艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり 作:稲村 リィンFC会員・No.931506
──注意──
この物語はフィクションです。作中で語られる事件等の内容に関しまして、現実の類似する事件等とは一切関係がありません。また今回主人公らによる明らかな犯罪行為の描写がございますが、筆者はそれら犯罪行為を推奨する意思は決してございません。それらをご了承の上でお読みください。
後今回は少し長めなのと独自設定、独自解釈てんこ盛りです。
きっかけは日が落ちたことで見え出した星空。
確認作業中、暗くなった辺りを見渡して「もう夜か」と思い、何の気なしに夜空を見上げた際に違和感を覚え、そしてハッと気付いた。
地球の、それも南半球から見える星と星座に非常に酷似していることに。
時を同じくして、センサー類のチェックを行っていたアナライザーが微弱ながら通信用のものらしき電波を傍受。
それを解析したところ、そのほぼ全てが地球で使用されている言語であることが判明。
だがここが地球だとするなら、おかしな点が幾つもある。
地球本土防衛用として軌道上に配置され、地表からでも肉眼で視認出来る筈の長大な戦闘衛星のリングが一切見えなかった。
ガトランティスに攻め込まれて破壊されたのだろうか?
そうだとしても、今度は通信傍受の説明がつかない。
生き延びた僅かな生存者達が互いに連絡を取り合っている?
有り得ない。
『全宇宙全ての知的生命体の殲滅』を掲げる
第十一番惑星での大虐殺を見れば、そんなことは断じて有り得ない。
最後の1人まで完全に消し去るまで、あの馬鹿げた数の大艦隊*1で地球を包囲して全土を焼き払うなり、なんなら超大型戦艦であるカラクルム級*2*3を質量弾として嘗てのガミラス戦役での遊星爆弾よろしく地表に叩き付けて地球を再び赤く焼け爛れたクレーターだらけの星にした後、第十一番惑星で使用されたあの忌まわしき殺戮マシンを蝗の大群の如く投入させて徹底的に鏖殺すだろう。
面倒なら彗星を地球に直接ぶつけて完全に破壊する方が手っ取り早く済む。
だが攻撃を受けたのなら、その痕跡があってもおかしくない。
近くに陸地が無いため今地上がどうなっているかはわからないが、大気の汚染具合からして地上が破壊され尽くして壊滅したとは考えにくい。
なら本土決戦で地球が多大な犠牲と引き換えに辛くも勝利したのだろうか?
わからない。
ならばと点検、確認が終了したレーダーを起動させて、軌道上に戦闘で破壊された衛星なり両軍の艦艇等の残骸がないか確認してみた。
だがいくら走査しても、それらしき反応は一切無く、幾つか衛星らしき物の反応を捉えただけだ。
ますますわからなくなった。
それと傍受した電波は地球の言語だけだった。
それもおかしい。
地球には同盟国ガミラスの人々も多数居た。
ガトランティスの本格侵攻でガミラス本国に避難した人々もいたが、それでも少なくない人数がまだ地球に居たハズだ。
特にガミラス大使館の代表であるローレン・バレル大使や大使館駐留軍は最後まで地球と共に戦うと残留の意思を示し、ガミラス本国からも援軍が来る事が決まっていた。その中にはガミラスに譲渡されたアンドロメダの妹達であるCCCの娘達もいる。
ガミラス人同士なら通信でわざわざ地球公用語を使わず、ガミラス公用語で遣り取りをしている。
だが、今傍受している通信波にはガミラス公用語は一切無かった。
地球から全員退去したのだろうか?
わからない。
更に輪を掛けて分からないのが、レーダーが捉えた衛星のシルエット。
驚くことにその全てが最低でも100年以上前に使用されていた、資料映像位でしか残っていない様な骨董品と言っても差し支えない代物と非常に酷似していた。
ガミラス戦役中、地球の衛星網はその大半が破壊された為、戦後にほぼ一から敷設し直したため、割合として新しい衛星の方が圧倒的に多い。
何より宇宙進出が本格化してからというもの、古い衛星がそのまま放置されてデブリとなった物は航路阻害の一番の要因となるため、一定期間が過ぎた衛星は撤去する法律が戦前から定められており、しかも戦中から戦後に掛けて全ての衛星が国連(後に地球連邦)の管理下に措かれた為、何処かがこっそり残して使っているという事はまず有り得ない。
だから100年前の衛星が浮かんでいること事態がおかしいのだ。
この時アンドロメダの頭にはタイムスリップにより自身が過去の地球に跳ばされたのではないかという考えが過った。
だが今度は傍受した通信の内容に、記録に存在しない不明な単語や符号────
『Kanmusu』
『Fleet Girl』
『Shinkaiseikan』
『Abyssal Fleet』
『海の化物』
────等々…。が頻繁に出てくるのだ。
過去から現在に至る地球の記録に該当するものは無い。
無論ガミラスにも無い。
これ等の状況証拠から、アンドロメダは過去の、しかも並行世界の地球に跳ばされたのではないかという考えに至ったが、やはり状況証拠であるために何かの間違いではないかという考えも過ってしまう。
その為アンドロメダはある一つの決断をし、アナライザーに命じた。
『この惑星の衛星回線に侵入し、それを踏み台にしてネットワークに侵入。この惑星に関する情報を必要と判断したありとあらゆる手段を用いて入手せよ』と。
無論それは非合法手段を前提とした命令である。
軍法? 防衛軍で施行されている現行法は、あくまでも防衛軍に所属する軍人──人間──にのみ適用されるものであり、元々兵器であり、また今のアンドロメダという想定外の存在を裁く条項は一切存在しない。
この惑星の法? バレなければ犯罪として立件出来ない。
屁理屈、強弁の類いであるとは理解している。
そして命令という形をとることで万が一発覚、問題となった時のために、責任の所在がアンドロメダに有るという事をハッキリさせた。
『軍の行動によって生じた問題の責任は、それを命じた者だけが負う』
お願いだとかで責任の所在をあやふやにするようなやり方は、組織の健全性を著しく阻害する要因であるとしてアンドロメダは蛇蝎の如く毛嫌いしている。
上に立つ者に求められるのは2つだけ。
『決断』とそれに伴う『責任』だ。
それが出来ない、嫌というのなら初めから上に立つな。立とうとするな煩わしい。というのがアンドロメダの考えだ。
そしてアンドロメダは全地球艦隊を束ねる総旗艦という立場にいた艦だ。
その決断に艦隊各艦とその乗組員、延いては地球圏の存亡に直結する。
別に今回の決断がそういう重大事になるわけではないが、アンドロメダの今後に関わる上に、彼女の存在その物の有り様とプライド、そして魂が甘えた考えを許さなかった。
──────────────
「はぁ…。頭が痛くなってきました…」
アナライザーからの報告を受けたアンドロメダがこめかみを押さえながら唸る。
報告を要約すると以下の通りである。
レーダーが捉えた衛星はその大半が何らかの損傷により機能を停止していたとの事。(原因は後述)
そして予想した通りここは並行世界の地球で時間軸は21世紀半ばとのことだが、その21世紀に入った辺りから立て続けに起きた4つの大きな出来事により、アンドロメダのいた世界の歴史と大きく異なった進み方をしていた。
まず1つ目が『
疫病事態はアンドロメダのいた世界でも同じ時期に似たようなものが発生していた。一時は最悪なパンデミックになるとの予測からかなり騒がれたが、そうはならなかった。
だがこの世界ではアンドロメダのいた世界での予測を上回る程酷い有り様だった。
アナライザーの見立てでは、様々な思惑が入り雑じった『権力者とその周辺の深刻なモラルハザード』とそれらに付随した情報の錯綜と改竄、憶測に踊らされ続けた『先進国を中心とした民衆の集団パニック』が要因ではないかと分析。
またこれにより各国の経済に深刻な影響を及ぼし、世界規模で株価の大暴落と未曾有の大不況にも見舞われて*4人心は大きく疲弊。
2つ目──
世界各地で火山の活動が活発化し、噴火による直接被害だけでなく巻き上げられた噴煙と火山灰により太陽光が遮られて地球規模で寒冷化が進み、異常気象も頻発。
各地の耕作地に甚大な被害が発生したことにより大飢饉が発生。
また先進国を中心に薦められていた太陽光発電の発電効率が著しく低下したことにより、エネルギー危機も発生。国によっては都市から完全に光が消え、凍死が相次ぐ事態も発生していた。*5
疫病によりただでさえ疲弊していた人心は危険なレベルに達する。
3つ目『第三次世界大戦の勃発』
最早制御不能レベル*6にまで膨れ上がった国民の不満を逸らすため、また無事な食糧生産地域を巡って各国が諍いを起こし、ついには全面戦争へと発展。
この時点で国連を始めとした国際機関は完全に有名無実化した。
耕作地への被害を怖れて
この時期発生した対立する大国同士によるお互いの軍事衛星破壊作戦*7により発生した大規模なケスラーシンドローム*8により関係のない民間の衛星まで巻き添えで破壊され、通信ネットワークが寸断。
各地の悲惨な情報はその殆どが伝わらないままエスカレート。
疫病発生からこれまでの7年間*9で地球の総人口は70億から30億未満にまで減少*10。
最早戦争を継続する体力も気力も薄れ、厭戦気分が蔓延し戦争終結。*11
先進国は疫病対策が生み出した負の遺産と戦争の災禍で衰退し、またアジア圏や南太平洋の国々は確認出来た中でも被害がすさまじく壊滅的な有り様、南米とアフリカ圏は…未だ混沌としており確認不能で匙を投げられた。
総人口も未だ緩やかに下降していた。
とはいえ、疫病もいつの間にか収束し、いざ復興となったタイミングで最後にして最大の出来事が発生。
4つ目、謎の敵『
何時、何処が一番最初かは情報が錯綜していて最早わからなかった。
確実なのは
瞬く間に海洋交通は寸断され、物流は再び大混乱。
戦時中にその保有戦力を減らしていた各国海軍はなけなしの戦力を結集してこの未知な敵への対処に乗り出したが、物量差もあり奮戦空しく敗北を重ねる。
その後、南太平洋のあちこちに拠点を構築している事が発覚。
各国は残存艦隊を集結させた臨時の多国籍連合艦隊を編成し、拠点構築阻止とその周辺の取り残された民間人救出に向かう。
連合艦隊主力はソロモン海まで進出し、そこで史上最大の水上決戦が行われたが、そこで力尽きた。*12
嘗てのABDA艦隊同様、共同訓練等真面にしていない意思疎通に欠けた寄せ集め艦隊であった事も祟った。
一度崩れると脆かった。
そしてそれが新たな悲劇を生んだ。
連合艦隊劣勢の報に焦ったのか、ユーラシアから参加している国の1つが、事前通達も協議も無く突然ICBM*13を使用。
驚いた連合艦隊は参加していたBMD*14対応艦を中心に必死の迎撃を行うも、遂には着弾。艦隊にも甚大な被害が発生。*15
戦場は大混乱に陥り、指揮系統が完全崩壊。艦隊はてんでばらばらに敗走。
追撃を受け更に戦力を擂り潰され、各国海軍は自国沿岸近海の制海権を辛うじて維持するのが精一杯となった。*16
そして南太平洋の国々は事実上、壊滅とされて見棄てられた。
この大海戦に於ける人類の大敗北*17から半年後、敵の軍勢が北上を開始し本格的侵攻を始めた。
この頃からこの未知の敵が『
そんな折りに現れたのが『
その出自にも謎*18が多いが、少なくとも日本が最初であることは確かである。
嘗て各国海軍にて活躍した艦艇の力をその身に宿した深海棲艦と対になる戦乙女達。
それが
とここである疑問がアンドロメダの中で沸き上がった。
「今の私も、艦娘か深海棲艦のどちらかになるのかしら?」
というものである。
それに対してアナライザーは「恐ラクデスガ、艦娘デアル可能性ガ高イカト」と即答し、理由として艦娘と深海棲艦の特徴に大きな違いがある事について述べた。
艦娘、深海棲艦共に力を行使する際には『艤装』と呼ばれる装備を介して駆使するという。
艦娘の場合は一人一人の固有名詞に因んだ艦艇の特徴を掴んだ装備が色濃く反映されるという。
対して深海棲艦は元となった艦艇が不明で、固有名詞も人類が識別の為に付けたコードのみ。そして装備している艤装は艦娘の様な機械的なモノではなく、生体パーツの様なシロモノだという。
そう言うとコンソールのディスプレイに幾つかの映像を表示した。
艦娘と深海棲艦との海戦の様子を映した記録映像とそれに映っている両方の画像付き詳細資料だった。
確かにかなりの違いが見てとれる。
それらを照らし合わせると、アナライザーの言う通りアンドロメダのこの装備──艤装──はサイズは兎も角としては、艦娘のそれに近いと云えるだろう。
ただ、艦娘は全員嘗ての第二次世界大戦で使用された艦艇をモチーフにした娘しか確認されていないという。
対してアンドロメダは西暦2202年の戦闘艦である。
ざっと250年の開きがある。
このパラドックスに関して言えば、オーパーツ的な性能を有する深海棲艦の旗艦級或いは指揮官的存在である『姫級』にカテゴライズされるハイエンドモデルが近い。
自身がもしかしたら深海棲艦かもしれないという疑念から冗談めかしにそうアナライザーに語ると「ソウナリマストあんどろめだサンハ、差シ詰メ『
「取り敢えずは艦娘であると仮定して話を進めましょう。そうなると───」
そう言ってディスプレイにアナライザーが入手した海図を映す。
アンドロメダの現在位置は西太平洋、旧ミクロネシア連邦領チューク諸島北西の海域にいる。そこから更に北西方向へと指でなぞりながら、ある一点で止めた。そこは───
「日本を目指すべきかしら?」
艦娘のメッカ、日本を指差した。
「ソレニツキマシテ、少々気ニナル情報ガアリマス」
そう言うとある情報を別のディスプレイに映す。
そこには初老の男性が映し出されたが、その姿と名前を見た瞬間アンドロメダは目を見開いて驚愕し、動揺を
「そんな!どういう事!?何故この方が!?」
混乱のあまりに思わずアナライザーに詰め寄るが、何故
日本について調べている最中に偶然発見。当初は他人の空似かと思っていたが、更に調べると経歴等に不審点が幾つも見つかり、他人の空似では無い可能性が高まった故にアンドロメダに報告を上げた。
「───真偽を確かめるためにも、日本に向かいましょう」
アンドロメダは決断し、アナライザーに告げた。
となると問題は太平洋上に点在する深海棲艦の拠点だ。間近だと先に述べたチューク諸島に拠点が構築されており、途中のマリアナ諸島にも日本への足掛かりと目されている拠点が存在する。
これらをどうするか?とアナライザーが訪ねると───
「そうね、その時は貴方が言った星座棲姫を名乗って深海棲艦さん達と交渉してみようかしら?」と冗談交じりに答えた。が────
「アラ?ソレナライッソノ事ソノママ私達ノ
突然、誰もいないはずの後ろから声を掛けられて仰天したアンドロメダは、座席ごと慌てて振り向く。
警戒の為にレーダーは稼働していた。何故?誰?どうして?と疑問と混乱からパニックになりながらも振り向いた先にあったのは───
巨大な指。
それがアンドロメダの顔面に向かって迫り、そして───
ぷにっ
アンドロメダは頬を突っつかれた。
途端に、声にならない悲鳴を上げて飛び跳ねた。
そこには巨大で筋骨隆々な巨人型の生体艤装に優雅に腰掛ける美女がいた。その艤装の巨大な腕がアンドロメダの頬をつついたのだ。
「変ワッタ娘ガイルト聞イテ
その美女の視線の先には、先ほどまでいたはずのアンドロメダの姿が消え、向い側にいたアナライザーの慌てた姿しかいなかった。そして───
どっぼーーん
…ナニかが水面に落ちる音と水柱が上がる。
しばし訪れる沈黙…。
「エ…?」
回りを見渡してもアンドロメダの姿はない。つまり海に落ちたのはショックのあまりに飛び跳ねたアンドロメダだ。
だがそのアンドロメダは浮いてくる気配がない。
「マサカアノ娘、
「あんどろめだサン!?」
右往左往する赤いロボットや騒ぎに気付いて出てきた妖精達。普段見せない様な慌てた様子を見せる己の主人を交互に見ながら、筋骨隆々の生体艤装は「やっちまったー」という雰囲気を醸し出しながら自身の
アンドロメダ撃沈!完!!御拝読ありがとうございました!!
───な訳無いデショ!!
最後は完全ギャグに走りましたが、アンドロメダの思わぬ弱点発覚回になりました。
航宙艦であるため気密性はしっかりしており、擬似的な潜水艦行動はカタログ上可能です。ただ今回はパニック状態で海に落ちましたので、冷静な対応を行うことが出来ずに溺れて浮き上がる事が出来ませんでした。また今回の一件で完全にトラウマとなりますので敵対勢力はアンドロメダを海に引き摺り込みさえ出来れば十分に勝機はある(はず)です!
ただし泳げないだけで溺死する事はありません。あくまで無力化のみです。
しっちゃかめっちゃかである意味滅びつつある人類。
ヤマト関係を絡ませる二次なら人類が滅びに瀕するのは寧ろ必要事項だ!!(暴論)
人類が持つ衛星による監視網とネットワークという優位性を如何に潰すか、そして艦これ世界で南太平洋が事実上深海棲艦の支配領域となったのかを考えた結果、今回こう言う話となりました。
因みに最初の艦娘出現からアンドロメダがこの世界に来るまでに8年の歳月が経過しております。その間に地球の総人口は更に減って20億に迫りつつあります。まあこれは南太平洋で取り残された生存者を全員死亡扱いにしたのと、混沌度合いの酷い地域や深海棲艦の脅威が薄い内陸部の地域では人類同士による諍い、内戦が絶えない為にマトモな集計が出来ない影響もあります。
ついでに言えば、アンドロメダが目指す予定の日本の総人口ですが、凡そ800万人にまで減少しました。
さて、最後に語られた初老の人物ですが、出てくるのはまだ少し先になります。
またアンドロメダに使用されている遥か未来のレーダー探知を掻い潜ってきた美女の謎と既に発見されていたという事実。その原因はわりとしょーもないアンドロメダとアナライザーによるヒューマンエラーにあるとだけお伝えしておきます。
それでは今回はこの辺りで失礼致します。また次回お会いしましょう。
後、感想指摘等が御座いましたら参考や励みになりますのでお気軽にどうぞお願い致します。
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