「起きないな、空間震」
「ああ」
『こないね』
実体化したザンバが相槌を打つ。
蝗介は群れを使って文字であらわしてくる。
もう一月が立った。
その間この周辺で空間震はない。
まあそうピンポイントであるのも都合のいい話なのだろう。
この一か月であったことは俺たちの前に再び白いローチが現れたことぐらいか。
ただ前回とはまるっきり様子が違って俺たちをピンポイントで狙ってきたという感じだった。
軽く全滅させたが。
「ほんとどうすりゃいいんだ?」
「手の打ちようがないな」
『待ってればいいんじゃない?』
「そう簡単にはいかないんだよ」
ほんとに困った。
「お困りのようだね」
不意に後ろから声をかけられた。
それも聞き覚えのある声だった。
「嶋さん!」
そこには外国風の格好をした男の人が立っていた。
「久しぶりだね剣崎君。何やら小さくなっているようだが」
「俺もいる」
「ザンバ君か、それに虫の群れということは蝗介君もか」
『久しぶり』
「よくここが分かりましたね」
「風に聞いたんだよ」
「相変わらずですね」
そこで嶋さんは真剣な表情をして質問してきた。
「本題に入らせてもらうが君はこの世界のことをどの程度理解しているかな?」
「とりあえず異世界って結論は出ました。空間震のことは一般的なことは知ってます。それに妙な機械の集団を見たことがあります」
「それに関して聞いてもらわなければいけない話がある。いいね」
「はい」
嶋さんの言葉にザンバも蝗介も神妙にする。
「まずは気付いているかもしれないが、二十年ほど前からしていた妙な気配は空間震だろう。私はここに来るまでに一度空間震に遭遇しているのだが、本来あれはこの世界に何かが現れるときにおこる物みたいだね」
「何かってなんですか?」
「精霊と呼ばれるものだよ」
「精霊?」
「これに関してはあとで説明しよう。とにかく基本的には空間震は精霊というものがこの世界に現れるときに起こる。ここをまず理解してほしい」
「はい」
「ただし、例外はあった。君ももう気づいているんじゃないのか?ひと月少し前の世界同時多発空間震。あの時この世界に現れたのは僕らだ」
「それはなんとなくわかっていました」
「私の予測ではその空間震はおそらく五十四ヶ所で起きたのだろう」
そういって嶋さんは一枚のカードを差し出した。
「これは?!」
『!』「おいおい驚いたな」
そのカードはダイヤの10。
つまり俺の預かっていたアンデッドじゃない。
『初めましてかな、剣崎一真。おれはレイだよ』
カードから声が聞こえる。
「こいつも人間の言葉を?!」
俺の預かっていたスペード・クラブのアンデッドは人間の言葉を覚えたが、ダイヤスートのアンデッドまで。
「さすがに暇だったんで、みんな覚えたんだよ」
実体化しながら言う。
「お前がいるってことは始たちもこの世界にいるってことか?」
「たぶんいると思うよ」
「たぶんってのんきな」
「まあ推測でしか語れないだろう。君と違い解放されたアンデッド側は自分以外がどうなったかは推測するしかない。だから私もまっすぐ君を探したわけだしねとにかく君の反応を見る限り、君といるのはザンバ君と蝗介君だけだね」
「はい」
「ここからは気分の良くない話だが、精霊と呼ばれるものについてだ」
「君は現場で変な機械の集団が来るのを見たんだったね。その集団の目的はおそらく精霊の殺害だろう」
「精霊ってなんなんですか?」
「外見は少女だった。ただそれだけだよ。われわれのように化身しているわけでもない」
「それは人間ってことじゃないんですか?」
「彼女たちは空間震とともに現れる。そこから人間じゃないさらには空間震の原因と考えられているようだ」
「本人たちはどう思っているんでしょう?」
「分からないね。彼女たちは現れて少しのちに勝手に消えてしまったよ」
「消えた?!」
「消滅したというわけじゃない。あの集団はロストと呼んでいたしおそらくいつものことなのだろう」
「その子たちは空間震を自分の意志で起こしてるんですか?」
「そこは聞いてみないと分からないな」
「・・・」
「まだ話は終わっていないんだ。最後まで聞きたまえ」
嶋さんは今にも飛び出しそうな俺のことをいさめながら、話を続ける。
「あの集団は私たちもイビルと呼び攻撃対象としているようだから気をつけなさい」
「話はそれだけですか?」
「あと二つだけ、天宮市に行くといい」
「天宮?」
「比較的に空間震の多い街だ。それとレイ君もつれていきなさい。君は精霊のようにロストできるわけでもないのだから」
「分かりました」
「なるたけ僕はスペードスートのアンデッドを探すことにしよう」
こちらの計画・知っている情報を伝えた後そういって嶋さんは去っていった。
半年後くらいに天宮市に来るそうだ。
それまで情報とアンデッドの行方を調べると言っていた。
俺もさっさと天宮市に向かわないとな。
何より機械集団の情報を集めたい。
だが意外にもその機会は早く訪れた。
「なんだこのサイレンは?」
『空間震警報とやらじゃないのか?』
ザンバがそう返す。
俺は裏路地に駆け込むと素早くジョーカーラウザーにカードを通す。
「レイ、力を借りるぞ」
『あいよ』
『THIEF』
そして俺の姿はカメレオンアンデッドのものとなる。
と言っても見たのは初めてだが。
「蝗介!」
「いるよ」
周辺から蝗が集合し、ローカストアンデッドがその姿を現す。
「手筈通りに頼むぞ」
そういって俺は舌を伸ばし近くの建物の上に飛び上がる。
もちろん体色は周囲と同化させてだ。
こうすることで何か起こるまでは機械集団に目をつけられることはないだろう。
空間震の予測は優秀なようでまだしばらく時間があるようだ。
「妙な気配があるな」
『おそらくそれがそうだろう』
ザンバの同意も得られたので気配をたどる。
「ここか」
到着したのだが。
『来るぞ!』
「うおぉっ!」
素早く飛び退ると閃光が走った。
周りが見えるようになると俺の一瞬前までたっていたところも含めて地面にクレーターができていた。
そしてそこに一人の女性が立っていた。
緑の髪をして箒を持った魔女のような美しい女性が。
あれが精霊なのか?
むしろ魔女なんだが・・・。
カメレオンアンデッドの能力で大人の姿に変身し、姿を現す。
「わおっ!?いきなり目の前に現れるなんてお姉さん驚いちゃった。あなたはいったい何なのかな?お姉さんを殺しに来たの?」
「俺は・・・・・」
説明しようとした瞬間だった。
奴らが現れた。
機械集団じゃない。
アルビローチだ。
ちなみに名づけは嶋さんだ。
「おおおおおお!」
俺はジョーカーの姿に雄叫びを上げ変わる。
その姿を見て魔女のような女性は驚いたようだが、構わずアルビローチに切りかかる。
「ちっ、前よりも多いな」
蝗介がいないこともあってなおさらそう感じる。
女性がフラッシュのようなものをたくと三体のローチが一瞬ねじれもとに戻った。
「?!」
何をしたのかわからないけどその一瞬動きが止まったので斬り飛ばす。
さらにもう一体を切ろうとしたところ、で空から弾丸の嵐が降り注いだ。
「来たか!」
上空から機械をまとった集団が降りてきた。
そのまま俺やローチ、魔女風の女性に切りかかってきた。
やっぱ攻撃対象か。
くそっ、あんな女の人にも攻撃すんのかよ。
俺はレーザー?の刃を防ぎながらローチだけを切り、魔女風の女性と機械使いの間に割って入る。
「ウェイ!」
相手は突如割り込まれたことに驚いたようだが素早く体勢を立て直す。
「くっ」
「あれ?あなたお姉さんの味方をしてくれるの?」
「ああ、あんたに聞きたいことがあるんだ」
「ふうん、まあいいけど」
「ウェイ!」
相手を蹴り飛ばして装備を切る。
人を守るのがライダーの仕事だ。
今の俺にとってはこの人も人に入る。
「まあ、質問には今度答えてあげるわ」
しばらくたった後にその言葉とともに魔女風の女性は突如姿を消した。
今のがロストってやつか。
『ウィッチのロストを確認しました』
『イビルのほうはどうしますか?』
魔女風の女性が消えてから機械集団は俺を囲むように位置どって止まっている。
めんどくさいことになりそうだな。
『『『『了解』』』』
戦闘態勢を取ったのを確認して、素早くカードをラウズする。
『THIEF』
解説コーナー
レイ ダイヤ10のカメレオンアンデッド
マイペースな性格
カメレオンの祖たる不死生物
周囲の景色に体色を同化させる能力とほかのものに擬態する能力がある。
解放はされずもう一体のアンデッドとともに融合アンデッドティターンにされていたため姿
を剣崎は知らなかった。
ようやく精霊が出ました。
長かった。
次回でこの章は終わりの予定です。
さっさと原作に入りたい。
剣崎が精霊の前で大人の姿を取ったのはASTに姿を見られないようにするためです。
今七罪を一真のメインヒロインにするか相棒ポジションにするか悩んでいます。
次回もお楽しみに。