前走でいい成績を残したので次走もターフへの挑戦は継続となった。次は1ハロン延長しG2デルマーダービーに出走、初の重賞に挑戦することになった。
「4コーナーを回ってホークスター先頭だ!外からリバーマスター!大外ロードも追い込んでくるが、突き抜けたホークスター!3馬身4馬身差が広がる広がる!圧勝ゴールイン!二着は大きく離れてリバーマスター。芝重賞初挑戦も5馬身差快勝!格の違いを見せつけました!これでホークスターは2連勝!」
次はさらに距離を延長して10ハロン、G1セクレタリアトステークスだ。いよいよBCターフが視界に入る。
「最後の直線ホークスターが先頭だ!外からシェナンブランがくる!ホークスターかシェナンブランか並んだ並んだ!どちらも譲らずゴールイン!写真判定です!」
1番上に表示された数字は4。勝ったのは私だった。
「接戦をモノにしたのはホークスター!三連勝で12ハロンへ駒を進めます!」
トレーナーはここで勝てばBCターフの前哨戦、オークツリー招待ハンデに出走する事を公言していた。
「あ、オベイユアマスター先輩じゃん。今日はニコニコ笑ってウェーイってやらないんですか」
「去年のジャパンカップ見てくれたんだね。流石にあんなのは疲れるよ……君のことは調べさせてもらったよ。三冠は全て入着、ダートでの脚質は好位差。ターフでは前目の先行作、もしくは逃げ。ターフ12ハロンは初挑戦、全く予想できない。お手上げだよ」
「そうですね。そんなデータは役に立たない。結局相手のデータを知ったところで勝つのは自分のレースをしたウマ娘ですから。対策して崩れるくらいなら知らない方がマシです」
「ふぅん。なかなかこき下ろすじゃん?」
「三冠レースに出れば嫌でも分かりますよ。相手を知り尽くしても尚自らの走りを信じて貫いたものだけが勝っていきましたから」
「さあ始まりますオークツリー招待ハンデ。ここまで三連勝のホークスターが1番人気、ここで勝ってジャパンカップへ弾みをつけたいオベイユアマスターが4番人気です。
さあ各ウマ娘ゲートに入りました」
あと無駄に相手に威圧感を与えるのは良くないですよ。負けた時惨めですからね、センパイ
「スタートしました!ホークスターはいいスタート。内ウォーシャンが2番手ですがホークスター行った行った!早くも2バ身離して先頭に立ちます。3、4コーナー回って縦長の隊列で最初のホームストレッチ、ホークスターは7バ身程の差をつけて逃げていきます。これはかなり速いタイム」
まだまだ体力は残っている。このペースでも問題はない。
「向正面に入って先頭はホークスター!オベイユアマスターも2番手につけるが大きな差が開いている!ホークスター先頭!しかし脚はいっぱいか!減速して最後の直線!」
流石にキツくなってきた。が、ここから使える脚はある!
「ホークスター先頭だ!外からオベイユアマスターが来る!しかし差は縮まらない!ホークスターだ!ホークスターだ!圧勝ゴールイン!」
ガッツポーズ!12ハロンで勝てた!これでBCにいける!
「完敗だったよ。掲示板見てみな。」
「ワールドレコードが出ました!2:22.4!大記録が達成されました!」
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「素晴らしいレースだったよ。おめでとう」
「ありがとうトレーナー。芝に転向して大成功だよ。これでようやくBCターフに行けるね。」
「実はそのことなんだが…、ジャパンカップに招待されたんだ。」
ジャパンカップ。高い栄誉に加えシーズンに被らないという理由で欧州から強力なウマ娘が向かうレースのひとつだ。アメリカの芝と日本の芝が似ているためアメリカのウマ娘も好走しやすい。例えば去年のオベイユアマスター先輩だ。
「そうなんだ。どちらもたくさんのファンが見てくれる。悩むところだけど私は…」
私の心中は決まっていた。サンデーと並ぶにはジャパンカップとBCターフどちらが相応しいか。
「ジャパンカップに出るよ。日本勢にも欧州勢にも圧巻の姿を見せてやる」
「よし分かった。出すからには勝たないとな」
ジャパンカップは世界中の強力な芝ウマ娘が来る。決戦が楽しみだ。