ファッション無惨様のごちゃサマライフ   作:頓西南北

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 遅ればせながら、『【カオ転三次】酒と葉巻と病と死神 ~みんな楽しく踊ればいい~』のマカーブル様から初めてのFAを頂きました。
 マカーブル様本当にありがとうございます。

○ロシアの雪原に佇む立花アリス


【挿絵表示】



とある黒札の性癖がブッ壊れた話04

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 KSJ研製浮遊型拠点防衛シキガミ『クラウドゴン』────広大な雲海そのものの形態を持ちながら、大地の概念を付与する事で大地そのものとして機能する、現行最大のサイズを持つ巨大なシキガミ。

 

 【浮足玉の脚】スキルの浮遊効果に加え、フロートパネル系の電力消費を基盤とする重力制御技術の合わせ技により空に浮かび、霊力・電力の消費を抑えながら最低高度二千メートル、最大高度二万メートルに達する巨大異界を構築する“生ける仙境”だ。

 とりわけ、私達の“クラウドセル”は【生体改造】を得意とするアリスの手で【ヘリウムガス生成】【ヘリウムガス吸蔵】スキルを追加された事により身体構造内部に大量のヘリウムガスを蓄積し、その比重により浮力を得る事で維持に必要とするマグネタイトの大幅削減を可能としていた。

 

 プラスして仙境の中核となっているグレート・テオブロマの苗に“世界樹の雫”を吸収させる事で苗は霊樹としての格を急速に高めていき、注いだ“雫”が1リットルを越える頃にはクラウドゴンのサイズに比していまだ高さ50メートルに満たない樹高ながら、それだけの巨大異界を十分な余裕をもって支えられるだけの霊格を獲得していた。

 さらにはグレート・テオブロマの幹の内側に大型の飛行石を封入する事によりクラウドゴンの中枢演算機関兼動力炉としても機能させており、このグレート・テオブロマが文字通り“クラウドセル”の中枢だ。

 

 アリスと私が最初にそこに用意した生命は、たったの二種。

 

 

 まず一つ。

 

 “クラウドセル”最上層へと植林されているのは、屋久杉をベースとし、【光合成】と【食没】の二つのスキルを併せ持つ事で太陽光を生体マグネタイトに変換・蓄積する『陽明樹』。宝玉ピスタチオから抽出した性質を元に、吸収したマグネタイトを増幅循環させる炉心のような性質を持ち、時間経過と共に蓄積マグネタイトの総量を増やしていく、生ける太陽光発電装置にしてバッテリーだ。

 どっしりとした太い幹と、樹皮までがわずかに緑がかった苔緑色の奇妙な色合いを特徴とする大木で、この陽明樹がDNAに刻み込まれた太極炉術式を通じ、太陽光を変換したマグネタイトをクラウドゴンへと供給する事により、クラウドゴンの維持の助けとなる。

 

 

 そしてもう一つ。

 

 ────ベースとなったのはミ=ゴ茸である。クトゥルフ神話において語られるユゴスからの菌類ミ=ゴを参考に、肉霊芝をベースに各種キノコを掛け合わせて生み出された“キノコのようなナニカ”。

 ただし見た目は菌類どころか甲殻類のようにしか見えない上に、結構な速度で動き回るだけでなく、あまつさえ空まで飛ぶとかいうイロモノだ。

 明確な自意識がないとかいうのが救いか。

 

「クトゥルフ神話におけるミ=ゴは時にクトゥルフに奉仕するし、あるいはニャルラトテップに仕えるように見える時もある、が……その実、本当の意味で忠誠心を捧げているのは地母神シュブ=ニグラスだけであるという。蟲みたいな見た目に反して高度な文明を持つ彼らだけど、その分原始的な性欲、繁殖欲求といえるものが弱くて、だから子孫を残すために豊穣神であるシュブ=ニグラスを信仰し、原始宗教的でいっそ野蛮ですらある儀式を通じて性欲を増幅させて、シュブ=ニグラスを召喚し、その力を浴びて交配し、産卵するんだと」

 

 つまりは、シュブ=ニグラスのペルソナを持つアリスの眷属としては最高の適性を持っているという事だ。だからミ=ゴ本来の知性を復活させたとしても、支配下に置く事も、繁殖させる事もそれほど難しいものではなく。

 そうやって出来上がったのが、こちら。

 

「『初級インベス』の誕生だよ! 実に素晴らしい!」

「……ソウデスカ」

 

 彼らが、この“クラウドセル”を維持管理する人手として活動してくれる……らしい。

 

 生白い、遠目から眺めれば一見コミカルに見えない事もないが、それでいて近寄って間近で観察すれば実にグロテスクな外見。甲羅を背負ったような体躯は、見ようによってはキノコのようにも見えるだろう。

 背中からは蟲の翅を広げ、空を飛ぶ事もできる……空に浮かぶこの雲上大地では必須の能力だ。

 

 餌は原種であるミ=ゴ茸と同様のケイ素系鉱物……地上ならその辺の土でも十分な鉱石食なのだが……空の上にある“クラウドセル”ではその辺に普通に土砂が落ちているなんて事はないので、ミ=ゴというかインベス達の食料として鉱石木を植える事になった。

 元ネタのインベスとは異なり、ミ=ゴらしい高い知性とテクノロジーを持つ。高度な外科手術を可能とする生体工学、化学、生物学の技術に、細密な工作をこなす機械工学の技能、また時空門の創造に代表とされるクトゥルフ系のカルトマジックの技術。

 全個体の脳神経は相互にネットワーク化され、総体で意識を共有し、クラウドセルの中枢で統括されている。

 

 ……実に多芸だ。場合によってはスキルカードを追加して増やす事もできるらしい。

 

「DNAコードそれ自体に、僕とフウカに奉仕するように書き込んでおいたから。性欲・食欲・睡眠欲よりも優先度が上になるように設定しておいたから反乱もまず起きないだろうし、必要になったら好きなだけコキ使って。でも数が減ったら適宜増やすようにね」

 

 そういう事になった。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 クラウドセルが完成しても、私が雲上大地の土を……雲を踏む時間はほぼほぼ存在していなかった。ぶっちゃけ死ぬほど忙しい。

 

 

 学生生活。

 膳王飯店で料理修行。

 レベル上げの異界攻略。

 ドブカスニキのところでスキル訓練。

 

 大抵どれも時間が必要で、だいたい手を抜けるような作業ではないし、これだけやるべき事があると、暇なんて無くなってしまう。

 せいぜいミネラルミミズを放流して『ポテトの泉』を作ったくらいで、全然クラウドセルに関われていないのは痛い。ほとんどアリスに任せっきりだ。

 

 とりわけ大変なのが、ドブカスニキのところで学んでいる【投射呪法】に関わる訓練だった。基本的に素手で戦うためのスキルだからひたすら格闘技の稽古を積む事になる……と、当初は思っていたのだが、実態はまるで違っていた。

 

 

 ────アニメーター修行である。

 

 

「そういえばこの人、ガイアニの社員でしたね!」

「そら、体感一秒で24コマ打ち込んで動くんが前提の技や。ただ腕っぷし磨くだけじゃ扱えんし、それ相応の鍛え方っていうもんがあるんよ」

「…………理屈は分かりますけどね!」

 

 具体的には、ガイアニの制作スタジオに籠ってひたすらアニメの原画を作り続けるという苦行だった。しかも某露伴先生のように数秒で一枚を描き切るというスピードが要求されるし、それでいて精度や芸術点の方面にも手を抜く事は許されない。

 本来は素人アニメーターである私がそれを可能としているのは、延髄に埋め込まれたシキガミパーツ『サンデヴィスタン』と、頭上に浮かぶヘイローに組み込まれた各種スキルによるものだ。

 

「ほらほら、ペン先が鈍っとるで。ちゃんと気ぃ入れて書かんとな」

「分かってますとも、ええ!」

 

 シャカシャカとペンを動かして原画を描き込んでいく。最終的にはこれをCGに取り込んで正式な動画として完成させていくのだが、そっちは私の仕事ではないので気にせず私は絵を描き続けるだけだ。

 

「もう何度も言うたと思うけど、【投射呪法】を操る上で最低限必要なのは、体感1秒で24コマを頭の中に描き切る描画速度や。頭ん中に一瞬で24枚の絵を思い浮かべて、しかもそれが一つの動きとして連続してないとあかん」

「分かってます……少しずつ、分かってきました」

「ああ、給食ネキも中々良くやってくれとるよ。元から丁寧で細やかな仕事が特徴やったけど、手ぇ抜いてへんってのがはっきり分かる作画はええもんや……と、ほらペン先、煙上がっとるで!」

「あっ! ……すいません」

 

 気がつけば、描きかけの原画の紙面を走るペン先から薄っすらと白い煙が立ち昇っている。異能者にしかできない超高速でのペン入れは、相応にペンと紙に負荷を掛ける────そして高速で動くペン先は摩擦により発熱し、時には発火寸前の温度にまで達するから、適宜別のペンに取り換えながら作業してやらないと、こうなる。

 慌ててペンの先端を紙から放し、摩擦熱で過熱したペン先に息を吹き掛けてから使い掛けのペンを机に置き、傍らのペン立てから新しいペンを取って作業を再開。過熱したペンで作業すると紙が焦げて最終的には燃えるので、しばらくこのペンは使えない。

 

 ハイスピードで作業ができるのは神経加速・思考加速・時間加速と三タイプの【獣の眼光】を主要スキルとして組み込んだ『サンデヴィスタン』のお陰だ。ただ高速で動くだけでなく、余剰の容量に組み込んだ【アニメーター】【絵画の心得】スキルがプロ級……というにはまだまだ足りないものの、とりあえずガイアニの原画描きとしてギリギリ及第点を貰える程度の絵は描けるようになっている。

 その辺は、私の本霊である『龍神 伏羲』がそもそも文化英雄の類であり、料理だけでなく大抵の製作技能と相性が良い、という事もあるんだろうけど……その本霊の能力を引き出す段階まで私の能力が届いていないというのも事実。

 

「……頑張らないと」

 

 大きく背伸びして深呼吸、全身にマグネタイトを巡らせて体調を調整し、疲労感がわずかに遠のいたのを確認すると、再び作業に戻る。ひたすらペンを動かして原画を描き上げ、描いたら紙をどけて次の原画、次の原画と素早く、しかし丁寧を心掛けつつ作業を進めていく。

 大事なのは集中力を保つ事。ともすれば集中が乱れて他に向かおうとする意識を抑えるのではなく、意識せずとも手を動かして作業が進んでいるのが理想。

 

 そうやって作業を進めていくと、気がつけば時間が経っていたらしい。作業部屋に入ってきたドブカスニキが手を叩く音ではっと我に返ると、部屋の窓から見える景色は半ば夕陽のオレンジ色へと染まっており、時計の針もいい加減作業の終了を進めていた。

 

「はいはい、そろそろキリのええ所やし、作業時間も終わりやな。今日は結構進んだし、この辺でキリにしとこうか」

「はい、今日はありがとうございました」

 

 ドブカスニキに一礼して作業終了。修行の一環であるこの仕事も、立派なガイアニのバイト扱いで、実は給料も出る……異界に潜った方が実入りはいい、というのは内緒の話だが。

 

 ともあれ、控えていたシキガミのザイダベックを呼ぶと、子犬の姿に変化していたザイダベックは一声鳴いて私の後を追い掛けるようについてくる。リードがいらないのは、一般的な犬よりも知能が高いシキガミゆえの利点だろう。

 

「そうそう、そろそろスタジオの方も収録終わるはずやから、アリスちゃんに会いたいならそっち行っとき」

「あっ……はい、ありがとうございます!」

 

 もう一回ぺこりと頭を下げると、足早に歩き出す。ここはガイアニの社屋だ、声優として活動しているアリスとも時間が合えば会う事もできる。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 社屋の壁に貼り付けられた案内板に従って、スタジオがある辺りへと歩いてきた。窓から差し込む夕日に照らされて歩くガイアニの廊下に、思ったよりは人の姿があるのは企業の建物だから当然といえば当然か。

 

 社員達が忙しく働いているのは防音壁に区切られた室内であり、そこから外れた廊下に直接音が伝わってくるわけではないが、それでも感じ取れるのは、どこか人の活力と感情の熱が籠っているように感じられる不思議な静けさだ。

 私の知る膳王飯店の活気にもどこか似通っているように思えるのは、あるいは気のせいなのか、そうでないのか。

 

 ともあれ、この辺だっただろうか。

 ドブカスニキに見せてもらった予定表ではそろそろ時間のはずだが、あるいは収録が長引く事もあり得るし、実際にそうなる事は意外と多いらしい。

 

 アリスの声優としての演技力は相当なものであるらしいが、それでも録り直しは頻繁に発生するらしい。一人だけ頭一つ抜けて実力の高い声優がいると、それに合わせるために何度も録り直しをする事もある……などとドブカスニキは言っていたが。

 

「確か今アリスが出演しているのは『Infinite Dendrogram』アニメ版……の、エミリー・キリングストン役でしたね。えっと確か、この辺の……時間は後10分くらいですか」

 

 あまり音を立て過ぎないように遠慮がちな足取りで辿る廊下の突き当りにある、分厚い金属製の防音扉。

 扉の上に『第三スタジオ』と記されているその扉の傍らでしばらく待機。頭上に浮かぶヘイローに内蔵されたCOMPからDDSに繋ぎ、視界に適当な掲示板を表示して、その内容を辿りながら時間を潰していると、扉が開き────空気が変わる。

 

 ふわり、と咲き誇る大輪の華の花弁が、あるいは甘やかな果実の匂いが、何気ない空気の流れに混ざって空中を漂い始めるかのように。

 何の変哲もない廊下の光景がただ一人の少女を中心にして、それを彩る煌めきのささやかなほんの一部として世界が輝き始めるかのように。

 

 収録を終えたスタッフ達がスタジオから出てくる、その人波の中心にいた少女が、こちらに気付いて声を上げた。

 

「あれ、フウカ。来てたの?」

 

 嬉しそうに手を振る少女────にしか見えない少年が笑顔で手を振ると、それだけで周囲に光の粒が散ったように見えた。ふわり、と麗しく輝く笑みに、私だけでなく周囲にいたスタッフ達の目も陶然と蕩けて、自然と視線が惹き寄せられてしまう。

 

「そっか。そういえばそうだね、同じガイアニの仕事だし、一緒になっても不思議じゃないか」

「はい、ちょうど原画の仕事もキリ良く片付いたので。それにドブカスニキもいましたから、多分一緒に帰れるように調整してくれたんだと思います」

「あー、確かにあの人、そういう事してくれるよね」

 

 分かりやすく目立つのが大好きな一方で、分かりづらい形で手を回していたりもする。そうして後になって何をしてくれていたか、じわじわと理解できるようになる……そんな分かりづらいやり方をする人だ。

 そんな、分かりやすくも分かりづらい先輩に影で感謝を捧げつつ。

 

「ところで差し入れがあるんですけど、食べますか?」

「食べる!」

 

 一瞬で目を輝かせたアリスから、ノータイムで肯定の返事が返ってくる。何気ない表情が、火花が散るようにぱっと辺りが明るくなったように錯覚するくらいに輝いて見えるあたり、つくづく美少女というのは本当にすごい。

 デビルシフターを攻略するには、胃袋から握るべし。ガイア連合料理部に伝わる格言はアリスに対しても有効であるようだ。

 

 肩から提げた学生カバン、高位異能者の物入れとしてスタンダートな壷中天ではなく、それよりワンランク下がる空間拡張型のバッグだが、普段使いにするにはそれで十分。普段からある程度常備してある差し入れ袋の口から限定条件式の時間停止呪符を剥がして、焼き立てのまま詰めてあったレーズンパンを取り出した。

 

「ん、美味し」

「ふふ、それなら良かった。……あ、皆さんの分もありますから、食べてください」

 

 レーズンパンを食べるアリスの嬉しそうな表情に思わず相好が緩む。それを私と同じように微笑ましげに見ていた周りの人達にも、それぞれパンを配っていく。途中、食べ終わったアリスが合流して配るのを手伝ってくれたので、ご褒美みたいな気分で二つ目のレーズンパンをあげる。

 そうして二つ目のレーズンパンにアリスがかぶりつこうとした瞬間────。

 

 

「う、ぐ、グェ……ぅぐぇえぁああああアアアアアアアアア唖々々々々々々々々々アアアアアア…………──────!!!!」

「ちょっ、何、大丈夫……!?」

 

 

 硫酸のプールに放り込まれたゾンビのような呻き声が、私達の背後から響いてくる。

 

 慌てて振り向いた私の視界に映ったのは、白目を剥き出しながら苦しげに喉を押さえて仰け反る女性……アリスと一緒に収録していた声優さんの一人だ。本来は外部のスタジオに所属しているという彼女の手から、一口齧っただけのレーズンパンがぽとりと落ちる。

 苦悶の表情を浮かべた彼女の、人間の顎とはそこまで大きく開くのかと驚くほどに開いた口から吐瀉物が溢れ出し、垂れ流されるようにして床に落ちていく。そんな彼女が床に倒れ伏すよりも速く動いたアリスがその身体を支え……切れない。体格が小さ過ぎて支えられないアリスに代わり、【投射呪法】を起動して加速して、彼女が倒れる前にその身体を支え、助け起こした。

 

「……何でこんな事に!? 変なものなんて入れてませんよ」

「んー……フウカ、パンの素材は?」

「ブドウはパブテスマ、小麦は聖者麦です。それ以外は……パンを焼くのには素材との相性を考えて聖別した窯を使いましたけど、それくらいですね。言うまでもありませんが、人体に害があるような素材は一つも使っていません」

「あー……原因それだね。ほら」

 

 何かしら納得したらしきアリスは、床に飛び散った吐瀉物を指差した。その小さくて細くて綺麗な指先が指し示す先、奇妙に生臭い胃液の臭いを漂わせた吐瀉物には鳥のそれに酷似した白い羽根が混ざっており、そしてその奇妙に金属的な色合いが、ゆっくりと根元から黒ずんでいく。

 何をどう見ても、あからさまにメシア教会絡みの何かだ。見れば分かる。

 

 

 ────そして何より。

 

 

「まさか、これ……」

「うん、そのまさかだね」

 

 何となく、事態が把握できた。

 

 “メシア信徒に対してのみ遅効性の致命的な毒性を発揮する”というワイン『喜劇』────その主原料はぶどうパンに使ったのと同じ錬成品種ブドウ『パブテスマ』。それを元に、飲酒ができない子供や、純粋にアルコール類が苦手な人のために、アルコールを使わずに『喜劇』の効能を再現するために作ったオリジナルレシピが、今回のぶどうパンだ。

 

 効能としては『喜劇』に比して八割程度と、本家には一歩及ばない────単体であれば、だ。

 本当ならそれさえも計算外で、パブテスマと聖者麦が不自然な程に相性が良かったからこその八割、本当なら今の私の腕前では五割程度が限界のはずだった。

 

 それがここまであからさまな効果を発揮した理由に何となく思い当たり、顔を見合わせた私達に、声優さん達の一人がどうにも奇妙に焦った様子で詰め寄ってくる。確か、東京の方にある他社スタジオからやってきた人であるらしいのだが。

 

「ちょっとアンタ達、パンに何混ぜたのよ!?」

「体にいい、ちゃんとした食材です。食べなかったら最悪、腹を喰い破られて死んでいましたよ」

 

 少なくとも、事実ではある。肩をすくめたアリスに向かって異様に興奮した形相で詰問しようとするその声優さんに、他の声優さんが抑えに掛かるものの、どうにも興奮した声優さんが落ち着いてくれる様子はない。

 

「はぁ!? 何の話をしてるのよ、真面目に答えなさいよ! アンタ達がやったんでしょ!?」

「ちょっと、やめなさいよ! ごめんね、いつもはこんなじゃないんだけど……ちょっと、何やってるの! ほら、こっち来なさい!」

 

 吐瀉物の中で蠢く肉塊のようなものを、アリスが袖口から抜いたナイフの刃先に突き刺して持ち上げる。実に気色の悪い事にそれは人間の胎児に酷似していたが、その背中からは未発達の翼のような奇形な突起が二本────否、それは実際に翼なのだろう。

 鉤爪のような逆向きの弧を描いて内向きに湾曲したカランビットナイフの刃の切っ先に突き刺されたまま蠢く異形の胎児は、未発達の口腔からきぃきぃと耳障りな苦悶の声を上げ、やがて痙攣しながら全身が腐り落ちるように黒ずんで死に至り、どろりとした腐臭を漂わせるマグネタイトに分解した。

 

「人間の胎児を素体に天使を憑依受肉させたタイプの……多分、世界最小サイズの天使兵だね。寄生型とでもいうべきかな、人体の中に潜り込んで内臓に寄生、無理矢理にでも母と子の関係を作り上げる事で魔術的に胎児として安定させて、宿主のマグネタイトと生命を吸い上げながら、宿主の思考や肉体を体内から操作して敵地で行動し、情報収集なり破壊工作なり、って具合に。で、一定期間潜伏を続けて成長したら出産……宿主の腹を喰い破って体内に出て完全体になり自爆……じゃないね、多分自分自身を生贄にしてCOMP代わりに大兵力を召喚して敵地を制圧するタイプだよ。…………いや、本当に厄介だね。ここで見つかって運が良かった」

「…………よくもまあ、そこまで判別できますね」

 

 抗議してきた声優さんが手に持っているのがまだ口を付けていないレーズンパンだと見て取ったアリスは、彼女が持っていたパンを毟り取るように奪うと、声優さんの口に無造作に捻じり込んだ。突然の暴行に声優さんが目を白黒させるより先に、即座にその声優さんの口から大量の吐瀉物と共に、寄生型の天使兵が吐き出されてくる……どうやら、彼女自身も寄生されていたようだ。

 それを氷結系の魔法を使って一瞬で凍結させてビニール袋に放り込み、呪符を貼って証拠用に保存、と手早く現場保存と証拠集めを進めていくアリスの手つきには一切の淀みがない。食品保存用に料理部でも使っている氷結魔法は私にもある程度は使えるが、私のそれとは練度が段違いだ。

 

「ちょっ、アリスちゃんフウカちゃん大丈夫!? まずはええと、えーとえーと救急車……じゃないここは警察、でもないガイア連合に連絡して状況説明! いやそれ以前に密輸課の人を呼んで医療部に緊急搬送……二人が倒れたって声優事務所にも連絡して!!」

 

 白目を剥きながら大慌てで、しかしその割には的確な指示を出しているのは、ガイアニ社長の陸八魔アルさん。アリスから確保した証拠物件を押し付けられて目を白黒させているが、とりあえず問題ないだろう。

 この場は彼女に任せておけば問題なさそうだが、後で事情聴取くらいは受ける事になるだろうな。

 

「それでアリス……事情聴取とか諸々が終わったら、一緒に帰りませんか?」

「いいよ。でもフウカと一緒なら、クラウドセルに寄っていきたいかな。せっかく一緒に作ったのに、フウカしばらく来てないし」

「そうですね……じゃあ、行きましょうか」

 

 と、そういう話になったのだった。

 

 

 

   ◆    ◆    ◆

 

 

 

 『パブテスマ』も『喜劇』も、その効能における魔術的原理の根底は聖書と黒魔術────総じてどちらもヘブライ系一神教の世界観に基づくものだ。

 

 そして、特に十字教の教義において『パンを分かち合う』という行為は宗教儀式の基礎中の基礎に位置している。何となれば、十字教であればカトリックであれプロテスタントであれ毎週日曜日に必ず行われるミサの根幹である聖体拝領の儀式────救世主が十二使徒を前に開いた最後の晩餐に端を発する、教義上最重要の儀式と同じもの。

 つまるところキリストの肉体に擬されたパンを分かち合う事により、十字架に架かったキリストの犠牲を代償とする救済を分かち合うという祭儀。

 

 そしてアリスが有する“第四の霊基”────唯一神が手ずから寄越したという疑惑すら残る“資格”の正体は、一神教において唯一神に次いであらゆる天使や聖人の上位に座し、あるいは救世主と並んで崇敬され、時には唯一神それ自体と以上に強い存在感をもって重要視される超高次の霊格。

 そんな“資格”の所有者と“パンを分かち合った”のだ。その時点で、あのレーズンパンの霊格は奇跡として限りなく高次に位置するものとなっていた────教義に基づいて天使やメシアンを排斥する、あのジェネリック『喜劇』の霊格が、だ。

 

「アリス、どこまで気付いてました?」

「何か、違和感は感じてた。だからそういう儀式として成立するようにやってみたら、まあビンゴ、って感じかな。多分ブドウ酒の方もセットだったら腹の中で爆裂四散して、寄生先の人達も物理的に危なかったんじゃないかな? 治癒はできるけど。レポート書いたら沖縄の人達とか爆笑すると思うよ」

「…………とりあえず、もう何も突っ込まないようにします」

 

 

 ちょっと頭が痛くなったので溜息一つ、顔をそらして窓の外に視線を向ける。ゆっくりと宵闇が迫りつつある夕刻の空に浮かぶのは、私のシキガミ『ザイダベック』に新規実装された飛行形態────交差反転式の2枚のローターで飛行する大型ヘリコプター『ルビコプター』だ。

 

 あきらかに既存のヘリコプターとは異なるSF的なデザインかつ、あからさまに兵器然とした攻撃ヘリの外見で未だに半終末前の文明を維持している日本の空を好き勝手飛ぶ事は難しいが、その辺は光学迷彩と反ミーム迷彩で比較的どうにでもなる。

 後はアリスと二人、ヘリに乗って山梨上空のクラウドセルが浮かぶ空域へと機首を向けた。

 

 ばたばたとやかましいローター音を聞き流しながら、窓越しに見える山がちな山梨の景色を眺めるアリスの横顔に、ぼんやりと視線を送る。薄暗い操縦席の中で照明はコンソールに表示されるLEDの光くらいだが、それに照らされるだけでも既に一枚の名画が出来上がるくらいなのだから、美少女というのは得だ。

 相変わらず綺麗と可愛いを半々に両立させた、恐ろしいくらいに整った顔立ちだが、その中でも最も目立つのはぱっちりとした黒目がちな両眼だ。

 【輪廻写輪眼】に開眼しているその両眼は左右非対称、無数の円軌道の上に点々と勾玉を配したデフォルトの波紋模様を描く左眼とは対照的に、右眼には輝く月を中心に桜の花弁と焔を散らした紋様が浮かんでいて、それは最高級の漆器を彩る蒔絵にも似ていた。

 

「? どうかした?」

「い、いえ! …………なっ、何でも、ないですよ」

 

 何でも、ないわけがないが。

 

 好きな子と、密室状態のコクピットで二人きり。心臓はさっきから爆発しそうなくらいに激しく脈打っていて止まらないし、顔にも血が上って、窓から差し込む強い西日がなければ真っ赤になっているのはすぐにばれていただろう。

 居住性を高く見積もって内部空間が広めにとられたルビコプターのコクピットだが、それでも決して広いものじゃない。何となれば、その身体が薄っすらとまとった甘い匂いまで漂ってくる始末だ。

 

 

 護摩を焚いたように、甘い匂い。

 

 

 護摩────つまり、芥子の実の。時には戦争さえ引き起こす要因となった、世界で最も有名な麻薬の素材の。

 

 

 そういえば、と、朦朧と蕩ける頭を必死に回して思い出す。

 今は香水なんかも、すごいのが色々とあるんだっけ。私は詳しくないが、農業部では香水向けの品種なども色々と研究されているらしい。

 

「……アリス、何か香水とか、付けてます?」

「────…………あ」

 

 問われて思い出したように背筋を震わせたアリスは、気まずそうに視線を逸らしながら、後頭部で髪の毛をポニーテールに束ねていたリボンを解いた。解けた白いリボンは途端にサイズを増して肩掛けストール程の布地へと変わり、アリスの肩を覆うように浮かび上がる。

 

「……多分それ、これの匂いだと思う」

「えと、『傾世元禳』でしたっけ」

「魔法的な波動っぽい魅了以外にも、原作再現で匂いを媒介にした魅了もできて便利なんだよね……ごめんね、しばらくオンにしっ放しだった」

 

 香気を媒介にする魅了は、対軍規模の超広範囲に拡散するだけでなく、風に乗って漂ったり、人や物に付着して広がったり、と物理的な性質を得た事で、物理的に範囲を広げる事ができる。アリスの頭と性格なら、いくらでも怖い使い道を思いつくだろう。

 

「もうオフにしたから大丈夫だと思うけど……本当に大丈夫?」

「あはは……実はいつもとあんまり変わらなかったから、大丈夫だと思いますよ」

 

 ……実はこれっぽっちも大丈夫じゃない。

 

 単に傾世元禳抜きでも普段から危険域で魅了されているから、あまり大差ないだけだ。

 

「……でも、香水なんて作ってみるのも面白いかもしれませんね」

「香水かぁ。コスメ部の領分だよね。今度試しに一緒にやってみる?」

「ですね」

 

 そんな事をとりとめもなく話しながらしばらくヘリに揺られて、やがて辿り着くのは無数に絡み合って巨大な樹の塊を形成するクラウドセルの中枢世界樹グレート・テオブロマ親樹の傍に配置されたヘリポートだ。そこにルビコプターを着陸させると、後は元通りの子犬形態に戻ったザイダベックを引き連れて、私達はクラウドセルに降り立った。

 

「久しぶりとはいえ、クラウドセルが出来上がってまだ数日……っていうのにずいぶんと育っていますね、あの世界樹」

「支える仙境の規模が大きいから、それに合わせて大量のマグネタイトを吸い上げて一気に育っていく感じみたい。それに竹の因子を追加したせいかな、生命樹系統の他の品種より成長も早いみたいだよ」

 

 クラウドセルの中枢シキガミコアを内蔵したグレート・テオブロマ親樹は、板チョコの葉とチョコ菓子の果実を鈴生りにした無数のカカオツリーが絡み合って巨大な塊を構成し、樹に半ば融合させるような形で組み込まれた巨大な飛行石を中心にして、遠目にはずんぐりとした一本の樹のようにすら見えるが、近寄るとそれらが多数の樹が互いに融け合うようにして一本の樹のようになっている事が分かる。

 その中には、どうやら途中で接ぎ木されたらしき通常種の生命樹や菓子の木などの枝が生えており、そちらからはチョコ菓子以外の果実も食べられるらしい。

 

 枝と根が複雑に絡み合い複雑な塊を作り上げているグレート・テオブロマ親樹の傍らには、無数の根と枝に埋もれるようにして大掛かりな工場設備が建っていた。グレート・テオブロマから採れるチョコレートを様々な形で加工するための工場であり、その中でも約半数の生産ラインを占領し、常に生産が行われているのが超高度栄養食『ヒートヘブン』だ。

 

「一つ、食べてく?」

「……太りません?」

 

 宝玉ピスタチオや、ナッパニキが確立させた技術を元に製造した様々な品種のナッツ仙豆をクランチし、それをグレート・テオブロマ産のチョコレートで固めた超高カロリーのチョコバーだ。これ一本で30レベルの異能者が一ヶ月に必要とするカロリーを摂取できるとかいう頭の悪い代物────食べる側が【食没】を習得している事を前提にした異能サポート食品である。

 

「【食没】覚えてるなら、まず太らないかな」

「………………今度覚えてきますから、その時に」

 

 また、次にクラウドセルの地を踏む機会が遠くなりそうな予感がする。

 

 小さく溜息を吐くと、私とアリスの隣に小さな風の渦が生まれて、その中で凝集したマグネタイトが人型を作り出す。深く青みがかった黒髪を長く伸ばした彼女の本性は、【人型躯体】スキルによって顕現したクラウドセルの中枢となる人型シキガミ形態『テノチティトラン』だ。

 

「しばらく見てない間に、随分と色々増えましたね」

「ええ。それなりに期間が開いていて、その間にアリスが色々と作ってくれましたから、ね。……貴方がいなくて、少し、心配していたのですよ」

「それは、悪いと思っていますけど」

 

 ひたすら修行するのはいいが、それにかまけて新しいシキガミを完全に放置していたのは事実。素直に謝ると、私より目線分だけ身長の高い彼女は、私の頭を一度撫でると小さく笑って身を離した。……もしかして、アリスのシキガミに毒されているんじゃないだろうか。

 少し赤くなった頬を押さえながら、雲で組み上げられた浮遊大地を見下ろす。戦闘型や知覚型のような異能はほぼほぼ持ち合わせていない私だが、【写輪眼】の望遠能力である程度の遠間は見通す事ができる。その視界に映る“クラウドセル”は、思った以上に発展しているようだ。

 私がやったのはポテトの泉の再現くらいだから、ここしばらく私がいない間に、アリスが相当に手を入れていたのだと分かる。

 

「やっぱり私の知らない間に色々と増えていますね。何を作ったのか、教えてもらえますか?」

「その辺は後で、色々あるから時間を掛けてね。明日は一日休ませてあげて、って炒飯ネキにもドブカスニキにも頼まれてるから、明日一日は自動的に暇になる予定……フウカも、僕もね」

「…………初耳なんですけど!?」

 

 今聞いた。

 

「今言ったからね」

 

 初めて聞いた事実に反射的に抗議の声を上げると、イタズラ成功とばかりに悪びれないアリスの笑顔が視界一杯に映る。その嬉しそうな顔を見ているだけで、不満やら何やらがあっという間に溶けるように消えていくから、美少女というのは得なものだ。

 ……まあアリスは男の子なのだが。

 

「と、いうわけでテノチティトラン、仙境の時空間設定を閉鎖モードに変更、時間速度倍率は1000倍に加速でお願い」

「承知しました、アリス。フウカとアリスと、私とで三人……いえ、シキガミの先輩方も含めれば人数面ではもっと、ですが大差はありません、ね」

 

 大雑把に1000日間の休日…………これは、長い休みになりそうだ。

 この休暇が終わったら、時間感覚が大変な事になっているかもしれない。もっともアリスと二人きりの長期休暇を、断る選択肢なんて私にはないのだが。

 

 

 






~割とどうでもいい設定集~



・クラウドゴン
 アビャゲイル様『【R-18】アビャゲイルの投下所【カオス転生ごちゃまぜサマナーN次創作】』。
 KSJ研で製造された大型の拠点防衛用シキガミであり、“大地の概念を持つ雲”を構成素材として空中に浮かび、探求ネキが完成させた再現ベジタブルスカイの土台となっている。

 フウカとアリスが購入し、空中拠点クラウドセルの土台とした。



・クラウドセル/テノチティトラン
 フウカとアリスの空中大型拠点。ベジタブルスカイを下敷きにした大型生産拠点。
 内部には二人が建造した各種施設などが点在している。

 中枢制御用シキガミ『テノチティトラン』を内蔵しているが、彼女のシキガミコアにはイギリスでアリスが獲得した『軍神ウィチロポチトリ』『幻魔トラロック』の悪魔カードが組み込まれており、太陽と雨の権能を有するため農業に適した環境の調整に優れている。
 中枢部に仙境化のための結界基点として巨大なグレート・テオブロマ親樹を植えており、この内部に巨大な飛行石を内蔵する事により中枢演算機関・動力炉として機能させている。

 通常のクラウドゴンにある程度の改造が施され、【ヘリウムガス生成】【ヘリウムガス吸蔵】という二つのスキルを宿しており、これを利用して浮力の獲得を効率化している。
 また最上層には【光合成】【食没】の組み合わせによって太陽光を生体マグネタイトに変換する『陽明樹』の森が構築されており、これによりマグネタイトの生成も効率化される。


・初級インベス
 元ネタは『仮面ライダー鎧武』。
 クラウドセルの維持・管理のためにアリスが製造した量産型簡易シキガミ。
 探求ネキが開発したクトゥルフ系食材『ミ=ゴ茸』をベースに、原種のミ=ゴにより近づけて製造したもの。
 全個体の脳神経は相互ネットワーク化され、総体で意識を共有し、クラウドセルの管理下で制御されている。
 クラウドセル上での活動に必須な飛行能力を持ち、さらに元ネタとは異なり生体工学、化学、生物学、機械工学の他、クトゥルフ系カルトマジックなども得意とする。
 便利だが、原種の原種といえるミ=ゴが持つシュブ=ニグラスの眷属としての性質を利用して契約・支配力を強化しての使役であるため、他での使役のハードルは意外と高い。


・サンデヴィスタン
 元ネタは『Cyberpunk』。
 フウカが延髄に組み込んだシキガミパーツ。
 ヘイローに内蔵された思考制御型COMPと連動し、思考加速と【投射呪法】の制御に特化した機能を持つ。
 最大の機能は神経加速・思考加速・時間加速の三種類の【獣の眼光】であり、これに加えて【アニメーター】【絵画の心得】を組み込む事で、フウカのイメージを読み取ってその視界内に【投射呪法】に必要な体感秒間24コマの描画を行い、【投射呪法】発動をサポートする。


・龍神 伏羲
 フウカの本霊。
 地母神ジョカの配偶神であり、ジョカと共に土と縄で人類を作り出した神とされ、ジョカ同様に蛇身人首の姿で描かれる。五行では東方・春・木徳を司る。
 ジョカと共に大洪水を生き延びて新たな人類の祖となったとも、ジョカと共に最初の男女の組み合わせになったともされる。
 八卦の概念や文字、釣りや漁網、調理、牧畜、鉄製のものを含む武器の製法などを人類に伝授し、また婚姻制度なども定めたとされ、文化英雄に近い属性を持つ。
 仏教では観世音菩薩、日天などと同一視される。

 基本的な資質は製作系で、素質だけなら幅広く色々なものを作る事ができるはず。衝撃・疾風・電撃・治癒と木行と生命に属する魔法は使えるが戦闘系の資質はほぼほぼ低目。
 このため料理文化の祖としてそっち系の製作技能は得意だし、植物操作の素養もあった。それ以外にも占術系の素質をベースにした未来視なんかにも派生している。
 でもそれ以外の権能には目覚めていない。素質の中から伸ばすツリーを絞った結果。

・パブテスマと聖者麦のレーズンパン
 フウカの作品。
 ポポァ様『【カオ転三次】本霊デビルなの バ レ バ レ』より、メシアンに厳しいブドウ『パブテスマ』と、血涙鬼・彼岸様『凡庸でありふれた転生者達の小話』より将来的にメシアンに厳しくなる『聖者麦』で製作したレーズンパン。
 性質的には性能八割ジェネリック『喜劇』。飲酒ができない子供や、純粋にアルコール類が苦手な相手でも問題なく食べられる形で、メシアンに厳しいワイン『喜劇』の効能を再現するために作られたもの。
 普通に美味しいが、メシアンや脳に羽根入っている手合いが食べると悲惨な事になる。

・寄生型天使兵
 人間の胎児を素体に天使を憑依受肉させた、現行では世界最小サイズの天使兵。
 人体に寄生し、宿主との間に魔術的に母と子の関係を構築する事で胎児となり、宿主からマグネタイトと生命を吸い上げながら、体内からその思考や肉体を操作しつつ敵地で行動し、宿主の肉体を外殻とする事で探知や妨害を躱しつつ、情報収集や破壊工作を行う潜入型の兵科。
 最終的には自分自身(と宿主)を生贄にCOMP代わりに大兵力を召喚して敵地を制圧する。


・ルビコプター
 元ネタは『AC6』。惑星封鎖機構大型武装ヘリ。
 フウカのシキガミである世紀末装甲キッチンカー『ザイダベック』の第二形態。
 クラウドセルとの往来の為に実装された飛行形態だが、対地攻撃機としても十分使える機体になっている。地上の敵を空から一方的に掃射して薙ぎ払うための形態。


・ヒートヘブン
 元ネタは『仮面ライダーBLACK SUN』。
 グレート・テオブロマ産のチョコレートと、宝玉ピスタチオや様々な品種のナッツ仙豆をクランチして作った超高カロリーのチョコバー。
 これ一本で30レベルの異能者が一ヶ月に必要とするカロリーを摂取できるとかいう代物であり、食べる側が【食没】を習得している事を前提としている。
 【食没】でカロリーを貯め込む効率だけを追い求めて作られた食品であるため、【食没】抜きだと異能者でも太る。

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