艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 作戦計画“S”

 いよいよ動き出します。


 色々と考えました結果、この様な話となりました。結構とっ散らかった感が満載です…。


第48話 Plan of operations "S"

 

 

 霧島(キリシマ)が赴く事は確定であり、それに関しては問題は無い。

 

 

 後はどうやってかだ。

 

 

「«まさか船舶や飛行機を使う訳にはいかないしねぇ»」

 

 

 いくら艦娘といえど、単独で外洋を延々と航行することには厳しいものがあり、長距離移動には人類の助けが必要だった。

 

 疲労の蓄積と、なにより燃料などの消耗物資が水上艦艇と比較して燃費は良いものの、それでも総合的に比較したら稼働可能時間が圧倒的に短く、航続距離が短い事が影響している。

 

 またこれに関しては深海棲艦と比較して劣っている点であるとも指摘されている。

 

 確かに深海棲艦は海の近くや海上の方が生まれ故郷たる“母なる海”に(いだ)かれている実感が得られるからか、疲労の蓄積具合が艦娘と比較して圧倒的に少なく、寧ろ心身共に安らぐと言っており、彼女達の言うところの“海の種族”たる由縁なのかもしれない。

 

 しかしそんな深海棲艦であっても、多数の補給艦を引き連れなければ艦隊クラスの長距離移動はあまりやらないし、単独でも各地の島嶼に設えた補給拠点や、設定航路周辺を巡航する補給隊を利用している。

 

 これはかつて自分達が出現した当初、飢餓による苦しみを経験していたことから、最優先で姫達が頭を突き合わせ、無い知恵を絞り出しては試行錯誤を繰り返しながら行なった施策の一つでもある。

 

 一応これは最大派閥である主流派だからこそ出来る、組織的な支援体制であるが、それ以外の派閥、中立で穏健派寄りならば時々交流や情報交換も兼ねて利用しているケースがたまに見られる。

 

 だが過激派寄りに関しては、現在の主流派の方針に対して反発している状態であり、過激派による物資の強奪といった諍いが起きるケースが少ないながらも発生しており、姫達も頭を痛めている。

 

 かといって鎮圧は同族でもある同胞(はらから)ということもあってか、あまり上手くはいっていないのが実状だった。

 

 閑話休題。

 

 

「…貴女なら、お姉さんみたいに独力で動けるのではないですか?」

 

 

 ここで駆逐棲姫が口を挟んだ。

 

 

 彼女からしたら、アンドロメダと同じ世界から来たという霧島(キリシマ)ならば、アンドロメダと同様に海を渡るくらい造作もないのでは?との疑問が頭に浮かんだのだ。

 

 余談だが、アンドロメダが戦艦棲姫と駆逐棲姫と出会ったあの日、監視という名目でアンドロメダの日本行きに駆逐棲姫が同行したが、必要ならば展開する補給隊の同胞(はらから)達からの物資提供を、自らの権限を利用して要請するためというものもあった。

 

 それは自身への補給ということもあったが、万が一、アンドロメダが物資補給のためと称し、補給隊や各地への物資輸送に従事する定期輸送隊を襲撃し、収奪行為に及ぶことを防ぐ目的もあった。

 

 結果として、あまりにも規格外過ぎたアンドロメダのスペックによってその必要は無かったわけだが、その経験から霧島(キリシマ)も同様な事が出来るのではないか?と思ったのである。

 

 

「«…可能不可能どちらかと問われたら、可能だ»」

 

 

 少し考える素振りをした後、出来ると答える霧島(キリシマ)

 

 それに付け加え、ここに居る春雨(ハルサメ)姉妹、そしておそらくだがArizona(アリゾナ)も可能だろうと答え、当のArizona(アリゾナ)本人も「«地球一周くらい朝飯前だよ»」と肯定の言葉を述べた。

 

 ならばどうしてそうしないのか?と至極当然な疑問を口にするが、アンドロメダはその理由に察しがついていた。

 

 そして画面に映る霧島(キリシマ)がその理由を語るが、それはアンドロメダの予想通りの答えだった。

 

 

「«()()()()()()からだよ。お嬢ちゃん»」

 

 

 その答えに首を傾げる駆逐棲姫だが、飛行場姫はなんとなくではあるが納得した。

 

 アンドロメダが島へとやって来た時、空中を飛翔するためにエンジンを吹かす轟音が、離れていた位置からでも分かるくらいにまで響き渡っていた。

 

 その独特な音は注意を引いてしまう要因になりかねない。

 

 今は可能な限り秘密裏に話を進めたいという状況で、これはよろしくない。

 

 日本の領海を出るまでに、誰かに目撃されてしまうリスクが非常に高い。

 

 そこから手繰られて今回の件が発覚してしまっては、非常に不味い。

 

 

 日本近海の警戒網は、かつてのAL/MI作戦時に壊滅し、事実上見捨てられた嘗ての首都東京のある関東圏を中心とした東日本はやや手薄だが、現在の首都である広島を中心とした西日本はかなり厳重だった。

 

 特に小松島鎮守府は広島が面する瀬戸内海へと至る、紀伊水道の絶対防衛ラインの要衝であるだけでなく、外洋防衛を司る外洋防衛総隊の根拠地でもあるだけに、その早期警戒網は艦娘が常駐する一般的な警備府は勿論のこと、相応の戦力を有する他の鎮守府すら凌駕している。

 

 しかもその構築に尽力した中心人物が、土方と霧島(キリシマ)であり、その厄介さは本人達が一番よく認識していた。

 

 ならば外洋防衛総隊の司令である土方の権限を使って警戒網の一部を緩めてみては?と思うかもしれないが、それはそれで痕跡が残ってしまう。

 

 高々度まで一気に上昇し、そのまま高度を維持しながら移動を開始するという方法が、今のところ一番無難ではないか?と思ってはいるが、今度は上昇中の所を見られる危険性がある。

 

 空中を飛翔可能な艦娘や深海棲艦はいないとされている中で、いや、深海棲艦の中には艤装に跨り、ホバリングの様に浮遊しながら移動する個体も存在するため、厳密には違うかもしれないが、取り敢えず一応は空中を自在に動き回ることは出来無いというのが常識であり、それを覆す存在が現れたとなると、それは大きな影響が出ること間違い無い。

 

 

 

「…潜水艦航行はどうですか?」

 

 

 ふと思い出したかの様な声で呟いたアンドロメダに、視線が集中した。

 

 

 アンドロメダの頭の中には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()やらなにやらが()()()()()()()()()()()がこれでもかと重なった結果起きてしまった、『ヤマト叛逆疑惑事件』*1の、()()の顛末を思い起こしていた。

 

 詳細は割愛させていただくが、この時『霧島(キリシマ)』は『ヤマト』へと乗組員を移送する重要な役割を担っていた。

 

 その際に『霧島(キリシマ)』が行なったのが、潜水艦航行であった。

 

 防衛軍の水中監視警戒網に引っ掛かることなく、『ヤマト』乗組員を送り届けることに成功するといった実績があった。

 

 

 余談だが、このことは後々に別の意味で大問題となった。

 

 

 この頃の地球はガミラスとの安保条約に反対した安保闘争だけでなく、反ガミラス派や反地球連邦政府派といった反体制派グループによる水面下での激しい闘争が繰り広げられており、非常に不安定な状態だった。

 

 そこに来て、イスカンダルとの条約を反故にした大軍拡が公の場で明らかにされ、それに反発し反対する動きが地球各地で見られ、特に地方で暮らす連邦市民が都市部へと押し掛けて大規模なデモを行なう事態が発生していた。

 

 これは何もただ単に軍拡に反対しているといった単純な理由ではなく、ガミラス戦役後の地球復興政策が都市部にのみ集中し、都市部と地方との間で深刻な地域格差が生じていたことが起因している。

 

 またこれは都市部と地方だけでなく、地球規模で見た場合、かつての東西冷戦陣営、欧米と中東の対立といったカビの生えた古臭い感情的対立構造が再燃し、そこに更に南北問題も重なり、それらが復興政策によって顕著な形で浮き彫りとなったことが、事態をより深刻なものにしてしまっていた。

 

 

 地球規模で見たら、復興事業はかつてG7と呼ばれた西側先進諸国に集中しており、連邦政府や連邦軍の人事にも西側の影響が色濃く見られていた。

 

 

 無論、何も旧G7以外の国々を見捨てていた訳では無いとはされていたが、復興が遅れていたり後回しにされているといった事実がある以上、その説得力に欠けており、それを払拭する努力と熱意にも欠けていた。

 

 そこに来て今回の大軍拡への方針転換は、戦後も塗炭の苦しみに喘いでいたこれらの地域にとって、連邦政府が正式に自分達を見捨てた、切り捨てた“裏切り行為”としか見えず、今までの溜まりに溜まっていた不満が爆発することとなった。

 

 

 今はまだデモで収まってはいるが、いつそれが大規模な暴動へと発展し、なんらかのテロや叛乱、民衆の蜂起へと拡大しても可怪しくなかった為に、地球全土で警戒を強化していたタイミングで今回の事態である。

 

 

 まさに青天の霹靂だった。

 

 

 もしこれがテロリストによって引き起こされた事態だったら?

 

 旧式艦とはいえ、移動可能なミサイル発射用のプラットフォーム、或いは発射用プラットフォームを牽引する曳舟としてみたら、これ程利用価値のある代物は無いだろう。

 

 

 旧式艦とはいえ、システムや規格さえクリアすれば最新世代のミサイルを発射する程度、造作もなかった。

 

 

 軍はそのことを完全に失念していた。

 

 

 事件後、今回の事態がもしテロリストによる首都メガロポリス中枢へのミサイル攻撃だったと想定したシミュレートの結果は───

 

『首都の近海まで探知されることなく接近を許し、発射されたミサイル群は首都防空隊による迎撃を殆ど受けることなく掻い潜り、首都機能に深刻なダメージを与えていただろう』

 

───という悲惨なものだった。

 

 

 無論、これは最も最悪な結果の場合であるが、そもそも軍は『霧島(キリシマ)』の存在そのものを完全に忘却していたという事実も相まって、現実味があると判断せざるを得なかった。

 

 この結果を受け軍は半ばパニックになりながら、各地に放棄されたドッグや工廠に対して徹底的な総チェックを大急ぎで行ない、その結果数十隻もの旧式艦が()()()され、内十隻前後は稼働可能な状態であり、一部は火器管制装置が生きており、何隻かが最近まで人の手が加えられていた形跡があったという。

 

 更に旧式艦の解体を委託していた民間のスクラップ業者に対しても抜き打ちの監査を行なった結果、一部の艦が既に転売されていた挙げ句にその後の行方が全く分からないことが発覚。

 

 すったもんだの捜査はガトランティス戦役中も続けられ、一部はガミラス戦役後から太陽系内航路を狙った宇宙海賊などの非合法組織*2や、それらから民間船舶を護衛し、航路警護を生業とする民間軍事会社(PMC)へと流れており、独自に改装を施して運用していることや、一風変わった話だと特異な好事家が趣味で個人所有しているまでは判明したが、それ以外は未だに不明であった。

 

 それ以上のことはアンドロメダも自身が戦没したということもあり、データも更新不能のために分かっていない。

 

 戦後に解体された(亡くなった)霧島(キリシマ)も、このことはよく知らない。

 

 というかなんか騒ぎになってるけど、まぁいいか程度にしか捉えておらず、関心が無かった為にアンドロメダ以上に知り得てないというのが実状なのだが。

 

 

 閑話休題(それは兎も角)、この時の様に海中を移動して警戒網を突破してはどうだろうか?とアンドロメダは考えたのである。

 

 

 アンドロメダ(教え子)の考えに、悪く無いアイデアだと霧島(キリシマ)は思うが、もうワンアクセント欲しいな…、とも思った。

 

 

 確かに海中ならば空中よりも発見されるリスクは低いが、相手は慢心全開だったあの時の地球軍ではなく、何度も潜水艦に辛酸を嘗めさせられた日本なのだ。

 

 古くは第二次大戦のアメリカによる無制限潜水艦作戦に始まり、第三次大戦では完全に舐めていたロシア海軍潜水艦隊による首都東京への奇襲攻撃を許した挙げ句に取り逃がし、*3現在の深海棲艦との戦争では、神出鬼没な深海棲艦の潜水艦部隊と一進一退の戦いが続いていた。

 

 

 さすがに近海での跳梁跋扈を許したら、海軍の鼎の軽重を問われるだけでなく、国民からの突き上げも無視できず、また日本海シーレーンにも少なからず影響が出ることが懸念されたため、()()()()()()()した対潜監視網を二重三重に敷いており、潜水艦対応を主軸とした任務に従事する部隊である『対潜警戒艦群』は、部隊規模もそれに応じて大きい。

 

 それにも土方と霧島(キリシマ)も関わっているのだが、対潜警戒艦群は外洋防衛総隊の指揮下にある部隊でもあるため、特に注意する部隊も把握している。

 

 一番厄介なのは四国南方から南九州東方海域を管轄する高知の浦戸警備府に所属する田沼芳美(たぬま よしみ)大佐が率いる第7対潜隊群隷下の第78対潜隊であり、特に同隊の部隊長を務める駆逐艦艦娘島風は“田沼の懐刀”と呼ばれ、勘の鋭さに定評があり、海軍きっての潜水艦ハンターのエースとして有名だった。

 

 まぁそれでも装備から鑑みて、仮令探知されたとしても撃破される心配はないし、そのまま振り切ることも不可能ではないが、出来れば探知されないに越したことは無い。

 

 情報の秘匿は可能な限り徹底すべきだ。

 

 しかし島風もそうだが、上官の田沼もやたらと勘が働くたと言われており、厄介なことに彼女は真志妻とは互いの実力を認め合いながらも、その根本的な考え方の相違──真志妻は艦娘の為に、田沼は国の為に──から不仲な間柄だった。

 

 艦娘を養う為に国を生き永らえさせている真志妻と、国を存続させる為に艦娘を仲間として扱う田沼。

 

 お互いなんとか利害が一致している所があるからこそ、協力しているが、田沼は真志妻が国に害を成していると判断したら実力行使、は流石に艦娘からの支持が微妙なため、糾弾からの権限の一部剥奪くらいはやろうとするだろう。

 

 彼女自身は優秀であっても真志妻の後釜になれるかと問われれば、そうでもないし、トップに立つよりもその下で能力を発揮するタイプの人間だった。

 

 それに今の軍に真志妻の後任と成り得る人材が、居るには居るが、基本的にそれらの人材は真志妻支持派が多く、下手に引き摺り下ろしたら軍が真っ二つに割れる危険性が高かった。

 

 ただあまりにも好き勝手で、時には多額の私財を平気で投じてやりたいようにやっている真志妻のやり方に対し、軍が国家の中の国家となることを強く懸念しており、それを掣肘する必要があると考えている様だった。

 

 

 分からなくもないが、今この時期に彼女に嗅ぎ付けられ、真志妻の動きが制限される様な事態は避けなければ、今後に大きな支障が出ることに成りかねない。

 

 

 このことは後で土方達でどうにかしようという流れになったが、「だったら、私の出番だね!」と潜水新棲姫が手を挙げながら元気良く告げた。

 

 

 潜水艦狩り専門の部隊ならば、同胞(はらから)の潜水艦になにかしらの動きがあったのを確認したら、それに対して敏感に反応して食い付いてくるハズだと、潜水新棲姫は主張したのだ。

 

 

 つまり、陽動作戦を買って出たのだ。

 

 

 しかもその為に自ら配下の直属部隊を率いて赴くとまで言い出したのだ。

 

 

 だが流石にこれは潜水新棲姫達へのリスクが高すぎるのではないか?と霧島(キリシマ)が懸念を示した。

 

 

 彼女からしたら、陽動作戦には嫌な思いでしかなかった。

 

 アンドロメダ(教え子)が世話になっているだけでも感謝してもし切れないのに、ここに来てそんな危ないリスクを背負わせてしまうことに、その有効性は認めつつも霧島(キリシマ)からしたらどうしても躊躇してしまう。

 

 

 しかし他に有効的な代替案はあるのかと問われたら、口を噤まざるを得なかったため、渋々ではあるもののその提案を受け入れることとなった。

 

 

 それでも、「«無理だけはしないでおくれ»」との願いを、念押しにして伝えた。

 

 …もうあんな思いは沢山だと、()()()()()()()()()()()()という思いが霧島(キリシマ)の中で強く根付いていた。

 

 だからこそ、彼女は更に言葉を重ねる。「«生きていてこその物種さね»」と。

 

 

 この霧島(キリシマ)の心配性な態度に、潜水新棲姫は心配し過ぎだと告げ、西()()()()()()()()()()()()は伊達ではないとし、直属部隊だってこの戦いで鍛え上げられた精鋭中の精鋭だから、大船に乗ったつもりで任せてほしいと、胸を張って宣言した。

 

 

 これに対して霧島(キリシマ)は慢心するなと叱りつけた。

 

 

 戦場ではそういった油断が足元を掬うもんだと指摘し、将たる者は常に一歩引いた視点から冷静かつ冷徹に徹し、自らに対する過大なる評価を厳に戒めることが肝要である旨を滔々と語った。

 

 

 それを先の胸を張った姿は何処へやら、縮こまった姿で聞き続ける潜水新棲姫。

 

 それがまるで教師の指導を受ける生徒の様に見えて、土方達とIowa(アイオワ)霧島(キリシマ)が“先生”と呼ばれる由縁となった“いつもの”スイッチが入ったと苦笑した。

 

 

「ふふ。先生、お叱りはそのくらいにしてあげまして、どの様にしたら最善であるかを煮詰めることが、今は大切なのではありませんか?」

 

 

 微笑みを浮かべながら、かつての教え子がそう窘めた。

 

 

 ついいつもの悪い癖が出てしまった霧島(キリシマ)は、バツの悪そうな顔をしながら頭を掻いた。

 

 元々その()があったが、こっちの世界に来てからより顕著になり、癖として染み付いてしまっていた。

 

 

 まぁ、それは兎も角として、話を脱線させてしまったことを率直に詫び、陽動作戦に際しての要点を話し合うこととなった。

 

 とはいえこれに関しては互いに認識の相違、例えば“能力的に何が出来て、何が出来無いか”については互いにズレがある事が判明したため、この場は一旦情報交換に(とど)めて後日に改めて擦り合わせを行なうこととした。

 

 

 代わりに今回のこの計画に関する符号として、『S』とのコードが割り振られることが決定した。

 

 

 これは目的地であるサイパン島を表わす英語表記、『Saipan』の頭文字から来ているのだが、表向きはアメリカからの事実上の命令(要請)だったサイパン島への偵察に関する作戦計画であるとするが、同時に秘密を表わす『Secret』も含まれており、その骨子でもある霧島(キリシマ)の隠密航を意味する『stealth』と、それを迎え入れる為の陽動部隊である潜水新棲姫率いる深海棲艦潜水艦部隊の『Submarines』といった複数の意味を含んだものである。

 

 

 その際に何を思ったのか、霧島(キリシマ)は作戦コードの一部に、かつての『メ号作戦』で使われた符丁を使わないか?と提案。

 

 流石にそれはどうなのかと、あの作戦の詳細や闇の部分を知る者達から疑問の声が上がるが、霧島(キリシマ)はそれに理解を示しつつも、あの作戦によって地球は明日を掴むことへと繋がったのも事実であり、作戦の反省も踏まえつつより良き形にすることで、メ号作戦で散っていったモノ達への詫びと鎮魂としたいとの思いを伝えた。

 

 それに真っ先に賛同の意を示したのが、作戦立案にも深く関わっていた土方だった。

 

 土方もメ号作戦には内心で忸怩たる思いがあった。

 

 

 結果として、霧島(キリシマ)の願いは聞き入れられ、話し合いによって霧島(キリシマ)には『アマテラス』、潜水新棲姫には『ウズメ』との符丁が当てられることとなった。

 

 

 そこから先のことは後日ということで、今回はここまでとし、お開きとすることとなった。

 

 

 終わりということで、少し寂しい気分となるアンドロメダだが、とはいえこれからは通信という形ではあるものの、何時でも話すことが出来るため、どんなに離れていても繋がっているとの実感から、笑顔で終えることが出来た。

 

 

 余談だが、最後に霧島(キリシマ)が、ついでにこれ以上アメリカがちょっかいを出すことが無いようにするため、当日ちょっと遠回りになるけどアメリカ東海岸沖に立ち寄って、現代のソドムとゴモラの街の代名詞、ニューヨークとワシントンD.C.に向けてミサイルぶち込んでから行こうか?と冗談めかしに言ったら、土方とIowa(アイオワ)の両方にしこたま怒られたのはご愛嬌。

 

 

 しかし、いずれはアメリカのこともどうにかしなければ、またちょっかいを出されたり厄介事を持ち込まれるのは目に見えており、避けては通れない問題なのも事実だった。

 

 

 そしてそれは何もアメリカに限った話ではない。

 

 

 まだまだ課題は山積みであり、アンドロメダ達が真に穏やかな日々を過ごせる様になるには、未だ遥か先の未来であるとしか言えなかった。

 

 

 それでも、アンドロメダ達は一歩一歩、確実に未来へと向けて進んでいるのは間違いなかった。

 

 

 ただし、その先にある未来が、本当に幸せな未来へと繋がっているかは、誰にも断言することは出来ないが…。

 

 

*1
地球連邦政府大統領及び地球連邦防衛軍総括司令並びにガミラス大使館公式発表。

*2
一応、海賊そのものは以前から存在していたが、戦争の余波でほぼ壊滅していたのが戦後から活動を再開、或いは戦争で放棄された艦艇やステーションなどを狙った非合法サルベージ業者と組んでの新規参入組が、軍による統制が回復していない空白の隙を突いて太陽系中に散らばっていた。

*3
これには当時不明だったロシア海軍の新たな戦略ミサイル原潜基地、ラマダンの新基地の在処を突き止める為にアメリカが圧力を掛けていた一面もあったが。





 次回から今回の事を踏まえて、各自がどの様に動くかの話となります。

 取り敢えず霧島(キリシマ)さんは泳いで海を渡る(比喩表現)こととなりました!
 実は当初の考えではパラシュートなどの降下作戦や船から飛び立つことを考えていましたが、関わる人数が増えて目撃者も増えることから断念。冒頭のセリフはその名残。


 旧式艦云々の話はほぼオリジナル。

 ただ『キリシマ』の存在を軍が完全に忘却していたり、放置されていた旧式艦に人の手が加えられていたなどの話は小説版のネタから来ています。

 しっかし、改めて振り返りますと、あの話って本編でも語りましたが、結構怖い話でもあるんですよねぇ…。

 リアルの供与兵器や装備もそうですが、兵器の行方が分からなくなるって、結構ヤバい話なんですよねぇ。リメイク版CODMW2キャンペーンミッションにありましたミサイルではないですけど、自らに降り掛かる災厄へと変貌する要因にもなりますし。

 てか大丈夫なんですかねぇ?西側が供与した兵器やら装備品の類いが結構流出して行方知れずになっている疑いの情報が出てますけど。
 アフガニスタン敗走でタリバンに分捕られたアフガニスタン国軍へと供与していた兵器もその後どうなったか分からない有様ですけど、アフガニスタン敗走問題で誰も責任取ってない時点で有耶無耶にしやがりましたし、今回も有耶無耶にする気かねぇ…?

 何か問題が起きても誰も責任取らない、取ろうとしない今の西側…、本当に大丈夫なんですかねぇ…?


 天に吐いた唾はいずれ自分へと返って来る。


 だがその実害は力無き民草を巻き込むことがしばしば…。


 政は民草を放置して、何処へ行くのか…?


補足

 田沼(たぬま)芳美(よしみ)大佐

 高知県高知市高知港にある浦戸警備府の司令にして、同警備府に所属する第7対潜隊群司令。

 真志妻の同期。

 国の為に戦う軍人ではあるが、国政を疎かにし勝ちな政府への忠誠心は低く、それが態度に出やすく出世にも響いている。国の為にとはいえ、それは国土を愛しているというものである。

 軍人でありながら、国ではなく艦娘にのみ尽くそうとする真志妻に懸念を抱いてはいるものの、国を守る為には艦娘達の協力が必要不可欠であり、そのために艦娘を大切する必要があるとして、真志妻のやり方全てを否定している訳では無い。


 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。

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