艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 半ば思い付きで書いた土方司令の前日譚。


 次いでにとある特務隊の方々と隊長さん。


 それと若干未来のお話。

 艦娘複数登場。ただしセリフメイン。

 本編は今暫くお待ち下さい。


閑話6 親友との約束を守るために

「次の艦長は、君だ…。古代…」

 

 

 

 俺はあの時、自身の教え子でもある古代進にそう告げて事切れた。

 

 

 人類の存亡が掛かった戦闘の半ばであったあの時は、それが最善であると判断した。

 

 

 

 

 だが同時に後悔もしていた。

 

 

 

 古代(あいつ)は、他の誰よりも責任感が強い。

 

 

 いや、強すぎる。

 

 

 そして全てを自身の責任として抱え込もうとする。

 

 

 あいつは自身の強すぎる責任感の大きさによって、いつか潰れかねない。

 

 

 いや、確実に潰れかけている。

 

 

 

 あいつもそうだった!

 

 

 

 何故そこもあいつに似てしまったんだ!?

 

 

 あいつに、沖田と似なくていい所まで、古代(あいつ)は似てしまっていた!

 

 

 お前まで沖田の様に死ぬ気か!?森雪を遺して先に逝くつもりなのか!?

 

 

 そう何度古代()に言ってやろうと思ったことか…。

 

 

 沖田の純粋培養?巫山戯るな!!

 

 

 死んでなんになる!?

 

 

 俺は山南に言った────

 

 

 

 

「死んでとれる責任などないぞ、山南。

 

 生きろ。

 

 生きて恥をかけ。

 

 どんな屈辱に塗れても生き抜くんだ」

 

 

 

「人間は弱い。

 

 間違える。

 

 それがどうした。

 

 俺たちは、機械じゃない。

 

 機械は恥を知らない。

 

 恥をかくのも、間違えるのも、全部人間の特権なんだ!」

 

 

 

 あれは、山南だけに向けた言葉じゃない。古代、お前にも向けた言葉だったんだ!

 

 

 お前一人の命で、全てを抱え込もうとするな!!

 

 

 それは傲慢というものだぞ!!古代!!

 

 

 お前はもっと周りを見ろ!周りを頼れ!!

 

 

 

 全員で背負うと誓ったハズだろう!?

 

 

 

 沖田、もし()()()で会えたなら、一発殴らせろ!!

 

 

 それが古代にお前が教えそびれた事に対するケジメだ!!

 

 

 …だが、それに関しては、俺も同罪か。

 

 

 

 悔恨の内に俺はこの世を去った。

 

 

 

 

 

 そのハズだった────。

 

 

 

 

 …まさか本当に会えるとは思わなかったぞ。沖田。

 

 

 

 ここが高次元世界というものか?

 

 

 まあそれはどうでもいい。

 

 

 

 お前がそういう顔をして俺の前に現れたという事は、何か厄介事なのだろう?

 

 

 おいおい何年貴様と付き合ってきたと思っている?

 

 

 

 ほお、(ふね)の魂か…。まさかと思っていたが、本当だったとはな。真田の奴が知ったら───ん?ああ、気にするな。こっちのことだ。

 

 

 

 しかしある意味お前の子供の一人か…。

 

 

 

 それならば何故お前が行かない?聞く限りだと、かなり慕われているのだろう?

 

 

 

 成程。お前は()すぎた、()りすぎたという訳か…。

 

 

 となるとあまり聞きすぎない方が良さそうだな?

 

 

 

 だが一つだけ言わせてもらうぞ。

 

 

 

 お前は子供に対してもう少し向き合え!

 

 

 

 ここにいたのなら、知っているだろう!?見ていただろう!?古代進のことだ!!

 

 

 お前そっくりになりつつあるが、あいつはお前よりも責任感が強すぎる!

 

 

 それで潰れそうになっているんだぞ!

 

 

 この(むすめ)もいつか…、いや、よそう…。その為に俺に頼ったんだな…。

 

 

 

 死んだ後もお前の無理難題に悩まされるとはな。

 

 

 はは。俺達らしいな。

 

 

 

 サポート?まあ期待しないで待っていよう。

 

 

 

 …そうか。じゃあな。沖田。

 

 

 

 ん?いや、いいさ。俺もお前も、それは同罪だからな。

 

 

 

──────

 

 

 …そう考えていた時期が、俺にもあった。

 

 

 

 やっぱり一発殴っておくべきだったと今更ながら後悔している。

 

 

 

 いや、仕方無いとはいえ、ほとんど二つ返事に近い形で引き受けてしまった俺の落ち度ではあるのだが…。

 

 

 

 

 

 この世界は、想像以上に度し難いぞ沖田。

 

 

 

 

 

───────

 

 

 

 

 

「司令、先生さんから入電です」

 

 

 

 

「『アマノイワトヒラク』、です」

 

 

 

 

「(来たか…)」

 

 

 

「これで一先ず安心出来ますね。はい」

 

 

「そうですね。姉さん。私も漸く総旗艦との約束が果たせそうで安心しています」

 

 

「けどセンセー一人で行くことはなかったっぽい!」

 

 

「そうだよねぇ。私達の初陣にいっちばーん適していたと思ってたのに」

 

 

「いいとこ見せたかったけどね~」

 

 

「仕方ないよ。僕達まで動くと目立っちゃうからさ。ところで通信はそれだけかい?」

 

 

「あっ!ごめんなさい!まだあります!」

 

 

 

「『テンキセイロウナレドモコノノチクモリカラトコロニヨリコサメノカノウセイアリ』、です!」

 

 

 

「…最初は兎も角、後の言い回しが引っ掛かるね。姉さんはどう思う?」

 

 

「…難しいですね。はい。確かに先生は私達よりも旧世代の(ふね)の方ですが、それでも決して深海棲艦さん(彼女)達に遅れをとることはないでしょうから、総旗艦さんに何かあったのでしょう。しかし小雨ということはそこまで大きなトラブルでは無いととれます。司令はどう思いますか?」

 

 

「俺も同じ考えではあるが、本当にトラブルならばこんな迂遠な言い方はしないだろう。だがトラブルになる可能性がある。そういうことだろうな」

 

 

「では、万が一に備えて私達は待機していますね」

 

 

「あっ、姉さん、私はここに来ていない妹達に伝えますね」

 

 

──────

 

 

 複数の足音と扉が閉まる音。

 

 

 その後は何も聞こえて来ない。

 

 

 男はレシーバーを外した。

 

 

「(土方(腰巾着)め、何を企んでいる?)」

 

 

 周りにいる部下の男達が窺うかのような視線を送ってくる。

 

 

「…調査は続行だ。真志妻(女狐)の失脚に繋がるあらゆる情報がひつ…っ!?」

 

 

 男は最後まで喋ることが出来なかった。

 

 

 周りにいた男達と共に、突然床に倒れ伏せたからだ。

 

 

 男達はとある古びた建物の一室に詰めていた。

 

 

 そこへ三人の少女と一人の()()()の良いフルフェイスヘルメットを装着した男が踏み込んできた。

 

 

 その手には()()()()()()()()()()()()()()()()が握られていた。

 

 

「…ん。大丈夫…。みんな寝てる…」

 

 

 

 四人は即効性の催眠ガスで眠らされて倒れ伏せた男達を拘束する者と、室内の物を物色する者に別れた。

 

 

「しっかし人間ってのはほンとくだらねぇ諍いが好きだよなぁ」

 

 物色していた一人がそうぼやくと、拘束作業をしていた一人が噛み付く。

 

 

「てやんでい!土方の親父は政争嫌いじゃねぇか!そうだよな!()()!?」

 

 

 同じく拘束していた()()()の良い男に尋ねる。

 

 

「ああ。親父はそう言うのが嫌いだ」

 

 

 その()()()に似合わず手慣れた手つきで縛っていく。

 

 まさか()()()()で散々やらされた対人拘束技術がこんな形で活かされるとは思わなかった。

 

 

 当時は暴徒とはいえ、その殆どが民間人が相手だったために、そのストレスから親父に不満をぶちまけたが、人生どんな経験が役立つか分からないものだ。

 

 

「ン?通信?姉貴からか…。ああ大丈夫だ。予定通り終わったとこだ。そう心配すンな。隊長含めてみンな無事だよ」

 

 

 

「よし!忘れ物、残したら不味いものは無いな!?撤収する!」

 

 

 

──────

 

 

「どうやら上手くいった様でありますな」

 

 

「情報提供、感謝します」

 

 

「いえいえ。お互い持ちつ持たれつでありますよ!我々陸軍としましても()()()()の行いには心底ウンザリとしているのでありますから!」

 

 

「…前の大戦での第二次日露戦役と今回の戦役での南方作戦の恨みですか?」

 

 

「まあそんなところであります。『ヒトの命は地球よりも重い』とかぬかしておきながら、自身に投じられる紙切れ一枚と積み上げられた紙束の量次第で平気な顔して覆す様な連中に命を預けるなど、真っ平御免であります!おっと、今のは他言無用でお願いするであります」

 

 

「ご心配なく、鎮守府(ここ)は毎日()()しております」

 

 

「おや?ということはひょっとしたら自分が提供した情報も、実は既にご存知でありましたか?」

 

 

「いえ、今回ばかりはこちらも梃摺っておりましたから、大いに助かりました」

 

 

「まあそういうことにしておくであります。では、自分はこれにて失礼させていただくであります。()()()を良いように扱おうとするヤカラは、まだあちこちにいるでありますから。おちおちゆっくりしてはいられないであります」

 

 

────────

 

 

 

 沖田…、この世界の地球の人間は、俺達がいた世界の地球人よりも度し難い連中が多い…。

 

 

 なんだかんだ言われていた芹沢の奴だって、奴なりに地球と地球人の未来を真剣に考えていた。

 

 

 だが、この世界の、この国の連中は一体何なんだ…?

 

 

 責任ある者の無責任ぶりに、目を覆いたくなる毎日だよ…。

 

 

 

 だがな沖田、お前との約束の為にも、お前の(むすめ)をこの世界の無責任な連中共の玩具(おもちゃ)には決してさせん!!俺の目の黒い内は奴等の好き勝手にはさせん!!

 

 

 それが、俺達人間の都合で振り回してしまったアンドロメダ(恩人)に対する、俺が出来るせめてものケジメだ!!

 

 

 お前が俺のサポートとして送ってくれた心強い仲間達と共に、俺達はこの世界に抗ってみせるぞ!!

 

 

 俺達は、決して諦めたりはしない!!




 ある重大な事実に気付いてしまった…。艦娘の喋り方とか十分に把握していなかった事に!!やっちまったぜ!!




 今回普通の艦娘一人しか出てきてねぇ…。因みにその一人以外全員、共通点として南部十四年式にどことなく似た拳銃を基本装備の一つとして標準装備しています。小松島鎮守府は、ある意味魔境です。



 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。
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