艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 工場長と国防相

 予定を前倒しして、以前チョロっとだけ出したキャラが登場。

 ついでにも1人前倒しも前倒しで出しちゃいます。(こっちは伏線出すの忘れていました。第15話でちょっと出した程度…)


第54話 Factory manager & Министр обороны

 

 

「…事実なのか?」

 

 

 土方はこの場に居る誰もが今まで見たことも無い程、その眉間に深い縦皺を刻んでいた。

 

 いや、土方だけではない。今この場にはアンドロメダの要望によって人払いを行なったため、土方以外には霧島(キリシマ)しか居ないが、その霧島(キリシマ)も顔を顰めて口を真一文字に結んでいた。

 

 

 アンドロメダからの呼び出しコールが突然鳴り響き、深刻な表情をしたアンドロメダが映し出された事で、何かあったと察することは出来たものの、その内容は深刻などという生易しいものではなかった。

 

 

 そのあまりの内容から、何故に開口一番で人払いを願い出たのか、その理由(わけ)を理解した。

 

 特に本来ならばこの世界との関わりが薄い、所謂()()()である土方達とは違う、この世界と深く関わりのある、()()()()()()たる金剛と霧島の2人を気遣ったのだろう。

 

 アンドロメダのその視線から、春雨(ハルサメ)姉妹も退出するように言外に促し、それを察した春雨(ハルサメ)が他の皆に声を掛けて退出を促した。

 

 金剛は何かを察したようだったが、アンドロメダの要望に対して即座に了承すると、妹を伴って部屋を出た。

 

 

 もしも2人が残って聞いてしまったら、あまりにもショックが大き過ぎて取り乱し、最悪錯乱していたかもしれない。

 

 

 今まで自らの命を賭して必死になって守護し(まもっ)てきたのに、守護し(まもっ)ていた相手は既に棺桶に自ら入っていた様な有り様であると言われたら、心中穏やかにはいられないだろう。

 

 

 土方としてもあまり気分の良い話ではないが、もしも冗談だったならば尚の事タチが悪い。

 

 しかしアンドロメダのヒトとなりは所謂関係者からの証言によると、の類いではあるが、そんな冗談を口にするとは到底思えないものだった。

 

 

「ったく、ほんっっとに困ったことになったモンだねぇ…。オジキ、これは私らでも手に負えるモンじゃないよ」

 

 

 霧島(キリシマ)は早々にお手上げだよと両手を挙げながら吐き捨て、苛立たしげに懐から出した葉巻を口に咥え、火は点けずにそのまま口元で弄んだ。

 

 付き合いの長い彼女からしたら、教え子の性格はよぉーく理解しているつもりだ。

 

 これは冗談とかは一切介在していない。

 

 アンドロメダ達もどうしたら良いのか分からなくなったのだ。

 

 

「真志妻のヤツも巻き込まなきゃ、厄介過ぎる。

 

 いや、巻き込んだ所でどうにか出来るとは思えないが、話を通さないわけにゃいかんだろう?」

 

 

 とは言うものの、そうなるとまたここに来てもらう必要がある。

 

 何故ならば通信は呉と小松島の直通回線があるものの、それはこの世界における既存の通信技術で敷設されたものであり、確実に盗聴される問題がある。

 

 今回発覚したこの問題の、根幹と言えるパンデミック関係の事は色々と有耶無耶にされているが、日本政府だけでなく宗主国アメリカや西側主要国の政府機関も密接に関わっており、今なお突かれたくない案件の最有力と言える。

 

 もしそんな政府から何かにつけて疎まれ、排除を狙われているかもしれないとされている真志妻大将が、この事を掴んだと勘付かれたとしたら、形振り構わず確実に排除に乗り出してくるだろう。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 政府にはその疑いがある前科が幾つもあるのだ。

 

 例えば真志妻大将の養父であった故人、橘茂樹大佐は交通事故が原因で死亡とされているが、当時から()()()()()()()()()()()()()()()()と言われるほどに、不自然な点が幾つも指摘されている。

 

 しかし()()()()()()()調()()()()()()()()()

 

 ()()()()()()()()

 

 この数十年、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 最悪、真志妻大将本人と彼女との繋がりがある関係者全員を狙いすました、なんらかの更迭(粛清)人事が行なわれる可能性が有り得た。

 

 

 この事から土方は慎重にならざるを得ないのだが、この情報による事の重大さを鑑みると、直ぐにでも連絡を入れて報せる必要がある。

 

 

 こんなことならばこちらの通信器を前もって渡しておくべきだったか?と臍を噛む思いだが、それを今更言ってもどうにもならない。

 

 

 状況の変化が異常なまでに早過ぎたのだ。

 

 

 万が一の盗難、紛失などによるリスクを懸念して、慎重になっていたこともある。

 

 

 さてどうしたものか?と考えを巡らせる。

 

 

 情報の秘匿を優先するならば、再びの出張でご足労を願い出るというものだが、流石にこの短期間で再びとなると、不審に思う者、勘繰る者も出てくるだろう。

 

 ならばこちらからか?とも考えるが、それもそれで注目を集めてしまう。

 

 

 何よりも問題なのが、時間がかかりすぎる点にある。

 

 

 これが各鎮守府や警備府の指揮官同士によるものならば、まだどうにかなるが、艦娘部隊の責任者としてなんだかんだ言って多忙を極める真志妻大将のスケジュールを調整する必要がある。

 

 最短で見積もっても、一週間は掛かるだろう。

 

 先日の小松島訪問は異例中の異例、というか米軍が有無を言わさず「佐世保に来い」とのスケジュールを無理矢理ねじ込んできた事により、その日の本来のスケジュールが丸々潰され、また訪問内容がその米軍絡みのものであった事が大きい。

 

 ならばこれも米軍絡みの延長線上として、どうにかならないか?と思うかもしれないが、事はそう簡単にはいかない。

 

 前回は急だった為に目立った活動は見られなかったが、今回ばかりは新ロシア連邦(NRF)も情報を得ようとなんらかの動きを見せるだろう。

 

 いや、前回のことがあったからこそ、あのパパラッチ───、青葉を介して霧島(キリシマ)にカマをかけてきたと見るべきだろう。

 

 

 思案に暮れる土方。

 

 

 ここで判断を間違うと取り返しの付かない事態に陥ることになるが────

 

 

「«お困りのようですねぇ~»」

 

 

 突如として、間延びした独特な喋り方をした声が、通信機器のスピーカーから放たれ、次いで操作もしていないにも関わらず画面が分割され───機材が散乱した何処かの施設内という背景は映っているのに、言葉を発した張本人が映っていなかった。

 

 

「«おいコラ!今更なに恥ずかしがってしゃがみ込んでいやがるっ!?»」

 

 

 そこへ今度は()()()()()()()()()()()()()()()()()()を着崩した、ガサツそうな見た目の少女が、その見た目と違わぬ乱暴な声を上げながら画面の外から出現し、画面下方向に向けてゲンコツを振り下ろした。

 

 直後に明らかに痛そうな鈍い打撃音が響いた。

 

 

「«いったあ~いっ!!»」

 

 

 そして丸眼鏡を掛け、ボサボサ頭の白衣姿の不健康そうな少女が画面に映し出された。

 

 その少女は涙目になりながら殴り付けてきた青い肌の少女を睨み付け、こちらのことは放ったらかしにして口論を始めてしまった。

 

 

 土方もアンドロメダも、いや、画面を見ている全員が揃って目が点となった。

 

 

 突然現われたかと思うと、理由も分からず勝手に喧嘩を始めてしまったのだ。誰だってそうなる。

 

 

 だがその口論の内容から、幾つかの聞き捨てならないものが聞こえて来た。

 

 

 例えば、青い肌の少女がマリアナ諸島沖での偵察活動中に油断してうっかり見付かってしまい、()()()()()()()()()()()()()()こと。

 

 

 これに飛行場姫は眉を顰めた。例の幽霊船騒動と符合するのだから。

 

 アンドロメダ達は、次元潜航という言葉や所々で混じる地球(テロン)などのガミラス語から、彼女がガミラスの次元潜航艦であると認識した。

 

 

 当のガミラス次元潜航艦らしい少女は、相対するボサボサ頭の少女の言葉から図星を突かれたと言わんばかりに、羞耻に顔を歪めた。

 

 

「«ウルセェ!さっさと用件話さねぇか!!»」

 

 

 そう言ってボサボサ頭の少女を画面の前へと蹴り出そうとした。

 

 

「«あうぅ~、待ってぇ~、まだ心の準備がぁ~…»」

 

 

 しかし抵抗虚しく、ゲシゲシと蹴られて押し出され、画面の前へと追いやられるが、アンドロメダを見て恥ずかしそうにしていた顔をへにゃりと綻ばせた。

 

 

 だがアンドロメダはその視線から、背筋がゾワゾワする悪寒の様な気持ち悪さを感じた。

 

 アンドロメダにはその気持ち悪さに憶えがあった。

 

 

 そうだ。()()()だっ!ヤマトさん(お母様)と先生に初めてお会いしたあの日!このジメジメした様な気持ち悪さ!

 

 

「ま…さか、時間断層…、工廠…」

 

 

 その呟きに隣りにいたアポロノームは目を見開いた。

 

 

「«はじめまして~。私のアンドロメダさん~。貴女の仰られました通り~、私は時間断層工廠の工廠部分ですが~、名前はありませんので、工場長とでもお呼び下さいませ~»」

 

 

 アンドロメダの体から、嫌な汗が大量に吹き出してきた。

 

 

 

───────

 

 その頃、広島の呉鎮守府。

 

 

 真志妻大将は先日の出張の影響で溜まりに溜まった書類の山との大戦争に明け暮れていた。

 

 とはいえずっと働き詰めという訳ではなく、適度に休憩を挟みながらである。

 

 そんなタイミングを見計らってか、彼女のもとに居る艦娘が遊びにやって来ていたり、差し入れを持って来たりしており、それらが日々の激務の疲れを癒やす一服の清涼剤となっていた。

 

 またこのタイミングを利用して新人を始めとした、交流の機会が短かった艦娘とのコミュニケーションを深めるという目的もあった。

 

 

 しかし、今目の前に居る艦娘は、どちらかというとそれなりに交流があり、気心の知れた仲だった。

 

 

 その艦娘の名はТашкент(タシュケント)

 

 

 なにを隠そう、真志妻とは小松島鎮守府に在籍していた時からの付き合いがあり、かの新ロシア連邦(NRF)海軍太平洋艦隊司令Революци(レヴォリューツィヤ)大将こと戦艦艦娘Гангут(ガングート)と同郷である新ロシア連邦(NRF)からの出向者である。

 

 Гангут(ガングート)本人は本国へと戻って久しいが、彼女は日本に留まり、Гангут(ガングート)の後を引き継いで新ロシア連邦(NRF)日本派遣艦娘部隊の責任者でもある、駐在武官に就任していた。

 

 しかし、それと同時に彼女は新ロシア連邦(NRF)軍参謀本部情報総局、所謂ГРУ(GRU)に所属するエージェントでもあり、大尉の階級を有している事が、あきつ丸の調べで分かっていた。

 

 

 事実、彼女の行動には何かしらの探りを入れている(フシ)が見受けられていた。

 

 

 だからといって、真志妻の彼女に対する態度はどうかと言うと、別段これと言って特別なものはない。

 

 他の艦娘と変わらぬ愛情を注ぎ、大切な仲間として扱っている。

 

 

 どうせ軍の情報は相変わらずダダ漏れであり、施行されている防諜の類いは、公金横領スキームを主眼に置いた、体裁だけ整えた利権目当ての張り子の虎でしかない。

 

 本当に大切な情報(モノ)、そう、自身の肉体に関する事は───、どうせもうある程度は流出しているだろうからどうでもいいが───、例えば小松島鎮守府を任せている土方達の秘密に関する事は可能な限り秘匿に努めており、事実なのだがその荒唐無稽な内容からトラップ用の欺瞞か、何かしらの暗号の類いだと思わせる方向性へと誘導する様にも仕向けている。

 

 

 またТашкент(タシュケント)自身、真志妻とその周辺に対して害を与える様な行為に及んでおらず、真志妻も静観を決め込み、彼女との交流を楽しむようにしていた。

 

 

 とはいえ、今回ばかりは彼女との交流を楽しむという気持ちの余裕がないくらいにまで、緊張感に包まれていた。

 

 

 何故ならば、彼女はとんでもない差し入れを持ってきたのだ。

 

 

 現新ロシア連邦(NRF)国防相、Мирослава(ミロスラヴァ) Иванова(イヴァノヴァ)その人からリモートによる会談の申し込み伺いを持ち込んできたのだ。

 

 

 Мирослава(ミロスラヴァ) Иванова(イヴァノヴァ)

 

 

 年齢不明。メディアへの露出を嫌い、殆ど表側には出てこず、またその出生に始まる経歴には謎が多く、その名前も偽名ではないかとされている。

 

 分かっているのは女性であることと、前任の国防相であり現大統領であるКутузов(クトォーゾフ)氏だけでなくПутина(プーチナ)前大統領から全幅の信頼を寄せられている。

 

 軍の改革の一環として、海軍の要職に艦娘を登用することを後押し、西側を中心に配備が進んでいる新型の光学兵器*1を生産配備には進ませず、発展改良に向けての試験サンプル目的での配備に留め、新型ミサイル『バグラチオン』の開発配備を命じたくらいのものが判明していくらいである。

 

 それと真意は不明だが、彼女が対日支援を最も強く押したとの未確認情報がある。

 

 

 謎が多く、あのあきつ丸ですらお手上げだと言っている程にガードが固い人物である。

 

 恐らく土方の所に居る春雨(ハルサメ)姉妹の山風(ヤマカゼ)ならば、何かしら掴めるかもしれないが、今そんな事を考えても詮無き事である。

 

 

 そんな人物が、自身に会談を申し出てきた。

 

 

 しかもリモートということは、その素顔を晒すという事である。

 

 

 その真意は奈辺にあるのか?

 

 流石に人払いの要請こそあるものの、この様な事態は前例がなかったと真志妻は記憶している。

 

 大概は文章か代理人を立てており、国内外で要人と会うことすら避けていると言われている程で、一部では「Мирослава(ミロスラヴァ) Иванова(イヴァノヴァ)なる人物は本当は存在せず、新ロシア連邦(NRF)が開発した新型AIを隠す目的で作られた架空の人物なのではないか?」との噂がまことしやかに語られている程である。

 

 

 無論、この噂が真実であると裏付ける確たる証拠は提示されておらず、説得力が無いとして否定的な見解が大勢を占めている。

 

 閑話休題。

 

 

 一体何を考えているのかが見当も付かず、少し不気味ではあるが断る理由もなく、それにその素顔を拝んでみたいとの好奇心もあった。

 

 

 その為、会談の申し入れを受けることとした。

 

 

 真志妻からの了承を得られた事により、Ташкент(タシュケント)は持ち込んだ鞄の中に収められていたタブレットを取り出し、幾つかの操作の後に二つ三つ程ロシア語でのやり取りが交わされたのだが、その際に真志妻は違和感を覚えた。

 

 

 気のせいか、声がやや幼い様な…?

 

 

 そう内心で首を傾げていると、Ташкент(タシュケント)はタブレットを真志妻へと渡し、彼女も退室した。

 

 

 画面に映し出された人物に、真志妻は軽く驚きの表情となった。

 

 

 幼い声からまさかとは思ったが、明らかに少女としか思えないような、とても大国新ロシア連邦(NRF)の閣僚とは到底思えないようなプラチナブロンドの髪をツインテールに纏めた少女が映し出されたのだ。

 

 

 

「«突然の会談のお願いをご了承頂き、感謝致します。

 私がМирослава(ミロスラヴァ) Иванова(イヴァノヴァ)

 

 新ロシア連邦(NRF)にてМинистр обороны(国防相)を任せられている者です»」

 

 

 そう言って礼儀正しくお辞儀をするミロスラヴァと名乗った少女。

 

 それに釣られて真志妻もお辞儀を返す。

 

 

「いえ、こちらこそ、今をときめく新ロシア連邦(NRF)の重鎮と称されております国防相閣下御自らお声をお掛け頂き、恐悦至極で御座います。

 

 ご存知かと思いますが、真志妻亜麻美(アマミ・マシツマ)、日本海軍艦娘部隊総司令官で、大将を拝命しております」

 

 

 よそ行きの際に見せる笑顔を見せながら、そう返すが、これは別にお世辞でもなんでも無く、真志妻の本心だった。

 

 だがその内心で、このミロスラヴァと名乗った少女の顔に既視感があることに気が付いた。

 

 

 正確には、その眼だ。

 

 

 その疑問が顔に出ていたのか、Мирослава(ミロスラヴァ)は苦笑しながら真志妻にとって予想外にも程がある()()を語り出した。

 

 

「«貴女は薄々ながらも気付きつつあるようですね。

 

 隠し立てること無く、正直にお話致しましょう。

 

 私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()村雨型(アドミラル・マカロフ級)改装型ミサイル(ロケット)宇宙巡洋艦、Слава(スラヴァ)と申します。

 

 бронепа́лубный кре́йсер(防護巡洋艦)マツシマの人造艦娘、Адмира́л(Admiral)マシツマ殿(どの)»」

 

 

 

 この瞬間、真志妻は思い出した。

 

 

 そうだ。この眼は、この()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は、()()()()()()()()()()

 

 

 愛した者、親しき者、友や仲間達、そして可愛がっていた大切な教え子といったその全てに先立たれ、涙さえ枯れ尽くして失意のどん底の中で没し、この世界へとやって来た霧島(キリシマ)さんの瞳と!!

 

 

 

 

 

 世界は、より複雑さを増してゆく────。

 

 

 

 

 

 

 

*1
霧島(キリシマ)が開発に関わった、自身の高圧増幅光線砲をベースとした光線砲のこと






 取り敢えず、シッチャカメッチャカにしながら、時間断層工廠とUX-02ことベオ(ガミラス語で数字の2を表す)、参戦。
 時間断層工廠はややポンコツです。また時間断層工廠の名前ですが、閑話で出しました通り、“ドーラ”となります。由来は閑話の後書きにもかきましたが、パンドラの箱のパンドーラからです。それまでは工場長呼びとなります。

 更に新ロシア連邦(NRF)も本格介入開始。

 ミロスラヴァ氏の容姿は、BLACK LAGOONのバラライカさんとその幼少期の間位をご想像下さい。

 因みに彼女のこの世界での目的は“復讐”です。

補足説明、解説

 『Адмира́л Мака́ров(アドミラル・マカロフ)』級改装型ロケット(ミサイル)宇宙巡洋艦『Слава(スラヴァ)


 国連宇宙海軍ユーラシア管区ロシア軍事宇宙艦隊が所有する村雨型宇宙巡洋艦のロシア名。


 元々は通常の村雨型同様に高圧増幅光線砲を主兵装とした、地球軍の標準的な宇宙巡洋艦だったが、その肝心要の高圧増幅光線砲はガミラス艦に対して全く効果が無く、新開発された陽電子衝撃砲は兵器としての安定性に著しく欠く有り様であり、そのくせ非常に扱いづらくて使い勝手が悪かったが、当時の技術的問題から一向に改良の目処が立たなかった。

 その事に業を煮やしたロシア軍部が独自の改装を施すことを決定。

 主砲を撤去してミサイルランチャーを設置し、更にパージ可能なミサイル発射筒を増設。
 
 搭載するミサイルは後に『ユキカゼ』の試製魚雷やその正式型であり、『ヤマト』に搭載された空間魚雷の様に一撃必殺が狙える程の高威力では無かったものの、充分にダメージを与えられる代物だった。

 しかし相次ぐ遊星爆弾の落着により、各地の軍需工場や宇宙軍港が大損害を受け、改装が施されて尚且つ稼働可能、搭載弾薬の充足率をなんとか満たしていたのは遠く極東の地、ウラジオストクにて第二次火星沖海戦の傷を癒やしていた、ウラジオストク艦隊所属の『Слава(スラヴァ)』のみだった。

 しかしウラジオストクを管轄下に収める東部軍管区のハバロフスク地下司令部が遊星爆弾によって壊滅。更にモスクワもその統制力を弱体化していた為に、その存在が忘れ去られていた。

 その後はなんとか現状維持に努めていたものの、流石に限界を迎えつつあったが、このタイミングで国連宇宙海軍が最後の艦隊決戦を挑むとの情報を得て、磯風型宇宙突撃駆逐艦のロシア使用、『Неустрашимый(ネウストラシムイ)』級ミサイルフリゲート艦『Метель(メチェーリ)』、『Проворный(プロヴォルヌイ)』(後にエンジン不調により落伍、放棄。)と共に、冥王星へと向かった日本艦隊の援護のためにウラジオストク宇宙軍港を出撃したが、出撃が遅れた影響で作戦には間に合わず、撤退中の『キリシマ』と合流。直後に追撃してきたガミラス駆逐艦2隻から『キリシマ』を守るために邀撃行動に出る。

 『Слава(スラヴァ)』は新型高機動ミサイルによる連続飽和攻撃にてガミラス駆逐艦の動きを鈍らせる事に成功。

 しかし直後の応射を受け大破し漂流。

 その隙に『Метель(メチェーリ)』が肉迫し、至近距離からこちらも主砲を撤去して新設された速射魚雷発射管より放たれた魚雷群の飽和攻撃により1隻を撃沈。もう1隻を甲板上面部の武装を破壊する損傷を負わせるも、後部甲板に備え付けられていた2連装陽電子速射砲塔が破壊される直前に放たれ、運悪く艦首魚雷発射管を破壊し、更にはその衝撃で魚雷再装填装置が故障してしまう。

 だが『Метель(メチェーリ)』はその事に怯むこと無く、そのままガミラス駆逐艦の上方へと回り込む。

 ガミラス駆逐艦は先の『Слава(スラヴァ)』から受けたミサイル飽和攻撃のダメージで各部のスラスターが損傷しており、思う様に動けずにいたが、それでもなんとか追随しようとした直後、別方向から撃ち込まれた魚雷によってエンジンノズルが損傷し、その行き脚が目に見えて低下した。

 大破漂流し、戦闘能力を損失していたと思われていた『Слава(スラヴァ)』が、突撃を敢行する『Метель(メチェーリ)』を援護すべく、最後の意地で生き残っていたスラスターを総動員して(ふね)を動かし、艦首魚雷を放ったのだ。

 しかし『Слава(スラヴァ)』のこの意地の一撃にキレたガミラス駆逐艦が、艦底部の2連装陽電子ビーム砲を放ったことにより『Слава(スラヴァ)』は遂に力尽き、爆沈してしまった。

 だがこの『Слава(スラヴァ)』の身を挺した献身により、『Метель(メチェーリ)』は無事に突撃経路の確保に成功した。

 仲間の犠牲に応えるべく、時を置かずして『Метель(メチェーリ)』は突撃を敢行し、唯一発射可能だった艦首対艦砲を損傷箇所、艦前部に備えられたミサイル垂直発射管の破壊されたハッチ近辺に叩き込むも、信管の故障により全弾不発に終わってしまう。

 それを見たからか、『Метель(メチェーリ)』は退避機動を行うこと無く、そのまま真っ直ぐガミラス駆逐艦へと、自らが撃ち込んだ対艦砲の命中箇所へと向けて体当たりを敢行。

 直後にガミラス駆逐艦のミサイル、そして『Метель(メチェーリ)』の対艦砲砲弾と未使用の艦首魚雷、更には再装填不能となった魚雷群が誘爆し、ガミラス駆逐艦を道連れに爆沈した。

 この一連の戦闘は望遠映像にて『キリシマ』からも観測されていた。
 
 ウラジオストク艦隊は先の第二次火星沖海戦にて、極東管区空間戦闘群、つまり日本艦隊に窮地を救われた恩義があった。

 事実、ガミラス駆逐艦への邀撃行動に移る直前、キリシマの沖田司令に「«Марс(火星)でのご恩をお返し致します。Адмира́л(Admiral)オキタ、どうか我々の意地を、見ていてください!»」との通信を送っていた。

───────


 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。
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