【メイクデビュー】負けウマ娘のスレ【失敗】の下書きやら何かやら   作:zaq2

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(したがき)

 ゲートに集まるウマ娘たち。

 中山グランドジャンプのスタートが、まもなく切られる。

 

 トパちゃんから"注目しておいてごらん"といわれた二つのうちの一つ、特に空色の装飾品(チークピーシーズ)を纏ったウマ娘を、しっかりと注目する……

 

 

 

《係員が離れます。態勢完了……スタートしました》

《さぁ、先行争いに入ります。――――――――、いいスタートを切りました》

 

 スタートは、誰もが納得するほどの絶好のスタートを切っていた。

 なにしろ、どのウマ娘よりも頭一つ抜きんでている状態とも言えた。

 あのスタートなら"逃げ"の戦法組が、絶対にほしがるかもしれないと思うぐらいの好スタートで。

 

 

《フミキッテ、ジャンプゥ!最初の生垣を飛び越えました》

 

 

 そうこう考えていたら、最初の障害を終えていた。

 トップスピードになるかならないかの所での障害ってとこかな?

 

 

《内で六番の――――――――が、また先頭へと並んでいきます》

《外からは9番ステイトオブジアト、この二人に挟まれる格好で、正面のスタンド前、先頭さらにいれかわり、ステイトオブジアト先頭、フミキッテジャンプゥ!》

《水濠障害の飛越、各バ、続々と飛越を終えて行って……水しぶき上がりません》

《9番、ステイトオブジアト先頭で、フミキッテジャンプゥ!》

《生垣を超えて、三バ身のリード、二番手に六番の――――――――、後続をさらに三バ身の差に広げます》

 

 

 障害を飛び越えた状況で、各ウマ娘のスピードが異なる。

 そうこう思っていると、綺麗に飛越をしていた芦毛のウマ娘が前へと上がっていた。

 

 この芦毛のウマ娘は、トパちゃんから注目しておくべきと教わった、もうひとつのウマ娘のだ。

 

 注目しておくべき二つが、さっそくの先頭争いとなっていた。

 

 

 

 

《一・二コーナー中間の障害、ステイトオブジアト、フミキッテジャンプゥ!綺麗な飛越!》

《続く二番手は六番の――――――――》

 

 飛越に関しては、綺麗に飛ぶ芦毛の方が有利かな?

 なにしろ、飛越の時の足が綺麗にそろって着地すらもスムーズに進ませている。

 ただただ飛越するだけでなく、まるで、その後すらも計算しているかのように。

 

 

 

《ダートを横切り、二コーナー谷を下って駆けあがります》

《先頭はステイトオブジアト、二番手に――――――――、外からいった三番手にはフソラガーバロネス》

 

 

 中盤に差し掛かったあたり、周りが多少に動きが出だした。

 

 

《さぁ!大障害コース、高低差三.五メーターの深い谷を下って、さぁ駆けあがってくる、九番ステイトオブジアト、内からは六番の―――――――》

 

 

 内に追いやっては、前二つに合わせた?

 けれど、ペースが狂っているようには見えないかな?

 

《前三頭ほぼかたまって大竹柵……今度は三頭、フミキッテジャンプゥ!》

《無事飛越を終えて、四番のマインハーヴェスト、わずかに先頭か》

《外から九番のステイトオブジアト並んでいきます。その後ろは、三バ身の三番手に六番――――――――》

《全バ、無事に飛越を完了、場内に拍手が沸き起こります》

 

 

 少し前から離れる位置に、脚を貯める方向にしたのかな?

 それに、先頭の二つも、そのまま離す恰好にしていくのだろうか?

 

 

《先頭は二頭がならんできまして、三角(コーナー)から四角(コーナー)へ》

《生垣の障害を……フミキッテジャンプゥ!譲らない九番のステイトオブジアト、三バ身のリード、二番手に四番のマインハーヴェスト控えました》

 

 やっぱり先頭の芦毛は、飛越後の体制を整える形で飛んでるのかな。

 その証拠に、並んで差を飛越で広げた。

 

《その後に、六番────────差を詰めて、三番手から二番手に並んでいきます》

 

 

 さらに逃げる形でレースを行う芦毛のウマ娘。

 だが、すべてのウマ娘が注意しているのは……

 

 

《あとは、三バ身はなれ、先頭は三角(コーナー)の谷を下ります。》

《離れてその後ろ、二番のオピニオンダンサー、三番のフソラガーバロネス、向こう正面へと入っていきました》

 

 

《九番ステイトオブジアト先頭、一バ身のリード》

《二番手に六番の――――――――が上がりまして、これから高低差五.三メーターの深い谷を下って、さぁ駆け上がってきます》

《さぁ、最大の難関。高さ一.六メートル、幅二.四メートルの大生垣へと向かいます!》

 

 

 ああ、ここでコースがクロスするからその位置取り対応してただけか。

 そして、前に何もなくなったとたん、スゥーと前へとでてきてるのが証拠。

 

 

《九番、ステイトオブジアト先頭です、三バ身のリード》

《――――――――二番手に、フミキッテジャンプゥ!!》

《さぁ大生垣、各バ続々と飛越、後方まで無事飛越を終えました!》

 

 

 

 

《九番のステイトオブジアトが先頭です、二バ身のリードです。二番手には六番の――――――――》

《先頭ステイトオブジアト、フミキッテジャンプゥ!》

 

《一、二角(コーナー)中間の障害、ステイトオブジアト、フミキッテジャンプゥ!それに――――――――が接近する》

《二角(コーナー)の谷を下って駆けあがる、九番ステイトオブジアト先頭!リードは三バ身ぐらい、二番手には六番の――――――――、それから二バ身フソラガーバロネスが追走》

 

 

 後半にさしかかり、先頭を進む二つの存在。

 逃げる芦毛、追う栗毛、他は…追いつける脚が残ってるかどうかか?

 

 

《さぁ、外回りコースに入っていきます。九番のステイトオブジアト先頭、三バ身、ハードル障害に向かいます。》

《六番の――――――――が二番手、九番ステイトオブジアト先頭フミキッテジャンプゥ!低い飛越でクリア》

 

《二番手、六番――――――――、四バ身の差が開いて三番フソラガーバロネス、四バ身差二番のオピニオンダンサー続いて三角(コーナー)のカーブ》

 

《残り800を通過、さぁ、六番の――――――――が前に迫ってきた!九番ステイトオブジアトとのその差は、一バ身に》

 

 

 最終の三角(コーナー)に差し掛かった時、ザワッ、と場内がどよめいた。

 「動いた」とトパちゃんはつぶやく。

 それは、まさに"始まり"だった。

 

 

《三番手には三バ身差のフソラガーバロネス。先頭、フミキッテジャンプゥ!ハードル障害を越えました!》

《さぁ!先頭のステイトオブジアト!だが、――――――――が並んでいって600の標識を通過!》

 

《先頭、変わりました!》

 

 

 場内から、歓声が生まれた。

 それは"待っていた"ともとれる、歓声だった。

 

 

《六番の――――――――先頭!リードを二バ身と引き離します》

《二番手、九番ステイトオブジアト、三番手三バ身フソラガーバロネス、四〇〇の標識を通過、あとは離れてオピニオンダンサー》

 

《さぁ、正面スタンド前、最後の直線コース!――――――――先頭!最後のハードル障害を、フミキッテジャンプゥ!!!無事飛越を終えた!!》

 

 

 もうそれは、誰が見ても結果は分かった。

 だが、それ以上に……

 

 

《二番手、九番ステイトオブジアト!飛越成功!だが、先頭とのその差は、も(・)う(・)五バ身!六バ身!七バ身!!三番手、三番フソラガーバロネス!!》

《先頭は、六番の――――――――》

《――――――――!圧勝のゴールイン!!》

 

 

 

 私は、何を見ているのだろうか?

 私は、何に魅せられているのだろうか?

 

 

 アレが、現時点での障害レースの頂点の一つ

 アレが、絶対の王者の走り……

 

 

 

 

 

 

 

 けれど、何だか、楽しそうな感じもした。

 苦しくても、辛くても、それらを置き去りにする様な、

 自分たちとは異なるという"異質"さとでもいうような、

 それでも、ワクワク感という様な……

 

 

《二番手、九番ステイトオブジアトが"今"ゴールイン!そして三番のフソラガーバロネス……・・・・・・

 

 

 二番手をコレだけ離して

 いや、二番手も、三番手を大きくつき離している

 次元の違う二つの走り、それは、今の自分にとっては、とてつもなく遠すぎる……

 

 私も、あそこに立てるんだろうか?

 けれど、立ってみたいとも、思えた……。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 掲示板に表示されているのは、【大差】の文字と【レコード】の文字。

 

 一部始終、見えている範囲をみ(・)てもいたけれど、これは一体何なのかと、何をみ(・)せられたのかと……再び考えがループする。

 

 

「なっ?」

 

 

 トパちゃんからたった一言だけど、その一言で今に戻されたが、その言葉の意味する事に、すべてが集約されていることに気づく。

 

 気づいて、分かったけれど、頭では理解はしたくないという気分にもなってはいた。

 

 

 次元が違なるレースというのは、見ているこっちからでも"飲み込まされる"というのが、よくわかるレースだったからだ。

 

 

 さらに言えば、その先頭でゴールをした"王者の遠さ"も分からされたとも。

 

 

 

「あーあ、誰がスランプになってるって?超・絶好調じゃん。これじゃぁ、今年も(・)回避路線でいくしかなくない?」

「トパちゃんは、そうかもしれない、けどさ……」

「ん?」

「なんて言ったらいいのか……あ、そうだ。山があるからさ、山に登りたくなるんじゃないのと同じ、なのかな?」

 

 

 こちらに視線を向けてくるトパちゃんの目には、何を言っているんだという感情が読み取れる。

 

 まぁ、自分で言ってみてもよくわからなかったのは否めないけど、だけど、ここまで平地レースで追い詰められている自分にとってみたら、新たな舞台となるレース種別において、目指すべき山頂(いただき)を、しっかりと目には焼き付けれた。

 

 なら、あとはその山頂(いただき)を目指すだけ。

 

 

 

 ……なら、おのずと答えはでてくる。

 

 

「それに、同じチームは無しかな?」

「えっ?なんで?もったいないでしょ?あの王者と同じチームなんだよ?」

「やっぱり、同じ道じゃない、別の方法(ルート)で登りたいと思っちゃっうじゃない、あんな走りにみ(・)せられたらさ」

 

 

 トパちゃんは、きょとんとした顔から、二へラと破断する顔をする。

 

 

「そっか、やっぱそうだよね。それに、オブちゃんもそ(・)っ(・)ち(・)かぁ」

「そっち?」

「うんにゃ、なんでも。なら、今日から私らはライバルってとこかな」

「そう、なるかな?」

「じゃぁ、ライバルっていうのなら、どっちが先にあの山を登れるかってのはどう?」

「えっと?」

「うん、それがいいね!じゃぁ、競走って事でさ」

 

 

 ここまでテンションが上がったトパちゃんを止める手立てはないかな。

 それに、その案には、魅力を感じてしまった自分がいるし……。

 

 

「うん。それ、いいかも」

「んじゃ、勝負という事で」

 

 

 少し残っていた心のわだかまりが消えたかもしれない。

 平地でなくても、輝ける場所がある事にみ(・)せられたから

 

 

 

 ウィニングサークルに立っている絶対王者を眺めていた時、ふと、中山レース場に、一つの風が吹いた、そんな気がした。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「すごかったなー、あれ」

「うん」

「こういうレースもあるんだなー」

「うん」

「って、他にも何とか言えよ」

「うん、すごかった」

「それだけかよ……ま、いっか、じゃ鳥千よって帰ろうぜー」

「うん」

 

 小さなマスク姿のウマ娘が、友達につれられる恰好でその場を移動したが、ふと、立ち止まっては、先ほどまでの熱に充てられた表情で、マスクをずらしてはターフへと振り返る。

 

 

「ほんとに、すごかったな……」

 

 

 

 

 それは、ほんの小さな、それはまだほんの小さな"つむじ風"が起きていた。

 

 




・「フミキッテ、ジャンプ"ゥ"」 この"ゥ"が重要だと思う。
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