艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 欧州情勢は複雑怪奇なり。


 取り敢えずEU、イギリスとイタリアによるヨーロッパの主導権争い。ファイッ!

 時系列に無理があると思いますが、ご容赦を。

 それと今回注意点として、艦娘同士による事実上の交戦、及び艦娘の死亡に関する描写が含まれています。


第66話 The situation in Europe is complicated and mysterious.

 

 

「私は、いえ、我々英国はイタリアの艦娘達に恨まれ、殴り付けられても、仕方がないわ。()()Pola()なら特にね」

 

 

 Pola(ポーラ)の乱入及び傷害未遂という予想外の重大な問題が発生したが、被害者であるWarspite(ウォースパイト)が不問にする旨を口にしたため、このことは無かったこととすることとして緘口令が敷かれる事になった。

 

 だが一体何があったのか?その経緯(いきさつ)は何だったのか?

 

 

 それはWarspite(ウォースパイト)の口から語られた。

 

 因みに一方の当事者であるPola(ポーラ)涼風(スズカゼ)工廠(医務室)へと届けて戻って来た時雨(シグレ)夕立(ユウダチ)に警備を交代してもらった江風(カワカゼ)が隣の待機室で寝かせている。*1

 

 

 簡単に言えばヨーロッパ、EU内部の主導権争いを発端とした内紛がそもそもの原因である。

 

 

 先のパンデミックに第三次大戦、ロシア東欧紛争における東欧への限界を超えた無理な支援が祟って、EU内部のパワーバランスが大きく崩れた。

 

 

 その原因の一つに、アメリカが北大西洋条約機構、NATOから一方的に脱退、解散したことが大きな要因ともなった。

 

 なにせNATOとは実質アメリカに()()()()()()()な組織であり、その予算も7割がアメリカによる負担だったが、そのアメリカが抜けたことで旧NATO加盟国、特にEU各国は国防の頼みの綱が無くなり軍事的に瓦解状態となってしまった。

 

 ヨーロッパNATO主要国がアメリカの軍事力に依存した軍備であったことが災いし、武器弾薬の備蓄は自国軍需産業の経営と技術維持に必要な最低限。兵器稼働率は新規生産分であっても最低水準状態。トドメに兵力はかつての米ソ冷戦終結を境に削減が続き、気付けば予備役を含めても国防に必要な最低限にギリギリ届くか届かないかくらいにまで減っていたのだ。

 

 

 それに焦ったEU各国、特に旧NATO主要国を中心に慌てて軍備の再建と増強を図ったが、軍備というものはそもそも一朝一夕にどうにかなる様な代物ではなく、それでいてパンデミックによる経済の後遺症は深刻であり、続く寒冷化が追い打ちを掛けた。

 

 だが冷戦後のNATOの、というかアメリカが音頭を取って推し進められたNATO勢力範囲の無神経かつ不用意な東方拡大が原因とする、ロシアの西側に対する不信感がピークに達していた時期でもあり、*2これを機にロシアによる報復的軍事侵攻があるのではないか?との恐怖心から旧NATO主要国首脳陣は暴走。

 

 恐怖の対象(ロシア)の弱体化と寒冷化による食糧不足の解決、あわよくば資源地帯の獲得を狙って東欧を焚き付けた。

 

 

 だが結果として、それが全て裏目に出た。

 

 

 無理な軍備の急激な再建、増強と東欧への限度を超えた支援はEUの中核を担っていたドイツとフランスの経済に深刻なダメージを招いた。

 

 それに対して戦中は色々と理由を付けて()()()()()()と躱しながら日和見に近い態度を貫いていたイタリアが、相対的にEU内での力を伸ばした。

 

 

 アメリカによる中東侵攻の余波で情勢が不安定となっているにも関わらず、原油を初めとした無理な資源採掘の増産を要求してくるEUに嫌気が差したコーカサス地域のロシア回帰、新ロシア連邦(NRF)準加盟国化とトルコの新ロシア連邦(NRF)への急接近によってBTCパイプラインが戦略的に不安定化し、その影響で北海油田の戦略的価値と需要増加が追い風となったイギリスは、どさくさ紛れに北海沿岸諸国、北欧は寒冷化の影響で、ドイツは事実上の経済破綻で維持管理が難しくなったこれらの油田を直接買い漁りはせず、株式を介して経営に大きな影響を与える形で侵蝕し、北海油田の利権を間接的に独占する形で、更には近年ロンドン郊外で開発が開始されたロンドン油田の本格稼働に向けた開発促進によってEU内でのエネルギー分野を掌握し、地位の盤石化を謀った。

 

 

 これらの構図は現在のEU内におけるパワーバランス、特にEU各国の艦娘保有数にも当て嵌まっていた。

 

 イギリスとイタリアの両国がヨーロッパにおける艦娘戦力の中核を為し、北海と大西洋、ジブラルタル周辺はイギリスが、ジブラルタル周辺を除く地中海の大半はイタリアがその防衛を担っていた。

 

 

 ドイツとフランスは艦娘を大量に建造できるだけの余力が無く、自国の沿岸防衛が精一杯な状態であり、EU内での発言力も低下していた。

 

 この頃に日独の技術交流という目的で、ドイツ戦艦艦娘Bismarck(ビスマルク)が日本での建造に成功したのだが、その際に「Bismarck(ビスマルク)が日独のどちらに帰属するのか?」という帰属問題の観点から懸念をイギリスが示したことがあった。

 

 同時に他国に自国の艦娘を建造させるのは、倫理的に如何なものか?これは一種の人身売買に近い行為ではないのか?との懸念も追加で示した。

 

 これは艦娘を人間として扱うのか?兵器として扱うのか?という議論が国際的に巻き起こる切っ掛けともなったが、本当の狙いはイギリスがEUにおけるパワーバランスを維持する事が目的だった。

 

 

 この頃イギリスを支えていた既存の北海油田の産出量が低下し、新規油田の発見と開発が深海棲艦による脅威も相俟って上手くいっていなかった事と、開発を急いでいたロンドン油田が先の北海油田の問題もあって採掘開始に向けてより一層のプレッシャーを掛けて急ぎ過ぎたためか、はたまた別の要因か、大規模な爆発事故を起こして大きな損失と多数の犠牲者を出し、更には一時的とはいえ政府機能すら麻痺させた事態を引き起こした影響を受け、開発を担当していた企業や関連会社が倒産。後押ししていた政治家や官僚達が軒並み辞職に追い込まれたり、発言力を大きく低下させてしまった事もあって、ロンドン油田の開発が殆ど頓挫してしまったことにより、エネルギー分野を利用した現在のパワーバランスの維持に陰りが見え出した事でイギリスに焦りが出ていたのである。

 

 またイギリスはEU各国への自軍艦娘のレンタルを考え、打診し始めていた時期でもあり、この日本とドイツの動きは正直目障りだったのだ。

 

 

 だがエネルギー問題はどうにもならず、EUは解決策としてナイジェリアなどの北アフリカの資源地帯に目を付けた。

 

 この当時のアフリカは第三次大戦前後から民族紛争や国境紛争が激化し、収拾の兆しが見えない混沌とした情勢が続いており、ヨーロッパへと流入する難民も一向に減る気配がなかった為に、付け入る隙、もとい、介入する大義名分が充分にあるとされていた。

 

 

 そうなると地理的に地中海と、地中海の守護者たるイタリアの重要度がますます増大することとなる。

 

 地中海の大西洋側出入り口であるジブラルタル海峡を形成する、イベリア半島南端のジブラルタルを領有するイギリスであったが、この当時のジブラルタルは深海棲艦の大西洋展開部隊がジブラルタルの守備軍であるイギリス本国艦隊支隊と地中海艦隊主力との間で一進一退の攻防を続けており、ジブラルタル周辺は不安定な状態だった。

 

 そのため比較的安定していた地中海航路を防衛し、スエズ運河を制圧して同方面に拠点を構築した深海棲艦のスエズ展開部隊を抑えていたイタリアは、EUの中で重要な地位を占める様になっていた。

 

 

 だがそのイタリアでは北アフリカへの介入は現在のヨーロッパの限界を超えていると指摘し、寧ろ新ロシア連邦(NRF)との関係修復を早急に図るべきではないか?とする提案を出していた。

 

 特にその主張の出所はイタリア軍の海軍が中心となっていた。

 

 

 これはダーダネルス海峡、ボスポラス海峡を含むトルコ海峡一帯とエーゲ海が『ダーダネルス海峡攻防戦』以降、新ロシア連邦(NRF)軍とトルコ軍によって安定化していたことから、黒海方面からのタンカー輸送だけでなく、BTCパイプラインが復活する方が遥かに確実で現実性が高かったためである。

 

 また交渉次第では食糧輸入の可能性も期待出来、現在の食糧不足が改善される期待も出来た。

 

 これには非公式ながら新ロシア連邦(NRF)の黒海艦隊支隊である地中海常設作戦部隊との交流が、作戦海域が隣接、若しくは重複している関係から部隊レベルでそこそこ頻繁に行われており、特に艦娘部隊同士では双方が海上にて情報交換や補給し合うこともしょっちゅうあったため、EU内において最も新ロシア連邦(NRF)とそれなりに友好と言える間柄を構築していたという背景も存在する。

 

 

 だがEUはイタリアの提案に反発。

 

 

 新ロシア連邦(NRF)に頭を下げることに抵抗があったのだが、その急先鋒がイギリスだった。

 

 先の大戦中、イギリスは色々と裏でヤラカシまくっていたこともあり、疑心暗鬼になってしまっていた。

 

 今新ロシア連邦(NRF)に頭を下げたら、もうイギリスは、いやヨーロッパが新ロシア連邦(NRF)の衛星国となってしまうのではないか?

 

 そんな疑念が渦巻いており、更には先の戦争での新ロシア連邦(NRF)への数々の嫌がらせに対する有形無形の報復が行われるのではないか?と恐怖する者達が少なくなかった。

 

 

 そういったこともあり、イギリスとイタリアは水面下で激しく対立した。

 

 その政争に、Pola(ポーラ)を始めとした数多のイタリア艦娘が巻き込まれた。

 

 

 彼女は表向きは事故死したとされるイタリア海軍の老将、デュゴミエ提督の率いた艦隊の所属だったと言う。

 

 

 彼はEUの決定に大きな影響力を行使しているにも関わらず、非民主的な方法で選出されているEU委員会に以前から不満と不信感を抱いており、事実先の大戦だけでなく、パンデミック期にあまりにも行き当たりばったりで硬直した方策しか示さず、EU各国の足を引っ張り、経済に未曾有の混乱を招いていただけでなく、EU圏内の人の移動を厳しく制限して物流にすら混乱を招いておきながら、難民の流入に対して無為無策に近い無制限の受け入れを続け、その影響でヨーロッパ各国国民の雇用まで損失させ、あまつさえ自分達の権限拡大にばかり奔走していた事を引き合いに出して、イタリアはEUから早々に離脱すべきであると声高に主張し続けていた。

 

 

 その政治的主張からイタリア軍内部で煙たがられていたのだが、軍人としての能力は確かであり、同時に艦娘からの支持も厚かった。

 

 彼の率いる艦隊が居なければ、地中海はスエズを起点にイオニア海*3の大半が確実に深海棲艦の海となっていたと言われており、シチリア島*4南部に拠点が構築されていた恐れがあった。

 

 それを防いだとして、イタリア国民を中心に英雄視され、ヨーロッパ中で有名となっていた。

 

 

 だが悲しいかな、英雄と呼ばれる人間ほど、孤独で非業な最後を迎えるものである。

 

 

 他に人がいなかったから、元々疎まれていたこともあり失っても別に惜しくなかったから、失敗したら寧ろ厄介払いに丁度いい。

 

 そういった事情で前線の、激戦区に放り込んだにも関わらず、逆に戦果を挙げて国民の人気者になってしまった。

 

 その事で余計に疎まれる結果となった。

 

 しかしデュゴミエ提督は別段これと言って気にすることは無かった。

 

 

 政治的な主張こそすれど、特段何かしらの政治的野心がある訳ではなく、孫娘の様な年齢の姿形をした艦娘達に囲まれ、彼はそれなりに満足していた。

 

 彼は彼なりに艦娘達を愛し、艦娘達もそんな彼を愛した。

 

 頑固で酒好き、しかも恐ろしく短気で口論となることもしばしばあったらしいが、その一方で決して手を上げる様なことはせず、根に持つようなこともしなかった。

 

 何より彼は艦隊旗艦であり、“saggio(サッジョ)”、イタリア語で賢人との敬称で呼ばれて数多のイタリア艦娘に慕われ、他国にもその名を轟かせていた武勲艦娘、戦艦艦娘Conte(コンテ) di(ディ) Cavour(カブール)と相思相愛の仲だった。

 

 

 彼は妻を早くに亡くし、その気難しい性格からか再婚すること無く3人の子供を男手一つで育て上げたが、その3人にも先立たれており、孤独だったというのもあるのだろうが、強気な性格の Cavour(カブール)とはなにかと馬が合った様で、時折ぶつかったりもしていたらしいが、お互い惹かれ合い、途中からは口論していても夫婦喧嘩の延長の様だったとの証言が残されており、仲の良い歳の離れた夫婦にしか見えなかったと言われていた。

 

 

 だが、ある日突然、デュゴミエ提督に軍上層部からスパイ容疑と叛乱の容疑で出頭命令が出され、国家憲兵であるカラビニエリによって首都ローマへと連行しようとした直後、デュゴミエ提督を護送するために乗せたカラビニエリの車両が突如爆発し炎上。

 

 そして複数の爆発が立て続けに起こり、現場は混乱の坩堝となった。

 

 

 公式には偶発的な車両の事故が原因でデュゴミエ提督が爆発に巻き込まれ、立て続けに起きた爆発はこの事故を最初から提督の暗殺が目的で仕組まれたものであったと決め付けた艦娘達が激昂し、暴発した事が原因であると処理された。

 

 デュゴミエ提督は最初の爆発で即死。この混乱の最中に、デュゴミエ提督の死に錯乱し発狂した Cavour(カブール)も死亡し、指揮下にいた数多の艦娘も混乱から同士討ちが発生して死亡したとされている。*5

 

 

 この混乱はイタリア全土に及び、事件の顛末に納得しない艦娘達や彼女達に同調した軍人達によるサボタージュを招いた。

 

 その後カラビニエリや陸軍、サボタージュに同調しなかった部隊を総動員しての鎮圧に乗り出し、混乱を最小限に抑えようとしたものの、多数の高級軍人が更迭され、部隊の指揮が可能なベテランを含む第一線級の艦娘を逮捕拘禁した影響で、以前ほど地中海での軍事的プレゼンテーションが発揮出来なくなった。

 

 

 ただこの頃になるとジブラルタル攻防戦が一段落しており、ジブラルタル防衛は本国艦隊支隊が担い、地中海艦隊は徐々に地中海防衛の為に転戦したことで、地中海が深海棲艦の海となる様な致命的な事態が生じる事は無かった。*6

 

 

 この頃からイタリアを見限って脱走を企てるイタリア艦娘が現れ始め、イタリアを出奔して交流のあった新ロシア連邦(NRF)の部隊を頼ってエーゲ海を目指す者がチラホラと出始めた。

 

 

 中には軍の船舶を奪って軍人ごと脱走する事態も起き、更には妖精さん達までイタリアを見限って脱走する艦娘や軍人達と一緒に付いて行ってしまっていたという。

 

 

 追跡しようにも追跡部隊そのものが脱走する恐れもあり、躊躇して初動が遅れ、更には事態を嗅ぎ付けたイギリス地中海艦隊が独自に追跡部隊を出す事態にまで発展。

 

 

 その際、イギリスイタリア双方の艦娘が撃ち合う事態も発生したが、イタリア側は脱出を優先した雑多な編成で、国内の混乱によって物資の補給に支障が出ており、それでなくても叛乱武装蜂起を恐れた上層部が各基地に保管していた弾薬の大半を取り上げてしまっていたこともあり、持ち出せた弾薬が限られていた為、また多数の妖精さん達が乗り込んでいた影響もあってか碌に戦う事が出来無い状態だったこともあって、多数の戦艦艦娘を前面に押し出して向かって来る圧倒的戦力のイギリス艦隊の前に、捕捉されたイタリア艦隊は必死の抵抗虚しく捕縛されるケースが殆どだった。

 

 ただ深海棲艦が出現する海域を避けていたこともあり、運悪く強行偵察部隊にでも遭遇しない限りは深海棲艦に捕捉されることは稀であった。

 

 

 そしてWarspite(ウォースパイト)は脱走したイタリア艦隊を捜索、追跡する部隊の一隊を任せられていた。

 

 

「あの娘、Pola(ポーラ)は姉のZara(ザラ)と2人だけで逃げていたわ」

 

 

 他の部隊とは違い、彼女達はデュゴミエ提督の部下という理由で軍に拘束されていたのを、妖精さん達による手引で脱獄。2人と脱走を手引した妖精さん達だけでエーゲ海へと向かったのだが、殆ど物資も積み込む事が出来ず、しかも拘束されていたこともあって体力も消耗しており、半ば迷走してしまっていた所をWarspite(ウォースパイト)の艦隊が捕捉した。

 

 

 2人はなんとか振り切ろうとしたが、天は彼女達に味方しなかった。

 

 

 追跡部隊から逃走するために舵を切ったその針路の先に、深海棲艦の強行偵察部隊が存在していた。

 

 

「彼女達からしたら、私達が深海棲艦のいる方向へと誘導したと思ったのでしょうね…」

 

 

 実際は偶然なのだが、体力の限界が近かった彼女達はWarspite(ウォースパイト)達と遭遇したことで半ば錯乱していた様であり、傍受した通信の混乱具合からその事が読み取れた。

 

 

 とはいえ2人の追跡よりも、自分達の使命である深海棲艦の撃滅、誇り高き大英帝国海軍(ロイヤルネイビー)の伝統たる見敵必殺(サーチ&デストロイ)の精神を優先する決断をWarspite(ウォースパイト)は下した。

 

 だが先にも述べた通り、自分達と深海棲艦の間にはZara(ザラ)Pola(ポーラ)がいて、水平射撃時には射線を塞ぐ位置だった。

 

 司令部から受けた命令は脱走艦を捕捉し拿捕する事であり、脱走艦の撃沈では無い。

 

 そのため2人を射線上に捉えたまま深海棲艦との火蓋を切る訳にはいかず、Warspite(ウォースパイト)は2人を避ける様に艦隊を左右二手に分散させ、尚且つ深海棲艦を十字砲火で叩く為の射線を確保するよう指示を出し、ほぼ同じタイミングで深海棲艦も迎え撃つつもりなのか、こちらへと進路を変更して来たのだが、陣形変更の艦隊運動を開始したタイミングでWarspite(ウォースパイト)は己の判断ミスに気が付いた。

 

 

 この艦隊運動はまるで2人の逃げ場を無くす為、半包囲する目的で艦隊陣形を変更したとも見れなくも無かった。

 

 それに2人はこちらが受けている命令の内容など知る由もないのだから、逃げ場を封じて深海棲艦に自分達を始末させる、或いは深海棲艦ごと自分達を始末するつもりなのだと勘繰られても可怪しくない陣形だった。

 

 

 そしてその予想は的中だったらしく、深海棲艦と追跡して来た艦娘部隊に包囲されたと思い込んだ事で冷静さを失い、完全に錯乱した2人によって、戦闘はシッチャカメッチャカな乱戦となった。

 

 

 その後、なんとか深海棲艦を撤退に追い込んだものの、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()新ロシア連邦(NRF)地中海常設作戦部隊の水上艦隊が戦闘を察知し、接近しているのを確認した事でWarspite(ウォースパイト)はこれ以上事態が複雑化して外交上の問題となることを危惧し、引き上げを指示した。

 

 自分達の母艦である45型駆逐艦『Darling(デアリング)』級『Dauntless(ドーントレス)』も近くまで接近して来ているが、距離的に見て既に新ロシア連邦(NRF)艦艇の装備する対艦巡航ミサイルKalibr(カリブル)の射程圏内に入っている。

 

 流石に無警告でいきなり撃ってくる事はないだろうが、万が一撃ってきたら、不規則な軌道で飛来するKalibr(カリブル)の、しかも複数艦からによる飽和攻撃に対して幾ら有力な防空艦とされる45型駆逐艦『Darling(デアリング)』級であったとしても、追跡任務での機動性を重視して単艦だけで動いていたが為に、撃ち漏らしをカバーしてもらえる僚艦がおらず、手数が足りずに押し切られるリスクが高く、撃って来ないにしても不審船扱いを受けて無用な緊張を生むことを躊躇ったのである。

 

 辛うじて戦闘能力を維持していたPola(ポーラ)と、戦闘不能となって漂流するだけとなった瀕死のZara(ザラ)を残して。

 

 もしも、この時にWarspite(ウォースパイト)達が自分達の母艦へとZara(ザラ)を連れ帰って収容していたとしたら、もしかしたら助かったかもしれないという可能性も残して。

 

 

 錯乱状態だったPola(ポーラ)からすれば、見捨てたと見えてしまったのだろう。

 

 

 地中海常設作戦部隊の捜索部隊である『Стерегущий(ステレグシュチイ)』級コルベット艦『Строгий(ストローグイ)』と21631型小型ミサイル艦『Буян(ブヤン)』М型ミサイルコルベット改装の特設艦娘母艦『Ставрополь(スタヴロポリ)』が到着し、艦娘部隊を展開した時には、既に息を引き取ったZara(ザラ)の亡骸を抱きかかえて泣き叫ぶ、傷だらけのPola(ポーラ)を発見することになった。

 

 

 そしてその現場に、当時黒海艦隊に所属していたГангут(ガングート)が居た。

 

 (ふね)に収容された後も、一向にザラ()の遺体から離れようとしないPola(ポーラ)の傍に、Гангут(ガングート)は航行中ずっと付き添っていたという。

 

 

「彼女の身柄は暫く黒海艦隊預かりとなり、姉のZara(ザラ)の遺体はセヴァストポリの軍共同墓地に埋葬された」

 

 

 そう言って目を伏せ十字を切り、Zara(ザラ)の冥福を祈るГангут(ガングート)

 

 余談だが、彼女はロシア正教会に帰依しており、Pola(ポーラ)もイタリアに居た頃は一応ローマ・カトリック教会を信望していたらしい。

 

 

 当初は地中海常設作戦部隊の拠点のある、旧ロシア連邦時代からのシリアにおける新ロシア連邦(NRF)の海外拠点、タルトゥース補給処でZara(ザラ)の葬儀と埋葬を行う予定であったが、直前にタルトゥース補給処が深海棲艦による空襲を受けたため、急遽ヘリによって近くの在シリア新ロシア連邦(NRF)航空宇宙軍フメイミム空軍基地に向かい、この基地で輸送機に乗り換えてセヴァストポリ基地に移動となった。

 

 そして略式とはいえ、葬儀を執り行ったのだが、消耗が激しく、さらには精神的外傷、所謂PTSDを発症していたことからマトモに口も聞けなくなっていたPola(ポーラ)の代わりに葬儀を執り行ったのがГангут(ガングート)であった。

 

 

 その後紆余曲折を経て、Гангут(ガングート)が太平洋艦隊司令に就任したタイミングでPola(ポーラ)も移動して来て、彼女の預かり艦娘となったという。

 

 とはいえそれはPola(ポーラ)が艦娘として転戦してきた訳ではなく、彼女はその精神的外傷から戦いに出ることが難しいと判断され、傷痍退役軍人相当の扱いとなって年金も貰える様になっていたのだが、新ロシア連邦(NRF)において殆ど身寄りの無い彼女がГангут(ガングート)を頼ったというのと、Гангут(ガングート)も彼女の事を気にかけていたこともあり、自身の預かりという形で彼女を引き取ったのである。

 

 

「あれでも当時と比べたら、酒癖だけはどうにもならなかったが、かなりマシにはなったんだが…、すまないWarspite(ウォースパイト)、私のミスだ」

 

 

 Warspite(ウォースパイト)に頭を下げ謝罪するГангут(ガングート)であるが、当のWarspite(ウォースパイト)は首を振って気にしていないと告げる。

 

 

「事の発端はイタリアを貶めるために、当時のイタリア上層部を煽り、Admiralデュゴミエを逮捕する様に仕向けて暗殺した、我が英国に原因があるのだから、彼女にとって私は二重の意味で恨みの対象よ。

 

 …私が殴られるだけで彼女の気が済むなら、安いものよ」

 

 

 そう言って微笑むWarspite(ウォースパイト)だが、その言葉に隣の部屋で軽く物音がした様な気がしたが、気にしない。

 

 Warspite(ウォースパイト)はサラッと言ったが、他国の高級将校を謀略の末に暗殺していた事実を、非公式とはいえ認めたのだ。

 

 その事実を聞かされて、心穏やかにはいられないだろう。

 

 

「そうは言うが、()()()()()()()()()()()()()()()()を我が軍に在籍していることとなっている艦娘が傷付けたとあっては、我が国と貴国とで外交問題に発展し、最悪の場合は戦争になってしまう大問題だぞ?」

 

 

 仕方が無いことだと話すWarspite(ウォースパイト)に、Гангут(ガングート)は肩を竦めながら返す。

 

 …隣の部屋が先程よりも騒がしい音がした様だが、気にしないでおく。

 

 

 それよりもГангут(ガングート)の言葉の中にあった、エジンコート朝というのが土方と真志妻に金剛、それと執務室の周りで聞き耳を立てている者達には引っ掛かった。

 

 現在の英国王朝はWindsor(ウィンザー)朝ではないのか?いやそもそも王位継承権筆頭とはどういうことか?

 

 

 そんな疑問が漂う空気の中、ああそういえばとГангут(ガングート)が察した。

 

 

「まだ公にはなっていませんが、今の英国王朝はWarspite(ウォースパイト)の姉、Queen(クィーン) Elizabeth(エリザベス)陛下が革命によって悪逆非道なWindsor(ウィンザー)朝を打倒し、新たな王朝であるAgincourt(エジンコート)朝の初代女王陛下として即位したんですよ」

 

 

 そう説明するが、その内容にWarspite(ウォースパイト)が血相を変えた。

 

 

「ちょっとГангут(ガングート)!人聞きの悪いこと言わないで!確かに怒った姉さまがVickers(ヴィッカース)Machine Gun(マシンガン)を肩に担いでBuckingham Palace(バッキンガム宮殿)に突撃した時はみんなして唖然としたけど!あれは革命でもなんでもないわ!!姉さまはただ王家に抗議したかっただけなのよ!!」

 

 

「そうなのか?北方艦隊預かりの駐在武艦Архангельск(アルハンゲリスク)からはそういった感じの内容で我が国に伝わってるぞ?」

 

 

「アルハン…?ああ、Royal(ロイヤル) Sovereign(ソブリン)のことね…。まったくあの娘は…。だから私はあの娘を武艦として派遣することに反対したのよ…。

 

 はぁ…、今度また会ったら折檻ね…」

 

 

 なんだか色々と物騒な単語が聞こえた気がするが、兎も角王朝が代わった事は確かな様である。

 

 因みにАрхангельск(アルハンゲリスク)とはイギリス戦艦艦娘であるR級戦艦R.Sの新ロシア連邦(NRF)での呼び名であり、これはかつての第二次大戦で元となった戦艦がソ連に貸与された時に付けられた艦名であり、それに倣って新ロシア連邦(NRF)へと赴任が決まった際に本人がR.Sから改名したのである。

 

 尚、そのことに関してQ.E陛下は「よろしいのではなくて?」と二つ返事で了承したという。まぁ身内には甘いのが玉にキズと言われるQ.E陛下らしいと言われているらしいが。

 

 

 だがそのQ.Eといえば王家への忠誠心がとても篤い艦娘であると聞き及んでいる。

 

 そんな彼女が、妹のWarspite(ウォースパイト)は否定しているが革命によって王朝を倒したというのが俄には信じられなかった。

 

 一体何があったのか?まさか紅茶が原因では無いと思うが…。

 

 

「事の発端は国から支給されていた紅茶の供給が減らされたのが始まりよ」

 

 

 …そのまさかであった。

 

 

「それで姉さまも機嫌が悪くなっていたのよ。あのヒトは紅茶を嗜むのも好きなお方だけど、自分の淹れた紅茶を振る舞う事に無常の喜びを感じてたから、よく姉さまの主催でティーパーティーを開いていたわ。

 

 私もだけど、みんな姉さまの淹れてくれる紅茶が大好きだったの」

 

 

「Oh!そういえば聞いたことありマース!Britishの娘の中に天才的な紅茶のMeisterがいるっテ!

 

 なんでもそのヒトはみんなが私の淹れた紅茶で楽しいティータイムのひと時を過ごして貰えるのが好きなのだと言っているらしいデスネ?私もそのヒトの心意気に感銘を受け、目標としていマース!」

 

 

 流石は日本艦隊随一の紅茶狂い()と呼ばれている金剛である。遠い異国の話題であっても、紅茶に関わることならば色々と知っている様である。

 

 

 姉を目標であると言われて、嬉しそうに微笑むWarspite(ウォースパイト)だが、直ぐ様気持ちを切り替えて続きを話し出す。

 

 

「そもそもいくらヨーロッパ最大の艦娘戦力を擁する我がイギリス海軍(ロイヤルネイビー)でも、ギリギリバレンツ海に差し掛る海域を含めた北海油田全域、大西洋の本国水域にジブラルタル海峡、そしてマルタ島を拠点とする地中海の防衛は、国力の観点から流石に無理があった」

 

 

 確かに、いくら北海油田の利権を事実上掌握したとはいえ、それ以前にイギリスの経済そのものがボロボロだったのだ。

 

 そこに来て巨額の国費を投じていたロンドン油田が大爆発して大きくコケ、犠牲者や被害者への保証やら補填やらなにやらが積み重なって文字通り国庫が火の車の債務が焦げ付いてイギリスは首が回らない状態にまで追い込まれていた。

 

 艦娘の他国へのレンタルというのも、そういった経済という世知辛い事情から来た、一種の出稼ぎに出さなければならないほど追い詰められつつあったイギリスが考えた末の、苦肉の策だったのかもしれない。

 

 …かという日本も、新ロシア連邦(NRF)の、正確には土方や霧島(キリシマ)に恩義のあるスラヴァ(ミロスラヴァ)の好意と、是が非でも彼らを欲しがっていた下心のお陰でなんとか現有戦力を維持出来ている状態なので、決して他人事であるとは言えないが。

 

 

「そのため茶葉の輸入にも差し支えが出るようになって、国はそれを受けて今まで以上に統制を厳しくしたのだけど、みんな内心では不満に思いながらも仕方無いと半ば諦めていたわ。

 

 姉さまも一応の理解を示していたけども、なかなかティーパーティーを開いてあげられなくなったから、かなりストレスが溜まっていたという中で、あの事件が起きたわ」

 

 

 紅茶を一口啜り、一拍の間を置きながら、チラリと真志妻に視線を送り続けて土方を見た。

 

 これから話す内容は、艦娘をこよなく愛する彼女にとっては間違いなく許し難いものだからだ。

 

 

 

 

「王室関係者が我が艦隊のDestroyer(駆逐艦)Corvette(コルベット)の娘達に手を出していた事が発覚したのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 

 

 

 旧式の小型巡洋艦の人工艦娘、松島の姿となった真志妻が、感情の一切が読み取れない顔となり、漏れ出た声によって場の空気が、一気に凍りついた。

 

 

 

 

*1
執務室と待機室を繋げる扉が僅かに開いているのはご愛嬌。

*2
ロシアと国境を接する東欧の某国で数年前に起きた反ロシア親EU親米路線、NATO加盟を掲げた勢力によるクーデターで親ロシア政権が転覆した事と、それに伴う軍事衝突や事実上の民族紛争。

*3
イタリアを長靴と見立てた際の靴底部分に面した海域。その北側、踵部分より上がアドリア海。

*4
イタリアの爪先にある島。

*5
ただ不可解なことに、 Cavour(カブール)の遺体は混乱の最中にいつの間にか消えていたとの証言が複数残されている。

*6
なお、この時新ロシア連邦(NRF)はこの混乱への対応を目的として、海軍地中海常設作戦部隊の増強の為に、11356M型フリゲート艦『Адмирал(アドミラル) Григорович(グリゴロヴィチ)』級を旗艦とした水上船艇部隊を黒海艦隊より抽出して派遣。

 

 また時を同じくして、北方艦隊とバルト海艦隊からも戦力を抽出し、その部隊は北方艦隊の旗艦でもある原子力ミサイル巡洋艦『Пётр(ピョートル) Великий(ヴェリーキイ)』が旗艦を務め、更には最新鋭艦『Лидер(リデル)』級原子力駆逐艦まで加えた大艦隊が出撃した。という情報が流れたが、後にこれは誤りであった事が分かり、正確には北方艦隊とバルト海艦隊に所属する艦娘の一部が増援として空路にて地中海常設作戦部隊に合流したというもので、『Пётр(ピョートル) Великий(ヴェリーキイ)』は原子力ミサイル巡洋艦のことではなく、バルト海艦隊に所属する同名のモニター艦型の前弩級戦艦艦娘を勘違いした事であり、『Лидер(リデル)』は完全な誤報だった。




狂犬(ぽいぬ)「モノホンのプリンスっぽい?」
忠犬「それを言うならプリンセスだよ」

魔狼(まろ~ん)「やばいよやばいよ~(Pola(ポーラ)が)」
アル重「(お水だけど)お酒美味しいです~」(現実逃避)


 当初の予定ではこの後の事も書き切るつもりでしたが、次の話とも被る内容でしたので、次話に譲ることと致しました。

 なお、最後の話は年始からアメリカで順次公開が始まった、エから始まる6文字の人物の事件に関する裁判文章から発覚した、以前からエ○◯○○ンとの関わりがあるのではないか?との噂のありました英国王室のとある人物が、ほぼ確実であるとの情報が出ましたので、書き足しました。それまではガチで紅茶による革命にする気でいました。


補足説明

北海油田

 1960年にイギリスが開発を開始し、続いてノルウェーも開発に乗り出した、北海にある海底油・ガス田の総称。

 イギリス、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、オランダの各経済水域にまたがるが、大半の油・ガス田はイギリスとノルウェーの経済水域の境界線付近に存在する。

 近年、一部の油田では枯渇化に新規開発が追い付かず、先行きが不安視されている。


ロンドン油田

 ロンドン郊外、ガトウィック空港近辺で発見された油田。

 推定埋蔵量は北海油田を凌ぐのではないか?とされている。

 なお、名称に関しましては筆者による仮称で、尚且つまだ開発が始まったばかりもあって詳細な情報が不足しており、本作中では事故により稼働が頓挫したことに致します。


BTCパイプライン(バクー・トビリシ・ジェイハン(Baku-Tbilisi-Ceyhan)パイプライン)

 カスピ海のアゼリ・チラグ・グネシュリ油田から地中海までを結ぶ全長1,768キロメートルの原油パイプライン。

 アゼルバイジャンの首都バクーから発し、ジョージアの首都トビリシを通り、トルコの地中海沿岸南東部に位置する港ジェイハンへ抜ける。これはドルジバパイプラインに次いで世界第2位の規模の石油パイプラインである。
Wikipediaより抜粋



地中海常設作戦部隊
(Постоянное оперативное соединение Военно-морского флота Российской Федерации в Средиземном море)

 2013年9月に北方艦隊とシリア駐留の黒海艦隊の艦艇を組み合わせて編成された。バルト海艦隊の艦艇も戦力を提供することもある。

 主な任務は地中海から中東に対するロシア海軍戦力の戦力投射を担っている。

 旧ソ連海軍では1967年の創設から1992年12月31日の活動停止まで、第5作戦戦隊が同様な任務に従事していた。
Wikipediaより一部抜粋



EU委員会の非民主的問題

 欧州委員会が執行機関であるにもかかわらず、その候補は主として加盟国政府が選出しており、これはつまり市民が直接欧州委員会の人事を拒否することができないということである。
Wikipediaより抜粋


 より詳しくはちと文章が長くなり過ぎますので、Wikipediaの『EU委員会、民主的懸念』の項目をご覧ください。


11356M型フリゲート『Адмирал(アドミラル) Григорович(グリゴロヴィチ)』級

 元は22350型フリゲート艦『Адмирал(アドミラル) Горшко́в(ゴルシコフ)』級の建造遅延に伴い、インド向けに建造した11356型『Talwar(タルワー)』級フリゲート艦の設計をベースとし、黒海艦隊向けに発展させたフリゲート艦。
 基本的に11356M型とされるが、11356R型と記載される時もあり、Rはロシアを表している。


モニター艦型前弩級戦艦Пётр(ピョートル) Великий(ヴェリーキイ)

 帝政ロシアがバルト海艦隊向けに建造した艦で、ロシア初の航洋型装甲艦の艦娘。
 
 前弩級戦艦としておりますが、建造当初はモニター艦で、次に装甲艦となり、ロシアでは戦艦を意味する艦隊装甲艦になったり、その後も練習船や潜水母艦、封鎖艦(浮き砲台)と、1869年に起工し1959年に退役するまでの間に艦種が何度も変化しています。
 

 今回完全にネタとして急遽引っ張り出したオリジナル艦娘であり、本編に絡む事はありません。同じ名前の艦や艦娘が居たら、こんな勘違いもありそうだなぁというネタ目的もありましたので。


45型駆逐艦『Dauntless(ドーントレス)

 イギリス海軍の保有するミサイル駆逐艦。

 1番艦の艦名から『Daring(デアリング)』級と呼ばれたり、姉妹艦6隻全ての艦名が“D”から始まることから、D級とも呼ばれている。

 本艦の特色として、長期の海外展開を考慮して居住性が特に配慮されているだけでなく、定員190人、最大で235人まで増員を見込んだ設計がなされており、また海兵隊員60人の乗艦が考慮され、彼らの練度維持のためのフィットネスルームが設置されている。

 上記の特色を活かして海兵隊員の代わりに艦娘部隊を乗艦させて、本国水域以外への艦娘戦力展開に活用されている。
 また本級以外にも26型フリゲート艦『Glasgow(グラスゴー)』級も艦娘展開用の母艦に用いられているが、本艦は経済の低迷による予算執行の問題から建造が遅延しており、就役数が伸び悩んでいるのがネックとなっている。


21316型小型ミサイル艦『Буян(ブヤン)』М型ミサイルコルベット改装特設艦娘母艦

 ロシア海軍小型砲艦21630型『Буян(ブヤン)』型の発展型、21631型『Буян(ブヤン)』М型コルベットを艦娘母艦として改装した艦。

 カスピ小艦隊でのテストの後、主に黒海艦隊及び地中海常設作戦部隊で試験的に運用されていたが、小型艦故の耐航性の低さと母艦能力に不満があるとして少数配備に留まっている。


 西側の大型艦娘母艦とは正反対に、小型艦を母艦として海の兵員輸送車的に運用すべく、既存のミサイルコルベットを改装した。という代物。コスト的には安いけど肝心の母艦能力は低く、必要最低限の能力しか有しておらず、継戦能力も低い。飽く迄も近海防衛用の母艦。

 なお、母艦化に伴い、一部の艦を除いて艦内容積確保のため巡航ミサイルКалибр(カリブル)のVLSは撤去されている。

 因みに、本艦に装備されているКалибр(カリブル)は対艦攻撃仕様の3M54Eではなく、米軍の使用するトマホーク巡航ミサイルの様な対地攻撃仕様の3M14TEだったりしますが、ややこしくなるためその辺りの使い分けは本編では省くことになると思います。


タルトゥース補給処

 シリアの都市タルトゥースの港の北端にある第720物的技術保障拠点( 720-й пункт материально-технического обеспечения ВМФ России)を中心としたロシア海軍の施設の通称で、1971年に締結された、当時のソビエト連邦とシリアとの合意によって設立された。

 タルトゥース海軍基地と呼ばれることもあるが、ロシアの公式使用法では、補給施設(Пункт материально-технического обеспечения、ПМТО)(海上自衛隊でいう補給処に相当)として分類し、「基地」として分類されていない。

 タルトゥースは施設の問題からフリゲート艦や駆逐艦などの現在のロシア海軍の主要艦艇を収容出来無いとされているが、限定的ながらも補給は可能とされている。
Wikipediaより抜粋


 なお、一応本作では拡張工事により施設規模が拡充されているとの設定としますが、本編にはあまり関わらない設定になると思います。


フメイミム空軍基地
Авиабаза «Хмеймим»,

 シリアのラタキア市南東にあるロシア航空宇宙軍の基地。

 2015年にロシア連邦がシリア内戦に軍事介入することが決定されたことにより、バースィル・アル=アサド国際空港の隣に建設された。
 一部施設を共有しているが、フメイミム空軍基地はロシア人スタッフのみで運用されている。
Wikipediaより一部抜粋




 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。

 …それにしても、過去最大の補足説明数になってしまったなぁ。調べてて楽しかったけど、ロンドンの油田は調べるまで知らなかったし、記事も少なめで厄介だった。
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