静寂の日曜日   作:ふりーと

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Run for the Black-Eyed Susans


晨旦

The most wonderful last straight line in horse racing history

 

米国三冠は厳しいローテーションで知られるがその中でもケンタッキーダービーとプリークネスステークスは中一週しかない。誰もが疲れを隠せておらずライバル、イージーゴアですらその例外ではない。

 

「やあサンデー。なーんか脚悪そうだねぇ」

 

「身体を痛めてないホークスターがおかしいんだよ。それでも疲れた顔してるね」

 

「G1の緊張感はやっぱりね。特にダービーは2倍くらい体力使った気がする」

 

「お、サンデーじゃん。久しぶり」

 

「あ、イージゴアじゃん」

「ア.イ-ジ-ゴアサンコンニチハホ-クスタ-デス」

 

「今日は絶対勝つからよろしくな!」

 

「ああ良いレースにしような!勝つのは俺だけど」

 

「本馬場入場はじめまーす。皆さん並んでください!」

 

First callが再び喧ましく鳴り響けばいよいよアメリカ二冠目プリークネスステークスが始まる。ダービーのような場をつん裂く緊張感はない。しかし、スタンドからは重い緊張感が流れ込んでいる。疲れもあり重くのしかかる緊張感はダービーの頃と同等か或いはそれ以上に感じさせる。

 

「皆さんピムリコレース場にお越し頂きありがとうございます。各ウマ娘、アメリカ軍の合唱に乗せて入場します。曲はMaryland My Maryland」

 

The despot's heel is on thy shore,

Maryland My Maryland!

His torch is at thy temple door,

Maryland My Maryland!

Avenge the patriotic gore

That flecked the streets of Baltimore,

And be the battle queen of yore,

Maryland! My Maryland!

 

本馬場に入場した時、緊張感の正体を垣間見た気がした。俺が入場した時イージゴアに負けないくらいの大歓声が上がったのは素直に驚いた。今まで歓声に迎えられる事は無かったわけではない。しかしこの大舞台での歓声というのは他のレースの比ではないほど大きさであった。

「観客からしてみれば西海岸総大将か」

試しに腕を上げてみると大歓声が上がる。

 

「さあ各ウマ娘の紹介です。前走入着、このレースで久々のG1タイトルを1番ホークスター7番人気。前走敗退もう負けられない第三代ビックレッド2番イージーゴア1番人気です。8番人気最低人気から巻き返しを、3番パルヴァルジング。三冠戦線に参加、勢いそのままに冠を4番ロックポイント4番人気。前走は惜しくも入着、今走リベンジを図るのは5番ダンジル5番人気。6番魅せる逃げ脚ヒューストンは3番人気。そして我らが西海岸総大将!イージゴアを迎え撃つは7番サンデーサイレンス2番人気です。そして前走惜しくも入着を逃したノーザンヴォルフが6番人気です。どのウマ娘なら状態がいいですか?」

 

「やはりサンデーサイレンスとイージーゴアの仕上がりは万全ではないですが素晴らしいですね、この二頭は有力でしょうね。あとはヒューストンもパドックでは感じよく見せていますね」

 

「なるほどヒューストンあたりも強そうです。それではいよいよゲートインが始まります」

「さあ各ウマ娘ゲートに入っていきます」

 

ゲートに入ると微かにざわめきが聞こえる。応援している娘の名前が聞こえて来る。誰もが好きな娘を応援していることが感じられるゲート内は独特な雰囲気だった」

 

ジリリリリリリリリ

「スタートしました!」


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