◆ ◆ ◆
コラボ案件問題の話。
霊山同盟支部が遭遇した別世界からの来訪者である仮面ライダークウガや、あるいは東京第十三支部……ノーデンス・エンタープライデスが直面しているらしきこの世界に古代から眠っていたらしいセブンスドラゴン要素など、『女神転生』のルールに則さない相手というのは普通に存在する。
『真・女神転生3』に登場した魔人ダンテや、『真・女神転生D2』で実装された数々のコラボユニットの存在を考えても、女神転生とは別のルールを保有する異世界からの来訪者という可能性は警戒に値する。
特にD2のコラボ対象など大半がセカイ系というか、コラボ先の本筋のストーリーに世界滅亡が容易に絡むものばかりであり、下手すると異世界から終末案件が持ち込まれる可能性も容易に存在する。
そのため、もしまたいつぞやのクウガのように異世界からの来訪者が訪れた場合にはそれを速やかに察知し、最終的にはこちらの世界に侵入する前にそれを感知して拒絶する事ができるようになるのが理想的だ。
……とはいえ、これに関する問題は一時棚上げになっていた。異世界を観測する手段すら確立していないので仕方ない。
で。
さて。
愛媛支部に所属している黒札の一人にベヨネッタネキ、略してベヨネキが存在する。
見た目『BEYONETTA』の主人公ベヨネッタにそっくりな原作再現系ゼンラーである彼女の本霊は、やはりそのまま『魔女ベヨネッタ』────要するに『女神転生D2』のコラボユニットである魔女ベヨネッタが、彼女の本霊という事だ。
愛媛支部屈指の実力者である彼女は、実に都合のいい事にレベルアップに伴って本霊の権能を自身のスキルや権能として取り込んでいくタイプの異能者だ。
立派なコラボ案件ではあるのだが、これに関しては、まあ問題ない。彼女単体では普通の黒札というだけなので。
だが、重要なのは、彼女がベヨネッタの能力を────女神転生の世界に属さない『BEYONETTA』の世界の魔女の技を扱えるという点だ。それは四丁拳銃を駆使する独特の体技【バレットアーツ】や、【トーチャーアタック】に代表される魔女集団アンブラの戦闘魔術、何よりもベヨネッタの華ともいえる最大の奥義【魔獣召喚】。
とりわけ【魔獣ゴモラ召喚B】などは女神転生D2においてスキルとしても確立されており、再現しやすい部類といえるが、僕はこれに目を付けた。
原作におけるベヨネッタ────アンブラの魔女が扱う魔獣召喚は、巨大な多元構造の宇宙の中に存在する“魔界”から契約した魔獣や悪魔を召喚するものであり……しかもその魔獣は女神転生の世界とは異なる“ベヨネッタの世界”から呼び出されたものだ。
それはつまり、女神転生というレギュレーションの“外側”から魔獣を連れてくるという事に他ならない。この術式を利用すれば、この世界の“外”に繋がる事ができる。
試さない理由は、ない。
早速ベヨネキに打診して協力を依頼する。報酬はマッカ払いにて、比較的気さくな性格の持ち主である彼女は、思ったよりも快くこちらの研究の申し出に応じてくれた。
原作におけるベヨネッタが使用する魔獣召喚は、その髪の毛を媒体に魔法陣を描いて発動する。ベヨネッタの魔女としての全力を行使するこの技は、普段の戦闘中は戦闘服を構成している髪の毛を召喚の媒体に回す必要があり……ゲームにおける彼女が召喚術を発動する度に全裸になるのはこれが原因だ。
この辺はこちらの世界のベヨネキにとっても同様であり、彼女の召喚もやはり髪の毛で魔法陣を描き発動する…………全裸で。
まずは一番オーソドックスな通常必殺技、ベヨネッタの代名詞ともいえる『魔獣ゴモラ』の召喚を見せてもらい、メディアやダ・ヴィンチ、ヴェリタスの面々の協力を得てそこに使われている術式を解析する。それが完了したら次は、魔獣ゴモラと並んで双璧をなし、そして魔獣ゴモラを遥かに上回る格を持つ『マダム・バタフライ』の召喚もだ。
そして二つの魔法陣を解析し、術式における異次元接続を担う部分を抽出し、限定的に“ベヨネッタの魔界”に通じるゲートを形成する術式を製作する。
そこまで出来上がったら、次は場所をラピュタに移し、ベヨネキと、そしてショタオジの立会いの下にゲート術式を発動させる。髪の毛の代わりに月齢髄液とフォールドクォーツで構築した魔法陣が赤々と明滅し、周囲の空間が大きく揺らいで、確かにまるで巨大な渦のような次元の揺らぎを観測する事ができ、事前に何千回も試したシミュレーション通りにゲートが形成され、そして。
「……何か、出てきたな」
それは石化して砕けた、ナニカの残骸。
破損して原型こそ失われているが、おそらく本来は鎧のような装備だろう。元々の素材はSF映画のそれを思わせる近未来的な機械のようにも、あるいは何らかの生体組織のようにも見えて判然としない。
そしてその一部と思われる、まだ原形を保った何らかの道具────巻物か何かのようなもの。
「……これは、外宇宙の道具、なのか?」
「みたいだね。とりあえず危険性はないみたいだ」
「ショタオジが言うなら間違いはないんだろうけど……SCPのSAFEクラスくらいの安全性を想定しておくべきか」
「……それは安全なのかな?」
何にせよ、慎重に取り扱った方が良さそうだが……ともあれ、変なオーパーツが流れ着くとかいうアクシデントはあったものの、生成されたゲートはショタオジの手によってこちら側・向こう側問わず霊的・因果的な痕跡すら残さずに綺麗さっぱり跡形もなく消去され────女神転生のルールに属さないベヨネッタの世界の技術を用いた異世界ゲート形成実験は無事成功。後はこの術式をベースに、まずは異世界を観測するための術式を作成していく。
そこまで凝った術式じゃない。針孔程度の極小規模で展開した観測特化ゲートを通じて、【千里眼】による観測を行うだけだ。ゲートには反ミーム添付による認識阻害を始めとした大量の隠密術式を多重展開しているから、そう簡単に見つかる事もない、はずだ。
ともあれゲート構築の術式が既に完成している以上、この実験の難易度もそこまで高いものじゃない。
唯一のハードルは、この観測それ自体が異世界からの脅威を呼び込むかもしれないという可能性だが……この辺についてはショタオジが手加減なしで作成してくれたそれ専用のショタオジ分身シキガミ『ディアルガ』『パルキア』『ギラティナ』と契約して、その辺の仕事を任せているので問題なし……のはず。
ともあれ伝説ポケモン三種とかいう大盤振る舞いである。これだとショタオジ当人のポジションはアルセウスって事になるのかな。まあある意味ハマリ役ではある。
また仕事を増やしてしまったのは申し訳ないが、まあ目的が目的なだけに仕方なし。異世界からガチの終末案件が飛んできた日には、シキガミ作成どころの騒ぎじゃ済まなくなるからな。技術ツリー的にもやっておかなければならない研究であるし、先行投資だと思うしかない、と。
実験場については、ラピュタのサーバー上に新たに専用の電脳異界『ゲートルーム』を設置、通常空間との隔離処置を厳重に取った上で、ディアルガ、パルキア、ギラティナの三体が常駐する社と、異世界ゲート、プラスして各種防衛設備を配置した。
電脳異界のため、いざという時にはラピュタ側からの制御によって時間制御を行い、時間速度を限界まで遅くする事で事態の進行を抑える事もできる。
また三体のシキガミには以前獲得したクラスカードから生成したロンゴミニアドLRを組み込んであるため、異世界からの脅威に対しては極大の特攻を持つため、大抵の脅威は軽く撃退できるはず。
ともあれ、そうやって観測できた異世界は6つ。
一つ、誰もいない東京で、女版ライドウっぽい美少女が無数の悪魔相手に無双プレイをやってるのが観測できた、同じメガテンらしき現代日本(?)。こちらと同じメガテンの世界だけに、向こう側もこちらと同じく終末案件マシマシである可能性が高いからして、接触したくはない世界だ。
一つ、サイバーパンクらしき雰囲気の都市。見たところメイドの大群が一般市民に向かって襲い掛かり、無理矢理メイド服を着せていくメイドパンデミックが発生しており、正直近寄りたくはない。
一つ、ネクロマンサーだか聖職者だか分からない少女によって平和的に統治された中世風の村落。
一つ、黄色いスイカに雑な顔がついたかのような奇妙な生物が闊歩するダンジョン。
一つ、巨大な光輪が浮かぶ晴れ渡った青空と、砂漠に沈みつつある近代日本の住宅街に酷似した瓦屋根の廃都市……どう見てもブルアカの世界。
一つ、概念レベルでバラバラに砕け散った時空の中で、クトゥルフやらツァトゥグァやら多数のクトゥルフ系邪神が修復作業を行っているとかいう、覗くだけでも正気度が減りそうな既に滅亡済みの元・世界。
「……………………とりあえず、最後のは絶対に繋げちゃいけない世界だってのは理解できたな」
あまりにも危険度が高いので、ショタオジの手を借りて厳重封印。
こっちの世界に存在するクトゥルフ神話の神々はあくまでも“そういう設定を持っているだけ”のただの悪魔だが、あっち側のクトゥルフ邪神共は根本的にステージが異なるガチの“神”だ。こっちのクトゥルフ神話の神々とて、その霊基を満たすだけの十分な量のマグネタイトを集める事が出来れば普通に“神”たり得るとはいえ。
ともあれ……本音を言えば異世界由来のテクノロジーについては気になるところだが、無茶は良くない。いい加減、終末案件などこの世界に既にある分だけで間に合っているのだ。異世界の終末案件なんて呼び込んでいられない。
最低限、ゲートを通じた監視だけは続けるが。
冒険はせず、このまま堅実に研究を続けていくとしよう……今やってる事が既に十分過ぎるほどの冒険だというツッコミはさておき。
ひとまずの目標は異世界からのゲートの生成や安定化、あるいはこの世界への侵入それ自体を感知するための空間歪曲感知技術────何より、その機械化と自動化だ。稼働中の人工衛星ネットワークに実装し、地球全土で発生する異世界からの干渉を感知できるようにするのが、ひとまずの目標だ。
また、ある程度原作知識があって敵の規模もそこまでではないブルアカらしき世界に対しては、ドローンやアガシオンの投入などの調査を行ってもいいかもしれないが……。
後は、察知した世界間干渉に割り込んで妨害するところまで出来るようになれば最良だが、そこまで辿り着けるかどうか……まあ研究する事はマイナスにはなるまい。コツコツ続けていこう。
◆ ◆ ◆
気になるのは、異界から引き寄せた謎の“鎧”だ。
これの正体は、きわめて高度なナノマシンによって構成された、外付けのエネルギー制御装置のような代物であるようだ。それこそ桁がいくつも違うような次元違いのエネルギーを、直接攻撃に転換するかのような代物だが……それほどのエネルギーを得るにはそれこそ世界をいくつか崩壊させでもしない限りは不可能、という結論が出た。
そして、それに付随する巻物にも似た装備『スマートスクロール』は、超高度な科学によって構築された情報端末とでもいうべき代物であり、中には超高密度の情報が格納されている。これ一つで、ガイア連合の電子機器関連の技術を一気に何世代分も進める事ができるくらいのものだ。
中に入っているデータは、どうやらナノマシンを使った生態模倣型機械兵器の設計図とかそういったものであるようで、これを大量のナノマシンと莫大なエネルギーに物を言わせて超高速で生成するのが、この装備の本来の役割であるらしい。
……何がありがたいって、ガイア連合の技術力でギリ解析が可能な技術レベルで作られていた事だ。このデータがあればコアメダルやプログライズキー、ガイアメモリなどの各種ガジェットの容量も大幅に向上する。
解析は難航しているものの、ラピュタ中枢の演算能力の半分を使い、どうにかこうにかナノマシンのシステムに使用されているプログラム言語の解読を成功させられた。ヒマリ達ヴェリタスのメンバーが言語や真理に関わる権能を持っていた事や、研究開発特化型シキガミである『エンジニア部』がロールアウトを済ませていた事などがプラスに働いた形だ。
またナノマシンの方も解析が進んでおり、バニヤンが農業スキルから発展させた豊穣の権能を利用する事で増殖を促進、培養する事に成功していた。後は、どうにかして利用可能な状態にまで持っていくのが当面の目標だな。
そして。
それ以外に分かった事だが。
ヴェリタスの中でも画像担当であるマキがそこそこ原形を保っていた鎧の残骸から逆算して、完全な状態の鎧の形状やそれを装着していたナニモノかの見た目を3D画像にしてくれたのだが…………見覚えがあった。それも、ベヨネッタ関連で。
「これは……『シンギュラリティ・安定体』か?」
『BEYONETTA3』に登場するラスボスであり、ナノマシンで構成された人造兵器群“ホムンクルス”を統率して多元世界を荒らし回り、前作までの敵勢力だった天使・悪魔を絶滅寸前まで追い込み、最終的には多元世界を崩壊にまで導いた黒幕、その第二形態だ。多元宇宙の構成世界を次々に破壊・還元して獲得した莫大なカオス・エネルギーを制御下に置き、最適な形で操作する事ができるように再設計された躯体。
「ラスボス戦……最終形態に変身する時に、確かに鎧をキャストオフしてたな。つまり、これはその脱いだ鎧の残骸、か……」
そしてこの鎧の役割はといえば……そのカオス・エネルギーを制御し、攻撃力へと転換するための外付けデバイスだったはずだ。鎧の補助抜きでもカオス・エネルギーを支配可能な全能の力をシンギュラリティが得たためにパージされたはずだが。
今、一番欲しかったものが手に入った……かもしれない。
だが、ともかく今は研究の時間だ。
ベヨネッタ3に登場する主要な敵勢力であるホムンクルスは、首魁であるシンギュラリティに統率・制御され、人体のあらゆる臓器や部位を再現可能なナノマシンによって躯体を構成する人造兵器の大群だ。彼らの戦力は凄まじく、前作までの主要敵であった天使や悪魔ですらあっさりと絶滅の間際に追いやられるという勢いだったとか。
その目的は多元宇宙の破壊と再統合……それに関しては割とどうでもいいが、まあ終末案件の一つではある。その最も理想的な対処は“最初からこちらの世界に来させない、存在自体悟らせない”であり、また、そもそもこの鎧がここにあるという事は、シンギュラリティが既に斃されている可能性が高いという事でもあるから、割と安心ではあるか。
シンギュラリティの残滓でも残っていたら終末案件一歩手前なので念のためショタオジに占術で確認してもらったが、その辺も問題ないらしい。シンギュラリティ当人は不要になって脱ぎ捨てた鎧には興味を持たなかったらしく、そして既にきっちり殺されてくれているようだ。
ともあれ、ホムンクルスの設計情報も何もかも、鎧から回収したスマートスクロールに記録されており、それも解析済みだ。培養も、ホムンクルスの新規製造も可能なはず……問題は制御だが、それも解析が進めば完了するだろう。
なので、早速だがホムンクルスのリバース・エンジニアリングを試してみようと思う。
まずは鎧の破片から削ったナノマシンを用意。そしてそれをアトリエ式錬金釜にブチ込んでから、飛行石、翠木鋼合金樹材、フォールドクォーツ、極小のターミナルユニット、滅却十字、シキガミプロテクトを複写した簡易シキガミコア、大量の装甲護符と、他の材料も順番に追加投入していく。それらを錬金釜で合成する事でシキガミコアや飛行石等々各種の性質を持つシキガミナノマシンが完成。
それらを九十九式自動人形のリンク術式と太極炉術式を利用してクラウド化し、そのネットワークを土台に電脳異界を生成。その内界にヒマリを筆頭にヴェリタス姉妹のシキガミ体を組み込む事で、ラピュタの中枢と直結したコアユニットとなる。
ちょうどガルヴァトロンの仕様をベースにした形だ。
後はヴェリタスがナノマシンを制御すると共に、量子型無限呪符ホルダーの技術を電脳異界そのものに組み込む事で、電脳異界そのものにナノマシン生成機能を作り出す。これは以前装甲護符ホルダーなどに使用した、量子論的に呪符やその他色々な消耗品の残り個数を“不定”とする事により、収納物をいくらでも取り出せるようにしたものだ。
これによりナノマシンの残数が不定化しているため、いくら取り出してもまだ残りがある状態になり、MAGさえ足りればいくらでも中身を引き出す事ができるというわけで。
ひとまず、こんな形で一通り完成、と。
そうしたら、次は実際にナノマシンを操作してホムンクルスの生成試験に入る。
最初に生成するのは『軽量級人型汎用モジュール ストラトゥス』だ。全てのホムンクルスで一番弱いタイプの個体であるが、それ以上に最も基本的な種であり、他全てのホムンクルスはこのストラトゥスが複数体融合する事で構成される。
だから、とにかくコイツを大量に生成できなければ話にならないのだが……無事に成功した。白とミントグリーンの二色で構成されるホムンクルスは、乾いていてもどこかぬらりと湿り気を帯びているようにも見えるその体表に薄っすらとマグネタイトの燐光を纏いながら、こちらの命令を待つようにただじっと立っている。
「戦闘コマンドを入力開始します。仮想標的を展開────疑似戦闘、開始します」
ハレのオペレーションに従って、生成されたストラトゥスが両腕に光子を収束させ、二本のフォトンブレードを形成する。ナノマシンそれ自体に組み込まれた飛行石の重力制御で浮遊しながら空中を自在に飛び回るストラトゥスは、両腕のブレードを淀みなく振るって一つ一つ、ホログラムで空中に投影された仮想標的を斬り裂いていく。
名古屋支部を采配するバッハニキが半終末前に完成させた滅却師システムをベースに構築したナノマシンは、素の状態でもある程度の戦闘力を発揮できる。この状態なら、ストラトゥス一体でLv20くらい……バッハニキが構築した初期の滅却師システムより微妙にレベルが高いのは、単純な技術の進歩に加え、太極炉術式ネットワークを通じてのマグネタイト供給が組み込まれているからだ。
ランダムに出現する全ての仮想標的を撃墜するまでに33.2秒、所要時間は想定とそこまで変わらず、わずかな誤差はプログラミングされた動作パターンが未成熟であるからか。ともあれ動作確認、操作にも淀みなく、問題なく稼働してくれるようだ。
「じゃあ、次の段階に移行しようか」
スマートスクロールから回収したホムンクルスの構成情報は、全てデータとして回収済みだ。そのデータを利用すれば理論上、原作に登場したホムンクルスは全て問題なく構築する事ができる。
だから一旦ストラトゥスを必要数だけ生成し、それらに融合させる形で生み出すのは『重量級人型戦闘ユニット フラクタス』。左腕にけん玉を思わせる巨大な打撃武器ビルボロケットを備えたフラクタスは、決戦戦力に相当するような超大型種と比べれば小さいが、それでもその全長は8メートルに達する巨体。
ビルボロケットを鈍器として殴りつけ、あるいは先端のハンマー部分を射出する飛び道具としても活用し、遠近共に攻撃手段を備えているのが特徴だ。
そして生成したフラクタスを一旦分解し、追加生成したストラトゥスを加えて再融合、『重量級人型決戦ユニット キュムロニンバス』を生成。全長20メートルというガンダムに匹敵するサイズのこの個体は、巨体による攻撃力に加え、多数のレーザーや光弾による遠距離火力まで備えている。
ホムンクルスの生成に問題はなし、と……とりあえず、ホムンクルス各種の性能試験も進めておく必要がありそうだな。性能試験には……艦艇級の超大型種の存在を考えれば、ラピュタでも手狭になってしまうが……火星を利用すれば問題ないな。幸いにも、荒らしていい土地であれば腐るほど広がっている。
そんな土地の余裕も最終的には無くなるだろうから、性能チェックを進めていくには最良のタイミングだったな。
◆ ◆ ◆
歩兵という最も基本的な戦力単位にして、あらゆるホムンクルスの融合ベースである軽量級人型汎用モジュール ストラトゥスであるのだが……ぶっちゃけ、融合体はともかくとして、これ単体での戦力はそこまで高いものじゃない。
そもそもの設計思想からして量産性を生かして物量で押し、強い敵に対しては融合した大型ホムンクルスをぶつけて対処するのが基本なので仕方ないのだが、それはそれとして戦術において最も基本的な戦闘単位である歩兵が貧弱であるのは、あまりよろしくない。
ストラトゥスの基本兵装はフォトンブレード────両手に収束させたエネルギーで光の剣や弓、鉤爪などを形成し、武器として振るうというものだが、そもそもコイツ人型をしているから、人間用の武器が使えるのだ。
で、あれば、それ相応の装備を用意してやればいい。無論、装備の性質なんかは色々と考える必要があるが。
まず素材────当然、ナノマシンだ。
全てナノマシンで構築する。
要領は、装甲護符でロボを作った時と一緒だ。あれを、装甲護符の代わりにナノマシンで代替すればいい。
ナノマシンといえば────そういえば、仮面ライダーゼロワンにナノテクノロジーを利用したライダーシステムが登場していたな。あの辺を再現してみるか。
量産性を意識する必要があるからして、生産するのは大ボスである仮面ライダーエデンよりもその配下の量産型ライダーである仮面ライダーアバドンの変身アイテムである『スラッシュアバドライザー』、並びに『ショットアバドライザー』だな。
ショットアバドライザーの方は既に実装されているAIMSショットライザーをベースにした拳銃型、またはスラッシュアバドライザーは同じくAIMSショットライザーの高級機種として生産されているZAIAスラッシュライザーをベースにした短剣型のデバイスをメインユニットとして、そこにプログライズキーを装填、ベルトにセットして変身する形式で。素材をナノマシンに置き換えつつ、装甲護符の素材変換術式によって強度や素材の性質をそのままに保つ事で、デモニカとしての機能を維持。
使用するプログライズキーは最初期に開発されつつも未だに運用され続けているライジングホッパーをベースにした『クラウディングホッパー』。ただし大まかな機能はそのまま残しつつも、こちらも素材をナノマシンに変更。
ただし人間が着装する事を前提としたショットライザーやスラッシュライザーとは異なり、無限生産と使い捨てが効くナノマシン素体への強化着装である事を前提に各機能を最適化していく。
たとえば出力はナノマシン素体を使い捨てにする事を前提に、素体の耐久限界ギリギリまで出力を上昇させて高出力・高性能を実現。
同時に、生身の人間が装備する事を前提としたフェイルセーフやリミッター、緊急救命システムなどは最低限を残して取っ払い、開いた余剰分の容量に最小サイズのターミナル機能を組み込んだ。これにより必要に応じてナノマシンを供給する事で素体の自己修復の他、兵装の構築や戦力補充など様々な使い方ができるように。
また本来であれば内部の装着者が受けるダメージをデモニカが肩代わりする事による強制装備解除などの機能が存在するが、この機能を逆転させる事により素体を使い捨てにデモニカを残し、搭載されたターミナル機能によって転送されたナノマシンから新たな素体を構築して再変身、などというような真似も可能。
さらにデモニカコアそのものはナノマシンネットワーク上に構築した電脳世界側に置く事で、通常空間側で活動する仮面ライダーアバドンが破壊されても影響が出ないように隔離。また、これにより“書斎”のシステムを利用した高速演算、知覚の高速化が可能になる。
もしも人間が装着したら……死ぬんじゃないか? 普通に変身するだけなら死なないが、戦闘するなら過大な負荷により重傷、最悪の場合は死亡するリスクすら、ある。まあ、それも装着者の肉体強度次第だが、とりあえずデモニカが必要なレベルの肉体強度では命の保証はできない。
まあ、鹵獲されるリスクをある程度防ぐ事ができるという意味では、いっそ有用かもしれん。
単純な鹵獲対策としては、遠隔操作での分解や自爆のための機構も備わっているし、何なら鹵獲しても量子論を利用した解の不定化による【アナライズ】妨害、被解析時の存在消失効果なんかも付与されている。
固定兵装はデモニカのメインユニットであるショットアバドライザー、スラッシュアバドライザーを主力にしつつ、内蔵トリガーホルダーを介してフォーゼモジュールなどを展開可能ないつもの形式。
加えて、右腕には伸縮式の呪力増幅杖、左掌には仮想ディスプレイ方式の自在護符を組み込み、『呪盾』やら『悪魔罠』やらの魔術を展開可能……というのは『黒杖特捜官』の名前の元になった小説からの発想だな。
とりあえずこんな具合で『仮面ライダーアバドン』はロールアウト。
火星や金星、水星の霊脈のバックアップがあれば、多分メシア教会に対して物量で引っ繰り返せるシステムを目指して、アップデートを重ねていく予定。
◆ ◆ ◆
ナノマシンの原型は出来上がったので、後はナノマシンとホムンクルスの統括個体を製造しようと思う。重要なポジションを担う個体なので、当然ながらショタオジ製のオリジナルシキガミコアを搭載した高級シキガミとしてだ。
デザインベースは『ドールズフロントライン』に登場する敵対勢力“鉄血工造”の首魁『エリザ』。
ナノマシンとホムンクルスを制御し、統率する最上位個体であり、戦術指揮に特化した戦術ネットワークの中枢となり、それに加えてナノマシン構造体に一定以上のレベルとステータスを保証するためのアドバンスド滅却師システムのコアとなる存在だ。
システムのベースは海魔ネキ・虚空ネキが設計したラニシリーズやネモシリーズの中枢統括個体をベースとし、本霊はアドバンスド滅却師システムのコアとなる事を考慮して、神話的にメタトロンと同一の起源を持つ魔神ミロク菩薩であり、将来的なアップデートにより天使の出入りを禁じる禁教結界などの機能も実装していく予定だ。
滅却師システムは半終末前に名古屋支部を束ねるバッハニキが設計したものだが、名古屋支部での実装からそれなりの時間が経っている事もあって、既に数回のアップデートを経て完成度も上がっている。
同時に、技術部のアーカイブからジョブデバイスの設計データを引っ張り出してくる……これも同時期のバッハニキの作品だな。これを応用し、エリザの本霊となる大型の仮想霊基をナノマシンネットワーク上に配置。
ここからストラトゥスや仮面ライダーアバドンといったナノマシン構造体と相互に情報をやり取りし、獲得した情報をエリザの霊基へと蓄積。それをある種の【○○の心得】系スキルとして各ナノマシン構造体へと再分配する事で、全体で戦闘や業務の経験を共有し、最適化しながら様々に応用が利くように。
同時にフォーゼシステムのアストロスイッチによるモジュール展開システムをベースにして、各種プログライズキーをエリザの霊基内に格納、必要に応じてショットアバドライザー・スラッシュアバドライザーに転送する事によりフォームチェンジを可能とする『マギア/レイダーシステム』を構築。
その上で専用に構築した電霊『ケミー』をネットワーク上の仮想霊基にリンクさせる事で、仮面ライダーアバドンを始めとするナノマシン構造体にケミーの霊基構造を転送・融合し、兵装化する『マルガムシステム』を実装した。
なお電脳シキガミとして製造した彼女は本来であればシキガミコアこそ持っていても電脳異界の外の通常空間には出てこられないのだが、支配下のナノマシンを操作する事で外界でも機能する肉体を作り出し、行動する事ができる。電脳シキガミとしてのデメリットが全く存在しないといってもいい。
そしてダ・ヴィンチやエンジニア部の手を借りて、彼女の手足となる現場指揮担当のシキガミ達を、どれもデザインベースは鉄血工造系で揃えたプロテクト複写型シキガミ、それもターミナル機能内蔵型として製造していく。
原作に登場した鉄血工造系のボスはそれなりに数が存在しているが、その中でも今回製造するのは以下の三機。
情報収集・分析に秀でた監視兵『スケアクロウ』。
斥候担当の偵察兵『エクスキューショナー』。
高い機動性と知能を持ち、妨害と追撃作戦を得意とする猟兵『ハンター』。
完成した三機はまず星霊神社の修行用異界へと投入し、修行用異界上層で偵察兵としてレベル上げを行わせつつ戦闘経験を積ませてから中層試験に挑戦させ、それも突破したらある程度中層を経験させて後、愛媛支部や四国圏内に残存しているメシア系施設の掃討戦に従事してもらう。
そこで経験を積んだら最終的には中華戦線に投入し、仮面ライダーアバドンを指揮してのゲリラ戦を行ってもらう予定だ。
また、それに並行して後発で製作される後輩の鉄血工造系シキガミ達の指導も彼らの仕事となるが……その辺は後の話だ。
◆ ◆ ◆
さて。
火星の衛星軌道に位置する衛星フォボス、並びに衛星ダイモスは基地化が進んでおり、火星軌道における防備も充実し始めているのだが、それと同時に造船拠点としての価値も上がりつつある。
現状ではメガシップ級宇宙戦艦やホエールキング級輸送艦の量産を進めている他、呉支部で運用されている航空艦を宇宙仕様に改装したジェイアーク級航宙戦艦、あるいは数こそ少ないが同じく呉支部の艦をベースに再設計したマクロスクォーター級航宙母艦なども開発が進められており、既に各一隻ずつが完成し、先日それぞれフォボスとダイモスの宇宙港へと配備されたところだ。
現在ではさらに数隻が建造を進められており、これらの艦は完成後、乗組員となるネモシリーズなどと共に小惑星帯の基地へと配備される予定。
そんな状況なのだが。
異世界ゲートの方に、異変が発生した。
ラピュタに設置され、三体のショタオジ分身シキガミによる厳重監視が行われている6つのゲートの中の一つ────暫定ブルーアーカイブの世界と推定されているゲートの向こうから、侵入者が現れたのだ。
ショタオジ分身シキガミの一体であるギラティナからの緊急警報により叩き起こされた僕が、就寝時にすぐ傍らにいたシキガミ二名、ブレイクとヒマリを伴って監視ルームに向かうと、ゲートの向こうに設置された何やら大掛かりな機械から魔術的な干渉が行われ、こちらの封印と反発して火花が散っている様子が観測された。
出力的にも技術的にもこちらから弾き返す事は十分に可能と予測されたのだが────裏を返せば、それは十分に対処できる可能性が高い相手という事。
厳重にゲートを封印・隠蔽したにもかかわらずゲートの位置が割れている理由……こっちが試験的に飛ばしたドローンを解析したとかその辺の可能性もあるが、ともあれ位置を知られており、御大層な機械まで持ち出して向こう側からゲートをこじ開けてきている以上、ここで敵を追い返しても、その内さらに周到に準備を整えて再襲撃してくる可能性が高い。
ここはむしろ、今は戦力的にもこちらが勝っている以上、相手を積極的にこちらに引き入れて捕縛し、情報を引っこ抜いた方が得策だろう。
と、いうわけでブルアカゲートへの封印を解除し、ゲートに対する干渉の強引さとは裏腹に恐る恐る侵入してきた侵入者達。迷宮型の電脳異界に踏み込んできた彼女達は、全員どこかの学校の生徒みたいな制服姿の少女にしか見えなかったが、しかし相手の戦力は想定していたよりも上だった。
こちらが仮面ライダーアバドン50体の内の数体は普通に撃破され、現場リーダーとして配置した鉄血工造シキガミの一体であるハンターも、殿に立った少女と対峙した結果、軽くだが手傷を負う事になった。
まあハンターが負傷したのは、相手がいきなり奇声を上げてその場で激しくブレイクダンスを踊り始めたのに困惑した隙にビームサーベル型の光剣での居合斬りを食らったからだが……そのせいで、もう少しで侵入チームの大半を取り逃がし、ブルアカ世界への撤退を許すところだったのは失態だな。
未知の敵戦力を軽視して経験不足のシキガミをぶつけたのは、間違いなく僕の采配ミスだな。未知の相手だったのだから、最初から相応に経験を積んだブレイクやヤンを投入するべきだったし、部下であるシキガミ達を責めるのは論外だ。同時に、相手の手並みを称賛するべきでもある、か。
ともあれ少々危険だったので、電脳異界の時間速度を外界の1000分の1にまで一気に減速させると共に、クロックアップ搭載型デモニカ三機────近接戦闘適性試験型『サソードゼクター』、火器管制システム試験型『ドレイクゼクター』、試作量産型『ザビーゼクター』の三機を減速した異界の中へと投入、遠隔操作でハンター、エクスキューショナー、スケアクロウの三人に自動装着してクロックアップを起動する。
異界の時間速度から完全に切り離され、超高速で動く三人によって、向こう側からの来訪者達を完全に無力化する事に成功した。
……とはいえ、ここからどれだけ情報を絞り取れるか、が問題だな。失態を挽回できるだけの情報が得られればいいのだが。
確保した捕虜の少女達、合わせて二十一名。
現在はラピュタ支部の収監施設を管理するシキガミ“クイーンバウンセリア”の厳重な監視下に置きつつ、時間減速型の電脳異界内の収容施設に拘束中。
聞き取りやら何やらは、全てこれから。
「それで、どうしたハンター?」
「いえ…………、あの少女は、今どうしているか、と」
ハンターの言う、あの少女。
財布の中に入っていた学生証によると名前は『岩寺コマリ』。一見中学生どころか小学生にすら見える容姿であるが、その学生証の記載が正しければ『青資秘密学園』なる学校に通う高校二年生らしい。
そんな学生が大がかりな装置を用意して次元干渉を行い、近代的な銃火器で武装した部隊を率いてシキガミと交戦し、ビームサーベルを用いた剣術でネームドのシキガミに手傷を負わせる…………いや、この世界の学生って本当にどうなってるんだ?
まあ僕の知っているブルーアーカイブのゲームなら、そこまで不自然ではないかもしれないが。
“青資”秘密学園…………英訳すれば“ブルーアーカイブ”。
ブルーアーカイブと思われる世界において、そんな学校名を付ける事ができるのは、それこそ『ブルーアーカイブ』というゲームに関する知識がある人間────つまり我々と同等の“現実世界からの転生者”である可能性を想定しておいた方がいい、かもしれない。
「やっぱり、自分に手傷を負わせた相手の事は気になるか?」
「っ……それは……いえ、次はあのような失態は犯しません。必ずや戦果を挙げてみせます!」
そんな風に息巻くハンターの様子を見ていれば、少し心配になってくるものだ。
「落ち着け。たった一度きり、勝った負けたとかいう程度にこだわるな。修羅勢なんてお互い毎日のように勝ったり負けたりしてるんだ。あのレベルの連中を見習えとは言わないが、こだわり過ぎると逆に冷静さを失って命取りになる」
「……はい」
「敗北を冷静に見据えて、自分の能力向上に役立てるのは大切だ。だが気に病み過ぎるのは逆効果だ。……大丈夫だ、君は優秀だ。経験を積めば、立派な戦士にも指揮官にもなれる」
そう言って頭を撫でてやると、ようやくハンターの肩から力が抜けた。
そんな彼女を見ながら考えるのは、ブルーアーカイブの世界からやってきた青資秘密学園の生徒達の事だ。
特に、ハンターに手傷を与えた岩寺コマリという少女……学生証以外の所持品はそこまで多くはないが、特徴的な品物といえば。
・異様に高度な自立思考型AIが搭載されたスマホ型携帯端末。
・実銃のシグザウエルP365SASをベースにしていると思しきカスタム拳銃。純粋な科学技術で作られているが、細部には神秘による強化を前提にした構造が散見される。
・近接戦闘用の武器と思しきビームサーベルのような収束型プラズマカッター2本。
・原始的な魔術霊装。ガイア連合の技術水準と比べれば随分と原始的だが、代わりに既存の魔術大系とは完全に異なる技術────科学的思考で解析した神秘を、魔術的・宗教的な蓄積を一切挟まずに一から組み上げた独自の技術大系には見るべきものがある。また、明らかに工業的に作られた量産品である事にも注目したい。
といった具合で、本来こちらが持っているブルーアーカイブという作品の知識においては銃が戦闘の主力になっているキヴォトスであるはずだが、岩寺コマリはあくまで銃をサブウェポンとして、ビームサーベルの二刀流を主兵装として振るい戦っていた。
その辺を考えても、僕達が知っているブルーアーカイブの世界だと思わない方がいいだろう。
さりとて他の生徒は普通に銃をメインウェポンにしていたから、必ずしも完全に異なるという訳ではなさそう、か。
だが、それはそれとしてそんな一般生徒達も、ビームサーベル以外の装備や所持品に関しては岩寺コマリと大差ないレベルのものばかりだった。せいぜい、装備している銃の種類が異なるくらいだ。特に一番問題なのは、やたらとハイスペックな携帯端末だ。
彼女達が持っていた携帯端末……見た目は通常のスマホながら、その性能や容量は通常型のスマホの比ではなく、こっちで比較するならば下手をすると黒札仕様のCOMP……修羅勢や上澄みが使っているようなガチのオーバースペック級ほどではないにせよ、中級者が少し背伸びして買うくらいのランクの代物に匹敵する。
黒札基準での中級者という事は、言い換えれば黒札・現地民を問わない異能者の中では地方の特記戦力に匹敵する高位異能者という意味であり、そのレベルが持つ装備……つまりは相応に金を掛けた高級機、場合によっては結構なワンオフに匹敵するという事。
この辺が標準装備になっているという以上、向こう側の世界の電子機器技術は随分と発展していると考えていいだろう。場合によっては、ガイア連合のそれを上回る程に。
そして何より最大の特徴は、携帯端末に搭載された自律思考型の人格AIだ。端末のOSの役割を果たしていたこのAIはガイア連合の技術水準から見ても非常に高度かつ優秀な代物であり、これ一つでガイア連合の電脳シキガミの世代を一つ二つ進められるくらいの代物だった。
特筆すべきは、その電子戦能力。
「神秘によるハードウェアへの直接干渉くらいなら私達にも可能ですが、それ以上に興味深いのはAIが持つ電子戦のノウハウそのものです。システムに直接干渉せずにハードウェアを観測して仕掛けるサイドチャンネル攻撃や、TPMへの直接干渉など、明らかに一般的な市民生活を補助するようなAIの域を越えていますね」
「一般機でそこまでか……厄介だな。封印と隔離は厳重にしておいてくれ」
「ええ。既にネタが割れている以上、直接的な電子戦を挑んでくるなら問題なく対処できるとは思いますが、何より問題なのはAI自体の倫理観が当てにならない事です」
AIのプログラム構造を仮想モニタに表示しながら、シキガミ集団ヴェリタスを束ねるヒマリは肩を竦めた。
「……そこまでか?」
「ええ、まさに。具体的には、インストール先のスマホのOSを勝手に削除してOSに成り代わるくらいに。あえて人間に例えるなら、空腹になったらその辺のコンビニから適当に万引きを繰り返して一切罪悪感を抱かない盗癖持ちの常習犯……いえ、それどころか店長を殺害して勝手に成り代わっている殺人鬼に匹敵するレベルで倫理観が終わっています」
「そこまで言うか……いや、確かに危ないにも程があるが」
あるいは、美少女GTAとか呼ばれるブルーアーカイブの世界のAIには相応しい倫理観なのかもしれないが。
幸いにも契約術は通用するため『ガイア連合への協力』『ガイア連合のルールに従う事』『自衛以外でのガイア連合員へ危害を加える事の禁止』の三つを契約させた上で、外界から遮断されたスタンドアロン環境下の端末に閉じ込めて解析と聞き取り調査を続けているが、この解析結果はいずれミクさんタイプを始めとするガイア連合の電脳シキガミにも反映される予定だ。
◆ ◆ ◆
そうして一週間ほどの時間が経過して。
ブルアカゲートの向こう側、ブルアカ世界側にはキャンプのような拠点が構築され、こちらへの再侵入を試みるべく準備を進めている模様。岩寺コマリやその同胞の少女達と同様の制服を着た少女達である以上、その正体は青資秘密学園の手勢である事は間違いないだろう。
もっとも、こちらとしても既に油断はなく、十分に戦力を整えた上で迎え撃つ算段は立ててあるが……無理に戦おうとする必要があるかどうか。
そんな中、ブルアカ世界から転がり出てきた来訪者────青資秘密学園の生徒である岩寺コマリに、正式に聞き取り調査を行う事になった。
そこでショタオジの立会いに加え、隠し事があれば根こそぎ見通す事ができるという特異な異能を持つ探偵ネキこと古戸エリカ嬢に直接的に指名依頼を出して聞き取り調査に挑む事にしたのだが。
まず所持していた学生証の記載通りに『岩寺コマリ』と名乗った彼女は、彼女によれば向こう側の世界はやはり『ブルーアーカイブ』の世界“キヴォトス”で間違いないらしく、その一角を自治区として支配下に置く青資秘密学園、略して“青学”は、驚いた事に我々ガイア連合と同様に前世持ちの転生者達が集まって作った組織であり、その目的は、原作における大事件での生存とキヴォトスの存続であるとの事。
そして青学の中でも彼女は次元物理学研究部に所属しており、空間や次元の構造についての研究を重ねる中で、別世界との接点になりやすい……次元の壁が薄い地点を特定した。
ちょうどタイミング悪くそこにこちら側がゲートを開通させていた、という事らしい。そういう事なら仕方ない、か。
ただ、今後も同じ事故を起こさないように留意して、対策を練る必要はあるか。
「……情報量が多過ぎて頭が痛くなってきましたわね」
一通り立ち合いを行った古戸エリカは、頭痛をこらえるように額を押さえてそんな風にぼやいた。その額には汗が滲んでおり、顔色も良くない。
「そこまでか?」
「この人達、組織で秘匿している情報や技術が多過ぎて、私の異能がその辺の機密情報を大量に引き出してきて情報処理が追い付いていないのですわ。そもそも大半が技術情報、つまりは私の専門外ですから……しかもこの人達、原作知識を元に行動した挙句、あちらこちらで墓穴を掘ってガバを引き起こしているらしくて…………」
「それって僕らも割と人の事言えない気がするな……」
その内に探偵ネキの脳味噌が一回壊死しそうな勢いだったため、無理せず頭を経由しないようにした情報を、COMPを介して専用サーバーに送信する形式で術式を組み直し、情報は後からチームで解析する模様……ヴェリタスのシキガミ達が即座に飛びついて現在進行形で解析を進めているが、あの様子だと日常業務をおろそかにしないように釘を刺しておく必要があるかもしれない。
その一方で岩寺コマリ嬢の方はというと、この世界がキヴォトスではない別の世界────メガテンの世界だと伝えると、最初は信じなかったもののその内に状況を理解して呆然としていた。
ついでに元の世界に帰せない事をショタオジが追い打ち気味に伝えるとさらに大きなダメージを食らった様子だが、AIが宿る携帯端末を返却すると精神的にも随分と持ち直した模様。おそらく、このAIが我々にとってのシキガミのような存在だったのだろう。
で、それはそれとしてコマリ嬢の身柄と、おそらくはその奪還を目的としているブルアカ世界側の連中をどうするか。
幸いにもコマリ嬢の持つ端末の回線を通じて向こう側のチャンネルに対して通信を行い、青資秘密学園の次元物理学研究部を通じて、青学のトップである七武生という幹部会議へとコンタクトを取る事ができたのだが……ショタオジと七武生、ついでに僕とコマリ嬢と、そして一緒に確保した次元物理学研究部の生徒達とで対話を行った結果────割と残念ながら当然の結果に落ち着いた。
つまり、没交渉である。
向こう側にも存在している世界終了案件をこちらの世界に引き込んでしまっては困るし、逆に馬鹿みたいに大量に存在するこの世界の終末案件を向こう側の世界に誤爆させるわけにもいかない。その辺を実例付きの資料────主に沖縄支部で作成された『黒の章計画』によるもの、プラスして愛媛支部でも独自に集めた資料を編集したものを見せつつ青資学園側の面々に説明すると、全員が顔を青くしながら納得してくれた模様。
コマリ嬢を始めこちら側にいる青学生達にはあらかじめ大容量のエチケット袋を全員に配布しておいた……のは大半が無駄になり、生徒達の半分以上がその場にゲロって床と制服を汚す羽目になった。母子合体魔人に代表されるメシアンのやらかし各種とかのグロ画像フルコースはやり過ぎだった気がするが……この世界の実情を知ってもらうためには、仕方のない犠牲だ。
現状、古戸エリカ嬢が大量の機密情報を引き抜いてくれたお陰で、技術交換による新規技術獲得のメリットもそこまで大きくはないからな。
本音を言うと、せめてコマリ嬢とその仲間達だけでも本来いるべき世界に帰してやりたかったのだが……生憎と彼女達は七武生達から正式に『ガイア連合に対する連絡役になれ』という命令を受けてしまい……まあ上司命令となれば仕方ない、という事で『青資秘密学園ラピュタ分校』として、帰還は少なくともこちらの世界が無事に終末を乗り越えるまでは待ってもらう事になった。
粛清(淫)がどうとか…………まあ気にしない事にしよう。随分と酷い顔色になっていたが………………うん、気にしない。多分ショタオジのハードコースよりはマシなはずだ。
とりあえずラピュタ支部の支部長権限で金札を発行しておくか。
ついでに彼女と青資学園の世界を含め、他世界へのゲートに関する情報もガイア連合内において秘匿する事に決定。これに関しては……身内のやらかしが怖いので。
基本的に、終末までは黒札内に対しても秘匿するし、終末後もこの辺の情報に関しては黒札限定の機密情報指定だ。
特に青資学園世界行ゲートの情報が知れ渡ると、ブルアカ世界への渡航を狙ってゲートの向こう側に突撃しようとする馬鹿が湧いてくる可能性が高い。現地民・黒札問わず、そして人間・悪魔を問わずだ。
おそらく一番槍で凸してくるのは宮城の先生ネキあたりだろうが……いや、戦闘力と技術力が無駄に高い変質者一人くらいならまだマシな部類だ。
単純に自制心を喪ったブルアカファンくらいならまだ良いが、“悪魔の出ない世界”を求めて征服者ムーブをカマそうとする危険人物なんかが湧いてこないとも限らない。特に喜び勇んだメシア教会が現地で布教()を始めでもしたら洒落にならん。
原作キャラの生徒達がメシアンや天使共に捕まって聖母()にされた姿とか誰も見たくはないだろうし、僕も御免だ。そういうノリのアレは『陰陽寮の日常』のゲーム版だけで十分なんだよな。
向こう側の科学や神秘関連の技術なんかは確かに魅力的ではあるが、それに関してはグッと我慢だ。
◆ ◆ ◆
古戸エリカ嬢が青資学園から引っこ抜いてくれた大量の技術情報は、非常に有益な情報の山だった。
まず彼らが自分達青学生を強化するために使っていた、青資秘密学園全体に付与される常時バフ。
原理的に説明すれば、まず……ブルーアーカイブの世界における“生徒”という存在、これは大まかに人間(?)のカタチを持つが、それでいてその体内には神々や悪魔といった存在の神秘を内包する────これは我々の世界における転生体に類似している在り方で、つまりは一部の例外を除く大半の黒札とも等しいのだが。
これを後天的な教育や術式による補正、青学という組織に対する外部からの認知等によって強化・調整しつつ“内面の神秘方向への並列化と共鳴”といった形で増幅する事により、『青資秘密学園』という一つの共同体それ自体が保有する神秘として構築し、ここから転生者にして青学生である限り戦闘力……特に防御力や回避能力といった生存性に関わる領域を中心に常時バフが付与される。
つまりこれ、我々ガイア連合にも十分に適用可能な分野なのだ。
むしろ神秘の扱いに関してはガイア連合側の方がずっと進んでいるといっても過言ではない。
ショタオジも導入を検討しているらしく、黒札という一括りに加え、ガイア連合全体にも同じ術式を組み込む形で調整を続けているって事で、この形での実装となれば僕達黒札は“ガイア連合”と“黒札”という二つの括りで二重にバフを受ける事になるな。
まあ、その辺はショタオジに丸投げする形になってしまうから僕個人にとってはあまり関係のない話……ガイア連合全体に関わってくる話だからな。
僕の守備範囲に関わってくる話としては、まず何より岩寺コマリが関わっている次元物理学研究部が保有している各種技術や研究データの山だろうな。ブルアカ世界特有の“色彩”なる外次元由来の脅威に対する対抗手段を模索するための研鑽の数々。
それを掠め取ってしまったようで申し訳なくは、ある…………が、こっちも四の五の言ってられないんよな。霊山同盟支部が対処した仮面ライダークウガ絡みの事案に関しては向こうが友好的な存在だったから良かったが、次もそう都合よく行くとは限らない。
敵対的な異世界存在が終末案件クラスの戦力を携えて侵攻してくる可能性は、決して否定できない。
何なら仮面ライダークウガ絡みで仮面ライダーの世界の話をするなら、大ショッカーだの財団Xだのハンドレッドだの、多次元世界に勢力を広げて別次元に干渉してくる可能性のある組織は複数存在しているわけで。
だからせめて、代わりにこちらの世界で得られた知見は、向こうにも渡しておく事にしよう…………こっちの終末が片付いた後で、だけれど。
ともあれ青資学園から得られた研究資料により、異次元渡航に関する技術は一段階向上した。
基本的には全てのゲートを閉鎖状態、最低でも監視用に最小限……針先程度にしか解放していない、という事もあり、幸いな事にゲートの管理それ自体はそこまで難しいものではなく、ディアルガ・パルキア・ギラティナのシキガミ三体も割と暇、という話であるため、あと一つか二つくらいならゲートを増やしても問題なさそうだ。
だからゲート開通に関わる実験として、ゲートを一つ増やす。既にアクセスのある世界から縁を辿り、そことは別の歴史を辿った平行世界を見聞する技術を確立したい。
最終的にはそこから派生して、平行世界事象からの干渉や侵入を感知・阻害する技術を確立したいわけだが。
そんなわけで、青学の世界からの縁を辿り、それと縁の近い“普通のブルーアーカイブ”の世界へとパスを繋いでいく。
そうして開いたゲートから流れ込んできたのは大量の砂と────そして一人の少女だった。彼女が首から掛けていた名札に書かれていた名前は『梔子ユメ』といった。
◆ ◆ ◆
少しばかり面倒な事になった。
梔子ユメ……立派な原作キャラである。
幸いな事に、我々の知っているブルーアーカイブの原作知識で語られる世界線上では、原作開始時点で既に死亡・退場してしまっているキャラではあるから、向こう側の世界で進行する原作のストーリーに干渉する心配はない、というのは救いではあるか。
ともあれ。
本音を言えば、治療が済んだらさっさと元のブルアカの世界に返してやりたいところだが、青学の世界の青学生達と同じく、主にこちら側の世界の終末を向こう側に誤爆させないために、申し訳ないが最低限こっち側の終末が片付かない限りブルアカ世界へは帰してやれない、と告げると、『黒の章計画』による精神的ダメージもあるのだろう、今にも泣き出しそうな顔で承諾してくれた。
その後、僕が部屋から出ていった後でベッドに突っ伏してガチ泣きしていた事に関しては………………盗撮やらかしたヒマリには割と本気でお仕置きしておいた事含めて、当のユメ嬢に対しては内緒である。そしてお仕置きされたヒマリが割と本気で喜んでいた事も、やはり内緒だ。
……潰れそうな母校にたった一人の後輩を残してきてしまったという事情は当人からも聞いているので、こちらとしても大変申し訳ない。
彼女の故郷であるブルアカ世界、キヴォトスにおいて、学校というのは独自の軍事力や周辺の土地に対する行政権限を持つ一つの行政区分────ある種の独立国家のようなものだ。だから母校を失うというのは単に学校法人が一軒倒産するという次元ではなく、文字通り国が亡ぶようなレベルの話になってくる。
ましてや、そこに後輩をたった一人で残してきてしまったとなれば、その心痛は途方もないだろう。
……だからといって何も考えずにゲートを開けておくと何が起きるか分かったものではないからな、ゲートは厳重に管理する。ゲートとは少々違うが、どこぞの原作世界で悪魔召喚プログラムをガバガバに走らせていた結果として東京上空に大魔宮とかいう巨大ダンジョンを爆誕させた、どっかの中島朱美とかいう野郎の二の轍を踏む気はない。
そして、さらにもう一つ厄介な事案が発生している。
大量の砂塵と共にブルアカ世界側から梔子ユメが転がり込んできたのとタイミングを同じくして、彼女の故郷であるブルアカ世界の側における奇妙な現実改変事象が、ゲート管理者の一柱であるディアルガによって観測されている。
観測を行ったディアルガの【アナライズ】によると、この現実干渉は未来方向から行われた意図的な過去改変であり……『ブルーアーカイブ』という物語世界における“梔子ユメの行方不明”という歴史上のブラックボックスに“梔子ユメは死んでいる”という真実を後付けで挿し込むような現実改竄であるらしい。
言うなれば、まだ開封されていないシュレディンガーの箱に対してイカサマを仕込み、中身である猫を無理矢理死体にすり替える行為……とディアルガは解説してくれた。だから、梔子ユメ本人がこちらの世界に漂着してしまったため本来物理的に存在していないはずの“梔子ユメの死体”がブルアカ世界の側に存在している可能性が高い、という話だ。
これは僕達が知る『ブルーアーカイブ』という作品において、梔子ユメの母校であるアビドス高校を舞台に進められた原作ストーリーの展開と一致しているが────だからこそ、朗報でもある。
原作知識に基づいて判断するなら、ブルアカ世界側から行われたこの過去改変は原作主人公である“先生”に敵対する組織ゲマトリアの構成員の一人である『地下生活者』の手によるものである可能性が高い。
この地下生活者の能力は……微妙に難解でいまいち理解しづらいのだが、その実態は『まだ物語という領域で正式に語られていない余白部分に、余計な後付設定を書き込む事ができる』と推測できる……ある種、現実を物語として捉えつつ作者や読者、ゲームマスターといった視点というメタ領域から思考しなければ、こちらの視点から理解するのは非常に難しい、実に面倒臭いものだ。
似たような能力を挙げるなら、BLEACHの月島さんだろうか。あれは対人に特化し、剣が届く範囲の特定人物の過去しか改竄できなかったのに対し、地下生活者は遠隔から、しかも人間以外の建物やその他諸々無機物などにも干渉できるという反則的なものだ。
その能力で具体的に何ができるかといえば……拠点となる建物に変な欠陥があった事にして爆発事故を起こしたり、登場人物の心理を勝手に描写して変な風に暴走させたり、と、安全地帯からかなり分かりづらくも鬱陶しい干渉を繰り返していた。
そして原作におけるストーリー内部において『梔子ユメの死』が正式に確定したのは、この野郎が登場してからの話……それ以前まで、原作上の梔子ユメの生死には触れられず、あえて詳細不明のまま語られていた。だから逆説的にコイツの能力から考えて、この地下生活者がその能力を使い梔子ユメの死を確定させた……と思われる。
で……その地下生活者が何を目的としてそんな鬱陶しい暗躍を行っていたかといえば…………要するにそれは、梔子ユメのたった一人の後輩である『小鳥遊ホシノ』に対する嫌がらせである。
アビドス高校の領域で偶然発見された遺失兵器の列車砲にまつわる事件を引き起こしつつ、その事件の渦中で小鳥遊ホシノに対して様々なハラスメント行為……と呼ぶのも憚られるライン越えの嫌がらせを繰り返し、限度を越えたストレスで精神崩壊させる事で彼女が内包する神秘を属性反転させ、魂に内包するおそらくは本霊と思われる魔神ホルスを暴走神格『ホシノ・テラー』として顕現させようとした。
これがどうして朗報に繋がるかといえば。
地下生活者の過去改変が小鳥遊ホシノに対する嫌がらせを目的としている以上、それが行われた時点────小鳥遊ホシノが高校三年生になっているその頃までアビドス高校が存続する事が、逆説的に確定しているって事なんだよな。つまり、向こう側の世界の時間で最低二年は猶予があるという事だ。
将来的に、貴方が死んだ事になり一人残してきてしまった後輩が悪意マシマシの既知外ストーカーに粘着されて、貴方の死をダシにした精神崩壊レベルの嫌がらせを受けます…………なんて話を聞かされて安心しろ、喜べ、などとは口が裂けても言えない話だが。
そんなブルアカ世界に“生きている梔子ユメ”を投入したら何が起こるか。
ディアルガ曰く、物語上で梔子ユメの生存が向こう側の世界の住人達、とりわけアビドス高校の生徒達に認知された時点で、『地下生活者』が世界線上に勝手に書き込んだ後付け設定が崩壊し、反動と呪い返しで地下生活者自身にも大ダメージが飛んでいく可能性が高いらしい。
この辺は、黒札・現地民問わない占術系の異能者が、占術の結果を意図的に改竄する事で未来事象を強制確定させる……などという裏技的行為に失敗した際のしっぺ返しと似たようなものだという話。
当然、その因果干渉の規模が大きければ大きい程にしっぺ返しも大きなものになり、”既に確定した過去に対する改変”に加えて“原作の重要ファクター”という特級の運命への干渉ともなれば、それが失敗した時の反動はまさしく絶望的だ。
……因果応報とは、まさにこの事である。
そして同じく聞いてて希望が持てそうな気分の良い話がもう一つ。
少し前にこちらが開発したテラフォーミング用世界樹『水源の樹』……これを利用すれば、彼女の故郷であるアビドス地方で進行する砂漠化を食い止められる可能性が高く、その可能性を示唆したところ、途端に目を輝かせて元気を取り戻したのは良かった。
その辺の似たような話として、青資秘密学園の七武生とも交渉が進んでおり、こちら側の終末及び向こう側の世界の“色彩”襲来が片付いたら青資学園の世界の側で、青資学園に所属するアビドス後援会という組織を中心にして検証を行ってくれるらしい。こちら側からもラニ=Gを中心とした農業系シキガミの他、ある程度責任の取れる農業・植物操作系の異能者……できれば黒札の誰かを投入する必要があるだろうな。
またユメ嬢の本霊は火星拠点の統括を行っているシキガミ『ドゥアト』と同じ魔神オシリスと推定されているから、砂漠化からの自然回復にはこれ以上ない程に向いている。その為には彼女自身の神秘を能動的に操作しての植物操作を覚えるようになる必要があるのだが……これに関しては青資秘密学園ラピュタ分校への支援予算の増額と引き換えに、岩寺コマリ嬢や他の青学生達に依頼する事になった。
専門分野も何もかもが畑違いらしいが、その辺はまあ仕方ない。何なら最終的には身体にシキガミパーツとスキルカードの導入も検討しているが……まあ、それは最終手段だな。
また、ラピュタ内に設置した様々な異界、特に『セラエノ大図書館』での鍛錬も積極的に行っている模様だ。神秘による天然の物理耐性や身体・装甲強化を持つキヴォトス生徒とはいえ、相当の頻度で異界探索を行っているだけあってレベル上昇のスピードも結構なものだ。
さらにラピュタ内における農業区画の管理を行っている専任シキガミ『ジャンボジョシュ』に師事して農業・自然操作系のスキルを習得すべく鍛錬を行っている模様で……僕もそっち系スキルの習得補助効果付き装身具なんかを製作してプレゼントしたりと、ついつい何かと構ってしまう。
最終的に、彼女が『ブルーアーカイブの世界』に再び帰還する時にどこまで成長しているか……実に楽しみな話である。
異世界ゲートの内訳はといえば……。
1.本家どくいも様『女神転生・影【デスゲームサマナー】』の世界。
2.本家どくいも様『サイバーだけどパンクでなし―211×―ルームランナーズ』の世界。一番狂っている状況を観測してしまった。
3.本家どくいも様『TS転生ド田舎ネクロマンサー聖女』の世界。
4.本家どくいも様『異世界迷宮経営物(仮)』の世界。多分一番安全な世界。
5.本家どくいも様『青資秘密学園奮闘ログ』の世界。そのため青資学園が存在しており、元のブルーアーカイブとはかなりかけ離れた世界になっている。
6.本家どくいも様『転生者たちの終末事件簿~クトゥルフ・ファイル~』の世界。しかも世界がいったん滅んだ直後の超危険状態。
7.普通のブルーアーカイブの世界。まだまだ原作開始前。
作者が同じだから、そりゃ距離も近くなるという話。
皆どの世界がどの作品か分かったかな?
ともあれブルアカ世界へのゲートとか、青資学園との交流とか、スーパーどくいもさん大戦なんかは終末後の予定。
~割とどうでもいい設定集~
・東京第十三支部/ノーデンス・エンタープライデス
『【カオ転三次】滅亡を防ぐ為、汝第七の竜を狩れ』より。
表向きはノーデンス・エンタープライデスという一企業として活動しており、半終末前の時点でエンタメ部門ではVR技術などを実用化していたりする模様。
霊能側外向けには東京にある他の支部の存在は伏せられており、ここが唯一のガイア連合東京支部として活動している事になっている模様。
後にセブンスドラゴンの世界の案件と対面する事になる模様。
・ベヨネキ
元ネタは『BEYONETTA』。
ガイア連合愛媛支部に所属している黒札の一人。ガワや性格はほぼほぼベヨネッタそのものであり、戦闘スタイルもBEYONETTAのシリーズ全作のベヨネッタをそれぞれ混ぜ合わせたような戦闘スタイルの持ち主。
なおキャラデザはシリーズ三部作のビジュアルを日替わりでローテする。
普段は普通の異能者として、真面目に悪魔やメシアンと戦っている。なお当人は色々あって姿を消した父の行方を捜しており、そこにメシア教会が関わっているという事もあってメシアンスレイヤーとしても活動しており、人誅ニキとも仲が良い。
ただしゼンラーである。
レベルが上がるにつれ本霊の権能を引き出し我が物にしていくタイプの異能者であり、その本霊は女神転生D2でコラボユニットとして登場した魔女ベヨネッタ……つまりは本来女神転生の世界に属さないベヨネッタそのものを本霊として持つ、例外的な能力の持ち主。
このため本来は女神転生の世界には存在しないBEYONETTAの世界のアンブラの魔女の戦闘技術や魔術を修めている。その中には両手のみならず両脚にも銃を固定しての四挺拳銃を用いた戦闘技術【バレットアーツ】や、独自の戦闘魔術【トーチャーアタック】【ビーストウィズイン】なども含まれる。
とりわけ特徴的なのが【魔獣ゴモラ召喚B】に代表される魔獣召喚であり、これは女神転生の世界とは異なる“ベヨネッタの世界の魔界”へと繋がるゲートを開き、そこから女神転生の世界の悪魔ではないベヨネッタの世界の魔獣を召喚し、戦闘利用するもの。
女神転生の世界において公式に存在するスキルでありながら、女神転生の世界の外側から魔獣を呼び出すこのスキルの術式を解析した事で、異世界へのゲートを作り出す技術が確立された。
・ゲートルーム
ラピュタのサーバー上に設置された、異世界ゲートを設置するための専用の電脳異界。
通常空間との隔離処置を厳重に行った上、ディアルガ・パルキア・ギラティナの三体が常駐する社を中心に七つの異世界ゲートが配置され、さらに各種防衛設備が埋設されている。
電脳異界のため、緊急時には防衛設備による反撃の他、ラピュタ側からの外部操作による時間制御で時間速度を限界まで遅くして事態の進行を抑制する。
・ディアルガ/パルキア/ギラティナ
元ネタは『ポケモン』シリーズ。
ショタオジのアルターエゴ式分身シキガミ。かなり気合を入れて作られたシキガミであるため、ショタオジの分身シキガミの中でも結構強い。
プラスして以前偶然生成されたサーヴァントカード『謎のヒロインXX』から抽出したロンゴミニアドLRを組み込まれており、異世界からの脅威に対しては反則レベルの特攻性能を発揮する。
普段からラピュタに陣取り、7つの異世界ゲートの監視と封鎖を担当している。
・シンギュラリティ
『BEYONETTA3』のラスボス。
人間の科学力が生み出したナノマシン兵器である人工生命体ホムンクルスの統率者であり、ベヨネッタ宇宙に存在していた天使・悪魔を絶滅寸前まで追い込み、ベヨネッタの世界の多元宇宙を破壊した存在。
ストーリー終盤でベヨネッタの世界の多元宇宙を破壊して莫大なカオス・エネルギーに変換・吸収し、巨大怪獣のごときシンギュラリティ混沌体を経て、カオス・エネルギーを安定制御可能なシンギュラリティ安定体と化し、最終的にはそれすら越えてカオス・エネルギーと完全なる合一化を果たし世界そのものに等しい存在であるシンギュラリティ確定体となる。
この安定体から確定体への進化の際に、カオス・エネルギーの制御デバイスである鎧をパージしており、その残骸がゲートを通じてカオス転生の世界へと流れ着いた。
・ガイア連合式ナノマシン
ベヨネッタの世界のナノマシンをベースに、飛行石や翠木鋼、フォールドクォーツ、ターミナルユニット等々色々なものを合成して完成した。
素材の中にはプロテクト複写型シキガミコアも投入されているため、このナノマシン自体が極小サイズのシキガミでもある。
ナノマシン同士の間でネットワークを構築し、そのネットワーク上に“無限にナノマシンを内包する電脳異界”を構築、そこからターミナル機能で無尽蔵にナノマシンを引き出してくるため、たった一粒のナノマシンが存在していればそこから恐ろしい勢いでナノマシンが増殖していく。
さらにこの電脳異界には情報制御型シキガミ群ヴェリタスのシキガミ体を組み込んでラピュタ中枢と直結、さらにナノマシン構造体・ホムンクルスの統括個体である専用シキガミ『エリザ』を配置している。
・軽量級人型汎用モジュール・ストラトゥス
『BEYONETTA3』に登場する最下位の雑魚敵。
ホムンクルスの中でも最も基本的な種類のユニットであり、『重量級人型戦闘ユニット フラクタス』や『重量級人型決戦ユニット キュムロニンバス』など他のユニットの大半はこのストラトゥスが複数合体する事で完成する。
武装として両腕にフォトンブレードを搭載している他、これを変形させる事で槍や弓のように使うこともできる模様。
ゲートから漂着したシンギュラリティの鎧のデータから再生成されたガイア連合モデルではこれに滅却師システムをベースにしたOSを組み込む事で、初期段階でもある程度のレベルを持たせる事に成功している。
同じナノマシンから生成されたデモニカシステムを使って仮面ライダーアバドンに変身し、ターミナルや衛星ネットワークが繋がっていればどこにでも無尽蔵の物量で出現してくる。
・仮面ライダーアバドン
元ネタは『仮面ライダーゼロワン』。
先に開発されたゼロワンドライバー、及びAIMSショットライザー、ZAIAスラッシュライザーをベースに、軽量級人型汎用モジュール・ストラトゥスが変身する事を前提に開発・調整されたプログライズキー対応型デモニカシステム。
拳銃型のショットアバドライザー、短剣型のスラッシュアバドライザーの二種類のベルトにプログライズキー『クラウディングホッパー』を装填する事で変身するが、これらの装備はガイア連合仕様ストラトゥスが生成されると同時に、同じくナノマシンで生成される。
無限生産・使い捨てが効くナノマシン構造体が使用する事を前提に、素体の耐久限界ギリギリまで出力を上昇させつつ、生身の人間が使用する事を前提にしたフェイルセーフやリミッター、緊急救命システムなどは最低限を残して取り払い、その分の容量に極小のターミナル機能を組み込んだ事で、ターミナルを通じてナノマシンを供給して素体の自己再生、兵装の構築や戦力の補充なども可能に。何ならこれもターミナルなので、ライドベンダーを呼び出して搭乗したりも可能。
なお、このため生身の人間が変身に使用する事は一応可能だが、この場合は人体の限界を考慮していないため場合によっては生命の危機に直結する。
デモニカコア自体はナノマシンネットワーク上に構築された電脳異界側に設置されているため、外界側の仮面ライダーアバドンが破壊されてもコア本体には影響が出ず、即座に再生が可能な他、“書斎”システムを利用した知覚の高速化なども可能。
固定兵装としてはベルトに固定されたスラッシュアバドライザー、ショットアバドライザーをそのまま武器として使用する他、内蔵トリガーホルダーを利用したアストロスイッチのモジュール展開といったいつものギミックの他、原作とは異なり右腕には伸縮式の呪力増幅杖、左掌には仮想ディスプレイ形式の自在護符が組み込まれている。
また『マギア/レイダーシステム』を介したプログライズキーの転送によるフォームチェンジ、ネットワーク上から電霊ケミーの霊基構造を融合、兵装化する『マルガムシステム』による武装展開などのオプションも実装されている。
・滅却師システム
茅薙様『【カオ転三次】怠惰を求めて』より。
バッハニキが設計した中央制御型後天的霊能付与システム。
曰く『媒体を用いて使用者から霊力を吸い上げ、中枢から使用者に術式を提供する。その際にいくらかの手数料をもらうことで維持費と利益とする。そんな思想のシステム』との事。
自我を限界まで削って降霊した悪魔『霊王』を中核とするメインサーバーから、要請された術式をペンダント『滅却十字』を目標に遠隔転送する形で機能する。オリジナルの搭載術式は基本的に大気MAGを収束させて武装形成、並びにそれに対するエンチャント。
ペンダント一つ持っていれば、使い手自身の才能限界や能力傾向に左右されず、誰が使ってもベースライン的に一定レベルの性能が保証される上、中央からの制御によっていつでも力を没収する事ができる。初期段階でもLv10~15程度を10人程度という性能であり、弱小支部からみればこれ以上ない程の戦力増強になる……はずだったのだが、某鳩が横槍を入れて加護を寄越したせいで発売が無期限延期と相成った。最終的に、実用化にはどうにか成功した模様。
またバッハニキのシキガミの一体である『メトラ・トロンヌ』が接続し、メタトロンとしてのガワを成立させる事でメシアンに偽命令などの嫌がらせの他、天使の出入りを制限する禁教結界の展開を行っている。
・エリザ
元ネタは『ドールズフロントライン』。
ナノマシンネットワーク上に常駐する電脳シキガミであり、ストラトゥスを始めとする各種ナノマシン構造体を統括し、アドバンスド滅却師システムの中核としてナノマシン構造体を強化する。
本霊はメタトロンと神話的な繋がりを持つ魔神ミロク菩薩であり、将来的にはアップデートにより禁教結界などの機能を実装する事も視野に入れている。
設計ベースになったのはラニシリーズやネモシリーズなどの中央統括個体。
ナノマシン構造体を統括強化するアドバンスド滅却師システムの中枢であり、ストラトゥスや仮面ライダーアバドンなどのナノマシン構造体と相互に情報をやり取りし、戦闘経験や獲得情報をエリザ霊基内に蓄積、ある種の【○○の心得】系スキルとして各ナノマシン構造体に再分配する事で、戦闘や業務の経験を全体で共有する。
同時にアストロスイッチのモジュール展開をベースに、各種プログライズキーをエリザ霊基内に格納、仮面ライダーアバドンが装備するアバドライザーに転送する事により各種フォームチェンジを可能とする『マギア/レイダーシステム』や、専用構築した電霊『ケミー』をネットワーク上の仮想霊基にリンクさせ、仮面ライダーアバドンを始めとするナノマシン構造体各種にケミーの霊基構造を転送、融合・兵装化する『マルガムシステム』を搭載している。
・スケアクロウ
・エクスキューショナー
・ハンター
元ネタは『ドールズフロントライン』。
仮面ライダーアバドンを始めとするナノマシン構造体の指揮個体として設計されたプロテクト複写型シキガミ。
本体はナノマシンネットワーク上に存在する電脳シキガミであり、現実世界ではナノマシンを利用して肉体を構築し、活動する。
初期ロットは情報収集・分析に秀でた監視兵スケアクロウ、斥候担当の偵察兵エクスキューショナー、高い機動性と知能を持ち、妨害と追撃作戦を得意とする猟兵ハンターの三機が製造され、活動しているが、いずれ彼らの運用データを元に後発のシキガミが製造され、彼らがその指導を担当する事になる。
・青資秘密学園
本家どくいも様『青資秘密学園奮闘ログ』より。
カオ転世界とは異なる、ブルーアーカイブの世界に産まれた転生者達が集まって作った学校であり、原作における最終編で訪れる外宇宙からの侵略者“色彩”との決戦で生き残る事を最終目標として活動しているブルアカ世界版ガイア連合。
原作のブルーアーカイブにおけるトリニティ、ゲヘナ、ミレニアムの三大校と合わせて四大校扱いされており、原作において高い科学力が売りのミレニアムを上回る技術力に加えて、異様に高い機密・閉鎖性や、その上で各地の他学校にスパイを派遣している事、そのスパイがだいたいやたらとチョロい上に、何ならいてもらった方が利益が大きい事などから、様々な疑惑の目を向けられている。
異次元ゲートを介してガイア連合に接触し、双方の交渉が行われた結果、主にお互いの終末案件の誤爆を防ぐため、終末まではお互い最低限の交渉に留める事になった。
カオ転世界側での終末回避、青資学園側での対色彩防衛が成功した暁には、アビドス後援会による水源の樹の実用化テストが行われる模様。
・岩寺コマリ
青資学園次元物理学研究部の部長であり、青資秘密学園ラピュタ分校の生徒会長。
ガワは『ひきこまり吸血姫の悶々』のテラコマリ・ガンデスブラッドのメカクレ版。
メインウェポンはハンドガン…………ではなく、青学製ライトセーバーによる二刀流であり、戦闘スタイルはスターウォーズのコマリ・ヴォサそのもの。パリィが追い付かない機銃掃射のような連続攻撃や、宇宙戦艦用レールガンのような埒外の威力の一撃でもなければ、大半の銃弾はライトセーバーで弾き落とせる腕前。神秘の操作に関する実力も結構なレベルにあり、幹部格である七武生を除く青学生の中では上澄みに近い水準にいる。
銃はあくまでもサブウェポンであり、シグザウエルP365SASのカスタムタイプを愛用する……というか、剣を振り回す二刀流スタイルの関係上、大き過ぎる銃は邪魔なため、お手軽なハンドガンをセレクトした。
なお当人の次元物理学に関する理解度は微妙。基本的にフィールドワーク担当、という名のお飾り担当。
・青学製AI
やたらと水準の高い人格搭載型AI。
ガイア連合におけるシキガミの青学版。やたらと高い電子戦能力を持つ。
性格そのものは比較的温厚なのだが、美少女GTAなどと呼ばれるブルアカ世界のAIだけあり、カオ転世界の基準から見ても倫理観がかなり終わっていると評されてしまう。
・黒の章計画
血涙鬼・彼岸様『凡庸でありふれた転生者達の小話』より。
ガイア連合沖縄支部の前身にして支持基盤となった沖縄在住霊能名家達が協力しながら集めてきた、おそらくは大規模異界『銃火暴風怨嗟域』が成立して以来、太平洋戦争以後の過激派・穏健派問わないメシア教会が沖縄県内外でやらかした様々な悪事をまとめた証拠資料の数々。
沖縄が海外レベルの危険地帯と化した半終末期には沖縄県民がちょっと調べれば簡単にこれを閲覧できるくらいに事実が浸透させられている。
治安の悪さの割にグロとは縁遠いブルアカ世界出身者である青学生の皆さんに対しては、いささか刺激の強過ぎるゲロ製造機となった。
なお、実は回線の向こうで七武生の皆さんも同じタイミングでゲロっていた。
・青資秘密学園ラピュタ分校
次元ゲートを通じてゲート設置異界『ゲートルーム』に突入して捕虜になった青資秘密学園次元物理学研究部の面子が、ガイア連合・青資秘密学園双方の交渉の結果、青学側の幹部である七武生からの命令によって連絡役としてカオ転世界に居残るように指示された結果、用意された立場。
ラピュタ都市区画の一角に本部が置かれており、カオ転世界・ガイア連合側の異界技術や転移魔法、ロボ研宇宙部で開発されたフォールド航行システムなどをブルアカ世界側の世界で解析したりしては、その成果をラピュタ側と共有したりしている。
・梔子ユメ
本来は『ブルーアーカイブの世界』の住人であり原作キャラ。地下生活者の過去改変により原作時間軸では死んだ事になっているが、アビドス砂漠で行き倒れていたところを大量の砂と一緒に、ラピュタ支部での新規異次元ゲート開通実験で生成されたゲートに転がり込んで生き永らえた。
青学世界ではなく、普通のブルーアーカイブの世界の出身者であるが、現在はアビドス制服の上から青学仕様のジャケットを羽織り、今日も元気に青資秘密学園ラピュタ分校に通っている。
現在は砂漠に侵食されたアビドス地区を救うため、テラフォーミング用世界樹『水源の樹』に希望を見出し、水源の樹を購入するための金策や、水源の樹を育てるための農業スキルの研鑽、そして何よりレベル上げに励んでいる。
地下生活者による過去改変の影響でブルーアーカイブの世界では死んだ事になっており、ブルアカ世界には普通に死体が存在し、後輩がその遺体と対面している。
ここに“まだ生きている梔子ユメ”を投入すると改変された過去に矛盾が生じ、正しい過去に歴史が修正されて、犯人である地下生活者が反動により爆死するため、地下生活者には死の秒読みのタイムリミットが迫っている。