◆ ◆ ◆
メシア教会真っ盛りのアメリカ大陸ド真ん中に邪神クトゥルーが降臨し、本土が大絶賛侵食され中で割と洒落になってない状況にもかかわらずメシア過激派が世界各国にバンバン核を打ち上げている花火大会真っ盛り、そんな半終末期の今日この頃。
ギリシャやイギリスに海外支部ができたりとかもしているそうだ。特にギリシャ支部の支部長は前々から少しばかり親交があった沢田君だという話で、昔はレベルに比して高威力過ぎるスキル構成のお陰でマトモに魔法を撃つ事もできずにベビーサタン状態だった彼が今や支部長にまで成り上がっている辺り、感慨深いものである。
他にも技術部のモルガンネキが故郷イギリスへの里帰りの当日だったそうで、そこで娘さんが聖剣エクスカリバーに選ばれて二代目アーサー王になったとかで帰れなくなってしまったらしい。で、開き直って今ではイギリス支部を開設しているとか。
その一方で国内……というかガイア連合内部だが、ちょっと微妙に面倒臭い事になった。今まで技術部をまとめていたモルガンネキがイギリスから帰れなくなってしまった上、それ以外にも人望があったダグザニキなんかも似たような事になってしまった。
そんなこんなで、技術部をまとめる人がいなくて面倒なことになっているのだ。シノネキなんかも地方に行ってしまったし、他に有力な技術者といえばモルモットニキや探求ネキあたりだが、そっちも技術部のまとめ役には興味なさそうだ。
これ、一体全体どうなることやら……。
まあ、そんな暗いニュースは脇に置いておくとして、何やら東北の方で何やら新しい動きが始まっているっぽい。どうやらロボ部が本格的に動き出したとか。聞いた話ではいつぞやの列車ニキなんかも最終的にはマイトガインの製造を目指すとかで大量に資金投下を始めたらしい。マイトガイン自体の実用性云々は置いとくとして、浪漫だからな。まあ頑張れと。
「ふむふむ……ナイツマのトイボックスを作るのね」
通称“幼女ネキ”。
何やら、パイロットの子は僕と同じ妖獣ヌエのデビルシフターなのだとか。その辺は親近感も湧くが、何分面識がないからな。まあ会う機会があったら会っておこう、くらいの気分かね。
「……いや、待てよ。ヌエのデビルシフターって事は、この子もウチのオーズドライバー使えるのでは?」
うーん……まあ権能を引き出すくらいにヌエの力の扱いに熟達している必要はあるのだが、うん。最低ラインとしては……とりあえずスキル抜きで空中歩行くらいできれば、まあ最低限の制御には足りるかな? アレ、結構制御能力を食うからな。
ともあれ、今回の開発は、と。
トイボックスに搭載されているマギジェットスラスタは、かつてオラシオニキが開発した疾風系魔法を利用したスラスターだ。ストライカーパックの推進機関として使われているヤツらと根っこを同じくする技術といってもいい。
なので、そのスラスター技術を僕なりに一世代進めてみる事にする。
「メインで使うのは火炎系の【アギ】系術式。そこに疾風系の【ガル】を合わせて、と」
五行器レプリカの術式を一部流用。木気に属する魔法として風を生み出し、五行の木生火を発生させる事で火炎術式を増幅する。同時にこの風は酸素濃度高めに成分調整してあるから、物理的にも火勢を強める事ができ、一石二鳥、と。
これにより単純に【アギ】【ガル】単体を扱うよりも高効率の燃焼ができ、推力も大幅増。
ただ、それだけに反動がキツいからスラスター自体の強度が必要で、このまま動かすと下手すると壊れる。その辺は呉のガイアマテリアルから放出された新素材の耐熱セラミックを使用し、火行に強い土行の性質を帯びさせることで補強を図って、と。
「……ふむふむ。ちょっと微妙に細かい部分の強度が足りないか。じゃあ軽く設計を見直してみるけど、いいよねマスター」
「ああ、こっちも術式を調整してみる。セラミックに付与した土行の性質は木行に喰われるから、そっちが完全に火行に呑み込まれるように……」
そんな具合に実験を繰り返し、ようやく満足のいく出来のスラスターが完成するまで約一ヶ月。疾風系ではなく火炎系のスラスター技術、それも高効率・高推力ってところで一つ差別化が出来ているな。
トイボックスに関しては疾風系を使った従来型のスラスターだけでも推力過剰気味だったらしいので、その辺扱いが難しいかもしれない。まあ、その辺はレベル上げて制御能力が上がれば、あるいはって感じか。
他にもう一つ弱点として、火炎系術式を使った結果として光や高熱を吐くため、肉眼や熱源探知なんかの機械探査に引っ掛かる可能性がある事か。
まあ、それはそれとして出来はいいはず。
出来上がったら、とりあえずは技術部のデータバンクにアップロードしておこう。
◆ ◆ ◆
悪魔召喚プログラムも解禁された事なので、COMP用のアプリを作ってみる事にした。
僕が術式を作り、メディアがそれをコード化してプログラムとして成立させ、ダ・ヴィンチがユーザーインターフェースなどを構築してアプリとして成立させる。そうやって完成したのが、召喚術式に追加の詠唱を加える事で、相性のいい悪魔を一時的に魔晶化し、武器の形で召喚する事ができる『シールフエッスル』だ。
武器化といってもその状態を維持できるのは一瞬から最大でも数秒だけで、武器化した悪魔を振るって一撃だけの大威力攻撃を放てる、といった感じのが現状の技術における限界点だな。完成すれば最終的には武器型シキガミのお株を奪いかねない……かどうかは微妙だな。武器型シキガミゆえの利点も山ほどあるし。
まあ、その辺はそれも今は関係ないか。
……生憎と僕はCOMPはあまり使わないから使い心地とかは分からんのだが、その内ガイア連合の誰かにテスト運用のバイトでも依頼する事にしよう。
とりあえずCOMPアプリ製作に関する一通り感覚は掴めたので、とりあえず本命を開発していく事にする。
電脳異界に関連して、そちらの開発を進めるためのアプリだ。電脳異界で採取した鉄や木材などのアイテムをブロック化し、プログラム領域へと格納する資源管理アプリ『ミネクラフト』……どこかで聞いたようなアレだが、まあ、その感覚で合ってる。
とりあえず今は大雑把な基幹システムだけだが、将来的には電脳異界内での建築とかクラフトとか、元ネタ通りに色々とできるように開発を進めていきたいと思う。
◆ ◆ ◆
大事件が起きた。
半終末前に作った【感知水球】1号機、ぶっちゃけ我がダ・ヴィンチラボではほとんど使いどころがなくて放置していたのだが、いきなり大音量のアラートが響いたと思えば、滅茶苦茶な反応を示していた。地脈には一切の乱れがないのに、星辰……つまりはそれと連動した“運命系”に途方もないレベルで乱れが発生している。
理由も理屈も分からないが緊急事態である可能性は高いので、大慌てで対応を取る。
ダ・ヴィンチとメディアの二人に緊急で感知水球のシステムチェックを任せた一方で、僕は最優先でショタオジに連絡する。当たり前だがショタオジもこの案件については気付いていたようで、二人でこの異常の震源地である静岡県を管轄するガイア連合霊山支部へと赴く事になった。
現地には関係者のくそみそニキとシノネキの二人が揃っており、二人に説明を受けたところ────異世界から本物の仮面ライダークウガが分霊としてやってきた、という話。
聞いた当初は、割と開いた口が塞がらなかった。
すごいね。
うん、すごい。
とりあえずアマダムの構造や変身機能とかその辺を調べさせて欲しかった。まあ無理だろうが。
ともあれ。
しかし。
「ヤバいね」
「ああ、そうだな超絶ヤバイ」
静岡県名物、春華堂のうなぎパイをポリポリしながら、ショタオジと並んで頷き合う。
幸いにも事件そのものは既に霊山同盟支部の支部長である鷹村君が解決したらしいが、この事件そのもの……よりもこの事件が示唆する、将来的に発生し得る可能性こそが何よりヤバい。
そう。
「────コラボイベントの可能性だ」
「それな」
メガテン世界において、他作品キャラが姿を現す事は少なくない。
たとえば同じメガテン作品内でも『真・女神転生if』の女主人公こと“内田たまき”は無印ペルソナや同じくペルソナ2罪・罰などといった各作品に登場し、『真・女神転生3』の主人公である人修羅は名実共に最強キャラとして、アバタールチューナーなど後発の様々な作品において最強の裏ボスとして主人公達の前に立ち塞がる。
そして何よりの問題は、女神転生シリーズとは根底を異にする別作品群からの来訪者だ。そんな事が本当に有り得るのか、といえば。
「有り得るも何も、こうして現実に起きてしまったとすれば、ねぇ」
「そもそも、メガテンだと普通に有り得る事態だからな」
『真・女神転生3』では他作品どころか開発元の会社すら異なる『Devil may cry』の主人公ダンテが種族:魔人として登場しているし、スマホゲーであるD2メガテンではそれ以外にも『エヴァンゲリオン』『ベルセルク』『ベヨネッタ』『攻殻機動隊』などなど、様々な作品とコラボしていたり。
「攻殻機動隊はともかく、ベルセルクにベヨネッタ、エヴァンゲリオン……ヤベーのが目白押しだな。本当に何やってんのアトラス!?」
「タチコマは調べてみたいけどねえ……」
シノネキことG3シリーズの開発者である兎山シノ女史は、のんびりとした口調でそんな事を言う。まあ量産性と普遍性を重んじる彼女からすれば、実際に量産されて実用されている多脚戦車タチコマは非常に興味深いところだろう。
多脚戦車としての機能構造、あるいはAIの出来等々、参考にできる部分も非常に多かろうし。
ともあれ、異世界からの来訪者は非常にマズい。下手にFGOのコラボイベント(リアル)でも起きれば、最悪普通に人類悪降臨で終末案件とかいう可能性もあるわけで。
「あ、FGOといえば、確か新潟の鑑定ニキには型月要素が混じってる疑いがあるよ」
「…………それ、本霊は?」
「テュポーンだってさ」
「Oh…………」
型月でギリシャって、あれ確かあの辺の神々って宇宙から来た超科学SF宇宙艦隊じゃなかったっけ? 確かテュポーンも例外じゃなかったはずだ。下手するとコレ、クトゥルフ神話のような“地球人が想像した外宇宙”とは一線を画した、それこそライドウの漫画版に出てきたクラリオンみたいな真・外宇宙からの侵略案件に発展するんじゃね?
「それも含め色々と、備えが必要、かぁ……今回のこれ、アカラナ回廊すら経由してないしなぁ。本当に、異世界君はさぁ……」
「南無」
ショタオジが深々と溜息を吐く。これでショタオジの仕事がドカッと増えたのは間違いない。ショタオジェ……。
まあ、そんなあれこれがあって、とりあえず異世界からの来訪者の可能性に備え、対応できる技術の開発を進める事になった。
できるかどうか知らんけど。
ひとまずの方針としては【感知水球】関連の技術開発と、同じく【感知水球】量産型の全国配備……量産化そのものはシノネキの方で進めてくれるらしいから、こっちはのんびり技術開発に全力投球、かねぇ。
◆ ◆ ◆
ロボ部がデモンベインを作るらしい。これに際して、一つ懸念があったのでショタオジと相談。
「…………渦動破壊神、どうすっぺ?」
この世界では他世界からの侵略、あるいはそこまで行かなくても他世界からやってきた侵入者からの干渉により、何らかの影響が発生し得る。それはメガテン3のダンテやメガテンD2のコラボキャラの存在を根拠に提唱され、そして既に“仮面ライダークウガ”によって証明されてしまった事象だ。
つまり、デモンベインも別世界には存在し得る────裏を返せば、デモンベイン世界における最大の厄ネタであるあの神格も、実在する神として顕現し得るという事。
────“渦動破壊神”。
デモンベイン時空における最大にして最悪の脅威であり、そしてデモンベインが行き着く最期の形態。それこそ最も悪意に満ちて狡猾なニャルラトホテプや、外宇宙の神々の主神であるアザトースと比較しても、まだコイツよりは万倍マシと呼べるレベルの存在。
愛する者を喪ってその存在の根底から崩壊した操縦者は機体との別を失い、制御に必要な魔導書は喪失し、それでもなお、ありとあらゆる邪悪に対する怨念のみで稼働し続ける伽藍洞の怪物、多元宇宙全てを呑み込むほどの大災厄。
あらゆるデモンベイン────“魔を断つ剣”はその力を行使すると、その時点で渦動破壊神が背負う無限曼荼羅に取り込まれ、端末化する。
邪悪に対する強い怒り────“正しき怒り”を抱く者は渦動破壊神から流出する『全ての邪悪を滅尽滅相する』『そのためならば世界を滅ぼしても構わない』『何ならデモンベイン宇宙それ自体が邪神アザトースの産物なので世界全体もれなく邪神認定って事でむしろ積極的に滅亡させる』という思想汚染を受け、破壊の権化と化す。
「何というか、これもうデモンベインじゃなくてDies iraeとか神威神咒神楽の世界設定だよね。曼荼羅とか流出とか、他社作品の設定用語を持ち出してんじゃねーよって話だ」
やってる事がどこぞの第六天と大差ないっていうのが、何より酷い。これがヒーローの末路か? ニトロプラス最低だな(風評被害)。
「……いや、風評被害か?」
ともあれこうして、全てのデモンベインは渦動破壊神からの流出を受けて破壊の神の端末と化し、思想汚染と引き換えに宇宙すら滅ぼす巨大な力を得て、あらゆる邪神ごとあらゆる多元世界を粉砕爆砕大喝采していく……というのが、渦動破壊神の恐ろしさだ。
いや、大喝采は起きないか。その頃には喝采するヤツも全て滅亡してるだろうからな。
「デモンベイン宇宙のあらゆる存在は邪神アザトースを根源としているから、デモンベイン宇宙に属する全ての存在は例外なく邪神認定を食らって破壊対象。というか、そうじゃなくとも宇宙破壊規模の攻撃を問答無用でバンバン撃ちまくるキチガイ破壊神とか、たとえ攻撃対象にならなくても巻き添え被害だけで地獄行き……いや、地獄も滅ぶからそっちにすら行けないのか。笑えない…………」
「幸いにも、この世界においてはニャルラトホテプとクトゥルフを筆頭とするクトゥルフ神話の邪神すら“悪魔の一種”でしかないし、アザトースも例外じゃない。だけど、クトゥルフ神話に関係ない神々が邪神認定を食らわないかと聞かれれば…………四文字とか、四文字とか、他にも四文字とか……うん、他にも色々いるけどさ」
笑えない。
あまりにも酷過ぎて、本来なら人類の敵だったはずの邪神達が逆に人類世界を守る側に立って戦っているって時点で、もうね。
「だったらデモンベインなんて作らなきゃいいんじゃないの? って話になってくるんだけど」
「そうも行かない、というか多分、それすら意味ない可能性があるんだよショタオジ」
ここで問題になってくるのが、デモンベインがスパロボ参戦しているという一点である。
レムリア・インパクトやシャイニング・トラペゾヘドロンと並ぶデモンベインの最終奥義の一つ“レムリア・インパクト零零零式”という技がある。最終兵器シャイニング・トラペゾヘドロンの発動によって異次元に叩き込んだ敵に対して、無限の平行世界から無限数のデモンベインを一斉召喚し、レムリア・インパクトの無限熱量を一斉にブチ込んでくるとかいうアホみたいな技なのだが。
ここで召喚される無限のデモンベイン────“魔を断つ永遠の剣”というのが問題だ。この無限というのはそれこそ誇張でも何でもなく、未完成でまだ建造途中のデモンベインがあるかと思えば崩壊寸前の機体があったり、無人機や人間以外をパイロットとする機体、動物型、ロボットですらない機体、生身の人間、液体、気体、プラズマ、そもそも物質ですらない幽体、その他諸々。
デモンベインという名はあくまでも「魔を断つ剣」という定義に与えられる名であって、「鬼械神モドキのロボット」はその名を冠する一つに過ぎず、この定義に従って戦う者は例外なくデモンベイン認定を食らってしまうとかいうガバガバさ加減。
「少なくとも、スパロボ参戦してる機体はデモンベイン扱いされる可能性ががが……」
「つまり、場合によってはデモンベインじゃなくても巨大ロボを作った時点でアウト! というかそもそも巨大ロボじゃなくてもアウト! もしかしたら僕達ガイア連合が何もしなくとも多神連合やメシアンが“正しき怒り”認定を食らってデモンベイン化してアウト!!」
「クソが!」
じゃあ、どうすればいいかといえば。
「うん、もうね。逆にデモンベイン、作っちゃってもいいと思うんだよ」
まず田舎ニキが今の内からクズリュウ対策に色々やって、こちらから各地の龍脈に干渉してクズリュウの出現地点を限定しようと目論んでいるように、こちらからあえてデモンベインを建造する事により渦動破壊神の干渉が始まる地点を限定する。
「そして、渦動破壊神の端末と化したデモンベインを倒す?」
「いや、デモンベインの存在それ自体を利用して渦動破壊神の存在否定を行い、渦動破壊神からの干渉を打ち消す」
それは、本体と分霊という概念が存在するこの世界において戦後のメシアンが日本神を封じたように。
「キーになるのはデモンベインの操縦補助を行うシキガミ“アル・アジフ”だ。デモンベインが渦動破壊神となったのは、パートナーである最愛のアル・アジフを喪ったから……逆にいえば、アル・アジフが存在している事により逆説的にデモンベインは渦動破壊神にならない、という証明になる」
「そして同時にシキガミが持つ精神フィルター機能を利用して、デモンベインから流出する思想汚染をカットする事もできるな」
魚沼で製造される予定のアル・アジフのコアは、ショタオジが作る純正品だ。干渉する余地は十分に存在する。
「まあ逆に、アル・アジフが死亡したりすると非常にヤバいんだけどね」
「それはそう」
でもまあ、それを言えばこの世界に他世界からの干渉が観測されてしまった時点でアウトだから、仕方ないね。ヨシ!
……というわけで、僕もその辺に協力する事になった。
ロボ部で製造するデモンベインのコクピットブロックとなる予定の『魔翼機バイアクヘー』の開発協力である。使い魔として妖魔ビヤーキーを提供しているのはウチのダ・ヴィンチラボなので、その辺の繋がりでビヤーキー関係者として呼ばれたわけだ。
その辺つくづく、聖都天草でビヤーキーを回収できて良かったといったところか。
ともあれ、だから、星祭神社から提供されたセラエノ断章(鑑定ニキの鑑定書付き)の記述とかその辺を基に、可能な限りハイスペックなビヤーキーの霊基やフォルマを調達し、機体の素材として提供していたのだが、その辺少々問題発生…………うん、ちょっとレベルと霊格が足りないかなって。
ので、渦動破壊神対策という事もあり、ちょっとばかしショタオジに協力を依頼────うん、流石はショタオジ、やる事が非常にヤバい。
その場でパパっと邪神ハスターを召喚、さらに召喚したハスターを生贄にして大規模異界『セラエノ図書館』を仮想構築し、その中に放り込まれた。戦闘力だけでなく、知識と狂気耐性が問われる異界なんてのは……まあ修行用異界には時折湧くが。
ともあれ面倒な部類である事には変わりない。
が、まあ、どうにか。
図書館の大規模異界というだけあって、その内実は途方もないものだ。壇ノ浦やうどんマウンテンなどといった各地の大規模異界にも匹敵する超大規模異界、それが図書館というからには、その蔵書量は凄まじいものであり、そしてその全てが一つ一つ内容の異なる魔導書『セラエノ断章』だというから途方もないものだ。
まあ、異界の主である邪神ハスターの打倒に関してはそこまで問題がなかった……というか、道中で入手できるのがセラエノ断章というだけあって、そこに記述されている術式でハスターの力を制御・封印できてしまったりするのだ。召喚と退散、あるいは使役の呪文が一体になっているのはクトゥルフ神話のデフォルトだったりするので。
とりあえず異界から回収できたセラエノ断章は手持ちの壷中天で持ち帰れる分、とりあえずおよそ10トン分。ガイア連合図書館探検部の協力を得て解読する事によりクトゥルフ神話系、特にハスター系に関するカルトマジックへの造形を深める事で、ついに。
「妖魔ビヤーキー、召喚成功! ベースはペルソナ2準拠で呪殺破魔精神神経無効の他万能以外全部耐性持ち! レベルはペルソナ5基準の70レベル! コイツを悪魔カードと各種フォルマに変換して素材に利用! 超エキサイティング!!」
ショタオジ製の純正シキガミコアを中枢に据えたヒヒイロカネ・マルエージングの超鋼の機体にビヤーキーの霊基とフォルマを組み込んで稼働する最新鋭の航空機体。
シキガミコアには操縦者とアル・アジフを保護するための防護と対狂気の精神保護術式を増設する事により、渦動破壊神からの精神汚染対策に。
メインとなる推進機関は既存のマギジェットスラスタをベースにしつつセラエノ断章から得られた術式を組み込み、この機体のために開発したフーン機関────ハスターの魔風を噴いて飛翔する超高性能の魔術式ジェットエンジンだ。
とりあえずこれだけやって……うーん、渦動破壊神自体そもそも来ると決まったわけじゃないしな。これで防ぎ切れるかも疑問だが、ここまでする必要があるのかもまた疑問、ただそれを考えると堂々巡りになってしまうし、ともあれ無駄にはなるまい。
◆ ◆ ◆
クズ系黒札。
まぁ、割と多い。
未覚醒でも何かしら仕事をしているならいいのだ。真面目に働くってのはこれ以上ないくらいに立派な事、人生における基本中の基本にして奥義でもあると、僕は思う。
低レベルでも修行用異界表層の湧き潰しを真面目にこなしているなら、それだけでその分ショタオジの仕事が減る。
本人はニートでシキガミに養ってもらっているようなニートであっても、働くシキガミの電池役という意味で十分以上にプラスになっている。
それこそ現地民の連合員に馬鹿にされたりする脛齧り系黒札御用達の種付け依頼だって、あれは各地の現地民異能者組織や海外から引っ越してきた外様神に対する最重要の外交カードであって、本当は決して馬鹿にしてはいけない立派な仕事だからして、組織運営という観点で考えたら決して馬鹿にして良い物じゃあない。
じゃあ何が問題なのかといえば────働かない事だ。
つまるところ、ここでのクズ系黒札ってのは『ガイア連合にほぼ所属していないし、本人的にも帰属意識は皆無』なのに『転生者としての権利は主張するし、金は借りる、それでいてそれ以外ではガイア連合にほぼ関わらない』という……ガイア連合に対して負担にしかならず、ほぼプラス要素のない完全なる不良債権化している連中の事だ。
そもそも黒札の資質があって、その上である程度の期間星霊神社に宿泊して修行すれば、それだけでほぼ確実に覚醒できるのだ。ハードコースみたいな拷問のがまだまだマシとかいう物騒な修行ばかりじゃない、面倒臭がりで痛いのが嫌な転生者のためのゆるゆる修行なんてコースもあるので、その辺も言い訳にはならない。
というか何となれば覚醒している必要すらないのだ、事務課のちひろさんとか立派に幹部として働いているけど、それはそれとして未覚醒だし……いや、まあその辺は割とどうでもいい。
で、そんな彼らがどうしてそんな状況になっているかといえば……事務課が読心系の異能者なんかをひっそりと動員して秘密裏に行った意識調査によると『転生者同士で集まるとか胡散臭い』だの『終末がどうとかカルト臭い事言ってるし近寄りたくない』とか……比較的常識的な事を考えている場合が多く、何なら前世の常識に従って、終末どころか悪魔や異能の実在すら疑っているのだ、とか。
実際、ガイア連合に所属してこうして実際に働いている覚醒者だって、本当に終末が来るみたいな実感を得ている者がどれだけいるか、ってのは微妙なところだ……僕自身も含めて。
その辺、割と常識的な神経を持っており……常識的過ぎたせいでガイア連合に接近できない転生者達がガイア系と繋がりのない企業に就職していたりしていたのが、半終末の煽りでその辺の企業がバタバタ倒産していったせいで職にあぶれて、ガイア連合に寄生するしかなくなっているような連中が出てきている、と。
「……半端に常識があったせいで御覧の有様だよ、と」
そういう説明をされてしまうと……まあ、ちょっと責める気がなくなる話では、ある。確かにカルト宗教なんて一般市民にとっては最大限の警戒でもって接するべき、どころか、そもそも最初から近寄るべきじゃないのは確定的に明らか…………具体的にはメシア教会とか、メシア教会とか、他にもメシア教会とか……後は多神連合か。というかその辺の諸々を含めて現地民の異能者組織はほぼ該当するような気がするが……まあ仕方ないな、カルトだし。
まあ、それはそれとして、そういう連中は切欠さえあれば真っ当に働いてくれそうではあるから、救済の手を差し伸べる意義はあると思う。それに、こういう話はこれから先、終末の足音が近づいてくるにつれて、これからどんどん増えていくんじゃないかと思うのだ。
だから、今の内からどうにかするルーティンを作っておく。
悪魔と異能の存在を実証した上で、それらに関わって覚醒せざるを得ない無惨式尻叩きメソッドを用意しておくのだ。
────というのが、今回の話題である。
「で、作ったのがこの雀荘、と」
「そういう事」
クズ黒札ホイホイ、みたいなものを目指してみたボッタクリ雀荘『沼』だ。普段は普通に雀荘として経営しつつ、門前には覚醒者であれば無意識レベルで弾かれる程度の緩い精神干渉系術式を常時展開し、『ブラックカードを持っている』『ガイア連合への帰属意識がない』の二点に該当する人間を、あからさまではない程度に気分を昂揚させて思考と判断力を鈍らせつつ店内に誘引する。
獲物が掛かったら────常時配置している代打ち……シキガミにするとコストがかさみ過ぎるので、佐渡支部の日本生類創研から麻雀やイカサマのスキルを組み込んだデモノイドを購入、そいつらで卓を囲って身ぐるみ剥ぎ取って。
そして獲物の負けが財布の中身を割り込み始めたら、標的を併設してあるウシジマローン山梨支店に案内し、そこで支払ってもらう、と。この時に魔術契約を噛ませて、『ガイア連合とその認可が下りた金融機関以外から借金をしない』『借金を全て返済するまで、ガイア連合が指定する依頼を受けて活動する』という、この二つは確実に守ってもらう。
「マスター、そのやり口はヤクザのそれでは?」
「ああ、藤村さんから大雑把なやり方を教わったんだよ。とりあえずデモノイド達には事前に藤村組で研修を受けてもらっている」
前者は、例えば地元霊能組織とか多神連合とか、何よりメシア教会みたいな悪質な連中に借金のヒモを握られていいように使われてしまわないようにするための首輪兼転ばぬ先の杖代わり。そして後者は当然、無理矢理にでも修行を受けさせるためだ。
ゆるゆる修行から自衛隊デモニカ講習、セツニキゼミ、そしてもちろん色々な意味での大人気のショタオジハードコースに至るまで各種取り揃えて、借金を返し終わるまで徹底的に修行漬けになってもらう。そうして覚醒する頃には、まぁ異能者として最低限使えるようになっているだろう……最低限シキガミの電池役がこなせるくらいには。
プラスして、ガイア連合から距離を置いている……ある程度実情を知ってしまうとクズともちょっと呼びづらいコイツらのコミュニティにも食い込みたいので、同じようにガイア連合と距離を置いている転生者のお友達を“紹介”してくれれば、借金を減額するようなシステムも追加しておこう。
修行から逃れたい一心で仲間を売り払うようなヤツも出てくるだろうが……紹介数が増えるなら、それはガイア連合のスカウトマンとして立派に仕事をしている証である。ソイツが紹介した分だけ使える黒札が増えるのだから、それで十分だろう。
まあ、ひとまずそんな感じで、とりあえず山梨第一支部の近場、最寄りの駅前に配置しつつ様子を見る……利益が出ればヨシ、出なかったらその時は、まあ大人しく事業撤退かな。もちろん、そうならない事を祈るけど。
◆ ◆ ◆
雀荘『沼』の経営は、想像以上に順調だ。単純な雀荘としての利益はトントンだが、新たに覚醒を済ませ、黒札として活動を始める連中がまだまだ数名ながら、既に出始めている。事務課も喜んでいるらしく、ちひろさんがニッコリ黒いものが滲む満面の笑みを浮かべていた。
コワイ。
……まあ、それはそれとして将来的な強敵の出現を見越して……というわけではないが、新術作成の時間である。
実は先日、少々面白いものを見てしまったので。
星霊神社からちょっとだけ離れたところに、修羅勢の巣窟である星祭神社が建っているのだが、そこに所属している双子ニキ(兄)が面白い事をやっていたのだ。多彩な魔法スキルを扱える器用さが持ち味の双子ニキ(兄)なのだが、彼はさらに一捻り加え、魔法で生み出した炎や風雷といった現象をさらに獣の形に変化させ、そこに概念としてのカタチを与える事で炎の獣や風雷の魔鳥といった一種の精霊としての使役を可能としていた。
この辺の技術を利用すれば、前世で読んだネタの再現ができるんじゃないか、という発想だ。
「うーん……とはいえ、どういう形に纏めるか」
まず、女神転生シリーズにおける呪殺属性という魔法カテゴリには、作品によって呪怨系だの絶望系だのと表記にある程度の揺れがあり、ペルソナ3・4なんかだと分かりやすく闇属性とカテゴライズされている。
これを利用し、僕が得意とする呪殺属性を、カタチのない呪いを操るのみならず、闇や影を操る術としての再定義に成功し、『魔法先生ネギま』の操影術をモデルとした『操影術』が開発できた。
その辺の絡みで、影の人形を操る術なんかも開発できたので上々。影を媒体とする色々な呪術なんかを媒介する事だって可能だろうし、割と夢が広がる案件でもある。
で、ここからが本題だ。
「『十種影法術』────行けそうだよな」
漫画『呪術廻戦』に登場した呪術の一つ。手で作った影絵を媒介に、獣の形をした十種類の式神を呼び出し、操る術式。単身で攻撃・陽動・索敵と多種多様な状況に適応し、一人一能力の世界観において一人だけ能力を十個持ってるような感じで、地味にチートな代物だった。
影を獣の形にして操るくらいなら、別に難しくない。操影術の再現として人型の影兵を作り出すのと、大して変わらない。
だが問題は、影の獣を式神化するという一点────能力の付与だ。水を出すとか雷を落とすとか、あまつさえ回復するとか、それは【アクア】【ジオ】や【ディア】の領分であって、【ムド】で形作った動物のカタチから放電・放水・治癒するとか、いくら何でも無茶があるというか、完全に属性違いというものだろう。
「ふむ」
ふむ。
どうするか、といえば。
普通にシキガミ化してしまえばいいんじゃない、と。
そんなわけで、用意したのはシキガミコア10個。9個までは僕自身の手で自作した簡易シキガミコアだが、残り1個はショタオジに作成してもらった純正品シキガミコアだ。
これを、僕自身の影それ自体に組み込んでしまう。要するに、自分自身の影そのものをシキガミ化してしまおう、という魂胆だ。
影そのものに潜航して身を隠す隠密系スキルなんかは既に存在しているからそれを使えばいいかとも思ったのだが、影の中に本体となるコアを格納しておき、ルビー達も使っている【躯体形成】スキルにて必要に応じて影を操作して外界で行動可能な分体を形作る────この形式が一番だな。
影を使って呼び出した式神を破壊されると、二度と再召喚できなくなる……とかいう縛りがあったのは元ネタとなった作品の話だが、それはそれとして、いくら原作再現だからといって原作を忠実に守る必要もない……というか、死んだ味方を即座に蘇生して戦線復帰させるのがデフォのメガテン世界で、蘇生ができないとかいう縛りはデメリットに過ぎる。
そして何より、シキガミコア本体と影の式神とを別のボディとして存在させるのは、式神をあえて不安定な状態で召喚する事による不定形化や、拡張術式による式神間の融合のように原作に存在した応用法を実現するためだな。
だから縛りは“事前に自前で調伏して契約しておく必要がある”“呪印を結び、影絵を作って召喚する”の二つだけだな。
まずは【ムド】系で影を操り、獣の形を象って、その内側に素材となるフォルマやその他各種素材と共にシキガミコアを封入する。以前、魔神ニギハヤヒを解放した際にもらった十種神宝が素材として活用できたのは地味に嬉しいな。
後は影の肉体を持つシキガミを顕現させるための術式を構築するだけで完了……実はけっこう大変だった。
と、いうわけで僕の【十種影法術】である。
内訳は。
魔獣オルトロスのフォルマと道返玉・死返玉を素材に、二対一頭の犬のシキガミ『玉犬』。
霊鳥サンダーバードのフォルマを素材に、飛行能力と【ジオ】系の電撃を操る怪鳥のシキガミ『鵺』。
龍王ヤトノカミのフォルマと生玉を素材に、隠密行動能力を持つ蛇のシキガミ『大蛇』。
聖獣ヘケトのフォルマと沖津鏡を素材に、舌による拘束や引き寄せが可能な蛙のシキガミ『蝦蟇』。
聖獣ガネーシャのフォルマと辺津鏡を素材に、巨体と【アクア】系の放水能力を持つ象のシキガミ『満象』。
聖獣ギョクトのフォルマと品々物之比礼を素材に、群体型の兎のシキガミ『脱兎』。
鬼神ハーンのフォルマと足玉を素材に、【ディア】系の治癒能力を持つ鹿のシキガミ『円鹿』。
魔獣セイギュウカイのフォルマと蜂比礼を素材に、高威力の突進能力を持つ『貫牛』。
神獣ビャッコのフォルマを素材に、高い近接戦闘能力と【ファイアブレス】による火炎放射が可能な『虎葬』。
そして最後に、鬼神フドウミョウオウのフォルマと八握剣を素材にして、【十種影法術】最強のシキガミである『八握剣異戒神将魔虚羅』。
特にコイツが一番大変…………というか、ガワだけは出来上がったのだが、“あらゆる事象への適応”とかいう能力の再現がまだ完成していない。一応、高度な【アナライズ】とそれに付随する高い解析能力、そして術式編纂能力を与えて自己変容を行う予定なんだが、そこまで行くのにまだ色々と足りないので。
◆ ◆ ◆
列車ニキが話を持ってきた。
終末に備えて各地の鉄道網を保持したいのだと。
「ちょっと待った。終末後はターミナルが全面解禁で使用できるようになる以上、移動や輸送に関わる鉄道の価値は大きく落ちるはずだけど、その辺はどう考えているんだ?」
「風水学上、線路や道路は川として扱われるんだよ。その流動は地脈にも大きく影響するから、線路の保持は大事になってくるはず。上手くすると列車の運行を通して土地をある程度安定させる事ができるかもしれないし」
「魔術やオカルトに頼らず敷設できる人造の霊脈って事か……なるほど、確かにその技術はロストさせちゃいかんな…………」
と、いう事で現在、列車ニキが出資中のロボ部列車派では悪魔避けの効果を付与した列車やら線路やらを研究中……らしい。具体的には列車の稼働に合わせて列車に反閇のリズムを踏ませ、地域一帯の穢れを祓い清めて鎮める事で土地の霊脈を安定化し、異界の発生を抑える……CLAMP学園方式などと、彼は言っていた。
そのために各地で鉄道の霊道化を推し進めている様子。現在霊道化が完了しているのは山梨の大月市から富士吉田市を経由して富士河口湖町の河口湖駅までを結ぶ富士急行線。また中央本線の中でも山梨に存在する上野原駅から小淵沢駅までの区間においても、現在進行形で作業を進めているそうだ。
他県に関しては各地の支部と交渉中、だとか。
で、僕のところに来た話もそんなプロジェクトの一つ────四国霊道環状線プロジェクトへのお誘いだそうだ。
霊脈として機能する線路と、それを通じてマグネタイトを吸収し稼働する列車の組み合わせだが、そのために蒸気併用霊子機関と五行器レプリカを搭載したいのだそうだ。なるほど、確かに半ば地脈と直結した線路の上に五行器レプリカを走らせれば、結構な低コストで列車を動かす事ができるだろう。
……うん、面白い。
と、いうわけで、ひとまず協力を締結する事になったわけだが。
それはそれとしてちょうど同時期、新潟で国津神アラハバキが暴れるとかいう事件が発生。アラハバキ自体は魚沼市在住の田舎ニキの手によって割とサクッと殲滅されたから問題ないのだが、今回はそこで死んだアラハバキの素材を、割と値段に色を付けて買い取らせてもらった。
この一軒で田舎ニキの借金がどうやら半分くらいに減るとかいう話で、買い取った時には滂沱の涙を流していたが、後に聞いた話だと三日経った頃にはまた元通りの額に戻っていたらしい。支部経営というのは相当に厳しいものだと、聞くだけで実感させてくれる。
で、買い取った素材をガイア連合横浜支部・九龍城砦を采配する通称『埴輪ニキ』のところに持っていき、いつぞやの大天使ヤズラエルの素材と合わせ、土偶へと加工してもらう。
「……正気?」
「正気ですよ!」
などと土師ニキに聞かれたが、まあ残当だろう。
ともあれ、こうして完成したのが邪神ヨグ=ソトースの化身としてのアラハバキ神像────名付けて『マナウス神像(仮)』である。普通に土偶するのでは容量が足りず、ヨグ=ソトースであるヤズラエルの素材を三つに分割する事になったが、まあ問題なし。これはこれで、使いようがある。
問題はこれを何に利用するかという事だが、さて、これ……今の僕に扱い切れるかね?
◆ ◆ ◆
さて。
列車部の開発状況についてだが。とりあえず五行炉(蒸気機関)搭載型車両は一通り形になった。
そして路線の霊道化についても進行中。現在、山梨県一帯の線路にて一通り、霊道化作業が開始。最終的には長野経由でロボ部の拠点である魚沼支部の辺りにまで霊道化を進め、鉄道による地脈安定化作業を推し進める予定だそうだ。
それ以外にも霊山同盟支部の東海道霊道化計画に便乗し、自動車道のみならずJR東海道線と東海道新幹線の霊道敷設作業も進めているとか。
まあ現在でもターミナルがそのまま使える僕にとってはあまり関係のない事だが、交通の便が良くなるのは歓迎すべき事だろう。
で、四国霊道環状線。徳島、高知、香川、愛媛の四県をぐるっと巡回する大掛かりな鉄道路線で霊道を敷設する計画……まあ大半は既存の線路を霊道として改造する事になるわけだが、そこはそれ。
山梨や東海地方で行われている霊道建設計画でやっているように列車それ自体に反閇を踏ませ続ける祓い清めの効果もそうなんだが、それ以上に、四国でしか完成させられない技術が存在する。
それが四国八十八箇所巡礼────一般的にはお遍路さんとして知られる巡礼儀式を利用する手法。
路線各所にお遍路さんの巡礼に対応する四国八十八箇所の寺社・霊場の分社を設置する事により、路線上を巡回する列車とその乗客それ自体を巨大なお遍路さんとして扱う事により発動する常動型の大儀式により、乗客に霊的加護を与え、また四国全域の霊脈を鎮護する巨大な霊的機構。
また線路内部に“踏み絵”を仕込む事により、潜在的なメシアンに対してのトラップとしても役立てる予定。
これが完成した暁には日本各地で地元の人間が近場の山や半島、島などを四国に見立て、その中の霊場八十八箇所を巡る事によって利益を願う民間信仰“地四国”を利用し、日本各地で似たような鉄道大結界を構築する構想なんだとか。
一方、ロボ部列車派の面子も新しい機構を開発したそうだ。フォルマ弾倉とか色々の技術を応用したらしく、列車それ自体が足元にフルオートで線路を作り出し、何もない空中に架線してそのまま浮かぶように空を走るシステム────全自動空中架線システム、ってそのまんまだな。
これでデンライナーが作れる、とロボ部もライダー部も大喜びしている。
……列車と線路による地脈の安定化にはあまり関りはないんだけどね。
まあともかく。
こっちも五行器搭載型列車のプロトタイプとなる『クライナー試作型』のさらに試作レプリカモデルが完成した。マグネタイト抽出用の環状試作路線の上でコレを走らせると、霊脈として機能する線路から常時マグネタイトを吸い上げる事により、ほとんど無補給のまま半永久的に走らせていられる事が判明。これで五行器レプリカ搭載型列車の技術は一通り完成といってもいいか。
まあともあれ一段落着いたので、次はショタオジのところに行って修行である。降霊術とかその辺の技術を上げる必要もあるし、レベルも上げなきゃならない。どっちもやらなきゃならないところが……何だろうな、まあ異能者の辛いところである。
それとほぼ同時に、聖都天草の事件の時に共闘した鈴木悟さん────通称『骨ニキ』が長崎支部の支部長へと就任した事を受けて、その鈴木さんに連絡を取って、長崎支部に出資する代わりに天草炭田を押さえてもらう。
天草炭田は明治~昭和頃まで運営していたが、現在は海外から安い石炭を購入するようになった国の方針転換を受けて既に全ての鉱山が閉山されているのだが、大規模資本の開発を受けていなかったため、九州に存在する他の炭田と比較すると中小規模のものがほとんどである一方、深い炭層の開発が行われておらず未だに500万トンを越える石炭が埋蔵されている……と言われている。
最終的には異界化による埋蔵量の増加などを狙っていく予定だが、現行の技術でもまだまだ掘れる。そのため、将来的な需要を考えて石炭の採掘準備を進めていってもらう予定。
冬休みも終わり終わり。
しばらくはこの辺の話が続く感じ。
別作品世界とのコラボイベント=メガテン以外の作品世界の実在を前提として考えると、とりあえず思いつく範囲で一番ヤバいのはデモンベイン。
作品規模がガチで虚無る級なのに加えて、デモンベインの存在だけで作中世界最悪の厄ネタと直結する恐れがあるという。
~割とどうでもいい設定集~
・シールフエッスル
元ネタは『仮面ライダーキバ』。
悪魔召喚プログラムに対応したCOMPアプリ。
COMP内に格納されている悪魔を武器型に変化させて召喚する。実体化を維持できるのが一瞬から数秒間だけであるため、使用者は割と少ない。
・ミネクラフト
まんま『Minecraft』。
電脳異界対応型COMPアプリ。
電脳異界内で採取した鉄や木材、石材、土などの素材を抽象概念化してブロック状に抽出、データ変換してストレージ領域に格納し、管理する。
また格納した素材を簡単なアイテム類にクラフトする事も可能で、矢弾などの消耗品を手っ取り早く調達したい時に便利。
プログラム的には可能な限り単純な構造に仕上げており、極端にカスタマイズがしやすい。具体的には後から簡単にMODを加えられるような構造になっている。
・仮面ライダークウガ事変
ボンコッツ様『霊能力者、鷹村ハルカは改造人間である。』より。
カオ転世界でも非常に珍しい“コラボイベント”。
そっくりさんとか見た目が同じとか原作再現とかそういうレベルではなく、ガチで『仮面ライダーディケイド』の仮面ライダークウガが分霊として顕現した事件。
事件そのものは無事解決されたものの、異世界からの来訪者、それも同じメガテンどころかアトラス作品ですらないレベルの話であり、これによりこの世界における“コラボイベント”の存在が実証されてしまった。
・魔翼機バイアクヘー
名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
ロボ部製デモンベインのコクピットブロックを兼ねた戦闘機。
ダヴィンチラボが使い魔用ビヤーキーの販売を取り扱っている関係上、素材となるビヤーキーをダヴィンチラボが提供した。
・雀荘『沼』
表向きは普通に雀荘として活動しているが、本性はクズ系黒札ホイホイのボッタクリ雀荘。
『ブラックカードを持っている』『ガイア連合への帰属意識がない』の二点に該当する人間を誘引し、あからさまではない程度に気分を昂揚させて思考・判断力を鈍らせつつ店内へと誘引する精神干渉術式を門前に備えている。なお、この術式はレベル1に達した覚醒者であれば無意識レベルで弾いてしまい、存在に気付く事すら困難な代物なので、実質的には『未覚醒者である』という第三の条件も存在する。
代打ちデモノイドを使用してこれによって引き寄せられたクズ系黒札に多額の借金を負わせ、併設してあるウシジマローン山梨支店での魔術契約により『ガイア連合とその認可が下りた金融機関以外から借金をしない』『借金を全て返済するまで、ガイア連合が指定する依頼を受けて活動する』という二つの縛りを負わせた上で、強制的に修行させて異能や悪魔の存在、終末の危険性などをきっちり理解させ、クズを脱却させる。
・操影術
元ネタは『ネギま』。
ムド・エイハ系の呪殺魔法を、影や闇を実体化させて操作する事による攻撃魔法として再定義する事による物理攻撃。
また影を利用したヒトガタを兵士として操るような術も存在する。
・十種影法術
元ネタは『呪術廻戦』。
元々は操影術の延長線上の技術として開発する予定だったが、影を実体化させた式神から電撃や水流、治癒を飛ばすような機能は、ムド系をベースとする操影術とは明らかにジャンル違いだろうという事で諦めて、シキガミとして構築している。
無惨ニキの影そのものに10体分のシキガミコアを組み込み、そこから操影術でボディを構築した影型シキガミ。
見た目は普通の動物型に見えるが、シキガミとしての本体は無惨ニキの影それ自体であり、獣を象った肉体は操影術によって構築されたものであり、破壊されても何度でも再構築が可能。
性能的には現状でも魔虚羅以外ならほぼ原作再現ができている。
拡張術式による合成式神を生成する時には、二つ以上のシキガミコアが協調して肉体を形成している。
・マナウス神像(仮)
大天使ヤズラエルの遺したフォルマを使い、邪神ヨグ=ソトースの化身としてのアラハバキを象った神像……土偶。
製造は名無しの土師様『カオスなメガテン世界で頑張る土師さん』より埴輪ニキ。
現状、三つ存在する。
何に使用するかは現状未定。
・四国霊道環状線プロジェクト
徳島、高知、香川、愛媛の四県を巡る環状線路を霊道化する大規模霊道敷設計画。手動は列車ニキ。
霊脈として機能する線路と、それを通じてマグネタイトを吸収し稼働する列車の組み合わせによる疑似的な永久機関により、列車の稼働に合わせて反閇のリズムを踏ませる、要するに山親父様『【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅』の【オート禹歩】。
プラスして列車とその乗客を術者として四国八十八箇所巡礼を行う事で、四国全体の霊脈を鎮護すると共に乗客の方にも霊的加護を与える常動型の大儀式。
また線路内部には潜在的なメシアンに対するトラップとしてこっそり“踏み絵”が仕込まれている。
・五行器搭載型列車
蒸気併用霊子機関と五行器を搭載した複合動力車両。土地の霊脈と直結した線路の上を走らせる事で、ほぼノーコストで稼働できる。
現状ではプロトタイプの『クライナー試作型』が製作されている。
・全自動空中架線システム
フォルマ弾倉その他色々の技術を利用して、列車それ自体の足元に自動的に線路を作り出す事で、何もない空中に架線してそのまま空を走る事ができる。
具体的には『仮面ライダー電王』のデンライナーのようにアニメや特撮にありがちな“空飛ぶ列車”を走らせる技術。
なおこれによって生み出された空中を走る線路は、霊脈との接続状態を保っていられないため、稼働時間にはどうしても限界が発生する。
・天草炭田
実在の炭田。現実ではそこまで栄えておらず、現在でもほぼ閉山されている。
ガイア連合長崎支部が押さえており、この時代でも採掘の準備が始まっている。