教祖が呪い、豚猿が嘲笑う。こいつら、ヒーロー志望なんだぜ……? 作:かりん2022
「どうしてこう、うまくいかないのよ。作戦くっそボロボロじゃない!」
甚爾を寝返らせる計画は実はかなり初期から頑張っていた。
でも一般企業に裏の人間を雇うすべなんてなかった。
そして今、万一の時にバックアップとして送るはずだった精鋭達は本社防衛に回さざるをえなくなっている。
「働きたくなーい!!」
非戦闘員でいたーい!
だけど、子供達から喝を入れられ、私は仕方なくトリガーオンと叫んだ。
「あいつらぶっ潰すの?」
「ううん。教祖様の応援に行く」
子供達は、不安そうな顔をするがキュッと拳を握る。
「「「頑張って!!」」」
「何を盗られてもいいから、見つからないようにね」
子供達はこくりと頷く。
窮状に漬け込んでさらに敵が来ないとも限らない。
ありったけの防衛システムを作動させた後、私は、転移システム(ペイルアウトの応用だ)を使い、打ち上げられて教祖様の所へと向かった。
「無事でいなさいよ、理子ちゃん、教祖様!」
衝撃。
私の体は実体化する。空中移動中を、撃ち落とされてしまったようだ。
「ちょうどいいな。ボーナスに変えてやるよ」
「伏黒 甚爾……!!」
私は、実体化すると同時に異形へと姿を変えていく。
これこそが私のサイドエフェクト。トリオンを蜘蛛の形にして実体化させると言うもの。
蜘蛛の足の刃とシューターとしての能力で、物量作戦で行く。
トリオンモンスターに匹敵するトリオン量を、舐めんなよ!
パワーイズ力だ! 呪力とトリオンは厳密に言えば違う。
潤沢なトリオンさえあれば、呪具にも早々負けはしない!!
呪具と私の蜘蛛足がぶつかり合う。
「はっ やるな! だが、戦闘経験なら断然俺の方が上だ」
「知ってる」
そもそも私は本能とトリオンゴリ押しなだけの非戦闘員だしな!! がおー! くらえ駄々っ子アタック!
足がズンバラリンされ、ぐさっと胴体に呪具が刺さる。
それでも、私は甚爾に縋りついた。
「死ね」
「お前が死ね」
そんな言葉と共に最強様の紫ブッパが炸裂した。
「無事か。傑の知り合い?」
「ネイバーの技術主任兼副社長っす」
「天内は死んだ。そんなに俺が信じられなかったか?」
「っ……後で誹りは受けます」
「傑を狙ってた呪詛師が来てる可能性がある。傑の居場所わかる?」
「こっちです」
それでも、私はこの世界を舐めていた。
原作では、この時点では教祖様は無事だったから。だから無事だろうって思ってた。
「あ……ああ……教祖様……傑くん……!」
「傑!!」
ボロボロになってる傑くん。
「困ったね。私とした事が、つい夢中になって時を忘れてしまった」
傑くんの目がなかった。
傑くんの手が。足が。ああああああああああ。
「てめー反転術式持ってるからってやりてー放題やってんじゃねーぞ」
それは、私を突き動かす衝動だった。あるいは、考えなしの軽挙妄動だった。
「傑くん!!」
それでも、私は、後悔しない。いや、嘘ですめっっちゃ後悔します。傑くん、後で助ける方法探してお願いマジでマジでマジで。
ともかく、私は。
傑くんに飛びついて、ブラックトリガーになった。
ワールドトリガーの主人公の父みたく、トリオンで体を作って教祖様を保護したのだった。