◆ ◆ ◆
緑色に塗装された土管が並べられた畑を眼前に、キッチンカー型シキガミ『ザイダベック』から展開させた仮設キッチンを広げて、私は本日も料理人としての腕を振るっていた。
綺麗にヒゲを取ったモヤシを中華鍋に放り込み、フライ返しを活用して刻んだニンジンと合わせ、じゃこじゃこ音を立てて炒めていく。さらに骨付きコーンとマグロ豚肉も投下しつつ、じゅうじゅうと音を立てて美味しそうな匂いを漂わせた野菜炒めが完成に近づいていく。
同時進行で煮込んでいたスープもいい具合、豚骨と味噌のいい匂いが漂ってくる。
私が所属するガイア連合料理部と、農業部との縁は深い。農業部が作り出した新種の食材────探求ネキが作るトリコ食材に代表される野菜とか食用生物などなどエトセトラ、数々のガイア連合製オカルトの食材調理法、実際に料理として供されるレシピの数々を考えるのは、私達料理部の仕事なので。
例えば牛と豚とニワトリが入り混じったキメラ『牛豚鳥』。部位によって牛肉、豚肉、鶏肉と味が変わるのはいいが、じゃあどの部位がどの肉に該当し、どのように調理するのに向いているか。
例えば大量の微生物を蓄積し、成長につれて天然の発酵食材として機能する『チーズ白菜』。肝機能を向上させる上に強力なアルコール分解作用を持ち、酒のお供としてつまみに供する時には分量や調理法を間違えたら酒に含まれるアルコールを分解してしまうため、そもそも“酔えない”。
例えば地下茎以外の全てが食材となる霊草『メンマ竹』。そのまま茹でると縮れ麺になって食べられるという性質を持つが、どのくらいの火力で何分茹でればいい具合にコシのある麺が食べられるのか。あるいはそもそも、それ以外の料理に使えないのか、どうか。
そんなあれやこれやを研究するのも、料理部の立派な仕事だ。
「……なあ」
「何ですか?」
話し掛けてくるのは、別漫画じゃないかと思わせるくらいにムッキムキに筋肉を発達させたガタイのいい禿頭の男性────農業部のナッパニキ。
元々は空豆をベースに回復能力を持たせたオカルト作物『仙豆』の栽培に携わっていた彼だが、最近めでたく生体改造系のスキルに開眼したそうで、そんな彼が新たに開発した大豆ベースの仙豆についての評価担当として派遣されてきたのが今日の私、なのだが。
「あれ、止めないでいいのか? 放っておくとマズい事になりそうなんだが」
「…………ちょっと私には荷が重いかなって」
「それはそう」
ナッパニキが指差す先では、私の想い人であるアリスが、ショタオジを前に何やらプレゼンテーションを始めているのが見える。あの子もあの子で、豊穣、植物操作、生体改造という三つの権能をデフォルトで好き放題に扱えるシュブ=ニグラスというペルソナを持ち合わせているため、その辺の能力を鍛錬・研究する関連で農業部の片隅に自分の畑を持っていたりする。
で、そんなアリスの持ち畑が、ちょうど私の目の前、所狭しと緑色の土管を並べた、一目見れば聞き覚えのあるBGMを口ずさみたくなる感じのこの畑だ。
「────と、いうわけで、これが僕の作成した新植物『パックンフラワー』。セイタカアワダチソウを原種に、動物からはピラニアとプラナリアとクマムシとフクロウナギとオオニシキヘビ、植物からはウツボカズラ、ハエトリグサ、カヤツリグサ、ユリ、タンポポ、マダケ、コセンダングサ、アゼナ、イヌホタルイ、コナギ、オモダカ、ミント、サツマイモ、さらに菌類からはナラタケと納豆菌のDNAを配合 さらにKSJ研提供のクソメシアンセンサーの術式をDNAレベルで組み込む事によってメシアンと天使だけを狙う捕食植物が完成したんです!」
「つまり君は……プラナリアとクマムシ並みの異常な生命力を持った食人植物が、種が風に乗って遠くまで飛んでいくだけでなく、服や毛皮に貼り付いても移動する、しかも種以外にも球根やムカゴ、はたまた胞子と菌糸でも増殖し、匍匐茎や地下茎を伸ばして生息範囲を広げ、あまつさえイモのように地中に養分を蓄え、引っこ抜いたら地中に残った根から出芽して増える、しかも農薬に対しては継続的に耐性を獲得する、そんな最悪の雑草を作り出したって事かな?」
「大丈夫、襲うのはメシアンと天使だけです! しかもサツマイモの窒素固定能力があるから土壌改良にもなるし、根茎は食用にもなりますよ!」
などという光景が、ナッパニキが指差す先で繰り広げられている。
「ああ、だから大丈夫なのかと」
「いえ、普通に大丈夫でしょう。確かに、あのアリス作の凶暴な食人……食天(?)植物は、もしも畑の結界が切れたらパンデミック待ったなしの最悪の雑草ですが、それだけにマズかったらショタオジが止めてくれるはずですから」
「あー、うん。まあ、それはそうなんだが」
それよりも、今は大豆ベース仙豆の方が重要だ。大豆は肉や魚介類に並ぶタンパク源になると共に、乾燥させれば年単位での長期保存も効く。そして豆腐や味噌、醤油といった日本人としては欠かせない加工食品や調味料の材料にもなるのだ。
仙豆醤油という代物は割と普通に出回っているし、その前提条件というか前段階といえる味噌も同様に醸造されているのだが、ソラマメをベースとする通常種の仙豆から作られた醤油や味噌は微妙に味が異なるという事で、大豆をベースとする新種の開発が進められていたとの事。
今、私が作っている味噌ラーメンもその成果の一つ。
「はいアウト」
「うにゃー! 僕のパックンフラワー!!」
見れば、一面に広がる土管畑はショタオジの放った【アギ】一発で丸ごと焼き払われていた。それも予想通り……真っ先にアリス自身がそれを予想していた。
「あ、半泣きのアリス。珍しい表情ですね……可愛い」
「いや、まあ、分かり切った結果ではあったけどよ」
元々、あのパックンフラワーは巨大な爬虫類のごとき牙を持ち、メシアンや天使を貪り食うように設計された食人植物だ。だが、それと同時に窒素固定による土壌の豊饒化と、食用になる根茎を持ち合わせる事により救荒食物としても機能する雑草でもあった。
「終末後は、おそらくメシア教会の天下になります。もしパックンフラワーのパンデミックが起こったとしても、メシア教会の勢力範囲ではパックンフラワーは刈り尽くされ、駆逐されるでしょう。でも、それも完璧じゃない。メシア教会の勢力圏外ではパックンフラワーは増殖し、そして土地を豊かにしながら、人々の命を繋ぐ最後の食べ物になるでしょう」
「つまり、あの食人雑草の本質は“メシアン以外のための非常食”って事か?」
「はい。殺傷力があるのはメシアン嫌いのアリスが組み込んだ趣味みたいなものですね……まあ普通に最悪の侵略的外来種なので、ボッシュートも仕方ありませんが」
メシアンと天使を殺す事しか考えていないようで、結構色々と考えているのだ。
◆ ◆ ◆
畑から少し離れた木陰にて。
「アリス、ラーメン食べますか?」
「食べる!」
『私はあと一歩でリアルバイオハザードを起こしかけた悪い黒札です』と書かれたプラカードを首から提げた状態で正座しているアリスのところに二人分のトレーを運んでいく。餃子もセットだ。
プラカードを下げたままのアリスに彼女の分のトレーを渡すと、私はアリスの隣に座り、自分の分のトレーを膝に乗せて、割り箸を割った。
「……ちょっとズレましたね」
割り箸を割る時の力の込め具合が良くなかったようで、私の割り箸は中心線から微妙にずれた不均等な割れ方をしていた。それで食べるのに支障があるという程ではないが、ちょっと悔しい。
「料理部で、割りやすい割り箸とか開発されてないの?」
「生憎と、聞いた事はないですね。誰かが開発していてもおかしくはないですが」
そんな具合に軽く雑談しながら、ラーメンを食べる。
「どうでしょうか、今日のラーメン?」
「美味しいよ。やっぱり、自分のために料理作ってくれる人がいるって幸せな事だと思う……けど、作る側からすると不満がある感じ?」
「そう、ですね。こういう単純なレシピほど作り手としての未熟さが際立つといいますか、うーん……」
自分としては不満のある出来。表情を読まれたのだろうか、その辺この子は本当に鋭い。その割に、必要でない限り気遣うとかそういう事をあまりやらないが。
「色々と、難しいんだ」
「そういう事です。むしろ複雑なレシピほど豪華さで誤魔化せますから、そういう面では楽といいますか、まあ」
要するに、私の腕前が未熟というだけの話なのだが。
レシピ通りに作ればレシピ通りの品が出来上がるのも間違いではないので、“料理は科学”というのも事実ではあるのだが、レシピ通りに作れるのは当然というのが前提で、その上でレシピに書かれていない細かい部分で差が出てくるのもまた事実。
そういう部分で料理人の腕前が問題になってくるわけだが、まあ。
そんな具合に雑談しながら、二人並んでラーメンを食べる。
「フウカ、料理人視点だと一番厄介な食材って何?」
「マグロ豚の骨一択ですね。あれ、味が混ざってるせいで普通のレシピから流用が効かないんですよね。普通にスープにするだけなら難しくないんですけど、豚骨ラーメンとか他の料理に流用効かせようとすると、どうしてもマグロ味への対処が厄介で」
探求ネキプロデュースのトリコ食材の一つである、マグロと豚のキメラ生物。本マグロの大トロに酷似したマグロ肉と、上品かつしっとりと柔らかく適度な脂の豚肉を兼ね備え、豚肉・魚肉共に全体的にヘルシーで食べやすい傾向の食材ではあるのだが……骨の扱いの難しさだけが格別だ。
いやまあ、美味しいには美味しいのだが。
「探求ネキ作のトリコ食材……最近だと破魔ネキなんかもそっち系に手ぇ出してるんだっけ? …………そういえばフウカ、トリコ食材といえばベジタブルスカイとか、あるじゃん。最近だと幼女ネキが買ったとかいう話だけど、あれって実際に欲しいとか思う?」
「うーん、ベジタブルスカイそのものは食材の宝庫ですからね。料理人としては、欲しくないなんて言ったら嘘になりますけど……さすがに手が出ませんよ」
要は、お金の問題。
手持ちのCOMPでDDSを検索して値段を調べてみるが、軽く私が10人ほど破産するくらいの額がついていた。
「生態系ができてるから、維持そのものは難しくないと思うんだけどね。購入額がちょっとカッ飛んでるのは事実だよねえ」
「ですね。とはいえ……むしろ、何でアリスがそんな事を言い出したのかって方が、私としては気になります」
「うん、何というか、ね……」
そこで、ようやくアリスは本題を口にした。
「ベジタブルスカイそのものは難しくてもさ、そのベースになってる浮遊大地だけなら、ちょっと金策すればどうにか手が届きそうに見えるんだよ。だから、さ…………────ベジタブルスカイ、僕達で作ってしまわない?」
「なるほど……面白そうですね、やりましょう」
そう、これからの私の活動に大きく変化を与えるその始まりは、そんな言葉で伝えられたのだった。
◆ ◆ ◆
そんなわけで、私とアリスの金策が始まった。
私達が真っ先に目を付けたのは、使い魔製作だった。
シキガミを筆頭に、ガイア連合の技術で製造・使役可能な使い魔というのは結構多い。アガシオンもそうだし、クダやイヌガミ、トウビョウといった基本的なラインナップの他にも、ダ・ヴィンチラボから購入できる妖魔ビヤーキーや、土師ニキが個人技能で作り出す埴輪、初音郷のゴーレムなど、該当する使役魔は各種取り揃えられている。
だから私達がこの市場に参入したとしてもそこまでの利益を得る事はできないのは目に見えているが……まあ取っ掛かりの小金稼ぎには十分だろう。
そういう事で私達が作り出したのが『聖獣 ショウリョウウマ』だ。
お盆に作られるアレ……と言って分からない人が案外多かったのは意外だった。
作り方は至って簡単。
霊草化した生のキュウリに、適当なサイズに折った割り箸を突き刺して、後は軽く降霊術を行うだけ。野菜を扱う関係上、製作者には多少の【調理】スキルがあれば補正が付く事もあるが……それも多少止まりだ。
なお、代わりにナスを使えば『聖獣ショウリョウウシ』になる。
お盆飾りに作られる、民芸品とすら言えないような簡単な製作物だ。
その意義は、お盆の季節に死者の世界である浄土から現世に里帰りしてくる先祖の霊を送り迎えするための乗り物だ。
キュウリで作られる“迎えの馬”は、足の速い馬に乗って早く戻ってこられるように。
ナスで作られる“送りの牛”は、足の遅い牛に乗って、お土産と一緒にゆっくりのんびりと帰っていけるように。
そんなほのぼのとした、お盆の季節の風物詩として添えられる風習だ。
悪魔としても弱い。よほど無茶な作り方をしない限り、素の状態ではレベル1を越える事すら難しい。
だが、だからこそ現地民向けの使い魔としてはちょうどいい。
キュウリに足を付けたような雑な見た目とは裏腹に、騎乗できるし、馬の方は比較的足が速く機動力がある。
牛の方は【ハマ】を使って死者や破魔に弱い悪霊の類を昇天させる事だってできる。
そして何より、こいつらの最大の能力として────魂を持ち帰る事ができるのだ。
メシアンと戦って殺されれば、魂を奪われる。
メシア教会の主戦力である天使は、雑魚から強者までほぼ例外なくデフォルトでソウルキャリアーとしての属性を持っており、このため天使の群れを引き連れたメシアン共と戦って敗死する事は、遺体だけでなく魂すら持ち去られてその尊厳を陵辱される事を意味する。
これを防ぐためには、COMPのストックに冥府や死に縁がある悪魔を入れておき、何かあった時には魂を確保して持ち帰ってもらう必要があるのだが、それを用意するのも中々難しい。
だから、魂に関わる権能を持つ低位の人造魔の生産技術を確立しておくというニーズは間違いなく存在する。さすがに低レベルゆえの限界はあるとはいえ、最期の保険くらいにはなる、というのは間違いない。
……想像していたよりも収益が良かった。
あちらこちらの現地民によって生産されるようになったらしく、数は力という事で、パテント料が想定していたよりも数桁高い定期収入になった。
◆ ◆ ◆
次に私達が手を出したのは、探求ネキ作のトリコ再現食材の一つである『ウインナース』だ。ウインナーソーセージのごときナスの品種……というか、料理部の視点から見ればナスのように木として生えてくるウインナー、と言った方が正しいか。
それほどに“ナスじゃない”。完全にウインナーの味と食感を再現している。
「ウインナーにも色々ありますからね。一種類だけでなく、色々なウインナーの味を再現できるように品種を増やしてみましょう」
「悪くないね。ウインナースは植物改造の技術が一段階進んで、探求ネキが加工品の概念組み込みに成功した最初の作品だ。植物改造のレベルを一つ上げるための練習台としても最適だよ」
ベースになったウインナースは製作者である探求ネキ曰く『果肉はソーセージ並に肉厚で肉汁たっぷりであり、生食には向かないが、軽く炒めるとパリッとした食感で美味しく食べられる』とか。ちょうどソーセージの代名詞であるフランクフルトに近い味わいだ。
「じゃあ最初に挑戦するのはそれでいいか。フランクフルトソーセージ」
フランクフルトソーセージ。ソーセージ大国ドイツのフランクフルトを発祥の地とするソーセージだ。羊の腸で作ったケーシングに純粋な豚肉を材料として作られるシンプルイズベスト。
串に刺して焼くと、焦げ目が実に香ばしい匂いを上げて食欲をそそる。またポトフみたいな煮込み料理との相性も悪くなく、これ単体で食べる食品というよりは食材としての性質が強い、と思う。
想像よりも大変だった。
何より痛かったのは育成に使う時間加速型の壷中天畑のレンタル料だ。二人で折半して、私からすると結構痛い出費になった。……最初はアリスが全額出そうとしてくれたのだが、そんな事をやらせてしまえば共同開発者としての立場がないので、半額出した。
また、概念付与の技術的難易度が思ったよりハードル高かったというのも大きい。通常種のウインナースなら“ウインナー”という大雑把で曖昧な概念付与で済むところが、こっちはちゃんと“フランクフルトソーセージ”という種別の独立した概念を抽出する必要がある。
それでもおそらく探求ネキ本人なら【植物改造】だけで完成させてしまうのだろうが、私達からすると結構大変な作業になる。
だから一旦、別の工程を増やす事にした。
まずは一からフランクフルトソーセージを製作し、それを錬金釜に放り込んで概念を抽出分離。そして抽出された『フランクフルトソーセージ』概念を、素体となるナス株に【植物改造】により添付する形での製作を開始。
ソーセージ製作は本業である私が担当し、錬金と【植物改造】はアリスが担当する形で、作業を進める事になった。
思った以上に大変な作業だったが、努力の甲斐あって無事にフランクフルト味のウインナースが完成────────……………………。
「あ、これ中でボツリヌス菌が繁殖してる。呪殺魔法で強化すれば対メシアン用の攻撃アイテムになるな、ヨシ!」
「アリス!?」
「病毒の運用については……星祭の黒死ネキがスペシャリストなんだっけ? 話聞いてくれるかな?」
……メシアンに対してでもアウトでは? 無差別に感染が拡大してメシアン以外に被害が広がる事を考えると、やはり手を出すべきじゃないと思う。
まあちょっとしたアクシデントもあったもののウインナース(フランクフルトソーセージ仕様)は無事完成。なお特級呪物のボツリヌス菌入りウインナースは凍結させて封印措置を取る事になった……まあ残当というか、これっぽっちも残念じゃないし当然の話。
ともあれ、これで私もアリスも要領を掴んだので、ここから色んなソーセージのウインナースを製造していく。
中に豚肉だけでなく細かく刻んだ豚の脂身を混ぜたイタリアのボロニアソーセージ。加熱せずに生食できるから、スライスしてパンに乗せたり、サラダに入れたり、単独でオードブルに供したりしてもいい。
同、イタリア風のサラミソーセージ。乾燥させて保存性を高めたドライソーセージの代表格だ。スライスして食べるも良し、ピッツァの具に入れるも良しの万能食材。イタリアン万歳。
またそれとは別にアメリカ風サラミのペパロニも用意した。ピザに混ぜるといい感じに不健康そうな、実にジャンクでアメリカンな味わいが楽しめる。
フランスのリヨンを原産とするリオナソーセージ。中身のひき肉の中にグリーンピースやチーズ、レッドピーマンなどを加えた彩り豊かなソーセージで、厚めにカットして焼いて食べるのもいいし、断面が非常に見栄えが良いので、それを生かしてサラダや前菜にするのもアリだ。
ひき肉にレバーを混ぜ込んだレバーソーセージ。法的にはレバーの割合が50%未満ならレバーソーセージに分類されるらしい。食感がクリームに近いというか、非常に柔らかいのでレバーペーストみたいにバゲットやパンに塗って食べる事もできる。
豚の血と脂にニンニク、タマネギ、パセリと柑橘類の香料を加えたフランスのブーダン・ノワール。ホットドッグみたいにパンに添えたり、サラダにしたり、あるいはアップルソースやマッシュポテトを添えて普通に食べたり。
同じくフランス、またはベルギー産のブーダン・ブラン。材料としてはひき肉、卵、パン粉、牛乳を混ぜ、時にはキノコも使う……ぶっちゃけハンバーグでは? 冷たいまま生食もアリだし、熱いのが食べたければ焼くか、油で揚げるのもあり。
スペインのチョリソー。パプリカを加えるので独特の赤い色合いが特徴的で、辛いとされる事もあるけど本場スペインのチョリソーに唐辛子は入っていないとの事で、今回はトウガラシの入ってない本場スペイン風株と、たっぷりのトウガラシが入ったメキシコ風株の両方を作ってみた。
“ビールに合うハム”を意味するドイツのビアシンケン。名前の通りビールと一緒にツマミにするのもあり……と言っていたのは酒のツマミになりそうな食品を求めて顔を出してきたセツニキの言葉であり、他にもフライパンで焼いたり、パンに挟んで食べるのも中々イケるとの事。
他にもカルパス、蝋腸、香腸、糯米腸、キシュカ、メルゲーズや魚肉ソーセージ、果ては肉そのものを使わないウェールズのグラモーガン・ソーセージなど、とにかく調べてヒットできる種類のソーセージに対応するウインナースを製造した。驚いた事にその辺、一番詳しかったのは星祭修羅勢筆頭のセツニキで、まさか戦闘や術式の関連ではなく食品関係で彼に話を聞きに行くことになるとは予想外だった。
ここら辺、封印したボツリヌス菌入り株を除く全種類、佐渡のパピヨンニキ他、いくらかの黒札に購入してもらう事ができ、収益としては黒字……少なくとも小金程度になった。
その辺、これからは肉類の需要を扱っているパピヨンニキの日本生類創研が販売代行を請け負ってくれるそうで、その辺は全部お任せする事にした。一介の料理人には重過ぎる仕事だから、渡りに船だ。
とはいえ一番高い値が付いたのが、最後にアリスが作ったシュールストレミングナースだというのには納得がいかない。なお購入者はセツニキ……ショタオジに投げつけてやるぜとキメ顔で言っていたのだが、これ後になって製造元の私達まで処罰されたりしないだろうか?
……本当に、大丈夫ですよね?
◆ ◆ ◆
三つ目。
アリスの提案だ。彼女が着目したのは『合金木』────植物に金属としての性質を掛け合わせた改造植物であり、地下資源に依存することなく自ら成長して増産する事が可能な“生きた金属資源”。
掛け合わせる金属の種類によっては、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムといったベースメタルから、リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタンその他各種レアメタル、果てはアダマスやヒヒイロカネのような幻想金属やその合金すら生産可能という無節操さを持つ便利植物だが。
まず真っ先に着手したのは、レアメタルの合金木。
リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、クロム、モリブデン、タングステンその他諸々を一通り。さらに希土類元素に分類されるスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、その他17種類を、これもさらに一通り。
そして、それらを練習台にして。
「その非金属版を作ってみました」
名付けて……まあ『鉱石木』でいいだろう。
セメント工業で使われる石灰石や珪石。
ガラス工業で必要になる珪砂。
タイル・衛生陶器を含む陶磁器工業に用いられる木節粘土、蛙目粘土、長石、陶石、カオリン。
金属産業に欠かせない石灰石や、炉材用耐火煉瓦の原料となる耐火粘土、珪石、ドロマイトなどなど。
他にも色々。
基本的には合金樹と変わらないのだが、定期的に安定した収穫が必要になるのは目に見えているので、苗の段階で取り込ませた非金属を果実として実らせる形式となった。
日本では石膏や重晶石のような一部資源を除き大半が自給できている非金属資源だが、それだって終末後にまで続けられるとも限らない。そうならないために今の内に、こうして用意しておく事は無駄にはならず、とりあえず主要な非金属鉱物は一通り網羅した。
育てるのは、まあ誰かがやるだろう。
この辺、レアメタル系合金木や金属産業に必要な素材の鉱石木の苗を始めとして、結構な数を佐渡のパピヨンニキが購入していっただけでなく、呉支部の⑨ニキが結構な出資をしてくれた事は驚きだった。ぶっちゃけ、想像以上にお金になった。
「別におかしな事じゃないと思うよ。あの人、黒札の金属資源生産が主要金属にばかり偏っているのを危惧していたからねー……しかも割とキレ気味に。奴らは現代にたたら製鉄でも復活させる気なのか~って」
そんな風に肩をすくめていたアリスだが、まあ随分とよく知っている。
「生育が地下資源の主要鉱脈に依存しないのは合金木のいいところだよね。まあ合金木だけでどれだけの需要が賄えるかって言われたら微妙だけど」
「うーん、【生体改造】って食材を生み出す技術だと思ってたんですけど……」
「名前からして、ショッカーみたく改造人間を作り出す技術では?」
名前だけなら、うん、そう。
料理部としては認めたくない事実だが。
最近の私の仕事があまり料理部員してない事は脇に置いとくとして。
「……ところで、アリスは何を作ってるんですか?」
「探求ネキの真似をして幻想金属を……それと、この間のボツリヌス菌株の有効利用をね」
「ちょっと、物騒な真似はやめてくれます!?」
「大丈夫、もう終わったから!」
という感じで、私がよそ見してる間に製造されていた幻想金属の合金樹────疫毒鋼。艶のない黒紫色の地金にくすんだ肉色の波模様が走るこのやたらと毒々しい色合いの金属は呪鉄90%、水銀9%、アダマントス1%の比率で合成した幻想金属の合金に、以前ウインナースの失敗作として製造されたボツリヌス菌入り株から抽出した疫毒の概念を融合させた代物だ。
通常の金属と比べても相応に高い強度と、そして段違いの硬度を併せ持ち、刃として鍛造すれば非常に高い切れ味を発揮するのに加え、その素材の成り立ちからアダマントスほどではないが強い死の属性を帯び、また武器や術の媒体として用いれば毒・風邪・麻痺などの肉体系状態異常と呪殺属性の即死に高い補正を与える、攻撃的な合金素材だ。
それだけに下手な使い方をすれば、アダマントスなどと比べても安価な割に、大惨事を引き起こす危険も高い。何せ、毒だから。
……なお、そこそこ売れた模様。
◆ ◆ ◆
四つ目。
次もアリスの提案だ。
アリスが目を付けたのは、生命樹をベースに破魔ネキが製作した『菓子の木』────果実として多種多様な菓子を実らせる、という……神話というよりは童話じみた性質を持つ幻想植物だ。これもトリコ再現グルメ食材の一種ではあるのだが、製作者は探求ネキではなく破魔ネキだ。
これは生命樹の系譜に属する幻想植物全般にいえる話だが……、原種である生命樹から引き継いだ世界樹としての性質を持ち合わせている菓子の木が実らせる菓子はその特性上、世界樹の果実としての性質を持ち合わせているのだが、多種多様な果実を実らせることができる代わりに、その種類は完全にランダムなのだ。
これに関しては、探求ネキがさらに菓子の木から発展して製作した『甘露の木』なども同様。
この特質は、均一な性質や品質を求められる生産業においては、残念ながらむしろマイナスになる。
個人的に日替わりで様々なフルーツや菓子を楽しむ分には、品が多種多様で飽きが来る心配も少なく、理想的な性質なのだが……世界樹の果実を素材として考えるのなら、むしろ逆に扱いづらい。
一つ一つの果実に種類があり過ぎて、一まとめにして扱う事ができないのだ。
ならば逆に均質な果実を実らせる世界樹を作ってしまえばいいのでは、というのが、今回の発想だ。
まず、用意するのは菓子の木。
季節によって実る菓子が変わるなどと言われるこの菓子の木が実らせる菓子は基本的にランダムで、億越えしていると言われる種類の中からどの菓子が出来上がるのかは分からないのだが、アリスのペルソナ『シュブ=ニグラス』の持つ植物系の権能によりその成長の方向性を誘導し、一本の枝にチョコレート系の菓子だけを大量に実らせる事に成功。
後はその枝を切り落とし、霊木化したカカオの苗木と、ついでに私が作った大量のチョコ菓子と一緒に錬金釜に突っ込んで融合させる。……この時に、隠し味として竹のゲノムも取り込ませる。
こうして出来上がったのが世界樹カカオ『グレート・テオブロマ』だ。
超高品質のカカオとチョコレートを実らせる木……樹皮はチョコフレーク、木質はチョコクッキー、葉は板チョコ、樹液はチョコクリームで、果実はカカオ4割に普通の板チョコ5割、残りの1割はチョコチップクッキーやチョコドーナッツなどのチョコ系のお菓子になる。チョコレート菓子の方は季節や環境によって変化したりするが、カカオの方は季節を問わずカカオだし、チョコレートも半分は普通のチョコレートだ。
そして何より、依然として世界樹としての性質を持ちながら菓子の木よりも扱いやすく、増やしやすい。
色々な性能としてはアステカ文明において古来よりカカオは薬として、神々への供物として、はたまた貨幣として、と多様な役割を帯びており、このためこの辺の役割に沿って素材として扱うなら、そのポテンシャルは腐っても世界樹素材、そしてチョコレートとしての品質に一点特化した分、チョコレートとカカオの品質だけなら本家の菓子の木に比しても決して劣ってはいない。
そしてもう一つ、竹の特性を組み込んだ事が画期的だ。
これまで世界樹の性質を持つ生命樹の系譜は“世界に一本しか存在しない”という特性から、量産が非常に難しかった。だが、このグレート・テオブロマは竹の特性により地下茎を伸ばして増殖する性質を持っており、これにより地下茎を介して繋がっている全てが“一本の木”として扱われるため、世界樹としての格を保ちながらも、これまでの生命樹シリーズよりもずっと簡単に増やす事ができるのだ。
売れ行きは思ったより良く、線路を敷くのに大量に使うという無惨ニキが大量に買い込んでいった他、沖縄の大宜味村派出所で農業などをやっているブラキオニキなども霊的な相性が非常に良いとかいう話で一株購入していってくれて、結構な財産になった。
やはり霊薬の素材に使えるというのが大きかったらしく、単純な傷薬に使っても今までより一段階良いものが作れるという事で、かなり喜ばれた。
そして完成祝いに世界樹素材のチョコレートパフェを作っていたら、アリスがまたまた妙なものを作っていた。
アリスが作り出したのは新種の合金樹────その木が実らせた金属は、オリハルコン1割、霊鉄8割、残り1割に今回作ったばかりのグレート・テオブロマ素材のチョコレートを使って作り出した幻想金属『チョ鋼』だ。
チョコレートとしての属性を持つこのメタリックブラウンの金属は、高い強度と衝撃吸収性を持ち合わせており、また治癒系のスキルや術式などとの相性も非常によく、また防具や装身具に使った場合は生命維持効果を持つとか。
私としてはこんなのが売れるとは思わなかったのだが…………売れた。
ある種の武器系シキガミは素材を捕食する事により、自身の本体である武器に素材の性質を反映できるそうで、そういう性質を持つシキガミからすると、このチョ鋼は非常に美味に感じられるらしく……双子の幼女型シキガミにおねだりされて、人魚ネキが苗木を一株買っていった。
その後、どこかの畑で可愛らしい双子が仲良く苗木に水をやっている光景が、人魚ネキから画像で送られてきたりもした。
────そうして、私達の金策は求めていた必要金額に届いたのだった。
◆ ◆ ◆
そして。
「はぁ………………んっ」
ぐったりと全身の力を抜いた私は、アイマスクと大型のヘッドホンを引き剥がすようにして乱暴に外して枕元に放り出し、自室のベッドに深々と体を横たえた。
全身が重い。
自家発電の直後特有の強烈な気怠さは泥のように体中に絡みつき、じっとりとした汗の湿気の中へと意識を沈めていく。軟体動物になったかのように、体に力が入らない。
そんな状態のまましばらく休憩を続け、ようやく動けるようになったら、まずは身支度を整え直すところから。垂れ流した粘液をティッシュで拭き取り、ぐちゃぐちゃになった下着を取り換えて、半脱ぎになった服を整えて……それを終えて部屋の隅に置いてある姿見を見れば、普段通りの自分が鏡の向こうからまるで責めるようにじっとりとした視線を、鏡越しの自分自身に向けていた。
「……」
その理由は、自分でも分かっている。
「私は…………」
純粋な、力不足。
異能者としてのレベルが、どうしようもなく足りていない。
事実、今回はウインナースの改造に手を出した辺りはまだ良かったが……世界樹の属性を持つ菓子の木には手が出せず、実際の作業を担当したのはほとんどアリスの方だ。一応私もチョコクッキーとかチョコケーキとか色々なチョコ菓子を山ほど作って貢献はしたものの、私の【植物改造】はまだまだ付け焼刃だ。
枕元に置いたままのCOMP兼用スマホからヘッドホンのコードを引き抜くと、画面をタップして音楽アプリの再生を停止させる。ASMRのエンディングロールである穏やかなピアノソロが急停止すると、今まで現実から切り離されていた部屋の中に、急激に現実感が雪崩れ込んでくる。
「はぁ……」
重苦しく、それでいてどこか熱の籠った溜息が漏れる。じっとりとした汗と共に全身を侵す快楽の余韻は、倦怠感とは微妙に異なっていて、それに緩やかに背中を押されるようにして、私はもう一度快楽を得るために自分の身体に手を伸ばそうとして、やめる。
ベッドサイドの目覚まし時計を見れば、いつの間にやら12時を過ぎている。明日も学校と、料理人としての勉強もある。異能者の体力だろうと、いい加減寝た方がいい時間だ。
まだまだ学ぶべき事も、鍛えるべき部分も山ほどあるのだ。料理人としても、異能者としても。
「強く…………ならないと」
異能を高めたいなら、最も早く、そして確実な近道はレベルを上げる事だ。星祭神社に屯しているような修羅勢や一部の上澄みは鍛え上げた練度や高度な戦術によって、より高いレベルの敵をも凌駕する……らしいが、生憎とそんなのは一部の例外の話だ。
そんな一部の例外が大勢いるのがガイア連合だとはいえ、私、愛清フウカはその手の例外では、ない。
だから得意分野の料理にせよ、農業生産系にせよ、それ以外にせよ、異能を高めるためにはレベルを上げるしかなく、レベルを上げたければ戦う必要があり、そのためには戦闘力を鍛える必要がある。
非戦闘系の異能を磨くために最も必要なのが戦闘力という矛盾……とはいえ仕方のない事だ。
そのための最大の早道は。
「ドブカスニキの“とっておき” ────【投射呪法】、か」
教えてくれる、と言っていた。
あの時から随分と時間が経ってしまったが、それでもまだまだ約束は有効……であって欲しい。これだけ時間を空けてしまうのは失礼かとも思うのだが、しかしそれはそれとして、これが一番有効なのは事実だ。
そしてそれ以外、私が戦闘力を身に着けるために足りないものを補うための色々を、確保していく必要がある。
「【投射呪法】に【写輪眼】、それから後は…………スキルカードに適合するために必要なシキガミパーツとか、色々と、か。足りないもの、多いな」
足りぬ足りぬは工夫が足りぬ、と言うが……私に足りない純粋な戦闘力を補うために必要なのは単純な工夫よりもさらに輪を掛けて単純な“資金”だ。そしてそれは…………アリスと一緒に色々と作った諸々の収入である程度は補えてしまう、気がする。
少なくとも最低限、身体を動かせるように。
「────強く、ならなきゃね」
大好きな子と一緒にいるために。
歪んでいようが汚れていようが腐っていようが、愛清フウカがあの子の事を大好きだという一点だけは、絶対に間違っていないのだから。
最近微妙に料理人していないフウカ。そんなんで本当に大丈夫なのやら。
~割とどうでもいい設定集~
・骨つきコーン
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』より。
探求ネキ製、トリコ食材の一種。
房の中心にマンガ肉のそれを思わせる一本の骨が通ったトウモロコシ。
見た目はアレだが同じトウモロコシベースのBBコーンのように非常識な巨大さがあるでもなく、超絶美味しいだけで特に問題のないコーン。
ただし10年分の栄養を1本に収束させるという事で、裏を返せば1本を普通に成長させるまでに10年掛かる可能性が高く、このためどうしても生産量は限られるし、また生産には時間加速型の異界か、成長促進が可能な植物操作能力が必須となる。
・マグロ豚
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』より。
探求ネキ製、トリコ食材の一種。
文字通りマグロと豚のキメラ生物。豚としてもマグロとしても絶品といえるだけの出来を誇る食用生物。
骨も出汁を取るのに最適であり、豚とマグロ双方の旨味を併せ持つ絶品のスープが取れる……との事だが、何気に豚とマグロが混ざっているため、二つの味を両立させるのが難しい料理部泣かせの食材。
言い替えれば、この食材を問題なく扱えるようになるのは料理人として一つの到達点となり得る。
・仙豆
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』より。
探求ネキが作成した基本種は空豆をベースにしていた。ドラゴンボールの超有名な回復薬。
生育には豊富な霊水が必要とされるため育成する場所を選ぶか設備投資が必要だが、膨大な栄養分を含んでおり、その栄養分をリソースとして未覚醒者に対しても適用可能な回復作用を発揮するため、欠損以外の大抵の負傷を回復できる。
食べた仙豆の養分が残っている間はそれを消費して回復できるため、事前に大量に食べておいてからの追加HP的な回復リソースとしての運用にも使える可能性があるが、欠損には対処できないため注意が必要。頸椎切断で普通に死ぬので、不死身にはならない。
なお体内に養分が残っている間は食欲が抑制される副作用があるため利用にはある程度の注意が必要となる者の、サバイバルではむしろ有利に働く場合もあり、何事でも物は使いようという話。
仙豆の生育担当だったナッパニキは大豆ベースの仙豆を開発し、豆腐や味噌、醤油などの素材にも使用できるようになった。
また後に各種ナッツベースの仙豆の開発に携わる事になる。
・パックンフラワー
元ネタは『マリオ』シリーズ。
アリスが製作した幻想植物。
セイタカアワダチソウを原種とし、そこに各種動植物の特性を組み込んだ事により、プラナリア&クマムシ並みの生命力と、種球根ムカゴ胞子菌糸匍匐茎地下茎と多種多様な方法で増殖する最悪な食人雑草。種は風に乗って飛ぶ上に服や毛皮に貼り付いて移動もするし、引っこ抜けば地中に残った根から出芽してまた復活するため、普通の方法で駆除しようとするなら焼き払って農薬でも撒き散らすくらいしか対処法がない。何ならある程度継続的に使われた農薬に対しては耐性を獲得し、しかもその耐性は後の世代に遺伝する。
攻撃性よりも繁殖力に重点を置いた構成をしているが、メシアンか天使が近づくと巨大な顎を持つ袋状の捕食嚢を展開し、対象を一口で捕食する奇怪な生態を持つ。
なお窒素固定能力による土壌の豊饒化や、食用可能な根茎などの有益な特性も持ち合わせている。
・ベジタブルスカイ
緋咲虚徹様『【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく』及びアビャゲイル様『【R-18】アビャゲイルの投下所第一支部【カオス転生ごちゃまぜサマナーN次創作】』より。
『トリコ』に登場する空の食材楽園を再現した巨大浮遊島。大地の概念を持つ雲によって構成された巨大シキガミ『クラウドゴン』を基盤として構成されている。
・聖獣ショウリョウウマ/聖獣ショウリョウウシ
アリスとフウカが協力して製造技術を確立した低位悪魔。レベル的には1レベルになるかどうかも怪しい性能ながら、簡単に作れて、簡単に使役できる。
お盆に作るやつ。霊草化した生のナスやキュウリに、適当に折った割り箸を突き刺して足にして、後は簡単に降霊術を行うだけ。
キュウリを使えばショウリョウウマに、ナスを使えばショウリョウウシになる。
どちらも騎乗可能だが、ショウリョウウマは足が速く機動性に優れ、ショウリョウウシは鈍足ながら【ハマ】が使える。
何より最大の特徴として『魂を運ぶ』という能力を持つため、天使を連れたメシアンと戦う際には、敗死した際の最後の保険として機能する。
無論、ナスビ牛やキュウリ馬の能力が及ぶ範囲の話ではあるが。
・特化型ウインナース
探求ネキ製トリコ食材の一種であるウインナースをベースに、特定品種のウインナーを再現した改造種。
大雑把な“ウインナー”という概念を再現するだけで済んでいた従来種に比べ、明確な特定種のウインナーを概念付与する必要があるため、再現に必要なレベルはやや高くなっている。
世界各地のウインナーを再現した品種を取り揃えているが、やはり人気不人気はそれなりに存在する。また、変わり種としてシュールストレミングを概念再現したシュールストレミングナースなども存在する。
なお失敗作のボツリヌス菌繁殖株は、果実の内部でボツリヌス菌が繁殖してしまったのではなく“ボツリヌス菌が繁殖したウインナーを概念再現する」形で完成してしまった代物。
普通のウインナースを育てるのと同じくらいの手間で簡単にボツリヌス菌を大量に培養できるとかいう危険物であるため、特級呪物として封印指定がなされた。
・鉱石木
合金木の非金属版。
石灰石や珪石、珪砂、各種粘土、その他諸々の非金属鉱物資源を生産可能な便利植物。
継続した安定的な資源獲得を主眼に置いているため、必要な鉱物成分を大型の果実の形で枝に実らせる。
・疫毒鋼
艶のない黒紫色の地金に、くすんだ肉色の波模様が走る毒々しい色合いの金属。
呪鉄90%、水銀9%、アダマントス1%の配合に加えて、ウインナース失敗作であるボツリヌス菌入り株から抽出した疫毒概念を加える事で完成した幻想金属。
オルハリコンやアダマスに比べれば劣るものの通常の金属よりも高い強度と、それ以上に高い硬度を持ち、刃として鍛造すれば優れた切れ味を発揮する。
また病毒属性に加えてアダマントスを混ぜた事によって死の属性を帯びており、毒・麻痺・風邪などの肉体系状態異常と呪殺属性の即死に高い補正を与える。
総じて攻撃性の強い幻想金属であり、金属自体が高い毒性を持つため、アダマントスなどと比べれば格段に扱いが楽なものの危険性も高く、取り扱いには高い技量と注意が要求される。
・グレート・テオブロマ
生命樹を祖とする菓子の木の系統に属する幻想植物。多種多様な菓子を果実として実らせる通常の菓子の木と異なり、実らせる果実がチョコレートに限定される。
樹皮はチョコフレーク、木質はチョコクッキー、葉は板チョコ、樹液はチョコクリーム。果実はカカオポット4割に普通の板チョコ5割、残り1割はチョコクッキーやチョコドーナッツなどチョコ系に限定されたランダムな菓子になる。
生命樹の系統に属するため世界樹としての性質こそ持つが、ベースである生命樹や菓子の木よりも扱いやすく、増やしやすい。また竹の因子が追加されているため地下茎によって増殖するが、地下茎で繋がっている限り概念的に“1本の木”としての状態を保ったまま本数を増やせるため、世界樹の“世界に1本しか存在しない”という概念的な制限に引っ掛からずにある程度の量産が可能。
加えてカカオやチョコレート自体様々な霊的素材として扱う事ができるため、素材の生成源としての価値が高い。
・チョ鋼
光の反射によっては一見チョコレートの塊に見えるメタリックブラウンの金属。
オリハルコン1割、霊鉄8割、グレート・テオブロマ素材のチョコレート1割を配合して作り出された幻想金属。
高い強度と衝撃吸収性を持ち、また治癒系のスキルや術式とも相性が良い上に、防具や装身具に使えば生命維持作用を発揮する。
またある種の素材捕食能力持ちのシキガミにとっては、この金属自体が非常に良質なチョコレートのように美味に感じられるとか。