艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

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 パンとサーカスを。

 古代ローマ時代の風刺詩人、Decimus(デキムス) Junius(ユニウス) Juvenalis(ユウェナリス)より。


 一応の注意書き。

 注釈『*3』と後書きの冒頭は一定の界隈の人達の血圧が急上昇する様な事を書いてますが、煽る魂胆は一切無いことを先にお伝えしておきます。
 


第84話 panem et circenses.

 

 

 旧ロシア連邦にとって先の東欧紛争は徹頭徹尾、不本意極まりない戦争だった。

 

 地球各地で頻発した火山噴火の噴煙が引き起こした地球寒冷化による被害は、旧ロシア連邦でも大きな問題となっており、特に天然ガスなどのエネルギー資源を始めとする豊富な地下資源の輸出以外で有力な外貨獲得手段の一つでもあった、農作物などの第一次産業に大きな被害が出た事で対応に追われたが、輸出用食糧を国内向けに回した事で()()()()なんとか食糧不足に見舞われることなく、また寒冷化による世界的なエネルギー需要の急激な増大に伴うエネルギー価格の高騰と、エネルギー資源の輸出拡大により、経済面でもなんとか乗り切った。

 

 それでいて対立する西側諸国はパンデミック期に使用された薬害の後遺症を引き摺っていたこともあって、経済は疲弊し財政状況も悪化の一途を辿っている状態であったため、対応が後手後手に回って打ち出される対策も二転三転の右往左往と混乱状態に陥っていた。また長年に渡る環境配慮政策の弊害もあってエネルギーも食糧も不足し、民衆は二転三転する政治の混乱に振り回されて政府に対する不信と不満は破裂寸前まで高まっていた。

 

 

 こういった国内の混乱や民衆の不満を抑えきれない時、政府などの権力者達は問題の本質から民衆の目を逸らす目的で何らかの“敵”を作り出す傾向にある。

 

 

 これは古来より使い古された在り来りな、所謂陳腐な策略ではあるが、それは詰まる所いつの時代でもある程度安定した一定の効果が見込めるからこそ、現代に至るまで権力者達によって使い続けられている謀略なのである。

 

 

 嘗て古代ローマ時代の風刺詩人であるDecimus(デキムス) Junius(ユニウス) Juvenalis(ユウェナリス)は当時の世相を批判して揶揄した「panem et circenses(パンとサーカスを)」という言葉を残したが、いつの時代も民衆とは支配者によって与えられるパンとサーカスによって都合良く踊らされるものだ。

 

 

 パン、詰まり食糧とは、ロシア連邦の持つ肥沃な穀倉地帯。そしてサーカスとは、ロシアとの“戦争”である。

 

 

 ロシア連邦を“敵”として仕立て上げ、戦争によってロシア連邦の持つ穀倉地帯とエネルギー資源を奪い取る。

 

 画餅としか言い様がない話だが、ヨーロッパを牛耳るEU委員会とEU主要国である西欧諸国は本気だった。

 

 

 ロシア連邦と隣接する東欧各国を焚き付け、挑発行為を繰り返してロシア連邦による先制攻撃を誘発させようと企んだ。

 

 

 当のロシア連邦は初めからその狙いを正確に掴んでいたし、一応国内は安定しているとは言え、それでも問題がゼロという訳ではなく、その解決に注力したいとの考えからEUの企みは迷惑極まりない話なので、外交交渉による打開と解決に尽力していたが、その行動をEUサイドからは「ロシア政府は弱腰である」と解釈され、交渉は平行線のまま挑発行為が次第にエスカレートして行った。

 

 

 それでもロシアは粘り強く交渉を重ねたが、流石にロシア系住民やロシア語話者を狙った組織的なテロ攻撃が同時多発的に起き、それを碌な証拠を提示することもせずEU委員会やEUの多くの国々は「ロシアに支援された民族主義者の過激な極右団体による自作自演」として断じて非難し、被害者であるはずのロシア系住民やロシア語話者をまるで見せ付けるかのように抑圧・弾圧に乗り出したとなると、ロシアは国内世論だけでなく政権内の閣僚もEUと政府の姿勢に黙ってはいなかった。

 

 さらには東欧の友邦国ベラルーシで反政府勢力を自称する、有り得ない程に組織化され不自然な程に潤沢な資金と豊富な武器弾薬を有した複数の武装勢力が示し合わせたかの様に一斉に蜂起し、これに対しベラルーシ政府は国家非常事態宣言の発令と共に武装勢力の鎮圧の為に治安当局と国軍に出動命令を出した。

 

 同時期、ロシアが黒海に面した東欧の一角に持つ飛び地、黒海方面に於ける海軍の重要な軍港でありБалтийский флот(バルト海艦隊)の司令部を有するКалининградская область(カリーニングラード州)で同時多発的なテロ攻撃、若しくはテロが原因と思しき爆発事故や通信・交通障害が発生。

 

 

 その全ての背後でチラつくEU委員会とEU主要国の影。

 

 

 事態を重く見たロシア連邦政府はベラルーシ政府との協議の末、ベラルーシ国内に混乱を齎した反政府武装勢力を「外国勢力から支援を受けたテロ組織であり、その狙いは国家転覆を利用した外国勢力による侵略行為である」と断じ、ベラルーシ政府の要請に基づき集団的自衛権を発動しての軍事支援と連邦軍の派遣決定を内外に発表。

 

 同時にКалининградская область(カリーニングラード州)にもВоздушно-десантные войска(空挺軍)を中核とした部隊を訓練の名目で派遣を決定。即応部隊に順次出動する様に命令が発せられた。

 

 

 この動きにベラルーシとКалининградская область(カリーニングラード州)に隣接するウクライナとポーランドやバルト海の沿岸国であるバルト3国、フィンランドにスウェーデンが敏感に反応。ロシア及びベラルーシ両国政府に対して激しい非難の声明を出した。続く形でEU委員会とEU主要国も両国に対しての非難声明を発した。

 

 

 その直後にКалининградская область(カリーニングラード州)へ向けて飛行中だったВДВ(空挺軍)即応部隊の一隊を乗せた輸送機の1機が黒海上空で消息を絶った。*1

 

 

 ロシア寄り、或いは親露的とされるハンガリー、スロバキア両国首相の暗殺未遂、モルドバではロシアとの関係の深い隣国沿ドニエストル共和国*2との国境付近での軍事演習で発生した一部部隊による越境行為疑惑に端を発する政情不安化など、急速に不安定化が進んでいた。

 

 

 2014年の政変(クーデター)で親露派政権が倒れたウクライナでは、親欧米を掲げる政権が欧米へと接近する姿勢を見せ、NATOへの加盟に積極的となっていたのだが、当時NATO時代のアメリカが秘密裏にロシアとの国境近辺にモスクワを射程に収める長距離ミサイルを配備しようとする計画案と密約が、NATO内部での情報伝達の行き違いや情報管理の杜撰さによる内部資料の漏洩が原因で暴露されて以降、国内が欧米への接近がいずれ欧米によるロシアに対する代理戦争に発展するリスクや、先の政変(クーデター)に欧米勢力の介入があったとする疑惑や傍証から親欧米路線政策に疑義を呈する政権懐疑派が、政変(クーデター)後に発足した政権により突然施行された従来公用語とされていたロシア語が、公共の場での使用を一切禁止する法令と罰則規定など、ロシア系住民を標的にしたあからさまな弾圧政策を受け出した事により、ウクライナからの分離独立を主張する様にならざるを得なくなった分離独立派、或いは民族的・歴史的な繋がりからロシアへの帰属意識を持つロシア系住民が最も集中する東部の所謂親露派に対し、飽く迄も親欧米路線を支持する考えが多い西部の政権派とに分裂して対立が始まり、幾度となく衝突が続いていたが、政権派の民族主義過激派民兵組織によるものとされる東部ロシア系住民に対する大規模な無差別テロ攻撃による虐殺事件を切っ掛けとした、東部を中心に反政府及び分離独立運動が一気に過熱した事により、全面的な内戦が勃発。

 

 

 国境近辺を中心に相次ぐガスパイプラインや送電網の事故やトラブルの数々。サイバー攻撃。散見される破壊工作によるものとしか思えない痕跡。しかしその悉くが決定的な証拠とは成り得ないが、“真犯人”が誰なのかだけは容易に想像出来ても決して辿り着けない様に巧妙に、そして陰湿なまでに悪意と作為に満ちて残されていた。

 

 

 そこからはズルズルと、予定調和の如く東欧全域に及ぶ戦争への道を転がり落ちていったわけだったが、ロシア連邦は意図的に消耗戦に持ち込んで経済に余裕が無いEUの自滅を狙って無理をする事なく粘り強く戦い、全戦域に渡って幾重もの堅固な防衛線を構築してほぼ安定した戦況を保ち続け、EUの限界が差し迫ったタイミングを見計らってから攻勢へと切り替え、そこでも無理をする事なく戦線を徐々に押し込んでいった。*3

 

 

 最終的にこの紛争──第三次大戦のロシア東欧紛争──はロシア連邦とEUとの間で和平合意が締結され、現在のПри участии(新たな) новых(同胞達の) соотечественников(参加による) федеральные округа(連邦管区)となる東欧東側地区を併合するという形で一応の決着が付いた。

 

 

 しかしロシア政府にとっては渋面を作りたくなる様な状態だった。

 

 併合した地区は戦争の戦禍で深く傷ついていた。その復興に頭を痛める事となるのだから。

 

 それに戦闘で破壊された都市及びインフラの復旧再建だけではない。併合したからには税制、社会福祉などの様々な法整備の見直し。戸籍等の住民基本台帳が戦禍で失われたり、戦禍を逃れる為の避難と戦闘終結後の帰還などによる大きな人口流出と流入が起きた事からも一から作り直し。治安維持を目的とした連邦軍からの駐留軍編成に必要な部隊抽出、編成に補給計画などの各種計画の策定。新たな国境線の制定に伴う連邦保安庁(FSB)傘下の国境警備隊である準軍事組織、Пограничные войска(国境軍)の配置転換及び部隊再編。それらの為に必要な予算編成とその執行。

 

 細かい所で言えば言語の問題もある。併合した地区にはロシア語話者は居るものの、全員がロシア語話者という訳では無い。それによる言葉の壁問題などという生易しいものでは無い。公共の場で使用する言語に関連した問題だ。特に公共機関で使用される書類といった公文書などの書式をどうするかも、一見すると地味に思えるかもしれないがかなり重要な問題である。

 

 状況に応じての各言語に対応した書類が必要となる。それは発行する書類の量が増える事を意味する。詰まり事務仕事が増える。余計に人件費が掛かる。塵も積もれば山となるとの言葉の様に、莫迦には出来ない支出となる。そういった予算執行の手続きも必要となるし、そこでも書式の問題が重なるなど、様々な方面で業務への影響が噴出して負担の増大に繋がり、作業の効率が低下して日々の業務が滞る。

 

 そしてそれは民間に対する、例えば年金の受給や社会保障などといった公共サービスの提供にも少なからず影響が出る。

 

 

 それに対応を一歩間違うと戦争の原因ともなったロシア語話者の弾圧に対する報復行為と受け取られて反発が起きかねないという、繊細で後々に火種に成り得る大きな問題を孕んでいるのだ。

 

 そしてその火種に陰からコッソリと油を注ごうと画策するEUの影。

 

 

 ハッキリ言って、クッソ面倒臭い事この上ない。それでいてあらゆる面で気を配らなければならない火種が随所に隠れた、精神を擦り減らす“地雷”だらけで笑う気力すら無くなる程だ。

 

 そして戦時予算よりも復興予算の計上と執行の方が遥かに複雑だった。

 

 それに関連して当たり前の事だが、使用貨幣の違いも地味に頭が痛かった。決済システムが対応していないのだからルーブルを発行しても意味がない。特にユーロが流通している国々はEUの経済状態への先行き不安などによるユーロに対する不信感。何よりユーロの発行権はEuropean Central Bank(欧州中央銀行)が握っていることも問題だった。通貨の発行権を掌握することで対象国の経済と内政に干渉可能だからだ。つまり間接的に復興政策への妨害工作が可能となってしまう。

 

 

 本当に問題が山積みも山積みだった。

 

 

 ただ想定外だったのが、併合される事となった旧東欧東側地区の住民が予想に反して協力的だった事である。

 

 

 彼ら曰く、交戦国であり併合したロシア人よりも、自分達を煽るだけ煽って武器を渡して戦いへと駆り立てた元凶だっただけでなく、ロシアと戦わせるだけ戦わせて勝ち目が無いとなると簡単に見捨てて当然EUの総意だなどと言い出して勝手に国を東西に分断したくせに、未だにロシア人に対する憎悪を煽ってテロ活動を扇動するEU、その中心たるEU主要国である西欧に対する憎悪の方が非常に強い。とのこと。

 

 その憎悪の感情が彼らを団結させた。いつの日にか自分達に地獄を味あわせた西欧へと復讐するために。そのためには力を蓄える必要があると考えた。

 

 それが復興の原動力にも繋がったのだが、気の早い者達はかつての敵だった連邦軍へと率先して志願した。

 

 

 どうせEUはロシア改め新ロシア連邦(NRF)と再び戦端を開く腹積もりなのだろうから、だったらその時は一気に西欧へと突き進み、踏み躙ってしまえ!

 

 分断された祖国をEUの連中から取り戻し、恥知らずの西欧の連中を大西洋へと突き落とせ!!

 

 

 このあまりに強い反EU・反西欧感情に新ロシア連邦(NRF)上層部は心底頭を抱えた。

 

 

 そう気炎を吐かれても、新ロシア連邦(NRF)政府と連邦軍はそんな考えなど毛頭無かった。まぁ戦争が終わっても相も変わらずEUの連中が執拗にちょっかいをかけてくるのは正直かなりウザったい気持ちでいたが、だからといって軍事行動に出るのは面倒だし、無駄な荷物を抱え込むのは本心から願い下げだ。

 

 そもそも当時の新ロシア連邦(NRF)は戦後復興と軍の戦力回復と再編でそれどころでは無かったし、現在の復興が進んだ新ロシア連邦(NRF)でも東欧全域を完全制圧するだけの能力は、単純な軍事力という観点だけでならあるにはある。

 

 

 だが新領土以西、つまり分断されEU側に残っている東欧西半分は未だ前大戦の爪痕が随所に残っており、復興も歪だ。

 

 

 EUが経済制裁の一環と称してロシア産天然ガスの供給を考え無しに切り捨てたツケで、今まで安価なロシア産天然ガスによって支えられてきた製造業はエネルギー価格の急激な高騰と供給の不安定化などの影響をモロに受けて生産コストの急激な上昇を引き起こす、所謂コストプッシュインフレを引き起こして経済は混乱の極みへと陥った。*4

 

 

 そこに来て深海棲艦との戦争が勃発。

 

 

 EUは事実上東欧を切り捨てた。

 

 

 但し新ロシア連邦(NRF)に対する肉壁にしたいとの、まるで隠そうともしない露骨な本音から軍事支援だけは、ほそぼそとではあるものの続けられていたのだが、あまりにも露骨過ぎて民心の反発を招き、軍の士気は途轍もなく低く、能力も装備も標準的な民兵組織とどっこいどっこいと言われている。

 

 民意も反EU感情でとんでもない事になっていた。

 

 ある意味隙だらけであり、攻め込んだら勝つ事は可能である。と言うか諜報活動と年々増加していた亡命者、特に軍関係の亡命者が語る証言から、東欧の国軍そのものがそっくりそのまま寝返る可能性すら有り得た。

 

 東欧からしたら純粋に国力も軍事力も先の大戦時よりも差が開いてしまっているのだから。ならば新ロシア連邦(NRF)と戦って無駄死にするくらいならばいっそのこと開戦と同時に寝返って、EUと戦った方がまだマシと考える者が増えているとのことだが、新ロシア連邦(NRF)からしたら先の大戦終結からずっと、あまりにも放ったらかしな現地の戦争の爪跡を復興する事を考えると、国家存亡に関わる重大な問題でも起きなければ、とても軍事行動を起こす気にはなれなかった。

 

 

 故に、当然ながら作戦計画も無い。あるのは受動的な防衛計画に基づく限定的攻勢計画くらいだ。

 

 

 そもそも併合する羽目になった現在の新領土地域だって、本当はその大半は要らなかったのだ。

 

 確かに大戦時には西欧との緩衝地帯といった安全保障上の観点、何よりロシア系住民とロシア語話者の保護を大義名分と掲げていた都合上の譲れない地域は必要だったから和平案として要求はしたが、だからといって現在の新領土の様な範囲は本心から要らなかった。

 

 戦争でメッタメタに荒廃し、復興だけでどえらい事になるのは分かり切っていたし、どう転んでも“爆弾化”するのは目に見えていたからだ。そう考えていたら、逆の意味で“爆弾”だった。

 

 ロシア憎しと思いきや、EU憎し、西欧憎し過ぎて暴発しそうで怖い。EUの連中、こうなると分かってての嫌がらせが狙いだった?と本気で疑っているほどだ。

 

 

 だから最優先で復興に取り掛かった。兎も角復興事業という名目で仕事を与えて気を逸らせたかった。

 

 まぁ既に述べた通り大変だった。途轍もなく大変だった。お陰で当時大統領だったПутина(プーチナ)氏が政治家としてはまだまだこれからと言える年齢だったのだが、復興事業が軌道に乗り、ある程度の目処が立った段階で任期満了を待たずして大統領職を辞し、一時期国防相代行を務めたりはしたものの、程なくして正式な後任が決まったタイミングで政界から身を引く決断をしたほど消耗し切っていた。*5

 

 それをもう一度やるのはあまりにも面倒だし、それにこの当時政府や軍部だけでなく国民にも少なからず負担を強いる結果となったが、併合した地域は自分達が支持した大義名分のロシア系住民が暮らす地域も含まれていた為、国民も同族への同情からその時は負担にある程度は納得してくれたが、今度ばかりはそうはいかないだろう。

 

 

 新ロシア連邦(NRF)政府としても国民の反応を無視する訳にはいかない。

 

 

 だが新領土の民衆もまた、今ではれっきとした新ロシア連邦(NRF)の国民である。

 

 

 その新領土の民衆は現在進行系で拡大する西欧の混乱に「ざまあみろ!」と拍手喝采。そしてこれを機に「分断された祖国を再び一つに!」との世論が形成されつつあった。

 

 事実現在の国境線はEUが該当国の意向や現地住民の都合などを一切無視して自分達の勝手な論理と都合で、必要以上に割譲される事に消極的なロシアに対して強引に提示したライン*6で無理矢理にして引いたという経緯があり、新たな国境線の策定により東西で分断されている国もあった。

 

 彼等からしたら現在の西欧の混乱は、EUから虐げられている分断された祖国を奪還・解放するまたとない好機だとの思いが強かった。

 

 なにせ以前から国境線を越えてくる亡命者が後を絶たず、そこから国境線の向こう側の悲惨な現状が伝わり、瞬く間にその情報が拡散される。そしてそれが最近急激に増加している。

 

 これには従来からのロシア国民も大いに同情は示していた。だがだからといって積極的に動く事には負担が大き過ぎるとして消極的である。

 

 

 ここから意見の対立が生じているが、一つだけ一致しているものがある。

 

 

 西欧からの亡命者、特に現在の混乱により国境線に集まっている者達には非常に冷淡である事だ。

 

 散々なんだかんだイチャモンつけて誹謗中傷や嫌がらせなどの迷惑を散々掛けておきながら、いざ自分達が困ったら助けてください?些か虫が良すぎるんじゃぁないかオイ?政府がやったこと?じゃあその政府の政治家を選んだのは誰だ?民主主義を掲げておきながら、何戯けた無責任なことをぬかしてやがんだコノヤロウ?舐めてんじゃねぇぞバカヤロウ!!いてまうぞゴラァ!!

 

 

 現在各軍管区から掻き集めた陸軍の大部隊、それと追加で民間軍事会社(PMC)にも人員派遣を依頼して国境近辺に展開させているが、ПВ(国境軍)と協力しての不法入国対策の国境警備は勿論なのだが、実際は住民による不法入国者狩りという私刑、最悪虐殺事件が起きる事態を防ぐという理由があった。

 

 既に各地で自警団が組織され、それに対して治安部隊が必死で対応しているものの、いつ何が起きても可怪しくない状態だという。

 

 

 かと言って下手に抑えつけ過ぎれば反発を生み、そこから暴動に繋がる恐れがある。

 

 

 民心の安定を図るためにも、何らかのプロパガンダを行なう必要があった。

 

 

 そのための分かり易い強大な軍事力の存在を誇示し、その行動による実績を以って民心の鎮静化に利用しようと新ロシア連邦(NRF)政府、そして軍部は考えた。

 

 

 そこに海軍総司令官Суворов(スヴォーロフ)元帥から丁度良い具合に好都合な上申があった。

 

 

 それが新ロシア連邦(NRF)海軍最強とされるСеверный флот(北方艦隊)の期待の最新鋭空母『Сибиряков(シビリャコフ)』に率いられた新鋭の大艦隊による同盟国インドへの大遠征計画である。

 

 

 深海棲艦が支配し厳重な防衛が固められているとする太平洋海域を平穏無事に通過し、インドへと至る。深海棲艦の跳梁跋扈以降、西側のどの海軍でも成し得ることが出来なかった万里の波濤を越えての大航海という“偉業”を新ロシア連邦(NRF)が達成したという偉大な事実。それを世界に示す。

 

 同時にそれは新ロシア連邦(NRF)が深海棲艦との間に何らかの、だが確かな交渉の窓口がイギリス以外にも存在すると世界に思わせる事も意図している。

 

 

「ま、これも一種の“パンとサーカスを”の、サーカスの部分になるんだろうね」

 

 

 パン──仕事──は既に与えている。事実新ロシア連邦(NRF)の経済成長率は苦行とも言える神経を擦り減らし続けた政府の経済政策が上手く実を結び、復興政策が一段落した辺りより横這いの微増から着実な伸びへと転じている。

 

 それによって現在は極東やシベリア方面といった他の地域への投資と開発にも力を割ける様になり、失業率の低下にも繋がっているし、個人消費の増加から国内の経済循環による経済活動も活発化している。

 

 

 後は国民を熱狂させ盛り上げさせるサーカスを、だ。

 

 

「政治なんて所詮そんなモンさね。経済が上手く回るように上手く差配しつつ、説得力のある見栄を張って民衆を鼓舞し、実際に可能ならばやって見せて大々的にアピールする。そんでもって諸外国に自国の存在感を見せ付ける。国威発揚ってやつさね。

 

 それが他国、それも対立してる連中が出来ないことをやってのけたってんなら、それだけで民衆ってモンは大いに溜飲を下げる思いがするって寸法さ」

 

 

 所謂ガス抜きに近い示威行為だが、実際この大艦隊による大遠征が無事に成功したら、西側諸国は歯軋りするしかないだろう。

 

 

 日本は自国の領海を防衛する事で精一杯。アメリカも太平洋はアリューシャン列島のダッチハーバーとハワイ諸島パールハーバー、そして大西洋はカリブ海のキューバ、そして太平洋と大西洋の2つの海を繋ぐパナマ運河一帯を完全に抑えられており、マトモに身動きがとれない。それにアメリカも艦娘達との関係がかなりきな臭くなって来ているし、ヨーロッパで起きた艦娘蜂起の火の粉が飛び火して徐々に小火騒ぎでは済まなくなりつつあった。

 

 最後のEUは地理的には最も近いが、深海棲艦との交渉窓口があるわけでなく、最短ルートのスエズ運河から紅海を深海棲艦に抑えられているという問題から、大西洋を南下しアフリカ喜望峰を回り込んでインド洋へと抜ける航路を選択すればなんとかなりそうには思える。

 

 ただ、このルートでもジブラルタルの南西方向、アフリカ大陸北西沿岸から約100km沖合に位置するスペイン領カナリア諸島が深海棲艦によって制圧されており、欧州棲姫が指揮する欧州大西洋方面部隊の一大根拠地となってしまっている都合上、大きく迂回する必要がある。

 

 

 だがそれらを実行するだけの遠征能力は10年以上に及ぶ深海棲艦との戦闘が基本的に地中海と大西洋沿岸、それに北海に絞られていたこともあって、運用能力と支援体制が既に水上艦隊からはほぼ失われており、何かあった際の緊急措置や補給の為にアフリカ沿岸の港湾を利用しようにも、そのアフリカはアフリカで内戦やら国境紛争、部族紛争が第三次大戦以降もずっと続いていることから、地中海に面する北アフリカの一部を除く現地の正確な情報が分からず港湾がマトモに機能しているかの保証も無い。

 

 つまり新ロシア連邦(NRF)СФ(北方艦隊)がベーリング海峡を抜ければ極東のТихоокеанский Флот(太平洋艦隊)の基地や、多少の寄港なら経済支援や軍事支援の“貸し”などから日本の軍港を寄港地として使えるのと違って、アフリカ喜望峰ルートからインドへと至るまで確実に寄港可能な港が一つもなく、途中には深海棲艦の一大根拠地があるとのオマケ付きであまりにもハイリスクなのだ。

 

 

 そもそも現在発生している艦娘の蜂起によって、保有していた海軍艦艇の大半が母港の軍港と共に抑えられ、しかも乗組員や下士官、(ふね)を預かる艦長までもが次々と蜂起に同調してしまっている。オマケに陸軍や空軍の中からも蜂起に賛同する者が出ている始末。

 

 まず無理だろうが、艦娘との和解が成立するまではどの道不可能な状態だった。

 

 

 結果、黙って新ロシア連邦(NRF)艦隊の出航を、呪詛でも吐きながら見送る事しか出来ない。

 

 

 

「アンタらからしたらくっだらない事と思うかもしれないけど、政治はどんな時もニコニコ笑顔で握手だけしてりゃ良いってモンじゃないのさ。時にはこうして分かりやすい示威行動で実力を示さなきゃ、やってけないのが人間社会なんさね」

 

 

 政治は舐められたらオシマイなんさってね。

 

 そう皮肉げに締め、紫煙を燻らせる霧島(キリシマ)

 

 

 吐き出された煙の向こう側では、飛行場姫は黙って片肘をつき、何とも言えない難しい顔をしながら蟀谷を指で軽く叩いていた。

 

 今まで政治という概念から縁遠い存在だったが故に、馴染みのない事への精神的な負荷による一種のストレスを感じながらも、頭の中で今までに無いくらいに激しく思考を巡らせていた。

 

 

 だがそれでも中々考えが纏まらない。それがさらなるストレスとなって思考にノイズが混じる。

 

 

「答えなんか早々にゃ出ないさね。だが考え続ける事は大切だ」

 

 

 霧島(キリシマ)は葉巻を持ちながらも、その手でスコッチの入ったグラスを器用に掴みつつそう語り、思考の深みに嵌まりかけていた飛行場姫の意識を現実へと引き戻した。

 

 

 正直言って、霧島(キリシマ)自身政治に関して同郷のСлава(スラヴァ)と比べたらズブの素人だと思っている。

 

 だが素人なりにも自身の考えの様なものは持っていた。

 

 

 政治というのは言ってしまえば利害の調整システムであると霧島(キリシマ)は考えている。

 

 何処で妥協し、何処が妥協出来ないか?それを正確に測りながら如何にして利益を生み出せるか?どれくらいの損失ならば許容出来るか?それらの為には何が必要で、何を成さなければならないのか?そういった思考を常に働かせなければならない。

 

 

 そして重要なのはその利益の行き先だ。国を富ませるならば何よりもその国を支える国民を如何に富ませるか否かで結果は変わってくる。

 

 

 国民とは国家の土壌だ。国家とはその土壌の上に育つ木だ。良い土壌が国を大樹に育て富を齎す黄金の果実を実らす。

 

 その黄金の果実が利益となって、土壌を更に良くするために使う肥料の元手となり、より良い土壌がより多くの黄金の果実を実らせ、より大きな利益となる。

 

 利益が上手く循環しなければいずれ国民という土壌は疲弊し、国家という木は活力を失い、利益を生む果実は実らなくなり、やがて見るも無残に荒れ果てる様に枯れ果てて、最後は倒れる。

 

 利益の循環。経済の循環だ。これを淀み無く効率的に循環させ、全体としての利益を追求する。その際に発生する利害の対立や衝突などの諸問題を解決するのが、政治の仕事だと思っている。

 

 それをサボって自らの利益を優先して果実を貪り食う事しかしなかったから、嘗て先進国と呼んで持て囃していた西側諸国は衰退したと、霧島(キリシマ)は考えている。

 

 

 こういった自己利益の追求しかせず、循環を阻害する政治を行うのは単なる国に巣食う寄生虫に過ぎない。それも宿主ごと自らをも殺す最悪の寄生虫だ。

 

 普通寄生虫は宿主より大きくなる事は無い。だがこの寄生虫は際限なく貪り食い過ぎて宿主並みに大きくなり、宿主はその肥大化した寄生虫に栄養を過剰に奪われ続けた結果痩せ細り餓死する。その後に寄生虫も自らの身体を維持するために必要な栄養が不足し、餓死する運命にある。

 

 ちょっと考えたらそうなる事ぐらい、分かりきった事のはずなのに、寄生虫にはそんな事を考える頭が無い。その頭にあるのは自らをより肥え太らすために貪り食う利益に対する飽くなき欲望の感情のみ。そこにマトモな思考は存在しない。本当に度し難い強欲の権化だ。

 

 

 その点、国家という枠組みとは少し違うが、支配領域を一つの国家としての領土として捉えるなら、領域の発展と集団全体の利益を考えて動こうとする深海棲艦がマトモに思えてくる。

 

 

 問題があるとするならば、人類が営々と積み上げて来た知識と比べると幾分劣ってしまっている点だ。

 

 いずれ人類を相手に武力ではなく、ましてや裏でコソコソやっていた商談レベルでもなく、公の場としての外交の場で丁々発止で戦う機会が増えるとなると、些か心許ない。

 

 

 嘗て不動産王にして第45代アメリカ大統領、24年の大統領選挙イヤーの最中に起きた爆弾テロにて不遇の死を遂げたDonald(ドナルド) Joker(ジョーカー)氏という、ある種の例外的な人物がいたりするもが、そういった例外を常に期待するのは出来ない。

 

 それに周りで支えるブレーンという知識人の存在も重要だし、何より当時のJoker(ジョーカー)氏にはゴルフ友達にして盟友と言える日本の首相、後に選挙応援演説の最中に凶弾に倒れた佐藤晋三氏が居た。彼の評価に関して現在でも賛否が分かれるが、少なくとも国内外のパワーバランスの感覚に優れ、調整能力に定評がある調整型の政治家であったとされている。彼の存在によって個性の強いJoker(ジョーカー)氏と世界との緩衝材となり、この2人が揃っていた時期が世界的に見て最も安定していた時期であったと言われている。

 

 

 閑話休題。

 

 

 現状、深海棲艦は内側──内政──は兎も角として、外側──外交──で活躍出来る人材が居ない。もしくは能力は有るのかもしれないが、活躍の場が無かったがために埋もれてしまっている。

 

 少なくともアメリカで自らの努力で商社を作り、販路拡大だけでなく現地の有力者や州の政治家、果ては次期大統領候補の連邦上院議員*7とまで独自のコネクションを作り上げて活動しているらしい2人の姫級*8が最も能力的に最有力だろう。土地柄もあるかもしれないが、ヨーロッパなどで同様な活動をしている者達に比べても頭一つ以上飛び抜けている。

 

 ただ現状の立場が余人に替え難い状態であり、誰か適任を見繕う必要がある。

 

 

「私のヤマト(親友)沖田さん(大切な人)の愛娘で、私の大切な教え子でもあるアンドロメダと、その妹のアポロノームがいつも世話になってるし、良くしてもらっている。私としちゃぁ感謝してもしきれんのに、私までここに来訪して以来、何不自由無く過ごさせてもらっている。その恩義に報いるのとせめてもの感謝の気持ちとして、ちょいと提案がある」

 

 

 ここで霧島(キリシマ)は以前から考えていた事を話し出す。

 

 

「あんたらから新ロシア連邦(NRF)に留学生、出してみる気はないかい?」

 

 

*1
消息不明が報じられた直後より事故説、撃墜説や亡命説など様々な憶測や流言飛語が飛び交ったが、その後ロシア当局は状況から当該輸送機は何らかのアクシデントにより墜落したものと判断するとの公式見解を発表。輸送機の航続距離圏内に存在する周辺国も亡命があったとする事実を否定する声明を発表している。しかし機体の残骸は戦後になっても発見されておらず、真相は闇の中である。

*2
但し第三次大戦後に新ロシア連邦(NRF)の構成国として組み込まれるまで、国際的には沿ドニエストル共和国は国家とは承認しておらず、当地域はモルドバの一部であると見做されており、モルドバは特別な法的地位を有する自治地域ドニエストル左岸行政区画と定めていた。なお、この地には旧ソ連時代から欧州最大とされるロシアの兵器弾薬貯蔵施設があり、またロシア連邦軍の駐留部隊も存在する。

*3
この一連のロシア連邦軍のとった消耗戦戦略を、EUは殆ど希望的観測に基づく分析からロシア軍は緒戦で大きな損害を受けその回復が上手くいっておらず、戦況が劣勢であることから消極的となり、ロシア国内では客観的な根拠は無いが高インフレと物資不足から政権に対する国民の不満が高まり崩壊は間近であるとするEUの主観的論理に基づくプロパガンダ放送が盛んにメディアを踊り、それに乗せられたSNSインフルエンサーが裏取りも碌にせず頻りにロシアカウントダウンなるEUが喧伝する証拠不十分な大戦果を盛んに謳い、主観的論拠でロシアの崩壊は間近との投稿を繰り返していた。

 

 が、いつまで経っても崩壊しない現実と、規制や検閲の網を括り抜けて多少なりとも漏れ伝わる現地の激しくも大戦果の喧伝と大きく食い違う、ロシア軍相手に苦戦している戦況を伝えるSNS情報から、事実は違うのではないか?という疑問を突き付けられた事に次第に焦り出したのか、あからさまな切り取りや針小棒大の極みと言われる様な戦果の誇張や誇大妄想をより過激に騙る内容しか発信しなくなっていった。

 

 結果として合計するとロシア軍の保有戦力を大きく上回る損失という、有り得ない数字となるし、それなのに前線はロシア領内である東側へと移動するどころか寧ろ逆方向となる西側へと着実に移動しているなどの、不都合な矛盾がより一層際立つ事態となって行った。なお、当時これらの矛盾をSNSで指摘したら確実に陰謀論者扱いされて炎上し、酷い場合だとアカウントの凍結処分やシャドーバンを受ける羽目になっていた。

*4
そういったEUが抱えるエネルギー供給の問題と課題という“弱点”を認識していたからこそ、ロシアは大戦中に消耗戦を仕掛ける選択を選んだ。

*5
大統領期間中、国の将来を担う人材の厚みに不安を感じており、いつかは教育者として自ら教鞭をとるとの考えを持っていたのも、決断を後押しする要因にもなっていた。

*6
大体が激戦地といった戦闘による被害が大きかった地区。

*7
Iowa(アイオワ)

*8
南方戦艦新棲姫と戦艦新棲姫のコンビ。連邦市民権所有。





 ところで、別に煽るつもりは毛頭ありませんが、主にSNSとかでロシアカウントダウンとか言ってる人達、一体何時になったらその数字がゼロになるんですかね?そもそもその数字は幾つからカウントダウンをスタートさせたんですかね?

 YouTubeなどで上記の様なコメ書くと、たまにコメ主に対して殺害予告を匂わせる芳ばしいコメ来たりしてますから、注意が必要です。直接的な文言じゃないんで警察に被害を訴えるのは難しそうな気がしますしねぇ。まぁ私も以前にロシア人だのロシアの工作員だの罵倒されて食らいましたがね。いやぁ怖い世の中だこと。あ、因みにスパイ防止法制定に大賛成の立場です。

 しっかし中国の頭を抑えてくれる丁度良い位置にいるロシアとの関係悪化とそれに伴う露中両国の接近は、日本の国家安全保障に於いて最悪を通り越した悪夢なのは分かりきった事だと思ってたんだけどなぁ。しかも明らか軍事レベル、特にドローン関係で戦術込みでロシアと中国に大きく水を開けられただろうしねぇ。結果割を食うのは有事の際に二正面を警戒して兵力分散を強いられる自衛隊であり、最終的に巡り巡って国民の不利益になるんだがなぁ…。だけど政治屋はだぁ~れも責任取らないし、多くの国民は無関心!その場のノリと勢いで近視眼的!!いやぁ平和()だねぇ!この国は!!(嘆き)


───────



補足解説

沿(えん)ドニエストル共和国

 沿ドニエストル・モルドバ共和国。

ロシア語:Приднестровская Молдавская Республика
モルドバ語:Република Молдовеняскэ Нистрянэ
ウクライナ語:Придністровська Молдавська Республіка


 東ヨーロッパ、モルドバ東部を流れるドニエストル川とウクライナの陸上国境とに挟まれた南北に細長い地域に存在する事実上の主権国家。首都はティラスポリ(露語:Тирáсполь 摩語:Тираспол)。
 地理的な名称としてはロシア語名称の“Приднестровье(ドニエストル川沿い)”とルーマニア語名称の“Transnistria(ドニエストル川の向こう)”から由来するTransnistria(トランスニストリア)と呼ばれ、国際機関では上記のロシア語名称に由来するTransdniester(トランスドニエストル)と呼ばれている。

 公用語はロシア語、モルドバ語、ウクライナ語。


 国連加盟国には国家としては承認されておらず、当地域はモルドバの一部と認識されており、モルドバは当地域を特別な法的地位を有する“自治地域ドニエストル左岸行政区画(Unitățile Administrativ-Teritoriale din Stînga Nistrului)”と定めている。これは1992年に同地域をめぐりモルドバ共和国との間でトランスニストリア戦争が勃発し、ロシアの支援もあってこれに勝利し施政権を確立した事によるものだが、この結果を以って全てが解決した訳ではなく、飽く迄も停戦による“凍結された紛争状態”でもある。

 2016年以降、ロシア連邦への加盟を目指している。

 北部のコバスナ村には旧ソ連時代からヨーロッパ最大級(推定40,000㌧とも)されるロシア軍の武器・弾薬庫が存在する。また国内には凡そ1,500〜2,000名のロシア軍部隊が駐留している。


Wikipedia参照



 公用語の数からも察せられるかと思いますが、この国は複数の民族が入り乱れています。主にロシア人モルドバ人ウクライナ人といった順番に、後幾つかの民族やら部族が居ますし、他国の国籍を持つことも、元々旧ソ連構成国だったという都合からも認められていて、ロシア国籍を持っている人も少なくはないので、ロシア大統領選挙に参加する事も可能だったりします。

 こういった言語・宗教・風習・伝統文化や過去の歴史的な経緯などを含めて複雑な事情を抱えた国家や国際的(国連加盟国)には未承認の国家ならではの問題は、大陸の様な他国と国境を接する陸続きの国家では割とありふれており、島国、しかも()()()()単一民族国家である日本人には今一ピンと来ない馴染みのない話だと思います。()()()()()



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 正直今仕事を辞めて以来、今までに無いくらい精神的に不安定であるとの自覚があります。

 去る9月10日、米国ユタ州の大学で保守系インフルエンサーのチャーリー・カーク氏が暗殺されたというショックが大き過ぎて、生活に関してはなんとかなっていますが、今現在の執筆では怒気がこみ上げて思考がグチャグチャとなり、怒りが滲み出た落ち着きの無い文章しか思い浮かばなくなっている気がします。

 ここで有らん限りの怒りの衝動に任せた過激な事を書いてしまいたいとの欲求に駆られていますが、なんとか我慢します。書いたとしても、虚しいだけですから。


 ただこれだけは言いたい。『裸の共産主義者』で警告されていた事が、決して間違いでは無かったのだと。


 もしかしたらだが、第三次大戦とは国家間戦争では無く、西欧諸国を中心として世界に波及する、グローバリストと反グローバリズムに分かれての大規模かつ同時多発的に発生する内戦の総称となるのではないだろうか?


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 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想、若しくは分からない点に関しましての質問がありましたら返信で可能な限りお答えし、後書きの補足説明にも加筆致しますので、よろしくお願いいたします。
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