艦隊これくしょん 総旗艦アンドロメダ、二度目の航海もまた数奇なり   作:稲村 リィンFC会員・No.931506

97 / 116
 受け入れ準備。


 すみません。社会復帰を目指して就活を始めましたのと、色々と用事が重なり執筆が遅れました。

 で、書ける時間でちまちま書いていましたら、また長くなりました…。


第94話 Preparation for reception.

 

 

 太平洋の大海原で一つの騒々しい茶番劇が静かに幕を閉じ、慌ただしい夜が明けた。

 

 少々応急修理に予想以上の時間が掛かり、思わぬ足止めとなったが、艦隊は早朝にサイパン島への航行を再開した。

 

 

 そしてそのサイパン島では、まぁ至って普段通りの朝を迎えていた。

 

 せいぜい、島の最高責任者である飛行場姫が朝食時に、日本と新ロシア連邦(NRF)からの派遣(使節)艦隊が今日中には到着する事を伝えたくらいだが、これと言って緊張感に包まれている様な事は無かった。

 

 

 何故ならその艦隊を率いる人物は、種族の垣根を越えて新たな同胞(はらから)として迎え入れられ、末席とはいえ上位種たる統率個体となったアンドロメダ姉妹が特に信頼する人物で、既に飛行場姫ほか統率個体の面々とも幾度となく通信でやり取りして信用出来る人間だと判断していたというのが大きい。

 

 また同胞(はらから)最大の脅威とされていたピンク髪の駆逐艦娘に率いられた精鋭の駆逐艦隊、春雨(ハルサメ)が率いる特殊遊撃隊が実はアンドロメダ直属の直掩護衛艦隊だった事と、今でもアンドロメダに仕える明確な意思を示した事で、敵対する理由が無くなったことに加え、そのアンドロメダから「今まで敵対する立場だったという経緯(いきさつ)から、土方司令、そして春雨(ハルサメ)さん達に思うところや恐怖心、疑いがあるのを重々承知の上で敢えてお願いします。土方さん達への蟠りを水に流して下さい」と上位種の姫級達だけでなく下位種の、所謂イロハ級と呼ばれる一般深海棲艦達にも何度も頭を下げて懇願(説得)して回っていたのも無関係ではない。

 

 

 そんな中で、かつてガラパン地区と呼ばれた場所にあるサイパン島最大の港湾施設とされた場所、タナパグ港の一角にてアンドロメダは1人の姫級と共に歩いていた。

 

 

「いやぁ~、なんとか間に合ったわね!

 

 どう?これで問題なく入って来れるわよね?」

 

 

「はい。ありがとうございますAlina(アリーナ)さん。お陰様で、とっても助かりました」

 

 

「いいのいいの。この程度お安い御用よ。でも、ちゃんとお願いした見返りはもらうからね?」

 

 

 アンドロメダは屈託の無い笑顔で感謝を述べ、Alina(アリーナ)と呼ばれた姫級はにこやかな顔でひらひらと手を振り、大した事では無いと告げるが、少し真剣な顔をすると対価に関しての確認の言を述べた。

 

 

「はい。それは問題ありません。ご要望は全て対応致しましたが、アレで本当によろしかったのですか?」

 

 

 真剣な話に真面目な顔となりながらも、アンドロメダは対価に対する疑問を口にする。

 

 彼女がアンドロメダに求めた対価というのは、“仲介”としての口利きのみであり、対価としては安すぎるのではないか?と思ったのだ。

 

 

「こういう物事は“Give and Take”が基本よ。貴方は私が出来る事を求め、その対価に私は貴方が出来る事を求めた。

 

 貴方にとって大した価値のある事で無くても、私や同胞(はらから)の、そして未来にとってはとても価値のある事なの。その逆もまた然りよ。お互いが必要とするものを交換し合う。BusinessでのDealの基本ってのはそういうものでしょ?」

 

 

 この答えに噂通りのヒトだなと思いながら、その顔を見遣る。

 

 

 彼女の名はAlina(アリーナ) Rimskaya(リムスカヤ)

 

 

 名前が有るがれっきとした深海棲艦の姫級で、人類、日本軍からは『港湾夏姫』と呼称され、港湾施設関係に特化した“港湾型”にカテゴライズされている陸上型の姫級深海棲艦である。

 

 その容姿は頭に巨大な花を象った物が乗った白い大きな麦わら帽子、服は豊満な胸元が露出した白いワンピースを着用しているという、まるで南国でバカンス旅行を楽しむ淑女の様な姿をしており、その独特さから『夏姫(なつき)』という特殊なカテゴライズとされたらしい。

 

 

 彼女は同胞(はらから)の中でも変わり者として有名で、性格は他の姫級達からはお転婆であり、好奇心が旺盛で興味を引く事には全力で突っ走る落ち着きの無さから、淑女の様な見た目に反してやや子供っぽいと言われている。

 

 

 元々彼女は深海棲艦の持つ最大の領土にして一大生産拠点であるインドネシアが任地であるのだが、その性格からそこまで重要でない場所を任せられている。

 

 それ以前の経歴は、紅海からのスエズ運河制圧後に実施された地中海侵攻支援のため、手勢を引き連れて紅海側の運河入り口部にあるPort Tewfik(タウフィーク港)周辺を拠点とし、地中海への補給線維持と拠点及び運河南側の防衛任務に就いていたが、たびたび視察と称して地中海方面に足を伸ばしていた。

 

 スエズ方面が落ち着いた頃に、最低限の手勢と共に何処で用意したのか、戦中に迫害され国外へと逃れたロシア系ポーランド人難民を自称し、Alina(アリーナ) Rimskaya(リムスカヤ)という偽名で偽造したパスポートを使って堂々とヨーロッパから飛行機のエコノミークラスで渡米し、アメリカのフロリダを活動拠点としていた戦艦新棲姫と南方戦艦新棲姫の2人が立ち上げた商社へと、手伝いと称して転がり込み、それなりに結果を残していた経歴もある。

 

 その後アメリカでの事業が安定期に入ったのを見届け、フロリダでのバカンスを存分に楽しんでからカリブ海の拠点キューバに立ち寄り、運河棲姫が管理するパナマ運河を通過して太平洋に出て中枢棲姫の居るハワイへ、そこからちょこっとだけダッチハーバーに立ち寄って北方棲姫をなでなでしたりして可愛がり労ってから再びハワイに戻り、サイパンを経由して元々の任地であるインドネシアへと帰って来たが、マレー半島侵攻後の現地の港湾施設再生に自ら志願して向かうなど、矢鱈とフットワークが軽かった。

 

 

 

 ところで、深海棲艦による港湾施設に対しての扱いに関してだが、当初はその活用への関心が薄く、見向きすらされていなかった。

 

 何故なら人型の深海棲艦達は砂浜さえあれば、そこから自らの足で海との出入りが可能だったからだ。

 

 非人型の深海棲艦も、一応砂浜からズリズリと這う様に上陸して移動する事が可能である。ただ移動スピードが遅くて敵襲を受けると無防備な状態を晒してしまい、実際過去に待ち伏せ攻撃で戦車等の装甲戦闘車両だけでなく、対戦車兵器を装備した歩兵隊に撃破された事実と、障害物を乗り越えるのが難しく、移動しやすい平地や道だと這いずる影響で地面をデコボコにしてしまったり、道を壊してしまうので、陸の上を動き回る事はあまりしなかった。

 

 

 そして深海棲艦の海上輸送網を支えているのは、“輸送ワ級”と呼ばれる巨大な球体状の物資輸送タンクの艤装に人型の上半身が付いている外観をした、輸送任務に特化した深海棲艦が担っているのだが、その特徴的な球体状の艤装は一見すると海の上をプカプカと浮かぶブイの様にも見えるが、彼女らはそのまま揚陸艇の様に砂浜へと自力で乗り上げる事が可能であり、タンクに収められた物資の荷降ろしが終われば自力で海へと戻る事が可能なのである。

 

 そのため基本的になだらかな砂浜さえあれば、人型の深海棲艦と同様にそこが謂わば港同然の扱いとなるのである。

 

 

 これに対して艦娘は自身が纏う艤装の保管と整備、修理や補給は勿論のこと、特に戦艦級の大型艦の艦娘ともなるとその艤装の大きさから単独での着脱が難しく、着脱を補助すべく専用の設備が必要不可欠で、それが鎮守府であり警備府。そして母艦の役割でもあった。

 

 深海棲艦は生体艤装という、謂わば体の一部や一心同体であるため、その様な設備は必要としていなかった。

 

 

 それでも港湾設備を整備しだしたのは、港湾施設及びそれに付随する施設が必要となる事態が起きたためである。

 

 

 深海棲艦が領有する嘗ての島国、インドネシアの存在である。

 

 

 インドネシアは深海棲艦と彼女らの庇護下にある人間達の胃袋を支える食糧の一大生産地であり、各地の支配領域や展開中の部隊へ、食糧を始めとした物資を送り出す供給地であることから、インドネシア各地には膨大な量の食糧や物資が集積されている。

 

 それらを順次運び出すためには、砂浜ではとても追い付かず、保管場所としても天候の影響、特に波浪の影響を受けやすかった。

 

 そのため倉庫などの保管設備がある港湾施設なら、安全に大量の物資を保管して管理が出来る集積地として便利であり、またマレー半島経由でどんどん流入して来ていた難民を抑える目的で旧マレーシア全土を制圧、タイ王国と旧国境線で接する様になったマレー半島駐留部隊と、結果的にマレー半島開墾の労働力として利用する事となった難民の労働住民達、元からマレー半島で暮らしていた住民達を養うため、食糧その他を安定して提供する物流・配送ネットワークにおいて、物資の“集荷”と“配送”の間に位置し、物資を一時的に集約・仕分けして、適切な配送先へ効率よく振り分ける中継センターの拠点としての役割も担える港湾施設は必要不可欠だと判断された。

 

 

 そのため、それまでは海岸線の単なる火力拠点の砲台くらいでしか活躍の場が無かった港湾型の姫級達が、俄に注目される様になった。

 

 彼女らは早速、飛行場姫などの陸上型姫級深海棲艦達の様に、領内各地で使う者が居なくなって放棄され、荒れ果てて朽ちつつあった港湾施設に自らの艤装を接続、侵蝕する事によって自らの艤装の一部とする艤装化によって荒れ果てた港湾施設を順次再生、再稼働させる事に成功。同時に輸送ワ級達が出入りしやすい様にスロープが設けられた。

 

 

 ここで思わぬ副産物として、海水の淡水化プラントも再稼働させる事にも成功した。

 

 

 この頃開墾によって拡大する耕作地や、領内での労働力としての人間の増加によって徐々に水不足の問題が起きており、特に水由来の感染症であるコレラや赤痢が人間達に蔓延しつつあったことから、労働力の低下を抑えるためにも飲料として使える安全な水の安定供給が急務となっていたのだが、丁度良い解決策の妙案が無くて姫級達は頭を痛めていた。

 

 

 そこへ海水の淡水化プラントが偶然再稼働した事によって、真水の安定供給手段が確保された。

 

 

 基本的にこの施設は海に面しており、また本来ならば淡水化に際して大量のエネルギーを消費するため、発電所や製油所に併設される場合が多いので、そこは若干無理矢理ではあるが、これらの施設も港の一部であるとして艤装侵蝕で稼働させる事が、本当に偶然だが出来た。なんか出来てしまった。

 

 これには全員が吃驚した。そもそも深海棲艦達はこんなプラントがある事なんて知らなかったし、この地に暮らしていた事のある人間達は国家の崩壊やら社会基盤の崩壊やら何やらの、長年に渡る酷い混乱で忘れ去っていた。

 

 

 兎も角、これで水不足が解消されるとして、類似した施設のある、若しくは隣接した港湾施設を次々と再生して再稼働させていった。

 

 

 つまり物流の拠点であり、なおかつ淡水化プラントによって大量の水の供給が可能な地域に港湾型の姫級達は集中している。

 

 ただし内陸部への淡水供給網の再構築には、何人かの陸上型姫級深海棲艦による艤装化の協力が必要である事が判明したのだが、無制限に拡げるには人数がとても足りず、取り敢えず届く範囲までは届かせ、内陸部では物流のハブステーションを担っている集積地棲姫や、交通の要衝防衛──という名の実質治安行政──を担っているトーチカ要塞棲姫他陸上防衛を担う姫級達が、あの手この手の密輸なりなんなりで入手した浄水装置を艤装化によって稼働させたりしている。

 

 

 同時に下水処理も進められており、陸上型深海棲艦の姫級達はそこそこ多忙であった。

 

 

 これに対してそれ以外の支配領域、例えばサイパン島の様なそれほど人間の人数もおらず、積極的な生産活動の拠点でない場所ではそこまで港湾施設を活用する必要性が薄く、補給物資は海岸の砂浜で揚陸してそのまま内陸へと運び込む事が多い。

 

 サイパン島では飛行場姫が拠点とする旧サイパン国際空港の南側にはすぐ近くにオブヤンビーチと呼ばれる海岸線があるため、ここで揚陸した物資はすぐさまこの飛行場施設へと運び込まれるので、そこまで不便であるとは考えられていなかった。

 

 また人間の人数の少なさはそこまで水不足に陥る心配もなく、飛行場姫が管理する空港周辺の水が供給出来る範囲で居住している事からも、不便にはなっていなかった。

 

 

 

 以上が深海棲艦の港湾施設に対する扱いの移り変わりである。

 

 

 ただ、日本からの艦隊派遣が決定したタイミングで、艦隊が入港可能な港の再整備が必要になるかもしれないとのアンドロメダの提言を受け、飛行場姫が姫級による協議の場である“円卓”にて相談を持ち掛け、議論の末に「今後人間達の船舶を自分達の管理する港に受け入れる事を想定するならば、そのために必要となる港の運用ノウハウを得るのに役立つ」とする意見が述べられたことから、アンドロメダの提言を聞き入れて港湾夏姫を派遣するとの決定が下された。

 

 因みに運用ノウハウ云々を唱えたのはその港湾夏姫であり、意見を述べた者として自ら赴く意思と用意もあると述べたため、人選に困らなかった。

 

 

 これはアメリカでの活動経験や各地を巡って見聞を深めた事による彼女なりの考えから、同胞(はらから)のさらなる発展には人間社会との交易拡大にあると見ていた。

 

 

 彼女はその目で見てきた。世界は寒冷化の影響から一次産業が未だ回復しておらず、食糧難に喘いでいる。それは先進国と呼ばれた国々でも例外では無い。内政の失敗からマトモな解決策は打たれていない。

 

 なにせ従来の環境保護政策に固執した内政の思考停止から、一次産業に従事していた数多の生産者が商売にならず、廃業に追い込まれて居なくなってしまったのだ。残された耕作放棄地は荒れるに任せている状態だ。

 

 

 積極的な保護政策を矢継ぎ早に行ない、内政が最も上手くいっているとされる新ロシア連邦(NRF)といえど、国土の立地から寒冷化の影響は大きく、その供給能力は未だ国内、特に戦禍で荒廃し一次産業にも大きな被害が出ていた新領土への内需と、同盟国への分配に比重が置かれている。輸出に回せられる余剰分は充分とは言えなかった。

 

 

 自分達も現状では新ロシア連邦(NRF)と大差ないが、その立地は温暖な地域であり、寒冷化の影響は新ロシア連邦(NRF)程は受けていない。まだまだ開墾の余地も充分にある。

 

 ネックがあるとすれば労働力だが、戦争が終了とならなくても、ある程度縮小となれば浮いた戦力を労働力として転用する事が出来る。

 

 

 計算の上では将来的な供給能力は内需の需要を上回る事が確実視されている。

 

 なお、この計算はアンドロメダとアポロノームによるシミュレートに基づいており、それなりに信頼性が高い数字とされている。

 

 

 ならば、それを活かさない手はない。自分達の未来は食糧の大規模輸出によって人類の胃袋を物理的に掴み、何かあればいつでも輸出を停止し、海洋貿易に於けるサプライチェーンを再度寸断可能な軍事力を背景とした“飴と鞭”の両輪を活かした抑止力の維持にある。

 

 実際海洋貿易の要所であるパナマとスエズの2大運河を押さえており、太平洋はダッチハーバー・パールハーバー・サイパン・東南アジア、そして南太平洋の島々によって分断し、大西洋はジブラルタル南西のカナリア諸島が睨みを効かせている。

 

 

 これが港湾夏姫の出した結論だ。

 

 

 だが事はそう単純ではない問題がある事に気付いた。

 

 

 それは人類の港湾インフラは船舶の運用を前提にしているのは、今まで再生してきた港湾施設を見れば明らかであり、当たり前だが輸送ワ級のためのスロープも無い。

 

 だからといってスロープを建設してもらえるかと言われると、何とも言えない。侵蝕による艤装化によって必要ならば好き勝手に弄くり回せるこちらと違い、経済や予算といった制約が障害となる。

 

 また大量の輸送ワ級が港に入ったら港内が手狭となり、人類の船舶や港湾の運航を妨げるトラブルの原因となりかねない。

 

 

 それにこちらも領域内での輸送活動にかなりの人数の輸送ワ級を使ってている。そんな状態で領域外への安定した大量輸送が可能なのかと問われたら、否定的な答えしか出せないのが実情だった。

 

 

 であるならば、いっそ人類の輸送手段。端的に言えば貨物船などの輸送船を活用した方が良いのではないか?という考えに至った。

 

 これならば港湾インフラの問題は気にしなくて済む。

 

 

 ただ同胞(はらから)の中には人類との積極的な交流に否定的と言わずとも、消極的な者達が多い事も理解しているため、日本の江戸時代に当時の政府──江戸幕府──が海外との交易の場を制限する目的で作られた『出島』という場所の様な、海外交易にのみ使う特区としての港湾をどこかに定めてみてはどうか?と考え、その港湾は自身が管轄している港湾でも良いとも考えていた。

 

 

 彼女の配下の手勢は、特に古参の者達は彼女と共にあちこち連れ回され…、もとい!各地を巡って知見を得てきた者達であり、その地で暮らす人間達とも触れ合ってきた経験から、同胞(はらから)の中でも外部の人類との接触にそこまで抵抗感や忌避感が無い者達が多数だった。

 

 

 彼女達はマラッカマックスで通過出来ない大型船舶が利用するロンボク海峡に近いジャワ島東部、嘗てインドネシア第二の都市だったSurabaya(スラバヤ)の大型港湾施設、Tanjung Perak(タンジュン・ペラ)を拠点としている。

 

 ここは嘗ての首都Jakarta(ジャカルタ)にあった最大の港湾施設Tanjung Priok(タンジュン・プリオク)に次ぐ国際貿易を司る大きな港だったのだが、インドネシアが国家として崩壊した今となっては他の港と同様に過去の遺構となっていた。

 

 

 しかしその立地が大都市だった事が災いして、国家崩壊の過程で起きた内戦による破壊の割合が他の港よりも酷く、タンジュン・ペラはインドネシア海軍第2艦隊の司令部と軍港もあったためか、各種インフラ設備を含めた破壊の規模は群を抜いてより凄まじいものだった。

 

 更に戦闘で破壊された都市の残骸が陸路によるアクセスを難しくし、港内では沈んだ船舶の残骸やそれらから漏れ出して海面を漂う油が原因とする事故や汚染の懸念により、海からのアクセスを制限したため、港としての規模は大きいものの使い勝手が悪く、周りには小さいながらも代替可能な港もあった事から、無理に使うことは無いと判断されていた。

 

 

 ただ下手に放置すると過激派の“はぐれ”が隠れ家の拠点として利用する恐れがあったため、ある程度の戦力を警備のために常駐させておく事が必要な、少しばかり厄介で面倒な地だと見られていた。

 

 

 深海棲艦の最重要拠点であるインドネシアの中で、本来ならばその規模から物流の重要な要所となっていたとしても不思議ではなかったのだが、これらの悪条件が重なった事で最も僻地に近い扱いで、少々腰の軽い活動的な港湾夏姫に管理が任される様になった。

 

 一応、ある程度の戦力さえ残しておいてくれているのなら、後は好きにして構わないと。それにあちこち巡っているのが単なる物見遊山でない事は、他の姫達も理解を示しているし、彼女達が齎す外部の智識と知見は大いに役立つ割合が多いのだ。

 

 下手に多忙な地に縛り付けておくよりかは、多少なりとも留守にしても問題の少ない地を敢えて任せたという、他の姫達なりの優しさだった。

 

 

 ただ、彼女は好きにして構わないというその優しさを、良くも悪くも拡大解釈した。

 

 

 同胞(はらから)からは事実上の僻地としてあまり重視されていないからこそ、あまり外部の人類と関わりたくないと考えている多くの同胞(はらから)達からは隔離された地として使える。

 

 それ故にこのタンジュン・ペラを嘗て日本に存在したという出島の様にしようと考えていたのだ。

 

 

 ただ、沈没船をどうにかしなければならないなどの解決が困難な諸々の問題があったため、今までは胸の内にとどめているだけの状態だったのだが、今話題で持ちきりとなっている新たな統率個体、アンドロメダの話を聞き付け、彼女にこの話を持ち掛けてみようと考えていた。

 

 噂ではそのアンドロメダの配下にはとんでもない技術力を持った者が居るとのことだ。なんとかして機会を見つけ、協力してもらえるようにしたかった。

 

 そこに来て、そのアンドロメダ本人からの港湾設備の再生と再稼働を求める呼び掛けが来た。これぞ“渡りに船”と言わんばかりに今まで胸の内で温めていた構想と、「船舶を相手にした港の運用ノウハウの取得」という意見を述べ、言い出しっぺとして自らを派遣する流れへと議論を持って行った。

 

 運用ノウハウに関する事も、実際経験が無い以上は何処かの時点で実際に経験してみなければ分からない事の方が多かった。

 

 

 因みに“配下のとんでもない技術力を持った者”とは、アンドロメダを狂愛する時間断層工廠の工場長の事である。

 

 

 他の姫達も彼女の構想に一定の理解を示し、正式に全権を任せるとの許可を与えた。

 

 

 彼女達も戦後に向けて模索している状態だった。確かに自分達の領域の外へと目を向けるべきか、最小限にとどめるべきかで意見が分かれていたが、港湾夏姫の案はある意味で折衷案として興味深いものがあった。

 

 

 これを受け、港湾夏姫は早速アンドロメダの要請を受けるに際し、自身が抱えているタンジュン・ペラ港内の問題解決に協力してくれるならばとの条件を提示し、アンドロメダは即座に工場長と相談。

 

 工場長は回収した沈没船等をそのまま貰えるならばとの条件は出して来たものの、港湾夏姫はそれを即断即決で快諾したことで話は纏まった。

 

 

「今朝工場長から連絡がありまして、先遣隊の潜水作業艇が2週間ほどで到着する予定です。

 

 本格的な作業に取り掛かる本隊は編成が完了後、速やかに出発しますが、早くとも準備に後3日は必要との事です」

 

 

 この先遣隊は先日のハワイ沖で沈んだ可能性のある原潜2隻の調査と回収のため、アンドロメダの要請を受け派遣されたものの、後にこの沈没が偽装であった事が判明した事により、引き返していた途上にあったものをそのまま向かわせたものである。

 

 

「問題ないわ。急ぎ過ぎるよりも慎重によ。

 

 あわてて事故でも起こしたら大変だからね。安全第一が一番よ」

 

 

「はい。全くもって仰る通りです。そのお言葉、工場長にお伝えします」

 

 

 表情こそ微笑みを浮かべながら受け答えしているものの、内心では少々複雑な思いでいた。

 

 本音を言えばあまり工場長──工廠──の力に頼るのは最小限度にとどめたいと言うのがアンドロメダの偽らざる本心だ。

 

 

 彼女は良くも悪くも“便利過ぎる”。あまり頼り過ぎるのは良くない。

 

 可能ならば今回の様な自分達の力だけではどうにもならない場合にのみ活用すべきであり、最後の手段とすべきだと思う。でなければ何でもかんでも彼女に頼り切る事になりかねない。

 

 なにより、Alina(アリーナ)さんの様に自分達で考え、行動しようとしている同胞(はらから)の皆さんの努力や頑張りに水を差す事になりかねない。

 

 

「ところで、不躾な事を聞くけど、()()()()()()はどうなっているの?」

 

 

 この問いにアンドロメダは表情を一瞬強張らせた。

 

 

「…申し訳ありません。解決に向けての研究は進んでいますが、その進捗は芳しくありません」

 

 

 それはパンデミック期の負の遺産、ワクチンと偽った人体の免疫機能を低下させる薬物を投与し、人体の健康を永続的に害する事で持続可能な合法的薬物依存状態を作り出すという、悪魔の所業としか言葉に出来ない薬物利権が生み出した、大量の犠牲者と共に確実に人類を滅ぼす時限爆弾。

 

 健康被害が出なかった接種者であっても、染色体に異常を引き起こし、子供が出来ないか、産まれてくる子は確実に免疫不全を抱えるという悍ましい副次効果を持った最悪の薬害。

 

 それをどうにかするために工場長は日夜研究に勤しんでいるが、2200年代の地球とガミラスが持つ医学薬学を活用した最新の医療技術を以ってしても、根本的な解決は困難と判断され、免疫機能を補う治療を施すのが関の山だとの結論に至った。

 

 

「知識が無いから詳しい事は分からないけど、かなり難航しているとは聞いたわ…」

 

 

「…はい」

 

 

 現在はその治療を薬害被害者へと如何に簡単かつ迅速に施せるか?普及のハードルを下げられるか?という課題を解決する研究に取り組んでいる。

 

 何より普及のハードルが問題なのだ。

 

 第一優先は深海棲艦の領域内で暮らす人間達に対してなのだが、元々の隔絶した技術格差が存在する上に、領域内には高度な医療行為を施せる設備も人員も全く足りていないのだ。その途轍もない隔たりから下手に専門性やリスクの高い治療法は採用出来ないし、する訳にはいかなかった。

 

 

 それでもなんとかベストを尽くすべく工場長は頑張ってくれている。

 

 

「…そんな大変な時に無理なお願いをして、本当にごめんなさい」

 

 

 港湾夏姫はしおらしく頭を下げる。この問題は彼女が考えている未来の展望とも密接に絡んでいるのだ。長い目で見れば自分達の庇護下にある人間達の労働力が減少する事による食糧生産能力の低下、それは供給能力の低下も引き起こすが、同時に販売先の人間達が減少し輸出のメリットが低下してしまう可能性があった。

 

 

「お気になさらないで下さい。私達には、既にどうする事も出来なかったのですから。

 

 大切なのは、これからです」

 

 

 この問題に関して言えば、アンドロメダは半ば諦めている。

 

 最早最終的な犠牲をいかにして最小限に抑える事が出来るか?という段階なのだと考えている。

 

 そう考えるたびに、藁にも縋る思いで涙を湛えながら、自身が母親代わりとして慈しみ、大切に育てている子供達の未来を救って欲しいと訴えて来た泊地棲姫の悲痛に満ちた顔がアンドロメダの心に影を落とす。

 

 いずれ子供達は成長し、自身の子を成す様になる。その子達は泊地棲姫にとっては孫の様な存在だ。泊地棲姫の子供達は自分達の子供を泊地棲姫に見てもらいたいとのささやかな願いがあった。

 

 泊地棲姫も孫の顔を見れる事を楽しみにしていた。

 

 

 だが、アンドロメダ付きの主治医とも言える医務官妖精さんのドクターは、検査によって子供達の染色体に異常がある事を見付けていた。

 

 泊地棲姫とその子供達のささやかな願いが叶うかどうかは、神のみぞ知るとしか言えないと、ドクターは言葉を濁している。

 

 

 ここから暫く気不味い雰囲気から会話のトーンが下がり、再生が完了した港湾施設に関しての事務的な話をしながら見て回っていたが、ふと、港湾夏姫が何かを思い出したのか、アンドロメダにある疑問を口にした。

 

 

「話は変わるけど、貴女や貴女の妹、それに貴女の仲間達にはみんなそれぞれ名があるのに、その工場長とやらには私達同胞(はらから)の多くみたいに名が無いのよね?工場長って、役職名みたいなものでしょう?」

 

 

「はぁ、彼女を構成します巨大無人工場が存在していた空間そのものの唯一無二の特殊性から、その空間にある工場という形で呼ばれていましたので…。

 

 一応、本人が工場長と呼んでほしいと仰っていましたから…」

 

 

 港湾夏姫からの疑問にやや困り顔になりながら答える。

 

 

 今にして思えば地球連邦と同盟国ガミラス共和国の両国にとって最大の国家機密の割に、暗号名すら付与されていなかった。

 

 まぁその存在そのものが常識の埒外で、空間の特異性故に物理的な侵入がほぼ不可能だった事もあるのかもしれないが、些か無用心極まりなかったと思わなくもない。

 

 

 そんな事を考えていると、港湾夏姫は何か考える素振りをしている事に気付いた。

 

 

「貴女、ギリシャ神話のΠανδώρα(パンドーラ)って知ってる?」

 

 

 思わぬ質問にアンドロメダは面を食らった顔となりながらも、自身の記憶──そう思っているだけで、自身の艤装のメインサーバーに存在する記録かもしれない──の中から該当する物を思い出す。

 

 

「人並みには…。たしか、人類最初の女性とされ、様々な災いを引き起こす原因となるものの例えとされる“パンドラの箱を開ける”に用いられているとか」

 

 

「ま、概ねその通りね。それと、Πανδώρα(パンドーラ)には“全ての贈り物”を意味する古代ギリシャ語でもあるのよ」

 

 

「“全ての贈り物”、ですか?」

 

 

「そ。まぁその贈り物全部が受け取るヒトにとって良いか悪いか分からないし、貴女の言った通り、災いを引き起こす事だって有り得るわ。でも、ἐλπίς(エルピス)、希望を齎すかもしれないでしょ?

 

 このことはその工場長とやらにも当てはまらない?」

 

 

 …なんだか一般的な定説から少なからずズレがあるみたいだが、そこは敢えて黙っておくことにした。

 

 それに解釈違いなどから複数の説があるのだから、あまり気にした所で仕方がない。

 

 

「…以前、飛行場姫さんも工場長の事を“パンドラの箱”と言い表わしていました。駆逐棲姫(お姉ちゃん)は希望の光になるかも。と思ったそうです。

 

 …私にとっては、“毒と薬は紙一重”と言う様に、その“ἐλπίς(希望)”には毒が含まれていると思っています。

 

 “パンドラの箱”に残された“希望”とされるものが、本当に“希望”であるとは限らないとの解釈もありますし。

 

 そういう意味では、工場長は“パンドラの箱”と言えるかと思います」

 

 

 この事を本人が聞いたら悲しむだろうか?怒るだろうか?もしかしたら笑って肯定を示すかも?そんな事を考えながら言葉を紡ぎ出した。

 

 

「そうなんだ。まぁそういった解釈も成り立つわね。

 

 それに、貴女自身が工場長とやらに対して複雑な思いがあるみたいだけど、その事については聞かないでおくわ」

 

 

 ここで港湾夏姫が足を止め、それにつられてアンドロメダも足を止めて向き合う。

 

 

「私はね、工場長に“贈り物を送る者”としてΠανδώρα(パンドーラ)から“全てのもの”を意味する“Παν(パン)”を取って“贈り物”を意味する“δώρα(ドーラ)”という名前を贈りたいと思ったのよ。

 

 それくらいしか、お礼できる事がないから…」

 

 

 恥ずかしそうにそう話す港湾夏姫に、アンドロメダは少し考え込む。

 

 

「お姉さ~ん!」

 

 

 

 そこへ、駆逐棲姫が霧島(キリシマ)とアポロノームと共にやって来た。

 

 が、そのアポロノームであるが、普段の防衛軍軍装の艦長制服を模した制服とは違い、世界水準超えらしい眼帯をした軽巡洋艦艦娘の衣装を身に着けていた。

 

 これはアポロノームの顔立ちがその軽巡洋艦艦娘、天龍型軽巡洋艦の天龍とそっくりである事から、下手な詮索を避けるためにこの様な姿となっている。

 

 

 ただし、特徴的な眼帯は本人の希望から装着していない。

 

 一応のカバーストーリーとして、沖縄周辺と思われる海域でドロップしたものの、その直後に運悪く台風と思われる荒天に遭遇し遭難。波浪にのまれ艤装が故障して自力では動けなくなり、遂には意識を失い漂流している所を深海棲艦の偵察隊に偶然発見され、救助の後に取り敢えずの処置としてサイパン島に送られ今まで保護されていた。と言うことされている。

 

 艤装は救助された際に損傷が酷く破棄され、眼帯もその際に失われたということになっている。ただ───

 

 

「しっかしよぉ…、なんか落ち着かねぇなコレ…。動きやすいのは良いんだけどよ…」

 

 

 当の本人からは些か不評である。特に普段がズボン履きなため、履きなれないスカートが、しかも丈が膝より上と短めなことからか違和感が拭えない様だ。

 

 

「良いよな姉貴は!普段とあまり変わらねぇ服だしよ!」

 

 

 アポロノームは半眼で姉であるアンドロメダの格好を見遣る。

 

 この時のアンドロメダの服装も、普段とは違う制服を、それもやや草臥れた感じのする日本海軍の制服を身に着けていた。

 

 その胸元のネームタグには『ANDO』と縫い付けられ、階級章は少佐となっていた。

 

 

 これは土方、そして真志妻大将がアンドロメダの偽名として用意していた『安藤明衣(あんどう めい)』と、その偽りの経歴を、土方との相談でアンドロメダが使う事になったからである。

 

 

 因みに2人の衣装はアンドロメダの主計科妖精さん達よって作り出した物である。

 

 

「2人共、とっても似合ってますよ!」

 

 

 駆逐棲姫は普段とは違う大切な妹2人の姿にご満悦な様子である。その駆逐棲姫もいつものベレー帽とノースリーブのセーラー服ではなく、主計科妖精さん達の遊び心から彼女のために作ったという、アンドロメダが普段着ている防衛軍軍装に似た意匠の帽子と上着を羽織っている。

 

 

「今さらぶつくさ言うもんじゃないよアポロノーム。

 

 それはそうとしてだ。若いの、そろそろ艦隊が水平線から顔を覗かせる位置にまで来たよ」

 

 

 霧島(キリシマ)の言葉に、もうそんな時間なの?とアンドロメダは時間を確認すると、思った以上に時間が経っていた事に驚く。

 

 

 アンドロメダは港湾夏姫に先程の話についての返事を先延ばしにさせてもらい、港湾設備の最終チェックをお願いした。

 

 港湾夏姫も納得し、「良い返事を期待しているわね」とだけ言い残し、周りに居る深海棲艦達に指示を出しながら自らもチェックへと向かった。

 

 一応、艤装化によって不備や抜かりが無いと感覚として分かるが、念のため目視による最終確認が行なわれる事となっていたのだ。

 

 

 アンドロメダ達も手分けして目視確認に向かうが、その前にアンドロメダは事前の取り決めから決められていた通信を行なうべく、懐から通信機を取り出して規定の周波数に合わせる。

 

 

 

「Good morning! everyone in Japan(日本と) and New Russian Federations!(新ロシア連邦の皆様!)

 

 

 大きく息を吸うと、マイクに向かって挨拶の口上を元気よく述べた。

 

 

We extend our warmest(私達は使節艦隊の) welcome to the arrival of the visiting fleet. (到着を心より歓迎いたします。)

 

 Welcome to Saipan!(ようこそサイパン島へ!)

 

 





 漸く、出したかった工場長への命名(仮)が出せた…。このためにAlina(アリーナ) Rimskaya(リムスカヤ)こと、港湾夏姫さんを出したと言っても過言ではありません。因みに彼女に対する名前の由来は、他の偽名持ちと違って特にありません。

 アンドロメダの偽名、『安藤明衣』も漸く使える…。

 アポロノーム天龍コスはアポロノームを出した時から考えていました。ただアポロノームは肉体的には天龍改二より長身(195センチ)な上にぺぇもデカいです。その身体に天龍初期グラの服装(サイズは合わせてます)といった感じですので、矢鱈背の高い天龍みたいな見た目になってたりします。


───────


補足説明

淡水化プラント

 塩分を含む海水や汽水から塩分や不純物を取り除き、飲用や生活用水、工業・農業用水として使える真水をつくり出す施設。

 世界的な水不足への対策として、主に『逆浸透膜(RO)法』や『蒸発法』が用いられており、中東やオーストラリア、日本の離島などで広く導入されています。

AI検索より抜粋



 多分中東での戦争で俄に注目を集め、ご存知の方も多いかと思います。実際アラブ首長国連邦を始めとした湾岸諸国では、淡水化プラントが破壊されると飲料水が得られなくなって生活が出来なくなります。

 東南アジアで何処まで普及しているかは不明ですが、経済発展等から真水の需要増加により、特に沿岸部の都市圏ではあっても可怪しくないかなと。

 稼働に大量の電力といったエネルギーが必要です。そのため基本的に火力発電所などのエネルギープラントと隣接して稼働に必要な電力を得ています。


パンドラの箱、定説から少なからずズレ云々


 一般的にはパンドラの箱と言われておりますが、そもそもパンドラの箱について書かれた最古の書物とされる、古代ギリシャの叙事詩人Ἡσίοδος(ヘーシオドス)(紀元前700年頃に活躍と推定される人物)の著書『仕事と日』の文中では“πίθος(ピトス)”、日本語に訳しますと“(かめ)(瓶)”と書かれています。


 最初に「箱」と記述されたのは、ルネサンス時代、ロッテルダムのエラスムス(Desiderius(デジデリウス) Erasmus(エラスムス)、1469年〜1536年。ネーデルラント出身の人文主義者、カトリック司祭、神学者、哲学者。ギリシャ語新約聖書『公認本文』の著者)がパンドーラーの物語をラテン語で叙述した際、“πίθος(ピトス)”の訳語としてラテン語で“箱”を意味する“pyxis(ピュクシス)”を用いた際であり、これ以後、“箱”の語が用いられるようになりました。


 最後に残った“ἐλπίς(エルピス)”についても本編で語った様な諸説やら解釈がありますが、面倒なので割愛します。


───────


 それにしても日本は何処に向かおうとしてるんですかねぇ…。日本は段々と裸の王様になってませんかねぇ…?

 資源は海外頼みだけど、世界情勢の変動に政府が後手後手に回ってる感が拭えないし、企業の方が政府より遥かに敏感だ。

 どうしたものかねぇ…。

 日本の言論の自由も、ヒデェ事になってるしなぁ。言論を封じるために爆弾テロ予告まで平然とやらかす様なご時世。この様な真似を許していたら気に食わない主張、言論には暴力を用いても構わないとの風潮になるが、それは果たして健全な民主主義と言えるのか?


───────



 それではこれにて失礼致します。励みや参考になりますので、お気が向きましたらお気軽に感想、若しくは分からない点に関しましての質問がありましたら返信で可能な限りお答えし、後書きの補足説明にも加筆致しますので、よろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。