【完結】南西諸島海域の研究所にて 過去   作:ふじこれ

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後、1~3話で終わります。




外道たちと夕雲

 

 

 

 

―続き

 

 

 

 

 

 

 

 黒囲は気持ちの悪い笑みをして夕雲に実の妹清霜が艦娘だった時から今に至るまでを録画した映像を見せた。

 夕雲は“嘘、嘘だ!”とヒステリックに叫んだがこれが現実だ。

 

 

 

 部下に用意させた、薬を注射器の中に入れた。

 夕雲はあの子に対してなんてことをしたんだ、という思いが募ってきていた。

 

 もしかしたら、取り返しのつかないことをしたのではないかと思ったら涙が止まらなくなった。

 そんな状況を見た黒囲は夕雲に近づくと慣れた動きをして首元に注射器の針を刺した。

 

 

 

夕雲「うぐッ! ……一体、何を……」

 

 

 

 注射器の中身は全て入り、夕雲は意識を失った。

 夕雲に打たれたのは清霜と同じだ。

 

 だが黒囲は薬の効果は大体分かっているので今度は別の実験も兼ねて行った。

 そして夕雲はここに連れられて来る前のことを思い出していた。

 

 

 

 ======== 

 

 

 

 実のところ夕雲も野良出身だった。

 気がつけば、海の上に居たがしかし運が良かった。右も左も分からない中、一隻の船が目の前に止まった。

 

 船中から数人こちら出てきた。

 そしてサングラスをかけた初老の男性が夕雲に向かって

 

『お嬢ちゃん! どした!? どしてここに?!』と大声で言ってきた。

 

 

 

 声を掛けられた夕雲はその船の横まで歩いて行くとデッキから“わっ”という驚く声が聞こえた。

 ざわざわとデッキにいた人らは話し合っていた。夕雲も驚いた様子で目の上にいる人達を見つめていた。

 

 海上をプカプカと浮いたままこちらを見る夕雲に気づいてか、人々は『ありゃ……深海棲艦とかの新手!?』や『……幽霊?!』や『ばっか、おめぇ……ありゃ艦娘だ』などと言っているのが聞こえた。

 

 

 

夕雲「……」

 

 

 

 人らを見つめながら、ふと考えていた。

 この人らは悪意や邪な感情を持って自身に近づいたわけではないのだと、会話内容から推察した。違ったら、その時はその時である。

 

 ただ、海上に人間と思わしきものが立っているので好奇心のあまり近づいただけだとも。

 

 

 

 しばらく夕雲は黙って見ていると逆に好奇心が湧いた。

 彼らはどんな人で、どんなことをしているのか、と。生まれて? 間もない夕雲は警戒心というものを全く持っていなかった。

 

 

 

 今、話し合っている人達に対して質問をしてしまおうかしらと思っている時最初に声を掛けてきた初老の男性が声を掛けてきた。

 

 

 

初老の男性「おめぇさ、艦娘か?」

 

夕雲「えぇ。私の名前は夕雲型一番艦の夕雲。よろしくお願いします……?」

 

 

 

 夕雲は名を名乗った。そうしたら初老の男性は“そぉか、そぉか”と言っていた。

 初老の男性の名を聞こうとしたとき、男性が先に名乗った。『ダン』というらしい。夕雲は“ありがとうございます”と言った。

 

 ダンが次の質問を投げかけようとしたとき、別の男性が話しかけてきた。よそから、おい『イチ』!という声が聞こえた。

 誰のことを呼んだのかと思ったら今、自身に向かって話しかけようとしている男性だった。

 

 

 

イチ「夕雲型……おら、あんまり船のことには詳しくねぇが……お嬢ちゃんは艦娘で合ってるべ?」

 

 

 

夕雲「はい。それで、あなた方は……?」

 

 

 

 イチも“そぉか”と頷き、船内へ戻った。

 夕雲は質問したかったことを質問しようとするのだがダンが口を開いた。

 

 

 

ダン「わしらはすぐ行ったところにある小さな島のなかにある村で暮らしておる。わしらは漁師で仕事の帰る途中、お嬢ちゃんを見かけたのじゃ」

 

 

 

夕雲「それで……なんですね。教えてくれてありがとうございます」

 

 

 

 質問に答えてくれた、ダンに対して笑顔でお礼をいう。ダンは“はっはっは“と笑い、”それでお嬢ちゃん……夕雲ちゃんはどうするのじゃ?“と言った。

 どうするの、とはこのまま別れるのか、それかわしらの元へ来るのかということだ。

 

 

 

 “私は……”と言い詰まったがすぐに“ついて行ってもいいですか?”と聞いた。

 片道分しか燃料はないし、弾も数回分しかない。このままついて行くしかないと思っていた。運が良ければ、別泊地、鎮守府所属の艦娘と出会うかもしれないと思ったからだ。

 

 

 

 ダンは快諾した。そして残りのメンバーも大歓迎! といった雰囲気をしていた。

 “ちょっと待ってくれ”といい、船内へ入っていった。デッキにいた人たちは夕雲に手招きしていた。

 その誘いに乗り、デッキの上に登る。上に居た人たちから乾いたタオルを貰っていた。

 

 

 

 急に船内から大声が聞こえたかと思うと、笑い声が聞こえたので夕雲はびっくりした。

 

 ダンは“待たせたの”といい夕雲は“大丈夫です、これから向かうんですか?”と言ったら頷いて“そうだが、船が揺れるから手すりに捕まって”とも言った。夕雲は素直に聞いた。

 

 

 

 ガクンと大きく一回船は揺れたが、次第に揺れは収まって進みだした。

 これから島についたら案内されるのだろう、と夕雲は思ったのだった。

 

 

 

 

 

 ======

 

 

 

 しかし夢は続くことなく、非情にも現実へ連れ戻される。

 小さな島で暮らした日々を思い出すことはなく目を覚ました。

 

 

 

夕雲「……ここは…………?」

 

 

 

 ぼんやりとした意識の中、何があったかを思い出そうとする夕雲。

 思い出そうにも黒い靄がかかっており思い出せない。しばらく唸っていると自分の頭上から声が聞こえた。

 

 

 

『おはよう。夕雲君。良い夢は見れたかな?』

 

 

 

 頭上にあるのは中型のスピーカー。それから聞こえてきたのだと瞬時に理解した。

 しかしその声を聞いた途端、胃の中の物がこみあげてくるような感覚に遭った。咄嗟に堪えたので吐しゃ物がブチ撒かれることはなかった。

 

 

 

『おいおい、吐かないでくれよ。掃除するのが大変なんだから』

 

 

 

 大層面倒だというような雰囲気で言ってきた。夕雲は“私に何をしたの!!”と吠えた。

 

 スピーカーから聞こえてくる声の主は要件を話すだけ話したら切った。

 

 

 

 状況が理解できていない夕雲は置いて行かれた感覚を味わった。

 まぁ実際に居るのは地下室……いや牢獄と呼ぶべきか。そこに監禁されたのだった。

 

 

 

夕雲「清霜さんに謝りたい、許してくれるかしら、とかそんなのじゃなくて……」

 

 

 

 醜い化け物と言ってしまったことをただただ謝りたかった。夕雲は激しく後悔した。

 

 数時間が経ち、扉がノックされる。夕雲は答えない。所々赤い職員がガラガラ滑車を引いて何かを持ってきた。一つは食料だった。部屋に時計がないので凡その時間は分からないが。

 

 

 

 聞いたら、夕食だと言った。

 見たことない食べ物があったので聞いたところ、丁寧に何が入っているか教えてくれた。皿の中心にあるこげ茶色の塊はハンバーグというらしい。

 

 

 

 フォークで軽く押すと肉汁が溢れてきて、とても美味しそうだと思った。となりの小皿は――と説明を受けた。そして合い挽き肉を使っていると。

 

 

 

 職員は夕雲が食べ終わるまで、いた。夕雲はご馳走に目を光らせながら食べていた。常にメモを取って、美味しそうに食べる夕雲を観察していたが。

 

 

 

 “食べ終わると後でまた来るからな”と言い残し部屋を出て行った。ご馳走を食べ終えた夕雲はというと、幸せな気持ちのままではなく拒絶してしまった清霜の事と自分を責める気持ちでいっぱいになっていた。

 

 

 

 ======

 

 

 

職員「所長。あの艦娘、深海棲艦の肉と妹の肉の合い挽きにしたハンバーグを美味しそうに食べてましたよ」

 

 

 

黒囲「そうか。しかし、君も趣味が悪いなぁ……」

 

職員「いえいえ、それほどでも。妹の方はどうですか? 再生してますか?」

 

 

 

黒囲「あぁ、さっき完全再生していたよ。またするのかい?」

 

職員「えぇ。カニバリズムなどには興味ありませんが……化け物同士、消費させるのはいいと思いませんか?」

 

 

 

 外道は二人、互いに笑いあった。

 

 

 

―続く

 

 

 

 

 

 





新キャラクター

 小さな島の漁師 ダン
 
 小さな島の漁師 イチ

 別のページに夕雲が暮らした島での出来事を纏めようかな。……と思った。
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