艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 吐露


 先月から勤務が夜勤から昼勤に変わったけど、今の方が余裕もゆとりもなさすぎて泣けてくるぜ…。


第56話 To vent

 

 

 土方は頭痛を覚えた。

 

 

 話が進まないからと、なんとかアンドロメダを宥めすかしたものの、茹で蛸みたいに顔を真っ赤にした怒り心頭の彼女を落ち着かせるのはなかなかに骨が折れた。

 

 最終的にはアンドロメダが姉と慕い、懐いている駆逐棲姫が、「«なら嫉妬させちゃうくらい仲良しなところを見せ付けちゃいましょう!»」と言ってにこにことアンドロメダをギュッと抱き締めた事で、「«お姉ちゃんがそういうのなら…»」と不承不承ながらも引き下がった。

 

 だがその際に満更でもないといった表情を見せながら抱き返した事で、「(まるで海風(ウミカゼ)の様だな…)」と土方は内心で嘆息した。

 

 

 元々姉妹全員が強い絆で結ばれているが、春雨(ハルサメ)海風(ウミカゼ)の2人は別格と言えた。

 

 姉である春雨(ハルサメ)に対してベッタリなシスターコンプレックスを有する海風(ウミカゼ)は、今回のアンドロメダと同様に姉に対して害があるとする言動を行なった者に対して激しい怒りを見せることがしばしばあった。

 

 その都度春雨(ハルサメ)が宥めているため、大きな問題に発展する事態になることは無かった。

 

 ただその春雨(ハルサメ)自身も、海風(ウミカゼ)の名誉や尊厳を著しく貶める言動を行なった者に対しては、普段の落ち着いた大らかで優しい様相を一変させる事態になるが、その際は海風(ウミカゼ)だけでなく姉妹ほぼ総出で落ち着かせる事になったりもする。

 

 

 やや歪んでいるとも言えるかもしれないが、この2人は実艦時代の最期がお互いに対して戦没原因は自身にあるとの罪の意識があり、互いに傷付いてほしくないとの気持ちが強く、傷付く事態に対して敏感だった。

 

 

 大切なモノがあり、それを守りたいという気持ちは、それはある種の美徳であり強味でもあるが、同時に暴走を誘発する弱点とも成り得た。

 

 視野が狭くなり、周りが見えなくなる危険性を孕んでいるのだ。

 

 事実、アンドロメダは直前の一切合切の事情などを忘却の彼方へと思いっ切り放り投げてしまった。

 

 

「…これでアルデバランのヤツまで来ちまうと、どうなることやら」

 

 

 思わずといった様に漏れ出た霧島(キリシマ)の呟きに、土方はらしくなく「勘弁してくれ…」という気分となった。

 

 

 聞けば、アルデバランは海風(ウミカゼ)に匹敵する重度のシスターコンプレックス、いや、それ以上の姉至上主義だと言うではないか。

 

 海風(ウミカゼ)も見方によっては姉至上主義であると言えるが、なんだかんだ言って要所要所で春雨(ハルサメ)を嗜める事もあったりする。

 

 だがアルデバランはアンドロメダを全肯定するイエスマンな一面が強いとの指摘があり、下手をするとアンドロメダの暴走に拍車をかける危険性が高いどころか、釣られてアルデバランも共に暴走するかもしれないとの指摘もあった。

 

 

 アンドロメダ級2人の暴走などという、最早この世の破滅にしかならない事態を想像するだけで、土方は胃が痛くなる思いがした。

 

 いやそれよりもアンドロメダを巡ってアルデバランと駆逐棲姫が大喧嘩でもやらかしたら…。

 

 

 出来ればアルデバランだけは来てほしくないと切に願う土方だが、はてさてこればかりはどうなるかは分からない。

 

 

「(俺だって気付けばもう定年を超えているんだ…。これ以上、面倒事を増やさないでくれ…)」

 

 

 この世界へと来てかれこれ5年あまり、今年で65歳となる土方はどちらの世界においても定年である60歳を超え、延長期間である5年も本来ならば今年で満期なのだ。

 

 体の衰えも自覚しており、昔と比べて無理が利かなくなったせいか、やや弱気な所が出てくるようになっていた。

 

 それでも沖田(親友)との約束や、なによりも自身よりも高齢な、もう老人と言っても差し支えのない、()()()()()が元気に動き回っている姿を見ると、おちおちと弱気な姿を見せるわけにもいかなかった。

 

 とはいえ限度というものはある。

 

 なんだかんだ言って素性を隠しての生活というのは、かなり気を張り、疲れの貯まるものなのだ。

 

 それが自身1人だけならばまだしも、今や十人以上である。

 

 真志妻もその事を気にして何かと気にかけてくれてはいるが…。

 

 日本海軍艦娘部隊最高責任者にして、最高位の大将という人物から信頼され、強力な後ろ盾となってくれている意義は大きいし、助かっている所もあるが、同時にある種の注目を集めてしまう要因にもなってしまっていた。

 

 

 土方の体は見た目からは分かり辛いが、肉体的にも精神的な面においても確実に摩耗していた。

 

 

 だが土方の消耗はそれだけが原因ではなかった。

 

 

 5年前、この世界に来た時に受けた()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が、土方の体を確実に蝕んでいた。

 

 長年に渡る医療機関の不祥事や、慢性的な医師の不足による医療技術の低下から、マトモな治療が受けられなかった───、という訳では無い。

 

 この事件に深く関わっている真志妻が、自身の部隊に属する妖精さん達も動員して懸命な措置を行なった事によって、土方は一応一命は取り留めた。

 

 しかし、その後のいざこざやなにやらで、完治する前から無理をした、無理をせざるを得なかったことが、今になって借金のツケの様にジワジワと出て来て体を着実に蝕み続けていた。

 

 

 そしてこのことは、まだ誰にも話してはいなかった。

 

 

 

───────

 

 

 すったもんだあったものの、取り敢えずUX-02を参考人として交えて時間断層工廠こと工場長に対する尋問、もとい、事情聴取が執り行われた。

 

 

 掻い摘んではいるが、彼女がこの世界に来た理由の説明となったのだが、それは些かぶっ飛んだ内容だった。

 

 

 ガトランティス戦役終盤、ガトランティスの中枢であった『滅びの方舟』と相打つ形で行方不明となった『ヤマト』が、時間断層工廠の存在する特異空間へと帰還を果たした事から端を発する、高次元世界に生きたまま取り残されている艦長代理古代進と船務長森雪両名の救出計画。

 

 

 工廠として使用されていた空間は、時間断層の表層に過ぎず、時間断層の奥にはさらに断層が続いており、その最奥には時間が無限大にまで引き伸ばされた、高次元世界の辺端(へた)ともいえる世界が存在していた。

 

 『ヤマト』は『滅びの方舟』を滅ぼした際、発生した膨大なエネルギーと共にその世界へと押し流され、半年の時を経て戻ってきたのである。

 

 高次元世界に古代進と森雪を生きて残したまま。

 

 2人を救出するためには、再度高次元世界へと赴く必要があるが、そのためには無限に近い膨大なエネルギーが必要だった。

 

 『ヤマト』の副長にして技師長であり、地球最高クラスの頭脳を誇る科学者でもあった真田志郎は、時間断層を消滅させ、それにより発生するエネルギーを利用する方法を提案する。

 

 無論、その事に反対する意見もあった()()()

 

 その辺の詳細は工場長自身、曖昧でよく分かっていないとのこと。

 

 それは何故か?とアンドロメダが問うと、工場長は寂しそうな表情となりながらぽつりぽつりと語り出す。

 

 

「«貴女のいない世界なんて、私には、どうでもよかったからぁ…»」

 

 

 曰く、アンドロメダが帰らぬ身となったと知った時から、彼女は時間が止まった感覚に囚われた気がしたという。

 

 

 『アンドロメダ』級、特にその栄えある1番艦であるAAA-1『ANDROMEDA』は、彼女にとって“特別”な存在だった。

 

 

 彼女曰くの『アンドロメダ』級とは言ってしまえば「想定し得る(わたしの)全ての状況に(かんがえた)単艦で対応可能な(さいきょうの)次世代の戦闘艦(うちゅうせんかん)」を目指した(ふね)であり、次世代の国防戦略に基づいた一種のコンセプトモデル的な一面も併せ持っていた為に、設計に関してかなりのフリーハンドが許されていたという。

 

 また、当時の時間断層工廠のメインフレームがどれ程の技術を学習し、能力を獲得出来ているかを知る為の、試験的な目的もあったとされている。

 

 

 だからこそ彼女は奮起し、一念発起でこの一大プロジェクトにのめり込んだ。

 

 地球とガミラスだけでなく、かつての火星自治政府宇宙海軍が運用した、或いは計画していた艦艇のデータをも貪欲に取り込み、『ヤマト』の航海データも徹底的に細部まで読み漁って検証に検証を重ねた。

 

 人間で言えば寝食を忘れて仕事に打ち込んでいるという言葉で言い表すような、殆ど時間を忘れて考え得る全てを注ぎ込んだ設計プランを作成した。

 

 それによって完成したのが、『アンドロメダ』級であり、その嚆矢たる第一号艦の『アンドロメダ』だった。

 

 

 自分が一から手掛けた、当時考え得る完璧で究極な最強の戦艦(いくさぶね)

 

 

 だからこそ『アンドロメダ』は彼女にとって“最高傑作”だったし、事実上の子供の様な存在だったから、「私の」と言うくらいに相当な愛着が湧いていたのだ。

 

 それに、彼女はアンドロメダが初めて顕現してヤマトやキリシマと邂逅した、あの日の一部始終を見ていたという。

 

 ただ、(ふね)の魂であるアンドロメダ達が人間達に干渉出来ないのと同様に、自身もあの時に迷子のように彷徨い、今にも泣き出しそうで寂しそうなアンドロメダに対して干渉することが出来ず、何もしてあげられない、何も出来なかったことが相当辛かった。

 

 でもこの時に初めて自身が造っている『アンドロメダ』の可愛い魂を見れた事で、より愛着が強くなり、期待の第一子として、他の『アンドロメダ』級とは比べ物にならないくらいに溺愛するようになっていった。

 

 

 しかし、それが失われた事で、彼女は“壊れた”。

 

 失ったことで受けた精神的なショックがあまりにも大きすぎた。

 

 

 以降、彼女は心神喪失状態のまま、この世界に跳ばされた。

 

 

 その為、何年前にこの世界に来たのかという具体的な年数までは分からないという。

 

 こっちに来てからも、最初の頃はほぼ惰性で無気力なまま過していたと語った。

 

 

 流石にここまで聞かされては、アンドロメダとしても複雑な気分とならざるを得なかった。

 

 少し気になる所はあるが、ずっと嫌っていた存在がここまで自身の事を想っていた、自分が沈んだことで可怪しくなったのだと思うと、逆に罪悪感が湧いて来てしまった。

 

 ただ、あの時のジメッとした感じが、実は彼女からの視線だったことにはなんとも言えなくなったが…。

 

 

 ここで一応、UX-02から補足の説明が入った。

 

 

 地球の時間断層工廠放棄に纏わる話は、ガミラスでもかなり話題となった有名な話であるらしく、彼女も聞き及んでいた。

 

 

「«時間断層と引き換えに、2人の命を救った。その判断を下せた地球人(テロン人)はスゲェってな»」

 

 

 最終的な決断は、かねてより時間断層の運用に関して疑問を呈していたガミラス大使、ローレン・バレル氏の尽力もあって、国民投票に委ねられることとなったという。

 

 

 その結果は僅差であったとされているが、それでもその“選択”をした地球人に対して、ガミラスは惜しみのない称賛を贈ったとされる。

 

 また、後にガミラスでも多くの人々が感銘を受け、国民投票に大きな影響を与えたとする、ある人物の演説がUX-02の口から語られた。

 

 

 

───────

 

 

 

 

 ある男の話をさせてください。

 

 

 どこにでもいる、ごく普通の男です。

 

 

 人を愛し、人が造る社会を信じ、地球が滅亡の淵に立たされたときは、イスカンダルへの大航海に加わった。

 

 そして帰還した後は、皆さんがそうであるように、地球復興のために身を粉にして働いてきた。

 

 

 彼が望んだのはただ一つ。

 

 

 イスカンダルとの約束を守ることです。

 

 

 しかし、戦後、地球が置かれた状況は、それを許さなかった。

 

 

 裏切られた…、その思いは間違いなくあったでしょう。

 

 だからテレザートから通信が届いたとき、彼は反乱覚悟で飛び出した。

 

 宇宙の平和に貢献できる地球人でありたい、という願いにかけて。

 

 

 しかし、その結果は───

 

 

 彼は、誰よりも多く波動砲の引き金を引くことになりました。

 

 

 生きるために、守るために、彼は自分の心を裏切ってきた。

 

 

 無論、抵抗はしました。

 

 

 事あるごとに、和平を訴え、自分一人の身で済むならと、敵の銃口に身をさらしたことさえあります。

 

 

 しかし、全ては裏目に出て…

 

 

 結局彼は、自分の命まで武器にしなければなりませんでした。

 

 それで地球が救われたのは結果論でしかありません。

 

 

 彼は、彼を愛し、運命を共にした森雪ともども、決して英雄などではなかった。

 

 

 彼はあなたです。

 

 

 夢見た未来や希望に裏切られ、日々何かが失われるのを感じ続けている。

 

 生きるため、責任を果たすために、自分で自分を裏切ることに慣れて、本当の自分を見失ってしまった。

 

 昨日の打算、今日の妥協が未来を、自分を食い潰してゆくのを予感しながら、どこに向かうとも知れない道を歩き続ける。

 

 この過酷な時代を生きる無名の人間の一人、あなたや私の分身なのです。

 

 

 ですから、引け目は感じないでいただきたい。

 

 

 英雄だから、犠牲を払ってでも救う価値があると考えるのは間違っています。

 

 

 もし、彼と彼女を救うことで自分もまた救われると思えるなら、この愚かしい選択の先に、もう一度、本当の未来を取り戻せると信じるなら、ぜひ二人の救出に、票を投じてください。

 

 数字や便利さ、効率を求める声に惑わされることなく、自分の心に従って。

 

 

 未来はそこにしかないのですから。

 

 

 

───────

 

 

 この演説は『ヤマト』副長真田志郎によって行なわれたものである。

 

 

 かつての地球軍組だけでなく、共に聞いていた深海棲艦の姫達も静かに聞き入っていた。

 

 

 なにを思うか、その心の内は分からない。

 

 

 ただアンドロメダとしては、母と慕い愛するヤマトと、父と慕い尊敬する沖田が、真田の隣で共に語り掛けている姿を脳裏に思い浮かべていた。

 

 

 いや、もしかしたら真田の体を、その口を借りてヤマトと沖田が語り掛けたのではないか?との思いが強かった。

 

 

 確証も無ければ、証拠も無い。

 

 

 ただなんとなく、自身が知る真田という人間が語ったにしては、違和感が拭えず、寧ろ2人の方がしっくりくる気がしたのだ。

 

 

 また、少なくともこの後の連邦市民による“決断”は、正しく“英断”だったと考えていた。

 

 

 時間断層は地球には過ぎた“力”だと考えていた身としては、よく決断してくれたとの思いが強かった。

 

 

 それに眼の前の工場長からしたら、結果的にはこの決断が“救い”になったのかもしれないのだから…。

 

 

───────

 

 

「時に、UX-02さんはどうして工場長と?」

 

 

 ふと気になった事をアンドロメダはUX-02へと尋ねたが、当のUX-02は渋い顔になった。

 

 聞いてはならない事を聞いてしまったか?とアンドロメダは気不味い気分となり、謝罪しようとしたが、それを察したUX-02は、軽く苦笑を浮かべ頭を掻きながら話し出した。

 

 

「«あ~、アタイはコイツに拾われましてね…»」

 

 

 拾われたという言葉に、アンドロメダは首を傾げると、その時のことを知る工場長が当時の状況を語った。

 

 

「«あの時はビックリしましたよぉ。彼女を見付けた時、四肢がバラバラで瀕死の状態でしたからぁ»」

 

 

 まさかのカミングアウトに、場は騒然となった。

 

 

 もしかしたらこの世界には次元潜航艦を撃破可能な謎の“敵”が潜んでいるのではないか?そう勘繰ったのだ。

 

 それに対して工場長はその事に否定的な見解を示した。

 

 確かにその負傷の具合は悲惨の一言に尽きたが、収容された際に確認された傷口が()()()()()()()()()()し、何よりも至近距離だからこそ探知出来たレベルの、ごく僅かな次元震が直前に確認され、不審に思って調査したら、次元震が観測された位置とほぼ重なる位置で発見されたため、おそらくUX-02はこちらに“転移”する直前に、何らかの理由で大きな損害を受け、そのままこっちの世界に来てしまったのだろうと彼女は推測していた。

 

 

 ただ、当の本人であるUX-02が言うには、自身が何でそうなったのか、そしてそれ以前の数ヶ月間の記憶がスッポリと抜け落ちていると言うのだ。

 

 

 この事に霧島(キリシマ)が、春雨(ハルサメ)姉妹に起きた記憶障害──一部の記憶の欠落や混濁──に関する現象を引き合いに出し、おなじ現象が起きているのではないか?との説を述べた。

 

 それを聞いたアンドロメダも、自身のエンジンが原因不明の不調が生じており、火星で沈没した際のエンジン暴走が関係はしているのではないか?と考えているのと、若しくはアポロノームと同様に“転移”の際に発生したダメージが、アポロノームだと艤装の大破という形で、UX-02だとモロに肉体へと影響を与えたのではないか?との推論を語った。

 

 

 だがアンドロメダの不調という言葉に、工場長が激しく取り乱した。

 

 

「«そんな…!?い、今直ぐにでもしゅ、修理と修繕を!!»」

 

 

 あまりの慌てっぷりにドッタンバッタンとしながら、自身の周囲にホログラフィ式のコンソールを展開し出すが、直後にUX-02が工場長の頭にゲンコツを振り下ろした。

 

 

「«落ち着け。バカ»」

 

 

「«バカってなんですかぁ!?

 

 貴女は知らないでしょうけどぉ、私は!()()()()()私のアンドロメダに、一生消えることのない大きな心の傷を負わせてしまった!()()()()()()()()()()()()()()!どうやっても償い切れないだけの罪を私は犯してしまっているんですよぉ!!»」

 

 

 アンドロメダは大きく咳払いをした。

 

 

「些か、気になる話ではありますが、今はその事を横に置いて下さい」

 

 

「«で、でもっ!!»」

 

 

 なおも食い下がる工場長に、UX-02は「«アンタの想いビトが“今は”と言ってるンだ。優先順位ってヤツだよ»」と言って諭したことで、なんとか引き下がった。

 

 

「すみません。UX-02さん。お手数をお掛けしました」

 

 

 そのアンドロメダからの謝辞にUX-02は少し気恥ずかしくなったのか、頬を掻きながらあるお願いを持ち掛けた。

 

 

「«あ~、総旗艦ドノ、アタイの事は出来れば『ベオ』とお呼びください。仲間内からはそう呼ばれてましたンで»」

 

 

 そのお願いにアンドロメダは軽く微笑みを浮かべながら了承すると、「では私のことも総旗艦ではなく、アンドロメダとお呼び下さい」とのお願いした。

 

 そのお願いにUX-02改めベオは、「«いや、いくらなンでもそれは恐れ多いですよ…»」と返すと、アンドロメダから朗らかに「かつての肩書は、もう意味を成しませんから」と告げられた事で、返答に窮してしまい、しゃーないかという雰囲気を醸し出しながら了承することとなった。

 

 

 ここでガミラス語の知識が無い深海棲艦の姫達に、『ベオ』という言葉の語源が地球における数字の“2”であるとの説明がなされた。

 

 

 

 取り敢えず、2人の経緯(いきさつ)に関してはおおよそ理解した。

 

 

 問題は2人が今いったい何処に居るかなのだが、その場所はある意味で意外な所に居た。

 

 

 

 

「«私達の現在位置は駿()()()()()()()()()()»」

 

 

 

 偶然か、必然か、アンドロメダが目指す地、日本に、時間断層工廠は存在していた。

 

 

 

 

 






 真田さんのあの演説は今の世の中に、いや、()()()()()()()()()()、より響くものがありますぜ…。

 芹沢閣下も嫌いではないのですがね。寧ろ今の我が国の政府よりも信用出来ると思っています。


 UX-02バラバラ殺人事件(死んでない)

 一応、次元潜航艦をここまで追い詰める敵は、現時点において、この世界には存在していないことを明記しておきます。



補足説明

 春雨(ハルサメ)海風(ウミカゼ)の最期。


 詳しくは閑話9にて語った通り。一応、概略は以下の通り。


 地球圏でのガトランティスとの最終血戦における、乱戦の最中に大破した旗艦の『春雨(ハルサメ)』が、指揮を『海風(ウミカゼ)』に引き継いだ直後、ガトランティスの『イーターⅠ(自爆特攻兵器)』群が『海風(ウミカゼ)』の死角から接近しているのを他艦よりも強化されていたレーダーが探知。

 しかし兵装、通信機器が破壊されていた『春雨(ハルサメ)』は身を挺して『海風(ウミカゼ)』の盾になるべく割り込み、串刺しになりながら爆沈する壮絶な最期を遂げた。

 しかし自身の沈没時の爆炎が『海風(ウミカゼ)』の艦体を焼くのが見えた直後に『海風(ウミカゼ)』も艦体から爆炎が上がるの見たため、春雨(ハルサメ)は巻き込んでしまったと思い込んでしまい、絶望の中で意識が暗転した。

 実際は『春雨(ハルサメ)』の爆発を隠れ蓑にした『イーターⅠ(自爆特攻兵器)』の第二波が『海風(ウミカゼ)』に命中したことが原因だったため、『春雨(ハルサメ)』に過失があった訳ではなく、寧ろ自身の不注意や索敵のミスが原因であると、海風(ウミカゼ)は再開した際に悔恨と懺悔を繰り返す姉に必死に訴えかけたが、春雨(ハルサメ)はそれが優しい妹の気遣いであるとの認識だった。



 次回、時間断層工廠のこの世界における意外な機能の一端と、失われたモノの説明がなされます。
 

 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。
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