艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり 作:稲村 リィンFC会員・No.931506
すみません。遅くなりました。
今回ガトランティスに対する個人的解釈マシマシです。
アナライザーから語られる戦闘生命体ガトランティス、それらを統率する存在であるズォーダーという人造人間に関する過去の記録。
創造者たるゼムリアに反旗を翻すも、自身が愛したゼムリアの女性と自身の
だがゼムリアの人間は人質の助命を約束していたにも関わらず、後に反故にして殺害。
そこからガトランティスの──、ズォーダーの千年に渡る憎しみまみれの、ある種の自暴自棄な破壊の旅が始まる。
こう言ってはなんだが、ズォーダーが受けた仕打ちは歴史上よくある悲劇の一つに過ぎない。
だがズォーダーは己が受けた仕打ちから「愛は誤った判断をもたらす」と考え、さらには「愛こそが宇宙に争いをもたらす元凶である」と断じ、『愛』という感情を忌み嫌い憎悪し、全否定の対象としてみなしている。
ガトランティスの厄介な所は、子を成せない代わりに自らのクローンを作り、それに全てを受け継がせていく『
さらに、ズォーダーの迷惑極まりない破壊衝動を成し得る『強大な武力』の存在も大きい。
『古代アケーリアス文明』が遺した負の遺産、『滅びの方舟』。
アケーリアス。
アンドロメダのいた宇宙で一番始めに栄えた人型知的生命体の文明とされ、彼らが『人間の種』を全宇宙に蒔いたことにより、地球、イスカンダル、ガミラス、ゼムリアなどといった数々の人型知的生命体による文明が生まれたとされる。
しかし、当のアケーリアス文明はいつの間にか、人知れずにこの宇宙から
その遺跡の一つがガミラスが使用し、『ヤマト』もイスカンダルへの航海でも使用した『亜空間ゲート』である。
この様な形で未だに稼働する遺跡が多数あり、それらは『ポスト・アケーリアス文明』にとっても大変貴重で有益、重要な役割を果たしていた。
だがアケーリアス文明は、そんな有益な物ばかりを遺していたわけでは無かった。
自身が蒔いた『人間の種』によって生まれた文明によって宇宙が破壊し尽くされる可能性を危惧したのか、それに対する安全装置──いや、カウンターパワーとして破壊し殲滅する『滅びの方舟』という極めて危険な遺跡、地球の波動砲艦隊すら凌駕する『大量破壊兵器』を遺していった。
それをどのような経緯でズォーダーが見つけ出したのかは、分からない。
なんとも皮肉なことに、宇宙の全てを破壊したいという危険な破壊衝動と欲求に突き動かされた最も危険な存在の手に、その願望を現実の物に出来るだけの力を有した特一級の超危険物が渡ってしまったのだ。
この『大量破壊兵器』が
「まったく、迷惑極まりない厄介な代物を遺して消えるなんて…。アケーリアスは無責任にもほどがあります!」とはアンドロメダの言である。
実際アンドロメダは、いや地球軍やガミラス軍もガトランティスその物というよりもこのアケーリアス文明の遺した『滅びの方舟』に苦戦させられたと言っても過言では無かった。
ガトランティスは
物量と勢い、他の文明から拉致誘拐した科学者に無理矢理作らせた
戦術的に無駄が多く、無駄に犠牲ばかり蓄積している一面が散見されていた。
ただし常識はずれの行動により思わぬ損害を受けることも度々あった為に、油断は出来なかった。
それを念頭に置いて対処すれば再建途上の地球軍でも、勝ちきれずとも敗けない戦いは出来ると思われていた。
あの時までは────。
『第十一番惑星大量虐殺と地球破壊未遂事件』
思えば地球軍の迷走はこの事件が最大の原因であると言っても過言では無い。
太陽系最果てに位置する地球とガミラスの共同入植地である第十一番惑星で起きた筆舌し難い大規模虐殺───奴らガトランティスの思想から鑑みるに、寧ろかつての人類が行った愚行の一つである民族浄化が最も近いと言えるかもしれない。───は、地球人類にガトランティスが何故ガミラスから『蛮族』と蔑称されて忌み嫌われているのかを理解する切っ掛けとなった。
まさしく野蛮。
だが軍上層部にとって問題はそこでは無かった。
無論、早期警戒及び迎撃に失敗し、守るべき地球とガミラスの入植者達に甚大な被害を出してしまった事も重大過ぎる事態である。
本来ならばこの地を守護する『外洋防衛師団』に配備されていた外周艦隊に所属する守備艦隊の主力が、先日に地球本国の主導で行われた政治色の強い作戦*1に虎の子の内惑星艦隊共々駆り出されて大損害を受けた影響で、防衛戦力が大きく低下していたという重大インシデントを引き起こしていたのだが、例え守備艦隊の主力が無傷で揃っていたとしても、ガトランティスが最終的に第十一番惑星へと投入した戦力からすると結果は大して変わらなかっただろう。
ガトランティスが第十一番惑星に投入した艦艇の総数、『
その物量の前では、例えこの時地球軍が有していた艦隊の全てを洗いざらい根こそぎ投入していたとしても、圧殺されていた可能性が高いというシミュレーション結果が後に出されていた。
ガトランティスはこの250万隻全てを潰すのと引き換えに可能となる超長距離砲撃によって地球を完全破壊、もしくは再建不能レベルの大損害を与える攻撃を企図していた。
この砲撃は結果として、第十一番惑星の救援に赴いた宇宙戦艦『ヤマト』の存在と、様々な幸運と偶然が重なったことにより、最悪の事態
だが軍はこの時点で策定されていた軍備計画、特に満を
この時計画されていた『波動砲艦隊計画』は、新開発の拡散波動砲を装備した艦隊指揮戦艦*2を筆頭に、拡散波動砲搭載の量産型主力戦艦*3、取り回し重視の小型波動砲装備の戦闘巡洋艦、早期警戒・巡視任務を行う軽巡洋艦*4、ワークホースたる駆逐艦や護衛艦*5などの各種艦艇がバランス良く配備されたオーソドックスな艦隊編成として計画されていた。
しかし250万隻──しかもその全てが大型戦艦級──という馬鹿みたいな大軍をポンッと投入して、さらには簡単に使い捨てに出来る敵に対してどう考えても、現行の計画の艦隊戦力で対処するのが無理である事は自明の理であった。
火力が足りない。
現行の計画で就役予定の全拡散波動砲搭載艦を持ってしても、確実に押し切られるというシミュレーション結果が何度も弾き出された。
そこで導き出されたのが『拡散波動砲装備の戦艦を大量建造し、拡散波動砲艦に比重を置いて編成された主力艦隊の編成』だった。
単純であるが、艦隊の火力を底上げするにはその方法しか無かった。
だがそれも、ガトランティスの謎を解明する為に惑星テレザートへと赴いた『ヤマト』からもたらされる最新の情報によって、その比重の割合がどんどん大きく傾き、必要となる戦艦などの戦闘艦の総数も大きく上方修整されていった。
後に生起する土星決戦の時点で、その割合は9:1になっていた。無論、9が拡散波動砲艦である。
この影響で戦闘巡洋艦と駆逐艦の建造はキャンセルされた。*6
しかしその集大成は土星決戦中盤戦における主力艦隊同士の正面からの殴り合いで遺憾無く発揮された。
雲霞の如く押し寄せる
そして─────。
「『ヤマト』からの報告によると、白色彗星の中心は、惑星規模の人工要塞と推定される!」
「全艦隊、マルチ隊形へ!一斉砲撃をもって、彗星内部に潜むガトランティスの拠点を────、」
「殲滅する!!」
突如として土星圏戦闘宙域へとワープアウトしてきた白色彗星に対して、地球軍はこれを好機と見て総攻撃を決断。
波動砲発射が可能な残存戦艦、およそ900隻を集結させて波動砲による一斉砲撃を仕掛けるべく、地球艦隊を指揮する山南司令は次々と指示を出していく。
その傍らでアンドロメダはいつもの様に落ち着いた雰囲気で静かに佇んでいるが、内心はヤル気の炎を燃え上がらせていた。
「(愛する
誰よりもヤマトを愛してやまないアンドロメダにとって、ヤマトの前に立ち塞がるだけでなく、陰湿かつ陰険な妨害の数々を行い続けたガトランティスは、最早存在その物が我慢ならなかった。
同じ宇宙に存在しているという事実だけで、体と心の両方に蕁麻疹が出そうなほどであり、
その時が今、漸く訪れたのだ。まだか?まだか!?早く撃たせろ!!と逸る気持ちを、アンドロメダは必死に抑えていた。
戦艦はかつての戦列歩兵の射撃隊列に似た密集陣形を形成。
その周辺を直援の護衛駆逐艦や、戦闘による損傷や故障などで波動砲の発射は出来ないが戦闘は可能な戦艦がガッチリと固め、ガトランティス艦隊による側面攻撃を防いでいた。
「重力子スプレッド展開、
土星決戦に参加した『アンドロメダ』姉妹5隻から、発射された波動砲の収束率を更に高める為の重力フィールドによる重力レンズを形成するエネルギー弾が撃ち出され、地球艦隊と白色彗星の間に5つの重力フィールドが展開される。
「全艦、波動砲発射用意!」
「彗星、更に増速!」
「重力フィールド、収束率、予定値へ」
「目標、彗星中心核!セット20!45!」
「セット20、45!拡散波動砲から、収束波動砲へ全艦連動!」
「エネルギー充填120%」
「対ショック、対閃光防御」
地球艦隊の艦首部分に装備されている波動砲口に、凝縮された波動エネルギーの光芒が灯る。
「発射10秒前!」
「9、」
「8、」
「7、」
「6、」
「5、」
「4、」
「3、」
「2、」
「1、」
「発射っ!!」
地球艦隊から一斉に放たれる必殺の光輝く鏃。
宇宙の虚空を切り裂く無数の光の鏃は、過たず重力フィールドに当たり、5つの巨大な光の柱へと変化し、さらにそれが絡み合って一つの超巨大な光の破城槌へとその姿を変え、白色彗星とその内部に潜むガトランティス本体を完膚なきまでに撃ち砕くべく突き進む。
傍若無人の限りを尽くし、宇宙に破壊と死を撒き散らした極悪非道、悪逆無道の
この瞬間、地球軍は勝利を確信した。
いや、地球軍だけではない。この戦いを観戦していた地球市民、ガミラスの人々。そして
勝ち気で好戦的なアポロノームやアキレス、普段はおっとりとしているが姉妹一冷徹なアンタレス、姉の事以外では姉妹で一番冷静沈着なアルデバランも、*7そんな彼女達を纏め上げる普段から落ち着いた佇まいの長姉アンドロメダ*8ですら────
さらに戦闘の一部始終を見つめていた宇宙戦艦『ヤマト』のクルー達。
そして愛する娘達の活躍を見守る、地球艦隊随一の歴戦の戦士にして、全ての地球艦の魂から最強の誉れを捧げられて称え崇められ、一種の神格化すらされているヤマトですら────
誰一人として勝利を疑わなかった。
地球艦隊の波動砲発射を阻止しようと抵抗を続けていたガトランティス艦隊だが、蛮族さながらの
この蛮族共の蛮勇とも取れる必死の抵抗が、ガトランティスが波動砲に対して何ら防ぐ術が無い事を物語っている証である様にも見え、地球の勝利をより強く確信する材料になった。
地球は、いや宇宙は我らが地球艦隊の獅子奮迅の活躍によってガトランティスの破壊と殺戮の魔の手から救われたのだ!
さあ!英雄達を讃えて勝鬨を!勝利の凱歌を挙げようではないかっ!!
だが。
ガトランティスが、
波動砲によって撃ち払われた、彗星を構築していた中性子のガス帯が消え去った後に出てきた物に、勝利を信じて疑わなかった者達は、その結果に信じられないと驚愕するしか無かった。
無傷。
無傷で表れた
そう、今地球艦隊の眼前に現れた
『ヤマト』が一度垣間見た物は、それのほんの極一部分にしか過ぎなかったのだ!!
しかもその周りに展開する近衛とおぼしき艦隊にすらダメージを与えていなかった!
これを見た山南司令は、ショックから逸早く立ち直ると、直ぐ様艦隊全艦にエネルギーの急速再チャージを命令、第二射の用意を急がせた。
短時間での波動砲連続射撃はエンジンにかなりの負担を強いる危険な行為である。
だがここで攻撃の手を緩めてはならない。ここで手を緩めたら、主導権はガトランティスに奪われる!ここは多少の無茶や無理は承知の上で押し切るしかない!
アンドロメダも山南司令の考えに賛同だった。
だがこれが、地球艦隊に、アンドロメダに更なる悲劇を与える事となる。
アンドロメダはこの時、自身の
だが今は構ってはいられなかった。
何としてもこの一撃で!!
これが決まらなければ地球軍には後がない!!
ある種の強迫観念に囚われながらも、波動砲の再チャージが完了し、直ぐ様第二斉射を撃ち放った。
先の斉射によって、既に重力フィールドは失われていたが、それでも数百隻から放たれる収束波動砲の弾雨による破壊力は絶大である。
今度こそっ!!
その光輝く鏃の弾雨を見守る地球軍は等しくそう願った。
アンドロメダも、痛みに顔を歪め、口元から僅かに血を滴らせながらも祈った。
だがその祈りは、波動砲の光条と共に、無残にも掻き消される事となった。
『滅びの方舟』の周辺が揺らめいたかと思うと、未知の防御フィールドによって、全ての波動砲の鏃が、掻き消された。
茫然自失となる地球艦隊に対して、ガトランティスは反撃を開始した。
それも超重力を発生させて地球艦隊を引き摺り込むという方法で。
艦隊の陣形がバラバラにされ、しかも密集していた事が災いし、随所で激突する
山南司令は全艦に離脱命令を下すも、ガトランティスの近衛艦隊は混乱する地球艦隊に向けて超大型ミサイルによる追い討ちをかけてきた。
この一撃により地球艦隊はその大半を失い、『アンドロメダ』は大破。
「波動砲口大破!」
「引き寄せられます!!」
「エンジン、出力低下!!」
さらには不調を訴え不安定になっていたエンジンの出力が低下してしまい、『アンドロメダ』もこのまま沈むかと思われた。
しかし───。
『アンドロメダ』に強い衝撃が襲う。
「『アポロノーム』接触!!」
「なにっ!?」
『アンドロメダ』の艦底部に、僚艦にして妹である『アポロノーム』が接触したのだ。
『アポロノーム』もダメージを負って、コントロールを失ったのかと思った瞬間、通信画面が反応した。
「山南司令、
「安田艦長…!」
「残りの出力で『アンドロメダ』を押し出します!」
「山南、お前は最善を尽くした」
「安田…」
「幸運を祈るっ!!」
『アポロノーム』が文字通り最後の力を振り絞って、『アンドロメダ』を押し出した。
だが、その直後に『アポロノーム』のエンジンノズルから火が消え、みるみる間に引き摺り込まれていき、遂には敵大型ミサイルの第二派により、爆沈した。
ここで記録映像は終わった。
この映像を見た全員が、沈痛な面持ちを湛えていた。
特に最後、『アンドロメダ』が『アポロノーム』に助けられた際に映っていた、人間には絶対に見えず、聞こえない、アンドロメダとアポロノームのやり取り…。
そして響き渡る、アンドロメダの、慟哭────。
駆逐棲姫は我が事のように、涙を流し嗚咽していた…。
しかし空母棲姫はあることがずっと引っ掛かって気になっていた。
「…たった二年であれだけの
地球は一度完全に荒廃していた。
その復興もあるだろうに、あれほどの数の
さらに言えば、ガトランティスという軍勢に備えるべく増産を開始したというらしいが、どう考えても間に合うわけがない。
それなのに間に合わせていた。
なにかがおかしい。
だがその疑問に対する答えは、思わぬ所から発せられた。
「…時間断層工廠」
本来ならば寝むっていたはずのアンドロメダが、上体を起こした姿で空母棲姫の顔を見つめながら喋っていた。
「コスモリバースシステムにより青い地球を取り戻した裏側で、密かに抱えていた問題…」
「そこでは通常の十倍の速度で時が経過するという現象が発生する、まさに特異点…」
「私が
「私の、
リアルが滅茶苦茶忙しくて中々書く暇がない!!
解説
改Метель級護衛駆逐艦
メチェーリ級をベースに機関出力と武装の強化の為に本来建造されるはずだった駆逐艦用に開発された5inch連装主砲を装備している。改メチェーリ級護衛駆逐艦、或いは一番艦の艦名から海風型と呼称されたりもする。ただしメチェーリ級最新ロットの『ハルサメ』を海風型のテストヘッドとして建造したため、春雨型とする資料もある。
尚、
「ハルサメ姉さんは私の目標であり、最愛のお方でした。私はハルサメ姉さんから数多くの事を教えて頂きました。ですから私は春雨型であると思っていますし、その事に誇りを持っています」
はい。オリジナル設定艦です。何故春雨と海風をチョイスしたかだって?ある人の作品の影響で二人が好きになってしまったからです。
それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。
アメリカ大統領選挙のイメージは?
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直接選挙
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間接選挙