艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 コミュニケーションは質よりも量が物を言います。中身は何でもいい、雑談でけっこう!ワイワイやるんです!伝えたいことは話しの質だけでなく、伝えたいという気持ちで通じるものでしょう。

空母いぶきGGより



 今回はある意味雑談回。(人が増えるとセリフ回しが大変だべ…)


 注意!

 今回艦娘による喫煙シーン並びに喫煙経験があるシーンがあります!

 


第40話 Kirishima

 

 

「«お初にお目にかかります。私は元地球連邦防衛軍宙将、今はこの世界の日本海軍にて外洋防衛総隊の司令を任せられております、土方竜中将です»」

 

 

 そう言って画面の向こうでお辞儀する壮年の男性に、泊地棲姫は微笑みを浮かべながら「ご丁寧にありがとうございます」と応じるが、その内心は緊張感に包まれていた。

 

 

 最初は何かの冗談かと思った。

 

 

 “円卓”の最中にアンドロメダさんと関わりがあるかもしれないという者の存在が発覚し、その後アンドロメダさんの要望もあって(くだん)の者との通信を試みた際に、今度はなんとアンドロメダさんと所縁のある者がその通信に突如として割り込んできたという。

 

 

 おおよその概略だけでも驚くべき内容なのに、より詳しい説明によると、最初に話題となった者はアンドロメダさんのいた世界と非常に酷似しているが、異なる別世界からの来訪者であり、今はアメリカ大統領を目指すべく政界入りした艦娘に協力している者らしい。

 

 そして今度は正真正銘のアンドロメダさんと同郷で、彼女にとって恩師というべき者が現われたらしく、またそのヒトだけでなく他にも同郷の者達が複数いるらしいのだが、その中に耳を疑う人物が紛れ込んでいた。

 

 

 それが、先の土方竜なる殿方である。

 

 

「貴方のお噂は常々よく耳にしておりました」

 

 

 そう、恐らくだが西太平洋方面に展開する同胞(はらから)達であれば、今目の前で「«恐縮です»」と述べている彼と、彼の率いる部隊によって何度も苦杯をなめさせられたという経緯から、知らない者がいないのではないかと言える程に、この土方なる殿方は有名なのだ。

 

 守勢において粘り強く抵抗し、こちらの攻撃の勢いが衰えたタイミングを正確に見切って痛撃を加え、継戦能力と士気を確実に奪う。

 

 或いは精鋭らしき駆逐隊を迂回させて攻勢主力や指揮系統の中核を叩いて混乱を招き、反撃に打って出て押し返す。

 

 なんとも厄介な相手ではあるが、こちらから仕掛けなければ出てくることが無いのが唯一の救いとすら言われている。

 

 

 そんな相手が通信とはいえ、出て来たという事で吃驚仰天した潜水新棲姫が慌てて泊地棲姫を呼んだのである。

 

 

 泊地棲姫としてもまさかの事態に最初は混乱したものの、上に立つ者として毅然とした態度で対応すべく気持ちを切り替えて挑もうとしたのだが───。

 

 

「«アンドロメダとアポロノームの2人が大変お世話になっているようで、感謝してもし切れません»」

 

 

 …まるで迷子を探していた親御さんから感謝され、お礼を言われるというみたいなことになるとは思いもしなかった。

 

 まぁ、あながち間違いではないのだが、その辺りの事情を知らない泊地棲姫にとっては、些か困惑する事態だと言えた。

 

 

 

 そんな泊地棲姫の近くでは、フリーズ状態から再起動を果たしたアンドロメダが縮こまっていた。

 

 

 

「«ハッハッハッ、もうお互いかつての立場は意味をなさないんだ。肩肘を張ったところで疲れるだけさね»」

 

 

「そ、そうかもしれませんが…」

 

 

 あっけらかんと笑う霧島(キリシマ)に、アンドロメダはたじたじだった。

 

 確かに彼女の言う通り、かつての肩書きはこの世界ではなんの意味もなさない。

 

 分かり切ったことではあるのだが、完全に割り切るにはアンドロメダは些か戸惑いがあった。

 

 最近、以前と比べて()()()()()()一面が見られるようにはなったのだが、なんだかんだ言ってアンドロメダの性格は真面目な面の方がまだ強かったのだ。

 

 

 因みにだが、今はアポロノームのタブレットも使用しての複数の画面を展開している状態である。

 

 更に付け加えるなら、おおよその事情は状況から察してはいるが、それでも細かいところとなるとどうしても分からない事柄が多く、もしかしたら認識の相違から勘違いが起きているかもしれないIowa(アイオワ)Arizona(アリゾナ)の為に、秘書艦の金剛と副艦の霧島が事の顛末に関する詳細な説明と、必要ならばその都度質問を受けては知っている範囲で答えられる物は答えるといった事を、新たに通信を繋ぎ直して行なっていた。

 

 

「«まあ、こうしてお互いまた会うことが出来たんだ。今はその幸運を噛み締めるべきさね»」

 

 

 そう言うと霧島(キリシマ)はアンドロメダの傍らに居る駆逐棲姫に視線を向けた。

 

 

「あ、あの…、ハ、初めまして…」

 

 

 恐る恐るといった雰囲気で挨拶してきた駆逐棲姫に、霧島(キリシマ)は穏やかな笑みを浮かべた。

 

 

「«ああ、初めまして。アンタのことは沖田さんから聞いているよ。

 

 私の大切なヒト達のムスメを守ってくれて、本当にありがとう»」

 

 

 礼を述べる霧島(キリシマ)だが、ここでまさか沖田の名を聞くとは思わなかったアポロノームを含めた3人は、一様に驚いた顔となる。

 

 

「«…あの人は、いつもあんた達のことを見守っていたんだ。

 

 その娘がいなければ、大変なことになっていたかもしれないとも言っていたよ。

 

 だからこそ、()()()()()()()()()()、父親たる沖田さんや母親であるヤマトの代わりに、私からの礼を受け取って欲しい»」

 

 

 深々と頭を下げる霧島(キリシマ)に、駆逐棲姫はほんの少し戸惑う。

 

 駆逐棲姫としたら、当たり前のことをやっているだけに過ぎず、感謝されるほどの事ではないと思っていた。

 

 

 しかしこの霧島(キリシマ)の言葉に、アンドロメダは気になるものがあった。

 

 

「あの…、この世界に来れないというのは?」

 

 

 掠れた声で霧島(キリシマ)へと問い掛けるが、アンドロメダ自身、聞かずともその答えを察することは出来ていた。

 

 だが、それでも、聞かずにはいられなかった。

 

 

 目を伏せ、少し悲しみを湛えた顔となる霧島(キリシマ)

 

 

「«…沖田さんは、あの場所でこの世界の未来の可能性を知り過ぎた。だから、見守ることしか出来なくなった。

 

 私は、いや私達はそんな沖田さんの頼みでこの世界へとやって来た»」

 

 

 

 その霧島(キリシマ)からの答えに、顔を俯かせるアンドロメダ。

 

 

 土方さんがこの世界に居たことで、もしかしたら沖田さん(お父様)もいずれは…、という微かな期待、願いが無かった訳では無い。

 

 だが、その願いは、脆くも崩れ去った。

 

 

 “あの時”のほんの僅かな時間が、親子が揃った最初で最後の時間であり、今生の別れとなってしまっていた。

 

 

 アンドロメダはかつて火星宙域でその最期を迎えた際に、ある“願い”を胸に秘めながら沈んだ。

 

 

 多くは望まない。ただ大切なヒト達と、また一緒になって平和な時間を過ごしたい。

 

 

 それが今際の際に願ったアンドロメダの素直な気持ちであり、戦闘艦である自身の存在意義と反する物だったが、絶望的な災禍を知り、あらゆるものを失ってきたからこそ、もし次があるならば、出来れば平穏無事な日常を大切なみんなと共に過ごしたいという思いが、彼女の心の中に芽生えていた。

 

 

 そしてアポロノームや霧島(キリシマ)といった大切なヒトとの再会や、新たな大切なヒト達、本来ならば赤の他人であるはずの自分を親身になって心配して気遣ってくれた深海棲艦のヒト達との出会い。

 

 その中でも駆逐棲姫さん(お姉ちゃん)は、最早大切という言葉だけではとても足りないくらいにまでに、大好きな妹達や今でも愛して止まないヤマトさん(お母様)と変わらぬ程の、得難い存在をこの世界で新たに得ることが出来た。

 

 

 だけど、やっぱり願わずにはいられなかった。

 

 

 もう一度、沖田さん(お父様)と会いたい。お話したかった。あの温もりを感じたかった。

 

 

 でも、それは最早叶うことが出来無い願いなのだと、思い知らされた。

 

 

 残酷な事実を突き付けられた悲しみと寂しさからか、強い寂寥感に襲われ、知らず知らずの内に手が強張り、手の平に爪が食い込む程に強く握り締めてしまっていた。

 

 それに気付いた駆逐棲姫がアンドロメダの手をそっと手に取り、その手の甲を撫でて強張ってしまった手を優しく(ほぐ)す。

 

 

 今のアンドロメダにはその優しさが心に染み渡り、駆逐棲姫を心の拠り所として依存していくこととなるのだが、その事に誰も何も言えず、霧島(キリシマ)にもどうすることも出来なかった。

 

 …いや、寧ろ霧島(キリシマ)はアンドロメダの心にはこの心優しい深海棲艦の姫が必要不可欠であると考えており、微笑ましく見ていた。

 

 

「…ヤマトさん(お母様)があの後どうなったのか、ご存知ですか?」

 

 

 ふと思い出したかの様に尋ねたのは、母と慕うヤマトの安否だった。

 

 “あの時”沖田と共に自身の前に現われたことで、一抹の不安があった。

 

 

 霧島(キリシマ)は瞳を閉じると、あの日の、向こうの世界からおさらばして消え去る最期の瞬間に交わした、ヤマトとの会話を懐かしむかの様に思い出す。

 

 

「«私の最期を看取ってくれたのが、ヤマトだったよ…»」

 

 

 

───────

 

 

 アンドロメダ(教え子)の訃報を聞いてから、霧島(キリシマ)は日々衰弱が激しくなっていっていた。

 

 それに追い打ちを掛けるかのようにして、沖田さん(愛した人)の最期を看取ってくれた親友、ヤマトの未帰還(行方不明)という報と、その帰還(生存)が最早絶望的であるとの見解から、心が完全に折れてしまい、老朽化した(老いさらばえた)自身の魂を現世に繋ぎ止めていた未練が無くなってしまったと言わんばかりに、骨と皮だけのやせ衰えた姿となってしまっていた。

 

 

 もうその目は殆ど見えず、その耳も聞き取り辛くなっていた。

 

 

 私ももうじきお迎えがくる頃合かねぇ…?

 

 

 そんなことを考えていた折に、彼女はやって来た。

 

 

 

「ああ…、ヤマトかい…?」

 

 

 

 目は見えずとも、その気配で誰だかが分かった。

 

 

「遅かった、じゃないか…?

 

 あまりにも、遅いから…、あんたも沈んだ(逝った)のかと、思っていたよ…」

 

 

 ようやく帰って来てくれた親友のヤマトに対して こんな時でも皮肉な言葉しか出ない自身の口の悪さに苦笑するしかなかった。

 

 

 その後にヤマトから語られた言葉があったのだが、衰えた自身の耳ではそれをキチンと聞き取ることは、もう出来なかった。

 

 それでも、微かに聞き取れた言葉から、それがいわばあの娘に対する誓いか、決意の様なものであることだけは分かった。

 

 

 だけど、それがいずれヤマトを縛る“呪い”になるかもしれないという、一抹の不安に駆られ、最後の気力を振り絞って短いながらも忠告を兼ねた言葉を紡いだ。

 

 

 

「ヤマト…、背負い、すぎるんじゃ、ないよ…」

 

 

 

 まったく、誰に似たんだか揃いも揃って根が真面目で優し過ぎるんだ。

 

 

 誰かが気に掛けてその都度小言でも言って窘めてやらないと、勝手に潰れてしまいそうな危うさがその身から滲み出ていた。

 

 

 …私にゃぁ、もうその役目を果たすことは出来そうに無いから、最後の餞別としてその言葉を遺しておさらばすることになった。

 

 

 消え去る瞬間に、私に何かを伝えようとしていたけど、よくは聞き取れず、内容はほとんど分からなかったが、それがアンドロメダのことだったのは確かだと確信している。

 

 

 何故ならば「あの娘」という言葉だけはしっかりと聞き取れたからねぇ。

 

 

 ヤマトがあの娘と呼ぶのは、アンドロメダしか居ないよ。

 

 

 誰よりも溺愛していた、自慢のムスメ…。

 

 

 ハハッ、まったく子煩悩な娘だねぇ…。

 

  

 

───────

 

 

「«…とまぁ、こんな感じで私はヤマトに看取られながら…って、なんだいなんだい?泣くこと無いじゃないか若いの?»」

 

 

 あの日の出来事を懐かしみながら語っていると、気付けばアンドロメダが何度も「ごめんなさい…、ごめんなさい…」と言いながら啜り泣いている姿が目に入った。

 

 

「私が…、不甲斐ないばかりに…、先生にご迷惑を「«思い上がるんじゃないよっ!»」ひっ!?」

 

 

 しゃくり上げながら霧島(キリシマ)を失意の底に沈めた挙げ句、死に追いやったのは自分のせいだと悔恨するアンドロメダに霧島(キリシマ)は声を荒げ、その剣幕にアンドロメダは思わず肩を撥ねさせた。

 

 

「«確かにあんたに先立たれて、私ゃぁ胸が引き裂かれる程に辛く悲しかったさっ!

 

 私の様な死に場所さえ得られなかったくたばり損ないの老いぼれた老朽艦(老人)よりも先にくたばっちまいやがってと恨んだもんさっ!!

 

 だけどね、それは()()()()()()()()なんさね!»」

 

 

 アンドロメダは、何も言い返せなかった。

 

 涙でくしゃくしゃになった顔をそのままに、ただ黙って聞いていることしか出来なかった。

 

 霧島(キリシマ)が見せた怒りは、今までに見たことがない程の激しいものだった。

 

 

「«あんたは、あんたの母親のヤマトも!なんでなにもかも背負おうとするっ!?

 

 誰かの死や、起きちまった事柄に責任を感じて自らを責めようとするんだいっ!?»」

 

 

 捲し立てる様に、そして血を吐くかの様な勢いで、おそらくは今まで心の内で思っては溜め込んでいた“思い”を出し切るかの様に吐き出していく。

 

 

 アンドロメダは俯きそうになる自身の顔を必死に堪らえながら、霧島(キリシマ)の目を見続けて黙って受け止めていた。

 

 

 反論するのは以ての外だ。

 

 

 これは霧島(キリシマ)が胸の内に抱えていた自身を心配してくれていた“思い”から来る、彼女なりの、不器用な優しさの発露なのだ。

 

 

 間違っていると思ったのならば、どんな時でも、例え相手が誰であろうとも声を上げる。

 

 

 彼女は、そういうヒトなのだ。

 

 

 

「«あまり背負い過ぎないでおくれ…»」

 

 

 

 そして、先程とは打って変わって、鎮痛な趣きで絞り出すかの様な声で、今にも泣き出しそうな声で、縋るかの様に語り出す。

 

 

 

「«誰かの死を…、自分のせいだと言わないでおくれ…。

 

 そう言って、冥府魔道に堕ちた連中を、私ゃ何人も見てきたんだ…。

 

 そんな奴らに限って…、死に急ぎやがる…»」

 

 

 霧島(キリシマ)の瞳から光るものが滲み出て来ており、堪らずといった様に目頭を押さえながら顔を伏せた。

 

 その脳裏に浮かんでいるのは、かつての戦いで帰らぬヒトとなった地球艦隊か、それとも自身を残して先立ってしまった姉妹達の顔か…、それは誰にも分からない。

 

 

 彼女は、様々な“痛み”に耐えながら、その全てを受け止めながら“生きて”来た。

 

 

 その“苦痛”は如何ほどのものなのかは、彼女にしか分からない。

 

 

「先生…」

 

 

 アンドロメダにはその言葉を絞り出すのが精一杯だった。

 

 

「«…だが、過去を悔やんでも、自分を責めたところで、その過去が変わるわけ、じゃあ無いんだよ»」

 

 

 悲しみを帯びた笑みを湛えながら、ゆっくりと、言い聞かせるかのように語る霧島(キリシマ)。 

 

 

「«過去を振り返るな、全てを割り切れとは言わないけど、私達はこうして新たに生を受け、再開出来たんだ。

 

 これは奇跡というものさね。

 

 だから、その奇跡を噛み締め、前を向いて進みな。

 

 今、この世界でしか出来ないこと、楽しめないこと、新たな出会いだってあるんだからね?»」

 

 

 そう言ってチラリと駆逐棲姫を見遣る。

 

 お前さんも、この世界で良き出会いを果たしたんだろう?と、その仕草だけで暗に告げていた。

 

 

 そのことに気付いた駆逐棲姫は顔を綻ばせながらアンドロメダをギュッと抱き締め、アンドロメダはそんな駆逐棲姫を慈しむかの様に、その頭を優しく撫でた。

 

 

「先生…」

 

 

 先程の悔恨からくる悲痛な声と違い、幾分か明るくなったアンドロメダの声に、霧島(キリシマ)はニッと口角を吊り上げる。

 

 

「«ま、説教くさい話はここまでさね»」

 

 

 徐ろに懐を(まさぐ)りだして、何やら紙で巻かれた棒状の物を取り出したかと思うとその先端部分を口に咥え、手慣れた手付きで反対側の先端部にジッポライターで火を点けると煙が立ち、息を吸ってその煙を口に含み、フーーッと吐き出した。

 

 つまり煙草、それも葉巻を一服仕出したのである。

 

 

 これにアンドロメダは目を丸くした。

 

 

 まさか霧島(キリシマ)が喫煙者になっていたとは思いもしなかった。

 

 しかもかなり様になっているその姿から、吸い慣れている事が見て取れた。

 

 

「«もうっ!霧島(キリシマ)さん!!ここは禁煙ですっ!て何回言えば分かるんですかっ!?»」

 

 

 そこへ、アンドロメダの聞き覚えがある声が、そして今とっても怒っていますというのがよく伝わってくる声が聞こえて来た。

 

 

「«おやっ?そうだったかい海風(ウミカゼ)

 

 年取ったせいか、近頃耄碌しちまってねぇ?そんな話は忘れちまったよ»」

 

 

 おどけながら肩を竦める霧島(キリシマ)だが、そんな霧島(キリシマ)に対して声の主、海風(ウミカゼ)は更にプリプリしながら詰め寄る。

 

 

「«妹達の中には煙草の臭いが苦手な娘もいるんですよ!?

 

 せめて電子タバコにしてくださいって、お願いしたじゃないですか!!»」

 

 

 その妹とは夕立(ユウダチ)のことである。

 

 彼女は巷で犬っぽいっ要素があるとよく言われている、白露型駆逐艦艦娘の中でも特に犬っぽいとされ、“狂犬”という畏怖を込められた異名すらある同名の駆逐艦艦娘の夕立と似て、犬っぽいところがある。

 

 それが影響しているのかは定かではないのだが、彼女は嗅覚が姉妹の中でも特に敏感であり、煙草の残り香にすら反応を示す程だった。

 

 

「«はんっ!この葉巻特有の芳醇な香りの良さが、私ゃ好きなんでね。

 

 それにあんなガラクタのオモチャじゃぁ、この香りを楽しむことが出来無くて興冷めしちまうんだよ»」

 

 

 ここで葉巻を一息吸い、少し間を開けてから紫煙を吐くと、ニヤリと笑みを浮かべながら部屋の一角で我関せずを決め込んでいた艦娘に対して、チラリと視線だけ向けた。

 

 

「«それにそこに居るお前さんのとこの江風(カワカゼ)だって、こないだコソコソと細巻き吸ってたよ?»」

 

 

 視線を向けられたことで口笛を吹いて誤魔化そうとしていた江風(カワカゼ)が、霧島(キリシマ)からの暴露で一転して動揺した姿となった。

 

 

「«うえっ!?き、きき、霧島(キリシマ)さンよっ!そのことは話さないでくれ「«か~わ~か~ぜ~っ!!»」って、海風(ウミカゼ)の姉貴!!落ち着いてくれっ!話せばわかるっ!!»」

 

 

 途端に画面の向こうが騒がしくなり、見覚えのあるウミカゼ(青い髪の娘)カワカゼ(赤い髪の娘)と「«没収しますっ!»」「«勘弁してくれ姉貴!»」と互いに叫びながらドッタンバッタンと追い掛け回す姿が映り込んだ。

 

 また画面には映っていないが、優しくて落ち着いた雰囲気の、アンドロメダが知らない声の娘が「«2人共、落ち着いて»」と宥めようとしているのが聞こえて来た。

 

 

「ふふっ、あはははっ」

 

 

 アンドロメダは思わずといった雰囲気で吹き出してしまい、そのまま屈託のない笑顔で笑い出した。

 

 隣りにいた駆逐棲姫もクスリと笑みを浮かべ、アポロノームは肩を僅かに竦めて呆れたという体裁を装ってはいるが、それでもその口元は笑っていた。

 

 

 それを見た霧島(キリシマ)が、後ろの喧騒を余所に、フッと優しい笑みを浮かべた。

 

 

「«ようやく、笑顔を見せてくれたね?若いの?»」

 

 

 そう言われて、あっ!と気付いたアンドロメダ。

 

 言われてみればこの通信中、ずっと笑顔らしき笑顔を見せていなかったことに。

 

 

「«やっぱりあんたは笑っている顔が一番良く似合っているし、私ゃあんたのその笑顔が好きだよ»」

 

 

「ふ、ふぇええっ!?な、なんてこと言うんですかっ!?」

 

 

 好きと言われたことで、思わず顔を赤らめ挙動不審となってしまったアンドロメダに、霧島(キリシマ)は「《本当のことさねっ!》」と言いながら呵呵(かか)と笑う。

 

 

「«さてと、海風(ウミカゼ)に怒られたことだし、私ゃ少し外で一服してくるよ»」

 

 

 そう言うといつの間に消したのか、火の消えた葉巻を懐に仕舞うと振り返って未だに追いかけっこを続けている海風(ウミカゼ)に顔を向けた。

 

 

「«海風(ウミカゼ)、私ゃ少し席を外して一服してくるから、その間は若いもん同士でよろしく頼むよ?»」

 

 

 突然話を振られたことで、江風(カワカゼ)から煙草を取り上げようと躍起になっていた海風(ウミカゼ)は「«えっ!そんな突然!?»」と言って少し慌ててしまう。

 

 

「«お前さんの大好きな春雨(ハルサメ)姉さんを紹介したかったんだろう?»」

 

 

 そう言うと、「«じゃ、後はよろしく頼むよ~»」と後ろ手に手を振りながら退室して行った。

 

 その際、今までハッキリと画面に映っていなかった霧島(キリシマ)の乗る車椅子が映り、それを見たアンドロメダは「(こちらに来ても、足のお加減がよろしく無いのですね…)」と思い、少し悲しい気分となった。

 

 

 前の世界では今までのガミラスとの戦いでの無茶と無理、そして自身が語っていた様に老朽化によってあちこちにガタが来てしまっており、それが足腰の衰えという形で彼女の体に出ていた。

 

 

 だが、そう思った段階で先程映った車椅子のシルエットにある違和感、いや既視感の様なものがあることに気付いた。

 

 

 あの椅子の形は確か…。と思った段階で、海風(ウミカゼ)が通信画面に出て来た。

 

 

「«あ、あの…、え~と、お久しぶり、です。総旗艦さん…»」

 

 

 しどろもどろながらも、なんとか言葉を紡ぐ海風(ウミカゼ)に、クスリと笑みを返すアンドロメダ。

 

 

「はい。お久しぶりです海風(ウミカゼ)さん。

 

 あ、私は先生が仰られた通り、もう総旗艦ではありませんから、出来れば名前で呼んでくれませんか?」

 

 

「«あ、あう…、す、すみませんそうき、あ、アンドロメダさん»」

 

 

 シュンとしながらも受け答えをこなす海風(ウミカゼ)に、アンドロメダはニコニコとした表情を浮かべる。

 

 

「あの日の約束、ようやく果たすことが出来ますね?」

 

 

「«ハ、はい!»」

 

 

 ここでパッと笑顔に変わった海風(ウミカゼ)は、嬉々とした表情で早速と言わんばかりに、あの日、あの土星決戦前夜にアンドロメダと交わした約束、姉である春雨(ハルサメ)を紹介するとの約束を果たすべく、画面を春雨(ハルサメ)へと向けた。

 

 

 そしてやや緊張しながらも、優しい雰囲気のするピンク髪の少女が映し出された。

 

 

「«ハ、はじめまして!アンドロメダさん。

 

 春雨(ハルサメ)型直掩護衛駆逐艦、1番艦の春雨(ハルサメ)です!はい。

 

 そ、その、よろしくお願いいたします!»」

 

 

 丁寧にお辞儀をしながら挨拶をする春雨(ハルサメ)と名乗った少女に、アンドロメダは終始笑みを浮かべながら聞いていたが、その内心では自身がお姉ちゃんと呼ぶ駆逐棲姫と姿が似ている事に驚いていた。

 

 それは春雨(ハルサメ)達もおなじであり、最初に画面に出てきた時はみんなが声に出して驚いた程である。

 

 

 とはいえそれ以外は特にこれといった問題は無く、途中から他の春雨(ハルサメ)姉妹やアポロノーム、そして(くだん)の駆逐棲姫も交えたが、最初こそは自分とそっくりな容姿の春雨(ハルサメ)に駆逐棲姫はおっかなびっくりな様子ではあったが、やがて和やかな雰囲気での談笑となった。

 

 

 

 

 そんな和気藹々とした雰囲気の隣では────。

 

 

 

「«騒々しい者達ばかりで、本当に申し訳無い…»」

 

 

「ふふっ、賑やかなのは良いことですよ?

 

 私の子供達も、賑やかな良い子達で毎日がとても楽しいですから」

 

 

「«お子さんがいらっしゃるのですか!»」

 

 

「身寄りのない孤児達を、私や他のみんなとともに面倒を見ています」

 

 

「«…どうやら私達は、本当に貴女方のことを知らなさ過ぎたようですね»」

 

 

 

 土方と泊地棲姫の両名による、ある意味では歴史的な会談が続いていたが、元々が突然の、いわば成り行きで起きた様な会談なだけに、その内容は当たり障りのない世間話的なものだったのだが、それでも軍政畑の中心である軍務局を主戦場としていた芹沢虎鉄ほどの専門分野では無いにせよ、長らく防衛軍の軍政畑などで、そしてこちらの世界においても官吏などを相手に丁々発止を繰り広げて来た土方の経験から、人を見る目はそれなりに確かであり、今画面越しに対面している泊地棲姫が少なくとも下手な官吏よりも信頼の出来る相手であると見抜き、また今までに知り得なかったことが知ることが出来たりと、得るものは十分にあったと言えるものだったと、後に土方は語っている。

 

 

 






???「妹の事も無論大事ですが、ハルサメ姉さんの清楚な香りの堪能を阻害する要素は、徹底的に排除しなければなりません!!」


 …もしもし憲兵さん?変態がいます。



 本来なら別の話の予定でしたが、その導入部分だけでえらく長くなりましたので、分けることとしました。


 次回は今後の身の振り方についてのあれこれとなります。

 まぁ、また堅苦しい話になると思いますが…。

 サブタイトルは『GG』。

 そしてそろそろ新ロシア連邦(NRF)も関わって来る予定。



久々のグチコーナー!(ネタが有り過ぎてパンク中…)


 西側の崩壊が止まらない!カナダで部分的かつ段階的な非合法薬物の合法化!というか近年の薬物による中毒者や死者の数がエライ勢いで急増してるぞ…。
 欧米に続け!と狂ったかのようにえるぢーべーてーとかいう変な横文字の運動に前のめりになってる今の日本が、いずれこれにも追従するんだろうなぁ…、と思うと、気が重い…。

 そもそもえるぢーべーてーだけでなく、べーえるえむとかいう過激派共産テログループ(トップが共産主義、社会主義思想であると公式に認めている)やえすでーぢーづにも言えるけど、最近のこういった横文字運動でマトモなの存在しねぇのよなぁ。

 まぁぶっちゃけると、左派連中が金儲けと人気取りのためにテキトーなデマカセ論理ぶち上げて大騒ぎし出したのがそもそもの原点で、それに左翼思想かぶれのマスメディアが薄っぺらい美辞麗句並べたよいしょをしまくって拡大させたものだから、全く中身が存在しない。

 べーえるえむはあまりにも過激路線(殺人放火強盗強姦窃盗恐喝なんでもござれ)を突っ走って行き過ぎたのと、トップがヤバすぎた影響で化けの皮が剥がれて落ち目になって来てるけど、えるぢーべーてーはヤバい。なんかもう最近矢鱈文字増えまくって訳分からんけど、なんか今は特殊性嗜好というか異常性嗜好を認めろ!という方面に突っ走っている…。
 えるぢーべーてーとかいうのが出てきた当初の段階から、絶対こうなる、或いはこれに託つけた犯罪が増えると指摘していた意見が結構出てたけど、陰謀論だ差別主義者だとか言って攻撃されまくってたのをよく覚えている。

 おい攻撃していた連中、今の欧米の惨状を見てまだそんな戯言が言えるか?流石にヤバいと気付いたアメリカでは共和党州を中心に左派によるえるぢーべーてー押し付け運動に対して反撃に出始めたぞ。

 というか、見ていたらわかるけど、やっぱりえるぢーべーてーの根底にはカネ、ビジネスマネーの闇があった。
 特に酷いのが子供を食い物にしたジェンダー利権。

 多感でホルモンバランスの問題から不安定な時期の子供を騙して性転換治療を受けさせ、補助金を含めた高額な治療費によって大金をせしめるビジネスの実態が、今問題視され始めている。

 この治療にはホルモン注射や投薬、または外科手術などによる長期に渡る治療期間が必要であり、その分大金が医師に入りやすい。

 近年、子供の時に性転換治療を行なったことを後悔して再度性転換治療を受ける患者が増えているという。

 しかし、一度性転換をしてしまうと、失ったモノは、二度と戻らない。


 今に始まったことではないが、目先のカネに目が眩んだ無責任な大人達によって、子供達に対して取り返しの付かない被害を与えている事例が深刻化してきている。


 子供は大人の玩具でも、ましてや欲望の捌け口ではない!!

 


 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。

アメリカ大統領選挙のイメージは?

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