【完結】南西諸島海域の研究所にて 過去   作:ふじこれ

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サブタに大した意味はないです。まんまです。はい。



死に去れない者の言葉は生者を惑わす

 

 

 

 

 

 

―続き

 

 

 

 翌日、清霜は申し訳なさそうに職員たちの元を訪れた。清霜を担当した職員たちは『気にしないで』といった。清霜は『ありがとう』というと時雨の元へ駆けて行った。

 

 職員たちの記憶には鮮明に残っていた。昨日の昼間、清霜が急に倒れて時雨に担がれていった。

 

 

 

 時雨のやった行動は正しい、と言える物だろう。彼女は/切羽詰まった表情で息を切らしながら、『清霜が急に倒れたんだ! 誰か、助けてくれないか!!』と一階に響き渡る声を出した。

 

 

 

 その声は善良な職員の耳に届いたため、すぐさま応急処置が行われた。

 真っ青な顔をした職員が一人声を荒げた。『……息をしていない! まずい、誰かAEDを! 至急!!』とそう言った。それを聞いてか、職員たちはどんどん慌ただしくなっていった。

 

 時雨は蚊帳の外であった。応急処置の心得などないのだから、仕方がない。

 

 

 

 いつも声を掛けてくれる職員の誘導により一時的に清霜の元を離れた。そしてある小部屋に通されるとそこで待機していた別の職員に何があったのかを聞かれたので素直に話した。ある職員は時雨の言ったことを書き逃すまいとメモを取っていたようで終始、ボールペンが止まらなかった。

 別の職員は時雨の話を聞きながら、たまに『くつくつくつ』と笑っていた。その様子を見て時雨は変な人だと、思った。

 

 

 

 話が終わると時雨はさきほどの小部屋から自分の自室に戻された。もやもやする気持ちをずっと抱えたまま夕食になった。

 トレーから夕食を受け取る際、職員に尋ねたがいい回答は貰えなかった。そのまま夕食を完食し、苦い薬も飲んだ。その後も気が気ではなかった。

 

 

 

 もし、清霜が死んでしまったら、と思うと胸の奥が痛んだ。そして何時間か経ったとき、職員がノックしながら入ってきてこう言った。

 『山場は超えた。明日には起きているだろう。出来るだけ、寂しくないように傍へ行ってやれ』と。

 

 言われた時雨は場所を聞くや否や飛ぶように駆けつけたが清霜は目覚めていなかった。様子を見ていたが起きる気配はない。

 いつ起きていてもいいように、としていたが睡魔には叶わずそのまま清霜の寝ているベッドを枕にして寝てしまった。

 

 

 

 それから朝になると誰かに撫でられたような気がして起きてみると目の前には申し訳なさそうな顔をしている清霜がいた。

 時雨は少しだけ泣きそうになったが抑えて『心配したんだから』といった。

 

 清霜は『心配かけたよね。ごめんね。でもありがとう。わたしを運んでくれて』そういうとボロボロ泣き始めていた。

 時雨も時雨で困る様子はなく、ついには堪えていたモノが溢れだしたのだ。

 

 

 

 職員が朝食を持ってくるまで二人は互いを慰めあっていた。

 

 

 

 =========

 

 

 

 

 

 その日の夜、清霜はまた見ていた。昨日の昼間、見た夢を。

 初めは昨日と同じ場所に居た。

 

 しかし昨日とは明確に違う点があった。

 それは最初からあのゾンビのような清霜が居たのだ。

 

 そしてこちらを見て『もうすぐ。もうすぐだねぇ……』とニヤニヤしていた。

 

 

 その様子を見て、清霜は気持ち悪くて仕方がなかった。

 早く夢から覚めてくれと思うばかりだったが覚める気配もないのでゾンビのような清霜(それ)に直接聞いた。

 

 

 

清霜「ねぇ。あなたは誰? 深海棲艦の清霜?」

 

闇清霜「わたしは――お前だ。この世界には何体もわたしたちがいるからな。一体くらいわたしのような存在がいるだろうさ」

 

 

 

 ゾンビのような清霜はそういうとケケケと笑った。

 『わたしはお前だ』という発言を聞いて清霜はすぐに聞いた。信じたくない、見たくない最悪の結果みらいを予言されたような気がした。

 

 

 

清霜「…………つまり、わたしはあなたのように深海棲艦になるの?」

 

闇清霜「そうだ。わたしが見える時点でお前は終わりだ」

 

 

 

 死人のような顔色をして何かの肉に噛みつく闇清霜は面と向かって終わりだ、と言ってきた。

 その様子はとても楽しそうに見えた。少しだけイラっと来た。それでも姉妹と再会したかった清霜は泣きそうな顔をして駄々をこね始めた。

 

 

 

清霜「いやだなぁ……わたしはお姉ちゃんたちに会いたいのに!」

 

闇清霜「そういったってなぁ…………助かる方法、知りたいか?」

 

 

 

 目の前にいるそれは一切、聞く耳を持たなかった。泣きそうな清霜を見て、笑いをこらえていたのだが急に悪そうな顔をして言った。『助かりたいか』と。

 

 

 

 清霜は『それは誰だってそうだよ! 深海棲艦になりたくない』といったが誰だってそうなのは間違いだ、と言った。清霜をしたに見るかのような態度をして闇清霜は言った。

 

 

 

『わたしは進んで、深海化を受け入れた』と。

 それを聞いて、信じられないと言った顔をした。だが、深くは聞かなかった。深海棲艦のようになるまで精神を追い詰められたのかもしれないから、だ。

 

 

 

 何も言わなかった清霜を見て、闇清霜は『助かりたいか。まぁ普通はそうだろうさ。

 

 なら、逃げろ。わたしのようになるな』と言ってきた。

 

 まるで意味が分からなかった。逃げろとは今いるところ、からかと聞こうとしたとき闇清霜が声を荒げた。

 

 

 

闇清霜「ここの奴らは間違いなく外道だっ! わたしたちはモルモットにされ、挙句に本来の姿を奪われ――こうしてゴーストになったのさ」

 

 

 

清霜「うそ……信じられないよっ!」

 

 

 

 気迫に押されたのか、はたまた信憑性に欠ける情報だからか疑いの眼差しは強くなる。

 

 しかし闇清霜は口を尖らせて言った。

 

 

 

闇清霜「嘘なもんか。お前、あの薬飲んだだろ。……身体に異常はないか」

 

清霜「少しだるいくらいだよ。あれは試薬じゃないの…………?」

 

 

 

闇清霜「んなわけないだろ、独特の苦みがあったか?」

 

清霜「あったよ。でも良薬は口に苦しだって」

 

 

 

 『なんでこんなに警戒心がないんだ』と闇清霜は呟いていたら、清霜がどこも所属してないんだから仕方がないじゃん!とぷりぷりと怒っていた。

 その様子を見て『いやいや、それはない』と思ったが口には出さずに次へ入った。

 

 

 

闇清霜「それは口実だ。確かに良薬は口に苦し、かもしれないが――奴らがお前にやってることはただの実験だぞ。それとここは何日いる?」

 

 

 

清霜「今日で7日目だと思うよ。今日は大本営へ行けるんだから…………」

 

 

 

闇清霜「それが本当に大本営なら、いいな。どっちかだな。その薬が本当にただの薬膳のようなものなのか。或いは――わたしたちに使ったものなのか」

 

 

 

清霜「どうして今になって教えてくれたの?」

 

 

 

 昨日の態度から思うに、対話は不可能だと思ったのだ。しかし『へへへ』と鼻を擦りながら闇清霜は言った。

 

 

 

闇清霜「気まぐれだ。わたしにはもう時間がないからな。清霜という個体が一体でも幸せになれる事を祈ってるわ」

 

 

 

 笑って伝えた。清霜には罠に見えてしまう。陥れるための作り話。

 なんのメリットがあるかどうかは分からないが――。清霜が次の質問をしようとするとき、空間に皹ひびが入る。

 空にバリバリバリと亀裂が入り、落ちるのではなく吸い込まれるような感じで狭間での会話は終了した。

 

 

 清霜は夢から覚める事になる。闇清霜は何も言わず、光の粒となって消えた。

 

 

 むくりと起き上がって、ぼーっと窓から空を覗く。空はまだ朝日が差してはおらず、藍色の空は綺麗だった。

 しかしあの闇清霜と会話したことで清霜の心にはしこりが出来てしまったまま、旅立ちの朝を迎えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

―続く

 

 

 

 

 





疑う心を植え付けられた清霜。目の前に現れたのは清霜だったモノ

新キャラクター
 
 亡霊的ポジ 闇清霜(狂い)

亡霊的ポジの闇清霜はもう出番ないです。
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