艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

90 / 115

 戦乱の終わりに向けて。

 本当は『Towards the no side.』ノーサイドに向けてというタイトルのつもりでしたが、ノーサイドがほぼ和製英語でしたので変更…。


 元々そこまでガッツリ出す予定の無かった新ロシア連邦(NRF)第2代大統領、Александр(アレクサンドル) Куту́зов(クトゥーゾフ)氏が後半に登場します。


第87話 Towards the end of the war.

 

 

 真志妻大将が会見後に各方面からの鳴り止まない電話対応に目を回している頃、休戦交渉で派遣されたという事になっているけど、まぁ実際は政府ガン無視での和平合意の為にマリアナ諸島サイパン島へと航行を続ける土方中将が率いる日本艦隊では、当初予想された程の混乱は起きていなかった。

 

 いや、実際は混乱しているが微妙な空気感が漂っているというのが適切か。

 

 水上艦隊の将兵の間ではホッとした安堵の空気感に包まれていた。特に艦隊を構成する『あさぎり』型の『ゆうぎり』ではそれが顕著だった。

 

 何故ならば『あさぎり』型護衛艦は全艦がその艦齢から既に退役していても可怪しく無かったのだが、パンデミック以降の経済と財政の急激な悪化に資材と労働力の不足などから、『もがみ』型以降の新造艦建造の多くが軒並み中止若しくはキャンセル、良くても一部が設計変更による転用となり、既存艦も第三次大戦での第二次日露戦役以降からの度重なる損失と修理やメンテナンスの遅延で止むを得ず運用が続けられているのだが、矢張り艦齢からの老朽化は如何ともし難く、魚雷が1発でも命中すればそれが致命傷となってそのまま沈没する危険性が指摘されるほど、老朽化による傷み具合は深刻だった。

 

 

 そのため姉妹艦『せとぎり』が起こした事故の真意がサボタージュであると理解し、最も共感していた。なんならいっそ自分達もサボタージュを起こして出撃を拒否する事を、艦長自身が本気で考えていたが、乗組員を説得して実際に行動に移すには時間が足りなかった為に未遂に終わった。因みに衝動的に動いた事が祟って土方にバレていたが、土方は敢えて不問に伏した。

 

 

 問題にしたところで本来艦娘部隊の指揮と水上艦隊では指揮系統の管轄が違う。通常ならば水上艦隊にも独自の指揮官が当てられ、艦娘部隊の指揮官は要請という形で艦隊運用に関与するのが通例である。

 

 本来は旗艦『かが』の艦長であり、本艦が所属する第4水上艦隊の司令を兼任する田沼透(たぬま とおる)少将が階級的にもこの艦隊の指揮官となるのだが、今回は田沼少将を筆頭とした艦隊側の意向もあり、特例措置として土方が両方の指揮を執る事となった。*1

 

 飽く迄も特例措置であるため、後々に悪しき前例として悪用や濫用されて問題とならない様に艦隊運用は必要最低限の指示で済ませるつもりでいる。

 

 

 そもそも艦隊を構成する他の護衛艦も『ゆうぎり』と似たり寄ったり。(ふね)も将兵も疲れ切っている。どの(ふね)の艦長も仕方なく出撃しているというのが丸分かりという程に顔に出ていた。艦隊には厭戦気分が蔓延して士気が著しく低下しているのが空気感で伝わっていた。

 

 

 だからこそ休戦という話に安堵の空気感を出したとしても、何ら不思議ではなかった。

 

 

 だが艦娘達が一番不安定だった。

 

 

 確かに真志妻大将が会見で発言していた様に、これ以上戦いを続けることに限界を感じている者は多く、真志妻大将の会見内容に頷く者が殆どだった。

 

 とはいえである。矢張り今まで直に顔を突き合わせて死闘を演じてきた相手である深海棲艦との休戦に、反対ではないが率直に納得し切れない微妙な反応を示す者も少なからずいた。

 

 これには休戦も仕方無いと考えている者達としても言葉に詰まる。

 

 しかし両者の共通した認識として、自分達のボスであり、誰よりも自分達を愛して大切にするとの有言実行を成し遂げて来た真志妻大将の意向だけに、この判断も自分達を思った上での悩みに悩み抜いた末の、苦渋の決断だったことは察していた。

 

 

 結局のところ、どうしたら良いのか分からなくなって、なんとも言えないモヤモヤとした感じが拭えないのだ。

 

 

 日本艦隊旗艦『かが』では、そんな艦娘達を土方が格納庫に集めていた。

 

 元々はF-35Bなどといった艦載機の整備が行われていた区画であるが、今やその運用すべきF-35Bは交換部品が入手困難となって以来、共食い整備も疾うの昔に限界を迎えて全機退役しており、唯一運用している新ロシア連邦(NRF)から供与されたKa-27系ヘリコプターの整備区画以外では、余ったスペースを利用して艦娘母艦としての整備デッキと資材の保管、簡易工廠となっている。

 

 それでもそこそこ広いスペースが余っており、作戦規模や内容、戦闘で負傷した艦娘の臨時救護所と化すなどして使えない時もあるが、基本的に多目的スペースとして利用されている。そこに整列し土方は小型のコンテナを流用した壇上に立った。壇上の周りでは土方の秘書艦金剛と懐刀である春雨(ハルサメ)達が控えていた。

 

 因みに、艦内にはブリーフィングなどを行う為の多目的室がもとからあるにはあるが、艦娘全員を収容しきれるだけのスペースとなるとこの格納庫の多目的スペースとなる。また各艦に配属されている艦娘達には通信による中継が送られている。

 

 

 艦娘達の間でも真志妻大将が心から信を置く数少ない人間の将官筆頭として、またその指揮能力、なにより纏う空気の雰囲気が見る者が見たら分かる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という、自分達と似た雰囲気を持っていた事からも、ある種の仲間意識に似た親近感を持っていた。

 

 その土方からの直々の話である。

 

 

「最初に謝らせて欲しい。10年以上に渡り苦しい戦いを強いて、その間に耐え難い屈辱や許し難い辱めを受けた者達も多くいるだろう。それでも歯を食いしばって最前線に立ち続け、戦い抜いてくれた君らの奮闘に勝利の凱歌と祝杯を以って報いてやれない結果となった事に」

 

 

 軍帽をとり、頭を下げる土方に集まった艦娘達の間で動揺が走る。

 

 艦娘達からも智将、名将と評されている土方中将も真志妻大将と同様に、この戦争が勝利し得ないと判断している事実に。それでも、信じたく無いと思う者も少なくなかった。

 

 自分達にはまだ戦える力がある。まだ完全に負けたと決まった訳では無い。と。仮令それがその先を見据えていない空虚なものだとしても、矢張りそう簡単に負けを認めてしまう事に抵抗感があった。

 

 いや、仮令負けるにしても、最後に一度だけでも総力を挙げた決戦に挑み、死力を尽くして勝利する事が出来れば、まだ戦えるだけの力が残されているのだと見せ付ける事で、多少なりとも有利な条件をもぎ取れるのではないか?

 

 

「君らの中にはまだ戦える。諦めるのはまだ早いと考えている者も居るだろう。

 

 最後に今ある全てを投げ打って死力を尽くした決戦を挑み、何らかの勝利を掴めれば、或いは…?と」

 

 

 ここで一旦区切り、全員の顔を見渡す。

 

 そこに最後の希望を見い出だそうとして期待を寄せている者の顔がチラホラと見受けられる。

 

 しかし、その考えに否定的な表情を浮かべている者が少なくなかった。

 

 

「だが、最後の力を出し切って戦い、よしんばそれで勝利を掴んだとして、その後はどうする?

 

 そのまま力尽きて倒れる。それで良いのだろうか?」

 

 

 この言葉にハッとなり、悔しそうに俯いたり唇を噛み締めている艦娘が散見される。

 

 

「君らも薄々と感じていることだろう。深海棲艦は恐ろしく強かだと。状況に合わせて柔軟に戦略を転換し、その戦い方すら確実に変化させるだけの知性を持ち合わせている可能性に。

 

 戦術的な勝利を収めても、戦略レベルで覆してくる。

 

 人類は残念ながら緒戦でのただ物量に任せただけの力押しで負け続けた時の記憶が強く残り過ぎて、物量任せの力押ししか出来ない雑軍であるとの認識を払拭する事が出来ず、急速に学習し最適化する深海棲艦の知性の高さを測り違えた。

 

 もっと早く気付くべきだった。こちらの攻勢を逆手に取り、戦線を後退させ主力を南方に引き摺り込みながら少しずつこちらを消耗させつつ、隙を見てハワイ諸島とアリューシャンを電撃的に制圧し、太平洋を分断する事で日米の連絡線を遮断し周章狼狽して浮足立たせて引っ掻き回したその手腕から」

 

 

 まことに痛恨の極みであったとの痛切な表情を見せながら語り続ける。

 

 

「そして今は深海棲艦は負けない戦い方に、それは互いの体力の限界を競う長期的な消耗戦を仕掛けているのだと。

 

 残念ながら私達は深海棲艦の戦略の狙いを悉く見誤った。深海棲艦は日本が沖縄を意地でも固守すると読み切った上で、日本の国力を着実に削り取る方策に出た。その策略にまんまと嵌ってしまい、日本は深海棲艦との体力勝負に負けた。

 

 これは、我々人類の責任だ。誓って断言する。君らに責任は無い。全ては戦争の方針を決める戦略を練っていた我々人類の指導部にその全責任の所在があると」

 

 

 艦娘達に一切の責任は無い。ハッキリとした口調でそう明言する。

 

 

 事実この戦争を通じて艦娘達は戦争方針に対して多少の口出しとも言える提言は出来ても、影響力を行使出来る立ち場ではなかった。

 

 ここに居並ぶ艦娘には沖縄戦線で地獄を見た艦娘も参加しているが、当時は兎も角生き残る事に必死だった。だが生かさず殺さずとも言える深海棲艦の攻撃に違和感こそ覚えたが、無事に本土へと帰還出来た事で半ば忘れていた。いや、当時の恐怖を思い出したくなかったから、と言えなくもない。

 

 しかし落ち着いて思い返せば、攻撃の頻度と派手さの割に戦死した人数が釣り合わなかった。

 

 海上での補給線こそ断ち切られたが、何故か飛行場に関しては滑走路が攻撃を受ける頻度が極端に少なく、また格好の標的ともなる離着陸時の無防備な輸送機が直接狙われての撃墜や破壊される事も殆ど無かった。

 

 お陰でなんとか食いつなぐ事は出来ていた。決して充分とは言えないが武器弾薬や医薬品は保たれていたし、なんとか兵員と艦娘のローテーションが維持出来ていた。

 

 

 だがこれら一連の行動は日本に沖縄を守り切れると錯覚させ、底無しの泥沼に飛び込ませるのが真の狙いだった。その事に気が付けなかった事に悔しさを滲ませる。

 

 

「…君らは、やれる事を必死にやってくれた。それでもう充分だ。

 

 真志妻閣下も仰られていた。もうみんなをこれ以上、苦しめたくは無い。もうこの国の、人類の無理難題に付き合わせたくはない。と。それは私も同じ思いだ」

 

 

 真志妻大将と最も近い立場に居る者達の中には真志妻大将が政府に対して何度も沖縄戦線の見直しに関する進言を繰り返し、その都度けんもほろろに却下されて苦々しい顔を浮かべていた姿を見てきた。

 

 これは沖縄戦線での消耗戦の危険性を真志妻大将が早々に勘付いて危機感を募らせていた事に他ならない。

 

 しかし真志妻大将が断行した改革を以ってしても、結局は政府によるシビリアンコントロールの優越により、その戦争方針の悉くが政治の都合一つで改悪されて来た。

 

 

 同時に、真志妻大将が最も頼りにしている知恵袋とも言える土方司令がこの事で悩まされ、頭を痛めていたと容易に想像がついた。

 

 

 そう思うと、何故土方司令が頭を下げなければならないのか?結局は政府や軍上層部の無為無策が招いた結果ではないか?真に頭を下げるべきなのは土方司令ではなく、ただ安全な場所で踏ん反り返っているだけでいつもいつも足を引っ張る事しかしない無能な政府の連中ではないかっ!?これは今まで国の為に尽くして来た土方司令に対しての、そして真志妻大将に対しての許し難い侮辱だっ!!

 

 艦娘達の間で次第に政府に対しての憤りが沸々と沸き上がっていった。

 

 

 

「…最後に一つだけ、私から君達に敢えてこの言葉を伝えたい。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 …私からは以上だ」

 

 

 そう言い残して土方は軍帽を目深にかぶり直すと壇上から降りた。その姿は普段通りの厳格な軍人然としていたが、何処かぎこちなく思えた。

 

 その姿を見た艦娘達は、行き場の無い憤懣に土方司令は耐えているのだと解釈した。そしてそれは真志妻大将も同じ思いなのだろうと。

 

 

 先程の憤りから一転し、遣る瀬無い気持ちに包まれ意気消沈していく艦娘達。

 

 

 これからどうなるのだろうか?

 

 

 胸中に過ぎったその疑問に対して明確な答えを示せる者は、少なくともここには居なかった。

 

 

 

───────

 

 

「…これで良かったのかは、正直分からん」

 

 

 司令官公室に戻った土方は、応接スペースのソファに深く腰掛けるとそう漏らした。

 

 金剛はその言葉を聞きながらも、2人分の紅茶を淹れたカップを静かに応接机に置くと、一礼して退室した。

 

 カップから立ち昇る湯気を見詰めながら、土方は自身の疲れを感じていた。

 

 

「…正しい答えなど、無いのではないでしょうか?

 

 小官自身、土方閣下と真志妻閣下のお考えには賛同しておりますが、矢張り一軍人と致しましては少なからず悔しさと言いますか、思うところが無いわけでは御座いません」

 

 

 そう答えるのは向かい側のソファに座る『かが』の艦長、田沼少将である。いつもそばで付き従っている同好の士にして、悪友とも言える夕雲型駆逐艦艦娘の清霜も今回ばかりは席を外しており、今この公室には土方と田沼の2人しか居ない。そして公室の外では武装した春雨(ハルサメ)海風(ウミカゼ)の2人が警備に付いていた。

 

 

「軍人は勝利に向けての方策のみを常に考え、実行に移す。戦いを終わらせるかどうかの判断は政治の分野であり、本来ならば我々軍人が立ち入るべきではない。

 

 というのが模範解答なのかもしれませんが、現状はそう言っていられる状況ではありません」

 

 

 先の艦娘達への土方が話た内容は田沼少将も知っている。なんなら、彼はある意味で今回の作戦に於ける真志妻と土方の共犯者でもある。

 

 一瞬、妹は、芳美(よしみ)の奴はどう考えているだろうか?との考えが頭を過ぎった。あのお硬い、模範的であろうとする妹は現状をどう思っているのだろうか?との思いを馳せる。

 

 

「いや、そうでは無い。

 

 問題なのは彼女らの心境だ」

 

 

 紅茶を一口飲み、沈痛な面持ちで土方は自身の本心を吐露する。

 

 

「少なくともこれで彼女らは政府への不信感と不快感を、言ってしまえば憎悪をより一層深める事となるだろう。

 

 彼女らの人類との、日本との契約という名の、最早彼女らを縛る首輪同然と化した軛を断つためには仕方の無い事だとは思っているが、一つ間違えば人類に対する敵愾心を増長させ、取り返しのつかない事態を引き起こすリスクを孕んでいる。

 

 …そんな結末は、誰も望んではいない」

 

 

「…信じるしかないでしょう。それに、賽は投げられたのです。最早後戻りは出来ません」

 

 

「…そうだな」

 

 

 どうもここ最近の疲れからか、それとも歳からか、思考が悪い方へと引き摺られやすくなっていた。

 

 なにより時間が足りなさ過ぎた。本当ならばもっと入念に時間を掛けて準備を整えたかったが、如何せん状況が一気に動き過ぎた。

 

 お陰でずっと薄氷を踏む様な、全てに於いて気の休まる事の無い緊張の連続である。流石の土方でも弱音を吐きたくもなる。

 

 

 

「それは兎も角としまして、この艦隊に関しましては問題ありません。全艦旗旒信号にて賛同する意思を示す手筈は整えました。本艦の合図とともに一斉に掲揚します。

 

 しかし、万が一が起きた際、本当に彼等は仕掛けてくるでしょうか?」

 

 

 重苦しくなりつつある空気を晴らすべく、田沼は話題を変えた。それは土方に代わって本作戦に異議が無ければ指定された旗旒信号を旗艦『かが』からの合図と共にメインマストに掲揚する様にとの各艦への伝達が完了したという報告だった。

 

 

 土方は今までの実績から水上艦隊からも一定の評価と信頼を得ているが、おなじ海軍とはいえ水上艦隊と艦娘部隊とでは畑違いの分野であると考えている者が少なからずおり、艦隊指揮はおなじ水上艦隊の身内で、嘗て主砲の長距離射撃で姫級深海棲艦の空母棲姫を撃破したという、些か頭のネジがぶっ飛んでいる様な功績がある艦隊随一のエース田沼が居るし、なんか師事に近い関係でもあるみたいだから、まぁ取り敢えず聞いてやるかと思っている者が居る事を、この航海を通じて感じ取っていた。

 

 だがそれが今回の様なデリケートな事態に関しては致命的な齟齬を生じさせる可能性があった。

 

 それを考慮して田沼が土方の代わりに水上艦隊の対応に当たっていた。

 

 

 同時に作戦を共にする新ロシア連邦(NRF)艦隊にも同様の通達を送っているが、こちらには賛同を得る以外の、別の意味合いも含まれていた。

 

 

 新ロシア連邦(NRF)は既に独自のルートで深海棲艦との和平に向けた動きに出ていた。もしも日本艦隊の中で今回の休戦交渉に反対し阻害する動きを見せた途端に、新ロシア連邦(NRF)は即座に敵対行動と見做す可能性を土方は田沼に警告していた。

 

 そこから田沼は最悪の場合、現在行動を共にしている新ロシア連邦(NRF)艦隊が強硬手段をとると危惧していた。

 

 

「間違い無くやる。彼等は…、いや、()()()は必要と判断したならば躊躇しないだろう」

 

 

 この土方の断言に、田沼は苦々しい顔を浮かべる。

 

 

「勘弁してほしいものですね。

 

 連中が本気なら、こっちはマトモに対抗する手段がありませんから。最悪、一瞬にして海の藻屑になりかねませんよ…」

 

 

 頭のネジがぶっ飛んでいる事で有名な田沼ではあるが、自分達の艦隊の現状くらいは把握している。

 

 現在艦隊でマトモに使える武装は主砲と機銃くらいなものなのだが、その弾薬の充足率すら覚束ない。

 

 ましてやミサイルを始めとした誘導弾なんて贅沢品は、殆どの艦が装備出来ていない。

 

 そもそも今まで使用していた誘導弾の製造ラインそのものが最早存在しないのだから、補充する事が不可能なのだ。砲弾は新ロシア連邦(NRF)のウラジオストクに移転した工場でなんとかほそぼそと製造を続けているが、誘導弾に関しては今更の様に取ってつけたような「技術流出の懸念」を理由とした政治的な問題で頓挫していた。今装備しているのは残り少ない在庫を遣り繰りしたものである。

 

 

 こんな状態の艦隊で完全武装の新ロシア連邦(NRF)艦隊と撃ち合って勝てると思えるほど、いくら頭のネジがぶっ飛んでいる田沼とはいえ、そんなぶっ飛んだ楽天家ではない。艦娘を投入したとしても母艦がやられたら意味が無い。

 

 

 それに田沼の頭にはある懸念事項があった。

 

 

「(新ロシア連邦(NRF)艦には未確認だが、従来とは一線を画す画期的な新型ミサイルが装備されているとの噂がある。

 

 その新型ミサイル、『バグラチオン』は深海棲艦に対しての使用を想定して開発されたとの分析がある。もしそれが事実なら、艦娘に対しても使用可能であると見た方が無難だ)」

 

 

 新ロシア連邦(NRF)は使用されている技術などの観点から『Белорусская(バグラチオン)』シリーズに関する情報は可能な限り秘匿に努めている。

 

 それでも噂レベルで各国の軍部にこうしたおおよその情報は出回っていた。その評価はかなりまちまちではあるが、少なくとも田沼は脅威と成り得ると考えていた。

 

 

 ただ一つだけ付け加えるなら、最新改良型である『Белорусская(バグラチオン) М』に関してはごく最近開発が完了して製造が開始されたため、現在作戦行動中にある艦艇には配備されていない。それでも現行型でも充分に脅威と成り得るため、田沼の懸念も強ち間違ってはいなかった。

 

 

「最悪の場合、こちらでも手を打つ。あの娘達は既にそれを想定してヤる気でいるが、正直それだけは避けたい」

 

 

 そう言って土方は扉の方向に視線を向ける。それだけで田沼は察した。

 

 

「無いとは思いますが、本当に万が一が起きない事を願うしかないですね。私としても無駄な犠牲を出したくないからこそ、この作戦に賭けて賛同したのですから。念の為、この後各艦に再度念を入れて通達しておくことにします」

 

 

 普段は優しく温和ながらも、時と場合によっては苛烈な一面を見せる春雨(ハルサメ)達が、情け容赦無く艦内を制圧する状況を想像し、顔を顰めながら話す。

 

 あの娘達なら、間違い無く平気な顔でブラッドバスにすることくらい、仮令相手が味方であったとしても平然とやりかねない。そんな確信が田沼にはあった。

 

 

 気を紛らわせるかの様に紅茶を呷るが、熱さの事を失念してしまっており、咽返る事となった。

 

 

 

 一方その頃、新ロシア連邦(NRF)艦隊では───。

 

 

───────

 

 

 

 新ロシア連邦(NRF)艦隊では事前に艦隊首脳部にのみ今回の作戦行動に関する情報開示がТихоокеанский Флот(太平洋艦隊)司令Революция(レヴォリューツィア)大将こと、Гангут(ガングート)の名で通達が成されていた。

 

 そして現在、日本からの放送終了後、新ロシア連邦(NRF)大統領府であるクレムリンから国営メディアを通じてКуту́зов(クトゥーゾフ)大統領の緊急会見が生中継されていた。

 

 

 Куту́зов(クトゥーゾフ)大統領は椅子にゆったりと凭れ掛かるようにして座り、机を挟んでインタビュワーが座っている会見場の映像が流れる。

 

 

「«ご公務でお忙しい中、出演に感謝しますКуту́зов(クトゥーゾフ)大統領。

 

 早速ですが、先程の日本海軍マシツマ大将の記者会見についてですが、大統領の率直なご意見をお聞かせ下さい»」

 

 

「«“我々人類は今、生き残りを賭けた戦闘の時代を生きていると言える。”

 

 日本海軍で艦娘の総指揮を執る真志妻亜麻美(アマミ・マシツマ)大将閣下の言葉の引用だが、それは我が母なる祖国、新ロシア連邦(NRF)もその大いなる戦いの渦中の真っ只中に居る。

 

 だがその結果、マシツマ閣下も仰った通り、我々人類は終わりの見えない戦いによる破滅に向けた未来へと突き進みつつある。

 

 現に西ヨーロッパでは一部の傲慢な人間による私利私欲によって、我々人類の戦友にして盟友であったはずの艦娘達に対しての許されざる卑劣な裏切り行為を働いたことで、数多くの艦娘達が我慢の限界を迎えて西ヨーロッパ各国を見限り、独自勢力となって自らの道を歩み出す事となった。

 

 特にイギリスでは艦娘によるクーデターが起き、ウェンザー王朝が倒れ、嘗てのイギリス女王の名を冠する艦娘、Queen(クイーン) Elizabeth(エリザベス)女王陛下による新王朝の誕生と王政政治が復活し、人類普遍の敵とされていた深海棲艦との電撃和平にまで漕ぎ着けたという»」

 

 

「«ええ。私達メディアもここ最近の、そう、まるで地殻変動の様な急激な情勢の変化に驚きを隠せないでいます»」

 

 

 

「«成る程。地殻変動か…。君、なかなかに言い得て妙だね»」

 

 

 インタビュワーの発した言葉に感心した様な素振りで笑みを浮かべ、軽口を叩くКуту́зов(クトゥーゾフ)大統領に釣られる様にして、会見場に笑いの声が溢れた。

 

 

 

「«今回のマシツマ閣下の決断は君の言う地殻変動の様な一連の情勢変化とまったくの無関係では無いだろう。この終わりの見えなかった争いに終止符を打つ、一筋の光明であると同時に、平和に向けた新たな試みの一歩であると私は考えている»」

 

 

「«ですがマシツマ大将の行為は政府の預かり知らない状態で秘密裏に進められたとの事で、マシツマ大将の越権、暴走行為なのではないか?との指摘がある様ですが、大統領はどの様にお考えなのでしょうか?»」

 

 

「«確かに。彼女は飽く迄も艦娘を率いる立場にある最高位の軍人ではあっても、国政に携わる政治家ではない。それに関しては完全な越権行為として今後問題行動として断じられなければならないだろう。

 

 そうでなければ政府の意向を無視して軍人が交戦状態にある勢力に対して独断で休戦交渉を進められる事となってしまう»」

 

 

 インタビュワーの問い掛けに頷いて返し、肯定的な見解を語るが、椅子にゆったりと座った姿勢から徐ろに机の上で手を組み、やや前屈みな姿勢へと変えると、インタビュワーに対して…、いや、おそらくこの中継を見ているであろう人々に向けて一つの問い掛けをした。

 

 

「«だが考えてみてほしい。

 

 今の日本はマトモに政府が機能していると言えるのだろうか?»」

 

 

 

 この問い掛けにインタビュワーは返答に困った様な表情を見せるが、もとより答えが返ってくるとは考えていなかったのか、Куту́зов(クトゥーゾフ)大統領は構わず続きを語り始めた。

 

 

「«これはМО(国防省)МИД(外務省)の関係者から聞いた話なのだが、我が国からの軍事援助を始めとした民生品や医薬品などの様々な援助の打診に、日本政府はいつも真剣に対応しようとしないとの苦言を呈している。

 

 自分達の軍隊が自力で満足に戦えるだけの状態に無く、国民が塗炭の苦しみに喘いでいるにも関わらずに、だ。

 

 その都度マシツマ閣下が政府に対して苦言を呈するなどの行動がなければマトモに話が進まないし、聞くところによるとマシツマ閣下が動く事で行政が回っているとの話すらある。

 

 これではまるで日本の真の指導者はマシツマ閣下ではないかね?»」

 

 

 この発言は少なからず誇張されているが、確かに新ロシア連邦(NRF)による対日援助の交渉に関して真志妻が大きく関与していた。

 

 しかしより正確に期すなら、真志妻が動く時は決まって自身が愛して止まない艦娘達に直接関わるものに限定されている。

 

 

「«それと、これはСлужба внешней разведки(対外情報庁)からの報告なのだがね、どうもこの出撃の背景には元々アメリカから別の目的を達成させる為に、日本政府と軍部に対して相当な圧力掛けがあったとの諜報分析があったのだよ»」

 

 

「«そ、それは本当ですか!?»」

 

 

「«うむ。どうもマシツマ閣下を疎ましく思う者達が、閣下を失脚させる目的で仕組んだのではないか?と私は考えている。

 

 出撃している艦隊の指揮はマシツマ閣下が最も信頼を寄せ頼りにし、我が軍でも智将として勇名を馳せているヒジカタ中将閣下が執っている。その艦隊が壊滅すればマシツマ閣下に全ての責任を押し付けて失脚させ、同時に軍内部で閣下を推す派閥の一掃をする腹積もりだったのだろう。実に莫迦莫迦しい限りだがね。

 

 自国の防衛を司る最重要な軍人すら、自らの保身のために守ろうとせず、簡単に切り捨てるのが今の日本政府の偽らざる現状なのだ»」

 

 

 Куту́зов(クトゥーゾフ)大統領は怒りを滲ませながら語り続ける。

 

 

「«私としてもマシツマ閣下の手腕を高く評価しているし、なにより閣下は艦娘達を誰よりも人類の盟友として大切に扱おうと日々努力を惜しまない、稀有な御仁だ。そんな偉大な人物を愚か者共の権力闘争や愚策で失うのは惜しいと前々から考えていた。

 

 …私は悩みに悩んだ末、日本艦隊が壊滅する事態が回避出来ればと、Министр(国防相)と協議しТОФ(太平洋艦隊)の出撃を許可した。

 

 今にして思えばこの判断は、自分で言うのも些か恥ずかしいが、英断だったと思っているよ。そしてこの判断を下せたのは神からの思し召しがあったからだとすら思っている。

 

 そしてマシツマ閣下は愚か者共の企てを逆手に取った。実に見事としか言い様が無い»」

 

 

 陰謀を企てた者への皮肉と真志妻大将への称賛の気持ちから、笑みを浮かべるКуту́зов(クトゥーゾフ)大統領にインタビュワーも口元に笑みが浮かぶ。

 

 

「«では大統領、最後に、何かお伝えしたいことはございますか?»」

 

 

 

「«今回の特別軍事作戦の主軸は日本艦隊であるものの、この作戦の真の目的は戦闘に(あら)ず。今までは人類共通の敵という事とされてきた深海棲艦との対話が本当の目的である。私はこの勇気ある決断を下したマシツマ大将閣下に最大限の敬意を払い、その英断を全面的に支持するものである。

 

 そしてこの作戦に従事する艦隊将兵諸氏にこの場をお借りして伝えたい。

 

 この作戦は今までにない全く新しい世界秩序の構築と、真の世界平和に向けた大義ある作戦である。その瞬間に立ち会う事となる諸君らはまさに、歴史的な一歩を踏み締めた者達を見届けた神聖なる証人として、その名は永遠のものとなるであろう»」

 

 

 

 これがКуту́зов(クトゥーゾフ)大統領による会見の中継内容だった。

 

 

 元々タカ派として知られ、先の大戦ではМинистр(国防相)として第三次大戦の東欧紛争を戦い抜き、日本による卑劣な背後からの奇襲に際して断固たる対応によって返り討ちにし、当時大統領として祖国を支え、現在は政界から身を引いているも未だ高い支持を得ているПутина(プーチナ)前大統領と共に二人三脚で祖国に勝利を齎した英雄として、彼も非常に高い支持を得ている。

 

 それに元々軍から政治家になったという経歴もあって、特に軍関係からの支持が最も厚かった。

 

 

 

 さて、この会見の生中継終了後の新ロシア連邦(NRF)艦隊であるが───。

 

 

 

「同志諸君らの中には、今回の特別軍事作戦は元々は弱体化しているянки(ヤンキー)共の圧力にすら抗えない惰弱なЯпония(イポーニャ)の問題であり、我が国に関わりのある事では無いとしてこの出撃に対し疑問に思っている者達もいることだろう。

 

 

 私もその一人だ。

 

 

 だが、同志Куту́зов(クトゥーゾフ)大統領閣下が仰られたとおり、この作戦は新たなる世界秩序の構築へと繋がる重要な歴史的一歩なのだ!

 

 我々はその全てを見届けた栄誉ある証人として、この歴史的瞬間を見届けなければならない!何故ならばこの後に起きるであろうこと全てをその目、その耳で記憶し、世界にその時何が起きたのかを!真実を伝えなければならない!

 

 それが同志諸君!そして私が母なる祖国と、神から与えられた神聖なる使命なのだ!!」

 

 

 

 …本来ならばここに居ないことに一応なっていたはずで、当の本人も「私は日本海軍との連絡将校として派遣されて来たСофи(ソフィー)少佐だ」として艦隊に乗り合わせていることとなっているГангут(ガングート)が、そんなこと忘れたと言わんばかりに、こうカッカカッカと血が騒いで会見終了直後よりマイク片手に、まぁ、いつもの調子で艦隊全艦に放送しちゃったものだから、旗艦『Адмирал(アドミラル) Горшко́в(ゴルシコフ)』級フリゲート艦『Адмирал(アドミラル) Исаков(イサコフ)』の艦長兼臨時司令の立場に居るЯковлев(ヤコヴレフ)大佐は軽い頭痛を覚えた。

 

 

 とは言え、そんな豪放磊落な彼女だからこそ、半ば艦隊の名物として部下の士卒から親しまれていたりもするし、それなりに士気の維持高揚にも役立っていたりするものだから、艦隊の幹部が苦言を呈してもいつもの光景として流されていたりもする。

 

 

 取り敢えず新ロシア連邦(NRF)艦隊はこんな感じで、1人が血が無駄に騒いで暴走して勝手に演説をかまし、それに対して1人が頭痛を覚えた程度で、勢いに任せてさしたる混乱も無い状態で乗り切ったのであった。

 

 

 

 そして───。

 

 

 

「…ニホン艦隊旗艦、『カガ』より発光信号を確認!続けてメインマストへの旗旒信号の掲揚を確認!!」

 

 

 

 その報告に続き、日本艦隊全艦のマストに『かが』と同様の旗旒信号が掲揚されたのを確認したと、艦橋に立つ監視員から報告を受けたЯковлев(ヤコヴレフ)大佐は安堵の溜め息を吐いた。

 

 

「…ヤレヤレ。どうやら何も起きずに済みそうですな」

 

 

 自身の隣に立つСофи(ソフィー)少佐ことГангут(ガングート)はその双眸を日本艦隊に向けたまま、短く「ああ…」とだけ答えるが、その口元に僅かな笑みを湛えているのをЯковлев(ヤコヴレフ)大佐は見逃さなかった。

 

 

「同志Яковлев(ヤコヴレフ)、こちらも返答の旗旒信号を。

 

 それと、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

Всё понятно(フスョー パニャートナ)

 

 

 Гангут(ガングート)はそのまま踵を返して自室に戻り、鍵を閉めたことを確認してデスクの引き出しから一通の既に開封された封筒を取り出した。

 

 その中に入っている書類は、国防相のサインが入った封密命である。

 

 


 

 

 もしも日本艦隊で叛乱が発生し、その鎮圧がヒジカタ閣下の手に負えず失敗した際は即時に介入せよ。叛乱将兵は殺害しても構わないが、叛乱艦娘は極力無力化せよ。また必要と判断したならば叛乱艦に対し発砲、その結果撃沈に至っても構わない。行動の詳細は貴官の裁量に一任する。全ての責任は本命令を発した私、Мирослава(ミロスラヴァ) Иванова(イヴァノヴァ)が取る

 

 発、Министр(国防相) Мирослава(ミロスラヴァ) Иванова(イヴァノヴァ)

 宛、ТОФ(太平洋艦隊)司令Софья(ソフィーア) Октябрьская(オクチャブリスカヤ) Революция(レヴォリューツィア)大将

 

 


 

 

 この命令に基づき、艦隊各艦に乗り合わせているспецназ(スペツナズ)で訓練を受けた艦娘部隊が第一陣として目標となる日本艦に直接乗り込み、第二陣としてヘリ部隊でМорской спецназовец(海軍スペツナズ)の隊員による本隊を降下させて制圧する準備が整えられ、同時に以下の密命を通達していた。

 

 

『“ヒジカタ中将の身柄の安全は最優先とせよ”』

 

 

 これは封密命に明確な文言こそ無かったが、“行動の詳細は貴官の裁量に一任する”で始まる最後の一文にのみ、わざわざ強調するかの様に下線が引かれていた事から、Гангут(ガングート)Мирослава(ミロスラヴァ)がこの一線に込めたであろうその意味を察したのである。

 

 

 ヒジカタだけは何があっても死守せよ!との強い想いが込められていると。

 

 

 そして全艦の主砲を始めとした対艦攻撃オプションは命令があり次第、いつでも日本艦隊護衛艦に向けて指向出来る態勢で待機していた。

 

 

 新ロシア連邦(NRF)は土方と田沼が予想した通り、強硬手段に打って出る構えでいたのだ。

 

 

 だが、その必要は無くなった。

 

 

 少なくともこの作戦に参加している日本艦隊は真志妻と土方に賛同する意思を示したのだ。

 

 

 Гангут(ガングート)はこの結果に満足し、僅かに微笑むと、意味の無くなった封密命の入った封筒を灰皿に置き、徐ろに懐から愛用のパイプを取り出して刻んだ煙草の葉を詰め、マッチで火を点けた。そして火がついたままのマッチを消すこと無く灰皿に置いた封筒の上に放り投げた。

 

 マッチの残り火が封筒に燃え移り、中の封密命の書類諸共燃え出して物的証拠の記録が残らぬ様に火の中に消えていくさまを、パイプを吹かしながら見詰めた。

 

 

 

 

 

 因みにまったくの余談だが、先の演説は土方にもバッチリと聞かれており、後にその事を知ったГангут(ガングート)は羞恥から顔を真っ赤っ赤にして身悶えた事実を付け加えておく。

 

*1
なお真志妻大将の意向も非公式ではあるが、少なからず介在している。





 取り敢えずこれで艦隊は予定通りサイパン島へと向かいます。

 それにしても書いていくうちにタイムスケジュール滅茶苦茶、色々と穴だらけだなと改めて思う今日此の頃…。


 

───────


補足説明

ロシア対外情報庁(Служба внешней разведки 略称СВР)

 英語:Service of the External Reconnaissance of Russian Federation
 ラテン文字転写:Sluzhba vneshney razvedki Rossiyskoy Federatsii

 一般的に認知されていると思われますSVR呼びは、上記のラテン文字転写の略称から来ています。


 読んで時の如く、ロシアの国外諜報活動を司る情報機関で、嘗てのKGBの対外諜報を担当していた第一総局の後継機関になります。


───────



 怒られるかもしれないが、新しく就任した首相、私はあまり信用していない。前任者2人よりかはまだマシかもしれないが、私の中ではマイナス値からゼロに近付いただけでプラス値には届いていない。それに、党内そのものの中身やパワーバランス等を鑑みると、大元が大きく変革しなければ頭を挿げ替えようともそこまで期待出来る要素が無い。

 どう舵取りしていくのか、ただ少なくとも国防も絡む外交面でいきなりチョンボをやらかした。NATO及びEU、そしてアメリカでさえ内部対立の火種と化しているウクライナに対する支援の継続。これは今後大きな負債と課題となって日本に降りかかるだろう。

 複数の情報から、戦況は既に前大戦末期のドイツに近い状態となっている。ウクライナ応援団の西側メディアでさえ、その論調が次第にウクライナに対して厳しい物へと変化しているし、なにより支援疲れから民意もどんどん離れて行っている。結局皺寄せはいつも国民に押し付けられ、いつまでもプロパガンダでイデオロギーを煽るだけでは国民は付いて来ない。

 腹が減っては戦はできぬ。

 だが西側諸国ではこの教えが軽視されて久しい。

 共産主義者やグローバリストには経済が悪化し、国民の貧困率が増えれば増えるほど国民は政府を頼ろうとして権力の集中が合法的にやりやすくなる。中小零細企業の力が弱まれば大企業への依存が強まり一極集中化が強まる。そして一部資本家へと富は集中し、その富が子飼いの政治関係者に流れ、都合の良いNGOなどの非営利団体を通じて富の分散や国外流出が加速し、国民への富の還元は停滞する。一例を挙げるならば国内投資による富の循環が不充分になり、国内は益々痩せ衰える。

 これが今の西側諸国の現状だ。

 無論移民問題もあるが、これも上記の構造と密接に関係している。

 安い労働力の確保。しかし実態は安物買いの銭失いだ。この事実は欧米の実態を調べた事がある人なら常識だ。現在の移民政策は経済成長にとって寧ろ足枷となっている。

 治安、社会保障、公衆衛生、国家安全保障、宗教対立、人種。挙げだしたら切りが無いが、それらに対応する為に消えていく多額の予算、我々国民の血税。

 共生などという美辞麗句を使った所で、意見や考え方の相違だけで自国民同士でさえ容易に対立、分断が起きるのに、そこに全く違う価値観を持った者達が押し寄せたらどうなるか?

 それは人類の歴史を紐解けば自ずと答えは出て来る。

 だが、一度構築された構造はそう簡単にどうにか出来る代物でもない。所謂既得権益構造と化しており、あの手この手で生き残りを図ろうとする。

 残念ながら今の主要政党の多くはその既得権益構造に雁字搦めとなっている。

 この状態で、果たしてマトモに身動きがとれるだろうか?打ち出す方策は外面は良くても、中身をよく見たら骨抜きや抜け穴だらけではないだろうか?

 こうした点をより注意深く見詰め、疑問には声を上げる事が、これから有権者には求められる事だと考える。

 そもそも声を上げる、言論とは民主主義の根幹なのだから。口を閉ざして何も言わない。或いは言えなくされるのは民主主義の否定にしか他ならない。


───────


 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想、若しくは分からない点に関しましての質問がありましたら返信で可能な限りお答えし、後書きの補足説明にも加筆致しますので、よろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。