教祖が呪い、豚猿が嘲笑う。こいつら、ヒーロー志望なんだぜ……? 作:かりん2022
「呪力を感じない化け物ー? なんだそれ。エイリアンとでも言うつもりかよ」
「とにかく、そういうものが目撃されているから、見たら報告するように」
そう、夜蛾先生から注意喚起があった。
地球侵略はまだ続いているらしい。
トリオンモンスターは大丈夫だろうか。自分で自分をモンスターと自称するぐらいだから、大丈夫だと思いたい。
緊急ということで、任務に急行する。
そこでは、あの化け物が人々を襲っていた。
「おいおい、なんだよあれ」
そして、いた。
トリオンモンスター。
「ブッコロ!」
一層凶悪な顔になって、化け物をぶった斬る。
助けは必要なさそうだ。それより、大量の呪霊が纏わりついている。
これは祓っておくべきだろう。
「おい。傑!」
「呪霊が憑いてるから、祓わないと」
「真面目か!」
駆け寄って、呪霊を祓う。
「体が楽になった……? いや、そんな事より、逃げとけ邪魔よ」
非術師なんだ。
そう思いながら、言われた通り引っ込む。
以前より粗野になっている。機嫌が悪そうだ。
「お前、なんなの?」
「悟。行こう。邪魔をしてはいけない」
「邪魔をしてはいけないって」
「これは呪霊じゃないよ。私達の専門外だ」
「そうだけどよ」
私が悟を連れて引っ込むと、化け物が彼女に言った。
「そのまま治療を受けねば死ぬぞ」
「わかってんのよ、そんな事は! テメェの尻はテメェで拭くわ、心配ご無用!」
その言葉に、私は動揺する。
彼女は、銃をぶっ放し、化け物を倒して次元に穴をあけて消えてしまった。
それから、たまに任務で遭遇するようになった。
彼女は、どんどん凶悪になっていった。
理子ちゃんが死んで。
灰原が死んで。
ボロボロになった時に、双子の幼女を見つけて。
今まさに殺戮をしようとする時、ゲートが開いて化け物に襲われた。
私は、双子を守る。
双子だけを守る。シールドで、双子達を庇って。村人達が殺戮されていって。
そして、彼女が現れた。
「があああああああ!!!」
ほとんど理性を失った状態で。
化け物を倒した後、彼女は私を睨んだ。
「トリオンモンスター」
「私は! 私は!! ……私はモンスターなんかじゃない!!!」
「君が名乗ったんだろう」
「……!! そう、そうだ。あ……」
彼女はそこで散らばる死体に気づき、表情を暗くした。
私は、とりあえず彼女についた呪霊を祓った。
非術師は殺す。そうだ、見殺しにする。彼女も? ……命を削って人々を守る彼女まで?
「もう、ダメかもね。とっくの昔に詰んではいるんだけど」
そこで、彼女のお腹がなる。
「何か、食べ物を探してこようか」
「助かる」
それから、私は食べ物を用意して四人で食べた。
彼女はしばし無言で食事を貪る。痩せていることに気づいた。まともに食べているのだろうか。
「あなたの名前を聞いてもいいですか?」
「トリオンモンスター」
「モンスターって呼ぶなって」
「いいのよ。モンスターだから」
そして、彼女は身の上話をしてくれた。
幼い頃にさらわれた事。人体実験。角型トリガーに脳を侵食されて凶暴化していて、余命が幾ばくもない事。
ボーダーと言われる地球の対ネイバー組織と合流するところだったこと。失敗して並行世界に来てしまったこと。
それからずっとこの世界を守っていること。
「なんで、そうまでして人々を守るんですか」
そもそもボランティアだったことに驚く。
呪術師だってお金は貰っている。
「世の中、そんなもんでしょ。誰かがやらなくちゃいけなくて、それが私だったってだけ。私の場合は、私のせいでこの世界が知られちゃった事もあるしね。あなただって、大人になればわかるわ」
「私は……私は! そうは思えない!!」
「優しいのね。今も、怖いのにこうして、食事を用意してくれたでしょ。皆様のご厚意で、私は今日も生きています」
「怖くなんかない、私は、ただ……!!」
今度は、私が呪術師のことを話した。
溜まっていたものを全て吐き出して、私は抱きしめられていた。
「がんばったね。偉い偉い。うん。よし。……君に会えてよかった。もう凄く辛い思いをしている君に、これを頼むのは酷だと思うけど……私の知識と力、そして人脈。引き継いでほしい」
「え……」
「これから私、ツノを切り取って、ブラックトリガーを作るわ」
「ブラックトリガーになるって、死ぬってことですか」
「どうせ死ぬし、角に人格データがコピーされてるから、それをトリオン兵に組み込めばあなたへの助言もできるわ。ずっと前にそうすべきだったけど、今、ようやく勇気が出た」
「待ってください。呪いだけで手いっぱいなのに、異世界からの侵略者なんて……」
「だからよ。荒事になれてる貴方は、きっといい指導者になる。それでね。地球を守りつつ、ブラックトリガーから、人に戻す研究をして欲しいの」
「でも……!!」
「呪術師だけが頑張ってるんじゃないって知ってほしい。世界は理不尽なことばっかりだけど、優しい人もちゃんといるよ」
「頼むよ」
「卑怯です。……引き換え条件があります。名前は?」
「渡 灯里」
そして、ブラックトリガーが転がった。小さなトリオン兵がツノを食べる。
私は、涙を拭った。
「私は、貴女みたいに優しくなれない。だから、手段なんて選びませんから」
「悪りぃな。そうだ。お前の名前は?」
私はキョトンとする。
そうだ。そういえば、名前を教えてなかったのは私もか。
「夏油。夏油 傑。いや。2代目トリオンモンスターです」
ごめんね、悟。硝子。さよなら。
トリオンが成長する学生時代に合流させたいけど、毎度毎度すぐ囚われもなあ……。
ということでアンケです。
その通りに行くかはわかりませんが、参考までにどのルート希望か教えてください。
この後、傑は
-
悟卒業までに捕まる
-
10年後捕まる
-
捕まる展開なし