瀕死にまで追い込めるダメージ量も、そのダメージを肩代わりして数体の天使が弾けて散ったのみ、損害はわずか数呼吸で補填される程度。

 

『この程度……ああ、この程度。お前達が何をしたところで、何の意味もないという事が分からないのですか!』

「なら、試してみる?」

 

 いつの間にかその肩口へと飛び乗っていたアツコが、愛用の銃のトリガーを引き絞る。眼球が密集した顔面に銃弾を浴び、痛みに短い悲鳴を上げたベアトリーチェは、巨大な腕を振り回した。回避したアツコはその肩から素早く飛び降り、距離を取り、置き土産に置いていったノロイ酒入りの火炎瓶が爆ぜて視界を塞ぐものの。

 

『ええ、ええ! では試してみるとしましょう! そして結局何の意味もないと知り、絶望すればよい!』

 

 振り上げた両腕にて二連続で放たれる【メガクロー】が大地を砕き、そこから発動する【ギガバリオン】にて、巨大な爆発が砕けた大地ごと膨大な土砂を巻き上げる。攻撃範囲を丸ごと包み込み全てを破壊するコンビネーションは、直撃などせずともその余波だけで、少女たちの身体を空中へと攫うには十分な破壊力を持っていた。

 

『ちぃッ、小賢しい事考えやがって……嬢ちゃん達、死んでくれるなよ畜生!!』

 

 空中に跳ね上げられて身動きできない少女達を狙う追撃の【メガクロー】に、アルケーの機体ごとぶつけるような【絶妙剣】を差し込んで妨害。それでも止めきれず弾かれた機体を立て直しながら牽制の銃撃を放つアルケーの下を潜って一人、翼を持つミカが動く。

 

「ヒヨリちゃん! ミサキちゃん! それから────!」

 

 二人の手を掴んで引っ張って飛び上がり、二人をアルケーの肩へと置いてさらに飛ぶ。【メガクロー】の的になどさせない、ミカの伸ばした手をアツコが掴み、さらにアツコが伸ばした手をサオリが握り締め。

 

『ええ、ええ! なりません! 全ては無駄! 無駄! 無に等しい! だからこそ無に還りなさい、我が過去の汚点共────!!』

 

 ベアトリーチェの胸部から吐き出されるのは、薄桃色の肉で無理矢理翼を象ったような無数の触手。かつて『大天使ガブリエル・スライム』の名で生産された、女を孕ませるため大天使の権能のみを抜き出した陰惨な道具。波濤のように押し寄せる触手を用いた【吸収攻撃】は、敵に回避の空間など与えない凌辱により標的を蹂躙するものであり、しかし。

 

 

「────任せるのです! イズナ忍法、【変わり身の術】!」

 

 

 ミカ、サオリ、アツコの三人を包み込むようにして白煙が弾け、その場から消え失せた三人の代わりに出現した狐のぬいぐるみを包み込んだ触手が、仕込まれていた爆薬によって内側から弾け飛ぶ。翼に貼り付いた眼球全てを驚愕に見開いたベアトリーチェの顔面を、空中を疾走してきたダチョウ車の重量全てを存分に集中させた三頭がかりの【ぶちかまし】が張り飛ばした。

 

『んなぁ────ッ!? ダチョウ何で!? 何でダチョウ!?』

 

 地面を数十メートルほど滑走しながら衝撃を逃がしたベアトリーチェの視界を横切るようにダチョウ車が走り抜け、その屋根上で愛銃を構えていたアズサの視線が、ベアトリーチェとかち合うようにぶつかり合った。

 

「Vanitas vanitatum et omnia vanitas.────極道技巧【狂弾舞踏会】」

 

 本来なら拳銃で扱うべき技をアサルトライフルで再現し、空中でぶつけ合った弾丸が火花を散らして軌道を変え、その翼の顔面にある無数の眼球を一つ一つ的確に撃ち抜いていく。それら全てダメージは配下の天使へと転嫁され無傷だが、視界を削ぐ目的としては十分過ぎて。

 

 そして波濤のように溢れてのたうつ触手を、桜色の光芒が撫でるように伸びた。

 

「エッチなのはダメ! 禁止! 死刑!」

『馬鹿な、馬鹿な! この権能は────!!』

 

 ベアトリーチェが体内に取り込んでいた霊基の一つ、弱くとも大天使の格を持つ権能を抱えていたそれが汚泥と化して溶け落ちる。

 

 もはや天使とも言いがたい巨大悪魔と化していたベアトリーチェが、その異形の頭部で振り仰いだ空には、編隊を組んで飛来する輸送機と、それに先行して飛来するフライングアーマー。あるいは、そのさらに後方から聞こえてくる汽笛の響き。

 そこに反撃のように、ミサキの構えたランチャーから射出されたロケット弾が爆ぜて火炎を撒き散らす。

 

『どうやら、風向きが変わってきたみたいだなァ』

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

「あーっ、アズサ! 何でいるんですか!?」

「ヒヨリ!? え、いや何でって、ちょうどここに、あの大きくなったマダムの姿が見えたから、それで……」

「大急ぎで駆け付けたのです!」

「ちょっと、イズナは少し黙ってて…………!」

「でも事実なのです」

「ヒヨリも、少しだけ黙っていなよ。あまり、邪魔すると申し訳ない」

「? ちょっとミサキ、何言ってるか分かりませんけど……えっと、この間読んだ雑誌のコーナーによると……」

「ほらヒヨリ、今はちょっとだけ離れてよう、ね。ほら、イズナちゃんもこっちでお話、しよう」

「わ、姫!? ちょっとミサキまで! 何で私を連れていくんですか!? ちょっと待ってください!?」

「わ、わ、引っ張らないで欲しいのです! このイズナ、抱っこされるのはあまり……あ~れ~~なのです~!」

 

 

 

「ええと、アズサちゃん、だよね。初めまして、聖園ミカです。あ、でも今は正確には北条ミカになるのかな? ちょっと終末後っていろいろと曖昧で、分かりづらいよね」

「そ、そうですね…………初めまして、白洲アズサです……えっと、その……お話ししたい事、たくさんあって、それで────」

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

「じゃあコハル義姉さん、フライングアーマーよろしく!」

「えっ!? ちょっ……ちょっと! 怪我するわよ!」

 

 フライングアーマーに身体を固定していたハーネスを外し、そのまま地面に向かって飛び降りる。フライングアーマーの上に残されたコハル義姉さんが慌ててハーネスを掴み、揺れた機体の制御を取り戻すのを置き去りに、俺は地上に向かって一直線に落下する。

 空気抵抗が顔を叩くような強烈な向かい風となり、顔を叩いてくる中、背中に背負っていた三叉の鋤を掴んで地面に向かって投擲した。

 

「ペルソナぁ────!」

 

 俺の背後にペルソナ『剛毅・バララーマ』が出現すると同時、鋤が突き刺さった着弾点を中心にした円形範囲の地面が地下から殴りつけられるような衝撃と共に木々や下草が排除され、よく耕された畑の地面へと変換される。

 後はそのまま落下すれば、農耕の権能によって支配された農地が全ての衝撃を柔らかく受け止め、着地成功。“農地”が俺を傷つける事は決してない。

 

 着地して、深々と地面に埋まった足を引き抜いて、足元から巻き上げた土埃が晴れると、嫁が待っていた。

 その腕にはぬいぐるみよろしく、見覚えのある銀髪の少女が抱えられている。幼女ネキからミカに送られてきた写真で、何度か見た事があるその顔は、幼女ネキ預かりになっているアズサちゃん、か。

 

「ミカ、待たせた?」

「ううん、今来たとこ」

 

 デートみたいな言葉を交わして、並び立つ。

 知ってる顔も、知らない顔も多い。

 

 錠前サオリ。

 秤アツコ。

 戒野ミサキ。

 槌永ヒヨリ。

 合わせてアリウススクワッドの四人。

 

 そして。

 

「悟志くん、この子、アズサちゃん。初めてお話しできたけど、本当にいい子なんだよ!!」

「ふぁっ、ミカ姉様!?」

「ああ、初めまして。こんな場所で本当に申し訳ないけど、歓迎はもう少し待ってくれ。少なくとも、そこの無駄に大きなアレを片付けてから、かな」

 

 宮城の幼女ネキから話だけは聞いている、白洲アズサちゃんと、その相方のイズナちゃん。

 

 コハル義姉さん。

 

 そして俺と、ミカ。

 

 アリウス関係者、全員が揃い踏みだ。

 

『おう、農業ニキじゃないか、アンタも来たのか。ま、この面子なら、そりゃ出てきてもおかしくないか』

「その声は……サーシェスニキか。珍しい顔だな」

 

 上空から舞い降りてくる血赤色の機体、明らかにアルケーガンダムとなれば、まあ誰が乗っているかは一目瞭然の知り合いだ。

 

「悟志くん、知ってる人?」

「うん、昔ちょっと仕事を依頼した事があってさ、それでね。これでも農業部で“農業”ニキって綽名が付く程度には古株だからさ、ちょっと色々あるんだよ」

 

 ちょっとね、昔ね、本当に、色々ね……イチゴとかシャインマスカットがやられるんだから、まあ、やるよねって話。

 探求ネキ製トリコ食材とか、下手な果物なんぞより余程イロイロな価値が高いからね………………うん、まあ、今はそんな話はどうでもいいんだ。

 

「ちょっと面白そうな話だし、後で聞かせてね」

「まあ、それも目の前の敵を片付けてからだよ」

「そうだね。じゃ、さっさと片付けよっか」

 

 目の前の怪物。俺の目から見れば単なる悪魔だけど、ミカ達全員に因縁がある相手なんだろう。でもまあ俺は知らないし、どうでもいい単なる悪魔一体分の労力で、当たり前に終わらせよう。

 

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 

 ロボ部による増援に対して、ベアトリーチェが選択したのは天使の追加召喚。安定して呼び出せる上限を越え、維持を考えず蓄積していたリソースを吐き出しての大量召喚、高位の大型天使までを含む大群。その選択が正解だったか否かは別として、少なくともロボ部のスタイルとは噛み合っていた。

 

 ガンペリーの編隊に先行して地上を走るのは機関車を模した大型支援列車『ロコモライザー』。足元に仮想力場の線路を自ら架線して、線路なき空中を走るその車体が進撃するロボ部の先頭、戦いの最前線へと躍り出たその先頭車両を迎え撃つのは全長十メートルの巨大天使、ハンマーのような拳が握る長剣を振り上げたその威容に対抗するように────ロコモライザーが二本の脚を展開して立ち上がる。

 

 同時、併走していた旧型仕様の“300系のぞみ”と“400系つばさ”がそれぞれ変形し、ロボ型シキガミ『ガイン』並びにデモニカ戦闘機『マイトウイング』へと変形。

 

『────行くぞ、レッツ・マイトガイン!!』

 

 マイトウイングの機上にて操縦桿を握る旋風寺舞人の号令により、合体シークエンスが開始される。

 

 変形したガインが断頭刃のように振り下ろされる天使の聖剣を受け流し、さらに巨大な右腕へと変形してロコモライザーへと接合、その拳を巨大天使の顔面へと叩きつける。

 のけぞってたたらを踏む巨大天使に向かって上空からマイトウイングが強襲。機首から射出された手錠で巨大天使の腕を封じ込めると、こちらも左腕へと変形して合体。

 

『銀の翼に希望を乗せて、灯せ平和の青信号────』

 

 最後に立ち上がったロコモライザーのデッキから車掌帽を象った頭部が展開。完成した『マイトガイン』は主兵装である動輪剣を抜刀、必殺の【動輪剣・横一文字斬り】にて巨大天使を鮮やかに斬り捨てて脇に抜け。

 

『────勇者特急マイトガイン、定刻通りにただいま到着!!!!』

 

 鮮やかに名乗りを上げると同時、正面から襲い来る天使の大群へと大見得を切るように剣を構えれば、斬り捨てられた巨大天使が背後にて爆散する。

 

『行くぞ皆、作業が増える前に片付けるんだ!!』

『『『『『『応────!!!!』』』』』』

 

 微妙に締まらない掛け声に応じて通信越しに響く唱和には、修羅勢もかくやと言わんばかりの殺気が籠っている。

 シラカワニキが操るグランゾンが後方に控え、背部に巨大な光輪を展開。その肩に乗る探求ネキが景気良く振り撒いている大量の装甲護符で描いた陣図を媒介に大規模重力制御を行い、砲台代わりに重力弾の雨を降らせていく中、ロボ部の戦いが始まった。

 

 

 ロコモライザーから切り離された貨車からはスコープドッグやナイトメアフレームなどの各種地上戦機体が各自発進しており、また貨車も貨車で構成素材のゾナウギアが素早く解体されて作業員達の手により攻撃用の兵器が多数組み上げられつつある。

 ロボ部の有志技術者らの手によるバージョンアップを重ね、ゾイドブロックス型やヘキサギア型といった元ネタ作品には存在しないパーツが多数作られ、ゾナウギアは既に原型など残っていないほどに独自の発展を遂げていた。

 その中でも一番手早く不気味な動きをしているのが、妙にカクカクした不可解な外見の黒札『スティーブニキ』だ。ツルハシを片手に、慣性を無視したかのような異様な動きで飛び跳ねながら、あっという間に人数分の機体を完成させていく。

 

「よし、レオブレイズ完成! さらにディメトロプテラ! シールドライガーブロックス! ボルトレックス! モーターパニッシャー! ほらほら乗りたいヤツから乗ってきな! こうしてブロックが並んでいるとマイクラやってるみたいで楽しい~~~~!」

「ヒャッホウ! 俺シールドライガー頂き!」

「あ、待てずるいぞ! 俺も乗りたかったのに!」

「俺はボルトレックス!」

「焦るな焦るな! シールドライガーならもう二、三体は作れるから!」

「すっげぇ! さすスティーブ!」

「さすスティ!」

「さすスティ!」

「さすスティ!」

「さすスティ!」

「あ、部品余ったな。まあいいや、適当にくっつけとこ」

 

 

 そんな中、真っ先に戦場に躍り出たのが。

 

『逃げちゃだめだ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ…………────さっきから逃げるなって言ってるだルォオオオオオオ!! 逃げるな卑怯者!! 逃げるなァ!!』

 

 紫紺の装甲で全身を覆う痩身の機体────エヴァンゲリオン初号機だ。両肩に搭載されたインパクト・ボルトから放射される【マハジオダイン】で動きを止めた敵に向かって振り上げたのは全領域兵装マステマ、その巨大な刃となったフレームを抉るように叩きつける。

 同時に搭載されていたN2弾頭をマステマの側面から切り離し、斬撃で爆ぜ割れた天使の装甲へと捻じり込むと、巨大天使を蹴り飛ばして敵が一番群れている辺りに蹴り込み、N2弾頭に封入されていた【フレイダイン】が起爆。さらに裏返したマステマの後端から展開するガトリングガンで薙ぐようにして追撃の連射を叩き込む。

 

『目標をセンターに入れてスイッチ目標をセンターに入れてスイッチ目標をセンターに入れてスイッチ目標を…………今オメーセンター入っただろ死ねオラぁん!! アハハハハハハハハハ! 人の性癖を暴露するような連中は皆皆死んでしまえばいいんだよォ!!』

 

 その荒れ狂いように、もうコイツの性癖をつついて遊ぶのはしばらくやめておこう、とロボ部の面子の中に緩やかな共通認識が生まれたところで。

 

 

 上空にて滞空するガンペリーから発艦した鮮やかな青白の機体────『F90 1号機』。アルケーガンダムの原型になったF90、ベースそのままの原型機であり、装備しているミッションパックは全身に実体射撃兵器のランチャーを装備した近距離面制圧のDタイプ。

 

『俺はァ! エリートでぇ! 模擬戦なんだよぉ!』

『パトリック、2000回だ。2000回を忘れてるぞ』

『……エリートで2000回で模擬戦なんだよぉ!!』

 

 1号機を巧みに操るパイロット『甲羅沢パトリック』は迅速に距離を詰め、押し寄せる敵陣の頭上を取って多数の実体弾兵装を解き放つ。ミッションパックDタイプ最大の特徴は両肩・両腕を中心に搭載されたロケット弾、グレネード、クラッカーといった多数の実体射撃兵装、それらが一斉に解放され、白い水蒸気の尾を曳いて弾幕を形成し、まるで花火のように無数の爆炎が大気を彩っていく。

 

 天使の群れが一気に削れた。弾数も一気に消費したから次の斉射までインターバルは掛かるがどの道フォルマ弾倉、回復を待てばまた撃てる。

 

 反撃とばかりに敵も魔法や射撃の火箭を撃ち放つが、パトリックはシキガミ『カティ』の補助を受けて機体を巧みに制御、重量増加による機動力減少を補うために脚部のブーストモーターパックだけでなく、追加搭載されたバックパックのQタイプのスラスターバインダーを小さな翼にも似て自在にコントロールし、回避軌道を敵に読ませない。

 

 

 その爆装の回復を待つインターバルを埋めるかのように飛び出したのは、空戦型の機体群。その中でも先頭を駆ける一機。

 

『うぉおおおおおおおッ、行くぜ【ハイパーオーラ斬り】! 【オーラ斬り】【オーラ斬り】【ハイパーオーラ斬り】じゃオラァぁッ!』

 

 【雄叫び】と共に空を駆け、稲妻にも似たジグザグの軌跡を描きながら飛翔するのは、透き通るような薄宵色の機体。頭部にはカブトムシに似た角飾り、背中には甲虫の鞘翅のような装甲の下から透明な翅を模した独自形式のマギジェットスラスタを伸ばす。

 天使の合間を縫ってフルスロットルで馳せるカブトムシのごときライトパープルの機体は、戦場を引き裂くように縦横に飛びながら剣を振るい、斬線が描く軌跡に蒼白いマグネタイト光の飛沫を散らして、押し寄せる大型天使を次から次へと両断していく。

 

 機体名『ダンバイン』────その外観に反して機体のフレーム構造そのものは量産型の士魂号と大差ないものの、【飛行】スキルを搭載して重力魔術発生装置で浮揚、魔導噴流推進器の推進力で飛翔する空戦に適応するためのフルチューン機だ。

 【飛行】と【迅即の権化】だけで飛んでいた時代とは訳が違い、今や素で音速の十数倍を叩き出しながら、戦闘機のそれを越える俊敏性で空中を立体的に駆け回る。

 

 オーラ・ソードで数体の天使をまとめて屠り。

 続く斬撃、とりわけ大型の一体を真っ向から両断し。

 距離を取って逃げようとする天使に向かって投げつけた剣でその背を貫き、隙を狙って寄ってきた敵をオーラ・ショットで蹴散らしてから、剣の刺さった敵をワイヤー付ショット・クローで引き寄せ、剣を取り戻してから首を刈ってトドメを刺す。

 

『随分といい調子じゃないか、ダンバインニキ』

『おいおい今はもうネキだぜ。シキガミ改造入れたからな!』

『操縦のためにそこまでやるかね!?』

『うるせえロボは正義なんだよ』

 

 コクピットの中に座するのは黒髪の少女。見た目だけなら華奢で儚げな容姿だが、操縦能力に特化したシキガミパーツ改造の結果であり、中身は元々男性────通称『ダンバインニキ』、ロボ部魚沼工場に所属する技術者黒札の一人。

 

『マスター、5時の方向、キングゲイナーが来るよ』

『了解、空間を開けておく』

 

 ダンバインの操縦席の隣に滞空するのは、背に鮮やかな揚羽蝶の翅を広げた身の丈数㎝の妖精のごとき少女────彼のシキガミである『エタニティラルバ』が警告の声を上げる。操縦補佐────サポート能力と幾許かの予知能力に特化した嫁シキガミの声に疑問一つ抱かずに、彼はダンバインの機体を横滑りさせるようにその位置をずらし。

 

 開いた空間に滑り込むように飛来した白蒼の機体。青空の中に浮かぶ鮮やかな入道雲のような白、そんな色合いの機体『キングゲイナー』は、コンパクトに振るわれた複合銃剣『チェンガン』の切っ先を、怪鳥音を上げダンバイン目掛けて急降下してきた巨大天使の大剣、全長数十メートルもあるその刀身に沿って滑らせる。

 豪華な装飾が施された大剣は、その構造を保つ事もできず自壊していく。その刀身の一際大きい亀裂を潜り抜け、ダンバインの一刀【ハイパーオーラ斬り】が巨大天使の胸元を深々と斬り裂いた。

 

『ナイスアシストだ、ゲイナーニキ!』

『当然だぜ! このまま薙ぎ払うけど、問題ないよな?』

『OK、派手なの頼むぜ!』

 

 機体周囲に虹色に輝く無数の光輪を波紋のように躍らせて飛翔する独自の飛行システム『フォトンマットリング』。領域展開の応用により周囲に簡易異界を展開し、異界法則を操作する事で重力偏差を生み出して飛翔する。その性質上、マギジェットスラスタよりも瞬間的な加速力は劣るものの、慣性に囚われず自在に飛ぶ事ができ、また空気抵抗や重力など外部環境の干渉も受けず常に安定した飛行が可能。

 

 それに、何より。

 

『行くぞ金剛、【真・女王艦隊】限定展開────!』

『了解、システムフルドライブ! 異界法則『オーバーフリーズ』展開開始!!』

 

 キングゲイナーの背部から膨大な凍気が溢れ出し、それに伴って巨大な氷のブロックが構築され、互いに結合し、次いで鉄色に染め上げながら構築されていくのは戦艦『金剛』を象った艤装。球体型の回転砲塔四基がライフリングの施された砲身を周囲に巡らせ、防盾となる黒赤に塗装された装甲板が左右に展開。

 ゲイナーニキのシキガミ『金剛』を核として発動する術式【真・女王艦隊】、本来は複数の術者を集めて巨大な艦そのものを構築する大規模術式ながら、その規模を限定する事によりキングゲイナー単体での展開を可能とする。

 

『呪殺砲弾装填────撃てぇ【刹那五月雨撃ち】ぃ!!』

 

 二連装の砲塔が四基、合わせて八門の砲座が一斉に放火を放つ。実物の戦艦と比べれば遥かに小型の砲塔ではあるが、しかしその威力と射程は完全再現済み、大半の天使にとって猛毒となる呪殺属性弾を装填し、高火力の砲撃を乱れ撃ちして、群がる天使を焼き払っていく。

 通常時には機動力を生かした高速戦闘を得意とする軽量機だが、状況に応じて戦艦並みの火力と装甲を持つ重砲撃機へと転換できるのが、キングゲイナーの強みだ。

 

 

 その頭上から落下するように降り注ぐ音圧、耳を引き毟るかのごときエレキギターの狂鳴音と共に飛来するのは鮮紅に塗装された戦闘機『ファイアーバルキリー』。複雑に、しかし迅速にほぼ一瞬での変形を終え、人型形態バトロイドへと機体構造を組み替える。

 内蔵COMPによってロボサイズに拡大召喚された武器型シキガミ『スクリーミング・バンシー』を大型のミサイルコンテナに変形させ、大量のミサイルを撃ち放つ。

 

『バサラニキのヤツ、ビジュアルが熱気バサラのくせに平然とミサイルなんて撃ちやがって……!』

『勝てばいいんだよ勝てばァ!』

『っ、野郎ォ……!』

 

 動けばいい派にも許せない事があるとばかりに忌々しげなダンバインニキを他所に、ファイアーバルキリーのパイロットであるバサラニキは機体のコントローラーであり武器でもありCOMPも兼ねた多機能エレキギターを掻き鳴らすと、機体周囲に新たな機体を召喚────空戦型の『デモノイド ブレンパワード』、その数、四体。

 

『ハッハー! 佐渡支部から買い込んだブレンパワードだ! シャロン、コイツらの制御は任せたぜ!』

『了解、マスター』

『クソッ、このままじゃMVPを持ってかれちまう……あの野郎にだけは負けられねえ! ゲイナーニキ、どうにかしてバサラニキよりスコアを稼ぐぞ!』

『ああ、仕方ないな、背中は任せろ!』

 

 バサラニキは電脳シキガミ『シャロン・アップル』にブレンパワード達の制御を任せ、自身はファイアーバルキリーを駆り、ブレンパワードと編隊を組んでミサイルを乱射。その後を追い掛けるように、ダンバインとキングゲイナーも敵陣深くへと斬り込んでいく。

 

『金剛、一斉射撃だ!』

『こっちも、ハモニカ砲展開! 19連装フレイ・ボムを食らえ!』

『甘い! ブレンパワード全機、ミサイル一斉射!』

 

 乱戦────徹底的な火力戦が始まっていた。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

『……これは、悪夢なのでしょうか?』

 

 狂人が描いたヒマワリのような巨大悪魔が、何か言っていた。翼と眼球、痩せ衰えた枯木のような手足、天使の死体をパーツとして繋ぎ合わせて花の形を作れば、こんな風になるのだろう、悪趣味な芸術家が悪夢に出てくる怪物を描いたような異形。

 その視線が、俺達を横切った。ミカ、アズサちゃん、アリウスの子達、コハル義姉さん、一人一人を認識し、花弁のような顔面の翼にびっしりと貼り付いた無数の眼球に、怒りを表す毒々しい赤い眼光が点る。

 

 アルケーガンダムが振り下ろしたGNバスターソードの刀身、大きく振り回された巨大悪魔の腕に弾かれるが、それによって開いた隙間にミサキのランチャーから射出されたロケット弾が突き刺さり、抉り込むように下顎で爆ぜる。

 苛立ち混じりの唸りを上げた花弁中心からの熱光線を避けてアルケーガンダムは空に舞い上がって回避、そこにアサルトライフルを抱えたサオリの銃撃が注意を引いた瞬間、横合いから突貫してきたダチョウ車に足を跳ね上げられて盛大に転倒。

 

『大天使……ラグエルの器として作られながら人間の意識が消えなかった失敗作。肉の器を持つ天使として製造されたのにヒトとして出来上がってしまった不完全体。天使の因子を組み込んで尚、反抗の意志を見せた出来損ない。完璧な兵士を育て上げるため丁寧に教育プランを組んでやったにも関わらず一向に成長を見せず、挙句人間としての意志を保ち続けた落伍者達もいましたね!────よもや、揃いも揃ってこの決戦の、このタイミングで、私の前に立ちはだかるなどと……!! ああ、嗚呼!!』

『何だ何だァ、さっきから聞いていればお前さん、アンタの人生失敗続きじゃねえの。一遍最初っから考え直してみちゃアどうだい?』

『おのレェエエエエエエエ!! アリー・アル・サーシェスゥウウウウウウウウ!!』

 

 サーシェスニキの煽りに巨大悪魔は体を起こしながら悔しげに身を震わせ、ついでとばかりにその背中にダチョウ車の屋根に乗ったアズサちゃんとイズナちゃんが盛大に撃ち込んでいった銃弾と魔法が被害を増やし、思わず伸ばした巨大悪魔の手を掻い潜ったダチョウ車は、二人を乗せて走り去っていく。

 なるほど巨大悪魔の言う通り、関係者一同揃い踏みだ。何がどうしてこんな状況になっているのか、アリウスの子達やコハル義姉さんはともかく、何でアズサちゃんがここに来ているのかとかその辺、俺にもさっぱり分からないが。

 

「ミカ、あのデカブツ、知り合いか?」

「ううん全然、どうでもいい人。それでもって、これからも何一つ関係なくなる人じゃんね」

「そうか」

 

 何をどうしても関係のある相手なんだろうが、その上でその容赦のない切り捨て方に、思わず笑いが漏れる。あの巨大天使らしき悪魔はまだ何かを呟いていて、それはミカの過去にも大きく関係のある事なのだろうが、しかし今さら意味のない話だ。

 過去は決して消えないし、過去がどうでもいいなんて事は決してないが、それでも今は、もっと重要な事がある。具体的には、明日の生活とか、将来産まれてくる子供のために貯金の積み立てとか、農場の拡張とか、そういうの。信仰だの正義だの何一つ関係ない、普通の人としての当たり前の営みが。

 

 だから、まあ。

 

「行こうか」

「そうだね、私達も」

 

 鋤を振り上げ、振り下ろす。【怪力乱神】の追撃に繰り出す【マハマグダイン】の地形操作、俺の地変魔法は直接攻撃にはそこまで向かないが、その分大地を耕す事だけは大得意だ。大量の土砂に巻き込まれて崩落した地面へと落ちていく巨大悪魔の脳天に、ミカの呼び出した【アステロイドボム】が直撃し、巨大悪魔を深々と地面の奥へと叩き込んだ。

 直後、崩落した地面が盛大に爆発し、中から伸び上がるように巨大悪魔が上体を起こす。

 

「さすがにあれだけじゃ倒し切れないか。思ったよりは頑丈だけど……」

「ギミックがあるみたい。向こうにたくさん飛んでる天使達がダメージ吸っちゃうみたいで」

「それでか」

 

 ミカが背後を指さすと、そちらにはうんざりする程飛び回っている天使の大群が、ロボ部のスパロボ軍団相手に大立ち回りを演じているところだ。あれを全部倒すまでダメージが通らない……が、あの物量は捌き切れない。ロボ部の頑張りに期待するしかない。

 そんな事実に、コハル義姉さんが苛立ちの声を上げる。

 

「何よそれ、卑怯じゃないの!」

「大丈夫。秘策があるんだよ……考えたのはサオリだけどね」

 

 いたずらっぽく笑うミカに手を引かれて、巨大悪魔が乱暴に振り回した【メガクロー】の攻撃範囲から離脱する。コハル義姉さんも慣れないフライングアーマーを上手く使って避けてくれたようだ。

 大技を外した巨大悪魔は、苛立ち混じりの唸り声を漏らし、理性を捨てたように枯木のような長い腕を振り回した。幸いにも武神や戦神のような武に長けた権能は持っていないようだ、攻撃に精度や技術が伴っていない。なら、ギミックさえなければ比較的やりやすい相手だ。

 

 もっとも。

 

 花弁のような顔の翼に点々と生えている眼球から一斉照射されるレーザーとか、全弾回避するのは難しく。

 

「はい【大地の壁】」

 

 踏み込んだ脚を基点に岩石の壁を形成、そこに鋤を突き込んで壁を硬化し、それを盾に攻撃を凌いでみせる。その壁は数秒で穴だらけになっては、突っ込んできた巨大悪魔の【メガクロー】で潰されるが、そんな頃には俺もミカも既にそこにはいない。

 かえって、こちらに気を取られてミサキの飛ばしてくるロケット弾のいい的になるだけの話。

 

『何故です! 何故従わない! 取るに足らない人間が何をしようと何一つ変わらないのに! 人間性や意志などという余計なものを保ち続け、秩序の構築を妨害するのです!? 全ての人間は不要な意志も欲望も持たず、完全なる秩序の中で、私達に搾取される存在であればいい!!!!』

「────黙れ」

 

 つい、手が滑った。

 

 投擲した鋤が怒号にも似た爆音を上げて、巨大悪魔の顔面に直撃する。

 

「完全なる秩序? 搾取されるだけの世界? そんな何の意味もないもののためにミカ達に最低な真似をしたんだな、アンタは」

 

 ダメージは配下に押し付けられるにしても、衝撃は逃がせないのだろう、首を大きく仰け反らせ、その隙に胴体中央にミサキの砲弾が直撃する。

 憤怒の声を漏らした巨大悪魔が反撃に発動させようとした【マハラギダイン】はサーシェスニキの斬撃で両断され、左右に無意味な爆炎を散らすだけに終わり、弾けて消える。

 

「なぜも何も、興味ないし。貴方に意味の分からないお膳立てをしてもらわなくたって、私達は幸せに生きている。普通に必要ないじゃんね。……もう私達はね、貴方なんて怖くないの」

 

 迷いのないミカの言葉に、少しだけ気が晴れた。

 

 ……よくよく考えれば俺がキレる事でも、俺がキレていい事もないな、これ。第一にその権利を持っているのはミカ達で、その彼女達が何か言う前に、俺が勝手に腹を立てていい事じゃない。

 俺はあくまで一介の農民だ。正義のヒーローでも何でもない。だから、俺のやるべき事は、ただ一つ。

 

「悪いけど……一欠片も悪いとか思ってないけど、ここには家族がいて、俺達の住む場所があるんだ。だからまあ、不法侵入者には消えてもらうよ」

 

 せいぜい、神様にでも祈っとけ。気前のいい神様であるのなら、地獄にでも適当な席を用意してくれるだろうよ。

 

『ああ! ああ! あァアアアアアアア!! これだから愚者は、何の価値もない人としての生活などに固執する! 信仰を、道徳を、真理を、叡智を、あるべき秩序をあるべきように────』

「ああ、そういうの、もういいから。せめて黙っとけ」

 

 巨大悪魔が発動した【招来の舞踏】は、仲魔全体の蘇生と召喚を一手に行う事ができる強力なスキルだ。それをこの状況で発動すれば、ロボ部が倒してきた天使共が復活して、そして巨大悪魔の残機も回復される。そんな事を延々と繰り返すゾンビ戦法は、確かにこれ以上ない程に有効な不死身のギミックだ。

 

 だが。

 

『おぅい、そろそろいいんじゃないか? お嬢ちゃんのロケランも、もう10発は当てただろ!』

「だって、ミサキ。そこのところ、どうなの?」

「確かにそうだね、そろそろ、いいんじゃない?」

 

 動揺一つ表さない少女達に巨大悪魔は憤りの声を上げるが、今さらその程度で怯えるような無力な子供でもない。怒りのままに放射される【ピュリプレゲトン】も、何の工夫もなければ当たらない。

 

「じゃ、始めよっか。サオリ、準備はいい?」

「ああ。もうドライバーの冷却も問題ない。いつでも行けるさ」

 

 それぞれが手にしたフルボトルを投げて交換し、自分のビルドドライバーへと装填する。

 

「「変身────!!」」

「あ、それイズナも(ちち)上から同じの借りて持ってきたのです! 変身!」

 

〔RABBIT! DIAMOND! ────Are you Ready!?〕

〔GORILLA! TANK! ────Are you Ready!?〕

〔NINJA! COMIC! ────BESTMATCH!!〕

 

 蒸気を噴き出すドライバーから前後にランナーが展開し、圧縮マグネタイトにより装甲を形成。ランナーが閉じると共に二色の強化外骨格が形成される。

 

 常のタンクサイドをダイヤモンドに換装し、ラビットの運動性とダイヤモンドの結晶化能力を併せ持つサオリのラビットダイヤモンドフォーム。

 同じくダイヤモンドをタンクへと換装した、ゴリラの膂力と戦車の装甲を併せ持つミカのゴリラタンクフォーム。

 

〔忍びのエンターテイナー────ニンニンコミック!! イェーイ!!〕

 

 そしてもう一人、イズナちゃんが取り出したビルドドライバーで変身したベストマッチは、変幻自在の忍術と、同じく万能自在の絵画実体化能力を持つニンニンコミックフォーム────紫と黄で警戒色に揃えたカラーリングが鮮やかな、宮城で開発されたベストマッチ形態か。

 

『姿が変わったくらいで────!』

『いや、これが意外とどうにかなるのさ、こういう風になァ!!』

『っ、おのれサーシェス!?』

 

 頭上を取ったアルケーガンダムから射出されるスラッシュハーケン、呉製のナイトメアフレームで武器に移動にと多用される兵装は、巨大悪魔の表皮へとアンカーの先端を突き立て、そのまま強化ワイヤーにより敵を拘束する。

 暴れる巨大悪魔に向かってミサキのロケットランチャーが再び直撃し爆炎を散らす中、俺が鋤を振り上げて地面に突き立てて【マハマグダイン】を発動すれば、地面から無数の岩塊が爆ぜ飛んで空中に浮かび上がり、それを足場にしてサオリとイズナちゃんが空中を駆け抜ける。

 

「森田殿直伝────イズナ忍法【変移抜刀霞斬り】なのです! ニンニン!」

『ええい、ことごとくこの私を虚仮にして……ッ!』

 

 怒り狂った巨大悪魔が放射する【ピュリプレゲトン】の熱光線は、アツコがタイミングよく投げた『魔返鏡』で反射されて敵自身を焼き、アズサちゃんが跳弾で敵の全身に銃弾を撃ち込み、イズナちゃんのニンニンコミックが分身を生み出しながら周囲を撹乱する中、敵の迎撃を掻い潜って肉薄したサオリが、最後に岩塊を蹴って綺麗なムーンサルトを描く。

 

〔Ready GO! ──── Vor-TEC ATTACK!!〕

 

 ウサギの脚力で撃ち出されたドロップキックが巨大悪魔の顔面中央へと直撃し、そこを起点に波紋のように広がっていくのはダイヤモンドの結晶化だ。枯木のような巨大な悪魔の全身が、複雑に光を反射する透き通ったダイヤの輝きに覆われていく。

 

『なっ……何だ、これは!?』

『何だって、そりゃ状態異常だよ。婆さん、アンタ、お嬢ちゃんの撃ったロケラン、ダメージ入らないと思って無防備に喰らってただろ? あれ、ノロイ酒入りの特殊弾なんだぜ』

 

 ノロイ酒。

 

 魚沼特産のキクリ米を発酵醸造して生み出された酒は、攻撃用アイテムとして使用される特産品の危険物だ。状態異常への耐性を低下させるデバフが籠ったそれは、非覚醒者が触れれば毒や病、呪いなどに対する抵抗力が著しく低下する────それこそエイズウィルスにも近似した免疫異常すら引き起こす危険物であり、悪魔相手に単体では無意味だが、危険な状態異常など数多い。

 それを発火燃料やテルミットと混合して生成した特別製のナパーム弾は、悪魔とて一度浴びれば継続して発火炎上を持続させ、確実に死に至らしめる凶悪な砲弾であるが────それよりも今回は、敵の状態異常を低下させるために使われた。

 

「ノロイ酒を繰り返し浴びたんだ、状態異常耐性は当然、限界まで下がっている。その状態でダイヤモンドの結晶化を受ければ、もう動けないだろ」

 

 【騎士の精神】────主人が受けたダメージを己に転移させ身代わりとなるスキル。このスキルを持たせた天使を無限召喚し、それを生贄にしてダメージを防ぐのが巨大悪魔の不死のカラクリだ。

 だが同じスキルでも効果は千差万別、例えば同じ【騎士の精神】でも低級のものであればダメージしか転移できないが、強力な使い手なら状態異常や弱体、あるいは疲労や精神的なストレスなど状態異常とすら分類されない目に見えないバッドコンディションすら引き受けてしまう事もある。

 しかし巨大悪魔が呼び出した下級天使は物量こそあれ、一体一体にそこまでの力はなく、したがって発動する【騎士の精神】も、ダメージ以外を引き受けられるような特殊性を持たない。状態異常であれば、通る。

 

「後は、ロボ部の人達が天使の狩りを終えるのを待つだけ、か」

『それもそろそろみたいだぜ。ほら、見てみな』

 

 サーシェスニキが指差す先を見てみると、高笑いするシンジニキのエヴァ初号機がもはや残り少なくなった巨大天使を空中に放り上げ、汚い花火に変えているところだった。既に戦闘は乱戦から散発的な掃討戦へと変わっており、逃げ回る残敵を一体一体始末している模様。

 そうこうしている内に最後の天使が汚い花火と化し、並んだロボ部の機体群から勝鬨の声が上がる。

 

「じゃ、ミカ。トドメは任せたよ」

「うん、終わらせてくるね」

 

 ミカに先行してヒヨリが、結晶化した巨大悪魔の構造上の弱点、ただ一点を狙い撃つ。身体のサイズに見合わない大型の対物ライフルの銃口から放たれた巨大な銃弾が、予知を司るペルソナ『シオツチオジ』の示す脆弱な一点を確実に撃ち抜いて、小さな罅割れを刻んだ。

 

「そら、行ってこい!」

 

 ミカの足元に【大地の壁】を生成し、道を作り出す。まっすぐに伸びていく土砂塊で作られた坂道の上を一歩、二歩と踏んで走り、ミカはビルドドライバーのクランクハンドルを回して、そして【大地の壁】の上をさらに強く蹴って踏み込んだ。

 

〔Ready GO! ──── Vor-TEC ATTACK!!〕

 

 足元から生成されるグラフ状のレールの上をタンクのキャタピラで滑走し、戦車の装甲質量を乗せた巨大な拳を振り上げる。その狙いは、数瞬前にヒヨリが穿った結晶上の一点。全身それそのものが巨大なハンマーにも等しい強烈な打撃が、もはやダメージを押し付ける先すら失った巨大悪魔の胸部中央を抉るように殴り抜ける。

 

「貴方のために、祈るね」

 

 衝撃が、巨大悪魔の胸元から背中までを撃ち貫いていった。それに一拍遅れて、無数の亀裂が全身に走る。結晶化した全身が白く染まったように見えるほど細かく罅割れた全身が、その罅を基点に崩れ落ち、爆ぜるようにして弾け飛んだ。

 

 そうして。

 

 魚沼を騒がせた巨大悪魔は、脆いガラスのように粉微塵に砕け散り、しばらくの間ダイヤモンドの雨を降らせたのだった。

 

 

 

 




 最近、カオ転界隈が新幹線ネタで盛り上がってる今日この頃。

 終末後だと解禁されるターミナル技術との競合が厳しい気がするんよね。列車輸送がターミナルより秀でている点って何だろう?

 浪漫?



~割とどうでもいい設定集~



・下江コハル
 名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
 エ駄死。
 メシア教会過激派から脱走した最初期型の天使人間という、仮面ライダー1号のごとき経歴の持ち主。
 大天使ラグエルの力を宿しており、エロゲ仕様の宗教組織である過激派メシアンに対して天使特攻かつ姦淫特攻という実によく刺さる能力を持つ。

 ミカの姉ともいえる存在であるため、北条悟志からは義姉さんと呼ばれる。
 ベアトリーチェは天使の力を使えなかった事よりも、人間の意志をほぼ完全に残している事を重視して失敗作として扱っていた。

・ガンペリー
 元ネタは『ガンダム』シリーズ。宇宙世紀の大型輸送機。
 呉支部開発の大型輸送機。三機のローターで機体を浮かせ、四機のジェットエンジンで加速して飛行する垂直離着陸機。
 飛行速度は航空機としてはそこそこながら、ペイロードがとにかく大きい事が最大の特徴。コンテナはナイトメアフレームを基準としているが、その気になればいくらでも改修できる。
 電子戦能力強化型の『ガンペリー・シギント』も存在しており、それ自体が移動式の大型司令部兼輸送機として活動できる空飛ぶ母艦となる。

・ヤンニキ&ラインハルトニキ
 Lilyala様『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』より。
 銀英伝の主役級のビジュアルの持ち主で、実際に銀英伝で主役を張れるだけの才能を持つ戦術の天才共だが、中身は俺ら。もしかすると本物のヤンとも仲良くなれる……かもしれない。
 新潟ロボ部所属だが、実際にどの辺の仕事をしているのかは不明。多分、能力的に考えて戦術データリンクとかその辺の開発をやっているんじゃなかろうか。

・フライングアーマー
 名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
 飛行用の個人携行装備。
 ちょっと大きなサーフボードとかその辺のサイズなので、壷中天とかその辺の携帯型の運搬手段があれば割と便利に使えるかも。もしくは強度を高めて盾と兼用にするとか。
 空を飛べる天使が主戦力のメシアンとの戦争のためには、飛行手段の開発が急務。乗用になる飛行型悪魔と契約するとか、すっぱり諦めて対空手段を用意するだけに留めるとか他の選択肢は色々あるが、とりあえず無駄にはならないはず。
 なお、二人乗りは多分危ないので真似しないようにしましょう。

・マイトガイン
 元ネタは『勇者特急マイトガイン』。
 列車ニキこと旋風寺舞人が搭乗する巨大ロボ。
 大型支援列車『ロコモライザー』に、ロボ型シキガミ『ガイン』とデモニカ戦闘機『マイトウイング』が合体する事で完成する。
 動輪剣を用いた近接戦を得意とする由緒正しいスーパー系勇者ロボ。必殺技は【動輪剣・横一文字斬り】並びに【動輪剣・縦一文字斬り】。

・ゾナウギア
 タマヤ与太郎様『【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策』より。
 リンクニキが開発した代物。
 簡単な仕組みで動く複数のアイテム群を術式接着剤『ウルトラボンド』で接着・接続する事で色々なものを組み上げる事ができる。

 ロボ部の手により魔改造された結果、ゾイドブロックスやヘキサギアを再現するパーツが大量生産されている。
 もちろん、色々と混ぜて遊んでいたりする。

・スティーブニキ
 ビジュアルは『Minecraft』。
 妙にカクカクした見た目のロボ部黒札。実際にはゴッドモザイク術式のちょっとした応用でこの見た目になっているだけで、モザイクを剥ぐと割と普通の見た目になる。
 工業Modを導入している感じの俺ら。専門は材料工学と生産技術で、建築も得意。何かと工場を作りたがる。
 工場を作っては何かと量産したがるタイプだが、量産して大衆に行き渡らせる事に意味を感じているとか特にそういう事はなく、とにかくたくさん作って並べるのが好き。

・シンジニキ
 Lilyala様『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』より。
 碇シンジそっくりなロボ部員黒札。同じく魚沼に所属している現地民異能者の法龍院シンジとは完全な別人。
 性欲を持て余したリツコに襲われるエロ同人を見て性癖を歪ませた結果、シキガミをリツコにしてしまった挙句、それを大勢の前で暴露された。
 シキガミがリツコなので、多分シキガミが開発担当でシンジニキ本人はテストパイロットを務めているとか、そんな役割分担だと思われる。

・甲羅沢パトリック
 元ネタは『ガンダム00』。エリートで2000回で模擬戦の人。ガンダム00はコーラサワーに始まり、コーラサワーに終わる。実際、原作二部はコーラサワーの幸せな結婚式で幕を閉じた。
 ロボ部にてテストパイロットを務める黒札。
 シキガミは『カティ』。マネキン大尉、もしくは准将。
 どう考えても競争率激高なテストパイロットの地位に就いている時点で、その操縦技術は非常に高い。
 ただし真の選考理由は「どんな無茶なテストでも普通に生還してきそう」。実際、非常にハイレベルな運命力が生存方向に特化した形で備わっており、もはや笑いの神に愛されているレベル。
 異能者としては【食いしばり】【不屈の闘志】【生還トリック】と全属性の【○○サバイバ】を習得している残機型の生存特化であり、某ヘラクレス並みに死なない。
 また当人に魔法の資質はないものの、全種類サバイバのおかげで全種類の属性に補正が入るため、大半の属性武装をバランスよく扱える。

・ダンバインニキ
 名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
 ダンバインに乗るロボ部員。ロボ部空戦機体三羽烏の一人で、呉のダンバインとダンバイン対決を行った事もあり、多分モブロボ部員の中では一番出番が多い。

 出ている設定が少ないので、こちらで勝手に設定を山盛り盛ったニキ。

(以下盛った設定)
 TSシキガミ手術でビジュアルと性別が変わっており、とりあえず見た目は『蒼穹のファフナー』の羽佐間翔子。
 見た目からしてすぐ死にそうに見えるのだが、なまじっかダンバインに乗っているせいで性質がスパロボの方の聖戦士ショウ・コハ・ザマに寄っており、当人は気付いていないものの運命力がスパロボ補正に偏っているため、基本的に死なない、というか死に掛けてもスパロボ補正で勝手に生存フラグが立つ。
 何ならスパロボ展開を起こし、運命的に死亡が確定した他人の死亡フラグを打ち消して生存フラグにすり替えるまでやってのける。

 異能者としては剣撃系の物理戦闘型で、何なら生身で【ハイパーオーラ斬り】も出せる。
 技術者としては直接的な属性転換を用いたマギジェットスラスタなどのオカルト推進機関を用いた推進技術が専門分野。
 また必要な技術が近しい霊子加速砲などの兵装開発にも携わっている。

 シキガミ(ミ・フェラリオ)は『エタニティラルバ』。予知なども可能なサポート・サブパイロット特化型で、直接戦闘はやや苦手。

・ゲイナーニキ
 名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
 キングゲイナーに乗るロボ部員。ロボ部空戦機体三羽烏の一人。

 ダンバインニキと同じく、こちらで勝手に設定を盛らせてもらったニキ。

(以下盛った設定)
 異能者としては近接物理系と魔法系の両方をバランスよく使える上に、火炎・氷結・重力の三属性をバランスよく扱えるレパートリーが非常に広いタイプ。
 技術者としての専門分野は飛行用の重力魔術発生装置と、異界構築を基盤とした空間制御であり、そこから派生した呉系統の環境テクスチャ貼り付けや、それを利用した空力制御などもカバーしている分野の一つ。
 この辺を利用して、簡易異界展開による重力偏差式飛行システム『フォトンマットリング』を完成させ、キングゲイナーに搭載している。

 シキガミは『艦これ』の金剛。Lilyala様『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』にて登場した、一体だけデース語のエセ外人口調を使わず標準語で話す金剛。
 銃撃系スキルで戦う戦闘型のスキル構成であり、ロボに乗っていない状態での主人の護衛を主眼に作られている。
 サブパイロットとして機体に搭乗する際には術式【真・女王艦隊】の限定展開にて艤装を作り出し、砲撃形態での兵装コントロールを役割とする。

・バサラニキ
 名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
 バルキリーに乗ったロボ部員。ロボ部空戦機体三羽烏の一人。
 『第七十九話 【ロボ対戦】第1回ロボ対戦スレ【何といい言葉か――!】Part.1』にて、呉支部から購入した技術検証用のバルキリーを私物化してロボ模擬戦大会に参戦するものの袋叩きに遭い、魚沼製の飛行機体にほぼ標準装備されていた重力魔術発生装置のせいであっさり敗北した。

 同じくこちらで勝手に設定を盛らせてもらったニキ。

(以下盛った設定)
 ビジュアルは『マクロス』シリーズより熱気バサラ。
 バルキリーに乗りたいがためにロボ部に入ったロボ好きの一人。
 熱気バサラの見た目をして『ファイアーバルキリー』に乗っている癖に平気でミサイルを乱射するロマンクラッシャー。

 異能者としては素質は音楽系。演奏系に関する技術とスキルに関する素質は本当に高いのだが、その辺は戦闘に使うスキル以外はあまり伸ばしていない。
 いわゆる、素質とやりたい方向性があまり一致していない系のニキ。
 技術者としての専門は技術解析。呉のバルキリーや佐渡のブレンパワードなどを独自解析し、使用技術を魚沼ロボ部にフィードバックしている。

 シキガミは武器型の『スクリーミング・バンシー』と電脳シキガミ『シャロン・アップル』。
 スクリーミング・バンシーの元ネタは『吸血殲鬼ヴェドゴニア』。基本形態はギターにアサルトライフルと銃剣を組み合わせた複合武装で、武器シキガミ特有の可変機能でミサイルランチャーにも変化する。
 シャロン・アップルの元ネタは『マクロス』シリーズ。普段はプログラミング関連のサポートを行い、戦闘時には音楽系スキルのサポート、機体搭乗時にはブレンパワードなどのサブ機体の制御を担当する。

・戒野ミサキのロケットランチャー
 ベースはFIM-92だが、フォルマ弾倉のため弾数無限のサイコガン。ただし弾数回復には相応の時間が掛かるため、基本的にはサブウェポンの拳銃と併用する。
 弾頭は大量の子弾を撒き散らす多弾頭ミサイル。ノロイ酒をベースにした火炎属性のナパーム弾となっており、ノロイ酒による状態異常耐性低下の上から炎上による継続ダメージを与えるもの。
 多少の格上にも有効な他、大群で迫ってくる敵に対して炎で壁を作り出す目的にも使用できるが、使う場所を選ばなければ延焼や巻き込みの危険がある。

 なお、ノロイ酒による状態異常耐性低下はナパームの効果で与える炎上以外に対しても有効。



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