艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 半藤一利監修原作、聯合艦隊司令長官山本五十六、ミッドウェー海戦で阿部寛演じる山口多聞少将戦死の報を受けた際に役所広司演じる山本五十六長官が呟いた台詞より。
 注)誰かが死亡した訳ではありません!

 休み中に上記のBlu-ray見てて、元々書く予定だった内容の一部を変更し書き出したら、5回書き直した…。何故か基督(キリスト)教と(イスラム)教の話が出て来て収集がつかなくなった…。でもこの世界、アメ公が中東の石油欲しさに攻め込んで滅茶苦茶にした影響で下手するとリアル以上にムスリムが世界に拡散し、アメ公の属国ということもあって日本に対する心象が悪化してる可能性あるし、新ロシア連邦(NRF)国内にも結構なムスリム在住してるのと、ついでに言えばまだ本編では出して無い設定で日本の工業が経済の低迷だけでなく労働力の激減や安全や税対策や低賃金労働力の激減やコスト問題や低賃金で使い潰せる労働力の激減と国内インフラの問題でウラジオストクに移転してるけど、そこの従業員、東南アジア系の難民が少なくないという設定。問題は、東南アジアって回教の地域なんだよなぁ…。てな感じで色々考えては消えで、袋小路に嵌りまして、終着点が見えなくなりまして書いてたのを思いっきり消しました。が、ウラジオストク移転は使いました。


 本編『PRIDE』の後書きにチラリと出しました士官学校校長井上隆義中将登場。


 時期的にアンドロメダとの交信成功の後。Гангут(ガングート)座乗の新ロシア連邦(NRF)太平洋艦隊水上船艇部隊が日本へと出発しだす辺り。
 因みに、土方さんと飛行場姫さん(時間があれば真志妻大将や泊地棲姫さんも)、情報交換の為にわりと頻繁に通信し合ってます。



閑話15 「…これで、詰んだな」

 

 徳島、小松島鎮守府敷地内。

 

 鎮守府司令官官舎。

 

 

 本来ならば鎮守府の敷地の外に設けられていた官舎であるが、警備と防諜の観点から、警備府時代の司令官だった真志妻の要請もあって敷地内にこぢんまりとした平屋建ての官舎が建てられた。

 

 

 基本的に鎮守府司令執務室に併設されている生活スペースで過ごす事の多い土方であるが、たまに離れの様な感覚で余暇をここで過ごす事もある。

 

 ただここ暫くはアンドロメダの事とかで(色々と仕事が積み重なって)多忙を極めていた都合上、足を運ぶ事が出来なかった。

 

 それも漸く一段落したことで、金剛(秘書艦)霧島(副艦)キリシマ(参謀)などといった部下達からの勧めで久し振りに骨休めとして1日だけだが過ごすこととなった。

 

 

 

 そして土方が休暇で寛いでいるこの官舎に、1人の老軍人が訪ねて来ていた。

 

 

 海軍中将井上(いのうえ)隆義(たかよし)

 

 

 旧海上自衛隊時代から在籍している老軍人であり、長らく護衛艦の艦長を務め、その後に海将補となって陸上勤務になった叩き上げの船乗りだったのだが───

 

「冷戦構造終結後、具体的には91年を境い目としてアメリカは国力と軍事力両方の低下に歯止めが掛からず、特に08年からは時の政権が主導したポリティカル・コレクトネスの悪影響により軍を構成する士卒の能力そのものの低下がより顕著になりました。

 

 16年の新政権はこの事を国家安全保障に対する重大な危機であると捉えて軍の再建が急務であるとしている様ですが、一朝一夕でどうにかなるものではありませんし、最盛期に匹敵する実力を発揮出来るほどまで回復する保証もありません。

 

 そのため従来通りの対米依存の国家安全保障政策では日本の国防は遠からず崩壊します。ですから今こそ日本独自の自主防衛に向けた具体的な国防政策を示すべきで、新大統領も日本独自の国防政策を考えるべきであるとする発言を繰り返しているため、今がまたとない絶好にして最後のチャンスであると考えます」

 

 ───という対米従属的な政府や自衛隊の在り方に批判的な発言を、よりにもよって公の場でしてしまった事で上層部から盛大に顰蹙を買って閑職に追いやられた。

 

 その後も第二次日露戦役にて当初より日本の敗北を断言する発言をしたとして懲戒免職処分を言い渡され、下野する事となった。

 

 

 しかし深海棲艦との戦いに於いて自衛隊が正式な国軍へと再編された折に、海軍の大軍拡に伴う人材不足によって呼び戻され艦娘達を指揮する提督となった。

 

 

 それまでの経歴からも分かる通り、思考面にクセが強く、そして一度下野したのも何のその、相変わらず色々と物申すその扱いづらさから、上層部からの受けが相変わらず悪かった。

 

 ただ艦娘に対しては規律などの面に於いて厳しい所はあったものの、地位を盾にした横暴な振る舞いはしておらず、真志妻による大粛清の標的にはならなかった。

 

 今はとある事情から第一線を退いて次世代を任せられるだけの人材を育成すべく、士官学校の校長を務めていた。

 

 とは言うものの、その年齢もあって最近ではほぼお飾りに近かった。

 

 

 

 そんな井上中将が、土方の官舎へと好々爺とした格好で朝からフラリと訪ねて来て、縁側にて土産のウイスキーを共に飲みながら将棋を指していた。

 

 

 

 

「沖縄はのぉ、はぁ~…、失敗じゃったな。大失敗じゃ」

 

 

 

 パチリと駒を指しながら、呟くようにしてそう漏らした。

 

 土方は一瞬駒を指す手を止め、目線で続きを促してから駒を指した。

 

 

「シーレーンがお前さんや真志妻の嬢ちゃん達のお蔭で日本海一本に絞れる様になったからとて、海軍には外に出掛けるだけの元気など無かった。

 

 だが、現場を見ない知ろうともせん政府や軍官僚の莫迦共は、そんな事はお構い無しじゃったわ…」

 

 

 当時を思い出し、遣る瀬無い表情を浮かべながらロックグラスに注がれたウイスキーを一口飲む。

 

 

「寸土であろうとも、国土を手放したりはしない!

 

 まったく、簡単に言ってくれるわい…」

 

 

 苦り切った顔で当時政府がメディアを通じて盛んに発した決まり文句を告げた。

 

 

 その事は土方も知っている。

 

 

 反攻作戦である南方作戦の失敗。続くAL/MI作戦での大敗以降、沖縄方面が俄に注目されることとなった。

 

 当時世間一般には南方作戦は“敗退”や“失敗”などではなく、「飽く迄も悪逆非道な深海棲艦の卑怯極まりない悪辣な奇襲によって奪われた、同盟国アメリカの領土であり、我が日本の生命線たる日米両国を繋ぐ航路の要衝たるハワイ諸島の早期奪還を目的とした日米合同の大作戦をより確実なものと成らしめるための一時的な“()()”である。」と説明されていたが、その大作戦であったハズのAL/MI作戦が誰の目から見ても大失敗に終わったことで、南方作戦も“矢張り”失敗だったと世間は認識することとなった。

 

 同時に、人類の反攻作戦を跳ね除けて勢いづいた深海棲艦が、その勢いに乗って再び沖縄を攻め落とそうとするのではないか?という憶測がマスメディアを中心に急速に広まった。

 

 

 この動きに敏感に反応したのが政府だった。

 

 

 相次ぐ作戦失敗や極めつけの首都東京壊滅といった事態への焦りというのもあり、ここでせっかく初期の反攻作戦で奪還した沖縄が再び深海棲艦の手に落ちる事となったら、自分達の地位や首が危ない。

 

 そしてそれは軍上層部も同じ思いであり、両者は艦娘部隊の新司令官となったばかりの真志妻に「なにがなんでも沖縄を死守せよ!」とかなりの圧力を連日に渡ってかけてきていた。

 

 

「本音は兎も角として、国家の軍隊である以上は領土の保全を蔑ろにしする訳にはいかず、下手に強く反対する訳にはいかなかった」

 

 

 そう語る土方の脳裏に浮かぶのは、今となっては記憶が所々朧気となりつつあるが、嘗て居た世界で連邦大統領によるガトランティス戦役の際に全域放送された会見での文言、「国民の生命と財産、国土を守り抜く」と言う言葉。

 

 これは国軍の存在意義を端的に表現した言葉であると土方は思っている。

 

 

 だが同時に、ガミラス戦役での苦い記憶も土方の頭にはあった。

 

 

 戦争初頭での無計画で無秩序な反撃による外惑星防衛戦──この当時は主要先進国を筆頭に各国政府国軍の発言力が強く、またコスモナイト90などに代表される戦略宇宙希少資源の産出地の多くが外惑星系に集中していたことと、その利権問題が複雑に絡み合っていたこともあって、国家間の足並みが揃わなかった。──により、第一線級の優秀な人材や装備を悪戯に消耗するととなって、後の火星軌道を絶対防衛線とした内惑星防衛戦に深刻な影響を与えることとなった。

 

 軍の中には当初より現有の艦隊戦力による反撃ではなく、遅滞戦術を繰り返して徐々に防衛線を後退させて艦隊戦力を可能な限り温存し、地球にて急ピッチで進められている予備役の招集と、モスボール艦の再就役再戦力化や実戦投入可能な新造艦も含めて編成された新規の艦隊と合流、再編された大規模な艦隊戦力をもって、その運用を支えられるだけのインフラが整っていた火星宙域を絶対防衛線として設定し、一大艦隊決戦を挑むべきとする意見もあったが、この外惑星防衛戦により瓦解。優秀な人材を大量に失った事が戦中、そして戦後も地球の防衛戦略に対して木綿で首をじわじわと絞めるが如く、暗い影を落とす遠因ともなった。

 

 だが歴史とは皮肉なもので、この時に外惑星系から地球へと輸送された各種鉱物資源と希少資源が無ければ、あの宇宙戦艦『ヤマト』は就役出来無かった。或いは性能をかなり妥協した(ふね)となっていた可能性が高かった。

 

 

 …ままならんものだな。

 

 

 何が正しくて、何が間違っていたのか、あの頃も、そして今も納得出来る答えは出ていない。おそらく一生をかけても出ないだろう。

 

 だが今はそれよりも───

 

 

「ほれ、何をしておる?おまえさんの順番じゃよ?」

 

 

 思考の海に没頭して手が止まってしまっていた。

 

 

「沖縄を死守するだけのメリットは、正直に言って全く無かった」

 

 

 駒を置きながら、聞く者次第では発狂して怒り狂う様な事を、サラリと告げたが、向かい側に座る老将はニコニコとしたもので、ウンウンと頻りに頷きなら土方の言葉に同意した。

 

 

「百歩譲って、中東からの石油を運ぶ南方シーレーン、若しくはボルネオの石油や天然ガスにニッケルなどの鉱物を始めとしたインドネシアからの地下資源が入ってくる目処があれば、話は別だが」

 

 

「百歩どころか10億歩譲っても有り得んよ」

 

 

 土方の言葉に被せるようにして井上が苦虫を噛み潰したような顔をしながら話す。

 

 

「インドネシアは深海棲艦が完全に聖域化しちまいやがった。

 

 あれを突き崩すとなると、我が海軍の全艦隊洗い浚い総動員したとしても兵力がまったく足らん。戦術核ミサイルでもあれば話は別だが…」

 

 

「…」

 

 

 土方は何も言わないが、その心の内では「アンドロメダが絶対に許さんだろうな」と考えながら、怒り狂うアンドロメダの姿を想像していた。

 

 いつも一緒に居て姉と呼んで慕って懐いている、嘗て核攻撃によって両足を失ったという駆逐艦の姫。こちらの春雨(ハルサメ)海風(ウミカゼ)の関係みたいに、その姫が傷付く事には敏感となっている彼女からしたら、核の使用はタブー領域の危険性が高かった。

 

 

「それに、じゃ───」

 

 

 一旦言葉を切り、ウイスキーを一気に呷ると酒臭い息を吐きながら、苦り切った顔で続きの言葉を吐き捨てる様にして語った。

 

 

「中東は先の世界大戦でアメ公の莫迦共が滅茶苦茶にしおった」

 

 

 土方は空いたグラスに新しいウイスキーを注ぎながら、井上の言葉に付け足す。

 

 

「さらにスエズが制圧されて以降から、インド洋の西側海域に深海棲艦が多数展開している」

 

 

 そう、日本のエネルギー資源の生命線であった中東は、深海棲艦との戦争以前の第三次大戦にてアメリカがエネルギー資源を求めて攻め込んだ影響で大混乱に陥り滅茶苦茶になった。

 

 その影響は未だに続いており、特に湾岸諸国の石油採掘施設や精製設備が数多く破壊されて石油産出量は激減。積み出し可能な港湾設備も再建の目処が立っていないどころか、土方が語った通りスエズ一帯が深海棲艦に制圧されて以降、スエズ運河と繋がっている紅海とバブ・エル・マンデブ海峡を経たアデン湾、アラビア海、インド洋の一部、ペルシャ湾などの海域は深海棲艦が制海権を握っており、詳細は不明なれど各地に大小様々な拠点ないし基地が作られたとの未確認情報まである。

 

 

 油は手に入らないし、インドネシアやフィリピンに展開する深海棲艦すら手に余るのに、遠くインド洋にまで艦隊を進めるなど、土台無理な話である。

 

 こうなると南方シーレーンの回復は絶望的である。

 

 

 そして南方作戦の前線拠点と成り得る沖縄の価値は、ほぼ無くなる。

 

 早期警戒拠点とするには位置的に突出し過ぎており、有事の際に早急に増援を送るには絶妙に遠く、孤立化し易い位置にある。と言うか現在進行系で孤立している。

 

 

 AL/MI作戦後の深海棲艦の動きは予想よりも遥かに早かった。

 

 

 確かに作戦は失敗し、艦隊戦力にも無視出来無い大きな被害を受けた。

 

 深海棲艦に対する頼みの綱である艦隊戦力が疲弊した事もあって、沖縄危機が叫ばれ出したというのもある。

 

 

 とは言え作戦全体における深海棲艦の撃破数。首都を直撃した侵攻艦隊に対する送り狼によってその大半を撃滅する事に一応は成功した事。またそれ以前の南方作戦での攻勢によってそれなりの打撃を与えていたということもあり、流石の深海棲艦も大きく消耗しているものと思われ、暫くは戦力回復のために最低半年以上は小康状態になると予想されていた。

 

 その間に海軍の再建を目的とした組織改革と再編を終わらせるべく、真志妻は大鉈を振るった。

 

 同時に沖縄方面に関する具体的な計画立案も平行して行いだしたが、これには海軍初となる艦娘がその中心となって立案に取り組んだと言われている。

 

 

 だが、半年は大丈夫だろうとされたその予想は、たった2ヶ月で覆された。

 

 

 偵察衛星が捉えたフィリピン及びインドネシア方面の画像から、事態は動き出した。

 

 

 

「深海棲艦の一大機動部隊、フィリピンへと侵攻を開始。総数およそ一千以上」

 

「フィリピン攻略の増援とおぼしき艦隊、インドネシアを出立。総数不明」

 

「フィリピン海海上にて待機中の陸上型深海棲艦らしき姿を確認」

 

「陸上型深海棲艦が揚陸。拠点化を確認」

 

 

 

 この次々と寄せられる報を受けた政府と軍上層部はパニックに陥った。深海棲艦は本格的な侵攻を再開させ、前回は沖縄を先に狙ってほぼスルーしたフィリピンを、今度は完全に掌握しつつある。

 

 そうなるとフィリピンの掌握が完了次第、次は沖縄が再び狙われる。早急に沖縄に戦力を集中すべきではないか?と、真志妻に迫った。

 

 

 真志妻は悩んだ。正直に言えば沖縄は放棄して奄美諸島、可能ならば種子島のある大隈諸島辺りまで一気に防衛線を縮小するべきとする、沖縄方面の計画立案に携わった艦娘から挙げられた提言を採用したかった。

 

 この提言によると、日本の海上輸送能力及び現有水上艦艇の保有数などを鑑みた結果、沖縄を恒久的或いは長期的な維持を可ならしむ為に必要となる戦力を維持する為の兵站航路を維持するに必要となる水上艦が足りず、悪戯に国力を消耗するだけと断言し、寧ろ沖縄を早々に放棄して奄美諸島奄美大島を必要あらば放棄可能な早期警戒陣地として最低限整備し、大隈諸島を絶対防衛線の主要陣地とした、日本海防衛の為に計画されている対馬要塞化工事に匹敵する拠点化を早急に行うべきというものだった。

 

 

 だが、あまりにも早い深海棲艦の動きに、その提言する計画を今すぐ実行したとしても間に合わない可能性が高かった。

 

 

 フィリピンにマトモな戦力は無く、と言うかフィリピンも他の東南アジア諸国と同様に国家機能が崩壊しており、深海棲艦は妨害を受けること無くあっという間に必要な場所を確保して拠点化するだろう。

 

 

 深海棲艦による拠点化は、こちらの拠点化工事よりも格段に早い。それは陸上型深海棲艦による土地の艤装化という、インチキ染みた能力によるものだ。もしも港湾整備が残っていれば、その期間は更に短縮される事が確認されている。

 

 これを阻止するには何かしらの攻撃を加える必要がある。

 

 事実、ハワイを奪われたアメリカは失陥した直後より稼働可能な戦略爆撃機を総動員し、パールハーバーを深海棲艦による迎撃リスクが低い高々度からの爆撃を繰り返している。

 

 だが日本は戦略爆撃機を保有していないし、その運用ノウハウも無ければインフラなどのロジスティックも整っていない。

 

 

 自衛隊時代に開発が進んでいた事実上の弾道ミサイルと謂われた島嶼防衛用高速滑空弾は、紆余曲折を経て開発そのものは一応成功したものの、ロシア東欧紛争の戦況と共に伝わって来る各種の戦訓などの情報を分析した結果、現行型では能力不足が指摘されて生産は少数に留まり、改良型の開発を待って本格生産となるハズだったが、開発中に不祥事が発覚して大きなスキャンダルに発展し、開発計画が立ち消えとなって配備そのものが有耶無耶となってしまっていた。

 

 

 護衛艦や潜水艦から発射可能な国産対艦誘導弾やハープーン、それにトマホークなどの従来型の亜音速巡航ミサイルは、深海棲艦の物量による防空能力の前に戦果が乏しくなっており、それ以前に日本が保有していたトマホークは既にほぼ撃ち尽くして残り少なく、その補填の目処も立っていなかった。

 

 

 以前よりアメリカから打診のあった射程距離250㎞から300㎞のMGM-140 ATACMS(エイタクムス) を購入し、艦艇に発射母機であるM142 HIMARS *1を載せて撃ち込む案や、果てはこの頃から支援の始まった新ロシア連邦(NRF)から戦術弾道ミサイル9K720の輸出仕様で射程280㎞程のイスカンデルEをなんとか購入するという案も出ていたが、イスカンデルは流石に断られ、HIMARSは届いたものの、肝心のATACMSは国内事情から今すぐは無理だとされた。*2

 

 

 つまり、攻撃による妨害及び阻止による時間稼ぎは不可能だった。

 

 

 沖縄に増援を送っても、結果としてそれが日本の首を絞める。

 

 何よりも軍の再編がまだ終わっていない現状では、大規模な軍事行動など無理だ。

 

 

 

 であれば、遅滞戦術で時間を稼ぎつつ沖縄は放棄。撤退をやるしか無い。

 

 真志妻はそう決意して上申したが、突っ撥ねられた。

 

 

 死守以外以ての外!万難を排して国土を守り抜け!!と聞く耳を持たなかった。

 

 

「現場を知らん連中には、幾ら言葉を重ねても暖簾に腕押しじゃよ」

 

 

 呆れ返った声で井上はそう話す。土方としても、この時忸怩たる思いで状況を見ている他無かった。

 

 この頃の土方は真志妻から小松島鎮守府──当時はまだ警備府だったが──を引き継いだ直後であり、また後の外洋防衛総隊となる外洋作戦部隊の編成の為に東奔西走、あちこち動き回っている真っ最中だったこともあって、マトモに助言することも出来無かった。

 

 

 そうこうしている内に、沖縄沖での深海棲艦の動きが活発化することとなった。

 

 

 もうこうなったらやむを得ないとして、真志妻は部隊の派遣を決定せざるを得なくなった。

 

 本来ならば外洋防衛総隊の管轄となる予定だったのだが、まだ真志妻の管轄となる予定の内海防衛艦隊も含めて編成未了ということもあり、編成待ちで待機中だった部隊から抽出して派遣艦隊を編成する事となった。

 

 

 だがそれが、現在まで続く終わりの見えない泥沼の戦いの始まりとなった。

 

 

「儂らは、ものの見事に嵌められた。深海棲艦の狙いはフィリピンではなく、消耗戦じゃった。連中はこちらの想像以上に強かじゃよ」

 

 

「……」

 

 

 実はそれが深海棲艦にとって苦肉の策だったと、最近になって土方は知ったのだが、流石に口に出すのは憚った。

 

 

 滅茶苦茶な攻勢を繰り返す日本を封じ込める為、何よりも重要な生命線となったインドネシアを日本から守り抜く為には先にフィリピンを抑える必要があると考えたらしい。

 

 

 そう決意した理由が、真志妻の改革だったと言う。

 

 

 正確に言えば改革云々のことを掴んでいた訳では無く、日本軍が国内に籠もってなにやらドッタンバッタンやっているっぽい程度の認識だったが、それが大規模な侵攻作戦に向けての準備なのではないか?と疑った様である。

 

 時間の猶予を与えて準備を整えられて攻勢に出て来られる前に、またモタモタしていたらこちらの動きを察知して沖縄に戦力を集め、妨害に出て来ることも考えられたため、何よりもスピードが優先されたかなり無理をした攻勢だったと、飛行場姫から聞いている。

 

 兎も角集められるだけの戦力を掻き集めての速攻により、フィリピンを奪取。もしも余力があれば、尚且つ日本が沖縄への戦力の集中が遅れている様であれば返す刀で沖縄に一撃を加え、可能と判断したら再奪取も目論んだものの、元々大急ぎで始めた攻勢だった為に、補給で混乱が生じて躓いたらしい。

 

 そもそもこの頃から既に深海棲艦はインドネシアの開墾を本格化していた時期でもあったらしく、そちらも疎かに出来ないとしてリソースの配分がかなりシビアになっていたらしい。

 

 

 …本気か冗談か分からないが、この話を隣で聞いていたアンドロメダが資料片手に「この時に私が居ましたら、停滞すること無く沖縄を奪取出来る補給計画を組み立てれたと思います」と漏らしていた。

 

 つまり、歴史のifということになるが、補給が躓く事が無ければこの時に沖縄が完全に失陥していた可能性が充分に有り得たと言外に語ったのだが、同時にこの発言はアンドロメダが明確に深海棲艦の利益になるために動くという意思も示している様にも受け取れた。…多分、彼女の性格からして、本気に思えてならない。戦いに直接出て来なくても、充分過ぎるほどの脅威なのだから本当に勘弁してほしい。

 

 

 この時に聞きだした話によると、確かに拠点化は順調だったのだが、先にも述べた通り補給の混乱が生じていた事で物資の集積にも影響が出ており、真正面からぶつかる従来通りの戦いだと物資があっと言う間に払底するとの警告が出たため、戦い方を変えざるを得なかったとのこと。

 

 

 それによってこちらはかなり痛い目を見た。

 

 

 一撃離脱や潜水艦による散発的な奇襲で、或いは囮の部隊を使って艦娘を誘き出し、その母艦となる水上艦艇が狙われた。

 

 

 海のゲリラ戦である。

 

 

 幾ら強力な艦娘と云えども、母艦が無ければその作戦行動が大きく制限される。

 

 

「…この戦いだけで貴重な汎用護衛艦3隻の完全損失と1隻大破、被弾等の損傷艦多数。徴用した特設母艦1隻損失。193名の士卒と軍属24名、そしてベテランを含む87名の艦娘が永遠に失われた。

 

 全く、酷い(いくさ)じゃったわい…」

 

 

 沈痛な面持ちで当時を思い出す井上。この作戦の指揮を執ったのが、当時佐世保鎮守府に赴任していた井上だった。

 

 何かあっても退役間際の老人の首でどうにかなるならばと、自ら名乗り出たというのもあったが、眼の前で自身が嘗て艦長を務めていたこともある『むらさめ』型護衛艦の4番艦『きりさめ』が雷撃を受け、整備が追い付かずに酷使され続けて艦体にガタが来ていたというのもあってか、あっという間に沈んだのにはかなり堪えた。しかも戦死した士卒の半分以上がこの『きりさめ』の乗組員だった。

 

 因みに特設母艦というのは、後の外洋防衛総隊で使用されるフェリー改装の特設艦娘母艦に繋がる、優良民間船を徴用して改造した船である。

 

 少々打たれ弱いものの、艦隊の真ん中という最も安全とされていた位置に配置され、護衛艦よりも多数の艦娘を乗り込ませる事が可能ということもあり、日本海軍で重宝されていたが、運悪く流れ弾の魚雷が被雷して沈没。戦死した軍属と艦娘の大半はこの船に乗船して脱出が遅れて共に沈んだ者達である。

 

 

 これだけの大損失を受けたが、現場も含めて「尊い犠牲を無駄にするな!!」との突き上げが出たこともあって引くに引けなくなった。

 

 

 そして沖縄を巡る戦いは現在まで続く事となった。

 

 

「お前さんには、色々と骨を折らせちまったのう」

 

 

「軍の質は、あの頃は最悪だったからな。促成栽培のボンクラ共は兎も角、旧自衛隊時代からの経験豊富なベテランは貴重だ。失うには惜しすぎた」

 

 

 土方の返しに井上は苦笑するしか無かった。

 

 井上はこの時、損害に対する責任を取るとして辞表を真志妻に提出したが、土方が「“敗軍の将は兵を語らず”と言うが、現場の最新の情報を持った者を軽々に処断しては、今の軍の能力では情報分析が不充分となり、同じ事態を何度も繰り返す事になる」として留任を申し出ていた。

 

 そして最終的に第一線からは身を引き、現在の士官学校の校長という形で落ち着いた。

 

 その誼で2人は繋がりが出来、周りと比べて歳が近いということもあって友人に近い間柄となり、こうしてたまに顔を見せ合うようになった。

 

 

「それに、礼を言うなら霧島(霧野)にも言ってくれ」

 

 

「? 霧野特務大佐にかね?」

 

 

 土方の言葉に首を傾げる井上。

 

 

「沖縄方面の防衛計画に関する分析と立案、そして真志妻への提言を取り纏めた中心に居たのが、霧野だ」

 

 

「なんと…」

 

 

 井上は霧野が艦娘霧島のエラー個体である事は、無論知っている。と言うかお互いちゃんと面識があるし、酒を酌み交わした仲でもある。

 

 建造で顕現した時から足が不自由という、今までに前例が無い珍しい個体という事もあって海軍内部でちょっとした話題となったのを覚えている。

 

 そして時期的に顕現した時期と防衛計画策定の時期がほぼ重なるため、意外に思ったのだった。

 

 

 土方曰く、顕現した直後というのと、足が不自由ということもあって、少し手持ち無沙汰になっていたのを、他の艦娘との交流も兼ねて任せてみたのである。

 

 その際に実は、井上を教官に出来ないか?とする意見書も出していた様なのだ。

 

 霧島(キリシマ)から見ても、当時の促成栽培の若造連中は促成故の規律の不徹底が祟ったモラルハザードなどから、まったくお話にならない位に使い物にならないと、この短期間でも確信を抱いて太鼓判を押す程の酷さだった。

 

 駄目な連中は真志妻が音頭を取って片っ端から粛清、もとい処断してはいたが、使えそうな連中を抜擢するにも、まだマシそうなのを性根から叩き直してなんとか使い物になる様にするにも、現場を知る現場叩き上げの大ベテランに頼る他に適任はいないとして、目を付けたのが井上だった。

 

 

 まぁ結果を述べると、半ば予想はしていたが多くの脱落者が出た。だが少なくともマトモな軍隊として機能するのに必要な能力を有した者も、それなりに輩出出来たし、次世代育成もなんとかなる目処がたった。

 

 

「これはぁ、帰る前に霧野大佐に礼を言ってから帰らねばならんなぁ」

 

 

「今少し立て込んでいるからな、難しいと思うぞ」

 

 

「…そうか」

 

 

 少し残念そうに告げて盤面に視線を落とすが、何かを思い出したかの様に目線だけ土方に向けると話題を変えた。

 

 

「…行くんじゃろ?マリアナまで?」

 

 

 その問いに土方の片眉が僅かに動いた。

 

 

 マリアナ方面への派遣は別に伏せられた情報でも無いため、知ろうと思えば誰でも知れるものだ。井上が聞きたいのはそんなことでは無い。

 

 

「艦隊の目処は、つきそうなのか?」

 

 

 元々護衛艦乗り(船乗り)だったということもあり、艦娘の事以上に水上艦隊の事をよく理解しているし、伝手もある。

 

 …そしてその現状も、かなり正確に把握していた。

 

 

「…なんとかなりそうだ。と言ったところだ」

 

 

「…そう、か」

 

 

 少し考える素振りをしてから、パチリと駒を置く。

 

 

「アメ公も相変わらず無茶を言いよる。よっぽどお前さんと真志妻の嬢ちゃんの事が目障りらしいが、なるほど…。()()()()()()()()()()()()()()…」

 

 

 思い当たる節があったのか、感慨深そうに呟くが、新ロシア連邦(NRF)が太平洋艦隊を動かしたという情報は、まだ限られた()()しか知らない情報だ。

 

 

 一体どこから得た?

 

 

 だが井上は素知らぬ顔で口元に笑みをたたえながら、一つ息を吐いた。

 

 

「これで、詰んだな…」

 

 

 盤面はまだどちらも王手をかける様なものではなかった。

 

 だが、それでももうお終いと言わんばかりに、懐から細巻きを取り出して一服しだした。

 

 

 

「…10年だ」

 

 

 

 紫煙を吐き出しながら、自嘲気味に話し出す。

 

 

「10年。もうすぐ11年となるが、この国が身の丈に遭わん戦いにのめり込んで早10年経つ。アメ公はこの国が強大な軍事力を持つことにかなり神経質じゃ。じゃから煽てて小間使の様に南に東に北にと引っ張り回した。

 

 あの国は昔からちっっっとも変わっとらん。戦争、搾取、説教。気に食わなければどこに対しても、誰に対しても何をしても良いと本気で考えておる。それを何も考えずに迎合するこの国もどうかしておるがのう。

 

 じゃが、それに明確に抗い行動したのが、お前さんと真志妻の嬢ちゃんじゃった。

 

 お前さんらは海軍をあっちゅう間に防御主体の軍へと作り変えた。それが連中にはよほど恐ろしく思えたのじゃろうて」

 

 

 アメリカの傲慢さはどちらの世界でも似たりよったりだと土方は認識していたが、改めて言葉にして言われると、何よりその標的にされていると指摘されたことに顔を顰めたくなった。

 

 

「じゃが、何よりも恐れたのは、その人脈じゃな。お前さんら2人ときたら、揃いも揃って各国でキーパーソンとなっとる艦娘達と仲良しじゃからな。その影響力は無視出来んて」

 

 

 確かに、アメリカの保守党大統領候補であるIOWA(アイオワ)新ロシア連邦(NRF)の太平洋艦隊司令Гангут(ガングート)を筆頭にして、当時は違うにしても現在それぞれの国に於いてかなりの重要なポジションに就いている艦娘とは深い繋がりがある上に、この2人がお互い知己を得る切っ掛けともなっていた。

 

 …ロシア嫌いで凝り固まっているアメリカの支配層連中にとっては面白く無いだろう。

 

 

「まぁそのおかげで、有り難いことにイワンが文字通り助け船の船団を出して来たみたいじゃな。余程お前さんらはイワンのムスメッコらに気に入られとるみたいじゃのう」

 

 

 くつくつと笑う井上を、土方はジッと見詰める。情報の出どころが掴めず、どうしたものかと思案を巡らせる。

 

 

「そう怖い顔しなさんな。舞鶴の第3水上艦部隊基地司令部に、在日米軍からコッソリと問い合わせがあったというのを、ちょいとばかし小耳に挟んだんじゃよ。司令部の連中はなんのことかサッパリだったみたいじゃがのぉ」

 

 

 矢張り米軍も察知して動き出したか…。と思うと同時に、日本海方面の実働部隊を構成する水上艦隊の動きの鈍さと口の軽さに頭を抱えたくなった。

 

 同じ海軍とは言え、水上艦隊と艦娘部隊とでは若干管轄や指揮系統が違う。

 

 深海棲艦との戦闘に際しては艦娘部隊指揮官に指揮権の優越が法的に認められているが、それ以外では対等といった立場であるとされている為、そもそも自分は艦娘部隊の責任者ですらなく、規律云々に関して軽々に口出しすることが出来無い。

 

 下手に口出しすれば法的にも越権行為と見做されて問題となる。

 

 両部隊の関係にも軋轢が生じるリスクだってある。

 

 一応、後で真志妻に伝えておくとして、今は一旦置いておくこととした。

 

 

「アメリカサマの御意向に逆らえない、逆らう意思のカケラもない政府じゃが、頭の痛いことにウラジオへと逃げ…、いや、疎開じゃったかな?ウラジオへと移転した目先の事しか考えとらん脳足りんの拝金主義の守銭奴共(経団連の莫迦連中)が持つ現地の工場などの資産を実質人質に取られてるも同然じゃから、イワンのご機嫌も気にしなくちゃいけなくなった」

 

 

 世界各地に点在していた日本の資産は既に消滅している。基本的に政情不安の煽りを受けたというのもあるが、各地の勢力に全て強制的に接収されてしまった。

 

 そこに日本の経済界に焦りが出た。

 

 頼みの綱だったアメリカも、至極冷淡だった。

 

 そのアメリカ自身が自国のことで手一杯だったこともあり、日本(属国)の痩せ衰えた経済界(飼い犬)如きをかまってはいられなかった。

 

 

 だからこそ、新ロシア連邦(NRF)による誘致の甘言にまんまと引っ掛かってしまった。

 

 

 気がついた時には、首根っこを押さえられていた。

 

 

 アメリカの様な露骨極まりない介入こそして来なかったが、その無言の圧力を無視出来るほどの胆力など無かった。

 

 これを見ていたアメリカとしても、新ロシア連邦(NRF)による日本への影響力拡大は癪に障るが、同時に日本が他のアジア各国の様に崩壊されたらされたで太平洋戦線が非常にマズイことになるため、ロシア憎しの感情でハラワタ煮え繰り返りながらもただ指を咥えて見ていることしか出来無かった。腹癒せ紛いに日本の政財界に空虚な圧力をかけるのが精一杯だった。

 

 しかし空虚とは言え、今までのアメリカのやり口を散々見せられて骨抜きにされている政財界は、震え上がった。

 

 

 以降、日本の指導部は宗主国アメリカと後援国新ロシア連邦(NRF)──に首根っこ掴まれた経団連の圧力──の板挟みとなって、両方に対して水面下での全力土下座外交に終始する様になったのだが、そんな事知ったこっちゃ無いというのが真志妻大将だった。

 

 ぶっちゃけ経団連の連中がシベリアに放り込まれてウラジオストクの現地工場が新ロシア連邦(NRF)に国営化されようが、別にどうでもいい。てか借款の債務取り立ての担保にされてるし、そう遠くない内に持って行かれるのは確実だろうと真志妻は見ていた。

 

 意地を張ったところで“詰み”つつある現実は最早どうにもならないし、大切で大好きな艦娘達の為にも、今後を見据えて動いた。

 

 

 それを気に食わないのが、政府や軍上層部、そしてアメリカだった。

 

 

 経済と社会の行き詰まりに苦しむ我らを他所に、なんか上手く行ってる新ロシア連邦(NRF)はケシカラン!とする、自分達の無為無策の失政による当然の結果を棚に上げた、身勝手なロシア嫌いを通り越したロシア憎しの感情が、そのまま真志妻大将に向けられた。

 

 下手に表立って手出し出来無い新ロシア連邦(NRF)の代わりに真志妻をサンドバッグにしてやろうと画策したのだが、そんな中で新ロシア連邦(NRF)による事実上の軍事介入とも言える水上艦隊を派遣して来た。

 

 新ロシア連邦(NRF)が遂に積極的に動き出した。

 

 それをどうにか出来る方法は、あったとしても得られる物が割に合うかどうか。

 

 佐世保に居る第7艦隊が動かせたら、新ロシア連邦(NRF)艦隊の代わりにとかなんとか言って、まだなんとかなったかもしれないが、佐世保の桟橋に係留してある水上艦艇は今までの戦闘と不足する補給物資よる慢性的な物資不足によって消耗しきっており、その活動は単独で本国との行き来が可能な原子力潜水艦部隊に絞られていた。

 

 そもそも今の佐世保は政府や軍のやり方に不満を持った軍人達を国外に追い遣る為の、事実上の政治的な流刑地に近い扱いであり、当然であるが本国に対する忠誠心や士気も低く、サボタージュによるトラブルも少なからず発生していてマトモな戦力としては、先の原潜部隊以外では殆ど機能していない有り様である。

 

 

 こうなると、この状況は新ロシア連邦(NRF)の影響力が一挙に拡大することに繋がり、それを嫌がっていた日米の首脳部にとってはまさしく“詰み”と言える状態であると言えた。

 

 

 問題は、この事実を国民が正しく認識し理解出来るかだが、難しいだろうなと井上は見ている。

 

 

 一部を除いてこの国の世論は、アメリカメディアの孫引きしかしないメインメディアの影響もあって、ロシア蔑視に染まり過ぎている。現実を受け入れるまでに時間が必要だろうが、はてさてどうなることやら。

 

 

 終わりの始まり。

 

 

 その予感がしたからこそ、井上は“詰み”を確信した。

 

 なんだかんだ言って、長生きはしてみるもんじゃな。と、内心で嗤った。その顔はまるで陰謀を企む小悪党のそれだった。

 

 

 

「ごめんくださ~い」

「お邪魔いたします」

 

 

 そんな折に、2人の来客があった。

 

 

 春雨(ハルサメ)海風(ウミカゼ)だった。

 

 2人はそれぞれ何かしらの荷物を持っていた。

 

 

「夕餉の支度に参りました」

 

 

 そう言われて2人は初めて、今の時刻が夕方に差し掛かりつつある事に気が付いた。

 

 朝からずっと将棋をしながら話し込んでいたら、かなり日が傾いていた。

 

 

「もうそんな時間だったか…」

 

 

「歳を取ると時間が経つのが早くてかなわんのぉ…」

 

 

 その2人の老人の反応に、海風(ウミカゼ)が心底呆れ返ったという顔をしながら、腰に手を当てて小言を漏らす。

 

 

「その様子ですと、お昼も碌に食べてないのでしょう?

 

 いけませんよ!お二人共!もうけっこうな御歳なのですから!ちゃんと御身体のことを気にかけませんと!」

 

 

 海風(ウミカゼ)の小言に、ぐうの音も出ない老人組。

 

 こんな時は下手に反論しないに限る。これだって立派な処世術だ。伊達に歳はとっていない。

 

 そんな海風(ウミカゼ)にまぁまぁと春雨(ハルサメ)が優しく宥める。ある意味でこの鎮守府におけるいつもの光景が繰り広げられる。

 

 

「哨戒帰りの第七駆逐隊(七駆)のみんなからです。良い鰯が釣れたからと、お2人にと少し貰って来ました」

 

 

 春雨(ハルサメ)はそう言いながら、海風(ウミカゼ)を促して持ってもらっていたクーラーボックスを下ろさせて中身を見せる。

 

 

「おお、こりゃホントに良い鰯じゃわい。じゃが、儂まで馳走になってよいのかの?」

 

 

「はい。遠路はるばるお越しになられたのですから、何もおもてなししないのは無礼というものです」

 

 

 ニコニコと語る春雨(ハルサメ)に、井上は釣られれるようにして、好々爺然とした柔らかい笑みを浮かべた。

 

 

「そりゃ楽しみだ。瀬戸内の魚は骨まで美味いからの」

 

 

「…美味い天然物の魚が食える。それだけでも最高の贅沢だ」

 

 

「ん?」

 

 

「気にしないでくれ。それよりも、そっちの箱はなんだ?」

 

 

 地球規模で食糧事情が劣悪だった嘗ての世界でのガミラス戦役時代。仮令高級将校であったとしても天然物は地下都市生活となった頃には、まだ保存の効く一部のアルコール飲料を除いて嗜好品も含めてほぼ姿を消し、合成などの人工物しか口にできなかった──それでも3食マトモな食事にありつける事が出来ただけでも、充分に贅沢と言えた。──あの頃。そしてこの世界に来て食した代用食のあまりの酷さ──技術レベルの差は理解していたし、物資にエネルギー不足もあったのだろうが、それらを差し置いても戦役中の合成食が恋しくなってホームシックになるくらい酷かった。──から、今でこそこうして天然物を食す事ができるその有り難みから、つい口をついて出てしまった。

 

 

 無論、井上は土方の過去を知らない。土方も別に話す様な事では無いとして、話を逸らすこととした。

 

 それは春雨(ハルサメ)が持っていた物で、出前で使う()()()()だった。

 

 その中に入っていたのは───。

 

 

 

「おっ!?どうしたんじゃ…っ!?この、水まんじゅう!」

 

 

「水まんじゅう?」

 

 

 井上は目をキラキラと輝かせながら、持って来た春雨(ハルサメ)に聞いた。

 

 

 そこに入っていたのは、氷水の入った丼に浮かぶ饅頭だった。

 

 饅頭そのものは水を吸って丼いっぱいにふやけていた。

 

 

 それは新潟は長岡生まれのとある歴史的に有名な海軍軍人が愛したという、知る人ぞ知る甘味だった。

 

 

霧島(霧野)さんからです。前回こちらにお越しになられた時に仰っていましたのを思い出し、間宮さんに頼んで特別に作ってもらったと聞いています。本当は霧島(霧野)さんが直接持ってきたかったみたいですが、どうしても手が離せないとのことで…」

 

 

「おお、そうか…。いやぁ~、まさか覚えてくれていたとはのぉ。大佐ドノには頭が上がらんわい」

 

 

 嬉しそうにそう言いながら井上は別の器に入っていた上白糖をドバっと饅頭にぶっかけた。

 

 

「…饅頭に砂糖をかけるのか?」

 

 

「そうじゃよ」

 

 

 饅頭に大量の砂糖という組み合わせを見て、本当か?という顔となる土方に、井上はさも当然といった口調で返す。

 

 

「お饅頭そのものは中身が塩味のきいた小豆ですから、甘くないんです。でもまさかこんなにいっぱいお砂糖をかけるとは思いませんでした。はい」

 

 

 春雨(ハルサメ)が土方に説明するが、その顔はやや引き攣った様な苦笑いとなり、隣の海風(ウミカゼ)は信じられないと引いていたが、当の井上は何処吹く風と、満面の笑顔でさっそくと言わんばかりに匙でザクッと饅頭を掬って食べ始める。

 

 

 

「うんめえ!」

 

 

 

 感無量。

 

 

 それ以外に言葉が見付からないくらいに、童心に帰ったかの様な無邪気さで次から次へと口に運び、本当に美味そうに食べる。

 

 

「ご馳走サン」 

 

 

 そして最後は残った砂糖水もきれいに飲み干した。

 

 

 それを終始あっけにとられた様子で見ていた3人。

 

 

「ハハッ。吃驚したじゃろう?儂も若い頃に長岡の妻の実家で初めて見た時も、そんな感じじゃったと聞いとるよ。

 

 じゃが、ものは試し。騙されたと思って食ってみな?うんめぇぞ」

 

 

 そう促されて、恐る恐る食べてみる。

 

 

 小豆の塩味と砂糖の甘さが絶妙に合わさり、またよく冷えた氷水を吸った饅頭の皮のみずみずしさと冷たさから、夏の暑い日に食べたら最高と言えるほどの甘味だった。…知覚過敏にはちと辛いかもしれないが。

 

 

 そして夜は更け、春雨(ハルサメ)海風(ウミカゼ)の作った御飯と味噌汁、鰯の塩焼きに漬物といった夕餉に舌鼓を打ち──井上は本当に骨まで食し──、満足の内にその日を終えた。

 

 

 

 翌日早朝。夕べ作り置きされた朝食を摂って、それぞれが本来の日常へと戻ることになる。

 

 帰り際に、井上は土方にある忠告をした。

 

 

「あまり艦隊の連中を責めないでやってくれよ?

 

 みなこの終わりの見えない(いくさ)に嫌気が差して、不満があちこちで燻ぶっておるよ。

 

 今の水上艦隊はお前さんが指揮しとる外洋艦隊や、送り狼の時に臨時で指揮した時と比べて、練度もそうじゃが、なによりも士気の落ち込みが著しい。

 

 その事に気を付けにゃならんぞ?」

 

 

「…そんなに酷いのか?」

 

 

 土方としても、同じ海軍であり共同での作戦行動を行なう都合上、それなりに情報を得ているつもりではいたが、どうやら実態は想定以上に深刻な様である。

 

 艦娘側にばかり注力し過ぎたか…?と内心で顔を顰めた。

 

 

「いつサボタージュが起きても不思議じゃないくらいじゃ。

 

 …やっぱり沖縄じゃったな。あそこでさっさと諦めておれば、まだ違ったかもしれん。

 

 …すまん。老人は同じ話ばかりしてしまうもんじゃ」

 

 

 後日、井上の言葉通りの事件が、実際にこの地で、しかも衆人環視の中で起きた。

 

 多くの者はその事件を見て、政府やメディアが盛んに喧伝していたはずの、世界有数の海軍保有国だと誇っていたはずの日本が、音を立てて崩れ去る様を見たかの様に打ちひしがれ、文字通り魂が抜けたかのように意気消沈することとなった。

 

 

 

 だが土方達にとっては、この事件が大いに追い風となった。

 

 

 

 しかしそれはまだ先の事であり、この時はその内部の不満がもしかしたら自分達にとっては有利に働くかもしれない。という程度にしか捉えていなかった。

 

 

「…真志妻さんは、諦めておらんよ」

 

 

「…そうじゃな。嬢ちゃんは諦めんだろうね。

 

 お前さんも、諦めておらんのじゃろ?」

 

 

 その問いに、土方は頷くにとどめた。

 

 

「そうか…。では、達者でな」

 

 

 井上は軽く微笑むと、その場を後にした。

 

 

 

 

 それから暫し経ったある日、まだ新ロシア連邦(NRF)艦隊との共同作戦公表、同時期に起きた海軍の不祥事である護衛艦座礁事件などによる影響で混乱する中、海軍真志妻亜麻美大将による驚天動地の重大発表が突然行なわれ、国内は今までになく騒然とした事態となった。

 

 

 その発表を聞いた井上は、騒然とする周囲を尻目に「やってくれたのぉ、2人共」と一人校長室に籠もって酒盛りに興じたという。

 

 

 何故か机の上には2つのグラスが置かれていた。

 

 

 

「…じゃが、これからが忙しくなるぞ?停滞したままよりかは、まだマシなのかもしれんがのぉ。

 

 そうは思わんか?のぉ、シゲさんよ…?」

 

 

 

 ゆったりと椅子に腰掛け、ウイスキーの琥珀色の液体が入ったグラスを掲げた。

 

 彼の前には机があるだけで誰も居ないが、彼の目にはあの頃の見慣れた皮肉げな笑みとは違って苦笑を浮かべる、嘗て親交のあった友人、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()今は亡き橘茂樹大佐の困った様な姿が浮かんでいた。

 

 

 2人は海自(海軍)陸自(陸軍)拝米派(主流派)から外れた跳ねっ返りと言う共通点からか、親子ほどの歳が離れてはいるが馬が合い、親しい間柄だった。

 

 とは言えその共通点故に、上から危険思想同士が何か企んでいるのではと疑われて睨まれそうだからと、そこまで積極的に交流していたわけではなく、2人の関係性は橘の養子である真志妻も知らなかったし、当時の関係者達も顔見知り程度としか認識していなかった。

 

 

「安心してくれ。おまえさんのムスメッコは、しっかりやっとるよ…。

 

 ちと歳は取りすぎとるが、安心して背中を任せられるだけの御仁にも、巡り会えた」

 

 

 そう言ってグラスを呷る。

 

 

「…儂も直にそっちに逝くじゃろうが、土産話に困らなくて済みそうじゃわい。まったく、血は繋がっとらんでも、間違いなくあのお嬢ちゃんはおまえさんの子供じゃよ」

 

 

 

 

 彼はこの後暫くして周りからは本人が既にかなりの高齢という年齢もあってか、特に惜しまれずに退役し、悠々自適な老後生活に入った。

 

 ただ退役後もちょくちょくと軍へと足を運んでは嘗ての教え子達や世話になった者達に会いに行き、その度に「まだお迎えが来ないのか?」と聞かれては「残念ながら、まだ生きちょるわい!」と返す姿が確認されている。

 

 

 そして頼りにしていた土方よりも長く生き、今よりおよそ10年後に、自宅で大往生することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 卓上電話が鳴り響いた。その画面には非通知の文字。

 

 井上は険しい顔をしながら「来たか…」と呟くと、おもむろに受話器を手に取った。

 

 

「ああ、聞いたよ。流石はシゲさんの子じゃよ」

 

「…なに?儂の入れ知恵かじゃと?そうじゃったらよかったんじゃがな。生憎と今回はアンタもよく知る、あの御仁のお陰じゃろうて。

 

 これで漸く肩の荷が下りるわい…

 

 アンタはどうするんじゃ?この()()()が?」

 

「…よく言うわい。()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「よいか、忘れるなよ風見鶏!どんな理由であれ、儂は貴様を許す気にはなれん!!我が友を殺しっ!その子の周りで味方ヅラして嗅ぎ回っとる貴様を!!絶対にじゃっ!!」

 

 

 

「余計なお世話じゃっ!()()()()っ!!」

 

 

 

 受話器を叩き付ける井上。

 

 

 その顔は怒りに染まっていた。

 

 

 

 

 真志妻亜麻美は味方が少ない。彼女の心の拠り所は、ほぼ艦娘だけじゃ…。じゃがその艦娘の中に、父を殺した者が居ると分かってしまったら…?

 

 

 彼女は、もう何も信じられなくなるかもしれん。

 

 

 事の真相は、()()()()()()()()()()というのもあるが、同時に()()()()()()()()()()()()()()、という背景もある。

 

 

 これは流石に話せん。話すわけにはいかん。

 

 

 じゃから、これは墓の下まで持って逝くつもりじゃ。

 

 

 それが亡き友との約束でもあるのじゃから。

 

 

*1
既存のM270 MLRSは老朽化による退役や今までの戦闘で破壊された事もあり、アメリカから対外有償軍事援助によるHIMARS売却の話が寄せられて来ていた。

*2
そして今現在も日本に届けられていない。





 井上隆義中将のお話でした。橘茂樹大佐は劇場版パトレイバー2の荒川茂樹を意識してましたが、井上おじいちゃんは特にこれといったモデルはありません。最初は映画での堀悌吉中将を意識していましたが、しっくりしなくて取り止めました。

 作中65歳の土方司令よりもおじいちゃんですが、某米の国の機密文章問題での取り調べで耄碌し過ぎで起訴無理判断されたジジイ大統領よりかはシャキッとしてます。

 台詞の随所に映画由来のものを散りばめましたが、これは先に述べました堀悌吉中将を意識していた時の名残と、何よりも水まんじゅうのくだりが一番やりたかったというのもあります。


 最後にぶっ込みましたが、橘大佐死亡の実行犯は、あきつ丸です。詳細はいずれ。ただ風見鶏というのは井上中将の思い込みもありますし、この時のあきつ丸にもそう捉えられても仕方無い行動をしてました。
 事件後に井上の下に自ら実行犯であるとも名乗り出ており、その後も色々とあってかなりピリピリした呉越同舟な間柄となりました。



 艦隊これくしょんも気が付けば11年。早いものですなぁ。
 …戦争として捉えたら、11年間戦争状態。

 そして現実世界ではロシアによる宇国への特別軍事作戦の切っ掛けの一つともなった、マイダン革命後のキエフ政権によるロシア語圏のドンバスを始めとした宇国東部での紛争が今年で10年。

 この当時のドンバスからロシアへと移り住んだロシア系ウクライナ人の青年への、モスクワ在住日本人YouTuberニキータ氏がインタビューした内容の投稿のURLを貼っ付けておきます。


 https://youtu.be/DfM7ahou_Hs?si=Szqdb3YNGTYxoRdQ


 これが戦争なんだと改めて実感すると共に、10年と語った時の青年の諦観した様な顔に、遣る瀬無い気持ちとなりました。

 そんな中でロシア連邦軍によるハリコフへの攻勢が遂に開始され、その進撃速度は宇国の腐敗と怠慢、兵員不足という要素も相俟ってかなりのものであるとのこと。(対戦車防御用の阻害ブロックが道端に積み上げられて放置されたままの画像が出ています。またかなりの資金と資材が“消えた”という証言出て来ています。)
 …仮令これ以上武器弾薬や兵器を支援しても、扱える兵隊がマトモにいない以上、もうこの辺りで和平交渉とすべきなのでしょうが、“今だけ”“金だけ”“自分だけ”の人々にはお金儲けが最優先事項なのでしょうね。

 
 スロバキア首相、フィッツォ氏の1日も早いご回復を心より願います。


補足説明

対外有償軍事援助 Foreign Military Sales、FMS

 お金前払い。ただし納期はアメリカの都合次第という事実上納期未定が可能な詐欺まがいな事が出来るアメリカのお金儲け制度。
 契約時最新の武器でも、納品された時には旧式化していることもザラ。と言うか初めから旧式だったり訳アリが押し付けられることもよくあるし、契約違反であっても文句言えない、壊れていても保証期間がとっくに切れているなんて日常茶飯事な事実上の不平等協定。

 矢張り主幹兵器は高くとも国産で賄う努力をすべし。確かに輸入の方が安いという指摘も、一面として正しいが、輸出国の政治的、外交的、国内的な事情という不確定要素に左右されやすいリスクを常に孕んでいる。


M142 HIMARS(ハイマース) 高機動ロケット砲システム(High M obility Artillery Rocket System, HIMARS)

 アメリカが開発した多連装ロケット砲システム、M270 MLRS(Multiple Launch Rocket System, MLRS)の装輪モデル。


MGM-140 ATACMS(エイタクムス) 陸軍戦術ミサイルシステム (Army Tactical Missile System,ATACMS)

 ロッキード・マーティン社が開発したロケット弾及び戦術弾道ミサイル。

 子爆弾を内包したBlockⅠ(射程165〜248㎞)とBAT 無動力滑空型誘導式子爆弾を内包したBlockⅡ(射程距離140〜300㎞)に大別される。


9K720 Искандер(イスカンデル)

 コロムナ機械制作設計局が開発した車両による運搬及び発射が可能な短距離弾道ミサイル。

 戦域レベルの紛争を想定しており、ポイントやエリアの標的、例えば敵火力兵器、防空・対ミサイル防衛兵器、司令所や通信設備、密集地帯の軍隊などに合わせて通常弾頭を使い分けることで、活動中の軍部隊や標的の両方を破壊することにより敵軍の戦闘遂行能力を弱体化させる事を目的とし、航空宇宙軍による爆撃や巡航ミサイルなどによる航空攻撃が期待出来ない際に、精密攻撃の代替手段として用いられる。

 クラスター爆弾弾頭、燃料気化爆弾弾頭、威力増大型弾頭、バンカーバスター用の地中貫通弾頭、対レーダー作戦用の電磁パルス弾頭など、いくつかの異なるタイプの通常弾頭が用意されているが、製造企業であるロステックの会長は、国内仕様には核弾頭搭載能力が備わることを明言している。

 国内仕様のイスカンデルM(射程400㎞。但し500〜700㎞まで射程を延ばせるだけのポテンシャルがある。)と輸出型のイスカンデルE(射程280㎞以下)の他に、巡航ミサイルタイプのR-500 イスカンデルK(この「K」は「有翼の」を意味するロシア語の形容詞の略号である。)

Wikipedia参考



戦争、説教、搾取

 民主主義ガー!人権ガー!などのイチャモンつけて戦争吹っ掛けたりレジーム・チェンジ仕掛けたり、カネとかの利権や権利を毟り取っていくアメリカの対外政策を端的に言い表した言葉。頭文字をとって3S政策と呼ばれる事も。

 その大元は米ソ冷戦終結後の92年に策定されたDefense Planning Guidanceによる積極的介入政策にあると指摘されている。
 事実、軍事介入は冷戦期の四倍(冷戦期四十数年間の約五十回から、冷戦後の三十数年間は二百回以上)に増えている。

 Defense Planning Guidanceに関しましては、googleで『Defense Planning Guidance 1992』と打ち込んで検索すると色々と出て来ます。
 それとこれに関連します動画のURLを貼り付けておきます。

 https://youtu.be/xSvVCfnuCA8?si=ClStFAp_eFln41vh

 何度かご紹介致しました伊藤寛先生の動画となりますが、約1時間の前半部分にあります。


第3水上艦部隊

 旧海上自衛隊舞鶴基地を母港とした第3護衛隊群をその前身とする水上艦隊。



 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。

 …気が付いたら総文字数2万越えとるがな。
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