艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

32 / 115
 山風(ヤマカゼ)の独断専行という名の暴走。しかしそのお陰(?)で真志妻にはある展望が見え出していた。



 漸く復活!とはいえ隔離期間中殆ど寝てばかりでしたから、体力の低下がヒデェことになってた!


第30話 Japanese Navy Komatsushima Naval Base-6

 

 

「キリシマさん、アンドロメダさんと深海棲艦が友好関係を結んだとする、より具体的な根拠はありますか?」

 

 

「そうさね…」

 

 

 真志妻からの問い掛けに、再び机に並べられた資料を弄るキリシマ。

 

 

「…偽装爆破で吹っ飛ばされたこの残骸、これらは誰が用意したと思う?」

 

 

 探し出した一枚の写真を引っ張り出し、全員に見せる。

 

 

 砲爆撃によって原型が分からなくなるまでバラバラの木っ端微塵になった残骸。

 

 

 アンドロメダが事前に持ち合わせていたシロモノなのではないか?という推論は流石に無理がある。

 

 アンドロメダは輸送艦ではない。純然たる戦艦である。

 

 一番の可能性は島にあったスクラップなどの廃材だろう。

 

 

「深海棲艦の協力が無けりゃ無理な話さね。それはつまり深海棲艦にとってあの娘は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からにほかならないと、私は見ているよ」

 

 

 キリシマからの答えを聞いて、真志妻は頷くと瞳を閉じて暫し黙考する。

 

 

 

「…アンドロメダさんを介して和平、いえ、休戦交渉に持ち込む事が出来無いかしら?」

 

 

 静かに紡がれたその言葉、それに一番反応したのが長門だった。

 

 

 

「私は本気よ長門。貴女だって薄々とは気付いていたでしょう?前線は、もって()()()()()()だって」

 

 

 真剣な眼差しで語る真志妻に、長門は思わず顔を逸らす。

 

 真志妻と共に海軍艦娘部隊の指揮系統を司る呉鎮守府に居る以上は、他の部隊よりも多くの情報を目にする。

 

 

「私だって出来る限りの事はしてきたわ。でもね、もう流石に限界なの。これ以上沖縄は維持出来ないわ」

 

 

 現在の日本の最前線は、フィリピン方面を制圧し、旧フィリピン領海周辺で展開している敵艦隊に対して睨みを利かせていた沖縄戦線であるが、その補給線の維持が段々と困難になってきていた。

 

 投入してくる戦力も然ることながら、その戦い方も次第に巧妙化してきており、かなりの苦戦を強いられている。

 

 何よりも頭が痛いのが、最近補給線の襲撃に姫級らしき存在が──それも複数──頻繁に確認されているのだ。

 

 

 真志妻の考えとしては、負担が大きく、それに対してメリットが薄い沖縄戦線を放棄して戦線の再整理を行ないたかった。

 

 

 だが政府は「折角奪い返した土地である。それを維持することにこそメリットがある」として、真志妻の上申を却下していた。

 

 

 

 沖縄は一度深海棲艦によって制圧され、後に多大な犠牲を払った激戦の末、奪還に成功した。

 

 しかしAL/MI作戦の失敗以降、再び深海棲艦達が襲来してきていた。

 

 

 政府には一度奪われ、そして奪還した土地を再び放棄するという決断が下せる者は居なかった。

 

 

 だが現実問題として、このままだといずれ圧し潰されるのは目に見えていた。

 

 

 増援を送ったとしても、ただでさえ厳しい補給事情が更に厳しくなるだけだし、最近の深海棲艦の傾向を分析した所、どうも深海棲艦は直接攻撃を極力控え、兵站を圧迫しての兵糧攻めを企図しているのではないか?という報告書が上げられてきており、増援は逆に相手の思う壺になりかねないという危惧があった。

 

 …政府は相変わらずこの手の報告には見向きもしないが。

 

 

 しかしこのままだと、沖縄戦線は際限のない消耗戦を強いられた挙げ句、その戦力が丸々消滅しかねない瀬戸際まで来ていた。

 

 

 完全に八方塞がりだった。

 

 

 

「責任ある立場に居る者が決断をどんどん先延ばしにし、自分以外の誰かがどうにかしてくれることを期待し、取り敢えず事態の進展を見守る」

 

 

 極力美化して言えば“現状維持”と言えなくもない。だが───。

 

 

「そう言って現場を無視したやり方を続けた結果、誰も何も決めることが出来ない、しようともしない“ことなかれ”が蔓延る事になった」

 

「結果、より最悪の事態を招いてしまう」

 

 

 現実は維持すらマトモに出来ていない有様だった。

 

 呆れ果てるが、これが日本の(まつりごと)を司る中枢の嘘偽らざる“現実”だった。

 

 

「馬鹿な話です。パンデミックからこのかた、一億人の自国民を自分達の無為無策でぶっ殺しておきながら、誰一人責任を取ろうとしないし、何も学んでいない」

 

 

 途中から腹が立ってきたのか、政府に対しての不平不満をぶちまけているだけとなっていたが、誰も咎め無い。

 

 

 色々と好き勝手やっている真志妻ではあるが、それでも立ち場的にどうにもならない、どうすることも出来無い事柄はそれなりに多いし、そういう物に限ってかなりストレスの溜まりやすい物だったりする。

 

 

 たまにこうして溜まりに溜まったストレスを発散させなければ、いつか爆発することになりかねないし、その爆発の仕方が下手すると洒落にならなかった。

 

 怒った挙げ句、ついうっかり物理的に政府を爆破解体しかねない。

 

 

 それになんだかんだ言って、ここにいる全員が政府に何らかの不平不満を抱いていた。

 

 

 

 

「政府が仕事しないなら、私達の出来る範囲で出来ることをやるしかありません」

 

 

 

 

 土方は腕を組んで考え込んでいた。

 

 

 真志妻の言いたいことはよく分かるし、戦争そのものがジリ貧になっているという事を、土方は長年の経験と勘、そして空気から敏感に感じ取っていた。

 

 

 だが正直な所、打開策と呼べるものが無かった。

 

 

 普通の戦争ならば外交ルートを駆使して話し合いに持ち込むべき段階だが、今の今までに相手に、深海棲艦に対してそういった接触を行なったという試しがなかった。

 

 

 しかし成る程、アンドロメダが既に深海棲艦との接触を果たし、もしかしたら友好関係を結べているかもしれないという期待が持てるというのなら、そこからもしかしたら?と考えるのは(あなが)ち間違いではない。

 

 問題は────。

 

 

「なぁ、もしかしたらアンドロメダのヤツ、そのまま深海棲艦の所に居候しようと決心してこっちに来ないんじゃないのか?」

 

 

 斉藤がやや不安そうな声音で呟いた。

 

 

 そう、当のアンドロメダは未だに深海棲艦の勢力圏内にいる。そしてその後どうするかはアンドロメダの選択次第なのである。

 

 

「斉藤隊長!」

 

 

 海風(ウミカゼ)が噛み付くが、このことはみんなが薄々と心配している事であった。

 

 

 アンドロメダは誠意には誠意で応え、恩義を決して忘れないという礼節を弁えた律儀な性格をしている。

 

 先の山風(ヤマカゼ)が語った「人類を完全に疑っている」という言葉が正しかった場合、そしてもし深海棲艦がアンドロメダに対して誠意を持った対応をしていたとしたら、人類よりも深海棲艦の方が居心地がいいとして、そのまま深海棲艦の勢力圏に居着くという可能性が否定出来なかった。

 

 

 

「一度誰かがアンドロメダと接触しなけりゃならんね」

 

 

 霧野(キリシマ)が口元を僅かに吊り上げながら、そう語る。

 

 だがそれはすなわち誰かが敵の勢力圏内に踏み込まなければならないことを意味する。

 

 

「私が行くよ」

 

 

 さも当然とばかりに、不敵な笑みを浮かべながら、言い出した者の責任と言わんばかりに自ら立候補を表明する霧野(キリシマ)に、春雨(ハルサメ)が待ったを掛けた。

 

 

「もし先生に何かありましたら、アンドロメダさんに会わせる顔がありません!ここは私にお任せください!」

 

 

春雨(ハルサメ)姉さんが行かれるのなら、私も行きます!それにアンドロメダさんとは姉さんを紹介するという約束があります!」

 

 

 春雨(ハルサメ)だけでなく、海風(ウミカゼ)も止めに入る。

 

 

 キリシマも未来の戦闘艦としての能力を有した艦娘とはいえ、万が一の事態が発生したら、敵地で孤立し多勢に無勢の末に、どうなるかわからない。

 

 

 であれば、最新世代艦である自分達の方がまだ可能性があると判断したのだ。

 

 

 それに対し霧野(キリシマ)は苦笑しながら「ドンパチが目的じゃないんだよ?」と言い、ちらりと山風(ヤマカゼ)に視線を向けた。

 

 

 もしもの事態が起きた時、山風(ヤマカゼ)が怒り狂って暴走でもしたらどうするんだい?と暗に告げたのだ。

 

 その点、自分はまだ身軽だ。

 

 

 

「…やむを得ない、か」

 

 

 

 ここで土方は沈黙を破り、言葉を発した。

 

 

 

 動かなければ、状況は進展しない。ならば動くしかない。

 

 とはいえ今回は不確定要素が多過ぎて、正解と言えるものが掴みづらいというのも実情である。

 

 

 

 だが他にマトモな代案が無かった。

 

 

 

 こうして霧野(キリシマ)の派遣が決定することとなった。

 

 

 細部はこの後更に煮詰めて行くとして、現地での行動における大幅な自由裁量権を真志妻は霧野(キリシマ)に対して認めた。

 

 また非公式ではあるが、海軍大将真志妻亜麻美の代理人であることを示す書面を、後ほど用意することが決まった。

 

 

 

 

「ご無理をお掛けいたしますが、お願い致します」

 

 

 真志妻は霧野(キリシマ)に頭を下げながら語る。

 

 

「私としましても、アンドロメダさんとは直に話をしてみたい思いがあります」

 

 

 彼女が何を考え、何を成そうとするのかを見極めたいという考えと、深海棲艦を直に見た、話した、触れ合った者に対する興味、所謂好奇心から直接面と向き合って話をしてみたいという思いがあった。

 

 

 とはいえそれを横で聞いていた長門は、終始渋い顔を浮かべたままだった。

 

 

 彼女はこの戦争の初期から前線で戦ってきた艦娘の一人であり、それなりに色々なものを見てきており、簡単には割り切れない思いがあった。

 

 

 だが同時に、先程真志妻に言われたようにこの戦争の限界も感じていた。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 そう考えることで、一応の踏ん切りを付けようとしているのだが、なんとも言えない虚しい気分となっていた。

 

 

 

 

──────

 

 

 

 その後暫くして真志妻達は帰路に付くこととなった。

 

 

 

 霧野(キリシマ)の派遣に向けての必要な手続きに早速取り掛かる為に。

 

 

 

 一方で土方は一応形だけではあるが、山風(ヤマカゼ)を叱責していた。

 

 

 無断で破壊工作活動をしていたのだ。それも()()()味方である事になっている国に対して。

 

 

 とはいえ山風(ヤマカゼ)の行動原理が()()()()()()()()()()()()()()であり、その為ならば手段を選ばない狂気を持っている事を知っている。

 

 

 ヤマカゼは姉妹の中で一番不遇な艦だった。

 

 

 建造時に間違ってエラー部品が組み込まれた影響で不調に悩まされ続けた。

 

 

 その影響で訓練もロクに受けることが出来ず、乗組員もその大半が新人のままという有様で初めて参加したのが、姉妹全員が戦没したあの最期の血戦だった。

 

 

 山風(ヤマカゼ)は何の働きも出来ないまま、そして何の因果か、姉妹の中で一番最後に戦没した。

 

 

 姉妹の、そして姉妹の乗組員の断末魔の全てを、山風(ヤマカゼ)は聞いた。

 

 直前に受けた改装によって強化されていた自身の電子装備()が、最悪な形で山風(ヤマカゼ)の心を蝕んだ。

 

 

 もうあんな思いはしたくない。

 

 

 一人ぼっちは嫌!

 

 

 山風(ヤマカゼ)の心の内には姉妹を失うことへの強い恐怖心が根付いていた。

 

 

 それは並大抵のことでは払拭出来無い。

 

 

 普段から回りが気に掛けてはいるが、山風(ヤマカゼ)にとっての恐怖をもたらす範囲は予想よりも広かった。

 

 

 そして山風(ヤマカゼ)にとっては深海棲艦よりも、味方である人間の方がより姉妹にとって脅威であると見ていた。

 

 

 土方自身も以前からこの世界のアメリカに対して──直感の類いではあったが──不信感を抱いていた。

 

 

 第三次大戦で中東の友邦国サウジアラビアに一方的な難癖を付けて攻め込み、同国の政治と文化、伝統の悉くに対して破壊の限りを尽くしただけに留まらず、中東全域を巻き込んだ争乱を巻き起こし、今なお続く混乱の引き金を引いた。

 

 その後は散々滅茶苦茶のシッチャカメッチャカにしておきながら、興味を失ったのか後始末もロクにすることもなく、これまた一方的に引き揚げた。

 

 

 また中東だけでなく、NATO解散の直接原因にもアメリカによる一方的な都合が関わっていた。

 

 

 NATO加盟国カナダへの武力侵攻である。

 

 

 カナダへの侵攻の直前に、アメリカはNATOの解散を一方的に宣言。

 

 

 サウジアラビアにせよカナダにせよ、ある共通点があった。

 

 

 エネルギー資源である。

 

 

 サウジアラビアは言わずもがな、カナダも地下資源、エネルギー資源が豊富な国である。

 

 サウジアラビアとの関係悪化によりエネルギー政策に問題を抱えたアメリカは同じ西側の国家であるはずのカナダに目を付けた。*1

 

 

 この十年余り、アフガニスタンからの一方的な撤退以降、アメリカは目先の利益を優先した後先を考慮しない外交政策が目立っていた。

 

 

 いつかその牙がこちらに向くという可能性は、ゼロではなかった。

 

 厄介なのが在日米軍の存在だが、中間地点ハワイが制圧されている為に通常戦力の補充が困難であるがために、新ロシア連邦(NRF)による漁夫の利を警戒して戦術核の使用に踏み切る危険性があった。

 

 公的には否定しているがアメリカには中東にてその“前科”があった。

 

 

 目先の利益を優先するアメリカの行動は非常に予測し辛い。

 

 故にその行動の予兆を見逃さない様に神経を尖らせているのだが、山風(ヤマカゼ)はそれをより鋭く尖らせていた。

 

 

 しかし山風(ヤマカゼ)はそれだけで無く()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 核ミサイルの発射と自爆を司る数字の羅列を見せられた時は倒れそうになったものである。

 

 

 もし万が一の事態が起きていたら、山風(ヤマカゼ)は平然と人知れずにアメリカを終わらせていた可能性があったし、その意志もあった。

 

 

 流石にそれはやり過ぎだと、土方は山風(ヤマカゼ)の行動を咎めた。

 

 だがそれだけだ。

 

 

 一応、今後は口頭だけでも報告を行なう様に言い渡して解放した。

 

 

 

 山風(ヤマカゼ)春雨(ハルサメ)海風(ウミカゼ)に伴われて退室したが、それと入れ替わる形で斉藤が戻って来た。

 

 

 真志妻達を見送った後、斉藤は出張先から持ち帰った書類などを纏めると、事務方の大淀へと渡して来ていた。

 

 

 

「なぁオヤジ、沖縄がヤバいってのは前から聞いていたが、そんなにマズイことになっているのか?」

 

 

 入室するなり開口一番にそう土方に尋ねる。

 

 今は秘書艦の金剛と副艦の霧島の両名が作戦の細部を煮詰めるために霧野(キリシマ)と共に作戦室へと移動したために不在であり、ここには土方と斉藤の2人だけとなっている。

 

 

「嘉手納基地による空路で何とか餓死の心配だけはせずに済んでいるが、それもいつまで持つか分からん」

 

 

 そう言って自身のデスクトップに最新の沖縄とその周辺海域に関するデータを画面に映し出すと、斉藤に見えるように画面を向けた。

 

 

 現在の沖縄は先に述べた旧在日米軍嘉手納基地の他、旧在日米軍ホワイトビーチ地区等の軍施設を中心に守備隊を展開している。

 

 一時はアメリカ軍も駐留していたが、AL/MI作戦以降アメリカ本土からの補給の先細りと停滞を理由として佐世保へと移動しており、今現在沖縄には日本軍のみが展開している状態である。

 

 また目下最前線という事もあり、県民の帰還事業は行なわれていない。

 

 

 そしてその沖縄の周辺海域には複数の有力な深海棲艦の艦隊が遊弋しており、守備隊に対して圧力を掛け、それとは別に日本本土と沖縄を結ぶ航路帯に潜水艦による警戒部隊と姫級らしき存在を中核とする部隊が展開していた。

 

 この姫級の存在が確認されたことによって海上輸送による補給線は事実上寸断状態であり、重装備や燃料などの大量輸送が出来なくなっていた。

 

 海軍は幾度となく討伐隊を編成し、これの捕捉撃破を狙ったが、討伐隊の接近を察知するとマトモに戦うことなく引き上げ、潜水艦による襲撃を繰り返しての出血を狙って来た。

 

 業を煮やして討伐隊並の戦力を護衛艦隊として編成して強引に突破する作戦を敢行したが、予算と消費する物資があまりにも膨大過ぎて長続きしなかった。*2

 

 沖縄守備隊も遊弋する艦隊の撃破を狙ったが、備蓄物資を消耗するだけに終わっている。

 

 

 ここで斉藤は違和感に気付く。

 

 

「連中、直接攻撃は仕掛けて来ていないのか?」

 

 

 そう、何故か深海棲艦は沖縄本島に対する目立った攻撃をしていないのだ。

 

 精々嫌がらせの様な小規模な爆撃が何度か行なわれてはいたが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 お陰で先に土方が述べたように、何とか餓えによる飢餓地獄()()は回避出来ているが、根本的な解決には繋がっていない。

 

 

 真意、そして狙いが読め無い。

 

 

 深海棲艦にその意志があるのなら、フィリピン方面に展開する主力艦隊を押し上げるだけで、とっくの昔に沖縄は陥落していても可怪しく無かった。

 

 

 だがまるでそんな意志など毛頭ないと言わんばかりに動きが緩慢だった。

 

 

 土方もこのことに首を傾げていた。

 

 

「案外深海棲艦の連中、戦争をやるという気持ちが萎えて来てるんじゃないですかね?」

 

 

 半分冗談めかしに斉藤はそう語るが、実のところ土方もその可能性を考えてはいた。

 

 ここ最近、沖縄戦線に派遣されて戻って来た部隊から、「以前に比べて深海棲艦に戦意というかやる気が感じられない」という報告がチラホラと見られるようになっていた。

 

 

 だが、それでも今の日本には深海棲艦を押し返すだけの余力が無いという事実が伸し掛かる。

 

 

 戦争初期の、いやそれ以前からの国家運営の無計画さのツケがジワジワと出ていた。

 

 

「…どうなるかはアンドロメダ次第、か」

 

 

 ここでアンドロメダの存在が重要となって来る。

 

 

 彼女から深海棲艦の今、そして内情を知ることが出来たなら、これからの行動に関わる意思決定に大きな影響が出て来るだろう。

 

 そう考えていると、不意に部屋の扉がノックされた。

 

 

「オジキにちょいと伝え忘れてた事が、と、何だい、斉藤のあンちゃんもいたのかい?」

 

 

 入って来たのは霧野(キリシマ)だった。

 

 

 斉藤が部屋に居たことで少し考える素振りを見せたが、まあいいかと呟くと「これは下手に口外しないでおくれよ?」と前置きを告げてから土方に本題を語り出す。

 

 

「あの娘に関することなんだがね、沖田さんから気になる話を聞いていたのを思い出してね」

 

 

 それはキリシマがこの世界に来る直前に、高次元世界で会うことができた沖田から聞いた、あの話だった。

 

 

「もしかしたらあの娘、深海棲艦の姫さんとデキちゃってるかもと、沖田さんが言っていたよ」

 

 

 この思いもよらぬ情報に、部屋の空気が凍り付いた。

 

 

「まあ驚くのは無理無い話だけどね、寧ろチャンスかもしれないよ?」

 

 

 

 悪戯を思い付いた童の様な顔となったキリシマが、自身の考えを述べる。

 

 

 

 その後暫くして、ホクホク顔となった霧野(キリシマ)の姿が目撃され、対象的になんとも言えない疲れ切った表情をした土方と斉藤の姿が目撃された。

 

 

「沖田よ、お前の入れ知恵か…?」

 

 

 という呟きを聞いた者がいるらしいが、この呟きの意味することを理解したものは殆どいなかったと言われている。

 

*1
ここで自国領内のエネルギー増産を考えなかったのは、政権の支持母体である環境極左による政治的な影響工作が大きかった。

*2
財務省官吏が何人も卒倒し、財務大臣が心臓麻痺で倒れた。




 取り敢えず日本編は一旦終了です!


 シビリアンコントロール?ナニソレオイシイノ?になっていますが、正直シビリアンコントロールの絶対視もどうかと思う案件が現実で起きましたからねぇ。

 アフガニスタン撤退に関して米軍内部からの告発が相次いでいますが、まぁ酷いなんて言葉では片付けられない。防げた犠牲が政府の介入で防げなかったどころか被害をより拡大させていた。
 昨日のアフガニスタン明日の日本にならないことを祈るしかできない。


 兎も角、方針決定!日本は休戦に向けて(軍部が勝手に)動き出します!…まぁ一応、部隊による休戦交渉は現地指揮官の裁量で可能デスから!(強弁)


 正直この戦争は地域によって温度差は有りますが、どんどんグダグダになっていっています。


 次回からまたアンドロメダサイドの話へと戻ります。



捕捉

 カナダはトランプ政権時代にはアメリカに対してガスのパイプラインを建設しガスの輸出を行なう計画がありましたが、今のジジイが環境ガー、の一言でポシャらせました。ただしトレーラー輸送で代替(パイプライン以前からのやり方)しましたが、結果としてそっちのほうがより環境への影響がデカかったというヲチが付きます。

 カナダは世界有数のガス埋蔵量があり、輸出を行えるだけの産出量がありますが、カナダの独裁者(気になる方はフリーダムコンボイをお調べ下さい。事実上の天安門事件が発生していました。)とその支持基盤と政党が徹底的に妨害してそのポテンシャルを発揮出来なくしています。



愚痴コーナーでごんす!!

 クラウゼヴィッツの戦争論を学校の必須科目にして欲しい!そして議論を戦わせる場を設けて欲しい!

 も少しロジスティックに関して真剣に考える機会が必要なんじゃないかと思う今日此の頃。
 戦争においてロジスティックを海外に完全依存する危険性と恐ろしさを知らなさすぎて笑いすらおきねぇ。
 何でロジスティックの海外依存=兵站の無敵化などという、ツッコミどころ満載な論調にこの国はなるのかねぇ?少し考えたら論理破綻しているって気付くのに。
 問題なのは日本において保守とされる人や保守的意見の人程その事に無関心な気がするという事で、酷いケースはそれを指摘すると、彼らが嫌う左派的論調(論より大声、レッテル貼り)に傾倒する場合がある事。実際に私は非国民、売国奴、親中親露のレッテル貼りを現実やネットを問わず何度も経験している。まぁ会話が噛み合わなさすぎて辟易としますがね。
 日本って保守もリベラルも根底は大差無いとしか言え無いなぁという実感がさらに強まった。
 



 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。

アメリカ大統領選挙のイメージは?

  • 直接選挙
  • 間接選挙
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。