艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 アンドロメダが艦これ世界に転移する直前の回想語りになります。


本編
プロローグ 漂流


 私は確かに火星沖で沈んだはず──

 

 

 

 西暦2202年、彗星に擬態した移動する極めて危険な──嘗て地球を滅亡寸前まで追いやったガミラス帝国よりも遥かに危険な──侵略国家、帝星ガトランティスが地球への侵攻を本格化。

 

 私こと前衛武装宇宙艦AAA-1アンドロメダは地球連邦防衛軍航宙艦隊総旗艦として山南修司令(けん)艦長の指揮の下、これに対処すべく波動砲を装備した最新鋭艦で編成された新艦隊──通称、波動砲艦隊──を率いて戦いに身を投じました。

 

 

 迫り来るガトランティスの大艦隊を迎え撃ち、数多の敵艦を撃破しましたが、肝心のガトランティス本隊を止めることは、ついぞ叶わず戦没致しました。

 

 

 ですが少なくとも『希望』は繋ぐことが出来ました。

 

 

 BBY-01 ヤマト、さん…。

 

 

 嘗て地球の危機を救った英雄の艦。

 

 色々と個性豊かな乗組員の方々に振り回されてはいますが、その実力と運は地球艦隊随一。

 

 常に凛々しく立ち振る舞い、自信を持った瞳で前を見据えるそのお姿に、私達地球艦隊の全艦が尊崇するお方。

 

 ですが、乗組員の方々に似たのか、実はヤンチャで向こう見ずな子供っぽくて可愛らしい一面があったりするお方。

 

 

 ──そして、私の母にして、私が最も愛するお方。

 

 

 一時はガトランティス本隊の彗星に飲み込まれて行方不明となり、撃沈されたものと思われて私は激しく動揺して取り乱し、私を庇って先立たせてしまった愛する妹のアポロノームだけでなくお母様、ヤマトさんまでもと深い悲しみに慟哭し、その後溢れんばかりの怒りと憎しみの怨嗟に身を焦がし、必ずや復讐を!血の復讐を!!と心に刻み戦いに挑みましたが、偶然、敵本隊内に点在する惑星の一つに不時着しているのを発見。

 

 ヤマトさんが生きていた!ああ、ヤマトさんが生きていてくれた!!と復讐一辺倒となっていた私の心は歓喜に満ち溢れました。

 

 ですが安堵したのも束の間。余程被害が深刻なのか、惑星から離脱しようとしているヤマトさんの動きはかなりぎこちないものでした。

 

 しかもあろうことかガトランティスはそんなヤマトさんにトドメを刺そうというのか、その惑星に大艦隊を集結させ、波動砲を凌駕すると言っても過言ではない大量破壊兵器を、今まさに撃とうとしていました!

 

 何とか離脱しようと必死に足掻いているヤマトさんの姿を見て、いてもたってもいられませんでした!

 

 僚艦として付き従った私の妹達、BBBのみんなは既に沈み、私自身も孤立状態でしたが、そんなことは関係なかった!

 

 助けを求める友軍艦がいる。それが愛するヤマトさんなら尚更!!

 

 幸いと言っては不謹慎ですが、最早単艦となった私だけでは当初の任務、敵本隊に痛撃を与えることは既に困難でした。

 

 ならば次への希望を繋げるために。「明日のために、今日の屈辱に堪える」とはヤマトさんの初代艦長沖田十三閣下の教え。

 

 山南艦長もヤマトさんの救出を即断してくださいました。

 

 

 その後は正に死闘。

 

 

 兎に角ヤマトさんの元まで辿り着くのに必死でその時の事はよく覚えておりません。

 

 

 ヤマトさんと私の間には未だに多数の敵艦が行く手を阻むかのように展開していました。

 

 それに私にはある一つの不安要素がありました。

 

 本来有人艦として運用することを前提とした設計により建造された私の艦体は、無人艦として設計から手を加えられて建造された末の妹達のBBBと違い、どうしても強度的に脆い箇所が幾つも有りました。

 

 先の土星で行われた一大決戦で受けた損傷の修理と平行して徹底的に行われた補強により、計算上では末妹達と同等の機動力を発揮出来るようになるはずでしたが、損傷によって生じた艦体内部の歪みは思いの外に酷く、修理や補強ではもうどうにもならず、全力での機動にリミッター(決して山南艦長のことではありませんっ!!)が設けられていました。

 

 その為私の劣るところを僚艦である妹達がカバーをすることとなっていました。

 

 ですが、私を支えてくれていた妹達は、もういません。

 

 かといって、このまま制限を掛けたまま敵艦隊に突入したとしたら、私はまず間違いなくヤマトさんの所ではなく、先に逝った妹達のいる所に辿り着くことになるでしょう。

 

 故に山南艦長はリスクを承知でリミッターを解除されました。

 

 

 そこからはもう無我夢中でした。

 

 周りは見渡す限り敵、敵、敵!私に装備された全兵装を出し惜しむ事無く、銃砲身の排熱が追い付かなくなる勢いで撃ちまくり、残弾関係無くミサイルや魚雷をばら蒔き散らしては敵を次々と火球へと変え、敵の間を縫う激しい機動の連続によって艦体が軋み、敵の攻撃が被弾してどれ程傷付き、限界まで出力を上げたエンジンが悲鳴を上げようともお構いなしに駆け抜けたとしか覚えておりません。

 

 愛するヤマトさんを助けたい!ただただその一心を、その思いだけを胸に抱いて。

 

 気づけばいつの間にかヤマトさんの妹である銀河さんも駆け付けてくれていました。

 

 正直あのお堅い銀河さんが来てくれたことに、失礼ながら大変驚かされましたが、嗚呼、この方もヤマトさんの姉妹なんだと実感しました。そして同時に安堵も致しました。

 

 

 ──私はもう、長くはなかったからです。

 

 

 戦闘により傷付いた艦体以上に、私の内部はぼろぼろでした。

 

 矢張私には全力機動は無理があったみたいです。

 

 ヤマトさんを助け出した後の事に一抹の不安がありましたが、銀河さんが来てくれたお陰で後顧の憂の一つが断てました。

 

 後は──山南艦長、ここで御別れです。

 

 

 少々強引ですが、破壊されてオープントップとなってしまっていた艦橋から退艦していただきました。

 

 私の艦内は戦闘によるダメージ等で通路もズタズタにされていましたし、手近な脱出装置も悉くが使用不能状態でした。

 

 まだ何とか機能していた慣性制御により、今私の頭上にいるヤマトさんに向けて打ち出す様に脱出していただきました。

 

 

 山南艦長が無事に脱出し終わるのを待っていたかのように、私のエンジンは暴走し始め、エネルギーの上昇が止まらなくなりました。

 

 

 もうすぐ私は、私の艦体から溢れた波動エネルギーの濁流に呑み込まれて此の世から消えて失くなる事でしょう──

 

 正直に言えば、叶うならば、山南艦長の指揮の下、もっと航海がしたかったです!ヤマトさんやまだ戦っている妹達に防衛軍艦の娘達、折角仲良くなったガミラス艦の娘達と共に艦列を列べて一緒に戦いたかったです!!

 

 我が儘だとはわかっています。先に逝った娘達や私の妹達もきっと、同じ気持ちだったでしょう。まだ沈みたくない!まだ逝きたくない!と。

 

 

 ですが、どんなに泣き叫ぼうが、もうどうにもなりません。

 

 

 戦列を離れる私を、どうかお許しください。後を頼みます。

 

 ヤマトさん。地球の事を、宜しくお願い致します。

 

 

 

 ──さようなら。

 

 

 

 

 また何時か──

 

 

 

 もしも、来世というものが、本当に、あるなら、その時は──

 

     ───────────

 

 

 前衛武装宇宙艦ZZZ-0001アンドロメダ改、火星沖にて爆沈。

 

 

 後世の歴史家達は語る。「この時山南艦長の決断とアンドロメダによる鬼神の如き獅子奮迅の活躍が無ければヤマトは失われ、地球は確実に滅亡していた」

 

 

     ───────────

 

 

 あの時、間違いなく私は沈んだはずでした。

 

 エンジンの暴走によって溢れた波動エネルギーの奔流に呑み込まれて世界が真っ白になったのをハッキリと覚えています。

 

 

 ですが気が付いたら私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でそれを囲むように配置された()()()()()()()()()()()()()()()()()で構成された装置?と共に何処かの惑星上と思われる海上で漂流するかの様に浮いていました。

 

 

 正直言って、訳がわからなくなり軽くパニックになりました。

 

 各々の船にはその船の魂と呼べる、人間でいう女性の姿に酷似した存在が必ず1人居ます。

 

 ですがそれは、いわば概念的存在であり、外的刺激を受けることはありません。

 

 しかし今の私は、その肌で潮風を感じる事が出来ますし、身体にかかる波飛沫の水の感触、潮の香りもしっかりと認識する事が出来ました。

 

 もう何がなんだかわからず、ただ呆然と海の上をただ漂い続けました。

 

 

 

「一体私は、どうしてしまったのでしょう…?」

 

 

 ふと呟いた私の疑問に、答えてくれる存在がいるわけではなく、ただただ途方に暮れるしかありませんでした…。

 

 

 

    ─────────────

 

 

 

 無限に広がる大宇宙。

 

 

 この無数にある星々の煌めきの中に、様々な生命の営みがある。

 

 

 

 『愛』

 

 

 『希望』

 

 

 『野心』

 

 

 『戦い』

 

 

 

 それら全てを飲み込んでなお、宇宙は果てしなく静寂にあり続ける。

 

 

 斯くも広大なればこそ、宇宙は時に、奇跡と呼ぶほかない偶然に我らを導きもする。

 

 

 

 これは、そんな奇跡が産み出したのかもしれない偶然の一つに導かれた、ある1隻の数奇な運命に翻弄された戦艦が、本来ならば交わるはずの無い世界での航海を綴った物語である。

 

 

 

 




アンドロメダの設定


 身長190cm近い長身。見た目はスレンダーだが、着痩せするタイプ。色白の肌に金髪。
 服装は防衛軍の艦長服。軍帽を被っている。

 普段は真面目だが、ヤマトに対して尊崇に近い感情と恋愛感情からか、ヤマトの話題ではいささか暴走気味である。

 嘗ての艦長である山南修一佐の影響か紅茶好き。ダージリンのセカンドフラッシュ(夏摘み)とオータムナル(秋摘み)をいずれ飲んでみたいと思っているが、今のところはOMCSの代用品で我慢している。

 なお酒類はあまり得意ではない。


艤装


 艦長席を模した座席を中心にして、縦に2分割したアンドロメダ艦首部分のパーツが挟み込む形状。

 左右両方に分割された1、2番砲塔バーベット部分にそれぞれ主砲を設置の計4基。

 座席後方にはエンジン部分のパーツが付く。

 上から見たら三胴艦に見える。はっきり言ってデカイ。

 艤装はそれぞれ分割展開が可能。

 OMCSを完備しているため、今のところ飢える心配は無い。


 以下、今後に関わる予定の台詞抜粋。


「丁重にお断り致します」

「はい。嘗ての貴方に対する意趣返しです」

「私という存在が、いずれ新たな戦争の火種となりえます」

「私はオーシア連邦国防海軍所属、情報収集艦アンドロメダです。暫くの間、この艦隊で御厄介になります」


「っ!失礼しました。自分は地球連邦北アメリカ州軍艦隊所属、アリゾナ級護衛戦艦アリゾナであります!防衛艦隊総旗艦殿!!」

「まさか、アンドロメダの姉貴かっ!?」 

 

深海棲艦のセリフを現在の片仮名表記のままか、平仮名表記にするかについて

  • 片仮名のまま
  • 平仮名で
  • どちらでも良い
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