【メイクデビュー】負けウマ娘のスレ【失敗】の下書きやら何かやら   作:zaq2

13 / 24
※:ころころと、書きくわえたり、書き直したり、消したりしてます。
  理由は、察して?(苦


短編:STATE OF THE ART

 あの、ふざけた記者会見

 

 

 "自分の走り"を第一に?

 

 

 あの子は、その自らの脚を、自らの意思で削ってまで走る行為を肯定するかのごとく答えていた。

 その事に、私は納得する事が到底できないままでいた。

 

 

 障害レース

 

 

 それは、平地のレース以上に競走ウマ娘にとっては寿命ともいえる脚を、平地以上に浪費してまで走るレースでもある。

 

 

 "自分の走り"と言ってた彼女の走りは粗削りで、技術の欠片もなく、ただただ己が本能に従うかのように、まるでその走りが当たり前かの様に飛越してく。

 

 

 そして、その"自分の走り"で、結果をだしてもいた。

 まるで、その命を削る行為すらも、気にしないままに。

 

 

 それが許せない。

 

 

 それが危うい事であると知ったから、私は技術を研ぎ澄ます事に研鑽した。

 理想的ともいわれるフォームを身に着け、己が脚に負担をかけなくても勝てる事を立証するために。

 

 なのに、それを嘲笑う(あざわらう)かの様な、野生的な走りをし続けている彼女は、私の前を走り抜けていく。

 

 

 だが、あのままでは、競走ウマ娘として、その灯(ともしび)が消えてしまう。

 

 

 その走りのままでは、危険であると何度も忠告はしてはいた。

 しかし、それらの忠告を無視するかの様に走り、飛越し、結果を残し続けていた。

 

 

 

 何とか結果を出そうと、がむしゃらに走っていた時の私と違って・・・

 

 

 私は認めたくはなかったのかもしれない。

 技術も使わず膂力や胆力だけで、その先に行けるという事に。

 いままで、自分が研鑽してきた事の何もかもを全否定するその走りに。

 

 

 

 だが、私の危惧した事が起こる。

 

 

 

 彼女は、自らのその脚に負担をかけすぎて怪我を負った。

 致命的とはならなくてホッとしたが、まさに、その走りの危うさを証明するかのように。

 

 

 やはり、このままではいけない。

 だが、彼女たちは、こちらの警告に耳を傾ける気がなさそうでもあった。

 

 ならば、その灯(ともしび)に陰りをつけ、今一度、自身の走りを見つめ直させる為、なんとしてでも彼女の前でゴール板を駆け抜けなくてはならない。

 

 

 

 そう、見つめ直させるためにも。

 そして、私(・)た(・)ち(・)のためにも。

 

 

 ・ ・ ・

 

 控室で勝負服の状況を、特にブーツの状況確認を感覚で確認しながら、目を閉じては呼吸を整える。

 

 そう、いつもの事。

 こうして、自分なりのルーティンをこなす。

 気持ちと言う名のスイッチを、ゆっくりと切り替えるかのように・・・

 

 

「それで、調子はどうだ?アトゥ」

 

 

 スッっと声が入ってくる。

 集中している私のスペースに、何も気にさせる事もなく、いつもの様に、様子を伺う声が聞こえた。

 

 声のする元は知っている。

 私の競走ウマ娘としての力を見出し、導いてきてくれた存在なのだから。

 

 

「・・・大丈夫。トレーニングの結果も上々、レース運びの方法も新たにつくり、実証もしました。」

 

 

 そう、普段なら行わない、自信のレーススタイルすらも改め、それを吸収しては自身の技術(血肉)へとした。

 

 普通、レース運びに関してはセンスが無ければ、レーススタイルなんて替える事は困難である。

 が、それを"や(・)ら(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)"勝ちが見える相手でも無い。

 その願いに答え、導いてくれた。

 

 

「これ以上にないほどに、充実しています」

「それなら良いが・・・だが、実証といっても二か月前のレースだ。それは二か月も空くことでもある。本当は一度、叩きたかったが・・・」

「障害競走では仕方がないのでは?出れるレースの数も少ないですし」

 

 障害競走での重賞レースは月に一度しか開催されない。

 そのため、出走権が得られた場合は、その月に一度の重賞レースに合わせて調整していかなければならなくなる。

 

 それは長い長い、気の遠くなるようなスケジュールの組立から始まる。

 一つでも躓いたら組み立てなおし、調整をし直してとやっていくのが、逆にシビアにもなっていく。

 

 

 その長いスケジュールを組み上げで、トレーナーとの二人三脚で勝ち得た最優秀賞も、今は昔。

 

 彼女が現れてから、いえ、彼女が本格化してからは、煮え湯を飲まされ続けていた。

 

 

 しかし、今日という日は違う。

 自分の今までとは違う走りを作った。

 そして、新たに挑むための策も出来た。

 

 

 確実に、勝てる・・・否、一番最初にゴール板を駆け抜ける策をだ。

 

 

 それも、少しづつ、少しづつ、しっかりと地に足をつけて作り上げた、私の・・・違う。

 

 私(・)た(・)ち(・)の新しい武器。

 

 

「もう、こちらからは何もいう事は無い。やれるだけの事はやった。なら、あとは全部出し切ってこい」

「ええ、そうさせていただきます」

 

 

 ルーティンの仕上げとして、静かに目を瞑る。

 

 作り上げた新たな武器に、魂を刻み込む様に深く深く集中し、水底(みなそこ)へと静かに潜る様に・・・

 

 そして、水底(みなそこ)から、それを引き上げる。

 

 少し重い様な気はしたが、ゆっくりと浮き上がらせる感覚を終わらせ、顔を上げて目を開ける。

 

 

 すると、偶然にもお互いの視線を交わすかの様に、目が合った。

 

 

「「・・・」」

 

「ぷっ・・・」

「ふっ・・・」

 

 

 

 控室で、響き合う二つの軽い笑い声。

 何故かわからないけれど、おかしくて笑ってしまっていた。

 

 

 そんな中、扉をノックする音と係員による呼び出しがかかった。

 

 

「さてと、自分も観覧席に向かうかな」

「ええ、そこから見ていてください。私たちで作り上げたモノが、立派に成熟した姿を」

「そうだな・・・。しっかりと見届けさせてもらうさ」

 

 

 先ほど感じていた重みも消え、いい感じに緊張もほぐれていた。

 

 

 (本当に、トレーナーには頭が下がります。

  こちらの緊張していた調子を見透かしてくるところなどは、本当に・・・)

 

 

「では、行ってきます」

「あぁ、行ってこい」

 

 

 それ以上、何も語ることもなく、控室を後にした。

 その足取りは、今まで以上に軽く感じられた。

 

 

 ・ ・ ・

 

 

 コースへ向かう通路を通り、ターフへと足を踏み入れる。

 ここのターフは嫌いじゃない。

 

 

 ここで、色々な事を学び、経験し、そして二人でつかみ取った物が色々とあったから。

 

 

 『中山レース場』

 

 

 年末の大一番のレースが開催されるレース場。

 

 平地競走でいうところの、有馬記念

 障害競走でいうところの、中山大障害

 

 

 中山大障害、芝4100m

 

 80年以上も前から続き、格式の高い天皇賞よりも古く、ダービーに次ぐ歴史をもっている。

 それは、障害レースにおけるダービーともいえ、障害ウマ娘の頂点を決めるレースでもある。

 

 

 このレースに勝つことこそが、障害競走ウマ娘にとっての誉(ほまれ)であり、最大の栄誉でもある。

 

 

 

 そのレースが開催される中山レース場、そのターフの風を受け、周囲の状況を自らの身体で再度確認する。

 

 事前に確認した内容として、本日の天気は【晴れ】

 コースの状態の内容は【良】と発表されている。

 

 

 そう、何もかも私(・)た(・)ち(・)にとって、最良の状況になっていた。

 まるで、三女神が微笑んでいるかのように・・・

 

 

 大きく息を吸い込んでは、気を引き締めなおす。

 やや傾きかけた西日が、ウマ娘たちの影をいくつも作っていた。

 そう、ここから先は、障害ウマ娘たちが争う戦場(いくさば)。

 

 

 気を引き締めては、コースの下見へと向かう。

 本当の最終確認。イメージ通りに走り抜けるための、最後の確認をする。

 歩数や歩幅、調整する位置と場所、それらを一つ一つ確認していく。

 

 

 そして、今一度、引導を渡すべき相手を確認する。

 彼女は、緊張した様子もなく、軽くステップをする様にコースの上を進んでいた。

 

 特徴的なその、空色の装飾品(チークピーシーズ)を、揺らしながら・・・

 

 その姿を見るのは、もう最後。

 レースが始まれば、その姿を私(・)が(・)見(・)る(・)こ(・)と(・)は(・)無(・)い(・)。

 

 

 

 私が走るレースには、見えなくなるものなのだから。

 

 

 

 

 ・ ・ ・

 

 

 




~ STATE OF THE ART ~
最先端(State of the art)と最新式(Up to date)

 いったい、誰なんだろう(棒読み



◎設定小ネタ
努力型の10年に一度の天才
・ステイトオブジアト

感性型の100年に一度の天災
・10着
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定