教祖が呪い、豚猿が嘲笑う。こいつら、ヒーロー志望なんだぜ……? 作:かりん2022
「潜入?」
「そうだ。やってみるか?」
「なんで私なんだ?」
「相手は対エイリアン組織だ」
その言葉に、真希は納得した。兵器も呪力も通用しない、判断に困る存在。
そして、それに対抗する妙な四角い物体を操る怪しい宗教団体。
「行く」
「あたしも行く!!」
真依が転がり込んできて、双子は二人、熱心な信者を偽装した偽の両親に連れられ、宗教団体の本拠地を訪ねた。
集められた子供達は「祈りの儀式」で選別されていく。
真希と真依は無事選ばれ、ほっとした。
選ばれた子供達は、ペーパーテストを受けて、反射神経などのいくつかのテストを受けた。
そして、それを渡された。
「トリガーオンと言ってください」
「トリガーオン!」
それで、体の全てが切り替わった感覚がした。
「では、ソードを出してください。こうします」
高校生くらいの子が光る刃を出す。
いきなりスパルタだなと思いながらも、真希は試してみる。出来た。
高揚することは避けられなかった。
シンプルに凄い。
それから、カカシにその刃で切り掛かった。
「では、変身を解除してください。次はこのトリガーを使ってください」
テレビで教祖夏油がやっていたような、キューブを打ち出す事も、銃を撃つのもやった。
その後、トリガーを近、中、遠の中から選ぶ。
それから、トリガーをオンにした状態で教祖夏油に面通しされた。
五条袈裟を纏い、子供達と小さなエイリアンを侍らせ、こちらを見下す教祖。
真依の怯えと様子から、それぞれに呪霊が付けられた事を知る。
「思ったよりも集まったね。君達の道は三つ。研究者になるか、兵士になるか、ただトリオンを絞り出される燃料となるか。君ら猿が役立つことを願っているよ。それでは、最終試験だ。戦闘時間は100分。1分生き延びれば1点だ。点の高いものからご褒美をくれてやる」
「生存点、撃破点、私と2代目トリオンモンスターの付与する点数。この合計で成績が決まるぜ! じゃあ、開始だ!」
教祖様と荒い口調のエイリアン(女の声だった)の言葉。
咄嗟に真依の手を握る。
その後、景色が変わった。
街中だ。
エイリアンが何体も浮遊している。エイリアンには数字が書かれていた。
「いやああああああ!」
大きなエイリアンに中学生くらいの子が特攻かましてすぐに倒され、光となってドンッとどこかに移動する。
『意気や良し!! 初特攻ということで30点あげるわ! でも実戦でそれやったら死ぬからね!』
「マジかよ。スパルタだな。まあ死にはしねぇだろ」
「おねぇちゃん……」
「真依。一位狙うぞ。真依の力が必要だ」
「う、うん」
二人は手に手を取って、小さなエイリアンを探して狩り始めた。
100分あればトリガーの使い方も習熟し、徐々に大物を狙えるようになってくる。
最後には、同じく潜入していた政府関係の子息と協力して大物をジャイアントキリングできた。
高校生を押し退けて小学校に通ってもいない年齢の真希と真依が上位に君臨したのはさすがと言えよう。
この100分が終わる頃には、真希はすっかりこの組織で成り上がる決意を固めていた(一度目)。
そして、テストが終わって歓迎会のご馳走を食べてぐっすり寝て、翌日。
ネイバーについての簡単な説明を受けた。
マザートリガーを使った星に住まう惑星国家。その為常にトリオンを求め、他国に侵略を仕掛けている。
つまりは侵略者なのだ。
トリオンに対抗できるのはトリオンだけ。
だから、トリオンの持ち主を集め、防衛組織を立ち上げた。
……私も、戦えるんだ。世の中の為に戦えるんだ。真希はこの組織で成り上がる決意を固めた(二度目)。
その後、隙を見て電話で報告すると、五条家に貸しができたと当主様から褒められた。
五条家次期当主直々に親友のことを頼むと手紙でお願いされてしまった。
真希はこの組織で成り上がる決意を固めた(三度目)。
そして、一年ほどして実戦に出る事となった。
初めての実戦には、直哉が出張っていた。
「なんや、一年ぶりやな」
「直哉。これエイリアン案件だぞ」
「知ってる。エイリアン見とこうと思ったんや」
「呪力効かねーぞ。直哉は避難してろよ」
「あ“? ぶっ飛ばすで」
「仕事の後にしてくれ」
エイリアンが現れる。
真希は一緒に来たメンバーと共にエイリアンに向けてアステロイド(通常弾)を撃った。
真希としては近接が好きなのだが、流石に小さい内は素直に遠距離攻撃に頼った方がいい。
ちなみに真依はオペレーターを目指しているが、やっぱり勉強が終わるまではシューターだ。
銃撃の嵐にエイリアンは沈黙。
真希は直哉に向き合った。
「面白いな。トリガーいうんやろそれ。貸してや」
「貸すわけねーだろ」
「じゃあ、勝ったら貸してや」
いきなり仕掛けてくる直哉に、真希は応戦する。
そして、いきなり直哉が倒れた。
「おねぇちゃん、さっさと帰りましょ」
「そうしましょう、真希さん。早く帰らないと初代トリオンモンスターが心配します」
「おう」
真希が引き付け、真依が隠密攻撃で倒す。コンビネーション攻撃は完璧である。
痺れた体で呼び止めてくる直哉を一度だけ振り返って転移ゲートに入る。
今はもう、真希は孤独ではない。仲間がいて、仲間と共に戦って、誰に恥じる事もない。
倒れた直哉を嗤って、真希は成り上がる決意をした(四度目)。
そして、少しずつ成り上がって、情報を得られる立場になって。
真希は、見てしまった。
血ぬれた様子でマザートリガーを含むトリガーの山を持ってくる、夏油を。
「大量じゃねーか」
「ああ、星を落としてきたからね」
「星、を?」
「警告しても侵略をやめないから、仕方ないよね」
「仕方、ないって……まさか。呪術を非術師に使ったのか?」
「使えるものはなんでも使うさ」
「そんな……星には一般人も住んでんだろ」
「猿の侵略者がどうなろうと関係ないよ」
「そんなわけあるか!!」
「黙れ。この組織の長は私だ」
真希は絶句する。この時初めて、真希は夏油が狂っていた事を直視する。
……私が止めないと。
真希は五度目の決意をする。そして、思いのままに宣言した。
「なら、私がこの組織を乗っ取って長になってやるよ」
「ふん、やってみるんだね」
この後、真希は野心を隠さず一層精力的に活動するようになる。