艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 未知との遭遇。
 

今回「《》」という表記がありますが、これは通信相手のセリフを表現しています。
 ただ今後変更する可能性はありますがご了承下さい。


お詫びと訂正。

 先の投稿後書きにて、“副大統領に機密指定解除の権限は無い”と記載致しましたが、その後にブッシュ政権時代の大統領令で副大統領にも制限付きながら解除権限が付与されていた事が判明致しました。

 以上のことを鑑み、該当部分を削除致しました。

 リサーチ不足から不正確な情報をを記載してしまいました事を、深くお詫び致します。


第36話 Encounters with the unknown

 

 

「護衛戦艦、ですか…?」

 

 

 駆逐棲姫から語られた、護衛戦艦Arizona(アリゾナ)なる存在に、アンドロメダは首を傾げた。

 

 

「俺らの軍で護衛艦つったら、『Метель』級フリゲートか、その改造型の『春雨(ハルサメ)』型直掩護衛駆逐艦だよなぁ」

 

 

 アポロノームが記憶の中にある、ピンク髪の大人しそうな外見とは裏腹に、ストイックな一面のあった駆逐艦に率いられた、十人十色の個性豊かな護衛隊を思い浮かべながら呟いた。

 

 

「それ以前に、各州管区が独自設計の大型戦闘艦を建造するという必然性がありませんし、今の連邦政府がそれを許すとは思えません」

 

 

 あの忌まわしくも、その能力だけは確かな時間断層工廠がある限りは。という言葉を心の内で吐き捨てながら、少なくともそのArizona(アリゾナ)が自分達と同世代ではなく、またその必然性と政治的問題から自分達の世界の(ふね)ではないとアンドロメダは見ていた。

 

 必然性は時間断層工廠の圧倒的な開発、生産能力という物理的な理由から。

 

 政治的問題はかつてのガミラス戦役にて、有事の際には国連統合軍傘下の国連宇宙海軍指揮下に入るという事に()()はなっていたハズの各国宇宙海軍であるが、当時依然として強い権限を有していた国連安保理常任理事国各国は、そのような取り決めを無視して旧NATOの西側と中露といった東側といった潜在的対立意識から独断専行に走る事が多く、またその他の国々も外交や経済的な繋がりからどちらかの陣営に引っ張られて、軍としての連携も何も無い、有機的運用からは程遠い出鱈目な足の引っ張り合いを繰り返すばかりで悪戯に戦力を消耗するだけだった。

 

 

 それが完全に解消されることは、終ぞ無かった。

 

 

 その余りにも苦すぎる教訓から、戦後に発足された地球連邦政府が国防政策において真っ先に執り行ったのは、各国が持つ国軍とその軍権の召し上げによる正式な地球という国家としての国軍である地球連邦軍への再編と指揮系統の統一だった。

 

 

 無論大きな反発があった。

 

 

 特に北米管区とEU管区が最も激しく反発し、戦前からの繋がりがあった国々と連携して計画のご破産か、最低限自分達に有利になるような形に計画を修正させようとしたが、それを察知した当時極東管区軍務局長だった芹沢虎鉄による北米やEU管区による艦隊戦力の隠蔽、波動コア強奪未遂とそれに付随した沖田十三暗殺未遂事件などなどといった、両管区がひた隠しにしたいスキャンダル問題をネタにした恫喝(交渉)により、最終的には当初案通りに進められた。

 

 ロシアと中国は戦中に国軍がボロボロになっていたのと、国内問題の解決を優先したかった為に、若干の不満は漏らしつつも比較的大人しくしていた。

 

 

 それらの経緯により、地球連邦政府は治安維持を目的とした警備隊程度の戦力の保有は認めても、かつての国軍の様な軍事組織規模の戦力の保有は認めず、また独自の兵器開発にも一定の制限を課しており、特に航宙戦闘艦の開発建造に関して、中小艦艇は使用する部品が有事を見越して防衛軍艦艇と共通規格であるという条件さえクリアーしていれば、と認めても主力艦となる大型艦の建造は原則として認めていなかった。

 

 

 以上の様な経緯から姫達の推測した通り、“似て異なる世界”からの来訪者であることは間違いないとの結論に達した。

 

 とはいえあくまでも推測に過ぎず、また自分達が沈んだ後に何かしらの方針転換であったり、政変などで情勢が劇的に変わったり、もしかしたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という可能性はゼロではない。

 

 

「…直接会えれば良かったのですけど」

 

 

 そう駆逐棲姫が呟くが、流石にこれは難しい相談だ。

 

 

 アンドロメダならば現地まで直接飛ぶという、ある種の離れ業というか荒業が出来るが、腐っていても超大国アメリカ。

 

 国境はガバガバだが未だその早期警戒網は健在であり、領空を下手に飛行している所を発見されたら面倒事になる。

 

 無論、アメリカ空軍の戦闘機や防空ミサイルが束になって掛かって来たとしても、それを涼しい顔をしながら正面から突破する事くらい造作も無い。

 

 問題はその後、面目を丸潰れにされたアメリカ軍はその犯人を血眼になって探し出そうとし、形振り構わぬ行動に打って出て、もし見付かったら地の果てまで追い掛けて来るだろう。

 

 その末に捕獲が無理だと判断したら…。

 

 最悪アンドロメダの行く先々で望まぬ“不幸”の連鎖が巻き起こりかねない。

 

 それは即ち、アンドロメダの居場所が無くなる事に繋がる可能性がある。

 

 

 そして確実に駆逐棲姫(お姉ちゃん)にとても迷惑を掛けてしまう。

 

 

 それは、それだけは絶対に避けたい。

 

 

 ならば陸路で警戒がガバガバな国境を通るか?

 

 

 深海棲艦がパナマを制圧した一時期は、彼女達を恐れてメキシコを始めとしてパナマ以北の中米以外からの不法移民はめっきりと減っていたが、彼女達は基本的にカリブ海に面するパナマ運河の出入り口であるコロン港に拠点を構えているだけで、それ以外はほぼノンタッチだった。

 

 理由は、内陸部まで制圧しなくとも出入り口さえ抑えとけば良くね?統治も面倒くさいし。というのもあるが、陸上だと人類側の陸上戦力の方が地の利の面から有利なケースがあり、思わぬ痛手を負うという今までの経験*1から、海からの援護が厳しくなる内陸部へと踏み込む事を忌避している事が大きい。

 

 

 そのため運河棲姫が侵蝕した運河設備の上空を定期的に哨戒機程度は飛ばしている位で、要所に部隊を配置するといった厳重な監視は敷いていなかった。

 

 

 それに気が付いた中南米の人間達が、再びアメリカへと向かいだした。

 

 

 深海棲艦達も、まぁ、こちらに対して危害を加える気がないならいいか。とスルーしていたし、今も戦艦新棲姫や南方戦艦新棲姫が開いた商社へのお手伝いを送り込む際に紛れ込ませてもらっているから、多少なりとも支援もしていたりと両者ある意味Win-Winであったりする。

 

 

 多分、現状これが最も確実な方法だろうし、頼めば彼女達からの支援も期待できるのだが、何ぶん時間が掛かり過ぎるのがネックだ。

 

 

 となると、後は通信という手段となるのだが、問題は────。

 

 

「こちらの通信コードを教えて大丈夫なのか?か?姉貴」

 

 

 アポロノームがアンドロメダ()の心の内を読み取り、代わりに声に出して告げた。

 

 

「…ええ。こう言ってはなんですが、彼女、Arizona(アリゾナ)さんを信用するに足るヒトと判断するには、まだ情報が少なすぎます」

 

 

 疑い過ぎるのは良くないかもしれないが、もし、万が一彼女から情報が漏れたとしたら、また最悪の可能性として彼女がこちらの情報を売り渡すかもしれないという危険性を考えたら、メインフレームへとアクセスする踏み台に成りかねない通信コードをおいそれと教えて大丈夫なのか?という不安がアンドロメダにはあった。

 

 

 だがアポロノームはそんなアンドロメダ()の懸念に対して、また姉の深く考え過ぎる悪い癖が出たと内心で苦笑した。

 

 

「姉貴の言いたいことは分かるけどよ?ここは決断するべきところじゃないか?」

 

 

 あらゆるリスクの可能性を考慮することも大事ではあるが、何処かで妥協点──例えばリスクの程度でによっては許容が出来るもの──を見付けなければ、前に進めるものも進めなくなるとの懸念を示すことで、姉の決断を促す。

 

 

 アンドロメダとしてもアポロノームの言っている事がよく分かるため、暫し黙考する。

 

 

 アポロノームの言う通り、ここは多少の危険は承知で賭けに出るべきか?

 

 それに彼女はアメリカの現役上院議員であるという艦娘Iowa(アイオワ)のプレーンという驚くべき立場にいるというのだ。

 

 

 これは捨て難いチャンスかもしれない。

 

 

 今のアメリカはかつてのオスマン帝国やオーストリア=ハンガリー二重帝国の末期の様に、栄光と繁栄の象徴であり、最強にして唯一の超大国とされた、かつての最盛期と比べると見るも無惨な斜陽の帝国となり、その影響力と力は大きく落ちぶれてはいるが、それでもアメリカは何とか大国としての立場は維持していた。

 

 

 言い方は悪いが、利用価値がゼロとなったわけではなく、多少なりともパイプを繋いでおくのも悪くないかもしれない。

 

 

「(もし彼女が私達を“売る”といった行為に及ぶというのであれば、それ相応の報いをくれてやれば────)」

 

「(ふふふ…。それにお姉ちゃんの脚を奪った悪い国でもありますから、容赦する必要もありませんよね…?ふふ…、ふふふ……)」

 

 

「…お姉さん、悪い顔してますね?」

 

 

「ありゃぁ、なぁんか良からぬこと企んでるな…」

 

 

 考え込みながら黒い笑みを浮かべ出したアンドロメダを見て、2人は小声でそう漏らした。

 

 

 アンドロメダとしたら自身の安全、ひいては妹であるアポロノームの安全も大事ではあるが、それと等しく自身にとって掛け替えのない存在となり、お姉ちゃんと呼んで慕っている駆逐棲姫に、癒えない消えることのない傷を負わせた下手人であるアメリカに対して静かな怒りの炎が燻ぶっていた。

 

 完全に私怨事ではあるが、あわよくば“報復”の口実を向こうから齎してくれるのであれば、ある意味で美味しい機会であると捉えることも出来なくはない。

 

 

 それに“正規のルート”からアメリカの情報が得られるのであれば、色々と“取引”の材料に使えるし、そういった“伝手”がある事を匂わせる事が出来る、という選択肢があるだけでも今後非常に有益な“カード”と成り得る。

 

 

 

 アンドロメダの腹は決まった。

 

 

 

「…お姉ちゃん、すみませんが“これ”を先方にお伝えすることは出来ますか?」

 

 

 そう言ってアンドロメダは駆逐棲姫に、携帯タブレットの画面に映し出した数字と文字と記号の羅列を見せた。

 

 それはアンドロメダに割り当てられていた暗号通信コードの一つであり、万が一の場合は破棄しても問題の無い物だった。

 

 

「……大丈夫です。これを一文字も間違えずに相手へと伝えたら良いんですね?」

 

 

 その羅列を暫しジッと眺めていた駆逐棲姫が、問題無いと伝えると、確認のために聞いてきた。

 

 

「はい。それでこちらへと直接連絡が取れるようになります」

 

 

「分かりました。それではまた“行ってきます”ので、体の方をよろしくお願いします」

 

 

 今度は行ってらっしゃいと見送りながら、駆逐棲姫の体を優しく抱き抱える。

 

 

「…半ば俺が焚き付けといておきながら、こんなこと言うのも野暮かもしれねぇが、本当に良かったのか?」

 

 

 アポロノームが改めてといった感じで尋ねるが、アンドロメダは微笑みを浮かべる。

 

 

「ええ。ここで一つでも手を打っておいた方が、後々で生きてくる可能性もありますし、今回の一件は先延ばしにするよりも早々に対処すべきと判断しましたから」

 

 

 というアンドロメダ()からの返答に、アポロノームは一応の納得を示すが、先程浮かべていた黒い笑みについて問いただした。

 

 

「万が一の為の保険を考えていました」

 

 

 満面の笑顔でそう返されるが、アポロノームはその笑顔に若干の恐怖を感じた。

 

 本当に何か“ヤラカシ”そうな…、しかも眉一つ動かさず…、いや、ニコニコと嘲笑(わら)いながら粛々と“行動”に移す、そんなアンドロメダ()の心の内にある“狂気”を垣間見た気がした。

 

 

 そこへ、それまで横に控えて見ていた潜水新棲姫がトテトテと寄って来て、アンドロメダにあるお願いを持ち掛けてきた。

 

 

「私達にもおねえさん達と通信出来るように出来ませんか?」

 

 

 これは横で聞いていたときに、ふと思い付いた事だった。

 

 今は兎も角として、後々の事を考えたらお互いに通信で話し合える様にしておくことは、悪い事ではないはずだ。

 

 

 言われてみればと、2人もお互いに顔を見合わせる。

 

 アンドロメダがここサイパン島へとやって来た時に、ここの責任者である飛行場姫とやり取りを行なった際は同行、というか艤装に同乗していた空母棲姫を介してだった。

 

 あの時はそれでどうにか上手くいったが、どうしても間を介する事でタイムラグが発生するし、認識の相違から誤解が発生してしまうリスクも高い。

 

 それにいつも誰かに通信を任せる様なやり方ではなく、直接やり取りした方が何かとスムーズだし、動きやすい。

 

 そのため潜水新棲姫からの申し出にアンドロメダは快諾し、アポロノームも同様に今後の事を考えて承諾することとなった。

 

 

 とはいえ傍受したことはあっても、実際に通信が繋がるかどうかは、生体艤装というアンドロメダ達にとって未知の技術体系であるがために不安があったが、特に問題無く繋げることが出来た。

 

 ただ、矢張りというべきかアンドロメダ達みたいに映像は無く、SOUND ONLY(音声のみ)ではあったが。

 

 

 しかし音声だけとはいえ、直接のやり取りが出来るようになった事は大きく、これ以降は今まで以上に深海棲艦とのスムーズな情報のやり取りが可能となった。

 

 

 これは一重に異星人文明との接触という、この世界の人類が未だなし得ていない経験と、何よりも科学技術が遥かに優れているガミラスとの同盟により底上げされた地球連邦の科学技術によって、通信技術も飛躍的に向上し、技術体系に違いがあっても問題無く繋げることが出来るようになったことが大きい。

 

 またアンドロメダ(タイプ)は旗艦級の戦闘艦でもあるため、一部を除いた他の地球艦よりも強力で高性能な通信機材と、高度な演算処理能力を有するAIシステムを搭載していることも、今回スムーズに繋げることが出来た要因である。

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 そうこうしている内に、アンドロメダの艤装の通信機器から、「通信回線開け」という呼び掛けを告げる電子音が鳴り響いた。

 

 

 アンドロメダは駆逐棲姫を艤装の椅子に座らせていたので、コンソールの通信設備ではなく、携帯タブレットを取り出すと、作業用として艤装の近くに持ってきていた折りたたみ机の上に置くと、当事者としてアポロノームも共に出るようにとアイコンタクトで示し、服装と制帽を整えさせて横に立たせると回線を開いた。

 

 

 携帯タブレットから光が出て、空中にレーザーで投影された画面が形成され、それにノイズが走るが直ぐに補正が掛かり、そこに金髪ショートカットで金色の瞳をした、その着こなしから一瞬男性かと見紛うが、服の上からも分かる女性特有の胸の膨らみの主張があり、男装の麗人という言葉が似合っている女性が映し出される。

 

 

 相手もこちらを認識したのか、右腕を自身の胸の前に水平に立てる独特なポーズ、ごく最近、制帽非着用時用として防衛軍で正式採用されたばかりの、まだ軍内部でも完全には浸透仕切っていない敬礼のポーズをとっていた。

 

 それを見てこちらは2人揃っての挙手による答礼を返す。

 

 

 

「《お呼びいただき、感謝の極みであります》」

 

 

 

 そして、いよいよ第三の、恐らくは”この世界“よりも“自分達がいた世界”と“()()()()()”、されど“()()()()()()()()”からやって来た異邦人とのファーストコンタクトが、今始まる。

 

 

 

「《地球防衛軍連合宇宙艦隊旗艦、アンドロメダ殿》」

 

 

 

 

 

 

 …だがその視線は何故かアポロノームの方を向いていた。

 

 

*1
フィリピンや地中海方面。特に地中海のエーゲ海と黒海へと繋がるマルマラ海を隔てるダーダネルス海峡攻防戦にて、罠に掛かって無闇にガリポリ半島へと誘い込まれて上陸してしまい、さらには防衛陣地からの阻止攻撃で動きが鈍った所を、地図の書き換えが必要なレベルの新ロシア連邦(NRF)トルコ連合軍によるアホみたいな規模の火力投射を受けて大損害を受けた事がトラウマとなった。





 さ~て、次回はいよいよArizona(アリゾナ)との画面を介したやり取り。

 文中の“極めて近く、限りなく遠い世界”はとあるゲームのサブタイトルから。
 このフレーズは個人的にかなりのお気に入り。


 個人的にヤマト世界の通信技術は、他の世界と比べて一番のチートだと思います。

 技術レベルの違いによる相互差は勿論、星によったら技術体系が全く違う可能性もあるのに、多少の解析で直ぐに画像付き通話が出来るなんて凄いの一言。

 まぁ、そういった背景からアンドロメダは傍受などに対しての警戒感がやや神経質なところがあります。




補足解説


ダーダネルス海峡攻防戦

 クリミア半島セヴァストポリ基地に本拠地を持つ、新ロシア連邦(NRF)海軍黒海艦隊の艦艇や艦娘部隊がエーゲ海を始めとした地中海、果てはスエズ運河地中海側の出入り口であるポートサイド(エジプトの首都カイロから北東に約200kmの位置にある都市)の沖合にまで進出し、散発的な攻撃を仕掛けて来ている事に業を煮やした地中海担当の深海棲艦達が、黒海艦隊が通過するダーダネルス海峡の封鎖を目的として発生した戦い。

 だがこれは地中海東部のエーゲ海周辺に展開する深海棲艦を可能な限り纏めて一挙に叩き、黒海を聖域化し、一帯の石油輸出ルートを安定化させたいという新ロシア連邦(NRF)の思惑から考え出された“罠”だった。

 艦隊並びに自軍に所属する艦娘戦力を全力投入して積極的に動かして深海棲艦を挑発し、防備を固めたガリポリ半島(首都イスタンブールから西南西におよそ200kmの位置にある、ダーダネルス海峡を挟んだヨーロッパ東側のバルカン半島南東部、トラキアと呼ばれる地域のさらに東側に位置するトルコの領土の南側にある半島。)へと誘い込んで大打撃を与える事を目的としていた。


 艦艇は深海棲艦が迫ってきた段階で海峡を通過したが、艦娘だけは“しんがり”として踏み留まったことと、元々主力艦である戦艦艦娘ですら前弩級戦艦のРеспублика(レスプーブリカ)(旧Император Павел I(インペラートル・パーヴェル1世))、Евстафий(エフスターフィイ)Князь Потёмкин-Таврический(ポチョムキン=タヴリーチェスキー公)といった旧式艦が多く、船足が遅かった為に逃げ切れずに陸上へと上がり、現地に展開していた地上部隊と合流。

 それを見た深海棲艦が逃すまいと躍起になって追い掛けて陸に上がったのだが、それが“罠”だった。

 慣れない陸地にモタモタしている内に艦娘は待機していた陸軍の車輌に乗って退避しており、その後に防衛陣地からの攻撃で足止めされていたところを新ロシア連邦(NRF)陸軍とトルコ陸軍の大部隊による地形を変えた、山体崩壊クラスの噴火と見紛う猛砲撃によって、上陸した深海棲艦は文字通り消滅。


 これを見た残存の深海棲艦達は同胞の救助を試みるもその悉くが失敗して断念。撤退した。


 結果としては大きな損害無く深海棲艦を退けた事で勝利とされているが、その戦果は本来目的としていたよりも下回っていたために、黒海の聖域化は兎も角、地域の石油輸送ルートの安定化には程遠く、その勝利は戦術的なものでしかなく、戦略的には不守備に終わったと評価され、また余りにも投入コストが膨大であり、広範囲を吹き飛ばすという問題から多様出来無いなどの課題からこれ以降実施されることは無かった。

 また石油輸出は新たなパイプラインを敷設することとなり、タンカーへの依存度が相対的に低下することとなった。


 しかしこの作戦に際してEUに対して事前の協議による通達はしていたものの、当時新ロシア連邦(NRF)とかなり急接近していたトルコ共和国領内に大軍を移動させて展開していた事がEUの警戒心を煽ってしまい、国境各所でEU軍と新ロシア連邦(NRF)軍が長期間睨み合う緊張状態を作り出してしまった。



EU軍

 元は先の第三次世界大戦における東欧紛争にて、欧州各国でパンデミックの影響による経済低迷が原因で発生した大量の失業者対策も兼ねて義勇軍として派遣された兵士達を戦後に再雇用したのが原点。

 その背景には欧州各国が戦争の影響(主に深刻なエネルギー問題によるコスト増)でさらに経済が落ち込み再雇用出来なかったというのもあるが、戦争後半に次々と発覚した義勇兵による現地での各種の軽犯罪だけでなく、戦争犯罪とその隠蔽がすっぱ抜かれた事で義勇軍に対する評価がガタ落ちし、そこに参加していた義勇兵への風当たりも強くなってしまい、戦後の社会復帰への妨げとなってしまった。(帰還兵ランボー状態)

 そこに目を付けたEU委員会が独自の軍事力を持ちたいとの考えから帰還兵達を雇用。
 その装備はEU圏内の各種軍需産業をメインに買い付けたため、EU委員会との結び付きも強くなる。

 問題は構成する兵士達が元々EU各国で半ば村八分にされていたという経緯から、モラル面などの素行に問題を抱えており、度々トラブルが発生している。


愚痴コーナー

 前回リサーチ不足からやらかしましたが、その後も次から次へとジジイの不祥事が出てきて溜め息しか出ない。

 まぁ、以前から結構言われてきたことですから、驚き自体は皆無なのですが、中間選挙が終わり、年明け早々の時期に出てきたという事から、遂に用済みとして“切り捨て”が始まったか?と勘繰りを禁じ得ない。

 問題は現在の副大統領、ジジイ以上のヤバいというか権力を持たせてはならない代表格と言えるほどの、“無能”。

 どれ程無能かというと、“あれ”一応南部国境不法移民問題対応の責任者なんですぜ?
 だけど本作で何度も取り上げましたが、悪化する一途で、何の仕事もしていないのは明らか。
 またある時取材でその事を突っ込まれた際、いきなり笑いだして誤魔化して逃げ出しました。その動画を見たことありますが、失礼ながら狂っているんじゃないか?としか思えない状態でした。
 これだけでなく、都合が悪くなるとそうやって逃げ出したり、質問に対して頓珍漢な答え、いや政治家としてそれどうなの?事前の勉強とか説明とか無かったの?と不安になる受け答えが見られます。

 …いっそ副大統領も一緒に追い出して下院議長に大統領になってもらった方が良いのでは?いやまあ、下院議長もちと不安だが、前任の妖怪ばばあよりかはまだマシではありますが。

 補足、アメリカで大統領に何かあった際に次に大統領となるのが副大統領ですが、万が一その人にも何かあった場合、その次はその時の下院議長が大統領となります。



 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。

 …後書きが一番時間が掛かってた。というか、補足説明の内容を煮詰めていくのが楽しくてその時間にかなり食われてた。

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