教祖が呪い、豚猿が嘲笑う。こいつら、ヒーロー志望なんだぜ……? 作:かりん2022
私は、非術師が、いいや、世の中の何かが憎かった。
そして、そのぶつけ先を探していただけのように思う。
見事に振り上げた拳はネイバーに誘導され、戸惑うところは多分にある。
非術師だって、トリオンがあるならネイバー相手に命懸けで戦ってくれる。
人は、力があれば頑張ってそれを世の為人の為に使ってくれるものなのだ。
そして、高出力のトリオン持ち以外の者も懸命に資金集めなど手伝ってくれていた。
私は今も戸惑っている。
それでも。それでも、猿は猿にしか見えない。
ぎゅっと、唯一拒否反応の出ないガラクタ(灯里の心をインストールしたトリオン兵)を抱きしめた。
星一つ落とすのは疲れる。
それでも、次から次へと侵略惑星が現れるのだから仕方がない。
星を順番に落としていけば警戒して手出しをしなくなるかと思ったが、同盟を組んでまでこちらに対応してくるのだから困ったものだ。
「逃げろ! こっちだ!!」
的確に見えないはずの呪霊から民を逃す兵士たち。
「ふむ。対応してきたね。位置ぐらいは把握できるようになってきたか」
呪霊は呪力以外では死なないが、術者は容易く死ぬ。暴力でもトリオンでも、もちろん呪力でも。
だから夏油はシールドと透過で身を守り、ただ、皆殺しになるのを待っている。
それでも、その時間はだんだんと伸びている。
その為夏油は少し期待していた。
このまま、トリオン技術が発達していけば、トリオンで呪霊を倒せるようになるかもしれない。
それをそのままいただく事ができたなら、呪術師だけが死なずにすむ。
そうだ。そうして初めて、こちらの収支は帳尻が合うというものだ。
そして、どうやら待ち続けていた日は、今日だったらしい。
「! 呪霊が祓われていく。いや、呪術師が誘拐された可能性もあるか」
逃げていた兵達が反転する。
「もう怯える日々は終わりだ! 死ね! トリオンモンスター!」
「死なせるなよ! 生かして捉えろとのご命令だ」
「わかってる!」
呪力をかき乱す特殊なトリオンが、夏油を襲った。
呪力が練れない。そればかりか、トリオンも呪霊も拡散して襲いくる弾丸が夏油を貫いた。
夏油は小さなトリオン兵を逃すと笑った。本当に嬉しそうに。
元から、夏油はいない方がいいのだ。
その手は血に汚れすぎていて、歩み寄るには夏油の存在が邪魔となる。
そして、夏油がおらずとも十分に戦って行ける事を夏油は知っている。
夏油がいない方がより良い未来が紡げるのを知っている。
だから、夏油がいなくなることに問題はない。今、夏油は役目を果たしたのだ。
ああ、ようやく頑張るのをやめられる。
傷ついた夏油を、麻痺弾が襲った。
すみません、囚われなしのルートのはずですが、囚われ入りました(土下座)。
それと大量のココスキありがとうございます!!