艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 いびつな国。



 ちょっと今の日本、外交の基礎からコースアウトしまくりでない?外交が目茶苦茶だと国防だって迷走する原因となるぞ?

 日本のヒトとモノとカネという養分を含んだ土壌だけでなく、土地すら流出してるし、それを政府や経団連が後押して経済という樹木が枯れ、日本という山は禿山となりつつある。

 ガチで国として日本が消える瀬戸際じゃね?


第60話 A distorted counter.

 

 

 土方は正直、どの様な選択が正解なのかは分からなかった。

 

 だがこのまま真志妻大将に背負い込ませる事はよろしく無いと思い、直通回線を使用した。

 

 

 しかし、直通回線とはいえ盗聴の危険性がゼロであるとの保証が無かったため、最初は当たり障りのない挨拶から始まった。

 

 

 真志妻はあまりにも狙いすましたかのようなこのタイミングに訝しみを覚えたが、同時に()()()()()()()()()()()()

 

 個人的な気持ちとしてミロスラヴァ国防相の要求は受け入れる事が()()()()難しい案件だった。

 

 だが軍としてはそうも言っていられないというのも、真志妻は理解していたし、なにより今新ロシア連邦(NRF)との間に軋轢が生じる事態は避けなければならなかった。

 

 日本の生命線が新ロシア連邦(NRF)の手中にあるという覆しようのない事実と現実が、真志妻に重く伸し掛かっていた。

 

 物流と言う名の水は、新ロシア連邦(NRF)という水源から繋がる水道管から来ているのだが、その元栓を少しでも閉められると、日本という水田はたちまち枯死する運命にある。

 

 それは即ち、自分が愛して止まない艦娘達の生存を脅かされる事態でもある。

 

 

 だが新ロシア連邦(NRF)はこの事に関しての直接的な明言は決してしないだろうし、カマをかけても()()()()()()と避けてくるだろう。

 

 いやらしいかもしれないが、国家間の付き合い、外交とはそういうモノなのだ。

 

 外交というものは謂わば“狐と狸の化かし合い”の場であり、その根底にあるのは“国家に永遠の友も敵も居ない。あるのは永遠の国益追求のみ”という不変の真理に根ざしたものである。

 

 

 この事はド・ゴール、キッシンジャー、マキャベリ、チャーチル、パーマストンなどといった、歴史を彩る数多の著名な人物達が各々の格言として遺している。

 

 

 そこへさらに地政学的な観点などの様々な要素も混じり合い、より複雑さを増すこととなるのだが、それらを纏めた物がおおよそ以下の通りである。

 

 

一、隣接する国は互いに敵対する。

 

二、敵の敵は戦術的な味方である。

 

三、敵対していても、平和な関係を作ることはできる。

 

四、国際関係は、善悪でなく損得で考える。

 

五、国際関係は利用できるか、利用されていないかで考える。

 

六、優れた陸軍大国が同時に海軍大国を兼ねることはできない。その逆も然り。

 

七、国際政治を損得で見る。善悪を持ちこまない。

 

八、外国を利用できるか考える。

 

九、日本が利用されているのではないか疑う。

 

十、目的は自国の生存と発展だけ。

 

十一、手段は選ばない。

 

十二、損得だけを考える。道義は擬装である。

 

十三、国際関係を2国間だけでなく,多国間的に考える。

 

十四、油断しない。

 

十五、友好,理解を真に受けない。

 

十六、徹底的に人が悪い考えに立つ。

 

十七、科学技術の発達を考慮する。

 

 

 一から五は国際関係の現実主義に基づいており、国際関係は善悪の判断ではなく、各国がどれだけ利益を得られるか、または損をしないかに基づいている。

 

 例え敵対する国でも、利益に基づいて平和な関係を築くことは可能とされている。

 

 

 六から八は戦略と資源に焦点を当てており、例えば、陸軍大国と海軍大国は一つの国が同時に成り得ないとされている。

 

 これは、資源と注意力が限られているため、どちらか一方に集中する必要があるという点を指摘している。

 

 

 九から十二は、外交政策や国際関係での利己的な考え方を強調している。

 

 自国の利益を最優先し、必要な手段を選ばない考え方が示されている。

 

 

 十三から十七は多国間の関係、科学技術の影響、そして戦略的警戒心について触れている。

 

 多国間の関係では、2国間だけでなく複数の国との関係性も考慮する必要がある。

 

 また科学技術の進歩は、国際関係に新たな次元をもたらすとされている。

 

 

 

 この事は恩師にして養父、橘茂樹大佐が「国家に真の友人は居ないものさ…」との言葉とともに、最期に教えてくれた教えである。

 

 そしてその日、彼は帰らぬ人となった。

 

 

 この時は養父の突然の死による精神的なショックも重なって、よく理解していなかったが、大将という階級とともに艦娘部隊の司令官、総提督などという()()()()()()へと祀り上げられた時、それを痛いほど実感した。

 

 まぁ、そこでへこたれなかったのが、彼女の強みとも言えるかもしれないが、それは土方の存在が大きかった。

 

 

 ところで、彼女は公式文書に三十代前半の年齢で記載されているが、実はこれ、確固たる根拠がないのである。

 

 正確な事を言うと、例の人造艦娘研究施設に入れられた時点で彼女の戸籍等の個人情報の類いが全て抹消された影響と、施設内での凄惨な実験などによる精神的ストレスや艦娘化による弊害か、記憶障害を引き起こしたこともあって、正確な生年月日が最早誰にも分からなくなっているというのと、人造とはいえ一応は艦娘となったことで肉体年齢や外観にも変化が生じており、見た目が幼く、小柄な体格であった事からも、その容姿から元々の人物を特定したり、年齢を読み解く事が困難となっていたというのが大きく、さらには艦娘としての精神に引っ張られてか、精神年齢も引き上げられている可能性もあった。

 

 とはいえ、研究施設で確認された犠牲となった子供達の体格などからおおよその推定年齢を算出し、そこから導き出した平均値が、今の彼女の公的な年齢である。

 

 ただもしかしたらではあるが、まだ二十代である可能性もあれば、ギリギリ十代後半という可能性も有り得るのだ。

 

 …流石に妙齢の女性だったり、はたまたヨボヨボのおばあちゃんである可能性は、先にも述べたが犠牲となった被験者が全員子供であった事や、彼女やもう一人の生存者からの証言によって否定されている。

 

 また、その年齢に反して見た目が幼く、平均身長よりも小柄な体格であった事から、軍に入隊しようとした際に色々と苦労することとなった。

 

 

 

 閑話休題(それはさて置き)

 

 

 

 真志妻は土方を信頼している。

 

 

 その事に誰しもが疑ってはいないし、土方の能力や人柄に疑問を挟む者は今現在においてはほぼいない。

 

 ただ、しょっちゅう真志妻が土方に助言を求める事があったために「頼り過ぎではないのか?」「これではどちらが上官か分からん」と苦言を呈する者がいたが、これは小松島鎮守府、当時警備府の司令官を務めていた時からよく見られていた光景でもあった。

 

 そもそも彼女は大将就任直前までは大佐の地位だったのを、政治的な都合やら駆け引きやらと、当時の軍が置かれていた状況から軍内部の責任の盥回しによる影響で、前例のない昇格人事を強行し、本来ならば受ける必要があった研修やら何やらの過程をすっ飛ばしまくった弊害であると同時に、そもそも軍における士官教育そのものが、戦時を理由に促成教育による最低限の教育しか行なっていなかった事が根本的な問題だった。

 

 

 真志妻が軍の門戸を叩いた当時、「悪逆非道な深海棲艦による侵略の魔の手から日本国民を守り抜く」という政府の方針もあって、日本各地へと鎮守府やら警備府(公金スキーム前提の利権が絡んだハコモノ)を乱立させまくった結果、その責任者として必要となる提督がまったく足りない状態となっていた。

 

 そのため兎にも角にも提督の数を揃える目的もあって、政府は軍に対して広く人材を集めるために、入隊基準の大幅な緩和と教育の簡略化を求めた。

 

 

 それを受けて軍は、提督養成教育に関しては従来の陸海空三軍の教育機関である幹部候補生学校や防衛大学校とは別の、独立した特別養成所を設けることで対応することとなった。

 

 

 土方は一時期、極東管区における軍の教官を務めていた時期があったが故に、この事に激怒していた。

 

 教育を疎かにして、マトモな軍人や指揮官が育つわけがないし、マトモにやる気の無い連中をどんなにしごき倒しても使い物にならないと断じていた。

 

 

 事実、この頃の特別養成所にて粗製濫造された軍人の多くは土方の懸念した通り、使い物にならなかった。

 

 

 素行不良ならまだしも、モラル面において疑問符の付くヤカラまで普通に提督としての職務に就いていたが、戦果よりも問題行動の割合が多い者が後を絶たなかったし、他の三軍との摩擦や確執が常々問題となっていた。

 

 

 それでもこの制度の功績を上げるならば、基準の緩和によって市井の中から使える人材を、全体から見たら微々たるものだが、見付け出すことが出来たことと、経歴に色々とある真志妻などのクセのある者が入隊出来た事だろう。

 

 今現在の軍を支えているのは、その数少ない使える人材達だった。

 

 だがこの当時はその使える人材の殆どは、まぁ色々と周囲からのやっかみを受けて、閑職やら辞職に追いやられてしまっていたが。

 

 

 無能なアタマを数だけ寄せ集めた烏合の衆。

 

 

 そう陰口を、実働部隊である艦娘達からさえ叩かれる程に、雑多な雑軍というのが、当時の軍で艦娘達の第一線指揮を執っていた軍人達の実情だった。

 

 本来そんな彼らを纏め上げ統制し、国軍全ての部隊運用を円滑に執り行う為の立場にある統合司令部は、統合幕僚監部から分かれて新設されたばかりの比較的新しい組織であり、その運営活動はまだ安定した軌道に乗っておらず、彼らを押さえ込むには力不足な状態だった。

 

 何より同盟国(宗主国)アメリカの方針や意向に逆らうだけの意思も能力も欠如しており、殆どお飾りとさえ言われることもあってか、日本独自の具体的な戦略性のある決定を下す能力にも欠けていた。

 

 こんな状態も相まって、軍人としての教育が不充分でその心構えにも問題を抱えている彼らによる、所謂独断専行が横行する土壌となってしまっていた。

 

 

 だからこそ、深海棲艦をして「何をやらかすか分からない軍隊」と言わしめる程の、無茶苦茶な軍事作戦が当たり前のように行なわれていた。

 

 

 そこに戦略や戦術、ましてや兵站の概念など、クラウゼヴィッツや孫氏が見たら、まず間違いなく卒倒するレベルで存在していなかった。

 

 

 故に、反攻作戦は失敗し、AL/MI作戦での惨敗に繋がった。

 

 

 だが皮肉なことに、この立て続けに起きた大敗北によって転機が訪れる切っ掛けにもなった。

 

 

 当時の首都だった東京が壊滅し、政府と軍の中枢にも少なく無いダメージを負うこととなり、一時的ではあるものの無政府状態と指揮系統の混乱が発生。

 

 

 この混乱した軍の指揮系統の再構築も兼ねて、本土攻撃を成功させて離脱中だった深海棲艦の攻撃部隊に対して送り狼を実施し、戦果を挙げた真志妻当時大佐に艦娘部隊を纏める総提督就任要請のお鉢が回ってきた。

 

 

 その背景には反攻作戦失敗という大失態を挽回すべく、発動したAL/MI作戦の真っ最中に首都へと攻め込まれて首都機能を損失するといった大きな被害を受け、あまつさえ肝心の作戦さえも惨敗したことが知れ渡ってしまい、国民だけでなく諸外国からも激しい非難を浴びせかけられていた時期でもあり、本来就くべき立場にいた、先の攻撃を生き延びた高官達が押し付け合って誰もやりたがらなかったから、一種のスケープゴートとして押し付けられたとも言えるが。

 

 更には辛うじて全滅だけは免れて再建を開始したばかりだった政府も、真志妻の容姿から特に精査すること無く「こんな小娘ならば御し易いだろうから、神輿には丁度良い」として軽く見ていた。

 

 

 そもそも総提督という役職のその実態は、政府や軍部の決定を艦娘へと伝達する折衝などを行なう提督の、所謂“橋渡し役”の元締めなのである。

 

 一種の名誉職に近い、お飾りの役職だった。

 

 

 その行使可能な権限なども、線引などでかなり曖昧なものが多かった。

 

 

 だがこの事に真志妻は逆に好機であると捉えた。

 

 

 まだ政府が混乱から完全には立ち直れていない隙を突いて、後に粛清人事と恐れられる程の、徹底した改革を断行した。

 

 

 先ずは各地に乱立する鎮守府や警備府の統廃合と、それに伴う飽和状態だった提督の大量解雇。*1

 

 書類上に存在するだけの幽霊部隊や編成予定だが期限未定の新規部隊を全てキャンセル。*2

 

 警備府の中でも規模が小さい部隊には提督を置かずに艦娘に一定の指揮権を与え、それら複数の警備府をまとめて近隣の鎮守府の管轄下に組み込む。*3

 

 部隊によってばらつきのあった艦娘の給与などの待遇の改善。*4

 

 部隊間の連携強化と交流の推奨。*5

 

 特別養成所の閉鎖と代替する教育機関、他の三軍と同様な幹部候補生学校の設置。*6

 

 

 などなど、今までは誰もやらなかった、出来なかった事を次々と実行に移した。

 

 

 無論、この改革によって今まで居たポストを失うこととなる者達を中心に反発も大きかったが、全ては艦娘の為というモチベーションが原動力となっている彼女は人間の反発など意に介せずに突っ走り、必要ならば個人資産から多額の袖の下をばら撒いて黙らせ、残る反発意見に対してロードローラーで押し潰すが如くの勢いで反対者を徹底的に轢き潰して行った。

 

 

 こんな無茶が出来たのは、一重に総提督という役職の権限が曖昧だったからこそ、それを逆手にとって行使不能であるとする明確な法的根拠等の理由が存在しないとして、強引に押し切ったのと、なによりも艦娘達の絶大な支持が得られていた事が大きい。

 

 

 そもそも艦娘に対して指揮する提督の人数が飽和していたし、他部隊との連携も協調もへったくれもない、自分達の意見具申を聞かないのはまだしも、マトモな作戦遂行や事務処理能力の欠如甚だしい軍人達に対して、艦娘達の不満は爆発寸前だった。

 

 そこへ艦娘の間で艦娘至上主義者との噂が流れていた真志妻が自分達のトップとなり、多額の資産を投じながら次々と改革を推し進めて行く姿を見て、噂が事実であったとして歓喜し、急速に支持を寄せることとなった。

 

 

 艦娘の支持を背景に、殆ど独裁者に近い権力の乱用を行使しまくった彼女だったが、教育機関の改革という例外はあるものの、自身の艦娘部隊責任者としての管轄外に対してはほぼ手出ししなかった。

 

 本音を言えば、統合司令部へもメスを入れたかったし、そこのトップに土方を捩じ込みたい思惑もあったが、断念した。

 

 

 そもそも統合司令部への介入を思い留まらせたのが、土方だった。

 

 

 確かに軍の改革は必要だと、土方も思っていたし、個人的な意見として真志妻からの相談にものって「こういう案はどうだ?」との私案を述べたりもしていた。

 

 更には解雇(粛清)を免れた提督達の殆どは、土方が以前から目にかけ、もしも自身に何かあった際に備えて、人付き合いが苦手というか、他人と関わることに忌避感のある真志妻がその時になって困らない様にと思ってピックアップし、機会があれば交流を持たせていた者達が大半を占めていた。

 

 

 だが、彼女のやり方はあまりにも性急で強引過ぎて暴走しているとしか思えなかった。

 

 土方が止めなければ暴走機関車の如くどこまでも突っ走り続けていたかもしれなかった。

 

 

「土方さんの考えならば間違いがないですよね?」

 

 

 いくらなんでも性急に過ぎないか?と問い詰めたら、小首を傾げ、駄目だったんですか?と言わんばかりに不思議そうな顔をされ、土方は頭を抱えた。

 

 真志妻は土方を信頼しているが、信頼し過ぎるあまり頼るところは頼り切り、疑う事もなくその意見を即実行に移してしまっていた。

 

 しかもそれが艦娘にとって利になることならば、そこに躊躇いや合法非合法の概念など無かったし、そもそも今の権力者だって似たような事を平然と行なっているのだから、今更何をか言わんやと開き直られた。

 

 ついでに言えば、先の総提督としての権限が曖昧で法的根拠等の理由が明確でないというのも、なにも真志妻が初めに言い出した事ではなく、艦娘部隊を率いる提督に関する法整備も実は似たような状態であり、そこに目を付けた、今回解雇(粛清)された提督達が先に主張していたという前例と、それを政府と軍上層部が事実上黙認していたという既成事実が既にあったためである。

 

 

 言いたいことは分からなくもないが、だからといってやり過ぎは良く無い。

 

 それになにも特に嫌う人間のやり口を真似る事は無いのではないか?

 

 そう問い質すと、叱られた仔犬の様にシュンとしてしまった。

 

 いや、というよりか親に叱られた子供の様だった。

 

 確かに親子程の年齢差があるためそう見えなくもないが。

 

 

 ただ真志妻は土方のことを父親の様に見ていた事は確かである。

 

 これは彼女の養父である、今は亡き橘大佐も土方と同様に親身に真志妻を陰日向に支え、色々なことを教えてあげていた。

 

 橘大佐は土方と違って、教育関係の仕事はしたことは無かったが、それなりに知識がある方だったし、多少なりとも自分なりの考えを持っていた。

 

 だがそれが、対米追従一本主義の国防方針を疑問視した内容だったことから、周りや上層部から疎まれる要因ともなって、どちらかと言えば僻地と言える場所に配属されていた。

 

 まぁ本人は然程気にしていなかった様で、寧ろ中央の七面倒臭い争い事からわざわざ向こうから遠ざけてくれたと有り難がっていたが。

 

 

 しかし中央の方針に反発して飛ばされたというのは、ある意味で土方と同じであると言えた。

 

 土方もかつて地球軍の波動砲艦隊構想に異議を唱えた結果、地球から太陽系最果ての国境とも言える第十一番惑星へと飛ばされた経験があった。*7

 

 

 年齢は土方が年上だし、容姿もどちらかと言えば皮肉屋な性格の橘大佐と全く違うが、なんとなく似通ったところがあった為に、真志妻は土方に亡き養父の面影を見ていた。

 

 

 もし、橘大佐(お義父さん)が生きていたら…。

 

 

 そう心の中で重ねる事もしばしばあったし、今は真志妻の副艦長門や秘書艦陸奥といった、かつて橘大佐の部下だった者達も、土方と真志妻の二人の和やかなやり取りに、過ぎ去ったあの日を思い浮かべることもあり、真志妻の心の内も察していた。

 

 

 

 真志妻は表向きは土方を信頼できる自身の右腕として扱っているが、本当は家族の様な信頼感を寄せていた。

 

 

 上司と部下、同僚といった関係で土方を見ていなかった。

 

 

 

 だからこそ、真志妻は土方を手放したく無いと考えていた。

  

 

 

 しかし、同じく家族の様に大切な艦娘達のこともあり、彼女は今板挟みの様な状態となっていた。*8

 

 

 どちらか一方のみを選ぶといった判断を下すことが、真志妻には出来なかった。

 

 

 この判断を下すという事は、彼女にとっては家族を売ることと同じことであり、それは彼女の“心”が許さなかった。

 

 

 思考が堂々巡りになり、真志妻の頭の中はにっちもさっちも行かなくなって困り果ててしまっていた。

 

 

 だからこそ、土方からの着信が正に渡りに船の様に思えて、彼女は内心でホッとしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みにだが、土方も軍に入隊した際に、真志妻の推薦状によって例の特別養成所に入校することとなったのだが、あまりにもスカスカで形だけの内容の薄い、いい加減な教育具合に心底腹を立ててしまい、ただでさえ厳つい顔付きなのに、いつも不機嫌そうな仏頂面で構えていたものだから、教官が萎縮する事もしばしばあったという。

 

 しかも生徒の中で飛び抜けた高齢にも関わらず、その醸し出すオーラなどの存在感から「教官よりも教官ぽかった」と、同期生達が恐れ慄きながら口を揃えて語っている。

 

 

 その後に新設された幹部候補生学校から、教官として招聘したいとの嘆願書が真志妻と土方の双方に送られる事となったのだが、それはまた別の話。

 

 

*1
都市周辺の沿岸部などでは隣り合う程の過密状態となっていたり、一部では河川にまで建設されている場所もあった。

*2
名義だけで活動実態の無い部隊も存在していた。

*3
小規模警備府の交番化。

*4
なお、これには物資の横領や横流しなどの不正による犯罪行為も密接に絡んでおり、最も複雑な案件となった。

*5
今までは粗製濫造された提督同士の功名争いなどの対抗意識から、部隊の連携が全くと言っていい程なされていなかった、

*6
卒業後いきなり提督となることが出来た特別養成所と違い、先ずは各鎮守府や規模の大きな警備府へと割り振られ、現地の提督の下で補佐をしながら艦娘達との交流をし、艦娘という存在がどういうものかを学びとり、提督として求められるものを自ら学ぶ方針となっている。

*7
ただ、その第十一番惑星が地球とガミラスの共同入植地でもあった事と、太陽系防衛の要地でもあった為、その政治的、軍事的重要性から一概に閑職だったとは言い難いとの指摘もある。

*8
大切とする艦娘を戦場へと送り出すのは気にしないのか?と思われるかもしれないが、艦娘の兵器としての本能的なものが戦場へ出ることを当たり前に思う傾向にあり、それは人工とはいえ艦娘でもある真志妻にも存在するため、大切だからと戦場に出さないようにするのは彼女らに対する一種の裏切り行為であり、割り切らざるを得ないと判断していた。

 

 ただし、だからといって無駄死にを強要する事は間違っていると考えており、それは当初艦娘と人類が交わした約定でもある、“私達は深海棲艦に対する武力を提供する。代わりにその武力を維持出来る為に便宜を取り計らってほしい。”との取り決めにも反する行ないであると見做し、それがこれ以上戦い続けることが困難となったこの戦争の引き際を考える要素ともなった。





 橘茂樹大佐は陸幕調査部別室の荒川茂樹(機動警察パトレイバーTHE MOVIE2)をイメージとしております。



「国家間に真の友人はいない」 シャルル・ド・ゴール

「国家に真の友人はいない」 キッシンジャー

「隣国を援助する国は滅びる」 マキャべリ

「我が国以外は全て仮想敵国である」 チャーチル

「英国は永遠の友人も持たないし、 永遠の敵も持たない。 英国が持つのは、永遠の国益である」 パーマストン


 近年アメリカから防衛装備品を買い込む割合が増えてるけどさ、ここ2,3年のアメリカを見てるといざという時マズいんじゃね?

 今のアメリカ、エンジニアの不足が軍事産業の足を引っ張っている影響がモロに出てるし、製造が追い付いておらず、イとウの両方は面倒見きれないとの情報もあれば(ただ最近の連邦議会見てると、どうもイにシフトしている節が見受けられて、ウ切られるんじゃないかとの指摘もあったり。ウ推してた両党の議員がこぞってイの支援呼び掛けに注力しだしている。)、そもそも以前から軍事物資の質が低下している指摘が出ていた。

 製造現場に人件費削減目的で不法移民が雇われている実態もあって、労働者の質が不安定化している問題もあるけど、その不法移民には要監視対象国からの流入、特に今ホットスポットであるパレスチナからの移民は、アメリカがパレスチナを国家として認めていない事もあって、分類上イスラエル出身者として処理されているから、どれ程のパレスチナ人が入っているか分からないし、中にはハマスやイスラム聖戦などの構成員が紛れている可能性も否定できず、今後爆発する危険性がCBP、アメリカ合衆国税関・国境警備局から警告が発せられている。
 更には中南米の某国はヒズボラとの親密な繋がりがあり、ヒズボラ構成員に対して国籍と身分証明書を提供してアメリカへと送り出すという行いをしている。

 最悪、アメリカは今後にトロイの木馬(内部から大爆発)が起きて、国外に構っていられない事態に突入するリスクが急激に高まっている。

 そうなった時、日本はどうするのか?

 既にその前兆は現れている。

 てかその前にアメリカがイランにいらんことしてホルムズ海峡閉じられたら日本干上がる…。


 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。
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