艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり 作:稲村 リィンFC会員・No.931506
いよいよ深海棲艦マリアナ諸島勢力圏へと突入。の前に、「もしもし?問題発生」
「ヌオぉぉぉ…!!」
「まぁ…、その、なんだ。気をしっかり保て」
艦隊は予定通りマリアナ諸島サイパン島への航行を続けていた。
日本艦隊では最初こそ混乱はあったものの、艦隊乗員はもとより士気が低かった事からも「戦闘が起きないのならば」と賛同の意思を示し、艦娘達は最終的には自分達が敬愛するボス、“総提督”真志妻亜麻美の考えならばそれに従うという形で落ち着いた。
その後にマリアナ諸島に到達する前の、最後の打ち合わせをすべく関係者を『かが』へと呼び集めていた。
日本艦隊からは艦隊を指揮する土方司令、旗艦『かが』の艦長田沼少将。
流石の土方もこれには宥めるしか出来なかったが、嘗て
「それで、例の件についてだが、矢張り潜水艦か?」
「あぁ。音紋の解析から
先程の羞恥に身悶えていた姿は何処へやら、真面目な話となると途端にスイッチが切り替わって落ち着き払った姿となるのである。
因みに音紋とは水上艦艇及び潜水艦のエンジン、推進器、船体の振動などによって発する音の周波数を分析して得られる波形の特徴から、人間の指紋の様に特定が可能であり、その音源から艦種と艦名を割り出せるのである。
特に水中での活動がメインの潜水艦だと、目視確認が困難であるため音紋解析による識別に依存している。
閑話休題。
「…1隻だけか?」
「今のところは。
それと、ここへ赴く直前に
この事に関してそちらで何か情報はないか?」
土方は1隻だけの米原潜に何か引っ掛かる物を感じたが、一旦棚上げにして先に
「関連があるとすれば、在日米軍が岩国基地周辺で空軍の基地航空隊とトラブルを起こしたという情報がある。
詳しい内容は情報が錯綜していて不明だが、今の段階で分かっているのは現地の空軍基地航空隊の活動を米軍の無人機が突如飛来し妨害。同時刻、周辺空域を監視するレーダーサイトが南下する不明機を一瞬だけ捉えたとの情報もある」
「
なんせ基地航空隊に所属する貴重な対潜哨戒機の
土方の言を引き継ぐ様に田沼少将が補足を述べた。
これらの返答を受け、
「ふむ…。空軍のミサワではなくイワクニか…。イワクニは在日米軍の海軍と海兵隊が使用する航空基地だが、オキナワのカデナから撤退した空軍も利用していると聞く…。
で、だ。そのことについて貴様に聞きたい。この一連の出来事について何処まで認識している?」
そう言って
彼女は
本作戦に際して在日米軍第7艦隊からのオブザーバーという形で乗り込んでいるが、先の
「…誤解の無いように願いますが、最初に述べられました原潜を含めて我が軍の一連の行動について、
しかしそれでも艦隊の参謀を務める艦娘である。
「巫山戯ているのか貴様?西太平洋方面は貴様が属する在日米軍第7艦隊の活動範囲だろうが!それにも関わらず、その活動範囲内で作戦行動中の部隊に関して司令部付き参謀の貴様が何も知らんとは何事かッ!?しかも同盟国の軍にも被害を出しているというではないか!?」
「何度でも申し上げますが、この一連の行動について
それにヒジカタ中将とタヌマ少将が情報の混乱が起きているとのお答えがありました。詰まり情報の真偽が不明であるため、私からお答え出来る事はありません」
「貴様ッ!」
「よさんか
ヒートアップする
この場に居る全員がこの
そして何故わざわざ
それは偏に階級の問題である。
この艦隊を指揮しているのは土方であるが、その階級は中将である。対して
軍事常識的に中将が大将に対して命令を発する訳にはいかない。しかもそれが他国の軍人であるなら尚更である。後々に外交問題へと発展する危険性を孕んでいる。
本来ならば
ただそうなると、今の
しかも相手はアメリカ第7艦隊の艦娘部隊を指揮する司令部付きの参謀の立場にある艦娘である。
アメリカ軍では艦娘に正式な階級は与えられてないが、その拝命された役職が事実上の階級代わりとなっており、参謀は佐官クラスに相当すると各国では認識されている。
そして
詰まり
しかも今までの言葉づかいも、今の
土方とそれなりに付き合いのある
「…ヒジカタ閣下。出過ぎた真似なのを承知な上での発言です。
我が軍が感知したこの偵察機の動きは、当該原潜による長距離
これは
これがその命令書です」
そう言って持ち込んだ鞄から一通の封筒を取り出し、土方に差し出す。
封筒を受け取り中身の書類を取り出す。その文章はロシア語の
英文の書面を手に取り、内容を読むと確かに先の発言内容と一致する文言が記載され、両方の書面の末尾には国防相
念の為、土方は部屋の隅で控えていた
2人は2ヶ国言語で書かれたそれぞれの書面を受け取るとすぐさま速読し、双方内容が一致していることと、自分達のメインフレームのアーカイブに記録してある
この確認作業の終了を待って
「閣下はアメリカが休戦交渉を妨害する目的で強硬手段に打って出る可能性を懸念しておいででした。
先のマシツマ閣下の発表があったこの期に及んでも、貴国との同盟国であるはずのアメリカは公式には明確な態度を見せておりません。であるならば、最悪の事態は想定すべきであると判断致します」
口調こそ改めてはいるが、この
事実
しかもアメリカは自分達にとって目障りな真志妻大将を失脚させるべく、今回の大元となる作戦を仕組んだということもあって、
「…成る程。そいつは確かにあり得る話ですな。
土方司令、ここは一旦真志妻大将を通じて
田沼少将は
これはある意味でアメリカに対する牽制にもなるし、何を目的としているかを推測する上での探り針にもなる。
「いや待て。
少佐、米原潜は間違いなく1隻だけか?それと艦名は特定出来ているか?」
「…現在確認されているのは間違いなく1隻のみです。音紋解析の結果から、『
「…『
「…あの引き篭もりの第3が?…と、失礼」
「いえ。事実ですから。
ですが張り子の虎の水上艦隊は兎も角、潜水艦隊は深海棲艦からの妨害を受けずに比較的安全に作戦行動が可能なため、現在最も活発に動いている実動部隊です」
事実ハワイ失陥以降、アメリカ海軍艦艇の活動は目に見えて停滞していた。
表向きは深海棲艦による本土への本格的な侵攻に備えての艦隊戦力の温存のためとされているが、造船業の著しい衰退によって現有戦力の維持すら厳しく、これ以上の戦力損失を恐れて“
その事でアメリカ政府と軍は国民に対して「現有艦隊がハワイの深海棲艦にプレッシャーを与えており、本土への直接侵攻を躊躇させている。艦隊が居る限り本土は安泰である」と盛んに喧伝しているが、アメリカ軍に所属する艦娘達は港をほぼ出る事がなくてただ桟橋で括り付けられている事が多く、見てくれだけは立派だが老朽化しつつある自軍の艦艇の有様から、単純に深海棲艦からマトモに相手にされていないだけだとして、冷ややかな目で見ている者が多かった。
実際、東太平洋方面を担当する深海棲艦達は、太平洋の分断による日米連絡線の遮断の継続と、その維持の為にアメリカ艦隊の封じ込めが出来ればそれで良し。と考えており、アメリカの方針は願ったり叶ったりだったりするため、艦娘達の読みは強ち間違いとは言い切れなかった。
「とは言え、妙な話だな…。
第7艦隊所属艦ならまだしも、活動範囲外の艦隊からわざわざ太平洋を横断させるのは幾らなんでも非効率の極みだ。
そもそも第3艦隊の根拠地である西海岸からここまでは距離がありすぎて、いくらこの艦隊がぶっつけ本番の共同作戦の都合から、航行しながらの合同訓練などで通常よりも時間を掛けているとはいえ、このタイミングでこの艦隊を捕捉し追尾しだすには、とてもじゃないが時間の計算が合わないぞ」
ここでは伏せているが、第7艦隊が根拠地としている佐世保基地近海には攻撃型原潜である
それと同様に北米大陸の西海岸領海近辺にも数隻がパトロールで派遣──ただしローテーションの問題から西海岸全域をカバーするだけの艦数ではない──しているが、その際に掛かる移動時間から計算して、この艦隊が出撃するタイミングに合わせて西海岸の基地から出撃したとしても、このタイミングで接触するには時間が合わないのだ。
事前に待ち伏せする様に出撃していたとしても、今度は艦内の食糧等の備蓄物資が不足する危険性がある。ハワイという太平洋全域の海軍戦略に於ける最重要な要衝を失陥したツケとも言える。
そんなリスクを冒すくらいならば、初めから第7艦隊の所属艦を向かわせる方が効率的だ。わざわざ第3艦隊から向かわせる必然性が無い。
「おそらく
アメリカはハワイが深海棲艦によって制圧されて以降、パール・ハーバーの海軍基地施設を中心に戦略爆撃機による高々度爆撃を定期的に実施している。
しかし先の世界大戦で衛星網に大きな損害が出た影響で、事前の情報収集と渡洋爆撃に必要となる航法に問題が発生したため、攻撃型原潜が支援のために展開していた。
「ハワイ沖に到着して任務に就いたばかりの艦を向かわせたとしましても、かなり無茶をさせていることになりますね」
「本国の潜水艦隊は比較的物資の供給が優遇されていますが、同時に最も酷使されている事で同胞の
この
先にも述べたが、
当初の予想では小松島からの艦隊出撃に合わせて佐世保から攻撃型原潜が動く可能性があるとして、それに対する牽制も兼ねて955型
この動きに対する警戒行動として攻撃型原潜が動いたのを確認した。
日本政府とアメリカが変な動きに出ない様に牽制する事が目的ではあったが、こうして派手に動けば艦隊への直接的、或いは間接的な邪魔な行動に出るかもしれない艦を減らす事が出来ると踏んでいたが、予想に反して小松島を出発した艦隊に対する動きに出てくる事は無かった。
考えられるのは、在日米軍の物資不足は予想よりも遥かに深刻であり、複数の攻撃型原潜を同時に動かすのは困難となっている可能性だろう。
無論、状況証拠からの憶測の範囲を出ていないが、実際動きが見られなかった以上、そう考えるしかなかった。
しかしこの一連の動きと情報から、ある意味で憶測の裏付けとなった。ハワイ沖に展開している艦を回してくるのは些か予想外だったが、そうしなければならないのが現状なのだろう。
それに1隻だけならどうとでもなる。こちらには念には念を入れて
彼らは艦隊への水中からの脅威の接近に対して警戒しており、米原潜を探知したのも彼らの内の1隻だ。
彼らは警戒を維持しつつ戦闘態勢に入っている。米原潜を如何様にでも料理出来る状態である。
同志ヒジカタに対する明確な脅威は密かに、だが確実に処理する。そう
「しかし、こうなりますとこの米原潜の目的は例のU-2偵察機の誘導となりますかね?」
ここからは米原潜の事からU-2偵察機の話へと移った。結局の所、アメリカは何を目的として動いているのかがイマイチ掴めない。
一番の関係者とも言える
「…まさかな。
少佐、
「いえ、本土を含めて
もっとも、我が国の衛星監視網も前大戦の影響もあって万全とは言えない状態であるため、100%の確証とは断言出来ません」
「だからわざわざいつもの哨戒機ではなく、貴重な早期警戒管制機を太平洋にまで進出させたのだろう?」
土方の指摘に
そう、通常は海上を監視するための哨戒機を飛ばして深海棲艦の接近を警戒・監視しているが、早期警戒管制機、所謂、AWACSは機体に大型のレーダーを装備し、別名“空を飛ぶレーダーサイト”と呼ばれる様な空中の監視と味方の航空戦力の航空管制を主任務とする機体である。
機内はレーダーを含めて複雑な電子機器の塊であり、非常に高価な機体で運用に掛かるコストも決して安くは無いため、保有している国は少なく、大量に保有している国は更に少ない。
日本は前大戦以前よりアメリカで製造された機体を保有していたが、製造元であるアメリカの製造業の衰退と物流が遮断された現在の状況では、消耗部品の入手が不能で運用が困難となり、保有機は全機退役に追いやられていた。
ただ日本を深海棲艦に対する外殻防衛線の重要な防壁と考えていた
その
ソ連崩壊後の経済の立て直しと再編。それが一段落したと思ったら第三次大戦が勃発。極めつけは戦後処理で割譲という名目で押し付けられた、荒廃した旧東欧東側──現在の
それでも新領土の防空網の構築に必要であるとの判断から、なんとか予算を遣り繰りして地道に増やしているが、充分とは言えていないのが現状である。
日本に送った機体が退役間際の古い機体だったのも、新しい機体や現役機は自国の運用に回すので手一杯という
そんな貴重な早期警戒管制機を
元々アラスカを担当とする
確認された当初は同時期に制圧されたハワイ諸島の
幾つか理由が考えられるが、パール・ハーバーとは状況が違い過ぎるのが先ず挙げられる。
深海棲艦との戦いの最前線となる事から住民が元々疎開していたハワイ諸島と違い、前線から遠く離れていた事もあってダッチハーバーに駐留していた守備隊は少なく、隣接する
だが深海棲艦の奇襲を受け守備隊はその殆どが住民を見捨てて逃走。ごく僅かな守備隊と住民だけが取り残された。
公式記録には深海棲艦の攻撃により全員死亡とされているが、実際は緩い占領統治による共存関係を築いていた。
この事実は半ば公然の秘密となっているが、アメリカ政府にとっては人類共通の敵であるとする深海棲艦へのイメージ・プロパガンダ戦略が根底から覆る事態として、不都合極まりない状態にある。
だからといって軍事的な強硬手段を用いて消し去ろうにも、ただでさえ経済の行き詰まりや政策の失敗が重なり、国内の統制が上手くいっているとは言えない状況が足枷となっている中で、自国民の生存者を巻き込む事を前提とした作戦行動は結果として国内の統制がコントロール不能に陥り、崩壊する危険性が高い事を恐れて実行を躊躇わせていた。
次に、地理的な問題である。
ベーリング海を挟んだ対岸は言うまでもなく、アリューシャン列島の西端にある
ダッチハーバーへの強硬手段に出れば
その際に何かの弾みで一歩間違えれば
深海棲艦と
故に大規模な奪還作戦は行なわれず、防御を固めるくらいで殆ど放置に近い状態だった。
とは言え流石に何もしないのは不味いと判断したのだろう。国内へのアピールとしてか、数機の戦略爆撃機がエルメンドルフ空軍基地に常駐する様になった。
現状これを政治的アピールのみに徹した戦力としてカウント出来ない遊び駒と見るか、状況に応じて自由に動かせる遊撃戦力と見るか、その判断が難しい。
状況次第でどちらにも転ぶ可能性があるのだ。
今までは深海棲艦という未知の敵に振り回され、そちらの対応に負われていたが、元々現政権の中枢メンバーは旧ロシア連邦時代から病的とさえ言われているほどの、過激な反ロシア強硬派思想で凝り固まった敵対政策推進派の者達が多数を占めている。
深海棲艦が動かない事をいい事に、彼等が病的なまでに敵対視する
事実、軍の予算編成などからその兆候があるとして、議会では保守党上院議員にして次期大統領候補の
特にオホーツク海は現在、
「領空付近をこれ見よがしに飛ばして牽制していますが、連中が本気でやる気なら、捕捉されようがお構い無しに無視して突破するでしょう。こちらは航続距離の問題で追跡が困難ですから、その飛行目的を外交ルートなどを通じて問い合わせても、訓練飛行や軍事機密などを盾にして
「だが何もしないよりかはマシだ」
可能性として米戦略爆撃機が長駆飛来し、ステルス性能を持った巡航ミサイルによる遠距離奇襲攻撃を艦隊に対して仕掛けてくるのではないか?と。
最も最悪の事態は弾頭に戦術核を仕込んだ無差別飽和攻撃である。艦隊の防空網を一発でも突破したら、艦隊は壊滅的な被害を受ける事となる。
「…となりますと、例の偵察機はこの艦隊に対する攻撃前の事前偵察行動と可能ならば戦果確認で、追尾中の米原潜は偵察機と戦略爆撃機の誘導及び残存艦へのトドメを刺す役割って所ですかね?」
「なんとも言えんが、連中が本気で仕掛けてくるつもりでいるのならば、その可能性はゼロではないだろう。
だがその為にしては水中戦力が少ないのが気掛かりだ。
「
現状手元にある数少ない情報から考え得る推論と対策案が述べられ続ける中で、
彼女自身、本心では自らが属する軍に対する信用は限りなく低く、目の前で話し合われているこの艦隊への自軍による攻撃の可能性に対し、否定どころか「本国の連中ならやりかねない」と考えていた。
しかし、一応はアメリカ軍に属するという自身の置かれた立場から、この場での発言で
それに、少なくとも彼女が信頼する直属上官の
艦隊旗艦の
ならば、何が起きようとも可能な限り泰然として傍観者に徹するのみ。
そう考えてこの場での積極的な発言は控え、ただこのまま静かに控えるつもりでいる。
さて、アメ公が何の行動も起こさないのは不自然かと思って書いてみたけど、この後どうするか…。
特に米原潜どうしよう?問答無用で撃沈か、拿捕か、衝突事態は起きない別の可能性か…。
補足説明
『
アメリカ海軍が冷戦時代、世界最大の配備数(改型の同型艦を含めて62隻)を誇った『
但し2020年代から冷戦時代に建造された『
また29番艦以降のBlockⅤの建造艦は艦体が大型化し、その水中排水量は10,400トンとなり(BlockⅠ〜Ⅳでは7,800トン)、艦体が細長く戦略原潜の『
…冷戦後のアメリカ兵器って調べてるとなんか迷走してるっていうか、ゴタゴタが絶えないイメージ。『
別名“艦隊保全主義”。
艦隊決戦の様な積極的な戦闘を避け、自軍の艦隊を温存することにより、艦隊の潜在的な能力で敵国の海上活動を妨害する事を目的とした海軍戦略である。
「Fleet in being」の言葉を最初に用いたのは、17世紀のイングランド海軍の提督、
大同盟戦争初期にイギリス主力艦隊の司令長官を務め、1690年6月にフランス艦隊と遭遇した際に消極的な退避行動をとった末、女王メアリー2世の命令でようやく“ビーチー・ヘッドの海戦”を戦ったが敗退。本国に帰還したハーバートは敗北責任を問われて軍法会議にかけられると、「私が常々述べているように、わが方が健在な艦隊を保有している限り、彼らフランス側はイギリス本土侵攻を試みるはずが無いのです。(I always said that whilst we had a fleet in being, they would not dare make an attempt.)」と、自己の消極的な指揮を弁明した。
このハーバートの言葉が以後そのまま戦略についての軍事学用語として定着した。
現存艦隊主義は、自軍艦隊が存在していることで生じる脅威によって敵国の海上活動を妨げようとする消極的な戦略構想である。現存艦隊主義に基づく基本的な艦隊運用は、出来る限り艦隊決戦を回避して自軍の海上勢力を温存することとなる。戦術的には、仮に海戦となっても敵艦隊の撃滅を追求せず、敵の攻勢戦略を阻止できる程度の損傷を与えることが目標となる。逆に自軍艦隊が撃滅されることを避けるために、柔軟な撤退が可能なような戦術行動を行う。「見敵必戦」をモットーとするような積極戦略とは対極に位置する。
このような現存艦隊が効果を発揮するのは、保全された艦隊が敵国の海上行動を阻止しうる潜在的な能力を保持している場合に限られる。たんに艦隊が現存するだけでは脅威とならない。
また現存艦隊主義の欠点としては、制海権の獲得が出来ないことである。自国の自由な海上活動を可能にするためには、積極的に敵艦隊の撃滅を図らなければならない。
現存艦隊主義は、国力に劣る国が、より強大な海軍国に対抗する戦略として採用されることが多い。劣勢国側が艦隊を温存して自己に有利な時と場所を選んで投入できる態勢を保持することで、相手国はいつどこに劣勢側の艦隊が出現しても対応できるよう、劣勢側以上の兵力を待機させなければならず、効率的に敵の海上勢力を拘束できる。
日本に於いて最も身近な例が、日露戦役における帝政ロシア海軍
もしも旅順要塞軍港に立て籠る
しかし帝國陸軍第三軍による旅順攻囲戦によってこの当初戦略は破綻した。ただ、もしも日本海海戦で第二
この先どうなるんだろうねぇ。正直分からん。だがこれだけは断言出来る。何かが崩壊する時、何かが終焉を迎える時、何かが消えた時、その後に訪れるものは必ずしも望んだ未来とは限らないこと。今よりももっと酷い未来かもしれない。
「こんなはずじゃなかった」
そう悔恨しながら嘗て夢見た理想とかけ離れた現実にただ絶望する事になるかもしれない。
理想と現実の乖離。それはいつの時代にだって存在した。
世界の嫌われ者は滅びて当然。そう考えるのは自由だ。だが本当に滅びた後に訪れる事を考えた事はあるだろうか?
最近の狂乱とも言える熱狂に、冷めた思いでいる。
あれから84年が過ぎた。84年後、その頃の歴史は今をどう評価しているだろうか?
少なくとも私は寿命的に生きていないのは確実だから、確かめる術が無い。あの世で笑っているか、それとも嗤っているか。
それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想、若しくは分からない点に関しましての質問がありましたら返信で可能な限りお答えし、後書きの補足説明にも加筆致しますので、よろしくお願いいたします。