艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり 作:稲村 リィンFC会員・No.931506
遅くなりました。
国防相自身の半生(戦没するまでの)。それと自身の視点から見ていた“あの”戦争について。+あれこれ。
「«大恩あるコンゴウ型宇宙戦艦のキリシマ様を始め、
あまりにも無茶苦茶な要求に、真志妻の思考は一瞬停止した。
「«この条件さえ飲んでいただければ、今年の
だがその見返りとして提示されたものは、正直に言って今の日本からしたら喉から手が出る程の破格なものだった。
確かに自前の水上艦隊は実質ほぼ壊滅状態であり、稼働可能な
フェリーなどの民間船を買い上げて設えた近海防衛用の特設艦娘母艦も、マトモな母艦を用意するだけの余力が残っていない海軍の、そしてこの情けない国の実情からくる、苦肉の策による所が大きいのだ。
しかし真志妻個人からしたら、彼らは例え
だが続けて出て来た見返りに絶句することとなった。
「«さらなる戦力が必要とあらば、大統領と掛け合って
「待ってください!まさかとは思いますが…!!」
堪らずといった感じで椅子から立ち上がり、声が上ずりながら待ったを掛けた。
それは
空対地ミサイルや誘導爆弾といった各種精密誘導兵器による攻撃を主任務としているのだが、同時に
真志妻は言外に「核兵器を投入するつもりなのか?」との疑念を呈したのだ。
もしそんなことをしたら、間違いなく破滅だ。
この戦争劈頭の
真志妻自身は大攻勢当時は軍に所属しておらず、直接経験した訳では無いが、*1当時の記録や経験者の証言から、「まるで津波の様だった」との知識を持っていた。
再び核攻撃を実施したことにより、再度の大攻勢を呼び込む呼び水となったら、その矢面に立たされるのは最前線たる日本になる。
今の日本に津波の如く押し寄せる深海棲艦の大軍勢を押し留める事は出来ても、それは一時的なものであり、ましてや押し返せる力は最早残っていないのだ。
それは備蓄物資の蓄積量というのもあるが、最終的には物量差による旧ソ連軍に酷似した波状攻撃──かつてミハエル・トハチェフスキー将軍が提唱し、採用された『縦深戦術』やワルシャワ条約機構による『梯団攻撃』に似た『無停止攻撃』及び
なによりも厄介なのは、アンドロメダの存在だ。
深海棲艦と友好関係にあり、心を寄せてしまっている、圧倒的という言葉では収まりきらない“武力”の化身とすら言える、異世界の地球が作り出した“力”の象徴。
この世界の軍事力を結集したとしても、敵うとは到底思えない存在。
彼女が深海棲艦の側に立って本格参戦しないという保証が全く無かった。
何故ならば彼女の恩師であるという
「大切なものを傷付けられることを極端に嫌う」
深海棲艦と友好的であるならば、その“大切なもの”の範疇に深海棲艦が入っている可能性が非常に高い。
彼女が深海棲艦による大攻勢の嚆矢となって、それこそ本当の意味での
いやそもそも彼女1人が暴れ回るだけでも充分にお釣りが来る。
真志妻の頬を嫌な汗が流れ落ちた。
別にこの国が惨めに滅びようがどうなろうが知ったことではないが、
そんな胸中を知ってか知らずか、ミロスラヴァは口元に笑みを湛えた。
「«私達はあの“
どこか、特に「
そして暗に核兵器を使用する意思が無い事を示している。
その事で少しホッとした気分になったが、それと同時に、ミロスラヴァ国防相には少し焦り過ぎているきらいがあるように思えてならないと考えていると、自身の執務机に置かれている固定電話が着信を告げる電子音を発した。
時は少し遡る。
そして開始早々、予想外すぎる素性の暴露から始まった訳ではあるが──、
「«主力艦でした
──その後はミロスラヴァ国防相改め、ユーラシア管区ロシア宇宙軍事艦隊に所属していたと言う、宇宙巡洋艦の艦娘
在りし日々を懐かしく感じ、遠くの景色を見遣るかの様にして思い出を語るその姿は、若く見える容姿とは違ってお年寄りな感じがしなくもない。
しかしそれは霧野特務大佐こと
何よりも彼女の口から語られるガミラス戦役や、今まで土方達からそこまで詳しい内容を聞いていなかった第二次内惑星戦争の経験談。
初陣となった火星圏侵攻作戦で、国連宇宙海軍連合宇宙艦隊火星派遣艦隊を構成する一隊のロシア艦隊旗艦だった戦艦『
戦間期は逃亡した火星軍残党の掃討や元残党の宇宙海賊を警戒してのパトロール任務に終始しており、これといったエピソードは無かった。
精々、
そして、翌月、運命のガミラス戦役開戦。
ドック入りしていたこともあり、地獄の様な緒戦で次々と自国の友軍艦が失われていく中、なんとか生き延びつつも対ガミラス戦において初の実戦となった第一次火星沖海戦で手酷い損傷を受けての敗走中に、ずっと一緒だった姉妹艦『バヤーン』が復旧作業に失敗して航行不能となり放棄され、自身もその損傷具合からもう駄目だと思った所を、日本艦隊残余の部隊に助けられた。
後にその部隊が土方率いる第一護衛艦群の残存部隊で、直前までガミラスの掃討部隊を足止めし、少なくない被害を受けていたのにも関わらず救援の手を差し伸べてくれたことを知った。
時は過ぎ、2198年、第二次火星沖海戦。
ショックカノンを装備していなかった事もあって陽動部隊として参加し、その後の乱戦では武装が使用不能となったが味方艦艇を屠り続ける
そのショックカノンを放った
しかし生還は果たしたものの、被った損害は大きく、特に主砲である高圧増幅光線砲は全て損傷してしまっていた。
だがこのまま修理するよりも寧ろ、「どうせ効果が碌に期待出来無い今の主砲をキッパリ諦め、開発中だった新型誘導弾発射機へと換装してしまおう」という方向へと話が進み、新開発された誘導弾を運用するミサイル巡洋艦へと生まれ変わる事となった。
そもそも“目には目を歯には歯を”と言わんばかりにショックカノンの開発配備に拘り続け、他の兵器開発を半ばおざなりにしている国連宇宙軍に対してロシアの兵器開発担当者達は大いに不満だった。
「兵器というのは信頼性と確実性が第一義である」というのが彼らのモットーであり、如何に性能が高くても、必要な時に予定通りの能力を発揮出来無い、使い勝手の悪い兵器に関しては敬遠する気風があった。
万が一の保険も兼ねて、従来兵器の発展強化も同時並行すべきではないのか?というのが彼らの持論だった。
その考えのもとに独自に開発が進められていたのがこの新型誘導弾だった。
そして他の残存するロシア艦に対しても同様に新型誘導弾を使用するための改装が執り行われる事となるのだが、この頃のユーラシア管区は既にそれを完遂するだけの余力が残されていなかった。
ユーラシア管区は数多の少数民族を内包する地域であり、管区の中核を為すロシア連邦もその領内に多数の少数民族を抱えている国家だった。
しかしそれらを統制するために必要な国力と軍事力が、この戦役にて大きく疲弊したことによって各地で綻びが見え始め、ロシア連邦領内だけだなく管区内全域へと急速に混乱が拡大。
それに追い討ちを掛けるかのように、遊星爆弾による戦略爆撃が管区内の物流や通信網を寸断。
また管区内各地域を纏め上げていた軍管区司令部自体が消滅する事態も発生し、混乱は留まるところを知らなかった。
そしてそれが最後の出撃に繋がる切っ掛けの一つともなった。
指揮系統がズタズタにされたことにより、独自に動く事となったのだという。
東部軍管区司令部のあるハバロフスクとの通信が途絶し、その直前に同方面への遊星爆弾が落下した事が情報収集の結果判明した。
これにより東部軍管区全域で指揮系統の崩壊がより顕著化し、情報の錯綜も相まって軍管区内での連携も寸断されてしまった。
ウラジオストク基地も近隣のフォーキナ基地とやり取りを繰り返し、それ以外の基地とも細々とではあるものの連絡を取り合っていたが、中央であるモスクワとは連絡を取り合うことすら難しくなっていた。
そんな折に、地球艦隊が冥王星へと出撃する情報が舞い込んで来た。
その編成内容から残存艦艇を洗い浚い結集した後先を考え無い全力出撃であり、これが事実上の地球艦隊最後の出撃である事が察せられた。
正直、国連宇宙軍は自暴自棄に陥ってこんなカミカゼ染みた目茶苦茶な特攻作戦しか思い浮かばなくなったのかと憤った。
だが、このまま艦隊を温存したからと言って状況が改善される訳でも無く、ならばまだ纏まった稼働可能な機動戦力があるのならば、敵の策源地である冥王星を叩いてしまおうという考えも理解できないわけではなかった。
…それが仮に成功したとしても、状況が改善される訳では無く、どちらをとっても八方塞がりなのだが。
この事にウラジオストクの艦隊司令部は紛糾した。
動くべきか、否か。
稼働戦力が
それにこの出撃予定艦隊には自分達ユーラシア管区の部隊が含まれておらず、それは国連がユーラシア管区が既に壊滅していると判断したのではないか?との悲観的な意見も出て来た。
それに対して艦隊を預かる実働部隊は、このまま座して死を待つよりかは打って出るべきだとし、また言外に口減らしになる事を暗に示した。
これには反対する者も強くは出られなかった。
事実備蓄物資に余裕はあまり無く、また食糧はなんとか合成食品を製造出来ているものの、需要に対して供給量が不足していた。
特に深刻だったのが、ウォッカの配給が不安定になりつつあったことである。
ただでさえ配給量を目減りさせている現状で、配給が滞るとサボタージュや暴動が激増する恐れが高かった。
最終的に実働部隊が勝手に動いたという事にして、駆逐艦の1隻を共食い整備用に使用する事が決定。
また部隊の暴発であるとするために、国連宇宙軍への連絡もギリギリまで遅らせる事が決定した。
ウラジオストク基地の巡洋艦『スラヴァ』を旗艦とし、同基地の駆逐艦『
この『スポソーブヌイ』は他の駆逐艦2隻と違い、例の新型誘導弾を使用するための改装工事が未了だったことが、選ばれた理由である。
しかし作業の進捗は思う様には進まず、出撃予定日よりも遅れることとなったのだが、その事が後に思わぬ結果を齎すこととなった。
予定通りに日本艦隊が出撃するのを確認したのだが、他の管区に所属する艦隊がその予定に反して出撃するのが確認出来なかったことで、部隊の中で大きな動揺が走った。
そして理解した。
最早国連宇宙軍、いや国連そのものが──前からであったが…、──既に統制力を失って──名実ともに──完全に形骸化しており、各管区が最早隠すことなく公然と独自の考えで動いているのだと。
ただ、その事を責める気にはならなかった。
何故ならば自分達も独自に動こうとしているのだから。
そして実働部隊は出撃した日本艦隊を見捨てる事が出来ないとして、本当に暴発してしまった。
作業を突貫工事で無理矢理終わらせると、事前の取り決めにあった国連宇宙軍への通達を、部隊の暴発により突発的な事態であることを強調する意図も兼ねて敢えて行わず、押っ取り刀で出撃したのである。
しかしその無理が祟り、『プロヴォルヌイ』が火星軌道手前で機関故障により已む無く放棄。
乗員移乗後に機関の暴走により炉心溶融が発生して爆散。
2隻に減ったものの進軍を続け、遂に運命の時を迎えた。
冥王星での戦いには間に合わなかったものの、撤退中の日本艦隊と鉢合わせすることとなった。
出撃時には30隻近い艦艇が確認された艦隊が、旗艦『
「名将オキタを以てしても、これ程とは…」
予想はしていたものの、冥王星の戦いはかなり激しいものであったことが見て取れた。
日本艦隊との合流が間に合ったとしても、結果は変わらなかっただろうが、それでも悔恨の念が滲み出てくる。
その直後に、『
沖田十三を死なせてはならない。
こんな自暴自棄で目茶苦茶な作戦を強要され、各国に事実上裏切られたと言っても過言ではない扱いを受けたにも関わらず、粛々と作戦を実行した沖田を死なせる訳にはいかない。
そんな決意を胸に、迫りくるガミラス艦に対して『スラヴァ』と『メチェーリ』の2艦は勇躍挑みかかった。
『
こちらの存在を認識し、その狙いを当初の『
「«私達はまだ戦える。戦える術がある!
今まで小揺るぎもしなかったガミラスの艦に!明確な!目に見えた打撃を与えることが出来た!!沈めることが出来た!!
偉大なる我が母なる祖国の技術力が!
その目は血走り、熱を帯びた顔で席を立って身振り手振りで熱く語る
「«そう!ミサイル!ミサイルは全てを解決する!!ミサイルこそ我がロシアの“力”の象徴なの!!»」
狂気すら感じるあまりのミサイル推しの圧に、引き気味となる真志妻。
思えば彼女は矢鱈とミサイル開発にご執心だとは聞いていたが、その原点は彼女のこの経験に由来するものなのかもしれない。
しかし、
なによりもロシアはミサイル技術の先進国であったことも、ミサイル開発を推し進める上で有利に働いたのだろう。
「«…だが、遅すぎた»」
一通り叫び、いや、語り終えて崩れ落ちる様にして席に着くと、先程までの全身から放たれていた狂気が嘘のように萎んでゆき、悔恨に満ちた表情となって絞り出すかのようなか細い言葉を紡ぎ出した。
「«分かっていた…。奴らとの“力”の差は、絶望的なまでに開いていたことくらい…。
母なるロシアの大地へと降り注ぐ遊星爆弾を防ぐ術すらマトモに無い我らの“力”では、最早どうしょうもなくなっていたことくらい…»」
沈痛な面持ちで語る彼女に、真志妻は掛ける言葉が見付けられずにいた。
いつの間に用意したのやら、机の上に置いたウォッカをビンごと呷りだしたことに目を丸くしたが、当の本人はこの程度では全然酔えないと言わんばかりに自嘲気味の乾いた笑みを浮かべていた。
「«飲まずに、シラフではやってられない。
それくらいまで追い詰められた状況で、そのウォッカすらマトモに無かった。
だけど軍人だけは飲まずに酔える方法があった»」
一泊の間を置き、その身体に溜まったモノを吐き出すかの様に、一気に喋り出した。
「«どいつもこいつも!自暴自棄の悪い酒に酔い潰れた自殺願望の中毒者だったよ!»」
吐き捨てるかの様に叫ぶが、その声に嘲りや侮蔑などの感情は感じられなかった。
悔しかった。悲しかった。力及ばない無力な自分自身が許せなかった。
どうすることも出来無いと分かっていても、どうしても考えてしまう。
もっと“力”が有れば!強大な“力”を打ち払えるだけの“力”が有れば!と。
それが無理な願望なのは百も承知している。
だがそれによって痛感した。
これが“敗れる”ということなのだと。
なんと惨めな気持ちだろうか…。
だからこそ、次があるならば、次の機会がもしもあるならば、もしも自身のやりたい様に出来るのならば、もうこんな惨めな気持ちを味わいたくはない!そう願いながら、あの日、あの時、
そして気が付いたらこの世界へと流れ着いていた。
その場所は黒海。
第三次大戦、ロシア東欧紛争の緒戦で沈没したミサイル巡洋艦『
「«最初は『モスクワ』が艦娘となって甦った!と黒海艦隊で軽く騒ぎになりましたよ»」
だがよくよく調べると、自分達の知るミサイル巡洋艦のそれよりも遥かに進んだ科学技術が生み出した存在であると知れ渡ると、また別の意味で大騒ぎになった。
あの時、たまたまセヴァストポリに視察に来ていたクトォーゾフ大統領閣下と、特に自分の前任である
現われた存在は、それ程までに重大かつ厄介で、
それに関しては
未来の“可能性”が詰まった、見るものが見たら“
だからこそ彼らは徹底的に秘匿に努めた。
幸いと言うべきか、黒海そのものが先のロシア東欧紛争の結果から完全に
スラヴァ自身、自分の持つ“価値”と“危険性”を充分に理解していた。
また彼女は自身の秘匿に奔走する大統領と国防相代行の2人と、合間を見てではあったが、意見と情報の交換を可能な限り行った。
その結果纏まった両者の意見と見解は次の通りである。
結局のところ自分達の事は自分達でどうにか出来なければならず、本質的な意味での危機において国際協調というのは容易に機能不全に陥りやすい。
国際機関は何処まで行っても各国の思惑や利権からくる
最後に、広大な国土と、多種多様な民族を抱えた我が国を纏め上げ、強国として維持してきた“力”は、“経済力”と“軍事力”の両立であり、どちらか片方に偏ると容易に傾くことになる為、双方がバランスよく両輪として機能することによって我が国を安定させ、力強く支える屋台骨となり、我が国を動かす原動力となる。
ここに双方はその見解と価値観において、一定の一致を見出すことに至り、手を結ぶ事となった。
双方の目指す先とは、単純にして明快。
何者にも干渉されない、強いロシアを世界に示し続ける事である。
それともう一つ、これはスラヴァ自身の考えであるが、将来において訪れるかもしれない、ガミラスの様な深海棲艦を遥かに上回る強大な脅威に対しての備えを模索することを考えていた。
これに関しては、未来に向けてのある程度の道筋を示す方向性で合意を得ているが、内容が内容なだけに、下手に口外出来ないというジレンマを抱えていた。
何よりスラヴァ自身、紆余曲折を経て国防相という地位を与えて貰ったものの、軍政に関しての自身の力量に対して限界を感じていた。
一応の心得の様なものはあったし、補佐してくれる優秀な人材を付けて貰ってはいるのだが、どうしても前線部隊寄りの考え方に偏り勝ちで、軍内部派閥のパワーバランスや利害調整などの細かな差配も少し苦手だった。
だからこそ、彼女は自身と同じ経験を積み、自身の考えや心に抱く“恐れ”をある程度共感してくれて、それを踏まえて自分の足りない部分を補佐してくれる人材、つまり同郷の者を心の底から渇望していた。
出来れば空間防衛総隊司令長官土方竜宙将の様な前線と後方の両方を経験したことのある様な人物、ていうか土方司令が欲しかった。
と想っていた矢先に、その土方司令もこの世界に来ている事が判明した。
この時ばかりは特に信じていたわけではなかった神に対して感謝の祈りを捧げた程に、狂喜した。
だが、流石に拉致という強硬手段を採ることは躊躇われ、チャンスが到来するのを待ち続けた。
そして
日本の国防に関する内情は、国の方針や国防政策の策定もあってつぶさに調べ上げていた。
かつて世界有数の技術力に裏打ちされた軍事力を誇っていた筈の極東の島国は、見る影もなかった。
陸軍も空軍も、主要兵器や銃火器の開発製造能力が「国防産業を蔑ろにする」などという、訳の分からない暗黙の国是を厳守し続けた事によって失われており、今や使用する兵器のその多くが我軍から払下げられた型落ち兵器や対日輸出仕様で占められ、現状比較的マシと言われている海軍ですら、深刻な人手不足の影響から近年艦娘支援母艦以外の水上艦艇は維持が難しくなっている。
近々水上艦艇の供与も行なわれるが、引き渡されるのは近海での作戦活動を主眼とした艦艇である。
最も深刻なのが人員不足を徴兵制で補った結果、質の低下が無視出来ない所にまで来つつあることだった。
それらを加味して
だが日本は政府を中心に相変わらずの対米追従主義のままであり、
そこに漬け込む隙があると見ていた。
ここが勝負の仕掛け所と、一世一代の勝負に打って出た。
最難関である真志妻さえ「うん」と言ってくれたら、日本に関してはクリアーだ。
だからこそ出し惜しみは無しでこちらが出せる軍事的なカードを切った。
本当ならば通常弾頭を搭載した
とはいえこちらの本気度を示すためにも、更には
それに、大統領選を控えて政情がより不安定化している
だが戦略爆撃機ならば監視衛星などでの事前監視が容易だ。
…連中の監視衛星がマトモに機能しているならば、という前提条件が付くが。
一応、既に大統領にお伺いを立てており、「国益に反しない範囲で良きに計らえ」との内諾は得ている。
ただ大統領としたら真志妻大将そのヒトを我が国へと招聘出来たら、と考えている様である。
彼は先日、今までは日本を深海棲艦に対する緩衝地帯として利用する戦略方針でいたが、昨今の日本の状況を鑑みてその方針を維持することが難しくなっており、戦略の見直しを図る決断を下していた。
なによりも今現在の世界情勢は水面下で激しく動き出しており、情報部ですら掴みきれていない事案が増えてきて、予想外の事態が起きていたりもする。
その最たるものは、つい先日イギリス大使館から知らされるまで察知すら出来なかった、
西ヨーロッパは主要国から艦娘が亡命を謀る事件が多発するほどの政情不安な情勢であり、情報の錯綜が頻発していたことと、アメリカの国内情勢に対して諜報リソースの多くを割いていたことも影響していたが、完全に寝耳に水の大事件が知らない間に起きていたのである。
今の時点で日本で何か起きると色々と面倒なことに成りかねない。
緩衝地帯の不安定化は我が国の安全保障にとって重大な死活問題である。
「我々は安全保障という意味を誰よりも真摯かつ重要な課題として考えざるを得ない民族なのですよ」
とは彼の口癖であるが、これは先の大戦の原因の一つに、旧NATOによる東方拡大政策によって地域のパワーバランスの不安定化と緩衝地帯の消失が少なからず関わっていたことにも起因している。
一時期真志妻大将を首班とする新政権の樹立。という可能性を真剣に検討していた時期もあったが、その本人にやる気が無い事が確実のため今は断念されている。
次善の策として日本軍、特に艦娘部隊を
ただ、最大の懸念事項は真志妻大将と土方司令、そしてキリシマ様が探しているという『アンドー』なる存在であるのだが、これがさっぱり分からない。
しかし、その件に関して何か大きな進展があった様であることが、
その件もあって、真志妻大将へとコンタクトをとった訳なのである。
だがしかしである。
まさかこのタイミングで土方司令が介入してくるとは予想外だった。
もうこうなったら出たとこ勝負だ!
さぁ、矢でも鉄砲でも持って来い!
鬼が出ようと蛇が出ようと、相手になってやる!!
…そう思っていた時期が私にもありました。
後に彼女はウォッカ片手に語る。
なんで最大の懸念事項が深海棲艦と一緒にいるのよーーーーーッ!?
ウォッカ!飲まずにはいられない!!
彼女の苦難は、始まったばかりである。
新ロシア連邦、参戦!
取り敢えずミロスラヴァ国防相ことスラヴァはミサイル推しで飲兵衛です。
立場柄基本的には橋渡しポジションとなります。
念の為先に申し上げますが、
サラッと流しましたが、本編で今後どうするか悩み中ですので簡単にご説明致しますと、現実世界での現イギリス王室であるウインザー朝・ハノーヴァー朝はこの世界だと色々あって次の王朝へとバトンタッチしております。
因みに現国王は、Queen Elizabeth となっております。
補足解説
РВСН
ロシア戦略ロケット軍を意味するРакетные войска стратегического назначенияの頭文字を合わせたもの。
ロシアが開発した極超音速滑空体。通常弾頭と核弾頭の搭載が可能。
UR-100NやR-36、RS-28などの重ICBMに搭載して発射され、発射後は搭載するスクラムジェットエンジンで加速して極超音速飛行を行う。
マッハ20以上の超高速で飛行し、あらゆるミサイル防衛システムをも回避・突破しうる高い機動性も有する。
リアルで世界情勢の混迷度合いが加速していることに顔が引き攣る思い…。2020年大統領選挙であのクソジジイ推しの頓珍漢な事言いまくってドヤ顔していた人達、どう思ってんだ?当時陰謀論扱いしていた世界情勢の混乱がほぼ現実化したぞ。
てか先日この日曜日にある参院選の応援関係で自民の参議院議員が会社に来てたけど、なんでも無いかのように「アメリカが頼りない」とサラッと言いやがって、ビビった…。まぁその理由などの核心に迫るような内容の事は濁してましたけどね。
それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。