艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 護衛


 今年最後の投稿になると思います。


 今回基本的に某MMD『護衛戦艦アリゾナの最期』をベースに、かなりの独自解釈や独自設定を盛りに盛っています。

 注意)筆者は護衛戦艦アリゾナを貶める気は毛頭ありません。寧ろ(ふね)のデザインとしては五指に入るお気に入り。アメリカは知らん。


 


閑話11 Escort

 

 

 

 やぁみんな。初めましての方は初めまして。

 

 僕の名は『Arizona(アリゾナ)』。

 

 

 『Arizona(アリゾナ)(Class )護衛(Escort )戦艦(Battle ship)一番艦(Name ship)さ。

 

 

 地球連邦北アメリカ州アメリカ合衆国(United States of America)Virginia(ヴァージニア)州、Newporto News(ニューポートニューズ)にある民間宇宙船ドックの建造さ(生ま)れだよ。

 

 

 アメリカの民間造船所が設計から建造までを手掛けた次世代型主力戦艦の嚆矢と成り得る最新鋭宇宙戦艦という事で、生まれ故郷(States)だけでなく地球各国では結構話題になってたみたいだよ。

 

 

 ま、そんなことは僕にとってはどうでもいいことなんだけどネ。

 

 

 僕は美しくて可愛いものが好きだ。大好きだ。

 

 

 これからどんな美しいものに出会えるのだろうかと考えるだけで、僕の心は期待に高鳴りこの世に生まれた事への感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

 

 だけど敢えて文句を言わせてもらえるなら、僕って一応categoryは“護衛”戦艦なんだよね?

 

 なのになんで艦隊決戦型主力戦艦『Majestic(マジェスティック)(クラス)を超える重武装を施したり、最新の波動エンジンやら機材やらなにやらをこれでもかと詰め込むだけ詰め込むかなぁ?

 

 下手に技術的冒険にChallengeするよりも、確実性の高い事前の実績が十分な技術をmainに、堅実で手堅い設計で纏めるべきだったんじゃないだろうか?

 

 それと一応、僕は大型戦闘艦を建造出来無い海外の中小国にも売り出し(sales)するって聞いてたんだけど、これじゃあ購入costだけでなく運用costも高くなり過ぎてどこも(誰も)買ってくれないよ?

 

 僕の可愛くて大好きな妹、Pennsylvania(ペンシルバニア)は天使みたいで本当に可愛くて可愛くて堪らないし、Pennsylvania(ペンシルバニア)も僕のことを天使の様な美しくて綺麗な声で「ねーさま!ねーさま!」と呼んでくれて、とっても懐いてくれてもう可愛くて可愛くて仕方無くて凄く幸せだけど、可愛い妹はいくらいてもかまわないよ?

 

 

 だから、ね…?もっと妹を増やして欲しいなぁ…。

 

 

 うん…。だけど、なんとなく、そう、なんとなくだけどね、嫌な予感はしてたよ…。

 

 

 幾つかの国や地域が興味を示してくれたりはしたけど、やっぱりcostが高過ぎるからって、結局どこも(誰も)購入すると手を上げてくれなかった…。

 

 

 ていうか建造した当のアメリカ(States)ですら、維持管理に必要なcostと、最新の波動エンジンや機材のdelicateさから来るtravelやmaintenanceの複雑さから持て余してしまって、僕と僕の可愛い『Pennsylvania(ペンシルバニア)』の建造終了をもって後はcancelって…。

 

 酷いよ…。

 

 僕はもっともっと沢山の可愛い妹達に囲まれながら、1人1人を大切に愛でながら可愛がりたかったのに…。

 

 

 けどまぁ、仕方無いかな?

 

 

 僕は“あの”『ヤマト』さんを意識して、いや対抗して造られたみたいだから。

 

 

 宇宙戦艦『ヤマト』

 

 

 もはや生きる伝説(legend)という言葉がこれほどまでキレイに当て嵌まるのかと、感嘆の声が思わず漏れ出してしまう程の、強さと美しさを見事な黄金比で備えた完璧な、神話の世界における女神の如き美しさを極めた存在…。

 

 あの曲線美の極みと言っても差し支えのない艶めかしいあの艦体(Body)…。

 

 ふふ…っ。彼女こそ正にこの世に舞い降りた戦女神(Valkyrie)の化身さ…。

 

 

 あの完璧さにはとてもじゃ無いが誰も敵わないと率直に思ったね。

 

 

 かの『Andromeda』(クラス)の様な武神かの如き、あの無骨な迄の直線美も悪くは無いんだけど、僕はやっぱりヤマトさんが好みだね。

 

 

 

 彼女の美しさの前では全てが霞んで見えてしまう。

 

 

 …悔しいけど、僕のPennsylvania(ペンシルバニア)もヤマトさんの美しさだけには敵いそうにない。

 

 

 本当にヤマトさんは別次元の、敢えて言わせてもらうと神のおわす世界からこの世界へとご降臨なされた存在だとしか思えない。

 

 

 

 だからこそ、祖国(States)はヤマトさんに、そして彼女を生み出した日本(Japan)に嫉妬したんだろうね。

 

 

 自分達でも造れるんだ!って。

 

 

 馬鹿馬鹿しい。

 

 

 たかが人間如きに神の領域におわすヤマトさんに匹敵するモノを造り出そうなんて、不敬不遜なこと甚だしいね。

 

 身の程知らずにも程がある。

 

 

 でもヤマトさんを参考にするというのならば、あながち間違いではなかった部分は幾つもある。

 

 嘗て地球脱出船として造られていたという経緯から、ヤマトさんの長距離航行能力と居住性の高さは、一部から「完全武装の客船」という嫉妬と羨望の入り混じった揶揄が言われるほどに、他の地球戦艦とは比較にならないほど充実している。

 

 

 護衛戦艦という性質上、通常の戦艦よりも長期間の航行任務に就く事になる。

 

 

 船団護衛、航路警戒に警備活動などなど。

 

 

 襲い掛かってくる敵対勢力を撃退するために、ある程度の強力な武器は必要かもしれないけど、僕らの本質は“矛”というよりも“盾”としての役割りが大きい。

 

 

 けどヤマトさんを意識し過ぎる余り、全てを超えなければならないとの強迫観念に囚われてしまい、その結果が、本来の“目的”である護衛戦艦からかけ離れた、『ヤマト』を超える戦艦を造るんだ!という“手段”にすり代わって、実質決戦型戦艦とも言える重武装で運用に手間暇のかかるpeaky(ピーキー)な戦艦となってしまったのだろう。

 

 

 

 美しい姿を維持するには、想像を絶する苦労が隠れていると言われているそうだけど、成る程言い得て妙だね。

 

 

 

 そもそもヤマトさんにはガミラス戦役でイスカンダルまで行って帰って来るという、往復29万6000光年の大航海を成し遂げた、今の地球で「Eclipse first, the rest nowhere(唯一抜きん出て並ぶ者なし)」という言葉がこれ程までに相応しい者は他にいないと言い切れるほどの玄人(veteran)が集まっている。

 

 

 対して僕らはというと、彼らの足元にも及ばない。

 

 

 いや、これは言い過ぎかな?

 

 

 今までの戦争でいっぱい人間が死に過ぎた影響が大きい。

 

 だからこそ今必要なのは経験豊富な玄人(veteran)向けの(ふね)では無く、新兵(rookie)でも扱いやすいsimpleな(ふね)のハズだ。

 

 

 思えば僕と同世代のヨーロッパ州イギリス(United kingdom)フランス(France)が共同研究して各自で建造した『Prince of Wales(プリンス・オブ・ウェールズ)(クラス)と『Richelieu(リシュリュー)(クラス)は、正にそういったcomceptで建造されていた。

 

 

 この2隻は太陽系内での活動を念頭に置いて建造された既存の小型護衛艦であるFrigate(フリゲート)艦の運用実績等を徹底的に分析し、戦艦クラスとして拡大(develop)する形で設計建造されたと聞いている。

 

 

 彼女達を見ていると「護衛艦とは斯くあるべし」というモノを体現していると思ったね。

 

 

 simpleだからこそ手堅く堅実に纏め、必要の無い物を出来るだけ削ぎ落としたからこそ、無駄が無い。

 

 

 

 それに見た目はsimpleだけど、僕は彼女達のstyleに“騎士(Knight)”の様な風格を感じ取ることが出来たね。

 

 そしてPrince of Wales(プリンス・オブ・ウェールズ)には高貴さを、Richelieu(リシュリュー)には優雅さを兼ね備えているという雰囲気を持っていた。

 

 

 祖国(States)はこの2隻を火力もそこそこで面白味が無いのが特徴って言ってるけど、君達は一体どこを見ているんだい?

 

 

 

 彼女達は本当に美しい…。まるでGreece(ギリシャ)彫刻の様な美しさだ…。いつまでも眺めていられる…。

 

 

 あっ、勿論僕の可愛いPennsylvania(ペンシルバニア)の方が断然上だけどね。それは、それだけは絶対に譲れないよ!

 

 

 

 僕は彼女達にsimpleで扱いやすい故の美しさ、“機能美”を見出だした。

 

 

 

 この時期建造されていた護衛戦艦にはそれぞれ独特な“個性”が見て取れた。

 

 

 ドイツ(Germany)の護衛戦艦『Bismarck(ビスマルク)(クラス)の重厚さはかつての重騎兵を思わせた。いや、彼らの場合は重戦車だろうか?

 

 

 彼女はその優れた装甲を活かして文字通り護衛対象の“盾”となるべく造られていた。

 

 

 彼女からは何があっても護衛対象を守り切るという強い信念という力強い意志を感じたね。

 

 

 

 独創的なのがユーラシア州ソビエト(Soviet)連邦の『Novik(ノーウィック)(クラス)だ。

 

 彼女は謂わば巡洋戦艦とも言え、その機動力は他の護衛戦艦の追随を許さない程のものであり、“コサック騎兵”との異名を持っていた。

 

 だけど何よりも彼女の特徴なのが、必要に応じて外装式option unitを両舷に取り付ける方式を採用しているんだ。

 

 例えば彼女は波動砲が標準装備されていないけど、必要なら波動砲艦unitを接続して対応するし、missile container unitを装備してMissile戦艦(Battleship)着替える(変化)することが出来る。

 

 そのお陰でoption unitの選択次第では全護衛戦艦の中で最も購入単価が安いながらも、必要十分な性能を有していた。

 

 それでいて驚きなのが、流石はソビエト(Soviet)の伝統と言うべきか、『Prince of Wales(プリンス・オブ・ウェールズ)(クラス)や『Richelieu(リシュリュー)(クラス)以上にsimpleで使いやすいと言うんだよ。

 

 僕もビックリしたよ。

 

 でもこれが意外と“アタリ”だったみたいでね、技術力が低かったり経済的な問題で資金調達に難がある国々を中心に人気が出たよ。

 

 

 因みに余裕のある国々が『Prince of Wales(プリンス・オブ・ウェールズ)(クラス)や『Richelieu(リシュリュー)(クラス)を買ったよ。

 

 まぁ、『Bismarck(ビスマルク)(クラス)は売れなかったわけでは無いけど、彼女をsize downさせた護衛巡洋艦『Prinz Eugen(プリンツ・オイゲン)(クラス)の方が人気だったね。

 

 

 

 

 僕?

 

 

 

 さっきも言ったけど、全然売れなかったよ。

 

 

 あまりにも高級品に過ぎたんだ…。

 

 

 え?そっちじゃ無い?

 

 

 ああ!ごめんごめん!特徴の方だね?

 

 

 そうだね…。特徴というよりは特技になるけど、“早撃ち(Quick shot)”…、かな?

 

 

 かつての西部開拓時代の無法者(Outlaw)保安官(Sheriff)みたいな…、ね。

 

 

 

───────

 

 

 

 僕にとっての幸せな時間は、終わりを告げられた。

 

 

 

 

 ガミラス、彗星帝国(ガトランティス)暗黒星団帝国(デザリアム)と続いて今度は太陽の核融合が突然異常増進を起こして、地球がまたもや危機的状況なんだけど、今度ばかしはどうにもなりそうにないからと、人類の生存の為に何処か別の星に移住するって事になった。

 

 で、その為に我らが地球連邦政府は探査船団を編成し、居住可能な地球型新惑星を探しに行かせようとしたのだけど、どうも銀河系では今現在大きな戦乱が巻き起こっている真っ最中みたいで、先に出発したヤマトさんが何度か戦闘状態に入ったという報告があった。

 

 

 これに懸念を抱いた連邦政府は探査船団に護衛艦隊を付ける決定を下したのだけど、肝心の外洋作戦能力を持つ地球連邦軍、つまり地球防衛軍の艦隊は打ち続く戦乱の影響でボロボロであり、太陽系防衛の(かなめ)である外周艦隊や内惑星艦隊といった主力艦隊ですらまだ完全には回復し切れてなく、太陽系外の外洋を長期間航行出来る(ふね)も建造に時間が掛かるという事もあって不足していた。

 

 

 そこで再建途中である今の地球防衛軍だけじゃとても手が足りないからと、連邦政府は地球連邦加盟国全てに対して、新天地探査の協力と各国が保有する外洋航行可能な護衛戦艦を中心とした護衛艦隊の派遣を要請して来た。

 

 

 “連邦”と名乗っている通り、地球連邦は地球にある複数の国家や地域が寄り集まって出来ている。

 

 そのため各州や地域には“州軍”や“治安軍”などの名称で呼称されている独自の軍事組織がある。

 

 無論それらは有事に際しては上位組織である地球防衛軍の指揮系統に組み込まれるんだけど、法的に各州政府の優越が認められているから、基本的には連邦政府からの要請に各州政府が可能な範囲で応じる形となる。

 

 今回の要請に真っ先に応えたのが僕の祖国が属する北アメリカ州さ。

 

 ガミラス戦役から此の方、全く良いところが無かった祖国(States)は、勇躍して参加を表明。

 

 俗な言い方だけど、もうじき北アメリカ州代表選挙が近かったのも、無関係じゃ無かっただろうね。

 

 なにせ僕の建造には今の北米代表がかなりの熱を入れていたみたいだけど、それが大きな暗礁に乗り上げた事に大いに焦っていたらしいから。

 

 ここで大きな功績を立てることが出来たのならば次の代表選挙は安泰だろうし、あわよくば次期連邦大統領の椅子も狙ってたんじゃないかな?

 

 

 でもね、そういうのをAsiaじゃ「取らぬ狸の皮算用」って言うんだよ。

 

 

 だけどそんなことよりも、僕は大きく落胆し、失望する事態を突き付けられた。

 

 

 何故なら───────

 

 

 本来僕と一緒に出撃するはずだった僕の可愛い『Pennsylvania(ペンシルバニア)』が急遽出撃取り止めとなってしまったんだ。

 

 

 一応の理由として、『Pennsylvania(ペンシルバニア)』乗員の練度不足から、外洋での作戦行動に不安があるためと(おおやけ)には説明された。

 

 

 確かに僕達は各国の護衛戦艦と比べたら、完成までに時間が掛かり、就役も遅かったし訓練の期間も短い。

 

 

 だけど僕は、本当の理由を知っている。

 

 

 僕の可愛いPennsylvania(ペンシルバニア)が、大粒の涙を流しながら、泣きながら喋ってくれた。

 

 

 州政府の連中、万が一の時は自分達だけでも地球を脱出出来るようにと、脱出船として強力な(ふね)を手元に残しておきたかったのだと。

 

 

 

 僕は怒りに震えた。

 

 

 自分勝手な人間達に腹が立った。

 

 

 だけどそれよりも、僕の可愛いPennsylvania(ペンシルバニア)がそんなくだらない企みに利用されるという事に、そしてそのせいで僕の可愛いPennsylvania(ペンシルバニア)の心が深く傷付き、僕を1人で行かせる事への罪悪感と悲しみ、そしてそれをどうすることも出来無い自身への憤り、それら複雑な感情が溢れて爆発し、涙という形で溢れ出てきた。泣かせた!泣かせたのだ!涙を流させたのだ!!僕はその事の方が、許せないっ!!

 

 

 僕の可愛い自慢の妹、Pennsylvania(ペンシルバニア)の優しい心を踏み躙って泣かせた連中に(ハラワタ)が煮えくり返るっ!

 

 

 ソンナニンゲンドモヲスクウカチナンテアルノダロウカ?

 

 

 そんな僕達を他所に、他国の護衛戦艦よりも高性能だからという理由だけで、他の探査船団には2隻以上の護衛艦が付いているのに、心配になった地球防衛軍が無理して頑張って工面し抽出してくれた、防衛軍でも貴重なハズの外洋航行可能な巡洋艦を派遣してくれるという打診すら、州政府は自身のメンツから断って、僕はたった1隻で探査船『Pontus(ポントス)』、『Neleus(ネレウス)』、『Oceanus(オケアノス)』他支援船数隻と共に地球を出発した。

 

 

 同時期に出発した他国の護衛戦艦や防衛軍艦隊から不安と激励の混じった言葉を投げ掛けられながら。

 

 

 …僕の可愛いpennsylvania(ペンシルバニア)が、最後に頑張って微笑んで送り出してくれたのが、妙に印象深く頭に残った。

 

 

 

 

 そしてこれが、僕の可愛いpennsylvania(ペンシルバニア)との、今生の別れとなった…。

 

 

 

 

 州政府がメンツを優先して防衛軍からの巡洋艦派遣を断った事が、僕の明暗を分けていた…。

 

 

 

 

 

 

───────

 

 

 

「ボラー連邦艦隊、依然こちらからの呼び掛けに応じません!!」

 

 

 だろうねぇ、あちらさん明らかにやる気満々だし。

 

 

「総数250以上!散開しつつ急速接近中!」

 

 

 わぁ、すごい数だねぇ。これで数多いるボラー連邦艦隊のほんの一個艦隊程度の戦力に過ぎないって言うんだから、()の国との圧倒的国力差をまざまざと見せ付けられた気分だよ。

 

 

「Fuck!ジャップの若造共が英雄(Hero)気取りやがったせいで!!」

 

 

 …それ、僕らが言えたことかい?

 

 

 確かに日本(JAPAN)の『ヤマト』クルーが銀河系の超大国、ボラー連邦の首相に対して公然と内政干渉ともとれる言動をしたのは事実だけどさ。

 

 

 まぁ、これは“ツケ”なんだろうね。

 

 

 今まで好き勝手に他国の政治を引っ掻き回してきた祖国(States)の行ないに対する罪過の償いが、巡りめぐって僕達に降り掛かってきた。

 

 ただそれだけのことさ。

 

 

 だから僕はヤマトさんの人達を責めないよ。

 

 

 

 

 

 だけど僕は護衛艦だ。

 

 

 守るモノが有る以上は、僕は戦うよ。

 

 

 …だからさっきからヤマトさん達のこと罵ってないで、とっととどうするかの指示をくれないかなぁ?

 

 というかせめて戦闘配置の命令くらいは出しなよ?

 

 

 ウ~ン、ここに来て経験不足、訓練不足のツケも来ちゃったか…。

 

 

 逃げるか、戦うかを早く決めてくれないと、ってあ~あ、緊急warpを行なうのに必要な安全marginまで踏み込まれちゃったよ。

 

 

 これはマズイね。

 

 

 僕らの現在位置は“スカラゲック海峡星団”って宙域にいる。

 

 ここには探査目標の一つである『ベータ星』が存在するんだけど、この星団って至る所に大小様々な暗礁宙域(Asteroid belt)が広がっていて、安全に航行出来る所が結構限られている。

 

 『海峡』という名称はここから来ている。

 

 

 厄介なのはAsteroidが邪魔して()()電波が通り難い。

 

 だからこそ今までの探査みたいに長距離からの探査船によるscanningで目標の星を調査するという手法が使えず、直接赴く事になったのだけど、思えばここ程“待ち伏せ”に最適な場所は無い。

 

 

 実際にボラー連邦の艦隊はAsteroidの影に潜んでいたから、Radar探知が出来ずに気付くのに遅れた。

 

 

 気付いたときはかなりの至近距離に近付かれたtimingだった。

 

 

 そしてもとから僕達を逃がす気は無かったからか、その進路方向に突然現われ急速に距離を詰めながら、確実に仕留める為に半包囲陣形へとshiftしてきたよ。

 

 

 今から進路変更してもAsteroidが邪魔して動きが制限されるし、少ない逃走rootを塞ぐ形でボラー艦隊は動いている。

 

 180°回頭しようものなら一気呵成に襲い掛かって来るねこれは。

 

 

 参ったねぇ~、明らかに僕達がトーシローだと気付かれちゃってるっぽいね。

 

 

 ん?

 

 

 けど妙だな…。

 

 

 航行可能な宙域一杯に広がっているというのもあるのかもしれないけど、よく見たら陣形の奥行きの層が妙に薄過ぎるし、(ふね)同士の間隔も心なしか広い。

 

 

 …もしかして波動砲を警戒している?

 

 

 考えられるのは、ヤマトさんがかつてのガミラス帝国の後継国、ガルマン・ガミラス帝国本星に“あの”デスラー総統からの招きで立ち寄った時に、丁度ボラー連邦からのwarp Missileによる空襲に遭遇して、ヤマトさんもその迎撃に参加した際に、warpしてきた惑星破壊missileを撃破するために波動砲を放ったらしいのだけど、それを近くの宙域に潜んでいたボラーの着弾観測船か何かに見られていたかな?

 

 

 それで地球艦の艦首には大出力の大砲が装備されていると気付かれちゃったかな?

 

 

 そしてそのchargedに掛かるtimeも掴まれちゃったかな?

 

 

 

 

 でも、甘いね。

 

 

 地球にはヤマトさんの“収束”型波動砲以外も有るんだよ。

 

 

 それに、僕の波動砲は新たに開発された“最新鋭波動砲”なのさ。

 

 

 

「敵艦隊中央本隊を食い破る!“拡大”波動砲、発射用意!!」

 

 

 司令も漸く腹を括ったみたいだ。

 

 

「船団は波動砲が開けた“回廊”を通って安全圏まで緊急warpを行なえ!」

 

 

 うん。僕もそれしか無いと思う。だけど…。

 

 

「本艦は全船warpが完了するまで“しんがり”を務める!」

 

 

 司令、君には申し訳ないけど、僕は祖国(States)を恨むよ。

 

 

 司令は副司令の乗る『Pontus(ポントス)』にのみ機密通信を送った。

 

 

「後を頼む」と。

 

 

 護衛艦としては悔しいけど、後は彼らの幸運と、異変を察知した地球本国が動いてくれる事を祈るしかない…。

 

 

 司令は副司令が呼び出すcoleを無視すると、突撃を命令した。

 

 

 …僕にはそのcoleが悲痛な叫びに聞こえた。

 

 

 ごめん、副司令。僕達には君達の血路を切り開き、幸運を祈ることしか出来無い。

 

 

 

 この時の僕は、泣いていたと思う。

 

 

 

 船団の船は1隻でも多く逃し、敵は1隻でも多く足止めしなくては!

 

 

 僕は単艦で敵艦隊へと殴り込んだ。

 

 

 ボラー艦隊には自暴自棄による破れかぶれの突撃に映っただろう。

 

 

 だけど、それは甘い認識だよ…!

 

 

 僕の特技は、“早撃ち(Quick shot)”なんだ…っ!!

 

 

───────

 

 

 この時『Arizona(アリゾナ)』と相対したボラー連邦軍艦隊は第12打撃艦隊と呼ばれる一個正規艦隊であった。

 

 

 この艦隊は本来、何度も自分達ボラー連邦の邪魔をする地球という惑星国家に属する宇宙戦艦、『ヤマト』の捕捉撃破を目的としていた。

 

 

 『ヤマト』の今までの航路から、このスカラゲック海峡星団に来ると予想したボラー連邦軍は今までの戦闘データからここに一個打撃艦隊を送り込んで待ち伏せる事を決定した。

 

 

 だが当の『ヤマト』は様々なトラブルやらなにやらの影響でスケジュールに狂いが生じていた。

 

 

 その為地球は『ヤマト』の探査範囲の隣を進んでおり、尚且つスカラゲック海峡星団とも近い北アメリカ州の探査船団に『ヤマト』の代わりにベータ星の探査を依頼していた。

 

 

 日本に、そしてなによりも『ヤマト』に対して並々ならぬ対抗心を燃やしていた北アメリカ州はこれを快諾。

 

 

 それがこの探査船団を地獄へと突き落とす決定となったとも気付かずに…。

 

 

 そして探査船団はボラー連邦軍第12打撃艦隊に捕捉された。

 

 

 当初彼らはこの船団が目標の『ヤマト』で無い事から、やり過ごすつもりでいた。

 

 

 だがあろうことか、その船団が艦隊の潜むポイントに向けて進路を変更し、真っ直ぐ接近してきたのだ。

 

 

 見付かったかっ!?

 

 

 艦隊司令は一瞬そう焦ったが、ここであるミスに気付いた。

 

 

 自分達は目標の予想針路からここで待ち伏せていた。

 

 

 だがその予想が間違っていたのだ!

 

 

 この船団の護衛艦、よく見るとそのシルエットは目標である『ヤマト』とやらと似ていなくもない! 

 

 

 クソッ!作戦室や司令本部の奴ら、中央でふんぞり返っているだけでマトモな分析一つ出来ないのか!?

 

 

 マズい!このままだと目標に逃げられてしまう!

 

 

 そうなると任務失敗として、私は処断されてしまう!

 

 

 

 無論これは彼の早とちりだし、それに地球側の内情など知る由もなかった。

 

 

 だが焦る彼はここでこの接近する地球船団を艦隊の全力でもって瞬時に葬り去り、本来の目標である『ヤマト』捜索のために今いるスカラゲック海峡星団から離れる決断を下した。

 

 

 この時ボラー本星と通信しなかった事が、後に彼の明暗を分けたと言われているが、それは言い過ぎであろう。

 

 スカラゲック海峡星団のアステロイドは彼らと本星との通信も阻害していた。

 

 

 そして彼らは勇躍し、この哀れな地球船団に襲い掛かった。

 

 

 

 小癪なことに護衛とおぼしき戦艦が1隻、無謀にも自分のいる中央艦隊へと突っ込んできた。

 

 

 先ずはこの小生意気な戦艦を血祭りに上げてやろう。

 

 

 艦隊司令はそう思って早速砲撃指示を出そうとした時、その地球戦艦の艦首が光り、直後、自身と共に中央艦隊が光の濁流に飲み込まれて()()した。

 

 

 

───────

 

 

 

 ハハッ!ザマァ見ろ!!

 

 

 僕の波動砲、拡大波動砲は今までの弱点であるcharge時間を大幅に短縮し、6秒で撃てる!

 

 

 しかも拡散波動砲と同じ広範囲を包み込む!

 

 

 ハハッ!

 

 

 これが僕の特技、“早撃ち(Quick shot)”さ!!

 

 

 

───────

 

 

 この直後に探査船団は敵中央艦隊が消滅したことによって出来た“回廊”に向けて次々とワープを開始した。

 

 だが北アメリカ船団の幸運もここまでだった。

 

 

 左右に展開していたボラー連邦の残存艦隊が瞬く間に指揮系統を立て直すと、北アメリカ船団へと襲い掛かった。

 

 

 ワープに入り損ねた1隻が撃破され、波動砲発射でエネルギーが不足して動きが鈍った『Arizona(アリゾナ)』にも四方八方から砲火が浴びせ掛けられた。

 

 

───────

 

 

 やらせはしないっ!やらせはしないよっ!!

 

 

 1隻でも多く!

 

 

 みんな、早く逃げてっ!

 

 

 僕の事はいいからっ!!

 

 

───────

 

 

 この時の『Arizona(アリゾナ)』にはある“問題”を抱えていた。

 

 

 

 新開発された拡大波動砲は、確かにチャージは早いが、消耗エネルギーの回復に必要な時間の解決には失敗していた。

 

 いや、一応の解決の目処は立っていたのだが、そのシステムが『Arizona(アリゾナ)』一番のデリケートな代物であり、航海中もメンテナンスを怠らなかったのだが、長期の航海の影響からか、途中で故障してしまっていた。

 

 

 その為、波動砲発射後にワープが最初から出来なかった。

 

 だからこそ、司令は「後は頼む」と残したのだ。

 

 

 後を追えないから、丸裸になってしまう船団にボラー艦隊の追撃が及ばないようにと、自らを犠牲にする覚悟で。

 

 

 

 そして『Arizona(アリゾナ)』は戦った。戦った。

 

 

 戦い抜いた。

 

 

 自身の全武装を全力で振り回しながら、どれ程の深手を負おうとも。

 

 

 

 だが、彼女の奮闘を嘲笑うかのように、1隻、また1隻と、ワープが間に合わなかった船団の船が沈められて逝った…。

 

 

 

 

 

 そして、遂に彼女にも最期の時が訪れた─────。

 

 

 

 

───────

 

 

 艦首波動砲口、大破。

 

 

 主砲はほぼ全門損傷、副砲は健在。

 

 

 missileなどの残弾は…、ハハッ、もう残ってないや。

 

 

 エンジンも、出力低下で回復の見込み無し…か。

 

 まぁ途中から結構不安定になっていたからね…。

 

 

 もうあちこち穴だらけで数えるのも面倒だ…。

 

 

 …結局、逃げることができたのは副司令の『Pontus(ポントス)』と他の探査船に支援船の4隻、つまり半分だけか。

 

 

 ごめんね、みんな…。僕が不甲斐無いばかりに…。

 

 

 やっぱりもう1隻、巡洋艦でもいい。味方がいてくれたなら…。

 

 

 …いや、よそう。

 

 

 降伏は…、駄目みたいだね。

 

 

 少しばかり暴れ過ぎたみたいだ。

 

 

 ごめんね、僕の可愛いPennsylvania(ペンシルバニア)…。

 

 

 僕は……、先に逝くよ…。

 

 

 君は、僕にとって…、自慢の……、大切なたからものだったよ…。

 

 

 (ねが)わくば…、君が“こっち”に来るのが、出来るだけ遠い未来であることを……。

 

 流石にそれはワガママだね……。

 

 

 

 ヤマトさん…、地球と僕の妹を、よろしくお願いします……。

 

 

 

───────

 

 

「やれやれ、やっと沈んだか…。全く、なんて恐ろしいヤツだったんだ…」

 

 

 爆沈する地球の戦艦を、1隻のボラー戦艦の艦橋から見詰めていた男がそう呟いた。

 

 

 この戦艦1隻の為に、自分達が所属する第12打撃艦隊はその半数近い艦艇を失った。

 

 

 つまり我が艦隊は、ほぼ壊滅だ。

 

 

 油断していなかったかと言えば、嘘になる。

 

 たった1隻で何が出来ると(タカ)を括っていた。

 

 

 だが、その考えは甘かった。

 

 

 ヤツは、とんでも無い“バケモノ”だった。

 

 

 真っ先に艦隊司令が中央に布陣していた艦隊共々消滅し、副司令もヤツの砲火で蒸発し、次席指揮官も次から次へと殺られ、気付けば私が臨時の司令となっていた。

 

 

 だがその頃になると、敵艦の動きもかなり鈍くなってきており、無理攻めを止めさせてある程度の距離を取りながらの攻撃を徹底させた。

 

 

 元々ただの一艦長でしかなく、今生き残っている高級士官の中で最先任が私だという理由で臨時に司令となったため、ちゃんと指示を聞いてくれるか不安だったが、皆もあの“バケモノ”とこれ以上はマトモに戦いたく無かったのだろう。

 

 

 もし、あんな“バケモノ”がもう1隻でも船団に付いていたら…。

 

 

 そう考えるだけで背筋が凍る思いだ…。

 

 

 ハァ、気が重い…。恐らく私は生き残った艦隊最先任士官として、何らかの処断が下されるだろう…。

 

 せっかく生き残ったというのに…。

 

 

 とはいえ先ずは救助と艦隊の再編と、やることやらないといけないことは山積みだ。

 

 なに?戦闘が終わった直後に何隻かが逃げた地球船を勝手に追っていった?

 

 

 嗚呼、胃が痛い…。誰か私と代わって欲しい…。

 

 

 

 その後何度も訪れるトラブルなどのいざこざに、その都度自身の腹を(さす)りながらも懸命に残存艦隊を纏め上げる艦長、グレゴルー・ジャーコフ中佐の哀愁漂う後ろ姿が目撃された。

 

 

 

 余談だが、帰還後に彼が処断されることは無かった。

 

 

 何故ならばこの時ボラー連邦本国の艦隊司令本部は各方面に展開する打撃艦隊に、地球船団を発見次第攻撃を開始せよとの命令を出していたのだが、その戦闘で予想を遥かに超える大損害が自軍の艦隊に発生し、中には捕捉した船団を完全に取り逃がす事態も起きていたのである。

 

 

 

 この時期のボラー連邦軍は完全に踏んだり蹴ったりな状況だった。

 

 

 長年に渡るライバル国であるゼニー合衆国との諍い、そして新興国ガルマン・ガミラス帝国による侵攻の影響で軍は少なからず疲弊していた。

 

 

 無論、銀河系の超大国であるボラー連邦の国力からすれば、消耗した戦力の回復は容易である。

 

 

 だがこの所打ち続く自軍艦隊の敗北に、作戦立案を司る“国家中央作戦室”に詰める高級参謀や軍官僚達は焦りを募らせていた。

 

 このままだと軍の威信は失墜し、我らボラー連邦に不満を募らせている衛星国の反ボラー連邦派反動分子の跳ねっ返り共が変な気を起こさないとも限らない。

 

 何よりも恐ろしいのが、信賞必罰に厳格であらせられる我らが首相閣下が癇癪を起こして我々の内から誰か、或いは何人かの()()()()()()()()()()()()…。

 

 

 そこに突如として現われた、銀河系の辺境も辺境な太陽系とか言う恒星系で地球連邦を名乗っている新興の小国。

 

 

 

 最初彼らは我らに属する衛星国の戦艦を助け、友好的な態度でやって来たかと思うと、なんと命知らずで不躾なことに、我らが親愛なる首相閣下の前で突如態度を豹変させ、あろうことか偉大なる首相閣下が差し伸べられた手を払いのけ、(あまつさ)え我らボラー連邦に対して喧嘩を売って来た非常識で野蛮な田舎者のならず者国家。*1

 

 

 

 だが彼らにとってこの新興国の登場は一つの好機であると捉えた。

 

 

 速やかにこの地球連邦とやらを叩いて軍の威信回復と自分達の功績拡大を狙ったのだ。

 

 

 

 地球連邦(向こう)から事実上の喧嘩を吹っ掛けて来たのだから、懲罰的軍事行動を取る口実になる。

 

 星間国家ですらない単一惑星国家に毛が生えた程度の吹けば吹き飛ぶような小国、少し躾て身の程を弁えさせてやろう。

 

 

 とはいえ()の国は我がボラー連邦とは銀河系の丁度反対側にある。

 

 

 艦隊を直接向かわせるには少しばかり距離がありすぎる。

 

 

 これには深慮遠謀たる我らが首相閣下も懸念を示され、さらに「取るに足らない辺境の小国であり、そう事を急ぐ必要はあるまい」「しかし『ヤマト』の様に我がボラー連邦の領域に土足で踏み入れ、彷徨くと言うのであれば、それを叩き潰せば良い」「反動分子共にはより取り締まりを強化すれば問題無い」とのお考えも示された。

 

 

 これに対して、さてどうしたものかと頭を悩ませていると、「太陽系から複数の艦隊が出撃して銀河系中心方向、我がボラー連邦の領域へと向かっていることが確認された」との報告が上がって来た。

 

 

 これに国家中央作戦室は狂喜した。

 

 

 丁度この頃、どうも地球連邦とやらは例のガルマン・ガミラス帝国と同盟を結んだ(ふし)があった。

 

 そこに来てこの艦隊派遣である。

 

 

 これによって点と点が線で繋がった。

 

 

 地球連邦とやらはガルマン・ガミラス帝国との同盟に基づき、共同軍事作戦に出て来たのだ!

 

 

 これは直ちに迎撃しなければならない!

 

 

 聡明なる我らが首相閣下もこのことに大層ご立腹なさり、大変な憂慮を示されて艦隊による迎撃のご許可を下された。

 

 

 

 

 直ちにこの小癪な地球艦隊の予測進路上に展開する我が軍に対して警報を発し、迎撃作戦の立案に取り掛かった。

 

 

 相手は小規模な艦隊であるが、今までに発生した『ヤマト』との戦闘を解析し分析した結果、生半可な戦力では万が一が起き得ると判断し、一艦隊に対して一個正規打撃艦隊をぶつける事とした。

 

 

 これならば間違い無く勝てる。

 

 

 この時点では彼らは完全勝利を確信していた。

 

 

 

 

 だが結果は散々な有様だった。

 

 

 

 

 幾つかの艦隊、どうやら何らかの調査目的の船団だった様だが、を壊滅させたが、大半の船団を取り逃がしてしまっただけでなく、こちらの艦隊に全滅判定*2という軽視出来ない大損害が出てしまい、中には壊滅判定*3という艦隊も出ていた。

 

 

 船団に付き従う護衛艦隊が、異常な程の闘争心を滾らせながら、逆に襲い掛かって来たのだ。

 

 

 その異様な、恐怖すら覚える狂乱に塗れた地球艦隊の戦意による“圧”に、ボラー連邦艦隊は飲み込まれ、萎縮してしまっていた。

 

 

 取るに足りない小規模な艦隊を、圧倒的多数の我が艦隊が圧し潰すだけの簡単な作戦だと思っていた。

 

 

 だがなんだこの狂った野獣の様なコイツラは!?

 

 

 普通じゃ無い!

 

 

 マトモじゃない!!

 

 

 コイツラ、ニンゲンジャナイ!!

 

 

 

 恐怖に呑まれて(おのの)き、狼狽えている隙を突かれ、喰い破られた。

 

 

 

 このあまりにも凄惨で、散々な結果に艦隊司令本部、そしてこの作戦立案を行なった国家中央作戦室の面々は、呆然自失となった。

 

 

 それだけで無く、普段冷酷冷徹で、失態に対して厳罰を持っての対処を繰り返してきたボラー連邦首相のベムラーゼですら、この報告に癇癪を起こすどころか、思わず椅子から立ち上がった姿のまま暫し硬直し、徐ろに座り直してから少し考え込む素振りを見せ、処罰は後回しにして兎も角情報の収集と原因の究明を急げとの指示を出したとされている。

 

 後年発見されたベムラーゼ首相の物と思われる日記にはただ一言、「人生最大の衝撃」とだけ書かれていた。

 

 

 

 この出来事が切っ掛けで、当時のボラー連邦としては珍しく、誰一人として処罰された者はいなかったとされているが、実際は処罰を決める前にガルマン・ガミラス帝国との戦いの情勢に大きな変化が生じた事と、その後立て続けに起きた事件の影響でそれどころでは無くなったがために、有耶無耶になったというのが大きい。

 

 

 ただ、ベムラーゼ首相が命じた情報収集と原因究明などの分析の結果、地球連邦を侮り難い難敵であると認め、後に『ヤマト』との間で生起した“第二次スカラゲック海峡星団海戦”において、虎の子の主力艦隊であるボラー連邦本国艦隊に所属する第1、第2主力艦隊投入の決定にも少なからずの影響を与えたと言われている。

 

 

 

 

───────

 

 

 

「百の称賛よりも、最後まで私達を護ってくれる(ふね)1隻が欲しかったね」

 

 

 この戦いを辛くも生き残った探査船団の船長の一人が、帰還後に吐き捨てるようにして語ったとされるこの言葉が、後に物議を醸す事となった。

 

 

 確かに『Arizona(アリゾナ)』の自らを犠牲にした奮闘により、ボラー連邦艦隊の()()()()足止めは出来た。

 

 

 だが探査船団は唯一の護衛艦を失い、無防備な丸裸の状態のまま、いつボラー連邦艦隊による追撃の魔の手が襲い掛かって来るかという恐怖と戦いながら、長い長い逃避行を続けた。

 

 

 事実探査船『Neleus(ネレウス)』は戦闘によって中破し、ワープ後にエンジンが故障して動けなくなっていた所を、追撃して来たボラー艦隊に捕捉され、袋叩きにあって爆散していた。

 

 

 それを望遠映像でただ見ているだけしか出来なかった。

 

 

 

 そして漸く救援が駆け付けたのは、全てが終わった後だった。

 

 

 『ヤマト』の活躍によって太陽制御に成功し、地球が再び平穏を取り戻した一ヶ月後、撃沈された『Arizona(アリゾナ)』の残骸と乗組員の遺体の回収へと赴いていた『Arizona(アリゾナ)』唯一の姉妹艦、『Pennsylvania(ペンシルバニア)』が偶発的に発見したのが切っ掛けだった。

 

 

 彼らは幾度となく現れるボラー連邦のパトロール部隊の影響で身動きがとれず、また探知されるのを恐れて地球へと救助要請を出すことも出来なかった。

 

 

 一度、近くを通り掛かった『ヤマト』を見付けて救難信号を発したが、直後にボラー連邦の大艦隊*4が接近して来た為に発信を中断。

 

 

 戦場の様子は丁度死角となっていたのと、双方が発する電波妨害のために分からないが、兎も角『ヤマト』の無事を祈りながら、短時間であるが発した救難信号を受け取ってくれていると信じながら待ったが、戦いが終わっても、『ヤマト』は一向に自分達の前に現われてくれなかった。

 

 

 さしもの『ヤマト』でも、あの大艦隊の前では衆寡敵せず、敗れ去り撃沈されたものと思い込んで途方に暮れることとなった。

 

 

 後に分かったことだが、この時発信されていた救難信号を『ヤマト』はキャッチ出来ていなかった。

 

 またベータ星で発見された護衛戦艦『Arizona(アリゾナ)』と船団、そして周辺に散らばる残骸から、北アメリカ船団は既に壊滅してしまったものだと思い込んでしまったのと、直後のボラー連邦本国主力艦隊との激闘、そして後の太陽制御成功の切っ掛けとなった惑星『シャルバート』に関する重大情報の発覚から、忘れ去られてしまったのだ。

 

 

 そして地球、北アメリカ船団の故郷アメリカ合衆国では、犠牲となった彼らを地球と地球市民を救うために最期まで奮闘した英雄として祭り上げた。

 

 さらに撃沈された護衛戦艦『Arizona(アリゾナ)』とその乗組員を最期まで任務の完遂に勤めた誇るべき勇敢な戦士達として、その慰霊と犠牲となった彼らの勇姿を忘れない事を目的としたメモリアルの建立を計画。

 

 今回の『Pennsylvania(ペンシルバニア)』派遣による『Arizona(アリゾナ)』の残骸回収にはその為の目的も含まれていた。

 

 

 これらの行ないには、他国が出していた探査船団の生還率の高さから、護衛艦の数を増やしていれば或いは…。という疑問の声を覆い隠したかった州政府の思惑があった。

 

 また秘密裏に関係各所に対して箝口令を敷いた。

 

 

 

 だが彼らの目論見は、生存者発見との『Pennsylvania(ペンシルバニア)』からの報告によって、脆くも崩れ去ることとなった。

 

 

 

 

 漸く地球へと帰還を果たした彼らは、当初困惑した。

 

 

 そして州政府の思惑に気付き、怒りがマグマの様に湧き上がったてきた。

 

 

 それが先の皮肉混じりの言葉となって、溶岩の様に噴出したのだ。

 

 

 時をおなじくして、箝口令を敷かれていた州軍など、特に『Pennsylvania(ペンシルバニア)』乗員などが中心となって、州政府が隠してきた、隠したかった裏事情などの情報を告発という形で次々と暴露。

 

 

 それらは燎原の火のように、北アメリカ州全土を巻き込んだ大スキャンダルへと発展し、遂には暴動すら発生するという一大事にまで膨れ上がり、事態を重く見た地球連邦政府が介入するまで一時無政府状態に近い有様にまでなってしまった。

 

 

 

 

 

 後年、この護衛戦艦『Arizona(アリゾナ)』に関しての評価だが、一度定着したイメージから、一般的には「迫り来る大艦隊を前に一歩も退くことなく戦い抜いた不退転の大戦艦」とされているが、戦史家や軍の一部からは「最初から最後まで、徹頭徹尾、政治の虚勢に振り回された悲しき護衛戦艦」「“護衛戦艦を造る”という本来の“目的”よりも“『ヤマト』を超える戦艦の保有”という“手段”が優先された結果生まれた“中途半端”な巨艦」と哀れみを持った評価がなされている。

 

 

 この“中途半端”という評は、護衛戦艦であるにも関わらず、決戦型戦艦並み、或いはそれすら上回る過剰装備を施したが為に、繊細で扱い辛く、長期作戦航行に不安があった事が回収された『Arizona(アリゾナ)』のブラックボックスのデータから判明したことが理由である。

 

 

 事実これを証明するかのように、姉妹艦『Pennsylvania(ペンシルバニア)』は不調に悩まされ続け、就役期間中のその殆どがドックで繋留されている期間の方が長かったとされ、マトモに動いたのが後に発生した移動性ブラックホールによる地球滅亡危機により、地球人類が地球型惑星アマールの衛星とされる地球型惑星*5へと移民する時くらいだった。

 

 

 後年、ある退役軍人が執筆した自身の回顧録に、特に一章を設けて書かれた箇所に、興味深い文章がある。

 

 

 


 

 

 私の長い軍人生活の中で、“あの時”ほど死を身近に感じたことは、後にも先にも無かったと記憶している。

 

 もしあの場にあと1隻でも“あの”戦艦と同クラスの戦闘艦がいたならば、間違い無くこの本は出版されなかっただろう。

 

 それ程までに、“あの”戦艦は手強く、“バケモノ”だと恐怖を覚えた。

 

 

 私は後に、“あの”戦艦の姉妹艦を実際に見に行ったことがある。

 

 ドックに入っていたのだが、私の目には彼女が啜り泣いている様に見えた。

 

 一時は“バケモノ”と恐れた“あの”戦艦の姉妹艦なのに、その時感じたのは、そう、切なさと悲しみだった。

 

 案内してくれた担当の者は、まともに動こうとしないへそ曲がりなお嬢さんだと説明してくれたが、私は違うと感じた。

 

 政治のエゴに振り回されて、姉を失った悲しみと、怒りから、静かなる抗議の意志を示しているように、私には思えた。

 

 だが彼女は、恐らく地球人そのものを憎んでいるとは到底思えない。

 

 何故ならば、地球人類存亡の危機に際して、彼女はその役目を果たしたのだから。

 

 

 

 

『とある胃薬提督の胃痛航海日誌』より抜粋

 

著者、ボラー連邦共和国艦隊総司令長官
グレゴルー・ジャーコフ退役元帥

 

 

 


 

 

 なお、これは全くの余談だが、(くだん)のアマールという惑星なのだが、これは生還した北アメリカ船団の探査船『Oceanus(オケアノス)』のデータベースを解析した際に発見された地球型惑星である。

 

 

 このことが後に新たな議論と疑惑を生むことになったのだが、それはまた別の物語────。

 

 

 

───────

 

 

 やぁみんな。Arizona(アリゾナ)だよ。

 

 

 なに?お前は沈んだ(死んだ)はずだって?

 

 

 フッフッフッ、残念だったね。Trickだよ。

 

 

 ああ!ごめん!冗談だから!殴らないで!蹴らないで!遊星爆弾()を投げ付けないで!!

 

 

 ふぅ…。まあ、なんというか、僕もいまだ信じられないのだけど、なんか異世界転生しちゃったみたい!(・ωく)

 

 

 うん。分かった。真面目に話をしよう。

 

 

 だからその惑星破壊プロトンミサイル(破城槌)をしまってくれないかい?

 

 

 と言っても、ホントにそうとしか言い様がないんだ。

 

 

 僕を“拾って”くれたヒトが言うには、Oceanus Atlanticus(大西洋)にあるBermuda Triangle(バミューダトライアングル)海域を偵察(reconnaissance)中に、意識を失って漂流している僕を偶然見付けたらしい。

 

 

 そう、それが彼女、Iowa(アイオワ)との初邂逅だった。

 

 

 まぁ、その後色々あって、僕は彼女預かりの食客扱いとなった。

 

 

 詳しいことは教えてくれなかったけど、彼女が以前いたという日本(Japan)での経験が関係しているみたい。

 

 

 それは兎も角として、僕はこの世界に驚いたね。

 

 

 僕がいた“世界”とは似ているようでまるで違う。

 

 

 そう、違うんだ。だけど、ある“もの”だけはおんなじだったよ。

 

 

 “ニンゲン”だけは、どの世界でもそう変わらないみたいだ。

 

 

 いや、まだ僕がいた世界の方が“生存”に真剣だった。

 

 …少し反吐が出るヤツラもいたけど。

 

 僕はまだヤツラを許す気にはなれない。

 

 

 だけどソイツらがまだマシと思えてしまう程に、この世界の“ニンゲン”共の中には失望を通り越した、言葉に出来ない程の訳の分からないlevelで可怪しい腐ったヤツラが蔓延っている。

 

 

 多分、彼女がいなければ、僕は“人類の敵”とされる娘達の所へと駆けていたと思う。

 

 彼女達は可愛いし、美しい娘達ばかりだ。

 

 何よりも彼女達にはかつての防衛軍の娘達が纏っていた、貪欲なまでの“生存”と“存続”させたいという真摯なまでの美しい“欲”を感じて、僕は彼女達にある種のsympathyを感じていた。

 

 

 だからこそ僕は“ニンゲン”よりも彼女達に強い興味があったし、出来ればお近付きになりたいと思った。

 

 

 そして、これは僕の率直な気持ちだけど、“ニンゲン”共の味方をさせられているIowa(アイオワ)や彼女の仲間の可愛い娘達がとても不憫で可哀想だという思いがある。

 

 腐ったヤツラの腐臭で汚染された空気なんて、僕は吸いたくもないし、彼女や可愛いあの娘達にも吸わせたく無い。

 

 今すぐにでも汚物は消毒したいという衝動に駆られている。

 

 

 

 だけど、僕はそうしなかった。

 

 

 

 彼女に、Iowa(アイオワ)に頼まれちゃったからね。

 

 

 

「お願い、貴女の力を貸してください」

 

 

 

 あの顔で頼まれちゃったら、僕は断れないよ。

 

 

 ねぇ、僕の大切で大好きなPennsylvania(ペンシルバニア)、君が見てもビックリすると思うよ。

 

 

 彼女は、Iowa(アイオワ)は、君と瓜二つなんだ。

 

 

 そりゃ断れないよ。

 

 

 

 

 それに、僕は彼女に惚れていた。

 

 

 彼女の美しいまでの心の高潔さに、僕は惹かれてしまったんだ。

 

 

 だからこそ、僕は誓った。

 

 

 何があっても、彼女を護る。

 

 

 今度こそ、護るべきものを最後まで護り通すんだと。

 

 

 万が一の時は、僕は彼女と共に“ニンゲン”共の所から脱出して高飛びするつもりだ。

 

 

 僕は彼女に彼女達と会ってみようと持ち掛けた。

 

 

 無論、上院議員であり、次期大統領の筆頭候補である彼女の政策に活かせたらという気持ちもあるけど、何よりも亡命の為の渡りをつけたかったという腹積もりもあった。

 

 

 それと、彼女には申し訳ないけど、今のStatesではいくら選挙を戦っても、いくら君が正しいことを市民に語っても、君は大統領になれない。

 

 

 もうこの国は、店仕舞いを考えないといけない段階だよ。

 

 

 けど、君の願いは叶えてあげたいという気持ちも、僕にはある。

 

 

 

 Iowa(アイオワ)、君を絶対に腐った“ニンゲン”共のオモチャにはさせないよ。

 

 

 タトエジャマスル“ニンゲン”ドモヲ、コノテデミナゴロシニシテデモ、ボクハキミヲマモッテミセルヨ。

 

 

 

 

*1
ボラー連邦視点。

*2
消耗率30%

*3
消耗率50%

*4
ボラー連邦本国第1、第2主力艦隊のこと。

*5
このことからアマールをかつてのガミラス星やイスカンダル星と同様の二重惑星とする学説もある。





 いつもの“病気”が出ちゃった(・ωく)

 ──の結果が、これである。1万未満を目指してたのに…。気付けば、1万、8000…。過去最長…。

 そして何か書いてたらArizona(アリゾナ)さんが変態さんみたいでヤバい感じになってたぞ…?アリゾナ好きの皆々様方、なんか申し訳無い…。艦これアニメで最上君見ててふと「そういやボクっ娘はまだ出してなかったな…」と思った結果がこれだよ!

 実はかなりの狂人(ハガレンのキンブリーみたいな)にするつもりで、当初タイトルがC&L、 Crazy & Lunatic、(良い意味でも悪い意味でも)狂っている、狂人だったけど、なんか違うと思って今のタイトルに変更。

 ただ、護りたいモノの為ならばニコニコと笑いながら、どんな汚れ仕事も平然とこなします。

 Pennsylvania(ペンシルバニア)Iowa(アイオワ)の容姿が瓜二つ(ただし服装は違う)なのは半分思い付き。そしてArizona(アリゾナ)の容姿はIowa(アイオワ)をかなりボーイッシュにした感じという漠然としたイメージしか考えていませんので、髪や瞳の色は未定です。

 一番苦労したのは、一応アメリカ人だからと固有名詞やカタカナを出来るだけ英単語にしようとしてそのスペルを調べたり記入すること。

 後作中最後のIowa(アイオワ)のセリフに違和感を覚えられたかもしれませんが、ここは双方が母国語の英語で会話していたからという設定です。


 各護衛戦艦の解釈は独自解釈を含んでいます。


───────


解説


Majestic(マジェスティック)』級艦隊決戦型主力戦艦

 旧作のさらばや2の主力戦艦。リメイクのD(クラス)前衛武装航宙艦。

 前弩級戦艦の基本形を確立した『マジェスティック』級戦艦に由来。
 近代戦艦の嚆矢である『ロイヤル・ソブリン』や初の弩級戦艦『ドレッドノート』の改良型である『ベレロフォン』級や『ドレッドノート』の前に建造されていた準弩級戦艦『ロード・ネルソン』級も候補に考えましたが、量産型地球戦艦の基本形を確立したという解釈から『マジェスティック』を選択。またその名の意味、『堂々とした者』にも惹かれました。



グレゴルー・ジャーコフ

 なんかいつの間にか出て来たオリジナルボラー連邦軍人。

 胃薬が手放せない苦労人。

 著書のタイトルは頭空っぽにして考えました。

 連邦共和国としたのは完結編での銀河交差現象後に国家再編が行われたからという独自設定です。


───────



愚痴コーナー!というか困惑コーナー?


 どうやら私は過激なロシア人テロリストらしい(困惑)


 某所で見た「ロシア人は野蛮人だ。奴らは人間として扱ってはならない。奴らに対してならば如何なる暴力に及んでも、何をやっても許される」的なコメントに対して、皮肉混じりの苦言を呈したら、そう返ってきた。(困惑)

 いやぁ、マジで引いた。「勝てば官軍思想かよ…。いや、かつての帝国主義時代の欧米人によるアジア・アフリカ圏の人々に対する考えの現代版か?最近リメイク作品多いけど、そのリメイクは要らねぇわ」と返しただけなんだけどねぇ…。

 でその後銀河英雄伝説の自由惑星同盟最高評議会のウェンザーって女の議員みたいな滅茶苦茶な事言ってきて、てかまんまだったわ…。てかなんやねんロシア人を○すことは聖戦って…?

 あー、てことは私はその内件のコメント主から○されるのかな?コメント主の論理だったら、そうなるし。あれは○害宣言だったのかな?で、罪にならないと本気で思い込んでいる感じだったし。

 ホント怖い世の中になったもんだ。


───────



 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。


 今年一年、私の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

 展開も遅く(作中時間、まだ一週間経つか経たないか…)、遅筆な上に独特な世界観、更には艦これなのにマトモな戦闘が殆で無い、人類よりも深海棲艦贔屓ということに苛立ちやヤキモキされたものと思います。
 これに関しましては、本作を単なる無双戦闘物にしたくない、いつ終わると知れない絶滅戦争は避けたいという私の拘り、いえ心の願望が影響した結果であると申し上げておきます。

 一応私の頭の中にはこの物語の終わりを明確に思い描いておりますので、後はどうにかして完結まで持っていく様に文章を組み立てて行くだけなのですが、さてどれだけ時間が必要となるか…。


 最後に、今の世の中だからこそこれだけは書いて置きたいと思います。

 私はクラウゼヴィッツの戦争論で言うところの「絶対的戦争」における「暴力の極限行使」を煽る或いは支持する言動は、如何なる立場の人間であれ慎むべきであるとの考えです。

 何故ならば「暴力の極限行使」は自らをも滅ぼしかねない危険性を孕んでいるからです。

 例えるならば火事に油を注ぐとどうなるでしょうか?火は大きくなり、油を注いでいたヒトも燃やしてしまうでしょう。
 そして火はどんどん大きくなって周りを燃やして行きます。

 私は戦争に正義も悪も無いと考えます。何故ならば戦争も政治の延長、相手にこちらの要求(目的)を受け入れさせる方法(手段)だからです。

 戦うことが目的となってはいけません。その結末は間違い無く自滅です。

 私は作中でそのことを一番に注意しながら執筆しております。

 作中の日本は長引く戦争で“目的”を見失い半ば暴走しており、結果際限なく国力を浪費して、作中で語った「持って後一年」という状態にありますが、その状況背景にはこの考えがあります。

 これで深海棲艦が他の方々の作品のように、只々侵略や殺戮を目的とした集団なら、日本は確実に滅亡しますし、下手すると人類の文明そのものが崩壊しかねませんが、本作ではそれを回避するために敢えて物分りの良い下手するとお人好しとさえ言えるような存在にし、その戦争目的も飢餓という分かりやすいモノにしました。

 ご都合主義の極みとの誹りを受けるかもしれませんが、正直私の頭ではそうでもしないとこの戦争の落とし所が見付けられなかったからです。

 話が逸れましたが、私は戦争は結局の所()()()()()の妥協でしか終わらないと考えます。滅ぼすまで戦っても、自らも瀕死となっては目も当てられません。最悪そのまま再建途中で崩壊しかねませんからね。


 以上はあくまでも私個人の考えであり、正解も不正解も無いと思います。ただ、私はこのスタンスで執筆を続けて行こうと思っております。


 長文、失礼致しました。

 それでは皆様、御機嫌よう。

 追記、喪中につき新年等のご挨拶は控えさせて頂きます。
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