艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 矜持


 春雨君、改二おめでとう!!


 後書きで色々と書いていますが、人によっては不快に思われる内容かと思いますので、どうするかは各自のご判断でお願い致します。


第71話 PRIDE

 

 

 『Noblesse(ノブレス) oblige(オブリージュ)』という言葉がある。

 

 

 これは『高貴なる者の義務』という意味のフランス語である。

 

 

 主に富裕層、有名人、権力者、高学歴者が「社会の模範となるように振る舞うべきだ」という社会的責任に関して用いられる。

 

 『Noblesse(ノブレス) oblige(オブリージュ)』の核心は、貴族に自発的な“無私の行動”を促す明文化されない不文律の社会心理である。それは基本的には心理的な自負・自尊であるが、それを外形的な義務として受け止めると、社会的圧力であるとも見なされる。

 

 法的な義務ではないため、これを為さなかったことによる法律上の処罰はないが、社会的批判を受けたり、倫理や人格を問われたりすることもある。

 

 

 しかしながら近年ではその本来の“無私の行動”という趣旨から外れ、もっぱら私欲から来る政治利用や利益誘導、世論誘導という“目的”を成す為の“手段”として利用される事が多くなっており、その精神は半ば形骸化しているとの指摘がある。

 

 

 それに対して艦娘の間では、特に顕著なのは欧州各国海軍に籍を置く艦娘達はこの『Noblesse(ノブレス) oblige(オブリージュ)』が掲げる“無私の精神”を尊ぶ者が多数を占めていた。

 

 それは私欲の為に己の力を使わないのと同時に、力ある者故の“自制の精神”としての一面もあった。

 

 何故なら自分達の持つ“力”は容易に他者を傷付け、その命を奪えてしまえる程のものなのだから。

 

 故に、“力”の使い道を誤らないための戒めとして、『Noblesse(ノブレス) oblige(オブリージュ)』の精神を大切にし、遵守する様に心掛けて来た。

 

 人間達を深海棲艦の脅威から守るため。そして同胞(仲間)達のためにも。

 

 その為か、国籍は違えど欧州の艦娘達には国を超えた奇妙な連帯感の様なものが醸成されていた。特に今現在地中海で起きている事の発端となったイタリアでの動乱以降は、それがより顕著となっていた。

 

 だからこそCavour(カブール)の決起に賛同した艦娘達がイタリアだけでは無かったその背景には、そういった一面もあった。

 

 

 それは兎も角として、欧州の艦娘達は『Noblesse(ノブレス) oblige(オブリージュ)』を自分達の“ルール”、行動規範としていた。

 

 

 では他国の艦娘達はと言うと、凡そ以下の通りである。

 

 

 アメリカの艦娘達はシンプルに『正義』を、『神に宣誓した何者にも恥じない正義』をその心に掲げている。…やや独善的な所は散見されるが、それでもあからさまな欺瞞に満ちた露骨な押し付けがましい名ばかりの正義にまでは堕ちていない。

 

 

 新ロシア連邦(NRF)、近年欧州からの亡命艦娘が増えて多国籍化が進みつつあるものの、大多数を占める純粋にロシアで生まれた艦娘達に限定すると、自分達の属する『集団』を大切にし、「私達は“同胞”と“祖国”、そして“神”に仕えている」と公言しており、その多くがロシア正教の敬虔な信徒であった。*1

 

 彼女達は個で見たらだらしなくていい加減な所はあるものの、集団となると他国の艦娘達以上の強固な団結を見せて大きな力を発揮し、更には強力なリーダーシップを持つ統率者がいれば、より強大な力を効率よく発揮するという相乗効果が見られた。

 

 また彼女達は総じて逆境に強かった。兵力差の最も大きかった最初期の劣勢期、粘り強く組織的な抵抗によって劣勢を跳ね除ける事もしばしばあったらしいが、それも強固な団結力があってこそ成し得た功績であるとされている。

 

 故に彼女達は団結が齎す力を他国の軍に属するどの艦娘達よりも信奉していた為、集団としての繋がりを尊んでいた。

 

 

 では日本はと言うと、“個”よりも“集団”としての協調性を尊ぶという、面白いことにロシアの艦娘達と似た傾向にあるのだ。

 

 纏まった一つの集団である内は、これまたロシアの艦娘達と似て精強な戦闘集団となる。反面、バラバラになると途端に脆くなる。孤立してしまうと不安になって弱卒化してしまう傾向にある。

 

 これは普段に於いても言えることであり、何かしらの集団に属している事に安心感を覚え、それを保とうとする。

 

 故に、協調性に欠ける者に対して些か排他的な一面が、日本の艦娘達には散見される場合があった。

 

 

 Warspite(ウォースパイト)はそのことを危惧していた。

 

 

 ハルサメ達は確かに強い。現時点に於いて、日本軍最有力の部隊であるとの評価が、国の内外で出ている。

 

 

 彼女達は一度たりとも戦傷を負った事が無いと言われており、それが戦意高揚を目的とした誇張によるプロパガンダなどではなく、事実であることは確認済みである。

 

 

 そんな芸当が出来る艦娘など、他に聞いた例がない。

 

 

 基本的に彼女らは姉妹のみで編成された独立遊撃部隊として動く。

 

 理由として他の部隊と違い、戦線の火消し役としてヒジカタが直接指示を出し、即時対応可能な即応部隊としての運用を意図したものとされているが、それは建前で他の部隊と足並みを揃える事が難しいというのが本当の理由である。

 

 それは部隊の指揮を執るハルサメの持つ最早“直感”とすら称される程の判断能力の早さと、それを一切疑わない姉妹達による迅速で一糸乱れぬ完璧に統率された部隊の戦闘機動に、他の部隊では追随することがほぼ不能なのだ。

 

 彼女には戦線の綻びが“()()()()()”かの様な、ヒジカタから寄せられる数多の情報を瞬時に精査し、即断即決で行動に移すそのレスポンスの速さ、しかもそれが悉く的確で、劣勢に追い込まれつつある状況の味方の場所へとピンポイントへと駆け付けて戦況を引っ繰り返しており、最早“勘”や“直感”の類いでなければその判断の早さの説明がつかないと評されていた。

 

 しかしそれによって助けられた部隊は枚挙に暇がない。そして彼女達が参加した戦いの全てに於いて、一度たりとも戦線が崩壊したことが無いとのこと。

 

 

 更には、そんな火消し役として戦線のあちこちを走り回っておきながら、時にはそのまま敵攻撃部隊中枢へと直接殴り込んで痛撃を喰らわせて撤退へと追い込み、それでいて自分達は無傷で帰って来るなどという、最早バケモノ染みた成果を挙げているという。

 

 

 正に日本の、いや世界を見渡しても最有力の部隊と言えるだけの実績を、彼女達は挙げてきた。

 

 

 だが、それ故に味方から──本人達からしたら不本意かもしれないが──畏怖される存在となっていた。

 

 

 その強さ故に、他の部隊の艦娘達から自分達とは違う何か異質な存在として見られてしまう様になっていた。

 

 

 普段から付き合いのあるコマツシマや、その近隣エリアに存在する部隊、それと作戦担当海域に展開する外洋防衛総隊所属の特設母艦隊は別だが、それ以外の交流の薄い部隊では顕著だった。

 

 確かにコマツシマは他の日本海軍の基地とは違い、ヒジカタの方針もあって他部隊との交流を持つ機会が多いとは言え、日本海軍に所属する全ての艦娘と交流することは流石に無理がある。

 

 

 それによってハルサメ達の実体と違う、虚像と化したハルサメ達の“像”が出来上がってしまっていた。

 

 

 その中にはハルサメ達が激戦区を好む好戦的な艦娘達の様に見えてしまっているものもあった。

 

 

 だがそれと同時に、それ程までの力量があるのならば何故もっとハルサメ達を前線に、泥沼と化しているオキナワ戦線へと投入しないのか?との疑問が次第に出て来る様になっていた。

 

 彼女達ならば、オキナワの苦しい戦況を打開出来るのでは?戦線を押し返す事も不可能ではないのでは?

 

 

 厄介なことに、そう考えている者は、かなりの数に登っていた。

 

 それは矢張り各部隊から抽出されて派遣されていたオキナワ帰りの艦娘達や軍人が語る、現地の厳しく苦しい戦況からそういった考えが出てしまう様だ。*2

 

 

 だが如何に強力とはいえ、たかが一部隊に過ぎないために万が一に際しての変えが効かない。

 

 そのためオキナワ方面に転戦させる訳にはいかないし、何よりも彼女達は本土防衛の要石だ。彼女達によって太平洋、マリアナ方面から来航して来る深海棲艦の侵攻部隊に対する抑えとなっていた。

 

 それは今までの実績からも明らかであり、彼女達がいなければ防衛ラインを突破した敵部隊によって本土が直接攻撃を受けていたかもしれない事例は一度や二度ではない。

 

 それは一歩間違うと日本軍にとって最大のトラウマであるAL/MI作戦での大失態、主要な艦隊戦力の大半がミッドウェー及びアリューシャンへと誘引された隙を突かれ、深海棲艦の艦隊によって首都東京が直接攻撃を受けて壊滅した悪夢の再来となっていた可能性があった。

 

 

 この事からマシツマも下手に彼女達を動かす訳にはいかないと説明している。それに何よりも下手すると我が身可愛さに政府が変に介入して来る危険性が有り得た。

 

 政府による軍への口出しそのものは、軍事行動が政治の延長線上であるとする、所謂クラウゼヴィッツの提唱した『戦争論』の考えから、まぁ理解出来無くもないが、口出しが過ぎると現場に無用な混乱をきたす。

 

 事実政府の無闇な介入によって日本軍は今までの作戦に於いて無理難題を背負い込まされる事となり、本来ならば出るはずの無かった大きな損失や消耗を被ることとなり、特にその犠牲となったのが最前線で戦っている艦娘達だった。

 

 それは軍上層部がシビリアンコントロールを重視し過ぎるあまり、そして自身の立身出世や地位に対する保身の考えから、政府と波風を立てることに消極的だった事も無関係では無い。

 

 その後、AL/MI作戦での敗戦、首都東京壊滅による人事の刷新によって当時少将だったマシツマが大将へと特別昇進し、艦娘部隊の責任者である“総提督(General Admiral)”に就任して以降、本来ならばお飾りにするつもりが就任直後より政府の口出しに物凄く反発し、ガンガン反論したものだから怯んでその頻度は下がったものの、それでも事あるごとに口出ししようとして来るため、マシツマの頭痛の種となっていた。

 

 

 とはいえ政府の介入に対して艦娘達も相当恨みを募らせており、介入の口実を与えるマネだけはやりたくない。あの頃の様な苦難に満ちた日々に戻るのはもう嫌だし、政府に反抗してくれる真志妻(上官)に負担を掛けるのも嫌だ。

 

 

 だがしかしである。だからといってこのままだとオキナワ戦線の問題は一向に片付かない。

 

 維持するにせよ放棄するにせよ、一度オキナワ周辺の敵艦隊を徹底的に叩いて一時的にでも制海権と航空優勢を確保しない事には、どうにもならない。

 

 …艦娘達の本心としては放棄撤退だろう。オキナワを維持するには今の日本にはあまりにも兵站線が長過ぎて負担が大きく、それもあってとてもか細い。

 

 だが仮令主力艦隊を繰り出しての艦隊決戦を挑もうにも、今までのパターンからして深海棲艦はのらりくらりと躱しながら、逃げの一手で支配領域であるフィリピンへと一時的に後退し、潜水艦隊による襲撃を繰り返して主力艦隊に出血を強いながら、引き上げるタイミングを見計らって逆襲して来るだろう。

 

 それに時間を掛け過ぎるとマリアナ方面の深海棲艦から横合や後方を突かれて挟み撃ちにされたり、本土を危険に晒すリスクが高くなる。

 

 

 決戦を仕掛けるならば、短期決戦でなくてはならなくなる。

 

 

 その為、敵主力に対してハルサメ達が強襲を敢行。一撃離脱と援護の空母機動部隊との共同で引っ掻き回して撹乱し、足止めしている隙に主力艦隊が急進急迫して決戦を挑む。

 

 

 兎も角時間との勝負になるため、主力艦隊も可能な限り速度を優先した高速部隊での編成で挑むことになり、打撃力に多少の不安が残るが、作戦の骨子が敵戦力の殲滅や撃滅などではなく、飽く迄も一時的な撃退によるものであり、仮令取り逃がしたとしても、この戦闘によって少なからずダメージを負わすことによって、直ぐ様逆襲に転じて来る可能性を減らす事を目的としている。

 

 つまりオキナワ周辺から深海棲艦を蹴り飛ばしてすっ転ばせて起き上がるまでの時間を稼ぐのである。

 

 そして起き上がって反撃して来る前に、オキナワから兵力を引き揚げて蛻の殻にしてしまう。

 

 今現在オキナワには本土への強制疎開もあって島民はおらず、軍隊のみが駐留しているだけであるため、撤収はスムーズに行くはずだ。

 

 また作戦の都合上、速度の面から連れていけない戦力が本土にそれなりに残留するため、万が一の迎撃戦力として期待出来る。

 

 この様な趣旨の上申が何度もマシツマへと届けられていた。

 

 

 しかしその度にマシツマは投機的に過ぎるとして退けており、またハルサメの直属上官たるヒジカタも、相手を見ずこちらの都合ばかりを詰め込み過ぎており、計画として杜撰過ぎるとして以下の様に指摘していた。

 

 

 作戦海域まで移動する為の母艦を始めとした水上艦隊に関することが抜けていた。

 

 幾ら艦娘といえど、日本本土からオキナワまで単独で移動するのは、まぁ一部を除いて普通に出来ちゃう事のだが。

 

 但しそれは疲労、戦闘による負傷や消耗、艤装の故障や不具合などの各種アクシデントを一切考慮しない、カタログスペックのみを見た場合と、そのカタログスペックを十全に引き出せるだけの、ベテラン組の中でも極一部の上澄みくらいしか出来ないといった理由から、原則として許可された精鋭部隊以外では禁じられている。

 

 ハルサメ達は無論その精鋭であるが、主力艦隊に選抜される艦娘達は全員が精鋭であるとは限らない。

 

 その為移動手段として水上艦艇は必須である。それに消耗は少ないことに越したことはない。しかし、同時に水上艦艇はそのサイズから艦娘と比較して早期警戒網に発見されやすくなる。艦隊規模で動くとなると尚更である。

 

 ヒジカタの読みでは、かつての戦艦大和による水上特攻の様に出撃直後から捕捉され、この時点から警戒されて動向をつぶさに監視されたとしたら、速攻による短期決戦という前提条件が初めから崩れ去ってしまう。

 

 それに敵主力が一つに纏まっているならまだしも、分散している可能性だってあるし、主力以外の戦力だって多数配置されている。

 

 それら全てを避ける、若しくは強行突破するのはまず無理だ。

 

 ハルサメ達以前に、水上艦隊そのものが磨り潰されて作戦は瓦解する。

 

 

 これら以外にも幾つもの問題点や課題を挙げて、実現性が低いと告げた。

 

 

 そして最終的にトドメを刺したのは、ハルサメだった。

 

 

 この一件を耳にしたハルサメが、「限界を超えています!こんな無茶苦茶な!みんなを無闇に危険に晒すだけで、とても承服出来ません!!」と声を荒らげて激怒したという。

 

 普段温厚で大人しく、控え目で物静かとされる彼女が声を荒らげて怒りを露わにしたことに周り──姉妹を除く──は騒然となった。

 

 確かに、幾ら数多くの戦歴を残しているとはいえ、この案を実際の作戦として実行に移した際に掛かる彼女達の負担やリスクは計り知れないのだが、その事に関しての考慮が一切されていなかった。

 

 

 ここまで来ると、流石にこの一件はかなり下火となった。

 

 同時に今の日本と自分達の限界も、改めて突き付ける結果となった。

 

 

 

 

 だがハルサメ達の実力が、実は隠されていたとするならば、どうなる?

 

 

 

 限界を超えている。確かにハルサメはそう言って突っ撥ねた。

 

 それが嘘偽りだったとしたら、どう思われるか?

 

 

 どんな理由や事情があるにせよ、あまり良い感情は抱かれないだろう。

 

 

 

 意図的に手を抜いていた。みなが必死で戦っているというのに、彼女は、彼女の姉妹達はそんな中で力を出し惜しみしていた。

 

 

 それは裏切りに近い行為ではないのか───。

 

 

 

 

 

「その判断を下したのは、私よWarspite(ウォースパイト)

 

 

 私が春雨(ハルサメ)と、彼女の妹達の“矜持”を()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 全ての責任は、私こと海軍大将、“総提督”真志妻亜麻美にあるわ」

 

 

───────

 

 

 春雨(ハルサメ)は、本当に優しい娘だ。いや、彼女だけではない。彼女の妹達も、クセは強いもののみんな優しくて良い娘達ばかりだ。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 彼女は以前に私にこう言った。

 

 

「私は、私達の本質は()()()なんです」

 

 

 彼女達の建造経緯は土方さんから聞いている。波動砲艦隊(決戦主力打撃艦隊)に群がる有象無象の妨害を打ち払い守護するため、“直掩”の名称がわざわざ冠された小型重武装高機動戦闘艦。

 

 

 それが春雨(ハルサメ)型直掩護衛駆逐艦だ。

 

 

 小型の船体にこれでもかと各種武装を詰め込んだ、なんだかシンパシーすら覚える艨艟の娘達。

 

 彼女達はその中でも主力艦隊を纏め上げるアンドロメダ(旗艦)の直掩を拝命されていた。

 

 それは彼女達が他の護衛隊群よりも精強な部隊であると艦隊司令部から認められ、期待されている証左でもあった。

 

 

 だが、その期待に応える事が出来なかった、本懐を遂げる事が出来なかった、何一つ守り切れなかったと嘆く、悲しい娘達。

 

 

 あの日、あの時、アンドロメダ(旗艦)の呼び掛けに応じて、助けに行く事が出来る位置に居た。直ぐ様行動に移していたら、充分に間に合っていた。

 

 

 

 だけど、動けなかった。

 

 

 

 この時に配属されていた守備艦隊が、戦線の再構築の為に一時後退した際の、指揮系統の混乱が初動を致命的に遅らせてしまった。

 

 

 独断専行を決断出来ていたならば、あの悲痛な、遺されたアンドロメダ(旗艦)の姉妹艦達の、特に絹を引き裂いた様な声で泣き叫ぶアルデバラン(臨時旗艦)の嘆きの声を聞くことは無かった。

 

 

 遅ればせながら駆け付けた時には既に、全てが終わった後だった。

 

 

 その最期すら、直に見届けることが出来なかった。

 

 

 誰も責めなかった。責めてくれなかった事が、余計に辛かった。「貴女達に、責はありません」と語るアルデバラン(臨時旗艦)の気丈に振る舞う姿が、それでも隠すことの出来ない涙で赤く腫れ上がっていた瞳が、あまりにも痛々しくて心を締め付けられた。

 

 

 自身の存在意義すら果たせず、その後に生起した地球(本土)近海での戦闘に於いて、大乱戦の末に孤立した状態の戦場で全員が戦死(戦没)した。

 

 

 この事が、長姉春雨(ハルサメ)には強いトラウマとなって心に大きな影を落としていた。

 

 

 

 何よりも、最愛の海風()すら、守ることが出来なかった。

 

 

 目の前で死んでいく(沈んでいく)海風()を、ただ見ているだけしか出来なかった。

 

 

 それが何一つ守り切れなかったとする、彼女の悔恨に満ちた生涯の、最も辛い記憶の部分だ。

 

 

 だからこそ“守る”という事に関して、今度こそという強迫観念に似た強い拘りがあった。

 

 

 全てを守るなどと言う大それた事は言わない。だけど自らの手の届く範囲、意見を出せる範囲であれば積極的に動いた。

 

 彼女は後悔するなら動かず後悔するよりも動いて後悔したかった。

 

 

 

 それに待ったを掛けたのが、私だ。

 

 

 

 彼女の意思を尊重してあげたかった。その意志が彼女にとっては譲れない謂わば“矜持”である事も理解している。

 

 

 だが、だからこそ待ったを掛けた。

 

 

 

 このままだと彼女は、彼女達は使い潰されて()()()()()()()()()()()()。その確信が私にはあった。

 

 

 

 使い潰されるは文字通りの意味だ。艦娘達が登場した最初期がそうだった様に、無理な作戦を強要されて潰れた艦娘が少なく無かった。

 

 無論それには運用法が確立されていなかった、戦力が充分に揃えるだけの時間的余裕の問題なども勿論あったが、それらがある程度解決された後でも戦果の挙げる事が優先された結果の、無理な攻勢を繰り返して戦線を押し上げ続けた事で艦娘達への負担が幾何級数的に増大し、過労で倒れる艦娘が相次ぎ戦死や戦闘中行方不明等──戦闘による死亡、行方不明だけでなくPola(ポーラ)の様に戦えなくなって除籍扱いとなった艦娘──の損耗率が最も酷い時期でもあった。

 

 

 そして戦闘中行方不明扱いとなったはずの艦娘や戦えなくなって除籍扱いとなった艦娘が秘密裏に、私が作り変えられた()()研究施設へと送られて実験材料の素材にされた。

 

 

 歴史は繰り返すという言葉があるが、この過ちが繰り返される恐れがあった。

 

 彼女達は強力な“力”を持つが故に、上層部の莫迦共が勝手に自分達への脅威と捉えて思い込み、徹底的に使い潰そうとする。使い潰した後はその“力”を解明して既存の艦娘に応用出来ないか確かめようとするだろう。

 

 

 そしてこの懸念はイタリアでの惨劇によって半ば証明された。 Cavour(カブール)に素材として組み込まれたのが深海棲艦の姫級であるとの事だが、大筋では変わらない。

 

 

 だがその事は当初彼女達には語れなかった。私はこの時に恐れていた。もし全てを赤裸々に語った事で彼女達が私の様に人間に失望したとして、その後の行動が予測出来無かった。

 

 

 語らなかったからこそ、彼女達は大きく反発した。間を取り持ってくれた土方さんや彼女達よりも先に顕現していた霧島(キリシマ)さんには、本当に迷惑をかけてしまった。

 

 2人には私の秘密を既に知ってもらっていたからこそ、事前に相談を持ちかけて話し合った。

 

 

 その結果出た折衷案が、艤装の偽装である。

 

 

 少しでも彼女達を目立たせる訳にはいかなかった。上層部の莫迦共が注目する事態を避けなければならなかった。

 

 

 彼女達には本当に苦労を掛けた。思う様に動けない事で忸怩たる思いをさせてしまっていた事に申し訳なく思っている。

 

 優しい彼女には途轍も無い苦痛だっただろう。

 

 本来の艤装ならば出来る事、出来た事が悉く出来なくされてしまったのだから、助けられたものが助けられなかった。その事で私は彼女から相当恨みを買っているという自覚がある。

 

 

 それでも、そんな中でも彼女は出来る範囲で頑張ってくれた。本当に頭が下がる思いだ。

 

 

 彼女が語った「限界を超えている」「みんなを無闇に危険に晒す」というのは、彼女や彼女の妹達の事だけでなく、作戦を共にする他部隊の艦娘達の事も指していた。

 

 彼女の頭には他部隊の艦娘達に関する戦歴などの記録やおおよそのデータが入っている。

 

 だからこそ大体の限界が掴めていた。危機に陥りつつある部隊にピンポイントで救援に駆け付けれていたのも、彼女がその膨大な記録やデータを地道に覚えた事で、今の装備でも効率的に先読みして動けば、遊撃戦力として自由に動ける裁量権と行動権があるならばなんとかなると判断し、直接殴り込むのはこのままだといずれ対処が追い付かずに押し込まれると判断した時にのみ、動いていた。

 

 そしてそれは本来とは違う艤装を使っていることによる弊害、連続稼働可能時間が短いこと、燃料ではなく、艤装そのものの内部機構などの耐久性が彼女達のスペックに追随出来ずに破損し、物理的に稼働不能となる問題もあった。

 

 

 だから彼女は猛烈に反対したのだ。

 

 

 彼女の分析では海軍の能力を超えていた。一時的に沖縄周辺海域から深海棲艦を追い出せたとしても、その代償として大きく消耗する。艦娘も、水上艦隊も。

 

 

 それを回復するだけの余力は、既にこの国には無いことも理解していた。

 

 

 この頃の彼女はただ優しいだけでは無くなっていた。だがその優しさを貫く為に、誰よりも勤勉だった。…いや、元々彼女は勤勉だったのだろう。

 

 ただ優しいだけでは誰も救えないし守れない。その厳しい現実に目を向けながら、彼女はその現実に必死に抗った。

 

 

 私は彼女を尊敬している。

 

 

 そんな彼女と、その妹達が守りたかったアンドロメダという娘に興味が尽きなかった。

 

 

 …話が逸れた。

 

 

 いずれにせよ、彼女達の事もいずれみんなにも話さなければならないだろう。その際にもし彼女達が責められると言うのならば、それはその決定を下した私の責任である。

 

 

 彼女達は積極的だったのを私が止めた。

 

 場合によっては、いや、どの道にせよ自身の素性を見せるつもりだ。

 

 

 彼女達を、私の様にモルモットにしても良かったの?と。

 

 

 うん?アンドロメダとはどなたか?

 

 

 …ああ、そう言えばその事も説明しなければなりませんね。

 

 

───────

 

 

 

 ここで初めて日本、アメリカ、新ロシア連邦(NRF)に次いでイギリスがアンドロメダの事を知ることとなった訳だが、その一人目となったWarspite(ウォースパイト)は軽く吐き気と腹部に痛みを覚え、本当に胃潰瘍になったのではないかと思った。

 

 

 その原因は、次の春雨(ハルサメ)が語った内容が大きく関わっている。

 

 

 

───────

 

 

「ふふっ。あのヒトは本当に優しくて、不思議なヒトです。しっかりしている様でどこか抜けていて、放ってはおけないと思わせてしまう。

 

 守ってあげたい。自然とそう思ってしまう様な、護衛艦冥利に尽きるヒトなんです」

 

 

「でも今は専属の護衛艦が付いている様なものですから、少し残念です。はい。

 

 あんなに仲睦まじく、本当の姉妹の様に仲良しでお互いがお互いを必要とし求め合っている。ああ、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 …?どうしましたWarspite(ウォースパイト)さん。そんなアングリと大きくお口を開けられまして?」

 

 

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 この直後に、Warspite(ウォースパイト)は腹部を押さえながら座っていたソファに崩れ落ちる様にして倒れた。

 

 

「大変だ!Warspite(ウォースパイト)さンが失神した!?」

 

 

「え、衛生(へ~い)!!」

 

 

 …なんとも言えないグダグダな感じになってしまった。

 

 尚、その後の検査によるとWarspite(ウォースパイト)は胃潰瘍にはなっておらず、精神的なキャパシティーがオーバーしたことによって一時的に気絶しただけであった。

 

 まぁ精神的な過労と言うやつである。

 

 

 

*1
補足すると、アメリカ艦娘達は基本的にプロテスタント系のキリスト教徒が圧倒的多数派で、欧州艦娘はカトリックもいればプロテスタント、一部に東方教会もいるが、総じてキリスト教徒がその多くを占めている。

*2
最近になってかなり落ち着いて来ているものの、矢張り最近ということもあって大半の認識は変化していない。





 …最後ホントにグダグダになってしまった。

 各国艦娘達の信奉に関しましては私の勝手なイメージです。ただロシア艦娘に関しましては以前にアンケートなどでもご紹介致しましたモスクワ経済大学のセルゲイ・カラガノフ教授のロシア人とはどの様な民族か?という評論を参考に致しました。


 私は春雨君が好きだ。数多の駆逐艦娘がいてそれぞれに良い所があって好きな娘はいるが、それでも春雨君が好きである。その相方に海風君としたのは、ある方の作品の影響を受けての事ではありますが。


 次から一旦場所がアンドロメダへとバトンタッチ致します。


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補足説明

ノブリス・オブリージュ、補足

 その言葉自体は1808年にフランス貴族のピエール=マルク=ガストン・ド・レヴィの記述「noblesse oblige」を発端とし、1836年のオノレ・ド・バルザック『谷間の百合』にてそれを引用することで広く知れ渡ることになった。

 英語では、ファニー・ケンブルが、1837年の手紙に「……確かに、『貴族が義務を負う(noblesse oblige)』のならば、王族は(それに比して)より多くの義務を負わねばならない。」と書いたのが最初である。
Wikipediaより抜粋



主力艦隊

 何らかの大作戦が発動される際に、各鎮守府及び警備府といった基地に配属されている艦娘の中から、精鋭部隊や作戦に応じた適任部隊を集めて編成される合同部隊。

 真志妻大将就任以前は各基地がそれぞれ指揮を執る形だった為に、指揮系統が煩雑化し命令変更や不測の事態などの急な状況変化に際しての即応性に問題があったのを、艦娘達からの意見具申を聞き入れて一本化したものである。

 その責任者は真志妻大将であるが、実際に部隊を指揮する者は作戦の内容に合わせてその都度適任者を選定することとなっている。

 主力艦隊が編成されたのは過去一度だけであり、それは沖縄戦線での敵艦隊殲滅作戦の時で、この時は現在士官学校の校長を務めている前佐世保鎮守府司令井上(いのうえ)隆義(たかよし)中将であった。

 なお、名称であるが当初は連合艦隊とする案もあったが、連合艦隊だと鎮守府艦隊が編成可能な最大編成の名称として既に使用されていた為、報告書などの公式文章に記録を記す際に於いて問題が発生するとして却下され、大艦隊や統合艦隊に合同艦隊、任務部隊(タスク・フォース)などの候補の中から最終的な選ばれたのが主力艦隊だった。(真志妻大将が適当にあみだくじやくじ引きで選んだという噂もあるが。真偽は不明である)


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 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想をよろしくお願いいたします。



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 本作にてロシアを取り扱っている事から、本来ならば前回の投稿にて書く予定でしたが、前回の時点では情報が錯綜していたタイミングで、またどうしても拭えない違和感もあり、情報収集を優先して今回の投稿にて書く事にしました。


 去る3月22日、モスクワクロッカスシティーホールにて発生致しました、銃乱射テロによって負傷された方々へ一日も早いご回復を祈り、また犠牲になられました方々に対し、ご冥福をお祈りいたします。



 私が今回のテロで何故違和感を覚えたかと言いますと、実行犯がISISという報道に「妙だ…」と感じたからです。

 ISIS、つまりイスラム過激派であるならば、何故今年の3月10日から4月8日の期間に行われる()()()()()()()()()()()()()

 ラマダンとは断食だけでなく喧嘩や悪口や()()などの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことにより、自身を清めてイスラム教の信仰心を強める。とされています。

 過激派とはいえイスラム教を信奉しているのならば、イスラム教にとって重要な行事であるラマダンを無視するのか?という疑問が真っ先に頭を過ぎりました。
 また実行犯が()()()()というのも正直「?」という反応しか出ませんでした。
 基本的にISISのテロは逃走よりも被害の拡大を優先する傾向にあり、自爆を選択する事もあります。
 しかし今回の実行犯は逃走を図った。しかも一目散に。
 補足しますが、メディアは盛んにベラルーシへと向けて逃亡していたと報道していますが、現地在住の日本人の方曰く、事件の起きたクロッカスシティーホールは幹線道路と面しており───

 …文章化していたら長くなりそうでしたので、参考にしたYouTubeのURLを貼り付けておきます。

 

  https://youtube.com/watch?v=XtZWlHEKWW8&si=_bDRJLIAxJLVZxBe


 ロシアモスクワ在住27年の日本人によるYouTubeチャンネル『ニキータ伝〜ロシアの手ほどき』、2024年4月6日投稿の内容です。約22分の動画中のおおよそ7分から11分辺の間の所になります。



 これらの疑問により、私は今回のテロが報道で言っているようなISISによるものというのに違和感を覚えました。
 確かにISIS系と称するグループがテロ後に声明を出していますが、ISISと関係の無いテロでも売名目的で自分達の成果だと主張するケースが、自称のグループも含めて以前から何度もありましたので、声明が出たからと言ってISISが犯人であるとの信憑性の担保とはなりません。
 それに自称ISISがあちこちに乱立した影響で、裏取りがしにくくなっているのも厄介です。

 現在、捕縛された実行犯は主に金銭目的の雇われだった事が明らかとなりましたが、その資金の出所が本当にISISなのか?はたまたロシアが主張されている通りなのか?の真相が分かるとは思いますが、ここで一つ、そもそもISISのルーツはイラク戦争で今までサダム・フセインと共にイラクを統治していたスンニ派(スンナ派)の人々が、敗戦後に国内で多数派だったシーア派やその他からの今までの報復を受けた事に際して、米国から自衛の為にと武器と資金を提供された事がルーツとしてある為、何かしらの“パイプ”が残っている可能性はゼロとは言い切れません。
 てかムジャヒディンとかアルカイダとかの前科もありますし…。


 私は今回のテロを調べている中で、ある人物の発言に注目しました。過日退任(或いは失脚)した米国務次官補、名前を出すと規約違反の恐れがありますので、ある人の言葉を借りて“破壊神”(行く先々で大量の血が流れる事件が起きていることから)と仮称致しますが、あの“破壊神”が3月初頭にキエフへと訪問した際に以下のコメントを発しています。(そのままではなく、要点のみをピックアップして要約しています。)

「ロシア大統領への“()()()()()”が起きる」

「宇国は今後、“()()()()()”へとシフトする」

 この事から、私はある“事件”を思い出さずにはいられませんでした。それはノルドストリーム爆破事件です。

 事件前、現職米大統領はノルドストリームの破壊をほのめかす文字通り爆弾発言を記者会見で突然喋り出し、記者達を騒然とさせました。その後、ノルドストリームの爆破事件が起きました。

 犯罪者は時に自らの犯行を誇示しようとするという。それに似た心理的な発露だったのではないか?


 去年の宇軍による無謀な反撃(正直宇軍の状態はルントシュテット攻勢、所謂バルジの戦いでのドイツ軍よりも悲惨とする指摘が当時から既に出ていました。特に兵士は早期練成による促成栽培型の(にわか)兵。兵站も攻勢前から支援の不統一性、装備が西側東側混在、使用弾薬も燃料も雑多で滅茶苦茶。勢いがある内はまだしも、一度でも停滞したら大混乱必須な兵站──で崩壊。…これでどうやって戦えと?)が頓挫する前後からハリコフからベルゴロド州に対する宇軍の多連装ロケット砲や長距離砲による無差別攻撃が激化しており、また小部隊が越境して村落を襲撃するなどといった、明らかに非対称戦争を意識した動きが見て取れました。

 更には先のロシア大統領選挙中もその動きを活発化させ、ソーシャルメディアを通じての情報撹乱も見られました。

 今回の事件は、これら一連の非対称戦争を目的とした計画の延長線上に位置した事件だったのではないか?私はそんな気がしてなりません。


 現在ロシア航空宇宙軍はハリコフを中心に各地の発電所や変電所などといったインフラ設備や軍需工場、軍施設に対して大規模な航空攻撃並びにドローンや巡航ミサイルによる猛攻撃を加えていますが、ハリコフ及びオデッサ周辺といった東部を勢力圏として組み込み、宇軍によるベルゴロド州などへの攻撃を防ぐ為の緩衝地帯とすべく動き出していると見受けられます。
 ロシア軍の巡航ミサイルによる攻撃を受けたエネルギー会社の社長が取材を受けた際に、「ロシアのミサイルは精度が飛躍的に向上している。以前(開戦時)は100メートルだったのが、今や数メートルに収まって来ている」とのコメントを出していました。

 そしてロシア陸軍は徐々に、ですが着実に防衛線を突破してその占領地域を増やして行っています。


 ロシアは当初追米マスコミや自称専門家や拝米保守派連中が言っていたような弱体化するどころか、寧ろ力をつけてきています。逆に彼らが崇拝信仰する西側はどうでしょう?


 最後に、本を一冊紹介させて下さい。


 シカゴ在住の日本人実業家、空手道師範代、アメリカからの視点から日本メディアでは報じられない“本当のアメリカの姿”をYouTubeで配信されている山中泉(やまなか せん)著──


『アメリカと共に沈む日本』

〇目次
序章 2024年、世界激変の年の読み方
第1章 崩壊が進むアメリカ―バイデン政権下で起きていること
第2章 ウクライナは「明日の日本」―他国に国防を頼る亡国の姿
第3章 崩壊が進む日本―押し寄せるグローバリズムの波
第4章 日本を崩壊から救え―アメリカの外交失敗の歴史と日本のとるべきスタンス
番外編 私が国際交流から得たもの

 定価1,980円


 是非とも御一読してみてください。私が常に懸念していること、恐れている事の凡その事がこの本に書かれていました。



「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。
夏目漱石著『三四郎』より



 それはそうと何の気無しに半藤一利監修原作の『聯合艦隊司令長官山本五十六』を見ながら書いていた為か、無性に水まんじゅうが食いたい。

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