それだけあるなら、星霊神社や星祭神社だって8,000,000社くらいあっても不思議じゃないよね、ヨシ!
◆ ◆ ◆
今日の異界は屋内風味であるらしい。
床や壁、天井までねっとりとしたクリーム色のリノリウムで構成された通路が、複雑に入り組みながら延々と続いている。窓はなく、光源は頭上の蛍光灯のみ……まあ、逃げ場のないダメージギミックとかそっち系がない以上、中層としては比較的良心的な場所だ。
今回のステージギミックといえば頭上に浮かぶ蛍光灯、これが数分ごとに明滅しては赤く染まり、その間の数十秒は月齢が満月扱いで出現悪魔が狂乱し、襲い掛かってくる。のんびりと悪魔会話を楽しんでいたら、目の前の会話相手がいきなりバーサークして襲ってくるとかいうクソギミックであり。
オレサマ、オマエ、マルカジリ! ……などといういつも通りのノリで狂乱して襲い掛かってきた悪魔共。まあ会話とかしなきゃ普通に襲ってくるだけなので、むしろ優しい部類か。
『我は汝、汝は我。我は汝の心の海より出でし者────』
女神パールヴァティ。
龍王ヴリトラ。
邪神ナラギリ。
妖精ナジャ。
国津神コトシロヌシ。
襲い掛かってきた悪魔の群れの中に、無数の斬線が走る。静かな鞘走りの音と共に、銀色の尾を曳いて走る白刃の煌めきが悪魔共の間に走り、寸断された悪魔の残骸がクリーム色の床に散らばる中、涼やかな納刀の音色が響く。
『────“マガツライドウ”の名の下に、善も無く、悪も無く、法も混沌も等しく変わらず、唯只管に怨敵尽滅あるのみ』
俺の背中で名乗りを上げたペルソナ『調整・マガツライドウ』は、顕現したと同時に一匹残さず敵を斬殺し、納刀と同時に姿を消した。ただ現れて、殺す────普段通り、静かで無駄のない……無さ過ぎる、あまりに無機質で機械的な戦闘行動。
……それはいいんだが。
うん。
それは、いいんだが。
いいんだが。
『マガツライドウ』って何ぞ!?
いやまあ、葛葉ライドウの名に、マガツイザナギみたいに頭にマガツを冠した……まあライドウの悪役2Pキャラみたいな位置付けって事は分かるんよ。
でもまあ、それはそれとして。
うん。
確かに頭に制帽は被ってる。
刀も持ってる。
衣装も黒い。
そういう意味では、まあ非常にライドウらしいっちゃ、らしいのだが。
────何でビジュアルがチェンソーマンの『サムライソード』なんですかね!?
まあ、割と今更な話ではある。
今更なので、溜息一つで諦めが着く程度の達観には辿り着いている。
だから、まあ。
「サムライソード……チェンソーマン内での扱いは微妙だったけど、ビジュアルは格好いいよね!」
なんて事を言っている内に、少し離れた曲がり角の向こうから新たな悪魔が湧いてきている。狂気を引き起こす原因、頭上に光る蛍光灯の明滅は既に止まっているが狂化の様相に変わりなく、どれもこれも目を血走らせ、口の端から涎を垂れ流す狂乱の体でこちらへと向かってくるが。
「あーあ、駄目だな、ありゃぁ。間違いなく会話にならない。よし、たまにはチートスキルに頼らずに、普通に戦いますかね」
背後に浮かぶ我がペルソナ『マガツライドウ』が光一つ存在しない真っ暗闇しか見えないその口腔を大きく開けば、その奥から吐き出されてくるようにペルソナの内界から抜き放たれるのは一振りの日本刀。特徴的な飾りなど何一つ存在しない剣の柄を右手一本で握り。
胸元のタクティカルポーチから抜き出した六角形の金属プレート『核鉄』を左手で握り込めば、展開した核鉄から吐き出された無数の金属部品が噛み合い、組み合わさって一振りの小太刀を作り上げる。
右手────斬魄刀『鞘伏』。所有者の生体マグネタイトを吸い上げ、魂を同調させる事で外付けの器として機能する、デモニカとは似て非なる覚醒者用デモニカデバイス“斬魄刀”、その一振。
左手────忍者刀の武装錬金『シークレットトレイル』。展開型デモニカの技術を利用した展開型霊装、その一台。
前方に踏み出し、左手の小太刀シークレットトレイルを前方へと突き出せば、俺の体はそのまま足元、自らの影の中へと沈み込むように姿を消す────その絡繰りは特殊転移術式【飛雷神の術】。刀身を介したマーキングを行い、マークした地点のみに対象を限定する事により転移術式の高速化を実現している。
これに加えて刀身とリンクした専用の異界を作り上げ、その内側へと転移を行う事により、疑似的な次元潜行を再現したのが小太刀の武装錬金シークレットトレイルだ。
その力で一瞬だけその場から姿を消して攻撃を回避、即座にその場に姿を現して右手の鞘伏を一振り。刀身に貼り付けたイワナガ流の呪符を消費し、衝撃属性魔法を付与しての斬撃飛ばし。カマイタチのように射出された斬撃は死神の鎌にも似て三日月形を描いて一直線に飛び、そんな単調な攻撃は当たらぬとばかりに紙一重で回避しようとした凶鳥ネヴァンは。
「残念、そいつはブラフなんよ」
飛ばした斬撃そのものに【飛雷神の術】のマーカーを仕込み、敵が回避した瞬間に至近距離へと転移しての斬撃。鞘伏の特殊能力は────とにかくクソほどよく斬れる、その一点。【物理貫通】が着いているのは当然として、それだけでなく物理強度を無視してヌッと切断できる。
それは悪魔の肉体だろうが例外ではなく、ネヴァンの首も融け掛けのバターのように手応えなく切り落とされ、床に転がってはマグネタイトに溶けて消滅していく。
「首、胴、心臓、とにかくどこでもいいからバッサリやれば、事実上の即死攻撃。ハマやムドよりこっちのが便利だよなー」
超便利。
味方を殺され怒りの声を上げるハリネズミのごとき妖獣チャグリン、その針が生え揃った背中からマシンガンのように掃射される【九十九針】の射撃を、左手のシークレットトレイルによる転移で回避しつつ、高速の踏み込みに転移を絡めて一瞬で間合いを詰める。
剣術教室の富岡さんが得意とする水の呼吸・参ノ型“流流舞い”。
スケベ部のミナミィネキが扱う“痴漢の極意”。
霊山同盟の仮面ライダーが扱う“鮭飛びの術”。
『登仙術技書』から習得した【圏境】と【神足通】。
ハードコースの幻魔クラマテングの教え子が使う、魔法を踏んで足場とする技法。
敵の呼吸を読み取りながら多重に組み合わせた技巧を展開し、蛇が這いずるような軌跡を曳いて近接する。濃密な弾幕の中に存在する僅かな隙間を縫うように、敵手を間合いに捉えるのは一瞬だ。
チャグリンの背中を鞘伏で刺し貫き、その刀身を軽く持ち上げてやればチャグリンの身体も自重で左右に分割され、二つに分かれて落下する。同時に背後から襲い掛かってくる怪異くちさけは、我がペルソナ『マガツライドウ』の斬撃が処分した。
「んー、これで今日の目標金額は達成したかな……っと、よし、ちゃんと達成してるな。フォルマも落ちてる分は全部集めたし、そろそろ帰るかな、っと」
COMPのアプリから倒した悪魔の数のカウントと、それによる予測収入金額が予定額まで届いている事を確認。後は受付にまで持っていく、だけ。COMPの表示を一瞥すると、俺はその場で【トラエスト】を発動してその場を後にする事にした。
◆ ◆ ◆
■岡田五三《Lv.62》
ステータス:速重視バランス型
耐性:氷結耐性・破魔無効
(装備):斬魄刀『鞘伏』、武装錬金『シークレットトレイル』、炎刀・銃、霊装『えろうイケちょるスーツ』、身代わり翡翠、ギリギリブーメラン、COMP(ゴーグル型)
(スキル)
・物理系:修行で習得したスキル。一通りは使える。特に剣撃系については属性系物理含め非常に高いレベルで扱える。
・各種属性魔法系:修行で習得したスキル。どれも適性そこそこ。大半の属性魔法はマハダイン系まで使える。ブフ系はアイスブレスに派生している。
・治癒系:修行で習得したスキル。適性そこそこ。ディア系はメディアラマまでと、状態回復は一通り。
・状態異常系:修行で習得したスキル。基本的なものは一通り使える。
・各種補助系:修行で習得したスキル。基本的なものは一通り使える。
・トラポート:修行で習得したスキル。長距離転移。一度行った場所に転移できる。
(パッシブ)
・ペルソナ使い《調整・マガツライドウ》《魔術師・ショチピリ》《法王・クヌム》《隠者・ゴヴニュ》《悪魔・サタナキア》《星・オリアス》《死神・ハーデス》《戦車・チョウコウメイ》《塔・サイサツシン》
・各種ブースタ:該当する属性ダメージに上昇補正。ブースタ、プロレマ、サバイバ、アタッカ、バッデス、アクセラ等その他同系列のスキルは全属性ほぼ一通り所有。
・二分の活泉:最大HPに補正中。
・二分の魔脈:最大MPに補正中。
・麻痺付与:物理攻撃時、一定確率で麻痺効果を付与。
・睡眠付与:物理攻撃時、一定確率で睡眠効果を付与。
・心眼(偽):超高精度の直感・第六感。基本的には危機回避能力として機能し、さらに盲目状態でも低確率で回避が可能となる。攻撃の機を察知する直感能力としても機能する。
・始末剣:【見覚えの成長】系統の上位スキル。戦闘に直接参加していなくても経験値を獲得する。電子機器越しの観測、あるいは映像資料だけでも有効。また一度目にした、または術理を理解した技能・スキルについては習得率が大幅に向上し、特に剣撃系については見稽古の域にまで到達している。
・撃剣嬌捷なること隼の如し:【剣の心得】系統の上位スキル。異様なレベルの剣才。剣撃系物理攻撃のダメージ量と剣速・攻撃速度を向上させる。また刀剣類の扱いに高い適性を持ち、その技術を本能的に体得できる。
・各種成長ボーナス系:【ローグロウ】【ミドルグロウ】【ハイグロウ】や同系列のスキル群を中心に、戦闘に直接参加していなくても経験値を獲得するグロウ系が主であり、また経験値上昇・技術習得率向上など成長加速の効果も持つ。他、『建体飽食技典』に由来する【魂魄精錬大法】なども含まれる。
・イワナガ流・基礎:呪符を使った術式や呪符作成の方法など、イワナガ流術式の基礎的な部分を習得している。
・万華鏡写輪眼:保有者に魔眼の基礎構造を組み込み、その霊質・霊格に合わせて自己成長させる体質追加術式【写輪眼】が50レベルを越え、概念域の固有能力の獲得に至ったもの。また発現した魔眼を補助装置として【須佐能乎】の発動を可能とする。
(仲魔リスト):地霊ドワーフ、堕天使ハルパス&マルファス、邪龍ファフニール、外道ハイエース、夜魔ラフム
◆ペルソナ《調整・マガツライドウ》
ステータス:速特化物理型
耐性:状態異常・弱体無効
(スキル)
・居合斬:戦闘開始時・ターン開始時、敵単体に物理攻撃。
・後ノ先:敵の行動に反応し、敵の行動よりも先に敵単体に物理攻撃カウンター。敵が死亡または行動不能になった場合には行動キャンセル。
・縮地:トラフーリまたはトラエスト効果。短距離転移。転移後または転移直前に敵単体に物理攻撃。
・因果断チ:敵の行動に反応し、倍のMPを消費する事によってその行動を強制キャンセルする。
・暗夜剣:敵単体に物理属性ダメージ+魔封の物理攻撃。
・霞駆け:敵全体にランダムで物理属性ダメージ+幻惑の物理攻撃。また相手の視線から逸れて高速移動する特殊な歩法として使用可能。
・氷結刃:敵単体に物理・氷結複合属性ダメージ+低確率で凍結の物理攻撃。
・剣魔の眼光:追加行動回数+2、さらに行動ごとに物理攻撃限定の攻撃回数+1。
(パッシブ)
・禍津雷堂:物理貫通。物理攻撃のダメージ・連撃回数が常に最大値、物理攻撃による状態異常が確定で発生する。物理攻撃時、敵のパッシブスキルを無効化する。常時アナライズ効果。
・葛葉の心得:剣術と管を扱う召喚術を使用可能。また悪魔会話時、交渉が決裂した場合、戦闘開始前に敵単体に物理攻撃。
・死神剣術:物理貫通、反撃・踏みとどまり無効化。物理攻撃時、デカジャ・テトラブレイク及び低確率で即死。物理攻撃時に次の連動効果発生「敵単体に剣撃属性ダメージの物理攻撃。連動効果による物理攻撃のダメージは直前の攻撃の120%となる」。
・前転回避:敵の攻撃を受ける際、当たり判定が消失する。
・スピードスター:素早さに関係なくターン最初に行動可能。
・大暗殺者:単体攻撃スキルで敵に与えるダメージに上昇補正。また自身の気配と放出マグネタイトを遮断すると共に存在情報を隠蔽し、隠密性能を向上させる気配遮断が可能となり、先手を取る確率が大幅に上昇する。
・剣速徹し:物理攻撃の際、速能力値に比例して対象の耐性・防御力・パッシブスキルを減算する。
・宗和の心得:攻撃が見切られなくなる。弱体無効。パッシブスキルによる回避率上昇を無効化する。
・帰刃:一時的に他のペルソナを取り込む事で、ステータス・スキル・権能を増強する。
(汎用スキル):索敵、異界探知、異界解析
◆ ◆ ◆
一年前、終末が来た。
当時、東京で普通の大学生をやっていた俺は、そこでペルソナに覚醒し、そしてガイア連合が展開していたペルソナ使い保護用の電脳異界へと回収された。そこで転生者である事が発覚した俺は、晴れてガイア連合に所属する黒札の一人になったのだった。
そうして、各種認知異界と繋がったまま限界まで時間加速された電脳異界の中で異界探索の基礎を学びつつ、それなり程度にレベルを上げた。
ペルソナ以外の初期スキルが【見覚えの成長】だったのでレベル上げそのものは楽だった。何なら“巨大な鬼と戦う仮面ライダーギルス”だの“大天使と戦うホワイト・グリント”だのみたいなガイア連合のライブラリに保存されていた映像資料を見るだけでレベルが上がっていった。
終末が終わり、電脳異界から解放された後は、次は自分が何をやりたいか、色々と模索してみた。
しのぶさんの剣術教室。
旧自衛隊のデモニカ講習。
ホビー部。
図書館探検部。
スケベ部。
技術部。
製造部。
コスプレ部。
ロボ部。
地獄湯の代打ち。
事務課。
術研。
農業部。
医療部。
シキガミ製造班。
TRPG部。
料理部。
修羅勢とかのアレコレは軽く触るくらいで、一度だけ星杖ニキに稽古つけてもらった事もあったな。
その他、色々。
【見覚えの成長】や、その成長後のスキルが役に立った。横で見ているだけでも技術の習得率がぐんと上がるのだ、できる事を増やすにはこれ以上ない程に有効だった。
そうして、やれることを少しずつ増やしながら一年が経って……いや、本当に何をしようか、ってところで。
────ガチャが当たったのだ。
◆ ◆ ◆
その日、俺はガイア連合山梨第一支部の受付に併設されたラウンジで、資料の山を広げていた。
詰み上げられた資料は大机を丸ごと一つ占領しているが、幸いにもこのラウンジそのものの利用率はそこまで高くないようで、周りに迷惑を掛ける心配はなさそうだ。
「えっと……こっちの物件は、と、十勝支部、ウォレスニキの管轄だっけ……ディストピアで評判の……ディストピアはなー、ちょっとなー……」
ファイルを広げて、中に閉じられている資料を一つ一つチェックしている。ガイア連合に所属している以外は特に何の仕事や責務もないフリーの黒札の身だ、時間を掛けても問題ないから、こうしてゆっくりと調査というか資料漁りを続けているのだが。
「で、こっちが……えーと米沢市近郊、鐙沢村……米沢っていうと……ふんふん、山形県ね。あの辺って誰か支部作ってたっけ?」
何とは無しに開いたファイルに載っていた写真に映っていたのは、一軒の神社。半分くらい崩れかけた廃屋が立ち並ぶ廃村の奥に、一軒だけ新品同然の神社が建っている光景は、かなり違和感があるものだ。鳥居に掲げられた社号には掠れて消えかけた文字で『星祭神社』と書かれている。
「うーん……いや、でも支部やシェルターの一つも作るなら、これくらい何もない場所の方が作りやすいのかも?」
何の気もなしにページを捲り、次の物件へと目を向ける。こっちは西日本、呉近郊の灰ヶ峰にある集落跡の神社であるらしい……悪くないな。未来都市と化しつつある呉の便利さを考えても、比較的快適に過ごせそうだし……あー、でも黒札に対しても法律が微妙に厳しいとか聞いた事があるし、やめた方がいいかな?
便利さを考えるならターミナル一つで山梨と行き来できる事を考えても、その辺の治安が終わってる無法地帯とかの方が気楽に過ごせるかもしれん。
黒札の援助に依存しなきゃ生活が成り立たないような場所なら、一般市民も従順にならざるを得ないだろうし。
逆にこちらを狙って襲ってきたとしても、相手が暴力頼りで来るような相手ならともかく、法律と道徳を利用して叩いてくるような手合いだとどうにもならんかもしれないし。
まあ防衛に力と資金を割かずに済むって言うのは利点ではあるんだよなー……。
とか何とか。
色々と考えて頭を捻っていると。
「あァン!? 何だテメエ喧嘩売ってんのか野郎ォ!!?」
隣の受付から何やら怒声が聞こえてきた。どうにもトラブル、位置的にこっちに飛び火はしてこないだろうけれど、集中も乱れた事だし確認の一つもしておくかと顔を上げると、何やらオラオラ系というかチンピラ系というか、何かそれっぽい野郎が、知っている相手へと絡んでいる。
ソフトモヒカンに近い髪型の両サイドを刈り込んだ感じの、顔の中心に大きなバッテンの傷跡が特徴的な……とにかく知らん顔だ。着ている霊装が昔懐かし八十年代不良少年みたいな感じの長ラン+ボンタンとか、そんなビジュアル。まあ、ここが山梨第一支部って事を考えても黒札なのは間違いなく、こっそり仕掛けた【アナライズ】によればレベルも30を越えている模様で、それなりに強い、はずなのだが。
絶妙に……というか絶望的に、絡んでいる相手が悪い。
見た目は普通……でも何でもない。
全身、見えている範囲の肌に余すところなく傷跡があって、見た目かなり怖い感じの……何か年齢不詳というか、見た感じ若々しい癖に、誰に対しても誰から見ても年上に見えるような矛盾した雰囲気を漂わせた青年……多分その位の年齢、のはず。
たっぷりした黒髪を背中に流した感じの、手入れしてないようで手入れが大変そうな髪型で、その辺でも矛盾を体現したような忙しい人物。
絡んでいる側がチンピラだとするなら、絡まれている方は……まあどう見てもカタギには見えないな。しかもどう見ても幹部級……ビジュアルや雰囲気的にも、日曜特撮や異能バトルものに登場したら強キャラなのは間違いないのだが。
知ってる顔だ。
セツニキ。
二、三回ほど覚醒者向けに彼がやっている御仕事体験系講座────通称“セツニキゼミ”を受講した事があるので、人格・実力共に、それなり程度には知っている相手なのだが。
「っていうか……セツニキに絡むとか、アホというか命知らずな真似を……」
修羅勢のまとめ役とかいう実質的な大幹部、しかもガチガチの武闘派である。そんな相手に「雑魚がスッこんでろ!」なんて怒鳴り付けるとか、命知らずとしか言いようがない……いや本当に。チンピラくんがかわいそうになってくるけど、まあ人に絡んで怒鳴りつける側が悪いので仕方ない。
セツニキはなー……紛れもない強者なんだが、生体マグネタイトの制御が絶妙過ぎて逆に外部に気配を漏らさないから、“そこそこ強い”程度の相手だと逆にその実力が感じ取れないんだよなー……。
そんなセツニキの纏っている気配が、わずかに険を帯びる。修羅勢的な思考でとりあえずブッ飛ばしておこう、みたいな結論を出したようだ。並みの相手なら口先だけで丸め込みつつセツニキゼミに連行して成長を促す感じの良き先輩ムーブが基本っぽい感じの人だが、今回は“ブン殴って鼻っ柱をへし折った方が成長を促せる”みたいな判断をしたのかもしれん。
「あー、いや、でも逆に安全というか、安心なのかな?」
実力的にも余裕でアホを撃退できるのは当然として、それだけじゃなく過剰防衛や周辺被害の心配も気にする事がない。黒札の中には、それこそ相手が黒札だろうがお構いなしで、不用意に変な絡み方をしたせいで後々の人生丸ごと破壊されるような手合いも一定数はいるけど、セツニキに関してはそういう心配もないからな。
そういう意味でも安心して見てられる相手だ。セツニキなら大丈夫だろ、色んな意味で。
多分あと十数秒もすれば顎か鳩尾あたりに術式をブチ込まれて一発ノックアウト……という俺の予想は微妙に外れ、今日は物理攻撃の気分だったらしきセツニキにデンプシーロールからのアッパーカットを食らったチンピラくんはそのままブッ飛ばされて………………────────あれ、コレちょっとヤバくね!?
大きく仰け反りながら真上へと吹き飛ばされる通称車田飛びでブッ飛ばされたチンピラくんが、そのまま錐揉み回転して頭からこっちのテーブルへと突っ込んでくる。確かこんな感じの必殺技を使うキャラが何かの格ゲーでいたような気がするが……いや、そんな事を考えてる場合じゃない!
「ちょっ…………────ペルソナぁッ!」
『我は汝、汝は我──────!』
はっと我に返り、緊急避難的に頼るのは自身の異能。俺の背後に出現した制帽姿のペルソナが抜刀した斬魄刀『鞘伏』が多重に折り重なった斬線を描き、チンピラ砲弾を迎撃する。カッ飛んできたチンピラは一瞬の内に数センチ角のサイコロステーキと化して斬り刻まれ、テーブルの上に広げられた資料の上に溢れる鮮血と渾然一体になり、皮膚筋肉臓物骨格の区別なくブチ撒けられたのだった。
「あっちゃー…………………………やっちまったー……………………………………」
深々と溜息を吐いた俺は、数センチ角の角切り肉の集合体と化して飛び散ったサイコロステーキ先輩の雑にブチ撒けられた血肉と、受付のデスクの向こうで顔に満面の笑みを貼り付けつつも、額に血管の筋を浮かべた千川さんの存在に気付いて、その場で足舐め全裸土下座をする覚悟を決めたのだった。
◆ ◆ ◆
と、いうわけで。
サイコロステーキ先輩と化したチンピラくんが【リカーム】されて一応大雑把に人間のカタチを取り戻し、ガイア連合医療部へと緊急搬送された後、セツニキと二人並んでちひろさんと事務所の皆さんに土下座……全裸+足舐めのオプションは勘弁してもらえた俺はといえば。
血塗れになった床とデスクを雑巾掛けの真っ最中である。【アクア】系と【ハマ】系を洗剤と併用し、チリ一つ残さないように綺麗に御片付け。散らかしたものは、綺麗にしなきゃならない……当然、汚したアホが、だ。
つまり俺の事だが。
「まあ、今回の件はもちろん俺にも責任の一端があるし、何より一番悪いのはあの少年だからな。だからこれくらいで許してもらえてるわけだが」
というセツニキのありがたい教えである。まあ咄嗟の反応で人間をサイコロステーキ先輩に変えてしまう恐怖の殺人剣を繰り出すような輩が一般的な社会生活を営んでいるとか、ヤバいとかそういうレベルじゃないので仕方ないとはいえ。
「まあ、そう落ち込むなよ。これくらい修羅勢じゃ笑い話で済むレベルだからな。異能者始めて一年ちょっとの初心者が、これくらいで落ち込んでんな、って話だ」
「なるほど、ぐうの音も出ませんね。俺もまだまだケツの青い餓鬼って事ですか」
そんなセツニキは大量の霊符を使って、俺が汚した資料のクリーニング中である。紙に染み込んだり隙間に滲んだりしている血の染みを抜いたりするような精密作業は、俺じゃ無理だからなー……こういう場面でも浮き彫りになる圧倒的な技術レベルの違いよ。
「ちなみにこういう作業が一番上手いのは製造部古参の連中と、図書館探検部の面子だな」
「なるほど、プロの技ってそういうのですか」
「好きなものこそ上手なれ、って事だな」
まあ、そんな感じの懲罰系清掃作業もそろそろ終わりだ。ラウンジも見違えるようにピカピカになっている……半分くらいは、俺の死角で霊符を飛ばして掃除のアシストをしてくれたセツニキのお陰ではあるのだが、ともあれ。
気が付けば、結構いい時間だ。窓の外もすっかり暗くなっている。
「そろそろ切り上げてもいいだろ。せっかくだ、今日は俺が晩飯奢ってやるよ。膳王のところでいいか?」
「やった! ゴチになります! すぐ終わらせますんで、ちょっと待っててください」
「あー、あんまり焦らんでもいいぞー」
じゃ、ちょっとこのテーブルの辺りを拭き終わったら終わりでいいか。
ちょっと待たせてしまうのが申し訳ない。
そうやって最後の作業をこなしている一方、セツニキはやはり暇なのか、綺麗になった資料をパラパラと捲っている様子で。
「で、外の物件の資料なんてどうしたんだ? 別にこっちで何か困ってるわけじゃないだろうし、人間関係とか個人的な悩み事か? 何かあるなら相談に乗るぞ」
と言ってくれるセツニキは滅茶苦茶頼もしいのだが。
「いや大した事じゃないんですけどね、この間ガチャをやったら、SSRのすり抜けで当たったんですよ……『シェルター経営スターターセット・ゴージャス版』」
うん、本当にどうでもいい理由なのだ。本音を言えば一番欲しかったのはSRの初期量産型ブレンパワードなのだが……まあ、当たらなかったものは仕方ないし。
「あー、ええと……ああ、思い出した、アレだな。この間の佐渡島製品ピックアップガチャのラインナップか。しかし神社のある物件ばかり付箋してるのはどうしてだ?」
「それはですね、神社は神社でメリットあるけれど、神様との交渉とか面倒臭いじゃないですか。だからその辺、神様を本霊にした嫁シキガミを神社の本尊に据えてやれば、その辺の面倒とか全部すっ飛ばして神社のメリットだけを得られるんじゃないか……なんて突発的な思い付きで。面白いと思いません? ……いやまあ、そういう事考える前にシキガミ買えよ、っていう話なんですけどね、あはは」
よし、と。
これで拭き掃除終わり。後は掃除用具をロッカーや物置に戻して、資料も返却すれば作業終了……なんだが。
「っ、コイツは………………!」
ファイルを捲るセツニキが、わずかに息を呑んだ気配。いつも飄々としていて余裕を絶やさないセツニキにしては本当に珍しく、動揺しているのかわずかに目を見開いたまま手を止めて、ファイルに移された写真の一枚をじっと見つめている。
そんな彼の様子が気になって、彼が見ているファイルを横から覗き込む。セツニキが見ていたのは、当然だが俺も見覚えのある写真……さっきチンピラくんが突っ込んでくる直前に俺が見ていた資料の一枚だ。
「えーと確か米沢市近郊、鐙沢村の星祭神社でしたっけ。星霊神社の参道にある案内板に書かれていた社号と同じだったから、記憶に残ってますけど」
「いやオマエ見えてたのかよアレ!? 修羅勢判別用の……何でこっちに来てない……いや、ダーオカニキは確か東京で回収されたペルソナ使い勢の出身だったか、それなら未回収って事も普通に有り得るか、なるほどな……くそ、あれやこれやで本当に頭が痛い……」
ダーオカニキ。つまりは俺の事である。
「ガイア連合が発足したばっかりの頃、⑨ニキが解決したっていう場所でしたね……あれ、あの星祭神社ってセツニキの関係で?」
⑨ニキ……今は最大級の支部であるガイア連合呉支部を束ねる、セツニキとはまた違った方向性の大幹部。そんな彼がガイア連合初期に根願寺から回ってきた“連絡途絶した霊能組織の行方に関する確認依頼”をこなし、該当する土地に根差していた霊能組織の壊滅を確認した場所だ。
霊能組織が守っていた、そして往々にしてその壊滅の原因となった異界を潰し、そこに巣食っていた悪魔……特に天使を滅ぼしても、土地に根差した霊脈は残る。だから最低限の管理施設と、それを管理する簡易シキガミだけを置いて放置状態になっているのが、このファイルに綴じられている廃神社で、この鐙沢村星祭神社もその一つ、なのだが。
そういえば同じ名前の神社が近所……星霊神社のすぐ側にもあるっぽいな、と。
「あそこは俺の城だ。でもって修羅勢の巣窟。……あの案内板が見えるなら、いつでも来ていいからな」
「何と……真・修羅の国ですか」
「真修羅なんて言える程じゃねえよ。俺達は流石に、異界の中で生活しようなんて考えないからな」
こっちからすると、全部五十歩百歩なのだが。
行くとヤバいのは分かるが。
とりあえず自分の成長に限界を感じたら行ってみる事にしよう。
などという感慨は。
「ったく⑨ニキにも借り作っちまったみたいだし、どうすっか……あー、そうだな、ちょうどいい。ダーオカニキ、外のシェルター物件が欲しいなら、ここの神社にする気はないか? それなら神様役の嫁シキガミ、俺が代金持ってやるぜ。この際だ、必要投資と割り切って、金に糸目は付けんよ」
「……………………マジですか。よし、やります!」
というセツニキの大盤振る舞いにより、スパッと吹っ飛んでしまったのだが。
「ただ、覚悟しとけよ。このタイミングでこういう事になるって事は、これは多分、お前の“運命”ってヤツだ。十中八九、やたらな面倒が待ってるぞ」
「うーん……まあ、理想の嫁と比べたら安いものかなぁ……」
◆ ◆ ◆
そんなこんなで、祭神(予定)のシキガミ三体が届くまで約二週間。
シキガミ達が届いて、そのレベル上げにプラス一週間。
さらにセツニキに連れられて、岩手支部の愛宕ネキを筆頭に関係各位への挨拶回りとか、その辺でやはり一週間。
合計で一ヶ月。
修羅勢の拠点である星祭神社を何回か訪れてみたら、修羅勢の先輩方による“歓迎”のお陰で相応にレベルも上がったものの、それでも劇的に強くなったわけじゃない。
が、さすが修羅勢の本拠地とでもいうべきか、シキガミの方のレベルは上がった。
そして俺自身も、レベルこそ上がらなくとも異能者としての質もかなり向上した。とりわけ最大の収穫といえば、グラ爺に秋雨ニキ、京四郎ニキの太刀筋を多少なりともコピれた事だろうか。本家と比べれば未熟もいいところの付け焼き刃だが、これから少しずつ自分のものとして吸収していけばいいのだ。
ともあれ。
満足いくところまで仕上がったし、シキガミ三体との結婚式も済ませて、やる事全部終えたので早速、米沢市へと向かう。修行している間にも支部の建設は進んでおり、俺が到着する頃には既に建物は完成している見込みだとか。
終末前からしっかり前準備が行き届いており文明がしっかり残っている宮城まではターミナルでひとっ飛び。そして、そこから先は陸路だ。ターミナルが通っていない以上ショートカットは無理なので、宮城在住のダチョウニキが運転するダチョウ車をマッカでチャーターする。
終末前、魚沼市を中心に行われた霊道開発計画によって、山梨から長野、新潟までのラインを中心にして、東北地方の主要幹線道路は霊道化され、終末を経た今になっても、ある程度の往来が可能な道が作り上げられている。
それは新潟県の北側、一つ向こうにある山形県も同じ事で、隣県福島県と接する県境上にあり、また置賜地方最大の都市である米沢市に対しても相応の霊道が通っており、比較的快適に進む事ができ、数時間程度をかけて米沢市近郊の山間、鐙沢村へと到達できた。
「到着ですぞ! 皆様方、荷物のお忘れなきように!」
やっと着いたか。
ダチョウ車のタラップを踏んで車外に降りると、一定の気温に保たれた車内よりも一回りほど暑い外の大気が押し寄せてくる。それを肺一杯に深呼吸しながら、ぐっと背を伸ばした。
そんな俺の後を追って、同じようにダチョウ車から降りてくる少女が一人。見た目の年齢は十歳ばかり、セツニキ一押しの褐色肌に銀髪の組み合わせ────俺のシキガミ三体の一人、地母神イワナガを本霊とする『クロエ』。
装いは古参製造部製の『赤原霊装』────元ネタの作品よりも大幅に露出度が下がったインナーの上に、赤いコートをラフに羽織ったもの。
「思ってたより少し長かったわよね。お疲れなら、やれる事は全部私達で済ませておくから、少し休んでてもいいわよマスター」
「そんなわけにもいかないだろ、ターミナルとかシキオウジロボの認証どうするんだよ。それにくそみそニキの占術だと、早い内に防備を固めておかないと余裕がなくなるって話だろ。なら今日中に最低限の足場は固めておかないと」
なんて話していると、さらにその後ろからもう二人。
「マスターのお世話係に一人割くとして、残った二人だけでも十分どうにかなるかと。マスターのお世話ができるかどうかは、シキガミの稼働率に大きく影響する最重要事項です。マスター、御決断を」
「美遊……欲望が駄々洩れだよ」
「大丈夫ですイリヤ。三人で順番に交代すれば、お世話係のポジションは全員に回す事が可能です」
どちらもクロエと同じく幼い少女。
一人はクロエとは双子のように似通った顔立ちの、銀髪にしかしクロエとは対照的に白い肌の少女型シキガミ『イリヤ』。本霊は女神サクヤヒメ。
一人は黒髪に赤い瞳の、二人とは異なる純和風の顔立ちの少女『美遊』。やはり二人と同様にシキガミであり、本霊はベルフェゴールならぬ地母神ベルペオル。
「じゃ、早いところ作業を済ませてしまおうか。まずは────荷物の積み下ろしからだな」
鐙沢村────旧鐙沢廃村は予想以上に荒れ果てており、かつて集落だった時代の原形を留めておらず、無造作に生い茂った下草の中に建物の土台や、道路だったアスファルト片の集合体がちらほらと見えるだけの、廃墟とすら呼び難い遺構が広がっているだけだ。
そんな中、やや奥まった斜面に、そこだけはしっかりと原形を保った、古めかしい石段が伸びている。その向こうには鮮やかな朱色の鳥居が建てられており、『星祭神社』と書かれた真新しい額が掲げられていた。
△ △ △
122:名無しの転生者
今回の行動、セツニキにしても珍しいよな。
126:名無しの転生者
>>122
新規支部を立ち上げた黒札に、シキガミ代金3体分を肩代わりした件だろ。
127:名無しの転生者
ちょっと支部立ち上げるだけでシキガミ買ってもらえるとか、超絶裏山案件だろ。
129:名無しの転生者
贔屓じゃね?
133:名無しの転生者
>>129
いや落ち着けよ。
あのセツニキが簡単にそんな真似しないだろ。
135:名無しの転生者
でも、普通に考えたら不思議ではあるよな。
贔屓にしたってやり過ぎだし、それ相応の理由があるとは思う。
136:名無しの転生者
少なくとも、意味のない事をする人じゃない。
139:名無しの転生者
超絶きつい試練とか特訓をくぐり抜けたとかな。
142:名無しの転生者
>>139
いや、さすがにそれは、ショタオジの修行ですらそこまでの特典は付かないんだし……。
144:名無しの転生者
普通に考えればその黒札が何か表に出てないところで途方もない功績を上げたか、もしくはそこに支部を建てる事自体に理由があったか、だろ。
145:詐欺師
後者が正解だ。
147:名無しの転生者
おお、本人降臨だwwww
149:名無しの転生者
セツニキオッスオッスwww
それで、>>144の後者が正解って事は、つまり支部を建てる方が目的って事だよな。そんなに特別なの?
151:名無しの転生者
確か、山形県の米沢だったよね。何か特別な点とかあったっけ?
152:名無しの転生者
大きな龍脈が通ってるとか?
154:詐欺師
実はあそこ、戦前は地元の霊能組織の拠点だった神社でな。戦後でメシア教会に根切りされて潰された、まあいつものパターンなわけだが……実はその神社、社号が『星祭神社』でな。
156:名無しの転生者
待て待て、星祭神社って…………
157:名無しの転生者
ちょっ、セツニキというか、修羅勢の関係?
159:名無しの転生者
修羅勢御用達の支部って事!? 岩手だけじゃ物足りないって!?
163:詐欺師
あまりにも何も残っていない事が気になって、岩手経由でちょっと現地まで行って本腰入れて調べてみたんだが……地下およそ1300mの位置に千年単位で昔の遺構が眠っている事が確認された。
165:名無しの転生者
おっと、いきなりキナ臭くなってきたぞお!?
168:名無しの転生者
遺跡って、それ何かヤバいものでも封印されてたの?
169:名無しの転生者
1000年以上前って事は、メシア教会が大和神を封印したっていういつものでもないよな。何かそれ以外っていうと、何?
172:詐欺師
星霊神社や山梨の星祭神社に残っていた過去の記録や、ショタオジ直々の占術の結果と照らし合わせてみたところ、どうやら星霊神社本社から東北地方以東の霊脈をコントロールするための遠隔制御用巨大霊装らしいな。
現在、日本各地に同じのがないか調査中。
174:名無しの転生者
それって……(震え声
177:名無しの転生者
よく、そんな大掛かりなもん隠蔽できたな……
それだけ、現地の星祭神社の人間が優秀だったって事なんだろうけど。
180:名無しの転生者
というかもし、そんな代物がメシアンの手に渡ったりしたら……
181:名無しの転生者
過激派穏健派関係なく最悪だ。
それにたとえメシアンじゃなくても、多神連合辺りにでも取られたらあいつら何するか分からんぞ。
182:名無しの転生者
それも、これ見つかったの東北だろ!?
あっちの方、魚沼とか岩手とか宮城とか、結構大きな支部が多いのに。最悪、新潟を押さえられたら油田の関連で本当に洒落にならんぞ!?
183:名無しの転生者
さりとて現地霊能組織や現地民異能者に任せておけるはずもなく。
185:名無しの転生者
>>183
まず守り切れないのが目に見えてるからな。
適当に力の強い高位悪魔に力づくで乗っ取られるか、糞メシアン共に十年くらい掛けて侵食されて乗っ取られるか。
186:名無しの転生者
かといって修羅勢が山梨以外に定住するとも思えないしな。そう考えると、今回のセツニキの采配も割と合理的と言ったらその通りなのか。
189:名無しの転生者
言うて、そのダーオカニキってあまり名前聞いた事ないけど、どんなニキなの?
193:名無しの転生者
俺事務課だけど、ガイア連合への加入時期は確か終末直前というか、その真っ最中、のはず。東京に敷かれてた電脳異界で回収されたペルソナ使いの中に混じってたヤツだよ。
ちょうどアイツの加入手続きをやってる時に、もう何度目か分からん重傷のスライムニキが担架で担ぎ込まれてきててな。その担架に轢かれてブッ飛ばされてたからよく覚えてるよ。
195:名無しの転生者
って事は、結構な新参なんやな。
本当に大丈夫?
197:名無しの転生者
言うて電脳異界出身のペルソナ使いだろ?
終末当時の電脳異界って確かギリギリまで時間加速されてた中での活動だったから、外界時間じゃ1日かそこらでも、内部時間は加速率がとんでもない事になってて、実際の戦歴とかは分からんよ。
199:名無しの転生者
開発当初でも加速率1000倍程度はデフォだったからな。
終末直前だと最終的にどれだけ加速してたか分からないよな。
200:名無しの転生者
じゃあ実際、ダーオカニキがどれくらい戦ってたかは分からんと。
202:名無しの転生者
曲がりなりにもセツニキに支部長を任されるくらいだから、それなりには出来るはずだな。
204:名無しの転生者
前見た時は60レベル越えてたよ。
205:名無しの転生者
マ!?
209:名無しの転生者
>>204
まあ、最低でもそれくらいの実力が必要って事だろうな。
何せ、メシアンが来ようが多神連合が来ようが支部を渡しちゃならない。全部撃退しなきゃならないわけだからな。
ここ最近の東北地方の騒がしさを考えたら、50レベル越えの怪物が日参してくる事だってあり得る。
211:名無しの転生者
本当なー、東北地方はなー!
212:名無しの転生者
そして増えていく田舎ニキの借金……。
215:名無しの転生者
>>212
しっ、それ言っちゃいけません!
219:名無しの転生者
でもさ、そんな危険なものなら壊してしまえばええやん。
ショタオジなら壊せるやろ。
224:★名無しのデビルサマナー
>>219
それを捨てるなんてもったいない。
225:名無しの転生者
おっ、ショタオジ降臨か。
オッスオッス!
226:名無しの転生者
わざわざショタオジが止めるって事は、何かメリットでもあるの?
228:詐欺師
そりゃそうよ。
霊脈の遠隔制御霊装だぞ。あれは星霊神社からの地脈操作の負担を格段に軽減してくれるものだ。
あれがあればショタオジの負担が大きく減る。
具体的には、一日につき五分くらいの余裕ができる。
230:名無しの転生者
マ!?
232:名無しの転生者
ショタオジの五分か……めっちゃ重いやん!?
233:名無しの転生者
ショタオジなら、それで浮いた五分で何ができるかって話やな。
234:名無しの転生者
つまり、五分長く働いてもらう事ができるって事やな。
235:名無しの転生者
ショタオジはもっとはたらいてwwww
やくめでしょwwwww
238:★スライム
いや、そこはせめて普段から過労気味なんだから、五分でも休憩取ってもらわないと。
240:名無しの転生者
そこはほら、ねえ。
243:名無しの転生者
ワイの新しいシキガミちゃんはまだですかショタオジ!?
245:名無しの転生者
ところでショタオジ、休憩時間そろそろ終わりじゃない?
250:★名無しのデビルサマナー
……泣いていい?
252:名無しの転生者
米沢の新支部が超重要拠点だって事は理解できたわ、うん。
◇ ◇ ◇
同刻。
米沢市中、米沢城。
旧米沢市における市街地のほぼ中心に位置するこの城は、江戸時代における米沢藩=上杉家の中心であり、上杉景勝・上杉鷹山といった歴代藩主の居城であり────現在は多神連合の一角として降臨した『軍神ウエスギケンシン』が統治する、米沢市近郊における最大規模のシェルターだ。
実際のところ、上杉家が米沢藩に移封されたのは上杉謙信の死後であり、史実における上杉謙信が米沢城を居城とした事はないのだが、それはそれとして上杉家にとって米沢城が重要な霊地である事には変わりなく、そんなの関係ねえとばかりに軍神ウエスギケンシンは堂々と米沢城へと居座っており。
天守閣を置かない米沢城の中核である本丸の隣、余人の立ち入らない二の丸の一室にて、姫君のごとく高雅な美貌を持つ少女姿の軍神ウエスギケンシン────上杉謙信は不慮の来客を迎えていた。
「…………」
「いやー、あはは、そんなに警戒されましても、別にこのシェルターそのものに用がある訳でもありませんしねえ」
こちらもやはり少女の姿をした、しかし紛れもなく相応の格を持つ高位悪魔。油断は出来ぬ、と、白銀の大鎧で全身を覆った完全武装のウエスギケンシンは、対面の邪神をじっと睨みつけた。
「して、貴方のような邪神が当シェルターに一体何用でしょうか? もしも住民に危害を加えるというのであれば、この身に懸けても討ち果たしますが」
「いえいえ、そんな面倒な真似はしませんよ。第一そんなの、やる側もやられる側も面白くないじゃないですか。やるならちゃんと、ゲームとして成立してないと」
八畳の和室に面した庭園から鹿威しの音が響く中、微妙にずれた返答を返した邪神に、やはり信用など不要とばかりにウエスギケンシンは白い目を向けた。
「で、用件は? ふざけた事を申すなら斬り捨てますが」
「いやいや、そんな大した事じゃありませんよ。ただ、あそこ……鐙沢村でしたっけ。あそこで建設してるガイア連合の支部、どう思います?」
一軒友好的に見えて裏がない訳がなく、それでいて内心の読み取れない笑みを浮かべた邪神。それと対峙する軍神の鋭い視線を、邪神は糠に釘とばかりに受け流している、が。
「どう、とは?」
「いえいえ、今はまだここのシェルター、この辺りではトップの地位にいますけど、ガイア連合の支部ができちゃったらどうでしょうかね? そちらも色々と大変じゃないですか?」
煽るような邪神の言葉に、しかし軍神は心を乱すような様子を見せない。それが単なるポーカーフェイスではないと見て取って、厄介な相手だと内心で考えつつも、道化の表情を崩さずに話を続ける邪神。
「それが何か? ガイア連合の設備や流通能力があれば、民の生活も格段に向上します。それのどこに憂うべき問題がある、と?」
「やー……そういうとこじゃないかと思うんですけどねー……」
民を思いやる理想的な名君のようでいて、ガイア連合の機能しか求めていない言葉がさらりと出てくる辺りが、多神連合がガイア連合から信用されない最大の理由なのだろうな、とその呆れを隠しもせずに邪神は肩をすくめた。
必要とあれば────あるいは可能であれば、支部の設備や資産を力で奪い取る事も視野の内なのだろう。脳味噌が戦国時代なのはこの終末の世においては有利に働く要素なのだろうが、それならそれで、いくらでも付け入る隙になるから邪神としては問題なく。
「仮にガイア連合が圧制を敷こうとするとしても関係ありません。軍神の剣は不義をなす者を斬るのみ。不善を働くのであれば、軍神としてすべき事を果たすのみです」
「いや、本当そういうとこだと思うんですけどねー…………」
「貴方も同じです、邪神。貴方が衆生を弄ぶというのであれば、この軍神が貴方を裁くでしょう」
さりげなく、何の疑問もなく己を裁き手としてガイア連合よりも上位に置いている。自身が過ちを犯すなど微塵も考えず、人類を食い物や家畜に貶めるにせよ、善良ぶって庇護対象や愛玩動物として扱うにせよ大差なく、そういうところがどうしようもなく悪魔なのだ。
「弄ぶ……────そして“もて遊ぶ”。言い得て妙とだけ言っておきましょうか。でも知ってますか、遊ぶためには道具やルールよりもっと大切なものがあるんですよ。そう────GMとプレイヤーの間にある信頼関係、つまりは対等さです。それを理解していないから、貴方はどこまでいっても単なる高位悪魔止まりなんですよ」
お前が言うな。
「はぁ……………………信頼、ですか」
この世で信頼という概念から最も対極に位置する邪神が、何の恥ずかしげもなく堂々とそんなセリフを吐く姿を前にして、軍神は大宇宙の広さを思い知った猫のごとき表情を浮かべるしかなく。
「その内に新しい支部長も山梨から来るらしいですからね~、聞いた話じゃ大幹部肝煎りの人事って話ですし、初期の頃にさっさと撤退した旧米沢シェルターの担当黒札みたいにすんなり行くとも限りませんから────」
「は?」
何の脈絡もなく空気が凍り付いた。
間抜け顔を見せていた一瞬前までの表情とは打って変わって、その顔には上杉謙信という軍神が持つ清廉なイメージとは掛け離れた憤怒の相が浮かんでいた。
「は?」
「え?」
「は?」
「え?」
「は?」
「え?」
「は?」
「え?」
顔が迫ってくる。普通に怖い。
「今、何て言いました?」
「え?」
邪神からすれば「私、何かやっちゃいました?」などと嘯いてお茶を濁したいところだが、それをやった途端に反射動作で首を刎ねられると確信できるほど、一つ答えを間違えれば、そのままズンバラリンと斬り捨てられそうな恐ろしさがある。
「山梨県……甲斐……武田! おのれぇ信玄!! 川中島に飽き足らずこの米沢にまで出城を築くとは! 絶対に許せません、毘沙門天の怒り、思い知らせてくれようぞ! こうしてはいられません、誰かある!」
予想外の展開に固まっていた邪神を置いてけぼりに立ち上がった軍神は、すぐさま配下を呼び出すと、矢継ぎ早に指示を出す。
「全軍を集めなさい! 出陣します! 今すぐに武田の出城を攻め潰します!」
「えー…………何この展開……」
和室に置き去りにされた邪神は、恐ろしいスピードで走り去っていく軍神の後ろ姿を呆然と見送った。湯呑みに残った緑茶を一口啜って口に含むと、去っていった軍神の背中を追い掛けるようにして、やや間の抜けた鹿威しの音が庭の方から響いてくる。
「……………………まあ面白いから、ヨシ!」
結局のところ、邪神にとってはそういう問題なのだった。
ダーオカのシキガミがクロになったそもそもの理由は、セツニキのアーチャー回が由来。あれが無かったら別のキャラにしていた。
~割とどうでもいい設定集~
・岡田五三
ビジュアルは『Fate』シリーズの岡田以蔵。ただし土佐弁は使わず、標準語で喋る。
終末近くになってようやくガイア連合に登録した周回遅れ黒札。通称ダーオカニキ。
ライドウの悪役2P版のようなペルソナ『調整・マガツライドウ』を使う。ペルソナの見た目は『チェンソーマン』のサムライソード。
チートペルソナ持ちという事もあるが、本人も結構強い。
初期スキル【見覚えの成長】を元に、黒札としても破格の経験値吸収率と、一度目にした技術を比較的簡単に習得できる性質を併せ持つため、純粋な戦闘力の高さと引き出しの広さを併せ持っている。
元は東京で普通の大学生をやっていたのが、終末時のゴタゴタでペルソナに覚醒した事で、東京一円をカバーする形で展開されていた電脳異界に確保され、ガイア連合入りした最後発陣の黒札。
電脳異界出身という事で時間だけは滅茶苦茶あったので、戦闘経験だけは非常に長い。
終末後には色々な部署に顔を出しては技術を身に着けていたため、【見覚えの成長】による技術習得率強化もあってできる事のレパートリーは広い。
その一方で、情報のアップデートが追い付いていない部分もあり、星祭神社の存在などガイア連合内の常識もインストールし切れていない。
色々あって、ガイア連合米沢支部の新支部長として就任した。
・マガツライドウ
ビジュアルは『チェンソーマン』のサムライソード。軍帽だし、刀持ってるし、どう見てもライドウだな、ヨシ!
チートペルソナ。敵が行動するより“早く”攻撃できるため、敵が何かするより先に敵を皆殺しにしているチートスタンド。
斬撃が時間遡行するとかいうクソ仕様。抜刀より先に斬撃が敵に届く、斬撃時間マイナス秒という神速越えの抜刀術。未来から観測した過去は確定しており、どう足掻いていも変わらない静止した存在であるため、未来から飛来する攻撃は何をどうしても絶対に回避できず、確実に命中し、反撃その他色々な対応もできない。
一撃耐え切れても敵が動き出すより先に敵が死ぬまで何度でも連続攻撃できるため、どっちみち死。
斬魄刀『鞘伏』のアホみたいな切れ味も相まって、大抵の敵を“戦闘開始前に”サイコロステーキ先輩へと加工できる。
また他のペルソナを吸収して属性や権能を付与する“帰刃”を持ち、対応力の幅もそれなり。
・斬魄刀
ややや様『【カオ転三次】現地民とのぐだぐだ小話』より。
非覚醒者の生体マグネタイトを外界から収集して、所有者のマグネタイトに馴染ませて主人格を構築する事により、外付けのレベルの器とする武装型デモニカデバイス。
十勝支部で開発されていたもの。
内包するマグネタイトを所有者が掌握する事により始解、さらに収集されていた非覚醒者のマグネタイトが覚醒状態となる事により卍解に相当する形態へと進化する。
レベル上限が高い者(おそらく、主に黒札)が使った場合、斬魄刀そのものが経験値泥棒と化すので、文字通りレベル上昇速度が半減する。
ダーオカの場合、異様に早いはずのレベル上昇速度を半減させている元凶。これがなければ、とっくの昔にレベル100まで到達していた。
とはいえ、それだけに膨大な経験値を吸っており、それ相応の性能を持つ武装に仕上がっている。
『鞘伏』の能力は『異様なまでによく斬れる』という限りなくシンプルで凶悪なもの。たったこれだけに能力の全てを割り振っているので、物理貫通かつ防御力無視で大抵の概念防御とかギミックとかガン無視して刃の届く範囲であれば大抵の敵は一刀両断できる。
……なお、この状態でまだ始解である。
・シークレットトレイル
忍者刀の武装錬金。
宮城で開発された展開型霊装、その一つ。黒札仕様の高級品。
刀身とリンクした専用の異界を構築し、幼女ネキ発の【飛雷神の術】にて転移する事により通常空間から姿を消す疑似的な次元潜航デバイス。
あらかじめ霊装に仕込まれた術式を使い、術式構築の必要がないため、発動速度はやたら速い。
戻る時には刀身に仕込んだマーカー術式から【飛雷神の術】を再使用する。
・ガイア連合米沢支部
米沢近郊、旧鐙沢廃村にあった星祭神社を中心に建てられた支部。
地下1300mの位置に安置された霊脈コントロールのための遠隔制御用巨大霊装を守護する為だけの支部。ただそれだけだが、たったそれだけが限りなく重要。
これが存在しているだけで、ショタオジの余裕がほんの少しだけ増える。
また遠隔制御用霊装を置いた霊脈が岩手とか魚沼とか宮城とか新潟とか秋田とか恐山とかその辺色々と、東北全体に繋がっているため、周辺の色々な支部にとってもかなり重要度の高い拠点。何なら山梨から東北以東の北海道とかにも繋がっている。
その性質上、基本的に軍事拠点であり、メシア教会や多神連合その他勢力に取られる事だけは絶対に許されない。生産とか……余裕ができたらするかも。
現状の米沢周辺は概ね多神連合の支配下になっており、米沢城シェルターを中心に複数のシェルターが緩やかな連帯を作りつつ、裏に表に抗争を繰り返している形。
米沢には新幹線が通っている米沢駅があるけど、新幹線とかその辺はまず旧米沢駅周辺を確保するか、それともその辺を無視して新しく鐙沢に線路を通すかのどっちか。
・鐙沢星祭神社
修羅勢の巣窟である星祭神社を本社とする星祭神社の分社。米沢市近郊、旧鐙沢廃村に位置していた。
星霊神社からの地脈コントロールを円滑に行うため、地下深くに配置された遠隔制御用霊装を守る事が役割。
太平洋戦争の終戦後、GHQと一緒に進出してきたメシア教会に対し最後まで抗戦……するように見せかけ、霊装の存在を隠蔽。さらにそのドサクサに紛れ、霊装の存在を知っていた人間は本家である星霊・星祭神社を信じて一人残らず自決したため、霊装の存在は誰にも知られる事なく闇に消えた。
その後、残された人間の子孫が細々と続けていた霊能組織が地元の異界を抑えられずに壊滅した事で⑨ニキが安否確認依頼を達成し、鐙沢星祭神社はガイア連合の管理下に。
ただし⑨ニキとセツニキの間にはそこまで深い関係がなかったため、両者の間で連絡が通るなどという事もなく、鐙沢星祭神社の再発見は終末後へと持ち越しになった。
・シキガミ クロエ
ダーオカのシキガミの一人。
正妻。地母神イワナガを本霊に持ち、鐙沢星祭神社の現主祭神を務める。
三体のシキガミの中では一番強い単体戦闘特化型。遠近両用で戦える物理・射撃両立型、かつ領域展開【無限の剣製】を扱えて、純粋に強い。高度な単独行動スキルも持ち合わせているため、単体戦闘ユニットとして非常に優秀。
曲がりなりにも主祭神としてセツニキが振り込んだ事、“コノハナサクヤと並べた上でイワナガを正妻として娶る”という事実にテンションが上がったイワナガが自重を忘れて投資した事など複数の要因から、三体の中でも最高の性能を持つ機体に仕上がった。
・シキガミ イリヤ
ダーオカのシキガミの一人。
側室。女神コノハナサクヤを本霊に持ち、鐙沢星祭神社の祭神の一柱に収まっている。
魔法攻撃特化、広域殲滅タイプ。ただしコノハナサクヤの権能が多岐に渡るため、戦闘以外にも案外色々な事をこなす。
他二柱と比べてコノハナサクヤのテンションがそこまで高くなかったため、総合性能そのものは三体の中で一番下。戦闘力ではクロエに次いで二番手で、殲滅力ならトップ。
・シキガミ 美遊
ダーオカのシキガミの一人。
側室。地母神ベルペオルを本霊に持ち、鐙沢星祭神社の祭神の一柱に収まっている。
補助特化、支部経営補佐特化タイプ。戦闘補助・実務補佐以外にも戦術立案、大型兵器の操縦、広域の戦闘管制、技術開発などにも適性を持つ。
終末前から続くベルフェゴールの努力が功を奏して、ついに魔王や堕天使ではない地母神ベルペオルとしての分霊の降霊を可能とした最初の実例。これにはベルフェゴール本霊もニッコリで、ついつい色々と振り込んだため、総合性能では二番目。
クロエがやたら高性能に仕上がったのは、ベルフェゴールが限度を忘れて投資しまくったこの子と比べられても主祭神として恥ずかしくない性能を持たせるためでもある。
補助タイプのため直接的な戦闘力では最下位。
・剣術教室
本家どくいも様、やる夫スレ『カオ転ごちゃまぜサマナー外伝 愉快な転生者がメガテン世界で生きあがくようです』より。
だいたい普段から三人でつるんでいる黒札の一人、義勇さんのシキガミである胡蝶しのぶが剣術道場を開いている。
修行は厳しいが常識の範囲内であり、ショタオジの修行とは異なりトラウマメーカーでもないので、常識的に強くなりたい者には比較的お勧め。
上級者だと多分、水の呼吸や蟲の呼吸を見せてもらえる。
・セツニキ
Lilyala様『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』より。
山梨の星祭神社を拠点に多くの修羅勢黒札を束ねる大幹部。
優秀な術者であると同時に、それ以外の大抵の事はできる超ハイスペック黒札。
今回はダーオカニキと米沢支部のパトロン担当として登場。
ダーオカニキは終末後においては最初に開かれたセツニキゼミの受講生。セツニキも『マガツライドウ』なんて変なペルソナ持ちだったので顔を覚えていた。というかコイツ絶対運命力持ちの主人公ポジか、それに準ずるライバルポジの人だろうと予測されており、記憶の片隅くらいに置いておかれていた。
鐙沢にあった星祭神社の事は本人も把握していなかった。終末後にその存在を知り、割と冷や汗気味。
・地方霊能組織の安否確認
石は転がる様『【カオ転三次】DRUG FATE』より。
ガイア連合発足初期の頃に根願寺から多数寄せられた依頼。主に⑨ニキがこなしていた。
終末が近づくに伴って上昇するGPと龍脈の活性化により強大化していく悪魔への対応が追い付かなくなってきた地方霊能組織からの救援要請が多数寄せられていた(対応したとは言ってない)根願寺だが、その救援要請が次々と途絶えていく事実にさすがに焦りを感じ、状況を把握しようとガイア連合に依頼を出していた。さすがに対応が遅過ぎ(ゲフンゲフン
救援要請が途絶えてから依頼が出されているので、完全に手遅れなのがデフォ。安否確認というか、ぶっちゃけ死亡確認。しかも王大人すら誤診できないくらいに死亡確定。
さらに行った先は大抵が廃墟に腐乱死体の山とかいう惨状なので、通常の対悪魔戦闘依頼とは異なるグロ耐性必須案件であり、初見さんは大抵が吐いて役立たず状態。
ついでに大抵は抑え切れなくなった異界や、封じ切れなくなった高位悪魔なんかがセットのため、要求レベルも当時の水準としては相当に高いとあって、地雷要素満載のクソ依頼。
廃墟を片付け、異界を攻略しても最低限土地は残るし、土地に付随した龍脈も残るから放置できない。かといって根願寺に土地を管理できる能力があるとは思えないから、その辺を管理するのがガイア連合というのもほぼ確定。
多分、最低限地鎮してそれ相応の設備を作り、専用のシキガミを置くか、最低限土地管理ができる黒札や現地民を住ませるか。
だから多分、処理が終わった後の土地は希望者がいればかなりの安値か場合によってはタダ同然の値段で事務課あたりから融通してもらえると思われる。
・軍神ウエスギケンシン
ビジュアルは『ランス』シリーズ。謙信ちゃん。
旧米沢城址、上杉神社を基点にガイア連合が建てた米沢シェルターを支配する、米沢近郊の最大勢力。
現在は多神連合に所属している高位神格だが、元はメシア教会が召喚した高位天使が、終末の到来に伴うロウ化した地脈の再ニュートラル化に際して天使の霊基を保てなくなり、軍神の形質を得た存在。
加え、そもそも米沢シェルター自体が元はガイア連合が建てたもの。元々管理していた黒札は、現地民からのハラスメントに耐え切れずに山梨に帰ってしまった。
自分が強いと思っているのもあって大抵の相手には鷹揚に応じるが、それはそれとして武田信玄の存在は絶許。