艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり 作:稲村 リィンFC会員・No.931506
今回で一応2202の話は終了となります。つまり過去語りは終了です。長かった…。まさか十話も使うとは…。
2202はいささか首を捻る話が多く見られますが、後半に行くにしたがって、それがより顕著になっている気が致します。特に加藤隊長に関する扱いや話は、その妥当性も含めて未だに首を捻っています。何て言いますか、なんとなく不自然な感じが拭えないんですよ。
私は
私が
そして何よりも、その空間が生物の生存を許さないという特異性から仕方無いとはいえ人間の、生命の伊吹や温もりの一切が感じられず、それが人類や私達の将来を
いつか
そんな未来がそう遠くない内に訪れるのではないか?という言い知れぬ恐怖に苛まされては陰鬱な気持ちに陥らされる。
私にとって
そしてそれは現実となってしまいました。
BBB戦隊…。 BLACK BERSERK BATTALION、黒色狂戦士大隊…。
人間が一人もいない、無人の艦隊…。
感情が初めから欠落
初めて彼女達と会ったのは、土星決戦敗退から地球へと戻って来た直後の月軌道です。
彗星内部へと短距離ワープによる強行突入を行い打撃を与える為に出撃して行くのと、丁度入れ違う形で彼女達と擦れ違いました。
「(まるで人形ですね…)」
アルデバランとよく似た姿をした、*1しかし生気を感じない、表情が抜け落ちたかのようなその姿に、思わずそう感じました。
ですが、それが間違いであったと直ぐに思い知らされました。
「行って、きます」
「アポロノーム
「ヤマト様の、仇も、我らが」
「アンドロメダ長姉様の、御無念、私達が、晴らします」
「ご自愛、くださいませ」
たどたどしい口調ながらも皆がそう口々に、私を励ます様に言い残しながら、そして、ぎこちないながらも頑張って作った『笑顔』を私に見せながら、次々と擦れ違って行きました…。
私は、それを涙を流すのを必死に
戦いに敗れ、
自分達が帰って来ることが叶わない作戦に出撃して逝くのにも関わらず、彼女達は、私を気遣うという『優しさ』を見せてくれた…。
彼女達のその『優しさ』が、その時は辛かった…。
AIによる完全無人化は理論的には可能であるが、
その理由は『ヤマト』がイスカンダルから帰還する際に発生したデスラーによる『デウスーラⅡ世』からの『ヤマト』移乗攻撃で使用されたガミロイド擲弾兵が、ウイルスによるサイバー攻撃によって無力化された実例が上げられる。
さらには友邦ガミラスが開示した、デスラー体制時代にも侵略先で似たような事例が多数見受けられたため、*2これらを根拠に地球軍内では派閥に関係無くAIによる無人兵器に対する不信感が意外と多かった。
「人間の数が圧倒的に不足しているんだ!無人化を押し進める事こそがただ一つの解決法だ!!」
「『ヤマト』の記録やガミラス軍から開示された情報を見ていないのか!?いくら高性能な兵器でも、ボタン一つで無力化される好例ではないか!ましてや無力化され乗っ取られた無人兵器群が我が軍や地球、最悪友邦国ガミラスへと牙を剥いたらどうするのだっ!?あなたはその責任がとれるのですかっ!?」
「そもそも完全無人化というが、一体何十年掛かるか分かっているのかね!?」
「我々のAIは時間断層工廠のメインフレームとリンクしているのだ!しかも自己進化型である!つまり開発速度やセキュリティーは時間断層の特性も相まって飛躍的進歩が可能であり、その心配は杞憂にして敗北主義の売国思想というものであるっ!!」
最終的に無人化推進派に押し切られたが、結論を言えば無人兵器は期待された程の物とはならなかった。
AIのアルゴリズムや専用のアビオニクスの開発が想像以上に難航。*3
ガトランティスとの本格戦闘までに完成したのは
時間断層工廠のメインフレームも、この戦争の内に完成するのは到底不可能であるという結論を早々に出していた。
そこから取り敢えず戦えれば良いだろうと、動ける戦闘衛星としてAIは完全に割り切ってしまっていた。
正直に言って、BBBを初めとした無人兵器群は未完成のままで戦う羽目になってしまっていたのだ。
それはつまり、初めから消耗する事が前提として戦略に組み込まれていた。
地球は、際限の無い消耗戦を良しとする戦略へとシフトしていた。
…現状を鑑みれば、それが最も最善なのでしょう。しかし、頭では理解出来ても、心はそれを拒んでいました。
その事実が私の心に重くのし掛かっていました…。
ですが、それ以上に心苦しくなる現実を、私は突き付けられました。
しかし、それによる歪みが如実に出てきていました。
建造された艦艇の外観に変化は無くとも、その内装、工程、検査などが徹底的に簡略化、簡素化を突き詰めて、兎も角より多くの戦力を揃える事に注力した結果、以前までならば検査で
完成した
さらには増産が続けられていた
…遂にここまで来てしまったか。と頭の片隅では思いながらも、…正直、もうあの頃はほとんど何も感じなくなっていました。
アポロノームと
悲しいとか、怒りだとかが、痛みすら分からなくなっていました…。
ですが…、それでもあの時から、私は心の底から、どうしようもない程の、怒りと憎しみが、奴等を滅茶苦茶に引き裂いてやりたいという激しい衝動が体の奥底から沸き上がるのを感じました…!
彼奴等は、あの蛮族共は、あろうことか死者を、
彼奴等は…!彼奴等だけは、許せないっ!!許してなるものかっ!!例え
何処から取り出したのやら、自身のサイズと比して明らかに巨大な人間用サイズのハリセンを持ったドクターが、ヒートアップし続けるアンドロメダの後頭部を見事な上段の太刀筋(?)で思いっきりしばいた。
あまりの衝撃に、アンドロメダは後頭部を押さえて踞りながらも下手人であるドクターに涙目の半眼で睨み付ける。
「落ち着かんか!バカタレっ!!お嬢ちゃん達が怖がっとるぞ!!」
えっ?と
空母棲姫と南方棲戦姫も、全身から冷や汗を流しながら、顔を引き攣らせていた。
アンドロメダは自覚していなかったが、
とはいえ状況からまた自分がまたやらかしてしまったのだと理解し、落ち着きを取り戻す──どころか
そんなアンドロメダの姿を見た駆逐棲姫が、アンドロメダの
駆逐棲姫は怯えていたというよりも、
普段の優しい雰囲気が何処かへと消え去ってしまったのかと思えるほど、あの瞬間にアンドロメダが見せた怒りと殺意は尋常な物では無かった。
そして理解した。アンドロメダが心の内に抱える怒りと憎しみの激しさと大きさを。
思い知った。自身がアンドロメダの事をあまりにも知らなさすぎる事に。
駆逐棲姫はアンドロメダの頭を自身の胸に抱き抱え、髪を鋤く様にして頭を撫でた。
そうすることで少しでも落ち込んだアンドロメダの気持ちを癒してあげたかった。
今はこの方法しか思い浮かばなかったが、それでもアンドロメダは目に見えて落ち着いた雰囲気へと戻っていった。
駆逐棲姫の温もりが、アンドロメダの心を少しずつ癒していた。
その様子を見つめていたドクターが「まるで本当の姉妹のようじゃな…」と呟くと、南方棲戦姫に「茶化さないの」と軽く小突かれ、白い歯を見せながら呵呵と笑い、酒瓶を呷った。
『ヤマト』はガトランティスによる破壊工作によってエンジンの機能を停止させられ、推力を失ったことで彗星に飲み込まれたのである。
だが実際にその時『ヤマト』艦内で何が起きたのかは謎だった。
だがその『答え』とされるものを、ガトランティスは伝えて来たのだ。
『ヤマト』の乗組員の中に、実子が地球で問題となっている不治の病*4に冒されている者がいた。
その病は地球やガミラスの医学薬学では完治不能とされていた。
ガトランティスは「病を完治出来る薬が欲しくないか?もし欲しければ代価として『ヤマト』のエンジンに細工しろ」と悪魔の囁きを、その乗組員にしたとされる。
息子の命か、苦楽を共にしてきた『ヤマト』と仲間達かの二者択一という選択を迫ったのだ。
そしてその乗組員は息子の命を、選んだ。
だがこれには幾つもの不自然な点がある。
取引材料である薬物の情報の真贋を、どうやって精査した?
ガトランティスが『報酬』として地球へと送信した薬物に関する情報は膨大な量だった。
その乗組員は医療関係者でもないただの一パイロットであり、本人にその能力は一切無い。
艦医に情報の精査を願い出たとされているが、ハッキリ言って艦医一人で完璧に精査出来る情報量では無かった。
だがそもそもの問題として治験による安全性の確認、有効性すら確認されていない薬物を何故簡単に信用した?
いやそれ以前にガトランティスが約束を反古する危険性を考慮しなかったのか?
100歩譲って、子を持つ親の心情を考慮したとしても、あまりにも短絡的であり思慮に欠けていると言わざるを得ない。
1000歩譲って薬物が本物であり、安全安心副作用の心配も無かったとしても、地球が攻め滅ぼされたら、なんの意味も無い。
あの時地球は虎の子の主力艦隊が壊滅し、非常に不利な状況だった。滅ぼされてしまう可能性は
10000歩譲って薬物も手に入り、地球がガトランティスを打ち倒したとしよう。それでハッピーエンドと成り得るか?世の中そんな甘い訳あるか。
どんな理由であれ、その乗組員が行った行為は明瞭な地球と軍に対する裏切りに他ならない。
結果が良ければ全て良しというものではない。
その乗組員の実子は、裏切り者の子供としてこれからずっと後ろ指をさされる毎日を過ごす事に成りかねない。
かつての内惑星戦争終結後に火星の住民、マーズノイドが受けた有形無形の差別や蔑視の数々という実例がある以上、杞憂で済む話ではない。
この乗組員にはマーズノイドの友人や部下もいたし、その友人や部下とは親しい間柄だった。因みにこのマーズノイドの二人は兄妹である。
兄妹が受けていた差別を直に見ていた筈である。
差別が緩和したのはガミラスの侵攻によって、差別だとか言っていられない位にまで人類が追い詰められたというショック療法が大きい。
ガトランティス戦役が地球の勝利で終わったとして、暫くしたらこの問題が掘り下げられる可能性が無いとは言い切れない。
視野狭窄という可能性を加味しても、また状況的に色々と不可思議なのである。
これはアンドロメダの推測だが、実際はガトランティスが諜報活動や工作活動で使用する、
事実『ヤマト』による第十一番惑星救援の際に救出した生存者の民間人や、その後『ヤマト』の航海に合流することとなった同地の地上戦力として配備されていた空間騎兵隊員の中に蘇生体にされていた者がいた。
しかもその蘇生体によってガミラス軍に被害が出る事件が発生し、生存者が隔離される事態にまで発展していた。
そして抵抗の意思を固めた地球に対して「
騙しのテクニックとして、嘘の中に幾つか事実を混ぜ込ませるという方法がある。
それによって事実ではないか?と疑うようになる。
報酬として地球へと送信した薬物の情報が、『嘘の中の事実』だったのではないか?
敢えて正確な薬物の情報を与えることで、信じこませる。
ガトランティスにとって特にメリットも無ければ、デメリットも無い。おそらく完全な『余興』だったのだろう。
だが、アンドロメダにとっては、そんなくだらない余興の為だけに母と慕う愛するヤマトが利用され、あまつさえその名誉と尊厳までもが傷つけられたということが、駄目だった。
今までは自身の立場から常に冷静に、頭の片隅は常に冷徹にを心掛けて自身を律する様に努力してきた。
我慢の限界を迎えようとも、せめて感情が
だがそれも、ヤマトの名誉と尊厳が傷つけられたことで、アンドロメダの心の一線を越えてしまった。
抑えようの無い、いや、抑えることを
あまりにも激しすぎる怒り、憎悪、殺意、それらが複雑に絡み合った感情が次から次へと溢れだし、アンドロメダの心を復讐を望む悪鬼羅刹へと豹変させた。
「あの頃は、全てがもうどうでもいいとすら考えていました…」
「戦って戦って、戦い抜いて、
タンクベッドの
その方が気が落ち着きながら話せるでしょうと、駆逐棲姫自ら進み出て提案したのだ。
その後の顛末、ガトランティス本隊への直接攻撃の為に山南司令と共に
作戦の失敗を悟った段階で偶然見付け出した、ガトランティス本隊内部に点在する資源惑星に捕らわれている『ヤマト』の艦影!!
そこから始まった『ヤマト』の救出劇。
いくら傷付こうともその歩みは決して止まらず、行く手を阻む敵に対してありとあらゆる武力を用いて血路を切り開く、まさしく『アンドロメダ』による『アンドロメダ無双』と言っても過言ではない『死の舞踏』。
『ヤマト』脱出を阻害するガトランティスの重力場発生装置を援護に駆け付けた『ヤマト』の姉妹艦『ギンガ』と共に破壊し、見事『ヤマト』を救い出した。
だが、『アンドロメダ』の艦体は既に限界を越えてしまっていた。
本当ならばとうに沈んでいてもおかしくないほどのダメージを受けていたのだが、自身に宿る魂の願いに応えるかのように、今まで耐えきってみせていた。
しかし『ヤマト』を救出出来た事によって、まるで緊張の糸が切れたかの様に『アンドロメダ』の艦体の随所から火を吹きだし、次第に落伍しだす。
最期を悟り、
これがアンドロメダが歩んできた自身の
その後地球がどうなったのかはアンドロメダは知らないが、アナライザー曰く『ヤマト』を中核とした残存戦力、そして在地球ガミラス大使ローレン・バレル氏が指揮する大使館駐留艦隊。かつてのドメル軍団幕僚団唯一の生き残りであり、『ヤマト』と数奇な間柄で結ばれたフォムト・バーガー少佐が率いるガミラス本国からの増援艦隊の先遣隊である空母打撃群。強行軍に継ぐ強行軍の末にギリギリ間に合ったガミラス増援艦隊の本隊であるガミラス本国艦隊による増援艦隊。さらには太陽系内通商防衛を担う空間護衛総隊に所属する護衛艦群や旧式として下げられていた改金剛型、改村雨型、改磯風型を装備する二線級の警備艦隊までもが次々と戦列に加わり、ガトランティス本隊に対する最後の大攻勢に打って出て、その本丸へと肉薄、突入することに成功。
しかし最終血戦の結末は、アナライザーが
「地球に『ヤマト』がいる限り、
半ば自身に言い聞かせるかのようにそう叫ぶアンドロメダ。
しかしそれ以上にアンドロメダにはずっと心の中で気にしている事がある。
結局私は最後まで
初陣である第8浮遊大陸基地奪還作戦で取り逃がしたガトランティス艦が地球へとワープするのを赦してしまい、あわや大惨事と成りかけましたのを寸前で防いで下さいましたのも、改装途中の
いえ、その遥か前。
私はいつも
出来る事ならば、私も最後の戦いに参加したかった。今まで受けてきた御恩を返したかった。
私は
私は本当に地球の未来のお役に立てたのだろうか?
敗け続けた私には分かりません…。
アンドロメダは、いつも自分は失敗ばかりしているという気持ちが強くあった。
「…部外者の私が言うのは烏滸がましいことかもしれませんが」
不意に空母棲姫がやや遠慮がちに口を開いた。
「貴女が身を呈して助け出したことは、貴女にとっても、貴女のいた地球にとっても掛け替えの無い勝利なのではないですか?」
空母棲姫の言葉に同調するように、南方棲戦姫と駆逐棲姫も思い思いの言葉を口にする。
「貴女は今までずっと、一生懸命頑張って来たのでしょう?ならそれに胸を張りなさいよ。くよくよしたって仕方ないじゃないの」
「お姉さんは良く頑張ったとお姉ちゃんは思いますよ?いっぱいいっぱい頑張ったのだから、こっちではお姉さんの好きなようにやりたいように、楽しく生きなければ損というものですよ?」
そう言われたことで、何だか気が楽になった気がした。
知らず知らずの内に、涙が頬を伝っていた。
膝の上の駆逐棲姫が向きを変えてアンドロメダと対面するように座り直すと、微笑みながらアンドロメダの頭を撫でてあげた。
今まで良く頑張ったねと誉めるかのように。
空母棲姫と南方棲戦姫も、アンドロメダの頭を撫でた。
その行いに、打算などの二心は一切無かった。ただただ純粋に、アンドロメダの生涯に対して「お疲れ様」と言う言葉を目に見える形として、行動として示しているだけなのだから。
アンドロメダは救われた気がした。
純粋に嬉しいという気持ちが自然と心の内から湧いてきて、それが涙となって現れていた。
それを見たドクターは静かに、そして深々と頭を下げた。
思えば艦長は誰かを誉めたりすることはあっても、誉められたことは無かったのではないか?とドクターは思った。
立場柄称賛されることはあれど、純粋に誉められたことが無かったのではないか?
もしかしたら母君であらせられるヤマトならばとは思ったが、すれ違いが多かったはず。
だからこそ、艦長の事を純粋に誉めてくれた三人の姫に、心から感謝した。
そして自身の心の内に
「…のう、艦長。このままお嬢ちゃん達の所で世話にならんか?」
突然のドクターのその言葉に、三人の姫は一瞬きょとんとするが、直ぐにその意味を理解して喜色満面の笑顔を浮かべ、アンドロメダの答えに期待した。
当のアンドロメダはドクターからの突然の提案に固まってしまっていた。
ドクターの真意は一体?何故そんな提案をしたのかが分からず、頭の中が混乱の極みにあった。
よ、ようやく終わった…。はしょったり巻いたりしたけど過去だけでここまで大変だったとは…。
それにしても色々と考えたり、個人的解釈を入れたり捏造したりと楽しかった。けど2199は兎も角、2202は大変だった…。何せアンドロメダ自身が当事者でもある訳だから、認識の相違や思い込みとかも気を付けなければならなかったから…。
次回から深海棲艦にバトンが渡ります。
ドクターの爆弾発言、いや、爆弾提案炸裂!!彼の真意は一体何なのか?
「艦長、あんたには心安らぐ時間が必要じゃ」
加藤隊長のことで色々書いたけど、思えばリアル日本も大差なかった事に改めて戦慄…。
それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。
アメリカ大統領選挙のイメージは?
-
直接選挙
-
間接選挙