◆ ◆ ◆
愛媛支部の話。
愛媛といえばミカン、ミカンといえば愛媛である。
和歌山?
静岡?
知らない子ですね。
和歌山県で何度蛇口を捻っても、オレンジジュースは出ない。
静岡県でどれほど消火栓を開けても、オレンジリカーは湧いてこない。
要するに、そういう話である。
と、まあ……冗談はさておき。
さておき。
それはそれとして、ガイア連合愛媛支部の終末期を見据えて、交易目的での愛媛支部の特産品開発のため少しずつ進めていたオカルト食材ミカンの栽培も、ようよう安定してきた。この調子なら商品化しても問題なくイケるだろう。
合金樹の為の製材所『奇仏寺ウッドマテリアル』を任せていたシキガミの一体であるバニヤンが、林業だけでなく農業系のスキルまで取得し始めたのも大きい。簡易シキガミの指揮まで習得した挙句、通常の【農業】スキルが【アメリカ式大規模農業】などというスキルに変化したのは、火星で大規模農業を進めていたのが原因だろうか。
と、いうわけで柑橘類栽培を次の段階へと移していこうと思う。
ガイア連合農業部に所属する農業ニキが製作したトリコ再現グルメ食材の一つ『灼熱オレンジ』。果汁には高濃度の油脂が含まれており、常時発火しているという取り扱いがいささか困難な品種だ。
元々は伊予柑をベースに濃縮オリーブ油とアギストーンを合成して生成された錬金術生成種であり、火炎属性と高い親和性を持つのが特徴的だ。このため食用としてのみならず燃料や、あるいは銃弾や火炎瓶、アギストーンや、果ては【アギ】スキルカードなど火炎属性を含むアイテムの素材としても高い利用価値が期待できる。
これを栽培・収穫するために【火炎耐性】持ち簡易シキガミの量産が急がれたのはさておき。
この灼熱オレンジの栽培に出資したいという黒札が現れたのだ。
人誅ニキ。
本名『雪代縁』────この愛媛支部に籍を置く黒札の一人でもある。倭刀術を得意とする近接物理系の異能者であり、愛媛支部でも指折りの戦闘力を誇る彼は、一昔前に破魔ネキがその実家から発掘した『刀語』要素────破魔ネキの先祖にあたる鑢家伝来、刀を持たざる剣術『虚刀流』と対になる“あらゆる刀を操る剣術”『全刀流』の伝承者でもある……のだが、彼を語るにはもう一つ重要な特徴がある。
バリバリの復讐者なのだ。
メシアンと天使を苦しめて殺せるなら何でもやりたいというヒャッハー系の危険人物で、自分が悪人であるという自覚はあるが、それはそれとして天使やメシアンを殺す事はむしろ善行だとすら思っており、良心の呵責など何一つ感じていないタイプ。
初音郷で穢教滅閃製造のバイトをやっているかと思えば、中華戦線に飛び出して過激派の拠点を焼き討ちしたり、何なら穏健派の拠点にカチコミを掛けて陰で行われていた天使への人身御供やテロ計画の事前阻止を成し遂げたり……と、察知能力もフットワークも非常に軽く、ついでに自己隠蔽や事後の証拠隠滅のスキルも高い。
その一方でガイア連合への仲間意識は比較的高い部類で、身内の身内には手を出さないし、また組織として不本意ながら同盟を結ぶ形になっている穏健派に対して仕掛ける時には事前調査を怠らず、最低限謂われのない攻撃は行わない程度のブレーキは効いている…………嫌がらせ程度なら普通にやる。
そんな彼だが、メシア教会への攻撃以外にも力を入れている事があり、それが酒造『人誅』の経営だ。
山梨で結構大きめのワイン工場を経営しており、元は脳缶ニキが開発した魔酒『喜劇』────基本的には飲むと治癒効果を発生させる酒なのだが、隠し効果としてメシアンに対して『死後の世界の強制的な行き先変更』を引き起こすとかいう、メシアンにとっては絶望以外の何物でもない代物をライセンス生産しているわけだ。
それ以外にも魚沼にも工場を持っており、こちらでは飲ませた相手の状態異常耐性を引き下げるノロイ米ベースのノロイ酒を製造しているとの事だが。
この灼熱オレンジを利用して酒を作りたい、というのが彼の要望だ。灼熱オレンジの利用先も欲しかったところだし、ちょうどありがたい申し出なので普通に受け入れる事にする。
このオレンジ酒の開発は、思いの外難航した。常時発火しているという灼熱オレンジの特性が想像以上に厄介で、このオレンジで酒を造ろうとすると何もしなくても勝手に発火して、そして蒸留されてしまうのだ。まあ仕方ないので、開き直って蒸留酒から作る事にした。
そうして出来上がったのがブランデー『灼陽』────金色に近い鮮やかな橙色に輝く、濃厚なオレンジの風味が特徴的なオレンジ・ブランデーだ。封を開けると自ら発火し、時間と共に蒸留して風味とアルコール濃度を高めていく特殊な性質を持つ。
甘く、すっきりとした柑橘類の風味により口当たりは爽やかで呑みやすいのだが、それに反してアルコール度数は極めて高く、ジュース感覚で何も考えずに飲んでいると簡単に酔ってしまうため、ある意味では酒飲み上級者向けの酒といえるだろう。
そしてこの『灼陽』を『喜劇』『ノロイ酒』と三種混合でブレンドし、さらに『火栗』の粉末を散らしたカクテル『殺虫剤』こそが、人誅ニキの真の目的だったらしい。
血のように赤黒い不気味な色合いのこのカクテルは、死後の行先変更と呪殺属性打撃の効果を持つ『喜劇』の特性を『ノロイ酒』の呪殺適性と状態異常低下が増幅し、そしてそこに自己発火特性を持つ『灼陽』にアクセントとして『火栗』を加える事で強力な燃料となり、また炎上効果も強化される対メシアン用殺戮ナパーム燃料だ。状態異常低下が加わるので付随する炎上作用に対する耐性も引き下げられ、文字通り敵が死ぬまで燃え続ける殺意の塊でもある。
……既に飲み物でも何でもない! 酒とは一体……?
そして、この燃料を運用する事に特化した装備が量産型火炎放射器霊装『煉獄招致ルビカンテ』。『殺虫剤』カクテルをたっぷりと詰め込んだこの火炎放射器だが、着火系は【マルティン・イーラ】を蓄積した『魔導火』であり、並みの使い手でもざっと【マハラギオン】相当の威力になる。メシアン相手であれば大抵は一発で丸焦げの地獄行き確定だ。
仮に【マルティン・イーラ】の特攻対象にならない善良なメシアンが相手でも、セレクター一つで発火系を通常のアギ系統に切り替えれば普通に焼ける。
ついでに燃料タンクはフォルマ式弾倉なので、燃料切れのリスクもほぼないという地獄の業火仕様。
メシア教会に恨みを持つ現地民異能者を人誅ニキがスカウトして作ったデビルバスター部隊『人誅組』で、【火炎耐性】と【酸素供給】スキルを組み込んだ特別仕様のハガネの鎧と共に運用され、今日も元気に各地のメシア教会を焼いて回っているらしい。
◆ ◆ ◆
魚沼市で支部を経営中の田舎ニキの最終目標は“クズリュウの討伐”であるらしい。
終末に際して“地上のどこか”に降臨するであろう神霊クズリュウ。
真・女神転生Ⅱに登場するボスとしては地球と魔界それぞれの霊脈全てがクズリュウだとかいうアホみたいなサイズ感を誇る怪物であり、一度降臨すれば理性も知性もなくただただひたすら暴れ回って全てを破壊するだけの大怪獣だ。
当然ながら対話など不可能だし、一度顕現したら討伐するしかなく、しかしどこかに出現するのは確実で、出現したらそれだけで地上に壊滅的な被害が出るのは目に見えているが、どこに出現するかは分からない。
しかもその顕現は、ショタオジが動けない終末到来のタイミングだ、という事だけは分かっている────控え目に言ってクソゲーである。
これに対し田舎ニキは、終末によって封印が緩むのを見越して、あえてクズリュウの頸の一つだけを限定的に降臨させて斬り落とし、ダメージを与えて退散させる事で完全な復活を阻止する。これをやっておけば、残り千年程度はクズリュウの再顕現は起きないのだとか。
このため各地の九頭竜神社には厳重な封印を施し、ただ一つ魚沼近郊の対クズリュウ決戦用異界に配置した九頭竜木像のみ封印を緩めておく事でクズリュウの顕現地点を限定し、そこで決戦を行うべく準備を進めているとの事。
この準備にも手を出す事になった。
魚沼での決戦を前に、少しでもクズリュウが顕現しやすい地盤を整えておくのだ。具体的には“影”程度のものでいいから、クズリュウの分霊の分霊くらいの存在を召喚しておく────いくつか候補が上がり、その中から選ばれたのは『邪龍ヒュドラ』だった。
もっとも咆哮を上げこちらを威嚇するヒュドラの蛇体の足元は巨大なチョコレートの沼地と化してその身体の半ばを沈み込ませ、ほぼほぼ身動きが取れなくなっているわけだが。
「────一斉射撃!!」
《SET チョコ! SET チョコ!》
《チョーコードーンー!!》
僕の周囲に浮遊するヴァレンバスター十二挺が号令に応じて、コミカルな、それでいてどこか悲鳴にも似た電子音と共にその銃口へと収束させていた霊力を解き放つ。膨大な概念情報を孕んだマグネタイトは渦を巻いて圧縮され、濃茶色のチョコレートの砲弾を形成。
そのままトリガーホルダーにセットされた自律誘導術式【メテオラ】によって誘導されるまま、邪龍ヒュドラの九本の頸と、その先端にあるどこか人面に似た頭部へと機械的な正確さで着弾。直撃弾を受けたヒュドラの頸が爆圧と衝撃で跳ね上がり、そして爆ぜた高熱のチョコレートがその顔面へと降り掛かる。
同時、シキガミの一人であるワイスの構えたレイピア『ミルテンアスター』の鍔元が金属の噛み合う音を立てて回転し、内蔵されたチェンバーに装填されていた魔法思念料を起爆。
その刀身を介して威力を何倍にも増幅させながら投射される【マハブフーラ】の冷気がヒュドラの顔面を覆うチョコレートを一瞬で凍結してその頭部を完全に固めてしまい、出来上がるのはチョコレートの立像だ。
《SET よもぎ餅! SET よもぎ餅!》
《もーぎーまーるー!!》
そして機関部に装填されたゴチゾウを換装したヴァレンバスターの砲門から死体蹴りとばかりに投射されるのは直径数メートルを越える巨大なヨモギの葉だ。凍り付きチョコレートで固められたヒュドラの多数ある頭のそれぞれの顔に絡み付き、その顔面を完全に覆い、塞いでしまう。
強烈な猛毒の吐息が持ち味の邪龍だったが、全身を拘束するヨモギとチョコレートが強烈な解毒薬としての性質を発揮して、神話を代表する英雄ですら死に至らしめる神話的毒素を完全に分解し無効化。身動き一つできないこの状況もあり、既に完全な死に体の蛇型チョコアイスだ。
「…………いかにも無茶な絵面の武装ですわね。それで高威力というのが、また納得行きませんわ」
「曲がりなりにも世界樹の果実を使っているからな。世界樹の果実二十四個を使い捨てにすれば、これくらいはできるさ」
呆れ顔を浮かべた彼女、シキガミの一人であるワイスを伴った僕は、クズリュウとの決戦の舞台として作られたこの異界を訪れて、開発中のゴチゾウやロックシードを使った武装のテストも兼ねて、降霊した邪龍ヒュドラとひたすら戦っていた。
低位分霊であるヒュドラの召喚と退治を繰り返して、多頭竜としての相を持つクズリュウが召喚されやすい下地を作る。
《SET スナック! SET スナック!》
新たなゴチゾウを空中にばら撒くように放り投げてやれば、念動魔法による浮動推進ユニットを後付けで組み込んだヴァレンバスターが自律的に飛び回って空中のゴチゾウを回収し自ら装填、ゴチゾウから供給されるマグネタイトを変換し、赤々と燃える灼熱の火炎がその砲門へと収束されていき。
同時、弓を象った『試作型ソニックアロー』へとオレンジロックシードを装填してその弦を引き絞れば、その矢の先にオレンジ型の巨大な光弾を生成。
《ヒリヒリチップスー!!》
《ロックオン────オレンジ!!!》
周囲で砲門を構え浮遊するヴァレンバスターから投射された火炎弾を取り込みながら回転するオレンジ光弾が、既にチョコレートの立像以外の何物でもないヒュドラの身体へと直撃し、その身体を木っ端微塵に破砕する。
「ピリ辛風味でディップされたミカンとか、冒涜的というしかないな……」
「問題点はそこですか……!?」
まあ倒したのだから問題ない……問題なく倒せるという事が確認できた。
倒したヒュドラのフォルマを壷中天へと回収したら、またヒュドラの降霊。今度は異界の設定を弄り、ヒュドラ────クズリュウの超劣化分霊が雑魚湧きするように再設定する。
「ふむ、ペースを上げるか」
こうしてクズリュウの分霊を湧いては倒しを繰り返す事で、この異界にクズリュウが現れやすい土台を整えていく。
今回は僕達が討伐するが、それ以降は魚沼支部に所属する高レベル異能者達が訓練代わりに利用する事になるな。
せっかくだ。
素材となるフォルマ採取も兼ねて、今日限りだが限界まで湧き量を上げてしまおう。ガンガンやっていかないと、目標数に辿り着かない。
「着いてこれるか、ワイス?」
「当然ですわ。主に付き従うのはシキガミとして当然の勤めですもの」
いい返事だ。
傍らのシキガミの頭を軽く撫でると試作ソニックアローを格納し、異界の設定が変化するのに合わせて現れた大量の多頭蛇に向かって、新たな武装を展開する。
ロックシード系、ゴチゾウ系、ところ構わず大量の兵装が出現し、溢れる敵へとその先を向ける。
ザクザクチップスラッシャーが無数の刃に分解して降り注ぎ、バナスピアーの槍先から発生した地割れの中からバナナを象った光刃が幾度も突き出し、ブルキャンガトリングの砲門から解き放たれたキャンディーを象った光弾がヒュドラを薙ぎ払っていく。
「さあ、早いところ片付けようじゃないか」
今日もまた、少しばかり大変な仕事になりそうだ。
◆ ◆ ◆
四国霊道環状線だが、最近は愛媛-香川間でのクライナーの運行も安定してきており、また四国全域での運用を目指し、高知・徳島でも少しずつ路線の建設が始まっている。
高知=旧土佐はいざなぎ流の本場であり、徳島はタヌキとイヌガミの本場だ。それだけにメシア教会に徹底的に叩かれてオカルト防衛が半壊しており、同時にメシア教会の拠点も多い面倒臭い土地であるが、だからこそ手は抜けない。
可能な限りさっさと排除&撤去、無理なら最低でも弱体化を済ませ、終末に向けた体制作りを進めていきたいと思う。
そんな折に思い付いた事が、一つ。
専用車両を作ろう。
そうなると問題は何をモチーフにするかだが、ここは『シンカリオン』シリーズから『ブラックシンカリオン』を製作しようと思う。
日本各地の新幹線がロボに変形して登場するシンカリオンシリーズだが、四国の新幹線が登場した事はない。なぜなら四国ではそもそも新幹線が運行していないので。
しかし、日本各地で暗躍していた悪役機体であるブラックシンカリオンが登場当初は“漆黒の新幹線”と呼ばれていた事もあり、“四国の新幹線”という空耳や、あるいは四国に新幹線がないせいで闇堕ちしたなどネタにされていたため、四国霊道環状線を走らせるのであれば中々の嵌まり役だったりする。
変形機構はクライナーと比べれば随分と複雑なものになるが、トランスフォーマー型と比べれば楽なものだ。
列車形態での『モードシンカンセン』ではクライナーとほぼ同じ機構を備える他に中型のターミナル端末を内蔵し、四国霊道環状線の各駅地下に設置されたダンジョンコアを遠隔操作する事で目標地点を電脳異界化する事により電脳異界を通じたターミナルによる長距離転移を可能とする。
人型格闘形態の『モードシンカリオン』では緋想の剣の機能を取り入れた主兵装『ダークカイサツソード』による二刀流を中心に、大型槍『ダークシャリンドリル』、脚甲『ダークドラゴンナックル』を搭載。射撃兵装として二挺拳銃『ダークフミキリガン』と『ダークミサイルポッド』、中距離用に大型投擲兵装『ダークフミキリシュリケン』。また『ダークスワローウイング』の背翼展開で空中戦も可能と、各種武装取り揃えている。
そこから中間車両と後部車両、さらに一部武装を切り離して支援機体『バーサーカードラゴン』を展開。さらにバーサーカードラゴンと合体して空戦形態『ドラグーンモード』や、最強形態『バーサーカーモード』へと変形できる。
また四国霊道環状線からマグネタイト供給を受ける事により、必殺武器として胸部から展開する重力子放射線加速砲『ヘルグランクロス』を運用可能だ。
この辺はまず、その内に色々と作られるであろうシンカリオンタイプの変形機構に関する検証が第一。武装が多いのも、シンカリオンタイプに対応した各種兵装の試験用だ。
それからもう一つに、四国霊道環状線の圏内で事故や戦闘が起きた際の迅速な対応を可能とする、ターミナルを介した転移システムの構築だ。ターミナルからターミナルへの転移ではなく、ターミナルを介さず目標地点に直接的に兵力を送り込む事を可能とする構想に関する検証。最終的には、四国霊道環状線を基点にした四国全域を包む大規模結界の全域に最短で戦力を送り込めるようにするのが目的だ。
運転士は……緋想の剣の技術を使っているからな、天子に任せよう。
その内に、松山支部を管理する伊代子の専用機も作った方がいいかもしれん。
◆ ◆ ◆
さて。
兵庫県姫路支部の支部長を務める破魔ネキのレポートによると、姫路支部の勢力圏内には『刀語』の虚刀流を学べる異界が存在しているらしい。
つまりこの世界、普通に虚刀流が存在していたようだ。
その来歴は幕府打倒のためではなく対悪魔用に構築された格闘術だった、との事だが────実際にどの程度原作通りか、という歴史的考証は気になるところだ。
少なくともこの世界の日本史において、幕府が尾張ではなく普通に江戸や室町、鎌倉に存在した前世と全く変わらない流れを辿った以上、『刀語』の世界に存在する異能じみた異形の“刀”の影響によって歴史が歪んだという事もなく、言い替えるならそれらの“刀”が日本史の流れを変えるほどには世の中に出たわけではない、という事は間違いない。
とはいえその一方で、七代目継承者である鑢七花は原作通り(?)に奇策士と出会っている辺り、少なくともそれ相応に原作に引っ張られている部分もあるという事は間違いない。
もっとも原作における七代目と奇策士は死別している一方で、こっちの世界での二人は普通に結ばれて現在に至るまで子孫が残っている辺り、運命の流れに打ち勝って原作以上のハッピーエンドに辿り着いたという事だろうか。
まあ目出度い話である。
まあ、それはそれとして。
虚刀流────あるいは虚刀「鑢」。
僕達転生者が知る原作『刀語』におけるその起源は、四季崎記紀という一人の刀鍛冶に遡る。天才的な刀鍛冶であり予知能力者であった彼は、その優れた予知能力で日本が海外からの侵略により滅びるという未来を知り、その未来を回避するべく奔走した。
そして、そんな彼が歴史の流れを変えるために鍛造したオーパーツこそが、予知能力によって知り得た未来の知識を天才的な技量で再現した異形にして異能の刀────変体刀。
それらは全て、運命に導かれるように相応しい使い手の元へと辿り着き、その肉体すら造り変えて自らを振るうために最適化してしまう魔剣であり、そして同時に、近寄る者の精神を汚染する“刀の毒”とすら形容される異様なまでの魅力を持ち、使い手自身やその周辺に近づく者すら魅了し狂わせる妖刀だ。
それらの“刀”の中には、明らかにどう考えても刀ではないものも含まれている。木刀やら岩塊やら、その辺ならまだまだマシな部類であり、拳銃やらフルプレートアーマーやら自律行動型殺戮自動人形やら、何をどうしてそうなったと問わざるを得ない明らかにおかしい代物が混ざっていた。
そんな一千本の試作品と十二本の完成形変体刀を経て完成した技術を以て、その最終的な到達点として生み出されたのが、完了形変体刀────虚刀「鑢」だった。
刀を用いないにもかかわらず“剣術”を自称する所以であるその秘された正体は、流派それ自体、あるいは人間そのものとして生み出された“刀”────つまるところ、虚刀流という流派を継承する人間そのものが虚刀「鑢」の正体だった。
自ら思考して武技を振るい、自らの意志で使い手を選ぶその性質の到達点であり、そして同時に虚刀「鑢」に認められた使い手であればどんなモヤシ型の貧弱な肉体の持ち主であれ、所有者の特性に左右されずに“振るわせる”事を可能とする────ヒトの形をした刀。
なのだが。
虚刀「鑢」が存在しているなら、他の変体刀だって実在していてもおかしくない。実際問題、完了形変体刀のもう一つの候補として生み出されながらも候補止まりとなった“あらゆる刀を操る剣術”こと全刀「錆」は、全刀流として伝承され、現在は愛媛支部に所属する人誅ニキに継承されている。
だから、調べた。
この上なく迷惑な事にメシア教会による焚書のお陰で、日本国内における太平洋戦争以前のオカルト事情に関わる資料が残っている場所は少なく、そのため探せる場所は限られていた。
長崎、天草十字凄教の文書庫。
宮城、悪路王異界内部の資料保管庫。
新潟、命蓮寺の書院。
そして何より、もはや一つの大規模異界になっている星霊神社の書庫。
せいぜいこの辺、なのだが。
幸いな事に……というか、優れた予知能力者であった四季崎記紀は最初からメシア教会の侵略行為を予見していたらしく、この四ヶ所全てに、四季崎記紀が鍛造した全ての変体刀の製法や仕様を詳細に書き記した資料が遺されていた。
……思えば、四季崎記紀が原作で危惧していたという「海外からの侵略戦争による日本滅亡」って、要するに今の日本に対するメシア教会の侵攻そのものだな。
一方で、残存していた変体刀の現物や残骸の内の多くがメシア教会によって破壊、もしくは略奪されて海外に流れてしまっているらしいが……この辺は仕方ないな。
悪刀「鐚」とか賊刀「鎧」とかその辺の残骸がメシア教会に解析された結果、サイボーグ技術が発展して機械式天使兵が強化されていたりだとか……まあ、諦めるしかないな。
だが、四季崎記紀が予知能力によって獲得した未来技術の詳細が明らかになったのは非常に大きく、特に完成形変体刀十二本に関わる技術は、色々なところでガイア連合の技術発展に寄与している。
物理的に最高の強度と硬度を誇る絶刀「鉋」、超重量の岩石そのものの双刀「鎚」は、素材工学の進歩に大きく寄与した。
分子間結合を破断しあらゆる物質を切り裂く斬刀「鈍」の刃は、斬撃武器として扱われるだけでなく、素材加工技術にも応用された
全く同じ材質・重量・切れ味で量産された“千刀”、向こう側が透けて見える程に薄く脆く加工された薄刀「針」は量産加工技術を大きく前進させた。
最強の防御力を誇るフルプレートメイルである賊刀「鎧」は各種デモニカや人型機動兵器の装甲形状に影響を与え、帯電する刀身を人体に突き刺す事で不死身の延命能力を与える悪刀「鐚」の能力は同じくデモニカの身体賦活機能の他、レールガンやリニアモーターカーなどにも応用された。
自律行動する殺戮自動人形である微刀「釵」の思考回路は後のシキガミにも応用され、またカス子ネキなどが扱う【傀儡操術】によって操られる人形の原型ともなった。
所有者や周囲の人間の精神に多大な影響を与える王刀「鋸」、誠刀「銓」、毒刀「鍍」は、精神系スキルの扱いに関わる技術を発展させた。
個人的に一番興味深かったのは炎刀「銃」────リボルバーとオートマチックの二刀流とかいう、これを刀と言い張るのはどう考えても間違っている二挺拳銃だ。
何せコレ、どこからどう見ても拳銃以外の何物でもない代物でありながら、それでもまだ概念的には「刀」として存在しているのだ。
実に理不尽な事に、剣術系の異能者が手にすれば剣の腕前のままにこの銃を扱えるし、逆に銃系の異能者が扱おうとしても剣士としての実力通りの腕前しか発揮できないし、何なら銃弾に剣撃系のスキルを乗せて放つ事もできる。
これを上手く利用すれば、例えば料理系特化の異能者が調理技能に応じた剣速と威力で振るう事を可能とする刀だとか、歌唱系の異能者が持てば歌の技量に比例した威力になる銃なんていう変なブツを開発する事ができるだろう。
非戦闘系の異能者でもある程度は戦えるようになる、という事であり、それは同時に非戦闘系能力者のレベル上げがやりやすくなり、それだけガイア連合全体の技術が進展するという事……うん、未来を感じるね。
この辺は、僕のシキガミの一体である幽谷響子に与えた『音銃剣錫音』にもその辺の技術が組み込まれており、聖剣と銃という二つの機能を統合しつつ、それを歌唱技能で扱い、さらに魔導書の制御まで行うという多機能ぶりを実現する事に成功した。
が、それはさておき。
姫路支部である。
先日、一つの事案が起きた。過激派に属するメシアンの一派が、豪華客船で姫路市に乗り付け、ガイア連合姫路支部に所属する異能者を含む多数の現地住民の拉致を目的とする大規模な襲撃を画策していた、との事だ。
幸いにも姫路支部の支部長であった破魔ネキが自前の予知能力でそれを事前に察知。乗騎であるブラックナイトスコード・カルラにて、問題の豪華客船が姫路港に到着する前に撃沈する事により、事態は未然に防がれたわけだが。
これに関して、破魔ネキからガイア連合本部に“事前に豪華客船を撃沈する事に成功した実際のルート”と共に破魔ネキが予知した“敵の接岸・上陸を許してしまった場合のIFルート”という二つの報告書が提出され、各支部……特に、似たような上陸攻撃を受ける可能性がある海沿いの支部長間でそれに関する意見交換会が開かれたのだった。
海なし県がほとんど存在しない日本であるからして、日本のどこでも同じ状況が発生する可能性がある以上、どこの支部でもほぼほぼ油断はできない、という事で危機感を煽られたのだろう、出席者は相当多かった。
問題のこの豪華客船────その性質上、客船というよりは偽装強襲揚陸艦といった方が相応しい代物だが、そういうものが存在している、という事が分かった時点で、既にこれそのものは大した脅威ではない。
戦力そのものもブラックナイトスコード・カルラ単騎での撃沈が可能である程度、という時点で話にならず、そもそも量産が効く代物ではない上に、いかんせん巨大過ぎるというどうにもならない弱点があるからして、そのサイズから、現在の地球上で同じものが稼働していれば、シキガミ人工衛星グリゴリアイズによって構成される衛星監視ネットワークによる探査から逃れる術はない。
それを防ぐために民間船への偽装なのだろうが、クラーケンやらシーサーペントやら大量の海魔が蔓延る半終末を過ぎた今の時代において海上船舶を運用できる勢力など我々ガイア連合を除けばメシア教会しか存在せず、後は海上に出ている船の中においてガイア連合・メシア教会穏健派の双方に属さない船を一つ一つ撃沈していけばいいだけの話だ。
と、いうわけで、そうなった。
実際に始末を行ったのは破魔ネキのカルラ他、呉支部のホワイト・グリントやキングジェイダー、マークザイン、あるいは宮城の飛竜戦艦、魚沼のクロスボーン・バンガード、あるいはラピュタ支部から出撃したアプサラスなどを中心とした各支部の大型航空兵力であり、特にマークザインは同化により船そのものに損傷を与えず敵勢力を殲滅可能であるため、敵を全滅させた後の船を接収し、押収した資料の類を調査班が検証しているところだとか。
あるいは星祭修羅勢を満載したホエールキングから人魚ネキの【子守唄】による音響制圧からの、殺害した相手から情報を引き抜ける黒死ネキによる情報の吸出しなども行われた模様。
また半終末を過ぎたこの御時世に、豪華客船に限らず大型輸送船や遠洋漁業船などの外洋航行船を運用できる組織などガイア連合を除けば穏健派・過激派問わないメシア教会だけだからして、ガイア系列ではなく、また穏健派としてすら届け出のない外洋船を運用している組織をリストアップし、そこに警察と連携した各地のガイア連合支部、あるいはその傘下の霊能名家や裏組織がシラミ潰しに調査を行っており、こちらも結構な藪を突いてあちこちで阿鼻叫喚の大騒ぎになっているようだが、そんな動きもしばらくすれば収まるだろう。
だからとりあえず、この辺については問題なし。同様の事案が発生する事は、まずないと思っていいだろう。
ただ、いくつか懸念が存在する。
主に、二つ。
一つ。
メシアン過激派の運用する偽装強襲揚陸艦が、本当にこの形式だけなのかという事。
姫路の一件で運用された偽装強襲揚陸艦は、豪華客船を転用したものだった。ホワイト・グリントやキングジェイダーに潰された他のメシアン船も同様に大型の軍艦や貨物船などを転用した大型の船ばかりで、そのため衛星軌道という高所から見下ろせば簡単に発見できた。
だが別に、同じ事をやるのであればそもそも大型船舶を使う必要はなく、ガイア連合で多用されている壷中天や空間圧縮などに代表される異界化技術を使えばどうだろうか。どうせ似たような技術は程度の差こそあれメシア教会側も持ち合わせていても不思議ではない。船内空間を大きく拡張し、小型のクルーザーや漁船などでも簡単に似たような事ができるだろう。
確かに大規模な異界化には大量のMAGリソースをコストとして支払わねばならず、地脈が使えない海上であれば多数の信者を動力源として囲う必要があるだろうが、それを補うにも大量の人間を飼っているメシアン過激派であればそこまで難しいものではないはず、いつもの異界式クローン人間牧場を海上に設置するだけの実にリーズナブルな話。
そしてガイア連合の戦力を考えれば、むしろ目立たない漁船やクルーザーなんかの小型船に小さい異界を抱えて、国内を転々としながら同様の事案を引き起こされる方が厄介だ。何なら海上船舶にこだわる必要もなく、潜水艦や航空機などという選択肢すら存在するだろう。
一つ。
破魔ネキが予知能力によって垣間見た、豪華客船型偽装強襲艦によって実際に姫路市に対し上陸作戦を決行されていた場合のIFルートにおいて発生したはずの被害規模が、許容範囲を越えて大きかったという事。
姫路支部といえば破魔ネキの投資によって規模自体も相当大きく防備もしっかりしており、地元の霊能名家なども十分に強化され、自衛隊との連携も取れていて、抱えている戦力は相当なものだったはずなのだが、にもかかわらずこの報告書においては、壊滅を通り越して敗走ですらない全滅状態に陥っている。
姫路支部傘下の有力な異能者は軒並み捕縛され、豪華客船の甲板に連行されて乱交パーティの具材として供されていたとか……ましてや破魔ネキの専用シキガミすらその中に混じっていたとなれば、とてもではないが楽観はできない。
専用シキガミは僕達黒札にとっては基本的に最重要のパートナーであるが、同時にその黒札と同等、場合によってはそれ以上の戦力となる存在だ。言い替えるなら、上澄みに近い位置にいる破魔ネキ自身と同等の戦力が何もできずに捕まって苗床にされたっていう意味でもある。
どう考えても洒落にならない。
姫路支部でこの様となれば、他の支部だって楽観はできないし、何となれば現時点での沿岸部の防衛体制は根こそぎ見直す必要が出てくるのは間違いない、ってなわけで現状、全力全開で阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
その最大の敗因は“一般市民”だ。
天使の言葉や聖歌によって洗脳された未覚醒の一般市民が暴徒化し、可動式の人質兼肉盾兼拘束具として敵に回った。姫路市の防衛に当たっていた自衛隊や名家などはガイア連合姫路支部からの支援によって相応の戦力を持っていたものの、守るべき一般市民の大群に対しては力を発揮できずに戦場の各所で戦線が分断され、孤立したところをメシアンの物量に圧殺された。
せめて敵に回った一般人を諸共始末できるくらいの思い切りがあれば……などと思わないでもないが、そんな修羅に走った思い切りを自衛隊に要求するのは難しかろうし、それ以前に、思い切ったところでその思い切りが短期的にはともかく、一般市民をマグネタイト生産源と計上するなら中・長期的にはそこまでプラスにならないというのも事実。
つまり一般市民を洗脳し戦力として利用するメシア教徒共に対して、それに対抗可能なシステムを用意してやる必要がある、と。うん、実に面倒な話だ……こういう時には自分の鍛錬さえ考えていればいい修羅勢が羨ましくなってくるが仕方ない。
パピヨンニキなどは、自分のところで運用する予定のナイトメアフレームに【子守歌】を組み込んだスピーカーを搭載する事を検討しているらしいので、その辺を参考にするといいかもしれない。【子守歌】の代わりに【パトラ】を組み込んだモデルもありといえばありだな。
歌の妨害となれば……真っ先に頭に浮かんだのは、僕の専用シキガミの一人であり、現在は初音郷の飯テロ式穢教滅閃工場で好きな総菜発表アガシオン達を統率しているエリザベート・バートリーだ。
その彼女をベースにして製造したプロテクト複写型シキガミ『ハロウィン』『ブレイブ』『シンデレラ』『九紋竜』『メカ一号』『メカ二号』『JAPAN』の7体、オリジナルエリザベートを含めたユニット名『エリザベート合唱団』を組織。
音痴特化型という中々特殊なビルドを組んだ彼女達を鍛えて、天使の歌声をジャミングするための不快音波を放送できるようにしておく。
鍛錬の監督をするのは同じく僕のシキガミの一体、歌唱再現・音楽教授特化型シキガミである幽谷響子の役割になるのだが……やはりというべきか、また死んだ目になっていた。エリザベートを育成する時に一番苦労した彼女だからして……うん、気持ちは分かる。
ともあれエリザベート合唱団による音痴ソングによるジャミング音楽を、スイッチ一つで町中に放送できるように態勢を整えておく。市内のスピーカーや電波ジャックからの放送の他、放送用のスピーカー搭載ドローンも用意して放送システムの破損に備えたりと、まあその辺は複数系統を用意しておくべきだろう。
……などといった調子で用意してみたが、果たしてどれだけ有効だろうか。一つの戦場を制圧するくらいであれば問題はないのだろうが、量産できる類の戦力じゃないからな……メシアンの物量に対抗するにはまだまだ不足、か。
「……でもまあ知見としては悪くなかった、かもしれないな。ともあれここは、発想を変えてみるか」
要は、歌の妨害ができればいいのだ。音声絡みで面白効果を発揮するといえば……確かどこかに対メシア教徒ホイホイな迷惑ASMRのデータが転がってたな。リバースエンジニアリング……仕事は、ヴェリタスとエンジニア部に投げてみるか。
◆ ◆ ◆
で。
出来上がったのがこちら────量産型簡易シキガミ『スキビディトイレ』である。
洋式便器の中から人間の生首が生えているとかいう、また異様な外見の代物だ。何なら後付けのオプションとしてバズソーやロケットランチャー、レーザー砲みたいな兵装や、多脚やジェットパックといったオプションも搭載できるし、何なら士魂号やナイトメアフレームのボディに接続する事もできる…………が、まあ基本は生首便器だ。
星祭神社のベルフェゴールと交渉し、ベルフェゴール自身のレベルダウンと引き換えに彼女の霊基から直接切除された“便器に座る神格”という概念を量産型の簡易シキガミコアに組み込む事により、簡易シキガミとしては頭一つ抜けた域の霊格を備えているが、その割に基本的な保有スキルは【スキビディトイレの歌】【歌唱貫通】【音痴】【自爆】【自己保存】の五つのみであり、オプションを装備しない限り攻撃手段はスキル抜きの噛みつきや体当たりなどがせいぜいで、レベルの割にはステータスも低め、まあその程度が限界だ。
ついでにいえば便器側のレバーを捻ると首が便器に流されて即死するとかいうアホみたいな弱点も備えており、これを代償とする事で【スキビディトイレの歌】の効力を強化してもいる。要するに、容量の大半を固有スキルに注ぎ込んだ【スキビディトイレの歌】を歌うための存在だな。
で、問題はこの固有スキル【スキビディトイレの歌】なのだが。
これはメシア系天使が多用する讃美歌に対するジャミング用のスキルだ。無論ただジャミングするだけではなく、スキビディトイレを中心としてその歌声が届く範囲にいる悪魔に対して、その霊基を変異・歪曲させ、同じスキビディトイレへと変容、従属させてしまう、という一見アホみたいだが実に冒涜的な特性を備えている。
なお讃美歌だけでなく天使の言葉に付随する洗脳効果にもジャミングは発生する。
この効果の強制力は、相手が抱いているメシア教への信仰心に比例して上下するが、肉の器を持つ人間にはあまり効き目がないので、基本的に有効なのは天使に対してだけだと思った方がいい……のだが、初期の『真・女神転生』シリーズのように悪魔の一種族としてのメシアンが湧いて出てきた時には、そいつらに対しても特効を発揮してくれるだろうな。天使兵の場合はピンキリなので、まあ相手次第だ。
原理的にはまず十戒プログラムなどを元にメシア教会の所業を悪徳と断じた上で、新約聖書の“コリント人への手紙 二”の11章14~15節にある『サタンすら時に天使の姿を装うからして、サタンの手先が天使を装うなど当然の話』などと記述されている事を根拠に、メシア系天使をサタンの眷属である偽天使と規定した上で、キリスト教徒がかつて地母神だったベルフェゴールを便器の魔神へと貶めた経緯を術式化して組み込んだ事により便器属性を強制付与、対象の霊基を強制的に生首便器へと改変し、契約下に置くというもの。
そしてこの【スキビディトイレの歌】────某地雷ASMRに利用されていた技術を組み込んでいるからして、相手のメシア教信仰の強度に応じてスキルの成功率が上昇していくだけでなく、某ASMRほどの感染性はないにせよ、一時的とはいえメシア教会側の讃美歌をジャックし、その効果を強制的に上書き改変する事ができるのだ。
メシア系讃美歌が歌われている効果範囲内で【スキビディトイレの歌】が発動した場合、讃美歌の効果が強制歪曲され、讃美歌の効果は発動されず、代わりに【スキビディトイレの歌】の効果が発生する。相手の歌を逆用して感染範囲を拡大する事ができるわけだな。
相手がスキビディトイレの存在を知らないのであれば最悪の奇襲として威力を発揮するし、そういうものがあると知られていてもそれならそれで、相手に対して讃美歌の使用を断念させる事ができるだろう。それに……別にメシアンしか讃美歌を歌えないってわけじゃないからな。
スキビディトイレ本体への直接攻撃は契約主が存在している限り攻撃を無効化する【自己保存】で防げるため、問題は【スキビディトイレの歌】それ自体を解析されて対策を取られる事だが、解析に対しては【音痴】でジャミングし、耐性を付けられても【歌唱貫通】で対策してあり、鹵獲に対しては【自爆】で対処する形で、あらかじめ対策カードを積んである。
弱点としては…………メシア教穏健派の天使に対しても効果を発揮してしまうという点だな。通常の十戒プログラムとは異なり、メシア教への信仰であれば問答無用で悪徳認定される判定基準なので。
それが嫌だったら、きっちり過激派の信仰を教義レベルで異端認定・神敵認定して、穏健派と過激派が違う存在であるという基準を確立してね、という話だ。あいつら表面上は敵対していても、教義的・魔術的に仲間同士だから、マジカルな手段では敵味方識別ができないのでどうしようもないのだ。
まあ、その辺に関しては穏健派連中が宗教として未熟というか不足に過ぎるのが悪い。キリスト教なんてユダヤ教から独立して10年足らずで同じ事ができていたのだからして、メシア教会にそれができないなんて言い訳にもならん。
素直に諦めて、コラテラルダメージと割り切って使うしかないだろう。
そんな具合で、自分の霊基の一部を提供してくれたベルフェゴールも、この成果にはもう爆笑していた。自分を貶めた一神教側の天使共を同じ便器へと貶める事ができるのだからと是非もなし。
ひとまず今は工場の生産ラインも用意して試験的に生産を進めて、主要な支部へと配布する分を製造中。
スキビディトイレそのものの量産性はといえば────…………ここに、メシア教会製の天使召喚プログラムがあるじゃろ。それで召喚した天使共をスキビディトイレの前に立たせて……こうじゃ。数秒で100体くらいはイケるとかいうクソみたいな量産性よ。
そもそも天使さえいれば後は一体のスキビディトイレでいくらでも数を増やせるので、工場を作る必要もないし、何なら売り飛ばした先でも勝手に増えていくだろう。
そんな訳なので、この調子なら来月中には正式な量産がスタートして、販売に取り掛かる事ができそうだ。
それが済んだら、中華戦線の前線にも一定数を流してやってもいいかもしれない。スキビディトイレが蔓延すればするほど、メシア教会内で聖歌が使いづらくなってこちらの優位性が増すからな。
◆ ◆ ◆
愛媛の話。
愛媛の産業なのだが、ぶっちゃけミカン一本でやっていくには無理がある……というか、四国霊道環状線による大結界の効果範囲は四国全域に及ぶのに、その範囲の住人をミカン農業だけで養っていくには絶対に足りない────というのは事実3割、建前7割くらいの話なのだが。
もちろん愛媛といえばミカン以外にもキウイ、柿、栗、ビワなんかも名産の内に入るからそっちの栽培にも取り掛かってるし、サクナ米やキクリ米の導入なんかは進んでいるから食料自給率なんかは問題ないレベルに収まる見通しも立ってきているわけで。
最悪、養えないなら投げ捨てればいいじゃない…………という非人道的な選択肢も、ない事はない。
というか倫理的にはともあれ結局のところ、どうしようもない事はどうしようもないという事を最低限理解しておかなければ、終末過ぎた先で支部長なんてやっていられないのは目に見えているので。
ともあれ、愛媛支部の話である。
副支部長であり、地元名家『風花家』の当主である『風花真白』なのだが、最近は色々とスイッチが入ったのか、あるいは単に自分にできる事が把握できてきたのか、比較的精力的に活動をこなすようになってきた。良い事だ。
単純に淡々と業務をこなすのではなく、副支部長としての権力・権限を利用して、色々と事業を始めているらしい。
こちらとしても正直ありがたいので、潤沢にあるマッカを盛大に使って猫曾木ファンド経由で出資している。そのせいか最近では、猫曾木ファンドの中でもトップクラスの出資者などと持ち上げられる事も多くなってきた。
まあ、それはともかく。
真白が始めた事業はいくつかあるのだが。
まず一つ目、学校。真白を理事長として『風華学園』を設立し、学校事業を表向きの顔として、その裏で異能者の育成を行うための教育機関だ。教育システムに関しては先に似たような取り組みをやっている魚沼の鳥煮亭総合学園を参考にさせてもらっている。
風花家や桃地家を始めとした地元名家の繋がりを利用してひとまず生徒を確保して金持ち御用達のハイソ系学校という体裁を整えつつ、高い学費を払えない生徒向けにガイアグループと提携して各種奨学金制度を設立し、一般畑の若手異能者も少しずつ取り込んでいく予定で、補助金なんかの制度も少しずつ盛り込んでいく形に。
当然、敷地内は厳重に結界化するし、警備にはクローンヤクザやイヌガミ、アガシオン、ラニ=Dなど各種オプション盛り盛りで用意しているため、霊的防備が気になる一部の政治家や金持ちなんかも子弟を送り込んできている模様。
だが、それ以上に問題なのは内部保安だ。
地元名家出身の生徒が一般出身の異能者生徒に集団で嫌がらせを仕組み、結果的に大惨事に…………普通にありそうだからな。その辺を防ぐための分からせはしっかりやっておかなけりゃならない。
そして何よりいつも通りながら非常に面倒臭い事にメシア教会もアップを始めており、校内に教会を建てたいだとか不要な打診を寄越してきたり、メシアン出身の生徒を学校に紛れ込ませてきたり、さりげなく学校周辺に新しい教会を建てようとしていたりと、またぞろ暗躍を始めているため、そちらの仕置きもしっかりとやっておく必要がある。
校内教会は却下、学校近くの教会もいつものガス爆発で片付けつつ、ついでにしっかり洗脳されていた地域住民のその後のケアとかその辺の仕事は地元付近の名家に振っておくとして、問題は普通に入学してくるメシアン生徒の対処なんだよな……。
曲がりなりにも普通に入学してくる生徒だからな、表面的には素行優良な優等生だからして言い訳もなしに拒否は難しく、しかも表から堂々とメシア教会の看板を掲げて入ってくるアホばかりではなく、何の変哲もない一般生徒を装って侵入してくるヤツもいるはずだ。最悪は偶然起きた不幸な事故でこの世から退場してもらう事も視野に入れつつ、隠れメシアンを検知するシステムを作りつつ……生徒や職員にもこっちの息が掛かった人間を混ぜておいた方がいいよな。
教師側の異能者に関しては、異能者生徒の育成も兼ねて、ケツ○メ学園で実績がある岩手の鬼手一族から人員を招聘。
一方、生徒側の異能者とかその辺は本気でどうするか悩み中だ。生徒に紛れ込んでも問題なく内偵をやってくれるような異能者とか、そうそう簡単に見つかるものだろうかね。ゴチゾウを大量に派遣しておくだけでもどうにかなればいいのだが。
二つ目、塩パン。岩塩を振りかけたリッチタイプの生地の内側にバター、といったシンプルイズベストの菓子パンだ。愛媛県のとあるパン屋を発祥とするご当地グルメとして有名な塩パンであるが、既に日本全国にレシピが流出しており、独占営業としての価値はあまり存在しない。
だがそれはそれとして、最初に塩パンを売り出した老舗という看板は決して価値のないものではなく、保護するには十分な理由になる。
ぶっちゃけた話、黒札や異能者向けの贈答品を作りたいのだ。プラスして、食べ物系の店舗をガイア連合の支部で保護下に置く手法を一度試しておきたい。
できるなら、トリコ再現系やらに代表されるオカルト食材を扱えるように仕上げてほしい。
なので、ひとまずは出資して縁を作り、その上でこちらの息が掛かった職人や店員といった人員を少しずつ送り込んでいく形。警備用のイヌガミやアガシオンといったオプションも当然寄越すが、それ以上に職人が一番大事。
だが、それはそれとして。
大真面目に、その職人をどこから調達したものか。能力・信頼性共に一番理想的なのは調理部所属の高レベル黒札っていうのは、まあ言うまでもないのだが、当たり前だがそんな大当たり人材、そうそうその辺から湧いてくるはずもない。
もしくは既存のパン職人が異能に覚醒して、そちら側の調理スキルを身に着けてくれる……でもいいが、そんな都合のいい事がそうそう起きるわけもなく。
よって、選択肢は限られてくる。
調理スキルを覚えさせた簡易シキガミやアガシオン……という事で、ラニシリーズに白羽の矢が立った。火星やラピュタで既に一定数の運用を開始しているラニシリーズだが、六系統ある中でもキッチンタイプ────『ラニ=K』と呼称されるタイプは霊的食材を含む調理スキルに特化しており、また見た目も人型であるため、終末前の今の時期でも問題なく人前に出して運用する事ができる。
それと、黒札ではないが人間の、それも調理系技能を覚えた異能者にも、一つ宛がある………………そう、QBニキのケツ○メ学園である。あの学校の設立理由の一つに、生産や後方支援などデモニカでは補えない部類の術者を育成するというものがあり、その辺の為のカリキュラムも設定されているので、そういう事ができる生徒も“売り切れ”になっていなければ呼び込む事ができる。
まあ、料理のできる異能者は家庭的という事で結構人気が高いらしく、学園の公式サイトに掲載されたリストに挙げられた調理スキル持ちの生徒は大半が売約済みになっているようだ。あるいは予約した生徒にそっち系の技能を習得するように指示する事もできるようだが、別にそこまでやる程のアレでもない……かもしれない。
「ううむ、やっぱりここはラニシリーズオンリーで済ませるか、それとも……」
悩みどころでは、ある。
とりあえずラニ=Kの導入は前提として、そこにケ●ハメ学園出身の異能者をスカウトするか、否か。四国霊道環状線とホワイトブロイラー式異界のコンボのお陰でマッカは潤沢にあるからして、金払って解決できる問題であれば、払ってしまえばいいのか?
とはいえパン職人とか、そんな異能者がいるなら他に回す、くらいの立場でも、ある。決してパン職人が駄目とかそういうわけでもないが、それはそれとして異能者がいるなら、他にやらせたい仕事はいくらでもある、っていうね。
まあ、そこら辺は追々、って具合で考えるのは後回し。
基本はこのままラニ=Kで回すとして、オカルト食材を扱えるパン職人という立場を希望する生徒がいないかケツ○メ学園のQBニキに打診だけ回しておこう。
三つ目、鯛の養殖。
鯛。
広義にはスズキ目タイ科の総称であり、狭義にはタイ科のマダイを指す。魚類の代表格としても扱われる、目出鯛の鯛だ。
マダイが愛媛の県魚として指定されているように、愛媛県、特に宇和島市ではリアス式海岸を生かした養殖水産業が非常に盛んであり、その中でも鯛の養殖においては全国シェアの半ばを占めているのだが、これに出資する。
僕が目をつけた技術は“フルーツ魚”────養殖魚に特有の臭みを消すために、柑橘類を始めとする果物を餌として育てた食用魚だ。そして柑橘類といえば愛媛というだけあって、愛媛県内でも『みかんブリ』や蜜柑の香りがするマハタやマダイなどの『ひめ柑育ち』などといった品種が育成されている。
ここで既に愛媛県内で育成が始まっているオカルト食材ミカンを投入する事により、鯛のオカルト食材化も進めていく。
これに関しては沖縄の大宜味村派出所から売り出されているアーモンドキャベツウニなど、類似の技術が既に存在するのでその辺のデータを参考に、比較的研究が進めやすいというのもある。
養殖タイの餌は基本的にイワシなどの魚粉を主原料とするドライペレットが多いのだが、一部には大豆や白ゴマなどを利用した植物性素材を使った飼料が開発されており、この主原料をオカルト食材の一種である仙豆に切り替えた新型ドライペレットを採用。
そこにオカルト食材ミカンも加えて、ミカンの香りがする鯛を養殖していく。
同時に、同じ愛媛県内の大洲神社から漁業に関わる神格であり鯛との関連も深い恵比寿神を勧請し、社を建てて鯛養殖業の守護者として祀る事にする。さりげなく余計な交渉を挟まれそうになったのだが、面倒……というだけでなく厄介なので“葬送曲”の言詞塔砲の砲門の前に強制召喚しつつじっくりと対話をした結果、快くこちらの要求を受け入れてくれた。
これでこちらの勧請に応じてくれなかったら人魚ネキ式の交渉にシフトする事を考えていたので、無事に話が進んで助かった。
ともあれ、ひとまずこれでタイ養殖業の基盤はできた。後は、風花家絡みの財政関連を管理する伯爵ニキに商業展開を投げる事になるが、それなりに売れる事を期待しておく事にしよう。
◆ ◆ ◆
さて、最近どうもメシア教会過激派からのゲリラ攻撃が頻繁に発生するようになってきた。
大抵は用意してある結界やクローンヤクザなど警備の戦力だけで撃退できているものの完全にとは行かず、ミカン鯛の養殖を行っていた生け簀が一つ爆破されて破壊されるなどといった被害が出ており、堀江港や風華学園など警備をガッチガチに固めた重要施設はともかくとして、それ以外……多神連合所属の寺社なんかが標的になった場合には救援が到着するまでにある程度の被害が出てしまっている。
またガイア連合所属の異能者が数人誘拐されるなどという被害も出ており……被害としてはこちらの方が重要かもしれないな。
さすがに放置しておく事はできないという事で捜査を行ったところ、愛媛県内にまだ残っているメシア教会の一軒が、建前上は穏健派に属している事になってはいたものの実際は問題の過激派ゲリラの隠れ家になっていた事実が発覚。
ただ、この拠点に監禁されていたのは誘拐された異能者達の中でも半数程度で、残りは既に大抵は県外……酷い場合は国外に出荷済みになっており、現時点で救出する事ができたのはそのさらに半分程度。出荷された異能者達に関しては各方面に連絡し、捜索と共に出荷ルートの割り出しと破壊を依頼しているが……あと何人取り戻せるだろうかね。
ともあれ、これを受けてまだ県内に残存する穏健派のメシア教会に対し一斉での強制査察を実行したところ、半数以上が何らかの形で過激派との繋がりを保っていた事が発覚し、やらかしていたところは強制的な取り潰し、それ以外も信者への十戒プログラム導入の義務付けや、組織単位で末代までの呪術契約と、現地の霊能組織や衛星ネットワーク、各種使い魔などを活用した厳重監視を行っている。
そんな状況の中、警備における主要戦力ともいえるのが佐渡の日本生類創研から購入しているクローンヤクザだが……見た目には人間の警備員と見分けがつかないというのが決め手になっている一方で、素の状態では純粋な戦力としては割と微妙な部分がある。
見た目普通の人間に見える警備用の量産戦力という意味ではラニ=Dという選択肢もあるが、少女型の警備員というのもオカルト関係ない一般人に見た目で舐められやすいというか、それ以前に労働基準法への抵触を疑われるという頭の痛い問題があり、結局クローンヤクザをメインにするのが最適解になってしまうわけで。
なのでその辺、クローンヤクザの戦力強化に関わる梃入れを行っていこうと思う。
と、いうわけで作成したのは変身ベルトガヴをシキガミパーツとして再設計した『変身ベルトビターガヴ』だ。通常はいつものクローンヤクザの姿のままで活動し、悪魔や異能者などとの戦闘時には仮面ライダービターガヴに変身して戦う形にすれば、クローンヤクザの強みを保ったまま活動ができるか。
基本的にピーキーで扱いが難しい変身ベルトガヴをベースにしたのは、まあある種の原作再現といえる……原作での最初の変身者も、人工生命体だったからな。
システム的には変身ベルトガヴと大差ないが、より一層攻撃的でピーキーな仕様になっているのが特徴的だが、これは人間が使う事を前提としていないからだ。
このため基本フォームであるスパーキングミフォームなども瞬間的な出力強化に特化した攻撃的な性能に仕上がっているし、他にも高火力だが高負荷なクッキー、高機動だが紙装甲なスティック等々どれもこれもガヴ以上に扱いづらい仕様になっている……だからクローンヤクザの為の装備な訳だ。
とりあえずこれを量産して戦力強化と行こう。
さて。
ビターガヴを作成してみたわけだが、それ以外にも作ってみよう、というわけでお手軽かつ低リスクな強化プランを、今度は戦極ドライバーのシステムをベースに作成していく。
原作である『仮面ライダー鎧武』における強化形態といえば、まずは通常型ロックシードの強化版であるエナジーロックシードだろう。これが機能以外の点で通常のロックシードとどう違うのか……例えば製法や位置づけなどといった部分が原作内で語られる事はなかったが……その分だけ原作再現の自由度は高い、と思っておこう。
まず、製造するのは強化型のロックシードだが……最低限実現しなければならないのは“通常型のロックシードを上回る高出力”、この一点だ。逆にいえば、高出力さえ実現できれば問題なし……という事で、まずは生命樹の果実10個を錬金釜に突っ込んで融合凝縮させつつの、そこから試作ロックシードの雛型を錬成。
そこに通常のロックシードの規格を越えて五行炉としての増幅サーキットをさらに増設する事により完成したのが、試作型『ドラゴンエナジーロックシード』だ。
メテオシステムに頼らない高出力というコンセプトから強化型ロックシードを作ってみたのだが、さすがに元は世界樹の果実という事か、まあ悪くない性能に仕上がった。
よって純粋にステータスの高さを追求した『レモン』、加速機能を搭載した『チェリー』、感覚強化による広域索敵能力を付与した『ピーチ』、高出力のバリア機能を搭載した『メロン』、両腕に専用高出力打撃兵装を装着可能な『マロン』と五種類を開発し、ラインナップに載せてみた。
これらを専用のゲネシスドライバーにセットする事で変身に使用する事ができるのが本来の仕様だ。原作のゲネシスドライバーでは使えなかったロックシードごとの特殊能力も、普通に使えるようになっている。
また、従来型の戦極ドライバーにも追加パーツであるゲネシスコアをセットして装着する事で強化形態『ジンバーアームズ』に変身する事もできる。こちらでもスペックアップはできるのだが、従来型のロックシードと追加で使用するエナジー、合わせて二つのロックシードを使わなければならない分、出力のロスが微妙に大きい感じだな。
そして全体的に、ゲネシスドライバーで変身した方がステータスは高くなる。
各エナジーロックシードに専用の武装はないが、アタッシュアローの設計をベースにしてロックシード対応兵装として最適化した専用のアームズウェポン『ソニックアロー』を搭載してある。世界樹の果実を動力源として使用する関係上、アタッシュアローに比べて高出力・高威力だが、大雑把な性能はあまり変わらない。
なお一応、ソニックアローのロックシード装填部はゴチゾウにも対応できるように作ってあるし、何ならガイア連合共通規格なので他の色々なガジェットを無理矢理繋げる事も……まあ、できなくはない。
で、この辺の技術をゴチゾウの方に採用してみる。
最初に作成したのが、ゲネシスドライバーの高出力の源となっている強化型増幅サーキットを組み込んだ『ヴラスタムギア』。エナジーロックシードと同様に世界樹の果実複数を融合凝縮して製造した『どっプリン』『ぷるゼリー』で変身できる……ゲネシスドライバーのゴチゾウ版。
当然、専用ゴチゾウもエナジーロックシードと同じ仕様になっているので、実は通常のゴチゾウに比べてコスパは良好になっている。
また共通する専用武器として、鎌モードと弓モードを使い分けられるヴラムブレイカーを装備……この辺はソニックアローと大差ない感じ。
そして、それらとは裏腹に従来型の変身ベルトガヴでの強化形態である『ケーキング』『ブリザードソルベ』。
ケーキングの方は従来型のエナジーやヴラスタムギア専用ゴチゾウとほぼほぼ同じ仕様で、コスパが良好になっている準非使い捨てゴチゾウだ。
内蔵しているマグネタイト増幅サーキットを倍に増やす事でコスパを強化し、完全にとはいかないが繰り返し使える仕様になっている。
専用武器としては遠近両用で使える『ガヴホイッピア』を装備。
目玉機能としては分身シキガミの技術を利用したホイップ兵の生成・使役機能を搭載した。ガヴホイッピアに追加の通常型ゴチゾウをセットする事で、ホイップ兵にさらに強化武装を施す事もできて、戦術の幅も広がるだろう。
そしてブリザードソルベの方。
アイスがベースのゴチゾウとして氷結属性をメインにした構成になっており、その辺、参考になっているのは魚沼の田舎ニキが使っているグリスブリザードの設計・運用データと……もう一つ、魚沼市に在住の現地民異能者に、氷結魔法を発動する時に、発動した魔法がチョコミントアイスに変換される子がいるとかで、彼女の能力をアイスクリームの概念をデモニカ全体のシステムに追加付与する際の参考にさせてもらった。
その一方でコスパは通常のゴチゾウよりも悪くなっている……エナジーロックシードと同等の内蔵マグネタイトを、ほんの数分で使い尽くす勢いで一気に消費するのだ。このため変身時の稼働時間は短く、その代わりにエナジーロックシードすら上回るレベルの出力を引き出す事ができている。
それともう一つ、さらにエナジーロックシードをベースにして、普通に発電衛星M-BUSを始めとした衛星網に搭載された太極炉術式ネットワークに接続して高出力を実現したモデル『カチドキロックシード』。空間を越えて接続する太極炉術式ネットワークが増幅サーキットとして機能するためエナジーロックシードよりも遥かに高出力かつエネルギー切れの恐れもない。
戦極ドライバーに装着して装甲を展開したデモニカ形態では単純な重装甲・高パワーであり、エナジーロックシードを上回る出力を際限なく使い倒せるその特性を活かして、高威力かつ連射可能な火力重視の専用アームズウェポン『火縄橙DJ銃』を開発。
……既存の技術による強化は、こんなところだろうな。
そうそう、仮面ライダー系の技術としてはもう一つ、電脳異界側に拠点を構築し、そこに建設した工場で、量産型簡易シキガミとして仮面ライダーオーズに登場した『カンドロイド』の生産を開始した。
COMPにアプリ『カンドロイド』をインストールしてからアプリを起動し、ガイア連合が各地に設置している自動販売機にガイアポイントカードで認証すると、内蔵している小型ターミナルを通じてレンタルした数のカンドロイドが転送されてくる仕組みだ。
弱い部類の現地民異能者でも使えるようにレベルと性能は低目に抑えてあるが、簡易契約を行う事で使用者のステータスの何割かを加算できるため、高レベル異能者でもそれなりに使える仕様になっている。
ラインナップはこんなものだ。
飛行ドローン代わりに偵察・哨戒や敵の追跡、さらには複数使用する事で小規模な空中輸送もできるタカカンドロイド。
墨を放出する事で『煙幕弾』と同じ効果を発揮して逃走補助ができ、いざという時の命綱となるタコカンドロイド。大量に使役すれば橋やネットとしても使えるし、情報処理能力も高く他カンドロイドの指揮もできる。
カメラ機能を搭載しており、移動式のライブカメラや遠隔視用のカメラとしても使用できるバッタカンドロイド。
【巻きつき】や【放電】による戦闘補助の他、狭い場所に潜り込んでの潜入偵察や奇襲にも利用できるウナギカンドロイド。また、何気にECMによる通信阻害もできる機能を搭載している。
【道具の智慧(攻)】【道具の智慧(癒)】を搭載し、COMPのストレージ内部に設定された電脳異界化壷中天フォルダに格納されたアイテムを投擲してのサポートが持ち味のゴリラカンドロイド。【エネミーソナー】を搭載しており、周辺警戒もできて便利。
【回転斬り】【羽ばたき】による攻撃的な戦闘補助が可能なクジャクカンドロイド。
また、バイク型量産シキガミとして『ライドベンダー』も製作した。これも普通にその辺に設置していない自動販売機が変形する事はないが、ガイア製自動販売機からターミナルを介して召喚し、搭乗する事ができる。
さらにこれ自体が通常のガイア製自動販売機と同様に小規模なターミナル機能を搭載しており、通常の自動販売機と同様にアイテム購入やカンドロイド召喚を可能とする他、別売りのトラカンドロイドと合体してトライドベンダーにもなる。
と、まあこんな具合で、細かいところで役に立つ便利ガジェットとして仕上がっていると思う。
なお、タカ・ゴリラとそれぞれ役割が被るプテラ・トリケラは実装していない。
◆ ◆ ◆
徳島・高知方面への四国霊道環状線の開発が進むにつれ、そちら側にまだまだ根強く残存しているメシアンの霊的拠点への対処も重要になってくる。何せ重要な霊地の大半を占拠してくれているからなコイツら……さっさと全部発破解体してしまわないと、工事が進められないんじゃ。
いくつかは拉致された異能者の出荷先だったのでこちらから強引に戦力を送り込んで処分したし、他にも二つ三つは山崩れやガス爆発に見せ掛けての破壊工作により片付けたが……前者のやり方はいつでも使えるものではないし、後者の場合も表沙汰になれば外交問題になるからして、簡単に多用していいものじゃない。
メシア教会穏健派からは何度か、融和策としてむしろ逆に四国霊道環状線を構成する霊的要素にメシア教会の拠点を組み込んではどうかと打診が来ているが……まあ受け入れられるものではないな。純粋な信用や外交問題などその辺を抜きにしても、四国を守る結界にメシア教の教理を組み込んだ時点でそれ自体が過激派にとってのセキュリティホールとして機能しかねない。
ぶっちゃけキリスト教やイスラム教のように真っ当な一神教のシステムを組み込む事すら躊躇するレベルなのだ、メシア教会に対する優遇措置なんぞ論外である。
……が、これはチャンスでもある。
メシア教会側に対しては表向き導入に前向きな姿勢を見せつつ、そのための事前調査と銘打って重要な霊地に陣取っているいくつかの教会に対し抜き打ちでの視察と題した強制捜査を実行し、応戦、証拠隠滅、あるいはガイア連合や現地の霊能組織などに対する明らかな敵対行為などが認められた場合には強制的な排除を行った……これで、結構な数のメシア教会拠点を潰す事ができ、四国霊道環状線を拡げられる範囲が大きく広がった。
全部事前調査により明確な問題行動を起こしていた事が分かっていた教会を狙って“視察”したのだから、ある意味マッチポンプではあるか。
まあマッチポンプだろうが何だろうが、ここで視察を行った教会全てが問題行動を起こしていたという事実を盾に、四国におけるメシア教会の重要拠点全てに対して強制査察を実行。
少しでも抵抗したら強制執行して教会の構成員は殲滅し、建物は発破解体して新たにガイア連合の施設を建設し、霊地を抑える。そうじゃなくても問題行動の証拠や、あるいは証拠隠滅の痕跡が見つかれば当たり前だが強制ボッシュートだ。
いくつかの重要拠点に対しては人誅ニキを派遣して、もし抵抗や証拠隠滅の痕跡が見つからなければ事実をでっち上げてでも強制執行してもらう……予定だったが、その必要は皆無だったとかで人誅ニキ当人が呆れ果てていた。
元々、一般的なものとは掛け離れた価値観・倫理観を持っていて、それを一般社会の法や正義を無視して実行できる力を併せ持った組織だからな。
これまで四国圏内に対抗可能な勢力が存在せず息を潜める必要がなかった以上、一般社会のルールなんて守るはずもなく自分達のルールに従って堂々と行動できたのだから、メシアン共がやらかしていないわけがない。
ともあれ、こうして問題行動の証拠がボロボロと出てきた事実を盾に、愛媛・香川だけでなく徳島・高知の支部も合わせた四国に存在する全てのガイア連合支部と連名で、メシア教会に対して『四国圏内においてガイア連合の許可なく新たな拠点を建てない』『同、許可なく拠点の規模を拡大しない』『同、許可なく新たな人員を組織に入れず、布教活動を行わない』『同、契約下にない新たな天使の召喚を行わない』『同、信徒・非信徒関係なくメシア教会関係者の十戒プログラム導入及び“喜劇”服用の義務化』という四ヶ条の呪術契約を結ばせる事に成功。
これにより徳島・高知県内の重要な霊地の大半を押さえる事に成功したし、残りも数は少ないので偽装ガス爆発でどうにでもなるから……これで四国地方内部の主要な霊脈を全て管理下に置く事ができるので、ようやく四国霊道環状線を完成させられるな。
元からガイア連合との繋がりが深い香川、お膝元の愛媛はともかくとして徳島・高知両県にはまだまだメシア教会の拠点が多く点在しているが、そちらも主要な霊地・霊脈を全てこちらで押さえた以上、メシア教会がマグネタイトの大量供給をやりたければ人間を大量に用意するしかない。
その人間の供給源が大量拉致であれ人間牧場であれ、直接的に戦力を派遣して潰しても問題ないだけの理由になり得る。唯一問題になるとすれば、それは真面目に布教を行って信徒を増やされる事だが……それも呪術契約により阻止可能。
後は各方面からの不満の受け皿となるサンドバッグという役割を果たしながら、弱小勢力の一つとして永遠にフェードアウトしていってくれれば助かるのだが……まあ、そうそう都合よくは行かないだろうな。
メシア教会がこのまま大人しくしている訳がない。絶対にこの後、心の底から反吐が出るようなロクでもない何かしらの事件が起きる。そんな具合に、揺るがない負の信頼がある。
ので。
こちらも計画を一段階進めていこうと思う。
蓬莱島。
巌戸台支部と並ぶ探求ネキの本拠地であり、食欲界を始めとする各種生産用異界を配した、異能者の為の巨大な学究都市。
その隠された最大の役割は、海外に繋がる龍脈から流れ込んでくるロウ汚染マグネタイトから日本列島を守るための巨大なフィルターであり防波堤だ。
だが最近は海外龍脈から流入してくるマグネタイトのロウ汚染も悪化しているらしく、食欲界など蓬莱島内部の生産用異界にも天使が自然湧きしては、ガララワニなど異界内に生息する様々な生物に捕食され、各種素材の品質向上に一役買っているのだとか…………天使が最下層に押し込まれる生態系って、控え目に言って地獄絵図では?
そんな蓬莱島の一角を丸ごと借り切って僕が始めた事業計画────空港の建設である。
現在、愛媛支部に属する松山市・堀江港からは、ホエールキングによる瀬戸内定期便を出して呉支部・サクナヒメ離島支部・初音郷を結んでいる。
それと同様に、蓬莱島を始点として愛媛・山梨・ラピュタ間を繋ぐ太平洋定期便を出すのだ。他に寄港する場所についてはこれから要検討、北神奈川支部や姫路支部で作っている空中要塞なんかに港湾設備を組み込むなら、そこに寄港するのもありだろうが、定期便を繋げてしまうと今度は移動要塞としては使いづらくなるからな。
それ以外の他所から希望があれば航路を繋げる予定だが、そのためにはまず一般人に見咎められずにホエールキングが寄港できる場所を用意するのが先かな、と。
山梨の方には、以前“葬送曲”を置いていた場所を中心に本格的に土地を購入して仙境化し、空港設備を建設。
同じくガイア連合の宇宙拠点として建造が進んでいる幼女ネキのオービットベースにも定期連絡船を出す予定だが、そっちの方に関しては、今は建造のための資材輸送やシキガミ人員の派遣の方をメインに行っている形だな。
また本当なら要塞都市化しつつある南鳥島にも繋げる事を検討したのだが、あの辺を取り仕切っているセツニキによると、あそこは多神連合の巣窟であり民度があまりよろしくないというので、連絡船は見送りだ。難民が日本に流れ込むのは、あまりよろしくないので。
ともあれ、この空港はこれから蓬莱島での物資・人員の出入りの要になる。
何ならアメリカなど海外へと支援を送るための窓口にする事も考えられる。
それ以外にも蓬莱島で有事があった際に、蓬莱島からの人員の退避や、増援の受け入れなどを行うための有事対応用の拠点としての役割だって、もちろんある。
そしてもう一つ、裏の役割として────蓬莱島へと繋がる霊脈の出力バックアップ施設を兼ねるのだ。
火星に配置した“祖国”と増幅サーキットから太極炉術式ネットワークを通じて送り込まれる火星の霊脈マグネタイトを、四国霊道環状線を中継して増幅循環、蓬莱島の霊脈へと還元する大規模マグネタイト送電施設。これによりロウ汚染された海外から流れ込むマグネタイトを押し留め、海外霊脈のロウ汚染を本土にまで波及させないように防ぎ止める……結構な重要施設になるな。
蓬莱島を管轄する探求ネキによると終末が訪れる直前には、ショタオジが東京で進めている計画に合わせ蓬莱島の防波堤としての役割も停止するとの話なので、霊脈中継ハブとしての役割も短いものとなるだろうが、それまでは非常に重要な役割だ。
また単純に空港としての機能が失われるわけでもないので、この施設の役割が完全になくなる事もない。
そんなわけで空港中枢にはショタオジ製の高級シキガミコアを搭載した専属シキガミ『九龍城砦』を配置した。
シキガミ素材としては、以前クズリュウ顕現のための下地作りとして魚沼で散々倒した大量の邪龍ヒュドラの素材をありったけ使い、それらを八卦炉に掛けて煮詰めて純化を繰り返して、邪龍クズリュウの因子を抽出。後はこれを一枚の悪魔カードへと落とし込み、これをシキガミコアに取り込ませ、クズリュウを本霊として有するシキガミとして完成させた。
それ以外にも香港の九龍城跡地から回収してきた大量の瓦礫と、メメントスで回収してきた大量のコンクリート塊もシキガミコアに突っ込んだ結果、ペルソナ能力にも覚醒した。初期ペルソナは『剛毅 ヒュドラ』だったものの、レベル上げの結果として現在のペルソナは『剛毅 蛇頭黄幡神』になっている。
能力的には物理特化だが、地脈への接続・制御に特化した能力になっており、地脈から莫大なマグネタイトを引き出しての高出力を実現できる。
さて。
空港の設置とかその辺は、即座に効果が出る一手ではない。
むしろ、それなりの時間を掛けてようやく効果が出てくる類の手だ。
終末までの猶予が残り少ない今さらそんな事に手を付けてどれだけ意味があるかは分からないが、ともあれ、今出来る事は出来るだけやっておくべきだろう。
~割とどうでもいい設定集~
・灼熱オレンジ
元ネタは『トリコ』。
果汁に高濃度油脂が含まれており、常に発火しているオレンジ。そのため取り扱いが非常に難しい。
伊予柑をベースに、濃縮オリーブ油とアギストーンを合成した錬金術生成種。食材としてだけでなく、火炎属性素材としての用途もあり、燃料や銃弾、火炎瓶、アギストーンや【アギ】スキルカードなどの素材としても扱える。
・灼陽
灼熱オレンジをベースに製造されたブランデー。金色に近い鮮やかなオレンジ色で、濃厚なオレンジの風味が特徴的なオレンジ・ブランデー。
灼熱オレンジの特性が生きており、封を開けると自ら発火してアルコール濃度を高め、風味が濃厚になっていく。
オレンジの風味が効いているためスッキリ爽やかな口当たりな割に、アルコール度数は極めて高い。
・雪代縁/人誅ニキ
元ネタは『るろうに剣心』。
ガイア連合愛媛支部に所属する黒札の一人。
全刀流伝承者の剣撃物理系異能者。
メシア教会を叩くためなら何でもやる悪質寄りのアンチでガチの復讐者であり、善良寄り含めて天使やメシアンを殺す事は善行だと思っており良心の呵責も何もないタイプだが、最低限身内の身内に手を出さない程度の理性は持ち合わせており、また穏健派に対して理由なく直接的な攻撃を仕掛けない程度には穏便。だからこそ存在を許されている。
自己隠蔽や証拠隠滅の能力も割と高い。
酒造『人誅』を経営しており、山梨で大きめのワイン工場を経営して『喜劇』を生産していたり、魚沼の工場では『ノロイ酒』を醸造していたりと、割と手広くオカルト酒類を扱っている。
また酒造を資金源としてハガネの鎧と火炎放射器を主力装備とする私設部隊『人誅組』を率いている。人員は全てメシア教会に対して極度の恨みがある人間を採用している。
・煉獄招致ルビカンテ
元ネタは『アカメが斬る!』。
人誅ニキが率いる私設部隊『人誅組』で標準装備として運用されている量産型の火炎放射器。
『灼陽』『喜劇』『ノロイ酒』をブレンドし、火栗の粉末を散らして作った対メシアン用殺戮ナパーム燃料『殺虫剤』を【マルティン・イーラ】である魔導火で着火する、メシア教会に対する殺意がこれでもかとばかりに詰まった極悪火炎放射器。
【マルティン・イーラ】+『喜劇』による耐性無視メシアン特攻の火炎・呪殺複合属性範囲攻撃にプラスして『ノロイ酒』による状態異常耐性効果が付随するため炎上発火に対する耐性も低下し、敵が死ぬまで炎上させ続けるとかいう、メシアンに対する殺意の塊。
メシアン以外が相手でも、セレクターによる切り替えで発火系を通常のアギ系統に切り替える事で普通に燃やす事ができる。
燃料タンクはフォルマ弾倉式で、周辺のMAGを吸収して内容量を回復するため、弾切れのリスクもほぼほぼない。
なお燃料タンクで殴れば『喜劇』の効果で【黒龍撃】が発動する。
・対クズリュウ決戦用異界
名無しのレイ様『【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち』より。
終末到来時、田舎ニキがデモンベインに乗ってクズリュウとの決戦を行った場所。
日本各地の九頭竜神社の有名どころはショタオジやその他黒札達が封じており、終末到来に際してクズリュウが顕現できる場所をこの一点のみに絞る事で、最低限迎撃ができるようにしていた。
・ブラックシンカリオン
元ネタは『シンカリオン』シリーズ。漆黒の新幹線もしくは四国の新幹線。
シンカリオンタイプのテストベッド機体。
機体内部に搭載された中型ターミナル端末を介し、四国霊道環状線の各駅地下に設置されたダンジョンコアを遠隔操作する事で目標地点の路線を一時的に電脳異界化し、それを介してターミナルによる長距離転移を可能とする緊急対応用戦闘車両。
人型形態では『ダークカイサツソード』『ダークシャリンドリル』『ダークドラゴンナックル』『ダークフミキリガン』『ダークミサイルポッド』『ダークフミキリシュリケン』『ダークスワローウイング』と多彩な兵装を搭載し、遠中近と戦闘距離を選ばない。この武装の豊富さは、後に開発されるかもしれない各種シンカリオンシリーズ用の搭載兵装のプロトタイプも兼ねている。
また一部武装を切り離して合体させる事で支援機『バーサーカードラゴン』や、それと合体する事による空戦形態『ドラグーンモード』、高出力形態『バーサーカーモード』などの変形機構、四国霊道環状線からのマグネタイト供給により胸部から展開される重力子放射線加速砲『ヘルグランクロス』なども搭載している。
・虚刀流
ディストピア様『【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい』より。
『刀語』における剣を用いない剣術、という名の格闘術。この世界においては対悪魔用の戦闘技術として発展した模様。
なお姫路支部の管理下に、虚刀流を習得可能な人造異界が存在しており、希望すれば虚刀流習得に挑戦する事も可能な模様。
・完成形変体刀
元ネタは『刀語』。
おそらく戦国時代の刀鍛冶『四季崎記紀』が鍛造した12本の日本刀()。
日本刀とかいう割には、木刀とか柄しかないやつとかならまだマシな方で、中にはリボルバーとオートマチックの二挺拳銃だの、各種兵装搭載型殺戮自動人形だの、何をどう考えても刀じゃないのが多々紛れ込んでいる。刀とは一体……?
またニ十本の中でも後半の刀に関しては、その性質を明らかに“刀の毒”や“刀の意義”に振り切った特性を持つものが多く、単純な武装ばかりでもない。
現存していた変体刀の現物や残りはメシア教会によって破壊あるいは略奪されて海外に流れ、解析されてメシア教会に利用されてしまった一方で、国内には四季崎記紀当人による詳細な製作資料が残存しており、ガイア連合の技術発展に寄与する事になった。
現在ではガイア連合技術部による技術の解析・吸収も進んでおり、完成形変体刀の複製品くらいなら多少金を出せばあっさり買えるくらいにはなっている。
・豪華客船/偽装強襲揚陸艦
ディストピア様『【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたい』の『第50話』より。
ガイア連合姫路支部が存在する姫路市を襲撃した、メシア教会過激派が有するある種の移動要塞というか偽装強襲揚陸艦。
メシア教徒と天使を満載した豪華客船を姫路市の港に接岸させ、讃美歌をガンガンに鳴らしながら白昼堂々襲撃に走ろうとした。
事件を事前に予知した破魔ネキが乗騎のブラックナイトスコード・カルラを単独出撃させ、姫路市に到達する前に何もできずに撃沈された。
一方、破魔ネキによる事前の予知においては、何の備えもなく上陸され襲撃を受けたからか、姫路市は事実上の壊滅状態、一般市民と自衛隊に大量の犠牲を出したどころか、破魔ネキのシキガミまで含む多数のネームドの拉致・輪姦にまで及んでおり、はっきり完敗といっていいだけの被害を出していた。
この事件後、防衛体制の見直しが進むと共に、似たような船がないか各地で徹底的に調査され、破壊された。奇襲でさえなく、こちらから海上で攻撃を仕掛ける分には割と何とでもなる。
・エリザベート合唱団
専用シキガミの一体であり、普段は穢教滅閃工場での制作業務に従事しているエリザベート・バートリーを中核に、同種の音痴系ビルドで仕上げたプロテクト複写型シキガミ7体を統率する地獄の音楽隊。特に死後の世界や堕天使などとは関係ないのだが、まあ地獄である。
既存の放送システムを利用して、メシア教会が組織的に利用する聖歌をジャミングするために製造された。
普段はリーダーのエリザベートと共に、初音郷の穢教滅閃工場で地獄のジャイアンリサイタルを開催している。
・堕天使スキビディトイレ
元ネタは『スキビディ・トイレ』。人間の頭が便器から突き出したトイレの軍勢とかいうアホみたいな存在。
量産型簡易シキガミの一種。
【スキビディトイレの歌】で容量の半分以上を使い倒した、スキル特化の能力構成。このためステータスは同レベル帯では極端に低く、さらに便器のレバーを捻ると首が便器に流されて即死するとかいう外見通りの弱点を持つ。
販売元はダ・ヴィンチラボになるが、戦場で普通に使っていれば雑に増えて普及していくのが目に見えており、利益を出せるのは初期だけだと割り切って、売値に関してはほぼほぼ捨て値で売っている。
なお攻撃性能・戦闘能力をプラスするためのオプションは別売。
肝心の専用スキルである【スキビディトイレの歌】はメシア教会式讃美歌や同様の洗脳効果が付随する天使の言葉に対するジャミング用スキルであり、歌声が届く範囲の悪魔に対して、対象が抱いているメシア教に対する信仰心に比例した強制力で、対象の霊基を歪曲・改変し、同じスキビディトイレへと変化させ、支配下に置くとかいう、見た目アホみたいだが凶悪な効果を発揮する。
さらに【スキビディトイレの歌】とメシア教会式讃美歌の効果範囲がわずかにでも重なっていた場合は、讃美歌の効果を【スキビディトイレの歌】のものへと上書き改変するクソみたいな効果を持つ。
たとえば姫路市襲撃事件の時に戦場の適当な場所にこの生首便器を投げ込むと、まず周囲で歌っている雑魚天使やメシアンの讃美歌が【スキビディトイレの歌】に書き換えられ、さらにその効果範囲で歌っている別の天使の歌も同様に上書きされ、と連鎖的に歌の効果が書き換わっていき、最終的には戦場のほぼ全域で天使がスキビディトイレに作り替えられてしまう。
存在が知られていなければ聖歌を多用する戦線の全体で大量の天使がスキビディトイレとして堕天して大量の被害を出す事ができるし、存在を知られているなら聖歌を流す事を躊躇させるため、どちらにしても有効性は期待できる。
・風華学園
元ネタは『舞-Hime』。
金持ち向けのハイソ系学校という看板を表向きとして、裏は異能者の育成を行うための教育機関。このためガイアグループ提携で各種奨学金を盛りに盛っており、そこまで経済的に恵まれていない人間でも異能者であれば割と簡単に入学・卒業ができる。
ただしメシア教会も普段通りその存在をアピールしてきているため、それらの影響力をどうやって排除するかが悩みどころ。
・塩パン
塩パン。何気に愛媛県発祥だったりする。
調理特化型量産シキガミであるラニ=Kなどを利用して事業展開を進めている。
・ミカン鯛
オカルト食材。
沖縄は大宜味村派出所などで進められているアーモンドキャベツウニなどと同系統の、オカルト食材ミカンを素材とする植物飼料を利用して育てた養殖鯛。
同じ愛媛県内に存在する大洲神社に祀られている恵比寿神を守護神として勧請している。
・変身ベルトビターガヴ
元ネタは『仮面ライダーガヴ』。
変身ベルトガヴをベースに設計した新型デモニカ。
主に警備用のクローンヤクザのための強化装備という事で、装着者の負担や苦痛を半ば度外視した形で、後先考えずに強引に出力を引き上げて使える、悪い意味で無茶が効いてしまう仕様になっている。
瞬間的な出力・身体能力強化に特化しているが装着者が反動で骨折するスパーキングミフォーム、高火力だが高負荷・高反動なブレイクッキー、高機動だが紙装甲なバキバキスティックなど、扱いづらさはベースとなったガヴ以上であり、人間に使わせるには躊躇われる具合の仕様。
・エナジーロックシード
元ネタは『仮面ライダー鎧武』。
生命樹の果実10個をまとめて錬金釜に投入して製造する強化型ロックシード。
専用のゲネシスドライバーに装着して変身する他、従来型の戦極ドライバーにも追加パーツであるゲネシスコアをセットする事で強化形態『ジンバーアームズ』に変身可能。なおゲネシスドライバーで変身した方が全体的にステータスは高くなる。
試作型の『ドラゴン』、純粋に高ステータスな『レモン』、加速機能搭載型『チェリー』、感覚強化による索敵強化型『ピーチ』、バリア機能搭載型『メロン』、両腕に大型打撃兵装を着装する攻撃特化型『マロン』の現状六種で、共通の仕様として遠近両対応の専用アームズウェポン『ソニックアロー』を搭載している。
・ヴラスタムギア
元ネタは『仮面ライダーガヴ』。
ゲネシスドライバーの仕様を変えてゴチゾウ対応型にしたもの。
現状の対応ゴチゾウはエナジーロックシード同様に世界樹の果実複数個をまとめて錬成したステータス特化『どっプリン』、光学迷彩搭載型『ぷるゼリー』の二種。多分後々フラッペやパフェやアラモード辺りが追加される。
専用武器として、ソニックアローの機能を攻撃特化でブラッシュアップした『ヴラムブレイカー』を装備している。
・強化型ゴチゾウ
元ネタは『仮面ライダーガヴ』。
従来型の変身ベルトガヴで使うための強化形態用ゴチゾウ。やはり世界樹の果実複数個を錬金釜で錬成し、内蔵しているマグネタイト増幅サーキットを倍に増やし、より高出力な形で製造されている。
ケーキングは出力をコスパ重視で調整した事で、通常のゴチゾウとは異なり完全にとは行かないが複数回使える仕様になった。また分身シキガミの技術を利用したホイップ兵の生成・使役機能を搭載している。
ブリザードソルベは完全に使い捨てかつ時間制限付きの出力特化型。田舎ニキが愛用するグリスブリザードの運用データ、及び同じく魚沼在住の【ブフ】でチョコミントアイスを作れる栗村アイリのデータをベースに設計されており、単純な出力ならエナジーロックシードを凌駕する。
・カチドキロックシード
元ネタは『仮面ライダー鎧武』。
エナジーロックシードをベースに、発電衛星M-BUSを始めとした太極炉術式ネットワークに接続しマグネタイト給電を受ける事により更なる高出力を実現したモデル。
専用のアームズウェポンとして『火縄橙DJ銃』を装備する。
・ライドベンダー
元ネタは『仮面ライダーOOO』。
カンドロイドなどと同様、ガイア製自動販売機からレンタル召喚可能なバイク型の量産型シキガミ。霊山同盟支部で運用されているギルスレイダーのデータを元に製造されている。
これ自体が小規模なターミナル端末としての機能を有し、通常の自動販売機と同様にアイテム購入やカンドロイド召喚が可能。
さらにトラカンドロイドと連携する事でトライドベンダーとして強化合体する事が可能。
・蓬莱島空港
探求ネキの拠点である海上学園都市『蓬莱島』に建設された大型空港。
ここを始点として愛媛・山梨・ラピュタ間を繋ぐ太平洋定期便が出ている。
アメリカ方面などに対する海外輸送のための窓口や、蓬莱島上で発生した有事に対する人員の退路、逆に増援の受け入れなどを行うための有事対応用拠点の役割なども持つ。
さらに裏の役割として、火星や衛星軌道の発電衛星を利用した太極炉術式ネットワークに接続し、海外から流れ込むロウ汚染マグネタイトに対する防波堤である蓬莱島への出力バックアップを兼ねている。
管理者として、専用シキガミ『九龍城砦』を配置している。見た目は『御城プロジェクト:RE』の九龍城砦。