教祖が呪い、豚猿が嘲笑う。こいつら、ヒーロー志望なんだぜ……? 作:かりん2022
「えっと、非術師だけどぶちのめして良いんだよな? すげーグレーな気がするんだけど」
戸惑いながらも、喧嘩を繰り返すこと、10日。
段々楽しくなってきてしまった所に、子連れの青年が飛び込んできた。
「悟! やめな! 非術師に攻撃するなんて!!」
「?? どこかで会った?」
「ああ!?(キョーソサマ! 初対面! 初対面です!!) ……初対面だよ」
青年がブチ切れかけた後、青年のイヤホンからそんな音が漏れ聞こえて、すいっとキョーソサマとやらは顔を逸らした。
スーハーと深呼吸。
もしかして親戚とかなのだろうか?
「きょ……ゲトーサマ。こいつがゴジョー悟ですか?」
「ゲトー様を殺す子ですか?」
「殺りますか?」
子供達がそんな物騒な事を言う。
呪力が存在しない・妙な雰囲気・イヤホンからの声・むしろイヤホン・珍しい、ネイバー社の社長と一致する名字。どうやら、釣れたらしい。
何らかの形で知り合いなのは間違ないようだ。
もっとも、一方的な知り合いは多過ぎる。それでも、これだけ特徴的な男は忘れないと思うのだが。
なお、もちろん五条の親戚にネイバー副社長はいない。その辺は調査済みで、一般人だとのこと。一般人は教祖呼びされたりしないが。
「そいつら、お前の子? 全員にてねーな。呪力がないのは一致してるみてーだけど」
「厳密には私が成人するまで、弟と妹達だよ。私はまだ法的にこの子達の親になれないからね。ああ、血は繋がってないよ。それよりも強い絆で結ばれてはいるけどね」
「「「ゲトーさま!!!」」」
ぎゅうぎゅう抱きついてくる子を抱えるように抱きしめる。
そして、ハッとして五条に注意した。
「君は、なんでこんな真似を? 良くないよ! そんな簡単にぐれるような……ぐれ……ぐれ? どうしよう、君、案外クズだった気がする」
「ああ!? 何だよいきなり!」
「いや、その。親御さんが悲しまないかい? もちろん私も硝子も悲しいよ!(キョーソサマ!)」
「硝子と知り合いなの」
「もちろん……(キョーソサマ!知らない人です!)知らない人だね」
「思いっきり知ってるじゃねーか」
「とにかく、彼らが何かしたのかい?」
「普通にムカついただけだけど?」
「むか……っ 弱いものいじめてどうするんだよ」
「強いもん苛める馬鹿がどこにいんだよ」
「そうだった。いやでもそんなまさか」
そして、教祖夏油はイヤホンの女とぼそぼそと相談する。
「どうしよう、豚猿の言ったとおりかも。悟がぐれちゃうなんてまさかそんな」
「(善悪の指針がないですからね、今の彼。危うさで言えば彼もキョーソサマと同程度だったのでは? プランRします? 危険ですが)」
「そうだけど悟をほっとけないよ」
「(流石です傑ママ)」
全部聞こえているのである。お前は俺の親か。
覚えは全く無いがそれくらい心配されていた。
「悟!」
「呼び捨てんな」
「私も呪専に行くよ」
「は? 見えないのに?」
「それは(キョーソサマ!)こうすれば見えるようになるよ」
教祖夏油の姿がぶれて、呪力が溢れだした。
「私の名前は夏油傑。初めまして、悟」
なんかなんもしてねーけど副社長が捕獲できた。捕獲で良いよな? これ。なんか罪悪感があるんだけど。