艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり 作:稲村 リィンFC会員・No.931506
アンドロメダとアポロノームの1日がほぼ終わりましたので、一帯時計の針を戻しまして日本での動きとなります。
いつもながら、いろいろとぶっ込んでいます。そして漸くアンケートの結果が反映出来る…。
…と言いながら、出だしに大苦戦して書いては消してを繰り返し、なかなか進まない毎日。気が付いたらも少し先で、尚且つ別のシーンで出す予定だった2人が出てきちゃった。
「久しぶりにここに来たけど、やっぱりこっちの方が落ち着きますね」
感慨深く呟いた真志妻の言葉に、土方は苦笑する。
正午過ぎ、小松島鎮守府に到着した真志妻大将と長門は鎮守府の司令官であり、
「ここは貴女が1から手塩にかけて作り上げた場所ですからね」
「いろいろと大変だったけど、今と比べたら良い思い出ですね」
真志妻は今の地位に就く前まで、ここ小松島鎮守府──当時警備府──の司令官を務めていた。
その前の配属先であった横須賀と違い、あれも無いこれも無い、あっても足り無いと無い無い尽くしだったが、いろいろと煩わしい事が多い今の立場と比べたら、大好きな
───かという今も、それなりに好き勝手にやっているのだが…。*1
土方もその頃の事はよく知っている。
何故ならば土方も彼女と共にここに赴任して来たのだから。
「…あの頃は貴女達にいろいろと迷惑を掛けてしまいました」
その土方に対して、今度は真志妻が苦笑した。
「何言ってるんですか?寧ろ私達の方が貴方達に迷惑を掛けっぱなしじゃないですか?」
「土方さん
真志妻はここで司令官を務めていた頃を思い出していたが、同時に横須賀から小松島へと異動の切っ掛けとなった出来事も思い出し、表情が曇る。
「あの日、
俯きながら申し訳無さそうに語る真志妻。その姿は悔恨しているという雰囲気を醸し出し、表情も重苦しい。
「本来ならばこの戦争に無関係だったはずの貴方方を巻き込んでしまった私達は───」
「真志妻さん、あの日から何度も言っていますが、あれは双方どうしようもない事故でした」
真志妻の言葉を遮り、土方は気にしていないと念押しにして語った。
と、そこへ
「昔を懐かしむのもいいけどね、お互い今は何かと忙しい身なんだ。サッサと本題に入らないかい?」
上官二人に対してなんとも不躾で無遠慮甚だしい物言いだが、
今執務室には土方と真志妻、それに
土方の秘書艦は茶菓子の用意の為、*2今は席を外しており、副艦は別件で大淀の所に寄ってから来るのだが、長門が聞いたのはこの2人ではない。
事前に土方から「今回の件に関わりがある者を3人程参加させます」と言ってきていたからだ。
「ああ、そのことですが───」
土方が口を開いたその時────。
「親父!
執務室の扉が突然蹴破られたかの様な勢いで開き、緑色の野戦服を着込んだ左頬に十字傷のある巨躯の男が息を切らせながら入室してきたのだが、それと同時に自身の顔面に向けて投げ付けられたジッポライターを慌ててキャッチした。
「客人が来てるんだよ。こん時くらい静かに出来ないのかい?斉藤の
投げ付けた張本人である
坊やと言われた事に若干腹を立てた斉藤は、何か言い返そうとしたのだが、「マトモにノック一つ出来ないなら、坊やで十分さね」と機先を制され、さらには「少しは駆逐艦や海防艦のムスメっ娘達を見習いな」と追い打ちを掛けられて何も言い返せず、顰めっ面を作ってしまう。
その気になれば、例え膂力が自身を上回る
そんな斉藤の姿に、真志妻は腹を抱えて笑い、長門はなんとも言えない複雑な顔をし、部屋の主人である土方は深く溜め息を吐いた。
「すみません真志妻さん、長門さん。うちのバカが…」
「気にしなくて良いですよ土方さん。斉藤君は騒々しいくらいの方が彼らしくて。ねぇ長門?」
ケラケラ笑いながら自身の副艦に尋ねるその姿に、先程までの重苦しさは感じられないが、長門は「私に聞かないでくれ…」と返す。
だがその長門の表情は斉藤を見て何処と無く嬉しそうだった。
そんな長門の姿を見て、斉藤自身は「げぇっ!?長門!?」という引き攣った顔になった。
この2人、まぁいろいろと訳アリなのである。
「Hey!
出入り口の前で固まっていた斉藤の後ろから、独特なイントネーションで喋る声がした。
「あ、ああ。すまねぇ金剛」
そこに立っていたのは土方の秘書艦、高速戦艦艦娘である金剛型戦艦の長姉、金剛である。
その横には紅茶セット一式がカートに載っていた。
「た、隊長さ~ん。私達を置いてきぼりにしないでくださいぃ~…」
「だ、大丈夫ですか姉さん!?斉藤隊長!お気持ちは分かりますが、勝手に先々行かれては困ります!!」
金剛の後ろから更に別の2人が現われ、それを見た金剛は朗らかな笑みを浮かべながら、
「ハルサメにウミカゼ、2人共
「す、すまねぇ2人共!つい!」
2人に対して斉藤は平謝りし、
「斉藤隊長?私達が運転出来無い事くらい、ご存知でしょう?」
この3人は徳島の真北の隣県である香川の陸軍善通寺駐屯地まで出張に赴いていた。
その際の移動には、鎮守府に常備されている車輌を使用したわけなのだが、法規的な問題で公道、軍施設内関係無く艦娘による運転は原則として軽巡洋艦以上の艦娘とされている。
斉藤の付添として同行していた
つまりこの場合、車輌の運転は斉藤しか出来無いのだが、逸る斉藤は鎮守府に帰投するやいなや、本来の定められた駐車スペースでは無く、執務室のある棟の建物の前まで直接車を乗り付けてしまい、そしてそのまま乗り捨てて行ってしまったのである。
残された2人は生来の生真面目さから、このままここに車輌を放置するわけにはいかないけどどうしよう?と、途方に暮れていると、用事を終わらせて執務室へと向かっていた副艦の霧島がそんな2人をたまたま見付け、状況を察した彼女は「後のことは私がやっておくから、先に行ってて」と言い残して車に乗り込んで走り去ってしまったため、慌てて斉藤の後を追ったのだ。
「まったく、斉藤隊長も少しはハルサメ姉さんを見習って上に立つものとしての自覚を───」
「ウミカゼ、私は大丈夫だから」
自身の事が関わる事になるとどこぞの
敬愛する姉の言葉に不承不承ながらも引き下がる
そうこうしていると、部屋の中にいる土方から入室を促す声がして、そそくさと入っていく。
「ハルサメにウミカゼ、斉藤の付添ご苦労。帰投してすぐで悪いが─────」
2人に労いの言葉を掛けるが、
「
「間違いなく盗聴器で盗聴されています。はい」
既に妨害していますが、と付け加えた。
先程金剛が耳に手を触れたのを見た際に、その理由を察した
盗聴されているという報告に、最初に反応したのは真志妻と長門だった。
「やっぱり
真志妻は苦々しい顔となる。
実はを言うと、耳に触れるというジェスチャーは真志妻達が土方の出迎えを受けた際に、彼女が最初にやったのだ。
本人としては確証があったわけでは無く、念のためだったのだが、大当たりだったようである。
…全然嬉しく無い大当たりではあるが。
長門は「
「お2人共ですね」
微弱な電波の発信を検知しています。と答えながら、許可を得て
そして電波の発信が確認された箇所を全て
「…流石は未来の艦娘と言ったところね」
応接机に列べられた、
あまり知識としては詳しくないが、見付かった盗聴器の中には最新の物と思われる代物も含まれている。
それを手際よく見付けて無力化する手腕に、真志妻は惜しみの無い心からの称賛をしたのだ。
その言葉に、
真志妻はそして長門も目の前にいる
元地球連邦防衛軍所属、改Метель級駆逐艦、もしくは春雨型護衛駆逐艦の1番艦と2番艦というのが、この2人の正体である。
無論、土方とキリシマの正体も知っている。
知っているからこそ、キリシマに霧野島子という偽名を名乗らせた張本人なのだから。
また
余談だが、キリシマに関しては
なお、
閑話休題。
長門は盗聴器を忌々し気に睨み付けながら「
その立場柄、真志妻は何かと敵が多い。
盗聴器の
厄介なことに、真志妻の本拠地は現在の日本において最大の海軍軍施設である呉軍港にある呉鎮守府である。
人間の出入りは他の鎮守府の比ではないため、そこに工作員が紛れ込む余地が生まれてしまう。
悔しいが、やられたい放題なのが実情なのである。
「そのことなんだが、親父と真志妻さんに報告がある」
徐に斉藤が口を開いた。
今回の彼の出張は、表向きは陸軍と自分達特別陸戦隊との共同訓練に関してのものだったが、本当はとある情報の受け取りが目的だった。
その情報というのが────
「どうも
伊東真也とハイドム・ギムレー。
2人共土方や斉藤達のいた世界の人間の名前である。
片や『ヤマト』のイスカンダルへの航海で叛乱行為に及んだという軍情報部から出向の人物。
片やデスラー体制下のガミラスで親衛隊と秘密警察の長官を務めた人物。
無論、この2人がこの世界に来ている訳ではなく、『隠語』の目的として使われている。
つまり伊東真也が軍情報部関係、ハイドム・ギムレーが公安関係を意味する隠語である。
それの意味する所は、軍情報部関係と公安関係が手を結んだという事である。
そしてその目的は真志妻に対する牽制、あわよくば失脚を企図しているのはほぼ間違い無いのだが、どうやら土方も狙われている可能性が大きいというのだ
この報告を受けた真志妻の雰囲気が冷たい物に変わり、その目が完全に据わった。
「…もういっそのことクーデター、起こしちゃおうかしら?」
呟き声にしてはハッキリとし過ぎた物騒極まりない真志妻のその発言に、場の空気が凍り付いた。
「一番煩わしいもの?間違いなくマスゴミだな」
「連中、四六時中鎮守府前をうろちょろしてて迷惑だし、煩わしいったいたらありゃしない。たまに連中を32サンチ主砲でぶっ飛ばしたくなるわね」
「貴女が言ったら洒落ではすみませんよ…」
小松島鎮守府に在籍する白露型の娘達は全員この護衛駆逐艦になります。特にハルサメとヤマカゼは改装で電子戦能力が強化されています。
詳しいことは閑話で語りますが、全員ガトランティス戦役終盤の最終血戦で戦没しています。
解説
艦娘による車輌の運転
一部を除いて、駆逐艦の艦娘は身長の問題から運転することが明らかに困難である事から、制限が設けられた。
ただ、近年軽巡洋艦以上の艦娘の中にも小柄な体型の者も出現しだし、また軽空母の艦娘の中にも小柄な体型の者も複数おり、更には改二改装を受けた駆逐艦の身長アップなどなどの事柄から、法改正すべきではないか?という意見が出ている。
キリシマのジッポライター
とある駆逐隊の娘達から、日頃お世話になっているお礼にとプレゼントされた。
なおジッポライターを選んだ理由は、一人で夜中にひっそりと紫煙を燻らせているのをたまたま見たため、とのことだが、当時あまり喫煙しているところを見られたくなかった為に、夜中の、しかも人目に付かない場所(港の隅)をわざわざ選んでいたというキリシマの内心が少し動揺していたのは内緒である。
後に斉藤から「プレゼントされた物を投げるなよ」と苦言を呈されたが、「あんたならば難なくキャッチしてくれるだろうと思ったからね」と言ったとされる。
苦戦した挙げ句、かなり短いと来た…。しかも本来の予定からかなりの脱線…。
土方さんと真志妻大将との初邂逅の話はまたいずれ。
それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。
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