ファッション無惨様のごちゃサマライフ   作:頓西南北

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書き溜めが……できない……。


英雄という明暗

 

   ◆   ◆   ◆

 

 

 

 さて。

 

「皆さん、準備はいいですか?」

 

 と告げてマイクロバスの客席の最前列に立った鈴木さんのそんな言葉に、一人残らず当然、といった顔で頷いた。そんな彼は既に豪奢な黒いマントを羽織った『幽鬼リッチ』の姿へと悪魔変身を遂げており、臨戦態勢になっているのがよく分かる。バスの車窓を通して遠目に見えるのは、屋上に銀色の十字架を掲げた純白の三角屋根。

 数ヶ月前を写した写真と比べても二周りくらい豪華になっているが、あれがどうやらこの南島原市における最大の教会であり、現在のメシア教の拠点……になっていた建物だ。今は最低限の留守居役を残して、大半の戦力が【聖都天草】に出払ってしまっているらしい。

 

「無論、拙僧も全力で戦いますぞ!」

「あ、御成さんは前に出ないで。後衛、っていうか留守番でよろしくニャー」

「そんな殺生な!」

 

 藤村さんの言う事ももっともだ。というか、何気にレベル2とかいう根源寺ではそこそこ優秀なポジションなのにスキル構成が『ディア』『幸運』『口説き落とし』『説得』『執り成し』とかいう後衛ですらない会話特化の人が突撃しないで。どう考えてもこの人、やる夫さんの同類だよ。

 

「じゃ、事前の打ち合わせ通りにGO! って事で、先方はシノアちゃんと私、それから鈴木のおじさんって事で」

「ふふん。ま、妥当なところでしょうね。それじゃ、盛大に暴れてきますよ」

「フォローは任せてください。ほら、行こうアルベド」

 

 藤村さんと柊さんが席から立ち上がり、真っ先にバスから降りる。その後に鈴木さんとアルベド。それに続くように、他のメンツもそれぞれバスを降りていく。メディア以外の研究所式神チーム、つまりダ・ヴィンチと四姉妹は出撃不可だが。ぶっちゃけ、前線に出すには不安なので。御成さんは残念ながら政治的な理由で、死んでも出撃させざるを得ないらしい。その辺はやる夫さんみたいに絶対外せない価値があるわけじゃないっていう点が問題か。

 しかし、こういう事がこの先続くなら、彼女達のレベル上げも真面目に考えた方がいいかもしれん。どうせ【聖都天草】を攻略したらその周りの小異界も潰して回る必要があるんだし、レベリング先としてはちょうど良さそうだ。

 

 

 

   ◆   ◆   ◆

 

 

 

 ジャガーマン藤村大河はデビルシフターである。彼女を修行させて覚醒させたガイア連合は世界制覇とか特に企んでない割と普通の秘密結社?である。ジャガーマンは人類の自由っぽい何かのためにメシア教会と戦うのだ!

 ……とか言ってみたりして。まあ、藤村さんが普段いろいろやり合っているのはファントムソサエティなのだが。

 

 真っ先にバスから降りたのは、藤村さんと柊さんの二人組。見た目は普通の一般人女性二人組。迷いのない足取りで近付いていくと、割とありふれたブロック塀とフェンスで囲まれた教会の敷地の正門へと歩み寄っていく。それに気づいたらしく門前の向こうで警備に立っていた門番らしき男二人が応対に顔を出した。

 どちらも日本人じゃない。二人とも金髪碧眼の西洋人で、つまりは地元の信者ではなく、メシア教徒として海外から派遣されてきた人員である可能性が高い、と。その姿に殺気立った様子は見られないが、エプロンにジーンズとかいうラフな格好の藤村さんと、割と一般的なブレザー制服の柊さんなので、一般人と見分けがつかないし、その辺は仕方なし、か。

 

「あ、信徒の方ですか? 礼拝は今、神父様方が出払ってしまっているので申し訳ありませんが────ガッ!?」

「対応が遅い。3点」

 

 外部から不審がられないようにか比較的常識的な応対をしようとした門番の腹に、一瞬早く動いた藤村さんの裏拳が抉り込まれていた。

 一瞬で地面に崩れ落ちる相方の様子を見て、残る門番の片方がようやく顔色を変え。

 

「っ、ディアベルはん!? 何でや、こないな時に侵入者やと!? 仁良とかいうオッサンを通してコンゲンジとかいう退魔組織とは話が付いとるはずやなかったんか!? しゃーない、こうなったらボストン第八区南東部中央第七ストリート北側にその人ありと言われたこのテンプルナイト・キバオウが相手────アベシ!?」

「話が長いニャー」

「ヒデブ! アベシ! ヒデブッ!?」

 

 慌てて武器を構えようとした猿顔の門番が、藤村さんの鉄拳を顔面に叩き込まれて空中に浮かび、追撃の連続蹴りを食らって吹っ飛んで門の中へと蹴り込まれ、地面をバウンドしながら転がって倒れ伏す。血反吐を吐きながら上体を起こした猿顔は、首から提げていた十字架のペンダントを頭上に掲げた。

 

「つ、強い……くそっ、こうなったら天使様、よろしゅうお願いします!」

『呼びましたか、ヒトの子よ。神の名において下等な悪魔どもを退けましょう!』

 

 猿顔が掲げたペンダントから薄緑に燃える生体マグネタイトの輝きが溢れ、その中から純白の羽毛を散らして天使エンジェルの小隊が出現する。数は三体、悪魔召喚プログラムもないにしてはそれなりの数だが、あの猿顔、正面戦闘はザコでも案外そっち方面の実力はあったのかもしれん。

 

「行きますよ、ペルソナ!」

「ジャガーマン、変身! トォ!」

 

 前衛の藤村さんの隣でペルソナを顕現させた柊さんが式神の大鎌を構え、それより一歩前に出た藤村さんも同時に悪魔変身を発動させる。全身から溢れるエメラルドグリーンのマグネタイト光を内側から引き裂いて躍り出るのは、巨大な鉤爪型の凶器を携えた野生の化身。

 

「おっと、そういえば派手にやれってオーダー忘れてましたニャー。それじゃまずは自己紹介から。世の為、人の為、ファントム……じゃなかった今日はメシアンの野望を打ち砕くジャガーマン!! この密林の輝きを恐れぬのなら、かかってこいっ!!」

「「『いや、虎だろ』」」

 

 門番と、天使と、柊さん。三人の心が一つになった瞬間だった。ついでに、離れたところから見ていた僕達の分も。

 

 その姿は、虎。

 どう見ても、虎。

 どこから見ても立派な、虎。

 

 タイガーである。

 

 ゆるキャラじみた虎のキグルミを着込んだ藤村さんにしか見えない。猫科肉食獣を模したキグルミはまあいい……かどうかは別としても、イエローとブラウンの横縞を配したあの柄は、何をどう考えてもジャガーではなく、虎。あれでも普通に妖鬼ジャガーマンの力を宿したデビルシフターであり、で、ある以上はジャガー獣人の姿に変身するのが正しいはずなのに、あの姿はどこからどう見ても虎以外の何物でもない。しかもキグルミ。

 

 絶対、ジャガーじゃない。

 

 だが、ジャガーに理屈は通じない。

 

「私を虎と呼ぶな」

「『あっハイ』」

 

 倒れてはいたもののまだ死んではいなかったもう一人の門番が、長柄の先に肉球グローブを取り付けたかのような異形の凶器の一振りに切り刻まれてバラバラの肉塊になって解体される。ドサドサと乱暴に骨肉の塊が転がり、噴き出す血液が雑に赤黒い水溜まりを作り出す。

 それを容赦なく踏みにじるように前に出た妖怪タイガーが、またあからさまに怪しげなポーズを取って。

 

「んでもって、もっと派手に行くニャー! て~れって~、なかまをよぶ~!」

 

 ぽん、と軽い破裂音が響いて、藤村さんの背後で小さく爆発が四つ、白い煙が弾けると共にその中から姿を現すのは、藤村さんのキグルミをコピペしたようなゆるキャラの軍団。藤村さんを中心に五人揃って何かそれっぽいポーズを決めて。

 

「ジャガーイエロー!」

「ジャガーレモンイエロー!」

「ジャガーライムイエロー!」

「ジャガーサルファイエロー!」

「ジャガーサフランイエロー!」

 

「「「「「五人揃って、ジャガーマン!」」」」」

 

 日曜特撮の戦隊よろしくポーズを決めるジャガーマン達の背後で、何かそれっぽい爆発が起きる。その爆発に巻き込まれた柊さんが煙に巻かれて咳き込みながら少し離れた場所に離脱、ブレザーの袖で顔を拭って、被った煤を乱暴に落とし、舌打ち一つ。

 

「待てや! そこは赤三人に黄色二人やろが! 真面目にやらんかい!」

「馬鹿め、赤いジャガーなど自然界には存在せんわ!」

「おまえのようなジャガーがいるかァアアアアアアアアッ!!」

 

 思わずツッコミを入れた猿顔がジャガーマンの謎凶器のフルスイングを顔面に食らって吹っ飛ばされ、吹っ飛んだ先にいた天使たちが巻き込まれてボーリングのピンのようにまとめて地面に転がった。そこに向かって、一斉に飛び掛かったジャガーマンが謎凶器を振り上げて襲い掛かる。

 

「ヒャッハー! 総攻撃チャーンス!!」

 

 そこから先は、数の暴力だ。四方八方から連携を取って飛び掛かるジャガーマン軍団に翻弄され、最後に残っていた天使もマトモな反撃もできずにバラバラにされ、柊さんや鈴木さんの出番も無くなってしまった。この調子では敵が集まってくる前に敵が全滅しそうな気配だが、まあいい。とにかく、僕達は僕達の仕事をしよう。

 

「んじゃ、あっちは藤村さんたちに任せて、僕達は行きましょう」

「だな。こんなところまで見物に来たわけでもねえ。さっさと行くぞ」

 

 ってなわけで、僕とメディア、霊視ニキとモードレットさんと併せて二チームで教会の裏手に回る。ちょうどいい事に裏口があるようなので、とりあえずそのドアに向かう。教会内部は最低限の異界化が施されているようだが、これ割と急造じゃないか? ドアに仕込まれている防御魔術も明らかに有り合わせというか、出来がインスタントな感じ。

 

「ま、この程度なら僕でも五秒で解呪できますね。まあメディアの方が速いのでそっちですけど」

「おう、アンタがいると楽でいいな」

 

 と、大した抵抗もなくドアを蹴り開けると、ひたすら純白の内装に金色の装飾が施された、端麗な西洋風の古城のような廊下が広がっている。いや、天使や聖人といった宗教的なデザインのステンドグラスやレリーフをあちらこちらに配したそれは、古城というよりは聖堂か。だが、そこには人の気配どころか、自然に湧いてくる悪魔の気配すら存在しなかった。

 

「……これ、本当にマジで誰もいないの? 透明化とかで姿消してるだけって事はない?」

 

 ここまであからさまに誰もいないと、普通は逆に罠の可能性を疑うのだが。

 

「いえ、私のレーダーにも反応はありません」

「俺の目にも何も映ってないな」

「……マジかよ」

 

 エネミーソナー、反応0%。そんな状態だ。探知機能付きペルソナを持つメディアと、肉弾戦以外のその霊的資質の大半を見通し見抜く事に特化した浄眼に注ぎ込んだ霊視ニキの索敵能力は、ガイア連合でもトップクラスだ。その二人が何もいないと言うなら、つまりそれはマジで誰もいないという事なのだろう。

 

「い、一応罠とか、あるかもしれないから……!」

「あ、そこ罠だぞ」

「そことそことそこも罠ですね。気を付けてくださいマスター」

 

 敵がいないなら、少しくらい派手にやっても問題なし。とりあえず罠がある位置に魔法を撃ち込んで雑に潰しながら、手早く前に進んでいく。とはいっても異界化も最低限、せいぜい直径100m程度の異界であり、そこまで広いわけではない。せいぜい数十メートルも歩けば、あっさりと中心に到達してしまう。

 

「どっからどう見てもあそこですね。破ってください」

「応よ」

 

 廊下の突き当たりに、黄金色で装飾された豪奢な扉。メディアがペルソナでドアの結界機能を一時的にダウンさせたところに、霊視ニキがドアの中心に蹴りを叩き込んだ。ダンプトラックでも出せないような爆弾じみた衝撃に耐え切れず、ドアがひしゃげてそのまま室内へと吹っ飛んでいき、同じように反対側から吹っ飛んできた別のドアと正面衝突して部屋の中央で残骸になる。

 こっちと似たような感じで蹴破られたらしき反対側のドアの向こうには、蹴りを放った後の体勢で足を突き出していた藤村さんの姿がある。その向こうには柊さんや鈴木さん、アルベドの姿も見え、どうやらこの場所にはほぼ同着といったところだろうか。

 

「………………どうなってんの、コレ?」

「そんなのこっちが聞きたいぞ」

 

 微妙な気まずさを伴って、2チーム合流。黄金の聖堂に踏み込んだ僕達は、そこでこの異界の主と対面した。そこにいたのは、波打つ金色の長髪と、墨のように黒い貴族服が特徴的な壮年の男性。少なくとも外見は、そのように見える。だが、その酷薄なアイスブルーの瞳だけは爛々と輝き、こちらを睨みつけている。

 

「……来たか侵略者共。主に祝福された子羊の群れに紛れ込み、堕落へと誘わんとする悪魔の山羊共め」

「祝福ってのは人間の頭狂わせて、意志のない人形に変える事か。何が祝福だ、オマエらメシアのやり口はよく知ってるよ」

 

 鋭利な杭槍を構えてこちらに向けるその悪魔を前に、霊視ニキの巨体が鼻を鳴らして前に踏み出した。モードレットがその隣に並び、藤村さん、柊さんも前に出る。貴族服の悪魔は微妙に焦点が外れた視線で傲然と見返して、一人一人を見渡し、その視線が後衛として構えている鈴木さんと僕、御成さんに向かうと、全身を分厚い黒鎧で覆ったアルベドが視線を遮るように立ち塞がった。

 

「個体名、猛将ヴラド! レベル38、火炎・精神耐性、呪殺・破魔無効です!」

「ふむ、そこそこ強いな」

 

 メディアの声が響く。なるほど、ドラキュラのモデルになったルーマニアの竜公か。某スマホゲーだと極刑王などという綽名で呼ばれていたが、その名の通り苛烈な統治と刑罰から串刺し公として恐れられドラキュラのモデルになった伝説的な偉人。

 

「猛将とは……まさかメシアン共、ドリーカドモンまで実用化してんのか!?」

「愚かな。祝福溢れる我らが教会はそのような下らぬものを必要とせぬ。才ある信徒の犠牲と献身により、教会の守り手となる聖人を召喚する事を可能としたのだ。これぞ信仰が起こす奇蹟、貴様らには真似できぬ領域だ」

 

 つまり、人間をドリーカドモンの代用にして造魔を経由、適当な悪魔と合体させて猛将の完成、と。想像するに、まあそんなところだろう。“ドリー=クローン羊”で“カドモン=ヒトの原型”となれば、ドリーカドモンとかいうアイテムの正体というか性質は何となく想像がつくし、それならそれを人間で代用できるってのは割と納得がいく。なるほどメシアらしい技術展開だ。

 

「なるほどねー……真Iだとメシアンって結構いい合体素材になったもんな。肉としちゃ上等だ。そういう理屈なら納得が行く」

「卑しき異教の山羊であれば、その程度の理解しか及ばぬか。神の愛を理解できぬ愚かな異教徒共、救われぬ貴様等は、せめて我が与える刑罰にてその罪を償ってゆくがよい。さすれば地獄の刑も羽根一枚の重さ程度には穏やかなものになるであろう」

 

 がしゃり、と金属が噛み合う音を鳴らして、ヴラドが手にした杭槍をこちらに向ける。その先端が狙うのは、真っ先に最前線を担って飛び出した霊視ニキだ。その背中を追い掛けるように、鈴木さんが左右に召喚した幽鬼と悪霊と息を合わせて三重の支援魔法を展開。

 それを見て手元の杭の向く先を変えたヴラドが投擲した杭槍は、間に割り込んだアルベドの大盾が受け止める。杭の質量に見合わない巨大な激突音が鳴り響き、しかしアルベドの盾は未だ健在。その事実に舌打ちを漏らしたヴラドの懐に、既に霊視ニキが肉薄していた。踏み込みと同時に幾重にも連なる槍衾にも等しい連突を、ボクサーのそれに似た、しかしその数十倍にも及ぶ神速のステップを踏んで霊視ニキは踏破。そのまま突き出すのは一直線のストレートだ。

 どご、と爆撃にも似た重低音を鳴らして、ヴラドの胸板がひしゃげる。その体幹を半ば歪ませる超威力の剛拳を、しかし足を踏み鳴らして持ち堪えたヴラドは、頭上に振り上げた杭槍の柄を鈍器のように振り下ろして対応する。

真っ向唐竹割に迫る打ち下ろしが放たれる直前、背後から絡み付くように押さえ込んだ鉤爪は、肉食獣の隠密性で忍び寄った藤村さんの謎凶器。同時に飛び掛かったもう二体のジャガーマン、突き出した肉球熊手の片方がヴラドの軸足を払い、残り一本で深々と脇腹を抉る。たまらず膝を突いたヴラドの反撃が過たずジャガーマンを貫くが、それは藤村さん本体ではなく召喚された仲間個体。

 

「っぐ、おのれ侵略者めが、叩き潰してくれる! そこに直れ!」

「ざぁん念、遅いニャー!」

 

 立ち上がったヴラドが杭槍を振り払うヒートウェーブで拘束を解くも、既にその攻撃範囲から霊視ニキと藤村さんは退避。左右から挟み込むように召喚した邪鬼ウェンディゴのブフーラ、邪神バフォメットの放つテンタラフーが冷気と麻痺の二重奏、鈴木さんが放つジオンガに合わせて動きを抑え込むと同時、僕の背後に浮かぶペルソナ『ドウマン』がその正面に無数の呪符を浮かべており。

 

「そこだ、拡散閃影殺────!」

 

 呪符が無数の魔弾と化す。放たれるのは弾幕の奔流、全身に白い霜を浮かべながら、冷えて麻痺した躰では回避は不可能。鈍った全身に魔弾の渦が直撃、踏み止まろうとするも抑え切れず、一歩、二歩と後退していくヴラドの背後から影が差す。

 

「そこです、スペシネフ、モード“罪”!」

「愚かな、遅い!」

 

 両足に展開するのは武装型ペルソナ『星・イーリス』、銀色の脚甲を象った単純極まりないそれが生み出す超加速を捕捉し切れる悪魔などそうはいない。その手に振るうは武装型式神『スペシネフ』、無数の部品が噛み合う稼働音を上げて変形する形態は首刈りの大鎌。

横薙ぎ一直線に振るわれた断頭刃がその首を狙い、しかしヴラドは一瞬早く、手にした杭槍を自身の首との間に挟み込んで致命の一撃を防いでいた。受けたまま放たれる足払いの蹴りを柊さんは跳躍して回避、そのまま杭槍の柄に引っ掛けた大鎌の刃を軸に回転するようにして頭上を飛び越え、すれ違いざまにその肩口を切り裂いていく。

 

「おのれ淫婦めが、神の裁きを受けるがよい!」

「貴方は神様じゃありませんけどね。神の名をみだりに唱えるなかれ、忘れました?」

「っ、小賢しい売女が神を語るか!」

 

 バトンのように回転させて撃ち合わされる杭槍と大鎌が互いの軌道を弾き合い、何度もぶつかり合うたびに激しい火花が散って弾ける。激突に激突を重ねて幾重にも金属音を響かせ、足りない膂力を速度で補い、しかし軽い威力の隙間を縫って突き込まれる杭槍の一撃に、モードレットの大剣が割り込んで弾き落とす。

 そこからは選手交代、モードレットの剣と杭の打ち合いに、左右から割り込む大鎌の刃、加えて藤村さんの長柄肉球の波状攻撃が加わり、ヴラドの槍は手数が追い付かずに少しずつ押されていく。

 

「っ、やはり単身では分が悪いか。ならば……!」

 

 杭槍を大きく一振りして間合いを稼いだヴラドの魔力が膨れ上がり、その力を解き放つ。溢れる魔力が冷気に変換され、舞い散るダイヤモンドダストと共に射出される無数の氷杭。打ち寄せる波がそのまま鋭利な氷杭に置き換えられたように押し寄せる串刺し刑の波濤が空間を制圧する『大冷界』。

 その後を追い掛けるように発動するのはさらなる範囲攻撃、ヴラドの固有スキル『杭の葬列』、異界を構成するテクスチャそれ自体に干渉する事で構造を作り替え、床から顕現するのは鮮血に塗れた無数の杭。巻き込まれれば串刺し刑。触れれば回避力低下と吸血効果を伴った無数の殺人杭は、時間と共に効果範囲を拡大して広範囲を制圧する厄介な技。

 氷杭と吸血杭、二重に押し寄せる串刺し刑の波濤を防ぐには、それこそ迎撃する以外の手段が存在しない。

 

「だったら、全部叩き落せばいいってなあ!」

 

 真っ正面に踏み込んだ霊視ニキの両腕が唸りを上げる。単純極まりない圧倒的な膂力と速度に任せた連撃が、次から次へと迫る杭の波濤を砕き散らしていく。そんな霊視ニキの背中に向かって支援魔法を集中させつつ、その隣に飛び込んで大斧片手に迎撃に加わる鎧姿のアルベドを援護する形で、鈴木さんが魔法を乱射して片っ端から杭を撃墜。

 同時に僕も妖獣形態に変化してその妖力を発動。雷雲の変化である妖獣ヌエの性質を活かした黒雲変化、不定形の暗雲に姿を変えて降り注ぐ吸血杭の間をすり抜けてヴラドの背後に回り。

 

「何の、遅いわ!」

「っ、ナスビ!」

 

 背中越しに投射されるヴラドの杭槍の正面に召喚されるのは、サイバーゴーグルを装着した紫のアガシオン。手にした可変式機関大盾『オルテナウス』の防御機構が突き込まれてくる杭槍の切っ先を弾いてかち上げ、その背後から灼熱のファイアブレスを吐き掛けると、苛立ち交じりの呻き声を上げたヴラドは氷結魔法を放ち相殺。

 そんな事をしているから、杭槍の投射がいつの間にか途切れている。つまり、霊視ニキが間合いに踏み込んでこれるという事。後退の一歩を踏んだところに、一気に踏み込んだ霊視ニキの剛拳がヴラドの顔面を捕え、踏み止まり切れなかったヴラドが吹っ飛んで聖堂奥の祭壇に激突、その構造を盛大に陥没させた。盛大に埃が舞い上がり、砕けた祭壇の破片を落としてヴラドが呻きながら体を起こす。

 

「遅いわ、神の裁きを受けるがいい異教徒共!」

「っ、させるか!」

 

発動するのは軍勢召喚────サバトマオン。無数の魔法陣が展開するよりも速く、霊視ニキが真っ正面から踏み込んだ。距離を詰めるのは一瞬、拳を放つのも一瞬、だがそれでも、どうしようもなく一瞬が足りない。藤村さんと鈴木さんの援護を存分に受けた砲撃にも等しい剛拳の連打を杭槍一本で凌ぎ切ったヴラドに向けて、柊さんと僕が召喚した凶鳥アンズーが一気に肉薄するが、それでも一瞬遅い。

 

「まずっ……!」

「止められない!?」

 

 水面に無数の小石をバラ撒いて波紋が生まれるように、空中に無数の魔法陣が多重展開、互いに相互干渉しながら拡大し、その中から金色の光が溢れていく。現れるのは無数の天使、格こそ最低限ながら数はそれこそ数えるのも面倒な程、それこそ部屋いっぱいといえるほど。

 

「ふっはははハハハハハ! この異界のMAGも盛大に削れるが、それでもこの数は捌き切れまい! これで貴様らも終わりだ! おお主よ、我が献身、邪悪なる異教徒の魂をここに捧げます!」

「とか言うて結局、呪殺耐性がなきゃマハムドオン一発なんだけどねー」

「………………え?」

 

 もはやうんざりするほど部屋中に溢れ返った天使共が、僕と鈴木さんが発動したマハムドオンに巻き込まれて一瞬で全滅する。そして同時に胸元を押さえて猛将ヴラドが膝を突いた。BOSS耐性で即死無効化と思っていたが、どうやら普通に効いたらしい。食いしばりで耐えたようだが、後一発殴れば試合終了、って感じか。

 

「おのれ……異教徒め、侵略者め……この屈辱、必ずや…………ッ!」

 

とはいえヴラドの目はまだ死んでいない。むしろ最後に一矢報いる機会を逃さないとばかりに、爛々と輝いている。この世界、ダメージを一瞬でリカバリーする方法には事欠かないから、まだまだ油断は────。

 

「死ねニャー」

「ゴフッ!?」

 

 あ、死んだ。

 

 感動も何もなく、背後から忍び寄った藤村さんの謎凶器にフルスイング食らって死亡。何ともあっけない幕切れだった。

 

 

 

   ◆   ◆   ◆

 

 

 

 で。

 

 さっきのヴラド自体は異界の主だったようだが、主を喪って異界が消失する前にネクロマしてアンデッド状態で蘇らせ、その上で一時的に異界の主を代行させたので、この異界がすぐさま崩壊する事はなさそうだ。

だからまあ、戦闘が終わったら探索の時間、というわけで。当初は聖堂をあちこち探しても、それっぽい場所とかそういうのは見当たらなかったのだが。

 

 聖堂に付属していた小部屋、おそらくは日々の礼拝なんかの催しの為の準備室みたいな部屋なのだろう、そんな感じの部屋を発見。薄暗い部屋の中には小規模な礼拝のための小祭壇と共に、小道具を安置するための戸棚や、祭服を仕舞っているロッカーなどが並んでいる。そんな感じの飾り気のない部屋、なのだが、そこを漁ってみたところ。

 

「マスター、そこに隠し扉があります」

 

 と、ロッカーが並ぶ壁の一角を指さしたメディアの指摘で、あっさりと隠しスペースが発見された。

 

「んじゃ霊視ニキ、マスターキーお願いします」

「おう、任せとけ」

 

 別に、鍵を確保してあったとか、そういう事じゃない。単に暴力は全てを解決する、というだけの話。重機同然の怪力を発揮した霊視ニキが壁からロッカーをむしり取るようにして横にどかす。剥がれたロッカーを乱暴に放り捨てると、カラッポの金属が転がる甲高い音を立てる。

 ロッカーが置いてあった後には隠し扉のギミックの残骸であろう、何かしらの仕掛けの痕跡があったが、それも全部今ので壊れた。後はそこの壁を霊視ニキが殴り付ければ、背後に空間があった偽装扉はあっさりと吹っ飛んで、裏にあった隠し階段を露わにした。ぽっかりと開いた明かりのない狭い階段が地下へと続いている。

 

 階段は案外短かった。降りていくと、そこは地下。広がる地下空間は聖堂と同じくらいの広さらしいが、いくらかのスペースに区切られているせいでそこまで広いというイメージがない。その中にあった一室から漏れてくる血生臭い匂いを辿っていく。

 鉄格子で廊下と区切られたその一室は、寒々しくも生々しい血の匂いが漂っていた。冷たい電灯の明かりで照らされた石造りの室内、壁や天井からは鉄鎖が垂れ下がり、床には大きな排水口が設けられている。

 

「チッ、趣味悪ぃ……牢屋っていうか、拷問室だな、こりゃ」

 

 モードレットの呟きを肯定するように、壁際の棚の上には鞭や鉄枷といった拷問用の器具が並んでいる。割と似たような部屋が完備されている事も多いメシア教会だが、ここまであからさまな設備が整えられているのは、少なくとも日本では割と珍しい。

 そんな部屋の中央に、人型をした何者かが吊るされていた。気配からするに悪魔、しかしその姿はどうにもちぐはぐだ。髭を生やした赤ら顔の顔付きは日本人に近く、あちらこちらが破れて血が滲んでいるが、簡素な薄緑の着物を着ている辺りは日本産の悪魔なのだろう。だが、その割に首から提げられている聖母像をあしらったペンダントの存在が、その所属を不可解なものにしていた。

 

「メディア、アナライズを」

「はいマスター……英傑キンツバジヘイ、レベル2。耐性は破魔無効、呪殺耐性、精神系状態異常無効。スキルは『ヤマオロシ』『エストマ』『トラフーリ』『勇者の精神』『アリ・ダンス』『伴天連妖術』」

 

 メディアの声がアナライズの結果を告げる。随分と弱い悪魔だが、種族『英傑』か。首を傾げつつスマホからネットで検索してみるが。

 

「“きんつばじへい”ねえ。子供の頃、絵本で読んだ気がするけど……って、一神教の聖人だと!?」

「おいおい嘘だろ、何でそんな野郎がメシア教の拷問室に捕まってんだよ!?」

 

 金鍔次兵衛。江戸時代初頭に殉教した隠れ切支丹の司祭の一人。正体を隠して長崎奉行所に潜入して囚われの身の司祭や信徒に接触しつつ情報を収集、正体が発覚した後も妖術を使っているのかと恐れられるほどの手際で三年間にも渡る逃走を続け伝説となったリアルニンジャ。バチカン公認で聖人一歩手前の位置にいる偉人である。

 

「……どうするよ、コレ」

 

 頭痛そうに額を押さえたモードレットの言葉も、まあ仕方がない。マジでホントにどうすんのコレ。そんなノリで、問題の英傑に視線が集中。一歩分の距離を取り、武器と共に警戒の目が向けられる。本気で始末に困って僕達が顔を見合わせたその後ろで、ようやくやってきた御成さんが声を上げた。

 

「あの……各々方、そちらの方の治療はしないでよろしいのですか?」

「「「「「あっ……」」」」」

 

 そういえば忘れていた。というか、ここで捕縛されていた上にあからさまに拷問の跡まであれば、その時点で敵かどうかはともかくとしても敵の敵である事は確実だ。なら最低限の治療は施して、情報を聞き出すのが先決か……と、御成さんが真っ先の治療を始めたな。

 

「もう大丈夫ですからな、しっかりするのですぞ! ディア! ディア! ディア! っ……やはり未熟な拙僧の力では……!」

「メディア、任せた」

「はい、それじゃあすぐに治してしまいましょう!」

 

 モードレットがキンツバジヘイを吊るしていた縄を切り、それをアルベドが抱えて床に下ろす。そこに素早く駆け寄った御成さんがディアを放つが、どうやら治癒阻害の呪詛でも食らっていたようで、なかなか回復に至らない。よって、メディアのアムリタで解呪してからディア一発で回復終了。

 

「おお! お見事ですぞメディア殿! よかった! これで助かりますぞジヘイ殿!」

 

 と、御成さんがキンツバジヘイを助け起こすと、キンツバジヘイは身を震わせながら声を上げた。

 

「……待ってくれ、まだ子供達が…………俺より先に、まずそっちを…………」

 

 ん? 子供? 何の話かな?

 

 

 

   ◆   ◆   ◆

 

 

 

 結論から言うと、この英傑キンツバジヘイ、冗談抜きで本物の英雄だったらしい。

 

最近出来上がったばっかりの近くの天使異界からその辺の天使エンジェルとかに紛れてイレギュラー的に湧いて出てきた彼は、当初メシア教会と合流するも、彼らによって【聖都天草】に召喚された『大天使ヤズラエル』に生贄を捧げるべく近隣の子供を誘拐した事でメシア教会と袂を分かち、子供達を救出して安全な場所に隠したのだそうだ。

 あの雑魚エンジェルにすら劣る低レベルさ加減で天使共の隙を突いて子供を救い出し、挙句の果てには安全な場所まで避難させるなんて離れ業をやったとか、本気で意味不明だ。この世に奇跡とかいうモノが実在するとしたら、それはまあ、こういう事なんだろう。さすがにタダでとは行かなかったらしく、代償として彼自身は天使どもの捕虜になり、子供達の居所を吐かせるべく拷問に掛けられていた、というわけだが。

 

「────隠れ切支丹の殉教者相手に拷問なんて、何か意味あるのかね?」

「まあ拷問も処刑も、俺にとっては今更な話だからな……」

 

 結局、そういう話である。実際、あと数分遅ければそのまま首を刎ねられているところだったらしいので、まあギリギリだったろう。そんなわけで、近くの防空壕跡に貼られた結界の中に隠されていた子供達を救出した後は、御成さんに頼んで英傑キンツバジヘイ共々、近場にある根源寺の拠点へと移送してもらう。近場といっても福岡なので、まず戦いの巻き添えになる事はないだろう。

 

 そんな子供達だが。

 

「神様は、僕達を助けてくれないの?」

「いいえ、そんな事はありませんぞ! こうして貴方達を救うべく聖人であるジヘイ殿を遣わしてくださった事こそ、貴方達の神が貴方を愛している何よりの証拠ではありませんか!」

「……本当?」

「無論です! 僧侶であるこの拙僧が保証いたしますぞ!」

 

 そんな、子供達と御成さんとのやり取りが印象に残っていた。

 

 で、御成さんとはここでお別れ。でもまあ、僕達の仕事はまだまだ終わってないわけで。キンツバジヘイの話によれば、メシア教会が召喚した大天使ヤズラエルはまだ【聖都天草】に残っている。そもそもメシア教会が【聖都天草】に大天使ヤズラエルを召喚したのは何らかの実験の為だったようだが、放置しておくのもアウト。

 その実験が詳細にどういうモノだったのかはキンツバジヘイ本人どころか、ネクロマで再召喚した猛将ヴラドすら与り知らなかった事だが、現在のヤズラエルは休眠状態のまま【聖都天草】の支配権を乗っ取り、そこから地脈を侵食して膨大なマグネタイトを吸い上げてその存在を肥大化させつつあるのだとか。

 メシア教会の人員が出払ってしまっているのは問題の大天使ヤズラエルをどうにか覚醒させたい、とかいう話であるらしいが、だからといってここまで人員が出払っているのは不自然過ぎる。ぶっちゃけ怪しい。

 

 ともあれ【聖都天草】、早急に攻略する必要がありそうだ。

 

 

 

 




”ア”ズラエルではなく”ヤ“ズラエル。

ところで、何故かジャガーマンの自己主張が激し過ぎる今日この頃。どうしてこうなった?


~割とどうでもいい設定集~

・英傑キンツバジヘイ
 長崎の御当地英雄。隠れ切支丹のリアルニンジャ。某スマホゲーなら☆1アサシンくらいでフレポガチャから出てくるくらいの知名度。どういうわけか絵本にもなってて文部省の御墨付も出ているとかいう訳分からんね、もう。
 絵本の方はニンジャというよりはリアル人斬り抜刀斎。
 史実のリアルニンジャと絵本の不殺抜刀斎のイメージが入り混じってこんな感じになった。
 メシア教会のせいでイメージが天井知らずの自由落下無間地獄真っ逆さまな一神教系悪魔のフォロー的な部分と、ヴラドと一対一で対になる感じの英雄という在り方、とかそういった具合。

・メシア式英雄合体

1.まず信仰の深い信徒の子供を1人用意します。適当な候補がいなければ適当なところから適当な子供をさらってきて洗脳しましょう。
2.1を洗脳して、頭の中身をきれいさっぱりデリートします。この時のデリートをきっちりやればやるほど生産物の精度が上がっていきます。
3.純粋無垢な肉の器ができたので、それを依り代に過激派天使をインストールする事で、純粋な肉の器に宿るケガレなき純粋な魂を持つ個体が完成します。
4.3を造魔の代用品として適当な素材と悪魔合体する事で、適当な英雄が完成します。

 だいたいこんな感じ。当然だが欠点もいくらか存在し、

1.純粋な技術不足による精度不足。ぶっちゃけ本来のヴィクトル式英雄合体よりレベルが落ちる。そもそも規格化可能なドリーカドモンと違って、素材にされる子供一つ一つ、個人差があるから仕方ないね。
2.天使をベースにしているので、一神教に加担する英雄・猛将限定。たとえばアーサー王の騎士でもキリスト教色の強いのしか作れず、妖精色・土着信仰色の強いのは自動的に失敗してスライムになる。
3.そもそも最大の問題として、本質的に中身が過激派天使。メシア教会で使う以上、(過激派)メシアンにとっては何一つ問題にもならないが。要するに対魔忍組織の中で頭対魔忍である事が何一つ問題にならない、ってくらいのレベルで大問題。
4.というか、それ以前に成功率が途方もなく低い。当たるまで引けば実質配布と一緒でも、ガチャ券に相当する子供を大量に調達する目途が立っていないのが一番の問題。メシアの勢力圏であるアメリカや欧州では大量の子供を使い潰すのはどう考えても組織犯罪だし、アフリカやアジアの一部のように人間の命の値段が安上がりな地域はこの時期はまだ多神連合の勢力圏で手を出すのが難しい。一番可能性があるのは、中南米から合衆国にやってくる移民を捕獲する事で、ヴラドの素材もそうやって調達された。

 と、こんな具合なので天使召喚プログラムが開発された時点でほぼ御役御免。コストが掛かるからね。
 なおこの時期、子供の調達問題をどうにかするためにクローンを大量生産する技術の研究が進んでいたり。その辺の技術が後に、本家様の外伝で出てくる仁奈ちゃん大量生産祭りに繋がってくる模様。

・猛将ヴラド
 御存じヴラド三世。アポでは超カッコいいけど不幸なランサー、FGOなら超カッコよくて頼れるバーサーカー。
 ぶっちゃけ呼び出した側がメシアンじゃなかったらそんな感じになってた。もしくは見敵必殺(サーチアンドデストロイ)しちゃう人の方かもしれんが。つまりだいたいメシアンが悪い。
 作者がWikipediaで一通り史実のヴラド三世を調べた後のイメージは、美化された分を差っ引くと、相応の合理性と、何より冷酷な独裁的指導者。多分行動原理としては戦国大名に近い感じだと思う。ただしオスマンの侵略からキリスト教世界を守る盾としての役割を果たしたのは間違いなく、聖人には程遠いが紛れもない英雄ではある、そんな感じ。
 総じて百人殺せば英雄になれる、の具体例で、自らが死ぬ事で殺さず英雄になったキンツバジヘイと比べると、まあ実に対照的かな、と。

・テンプルナイト・キバオウ
 元ネタは『ソードアート・オンライン』。
 本日の犠牲者。まあ腹パンされた挙句身動きできないところを見せしめみたいな感じで解体されたディアベルさんよりは、割とセリフがあっただけマシだが。
 相棒であるディアベルが聖鉄鎖騎士団のメンバーの中では割と穏健派寄りの立場であり、騎士団のブレーキ役を担っていた(のでその内に二人とも粛清される予定だった)ため、シワ寄せ食らって襲撃の時はハブにされて門番やってた。結果的にはジャガーのエサにされたが、コープスのエサにならなかっただけ幸せだったかもしれん。
 ちなみに実はコイツらは地元に普通に建っていた一神教の教会を強引に徴発・占拠して勝手に異界化、拠点にしていた。一般人の一神教信徒が入ってくるとかそういう可能性もあるわけだが、そういう哀れな犠牲者がどうなったかというと……まあ、あれ、ジヘイ殿の活躍で子供だけは助かったというか、まあ。

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